JP4784567B2 - スタータ - Google Patents
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Description
一段の減速比は、エンジンのフリクションが最も大きくなるスタータの最低使用温度条件(概ね−20℃以下)における必要トルクから決められることが一般的である。このため、エンジンのフリクションが小さくなる常温での始動時には、モータの必要トルクが小さく、モータの性能曲線上の作動点が軽負荷側に移って出力が低下することにより、回転数が大きく上昇しない。
この減速比を二段に切り替えるための手段として、特許文献2、3に示される従来技術がある。
一方、特許文献3には、異なる減速比を有する二段の遊星歯車機構を設け、その遊星歯車機構のインターナルギヤを固定するために、インターナルギヤの外周をブレーキバンドにより締め付けて制動を掛ける方法が記載されている。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、低温時での良好なエンジン始動性を確保でき、且つ、常温時での始動時間を短縮できるスタータを提供することにある。
本発明は、モータの電機子軸上に異なる減速比を有する二組の遊星歯車減速機が並設され、どちらか一方の減速機を選択してモータの回転速度を減速するスタータであって、二組の減速機に用いられる二つのインターナルギヤの外周に同軸状に配設されると共に、スタータ内部の固定部材に係合して周方向に回動不能、且つ、軸方向に移動可能に設けられ、二つのインターナルギヤのどちらか一方と凹凸嵌合により係合して、そのインターナルギヤの回転を規制する係合部材を備え、この係合部材を軸方向に移動させることにより、回転規制するインターナルギヤを切り替えて減速比を変更することを特徴とする。
また、係合部材を軸方向に移動させるだけで、回転を規制するインターナルギヤと、回転を許容するインターナルギヤとを容易に切り替えることができる、すなわち、一方のインターナルギヤの回転が規制されると、他方のインターナルギヤの回転が許容され、他方のインターナルギヤの回転が規制されると、一方のインターナルギヤの回転が許容されるので、部品点数の少ない簡素な構成で、二つのインターナルギヤの回転規制および回転規制の解除を行うことができる。
請求項1に記載したスタータにおいて、二つのインターナルギヤのうち、軸方向モータ側に配置される第1のインターナルギヤには、軸方向反モータ側の外周に凹凸部が形成され、軸方向反モータ側に配置される第2のインターナルギヤには、軸方向モータ側の外周に凹凸部が形成され、係合部材の内周には、第1のインターナルギヤに形成された凹凸部に係合可能な第1の凹凸部と、第2のインターナルギヤに形成された凹凸部に係合可能な第2の凹凸部とが形成され、係合部材を軸方向モータ側へ移動させることにより、第1の凹凸部が第1のインターナルギヤの凹凸部に係合して第1のインターナルギヤの回転が規制され、係合部材を軸方向反モータ側へ移動させることにより、第2の凹凸部が第2のインターナルギヤの凹凸部に係合して第2のインターナルギヤの回転が規制されることを特徴とする。
これに対し、本発明では、第1のインターナルギヤと第2のインターナルギヤとが軸方向に向かい合う側の外周にそれぞれ凹凸部が形成されるので、第1の凹凸部と第2の凹凸部とを軸方向に近接して形成することができ、係合部材の軸方向長さを短くすることが可能である。
請求項2に記載したスタータにおいて、係合部材は、第1の凹凸部と第2の凹凸部とが軸方向に連続して一体に設けられていることを特徴とする。
本発明では、第1の凹凸部と第2の凹凸部とを一体に設けることにより、加工工数を低減でき、コスト低減に寄与できる。
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、二つのインターナルギヤは、軸方向に対向する両者の端面同士が相対回転自在に凹凸嵌合していることを特徴とする。
この場合、二つのインターナルギヤの軸心を一致させることができるので、係合部材による二つのインターナルギヤの切り替えをスムーズに行うことが可能である。
請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、二つのインターナルギヤのうち、少なくとも一方は、樹脂材料により構成されていることを特徴とする。
二つのインターナルギヤのうち、どちらか一方は、係合部材との係合が解除されて空転するため、インターナルギヤに質量の小さい樹脂材料を用いることで、空転するインターナルギヤの回転アンバランスによる影響を小さくでき、振動を抑制できる。
