JP2017180129A - エンジン始動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】出力軸7に設けられるスプラインの捩れ角に左右されることなく、ピニオン8を軸方向に動作させることができるエンジン始動システムを提供する。
【解決手段】スタータ2は、モータ4のトルクを一方と他方に振り分ける遊星歯車装置と、一方に振り分けられたトルクを入力してピニオン8に軸方向の直線運動を与える運動方向変換機構と、他方に振り分けられたトルクを入力してピニオン8に回転運動を与える出力軸7と、ピニオン8を軸方向に動作させる軸方向動作モードと回転方向に動作させる回転方向動作モードとを切り替える磁気ブレーキ装置9とを備える。制御装置3は、インバータ11を介してモータ4の動作を制御するモータ制御部3aと、回転角センサ39で検出されるモータ4の回転角度を基にモード切替スイッチ38をオン/オフ操作して磁気ブレーキ装置9の動作を制御する動作モード制御部3bとを有する。
【選択図】図1
【解決手段】スタータ2は、モータ4のトルクを一方と他方に振り分ける遊星歯車装置と、一方に振り分けられたトルクを入力してピニオン8に軸方向の直線運動を与える運動方向変換機構と、他方に振り分けられたトルクを入力してピニオン8に回転運動を与える出力軸7と、ピニオン8を軸方向に動作させる軸方向動作モードと回転方向に動作させる回転方向動作モードとを切り替える磁気ブレーキ装置9とを備える。制御装置3は、インバータ11を介してモータ4の動作を制御するモータ制御部3aと、回転角センサ39で検出されるモータ4の回転角度を基にモード切替スイッチ38をオン/オフ操作して磁気ブレーキ装置9の動作を制御する動作モード制御部3bとを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、スタータによりエンジンの始動を行うエンジン始動システムに関する。
従来、特許文献1に開示されたスタータがある。
同スタータは、出力軸に設けられる捩れスプラインに嵌合するピニオンクラッチと、外部から制御される界磁コイルに付勢されてピニオンクラッチの外周に押し当てられる回転抑制部材とを有する。回転抑制部材によりピニオンクラッチの回転が抑制された状態で出力軸を回転させると、捩れスプラインの作用でピニオンクラッチが出力軸上を反モータ方向へ移動して、ピニオンがエンジンのリングギヤに噛み合う。
同スタータは、出力軸に設けられる捩れスプラインに嵌合するピニオンクラッチと、外部から制御される界磁コイルに付勢されてピニオンクラッチの外周に押し当てられる回転抑制部材とを有する。回転抑制部材によりピニオンクラッチの回転が抑制された状態で出力軸を回転させると、捩れスプラインの作用でピニオンクラッチが出力軸上を反モータ方向へ移動して、ピニオンがエンジンのリングギヤに噛み合う。
特許文献1のスタータは、出力軸の回転による捩れスプラインの作用(以下、送りねじ作用と呼ぶ)を利用してピニオンクラッチを反モータ方向へ移動させる構成である。この構成では、捩れスプラインが必須であり、例えば、捩れスプラインに替えて直スプラインを用いることはできない。また、捩れスプラインの捩れ角が小さい場合は、送りねじ作用が正常に働かなかったり、ピニオンクラッチを押し出すために大きな回転トルクが必要になる。言い換えると、回転抑制部材によりピニオンクラッチの外周を押圧してピニオンクラッチの回転を抑制するために必要なトルクが大きくなる。
さらに、ピニオンクラッチの回転を抑制するために回転抑制部材をピニオンクラッチの外周に押し当てているため、ピニオンクラッチが出力軸上を移動する際に摺動ロスが発生してモータの消費電力が増大する問題もある。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、捩れスプラインの捩れ角に左右されることなく、モータの回転を利用してピニオンを軸方向に動作させることができるエンジン始動システムを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、捩れスプラインの捩れ角に左右されることなく、モータの回転を利用してピニオンを軸方向に動作させることができるエンジン始動システムを提供することにある。
請求項1に記載のエンジン始動システムは、ピニオンを軸方向に動作させてエンジンのリングギヤに噛み合わせ、且つ、モータに発生するトルクをピニオンに伝達してエンジンをクランキングするスタータと、このスタータの動作を制御する制御装置とを備える。
スタータは、モータのトルクを一方と他方の二系統に振り分けて出力できる動力分割機構と、一方の系統に振り分けられたトルクを入力してピニオンに軸方向の直線運動を与える軸方向動作部と、他方の系統に振り分けられたトルクを入力してピニオンに回転運動を与える回転方向動作部と、モータのトルクを一方の系統に振り分けて軸方向動作部によりピニオンを軸方向に動作させる動作モードを軸方向動作モードと呼び、モータのトルクを他方の系統に振り分けて回転方向動作部によりピニオンを回転方向に動作させる動作モードを回転方向動作モードと呼ぶ時に、軸方向動作モードと回転方向動作モードとを電磁コイルの励磁/非励磁に応じて切り替える動作モード切替部とを有する。