請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、通電時に電磁石を形成し、その電磁石の磁力を利用して係合部材を軸方向の一方に移動させる電磁コイルと、この電磁コイルへの通電が停止して電磁石の磁力が消滅した時に、係合部材を軸方向の他方へ押し戻すためのリターンスプリングとを有し、電磁コイルは、二つのインターナルギヤのうち、軸方向モータ側に配置される第1のインターナルギヤのモータ側、または、軸方向反モータ側に配置される第2のインターナルギヤの反モータ側に近接して配設されていることを特徴とする。
また、電磁石の吸引力に頼ることなく、係合部材との機械的な係合によってインターナルギヤの回転を規制できるので、電磁コイルを小型化できる。つまり、電磁コイルは、係合部材を軸方向の一方に移動できるだけの吸引力(磁力)を発生できれば良いので、大きな吸引力は不要であり、小型化が可能である。
さらに、その小型化された電磁コイルをインターナルギヤの軸方向に近接して配置することにより、電磁コイルを使用することによる径方向の大型化を回避できる。
請求項6に記載したスタータにおいて、係合部材は、電磁石に吸引される強磁性体により構成されていることを特徴とする。
この場合、電磁石の吸引力によって係合部材を直接駆動できるので、部品点数を少なくでき、構造の簡素化を図ることが可能である。
請求項6または7に記載したスタータにおいて、電磁コイルが発生する磁束を通す固定ヨークを備え、この固定ヨークは、二つのインターナルギヤのうち、どちらか一方のインターナルギヤと電磁コイルとの間に配設されるリング状磁路部を有し、係合部材は、リング状磁路部の外周を軸方向に延設された円筒鉄心部を有し、この円筒鉄心部の内周部がリング状磁路部の外周部に凹凸係合して周方向に回動規制され、且つ、軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする。
また、円筒鉄心部の内周部とリング状磁路部の外周部とを凹凸係合させることにより、円筒鉄心部の内周面とリング状磁路部の外周面との対向面積が大きくなるため、磁気抵抗が減少して、電磁コイルの吸引力を向上できる。
請求項6〜8に記載した何れかのスタータにおいて、係合部材は、電磁コイルの非通電時に、二組の減速機のうち、低減速比側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制し、電磁コイルの通電時に、高減速比側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制することを特徴とする。
これにより、電磁コイルへの通電と通電停止(非通電)に応じて、低減速比側の減速機と高減速比側の減速機とを切り替えて使用できる。
請求項6〜8に記載した何れかのスタータにおいて、係合部材は、電磁コイルの非通電時に、二組の減速機のうち、使用頻度の多い側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制し、電磁コイルの通電時に、使用頻度の少ない側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制することを特徴とする。
これにより、電磁コイルへの通電に要する電気エネルギーを最小限に抑えることが可能である。
請求項9または10に記載したスタータにおいて、電磁コイルは、外気温度が0℃より高い時に非通電とされ、外気温度が0℃以下の時に通電されることを特徴とする。
この場合、外気温度に応じて減速比を切り替えて使用できる。すなわち、外気温度が0℃より高い時は、低減速比側の減速機を使用することにより、スタータの駆動回転数が上昇して、エンジン始動時間の短縮を図ることが可能である。一方、外気温度が0℃以下の時は、高減速比側の減速機を使用することにより、エンジンのフリクションが大きくなっても、良好なエンジン始動性を確保できる。
本実施例のスタータ1は、図1に示す様に、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転を減速して出力軸3に伝達する二段の減速装置(後述する)と、この減速装置の減速比を切り替えるための切替え装置(後述する)と、出力軸3の外周にクラッチ4と一体に配置されるピニオンギヤ5と、モータ2の通電回路に設けられるメイン接点(図示せず)を開閉すると共に、シフトレバー6を介してクラッチ4とピニオンギヤ5を一体に軸方向に移動させる働きを有する電磁スイッチ7と、エンジン側に固定されるフロントハウジング8等より構成される。
出力軸3は、電機子軸9aと同一軸線上に配置され、モータ側の端部が、フレーム部材12の内径側に固定された軸受13により回転自在に支持され、反モータ側の端部が、フロントハウジング8の先端部に固定された軸受14により回転自在に支持されている。フレーム部材12は、フロントハウジング8に設けられた円筒壁部8aの内周に嵌合して、周方向に回動不能に固定されている。
ピニオンギヤ5は、エンジンのリングギヤ(図示せず)に噛み合わされた後、クラッチ4を介して伝達される回転力によりリングギヤを駆動する。
シフトレバー6は、レバーホルダ18により回動自在に支持されるレバー支点部6aを有し、このレバー支点部6aより一端側のレバー端部が電磁スイッチ7のプランジャ15に取り付けられたシフト用ロッド19に連結され、レバー支点部6aより他端側のレバー端部がクラッチ4に係合して、プランジャ15の動きをクラッチ4に伝達する働きを有する。
減速装置は、図2に示す様に、電機子軸9aに形成された第1のサンギヤ20を中心に構成される第1の遊星歯車減速機(第1の減速機と呼ぶ)と、同じく、電機子軸9aに形成された第2のサンギヤ21を中心に構成される第2の遊星歯車減速機(第2の減速機と呼ぶ)とを有している。なお、第1の減速機に設定される減速比を第1の減速比、第2の減速機に設定される減速比を第2の減速比と呼ぶ時に、第1の減速比より第2の減速比の方が大きく設定される。
第1のサンギヤ20と第2のサンギヤ21は、第2のサンギヤ21の方が第1のサンギヤ20より電機子軸9aの先端側(図2の左側)に形成され、且つ、第1のサンギヤ20の方が第2のサンギヤ21より歯先径が大きく、歯数が多く設けられている。
遊星ピン23、27は、出力軸3と一体に設けられた遊星キャリア30に固定され、その遊星キャリア30の周方向に遊星ピン23と遊星ピン27とが交互に配設されている。また、遊星ピン23には、遊星キャリア30と第1の遊星ギヤ24との間にスペーサ部材31が嵌め合わされ、このスペーサ部材31により、第1の遊星ギヤ24が軸方向反モータ側(遊星キャリア30側)へ移動することを規制している。
切替え装置は、図2に示す様に、第1のインターナルギヤ25と第2のインターナルギヤ29のどちらか一方と機械的に係合する係合部材34と、通電により電磁石を形成し、その電磁石の吸引力で係合部材34を軸方向反モータ側へ駆動する電磁コイル35と、この電磁コイル35が発生する磁束を通すための固定ヨーク36と、電磁コイル35への通電が停止された時に、係合部材34を軸方向モータ側へ押し戻すためのリターンスプリング37等を備える。なお、前記フレーム部材12は、例えば、鉄等の強磁性体により構成され、固定ヨーク36と共に磁路の一部を形成している。
なお、通電制御手段は、例えば、外気温度を直接または間接的に検出し、その外気温度に応じて電磁コイル35のON/OFF状態を切り替えることができる。具体的には、外気温度が0℃より高い時に電磁コイル35をOFFにし、外気温度が0℃以下の時に電磁コイル35をONにする。
リング状磁路部36bの外径部には、図7に示す様に、複数の歯部36cが全周に形成され、この歯部36cには、係合部材34の円筒鉄心部34bの内周に形成された歯部34dが噛み合わされて、係合部材34の周方向の回動が規制されている。但し、係合部材34の軸方向の移動は許容されている。なお、図7は、フレーム部材12に電磁コイル35と固定ヨーク36とが組み付けられたコイルユニットの斜視図である。
一方、電磁コイル35の通電時には、リターンスプリング37の付勢力に抗して係合部材34が電磁石に吸引され、係合部材34の回転規制部34aに形成された歯部34cが第2のインターナルギヤ29に形成された歯部29dと噛み合っている。この時、係合部材34は、図3に示す様に、軸方向反モータ側の端面がフレーム部材12に当接した状態で静止している。
始動スイッチの閉操作により、電磁スイッチ7のスイッチコイルに通電されてプランジャ15が吸引されると、そのプランジャ15の移動に応じて、シフトレバー6を介してクラッチ4とピニオンギヤ5が一体に出力軸3上を反モータ方向(図1の左方向)へ押し出される。また、プランジャ15の移動により、メイン接点が閉じることで、バッテリからモータ2に通電されて電機子9に回転力が生じる。電機子9の回転は、第1の減速比または第2の減速比により減速されて出力軸3に伝達され、更に、出力軸3からクラッチ4を介してピニオンギヤ5に伝達される。このピニオンギヤ5がリングギヤに噛み合うことにより、ピニオンギヤ5からリングギヤに回転力が伝達されて、エンジンをクランキングする。
また、プランジャ15が押し戻されると、エンジン始動時と反対方向にシフトレバー6が揺動して、クラッチ4がモータ方向へ押し戻されるため、ピニオンギヤ5がリングギヤから離脱して、クラッチ4と一体に出力軸3上を後退し、所定の位置(図1に示す位置)で停止する。
a)第1の減速比を選択する場合。
電磁コイル35がOFFの状態であり、係合部材34の回転規制部34aに形成された歯部34cと第1のインターナルギヤ25に形成された歯部25cとが噛み合っているため、第1のインターナルギヤ25の回転が規制され、第2のインターナルギヤ29の回転が許容されている(図2参照)。従って、電機子9に発生する回転力は、第1のサンギヤ20から第1の遊星ギヤ24に伝達され、その第1の遊星ギヤ24が自転しながら第1のサンギヤ20の周囲を公転する。一方、第2の遊星ギヤ28は、第2のインターナルギヤ29の回転が規制されていない(回転が許容されている)ので、第2のサンギヤ21の回転に応じて自転するだけであり、公転することはない。
これにより、第1の遊星ギヤ24の公転が遊星キャリア30から出力軸3に伝達される。すなわち、電機子9の回転が第1の減速比により減速されて出力軸3に伝達される。
通電制御手段からの信号により電磁コイル35がONされると、係合部材34が電磁石に吸引され、リターンスプリング37の付勢力に抗して反モータ側へ移動する。その結果、回転規制部34aに形成された歯部34cと第1のインターナルギヤ25に形成された歯部25cとの噛み合いが解除され、回転規制部34aに形成された歯部34cと第2のインターナルギヤ29に形成された歯部29dとの噛み合いが行われる。この時、歯部34cと歯部29dとが噛み合い可能な位置、つまり、回転規制部34aに形成された歯部34c(凸部)が第2のインターナルギヤ29に形成された歯部29dと歯部29dとの間(凹部)に位置している場合は、そのまま、回転規制部34aに形成された歯部34cが第2のインターナルギヤ29に形成された歯部29dと歯部29dとの間に入り込んで、両者の噛み合いが完了する。これにより、第2のインターナルギヤ29の回転が規制され、第1のインターナルギヤ25の回転が許容される(図3参照)。
これにより、第2の遊星ギヤ28の公転が遊星キャリア30から出力軸3に伝達される。すなわち、電機子9の回転が第2の減速比により減速されて出力軸3に伝達される。
なお、図8には、第1の減速機(第1の減速比)を用いた場合のトルクと回転数を実線グラフで示し、第2の減速機(第2の減速比)を用いた場合のトルクと回転数を破線グラフで示している。
先ず、常温(概ね5〜35℃)における作動点のトルクがTwで示される時に、第1の減速比を使用した場合の出力はP1、回転数はN1となる。また、第2の減速比を使用した場合の出力はP2、回転数はN2となる。本実施例のスタータ1では、0℃より高い温度条件において第1の減速比を使用するため、出力はP1、回転数はN1となり、第2の減速比を使用した場合より、出力および回転数が大幅に向上して、始動時間の短縮を図ることができる。
本実施例のスタータ1は、係合部材34との機械的な係合(歯部同士の噛み合い)によって、第1のインターナルギヤ25または第2のインターナルギヤ29の回転を確実に規制でき、且つ、係合部材34を軸方向に移動させることで、回転規制するインターナルギヤ25、29を切り替えて減速比を変更できる。この構成によれば、一つの係合部材34で二つのインターナルギヤ25、29の回転規制と回転規制の解除を実施できるので、部品点数を低減でき、構造を簡素化できる。
また、二つのインターナルギヤ25、29の回転規制と回転規制の解除を行うために、係合部材34を軸方向に移動させる構成であり、係合部材34を径方向に動かす必要はないので、径方向の大型化を抑制できる。
また、二つのインターナルギヤ25、29のうち、どちらか一方は、係合部材34との係合が解除されて空転するため、少なくとも一方のインターナルギヤに質量の小さい樹脂材料(例えば、ポリアミド樹脂)を用いることにより、空転する側のインターナルギヤに生じる回転アンバランスの影響を小さくでき、振動を抑制できる効果がある。
更に、小型化した電磁コイル35を第2のインターナルギヤ29の軸方向に隣接して配置することにより、径方向にスタータ1が大型化することを回避できる。
さらに、径方向に対向する円筒鉄心部34bの内周とリング状磁路部36bの内周とにそれぞれ歯部34d、36cを形成することで、円筒鉄心部34bの内周面とリング状磁路部36bの外周面との対向面積が大きくなるため、磁気抵抗が減少して、電磁コイル35の吸引力を向上できる。
また、外気温度が0℃より高い時に第1の減速比を選択すると、例えば、日本を初めとして、アメリカ、ヨーロッパ等、地球上の多くの地域では、第1の減速比の方が第2の減速比より使用頻度が多くなる。このため、使用頻度の多い第1の減速比を選択する時に、電磁コイル35をOFFにすることで、電磁コイル35への通電に要する電気エネルギーを最小限に抑えることが可能である。
2 モータ
9a 電機子軸
25 第1のインターナルギヤ
25c 第1のインターナルギヤに形成された歯部(凹凸部)
29 第2のインターナルギヤ
29d 第2のインターナルギヤに形成された歯部(凹凸部)
34 係合部材
34b 係合部材の円筒鉄心部
34c 回転規制部の内周に形成された歯部(第1の凹凸部、第2の凹凸部)
35 電磁コイル
36 固定ヨーク(スタータ内部の固定部材)
36b リング状磁路部
37 リターンスプリング
Claims (11)
- モータの電機子軸上に異なる減速比を有する二組の遊星歯車減速機が並設され、どちらか一方の減速機を選択して前記モータの回転速度を減速するスタータであって、
前記二組の減速機に用いられる二つのインターナルギヤの外周に同軸状に配設されると共に、スタータ内部の固定部材に係合して周方向に回動不能、且つ、軸方向に移動可能に設けられ、前記二つのインターナルギヤのどちらか一方と凹凸嵌合により係合して、そのインターナルギヤの回転を規制する係合部材を備え、この係合部材を軸方向に移動させることにより、回転規制するインターナルギヤを切り替えて減速比を変更することを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記二つのインターナルギヤのうち、軸方向モータ側に配置される第1のインターナルギヤには、軸方向反モータ側の外周に凹凸部が形成され、軸方向反モータ側に配置される第2のインターナルギヤには、軸方向モータ側の外周に凹凸部が形成され、
前記係合部材の内周には、前記第1のインターナルギヤに形成された凹凸部に係合可能な第1の凹凸部と、前記第2のインターナルギヤに形成された凹凸部に係合可能な第2の凹凸部とが形成され、
前記係合部材を軸方向モータ側へ移動させることにより、前記第1の凹凸部が前記第1のインターナルギヤの凹凸部に係合して前記第1のインターナルギヤの回転が規制され、前記係合部材を軸方向反モータ側へ移動させることにより、前記第2の凹凸部が前記第2のインターナルギヤの凹凸部に係合して前記第2のインターナルギヤの回転が規制されることを特徴とするスタータ。 - 請求項2に記載したスタータにおいて、
前記係合部材は、前記第1の凹凸部と前記第2の凹凸部とが軸方向に連続して一体に設
けられていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
前記二つのインターナルギヤは、軸方向に対向する両者の端面同士が相対回転自在に凹凸嵌合していることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、
前記二つのインターナルギヤのうち、少なくとも一方は、樹脂材料により構成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、
通電時に電磁石を形成し、その電磁石の磁力を利用して前記係合部材を軸方向の一方に移動させる電磁コイルと、
この電磁コイルへの通電が停止して電磁石の磁力が消滅した時に、前記係合部材を軸方向の他方へ押し戻すためのリターンスプリングとを有し、
前記電磁コイルは、前記二つのインターナルギヤのうち、軸方向モータ側に配置される第1のインターナルギヤのモータ側、または、軸方向反モータ側に配置される第2のインターナルギヤの反モータ側に近接して配設されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項6に記載したスタータにおいて、
前記係合部材は、前記電磁石に吸引される強磁性体により構成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項6または7に記載したスタータにおいて、
前記電磁コイルが発生する磁束を通す固定ヨークを備え、この固定ヨークは、前記二つのインターナルギヤのうち、どちらか一方のインターナルギヤと前記電磁コイルとの間に配設されるリング状磁路部を有し、
前記係合部材は、前記リング状磁路部の外周を軸方向に延設された円筒鉄心部を有し、この円筒鉄心部の内周部が前記リング状磁路部の外周部に凹凸係合して周方向に回動規制され、且つ、軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とするスタータ。 - 請求項6〜8に記載した何れかのスタータにおいて、
前記係合部材は、前記電磁コイルの非通電時に、前記二組の減速機のうち、低減速比側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制し、前記電磁コイルの通電時に、高減速比側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制することを特徴とするスタータ。 - 請求項6〜8に記載した何れかのスタータにおいて、
前記係合部材は、前記電磁コイルの非通電時に、前記二組の減速機のうち、使用頻度の多い側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制し、前記電磁コイルの通電時に、使用頻度の少ない側の減速機に用いられるインターナルギヤの回転を規制することを特徴とするスタータ。 - 請求項9または10に記載したスタータにおいて、
前記電磁コイルは、外気温度が0℃より高い時に非通電とされ、外気温度が0℃以下の時に通電されることを特徴とするスタータ。
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