制御装置は、モータの動作を制御するモータ制御部と、動作モード切替部による軸方向動作モードと回転方向動作モードとの切り替えを制御する動作モード制御部とを有し、動作モード制御部は、モータ制御部によりモータへの通電が開始された後、エンジンまたはスタータの状態に応じて変化する物理量を入力し、その物理量を基に電磁コイルの励磁/非励磁を制御する。
スタータは、モータのトルクを一方と他方の二系統に振り分けて出力できる動力分割機構と、一方の系統に振り分けられたトルクを入力してピニオンに軸方向の直線運動を与える軸方向動作部と、他方の系統に振り分けられたトルクを入力してピニオンに回転運動を与える回転方向動作部と、モータのトルクを一方の系統に振り分けて軸方向動作部によりピニオンを軸方向に動作させる動作モードを軸方向動作モードと呼び、モータのトルクを他方の系統に振り分けて回転方向動作部によりピニオンを回転方向に動作させる動作モードを回転方向動作モードと呼ぶ時に、軸方向動作モードと回転方向動作モードとを電磁コイルの励磁/非励磁に応じて切り替える動作モード切替部とを有する。
制御装置は、モータの動作を制御するモータ制御部と、動作モード切替部による軸方向動作モードと回転方向動作モードとの切り替えを制御する動作モード制御部とを有し、動作モード制御部は、モータ制御部によりモータへの通電が開始された後、エンジンまたはスタータの状態に応じて変化する物理量を入力し、その物理量を基に電磁コイルの励磁/非励磁を制御する。
本発明のスタータは、モータのトルクを入力してピニオンに軸方向の直線運動を与える軸方向動作部を有する。この軸方向動作部は、捩れスプラインの送りねじ作用を利用することなくピニオンに直線運動を与えるので、ピニオンを軸方向へ動作させる機能として捩れスプラインが必須ではない。また、軸方向動作部によりピニオンを軸方向へ動作させる際に、ピニオンの外周を押圧して回転を規制する必要がないので、特許文献1の従来技術と比較して摺動ロスを小さくでき、結果的にモータの消費電力を抑制できる。
さらに、動作モード制御部は、エンジンまたはスタータの状態に応じて変化する物理量を基に電磁コイルの励磁/非励磁を制御するので、例えば、ピニオンがリングギヤに係合したことを適切に判断して軸方向動作モードから回転方向動作モードへ切り替えることが可能である。
さらに、動作モード制御部は、エンジンまたはスタータの状態に応じて変化する物理量を基に電磁コイルの励磁/非励磁を制御するので、例えば、ピニオンがリングギヤに係合したことを適切に判断して軸方向動作モードから回転方向動作モードへ切り替えることが可能である。
本発明を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。
〔実施例1〕
実施例1のエンジン始動システムは、図1に示すように、エンジン1のリングギヤ1aを回転駆動してエンジン1をクランキングするスタータ2と、このスタータ2の動作を制御する制御装置3とを含んで構成される。
スタータ2は、以下に説明するモータ4、遊星歯車装置5、クラッチ6、出力軸7、ピニオン8、磁気ブレーキ装置9、および運動方向変換機構10などを含んで構成される。
モータ4は、例えば、インバータ11より三相交流が印加されて回転磁界を発生し、その回転磁界に同期して回転する交流モータであり、正逆両方向に回転可能に構成される。インバータ11は、モータ4に印加する電圧及び周波数を可変してモータ4の回転速度および回転方向を制御できる。
実施例1のエンジン始動システムは、図1に示すように、エンジン1のリングギヤ1aを回転駆動してエンジン1をクランキングするスタータ2と、このスタータ2の動作を制御する制御装置3とを含んで構成される。
スタータ2は、以下に説明するモータ4、遊星歯車装置5、クラッチ6、出力軸7、ピニオン8、磁気ブレーキ装置9、および運動方向変換機構10などを含んで構成される。
モータ4は、例えば、インバータ11より三相交流が印加されて回転磁界を発生し、その回転磁界に同期して回転する交流モータであり、正逆両方向に回転可能に構成される。インバータ11は、モータ4に印加する電圧及び周波数を可変してモータ4の回転速度および回転方向を制御できる。
遊星歯車装置5は、図2及び図3に示すように、モータ軸4aに設けられる太陽歯車12と、太陽歯車12の回転中心と同心に配置されるリング状の内歯車13と、太陽歯車12と内歯車13とに噛み合う遊星歯車14と、遊星歯車14の公転運動を出力する遊星キャリア15とを有する。
遊星歯車14は、遊星キャリア15に設けられる自転軸16に回転自在に支持され、自転運動と公転運動が可能である。遊星キャリア15は、クラッチ6のアウタ17と一体に設けられ、遊星歯車14の公転運動を拾ってアウタ17に伝達する。
この遊星歯車装置5は、モータ4のトルクを内歯車13に伝達する一方の系統と、遊星キャリア15に伝達する他方の系統とに振り分ける本発明の動力分割機構として機能する。
遊星歯車14は、遊星キャリア15に設けられる自転軸16に回転自在に支持され、自転運動と公転運動が可能である。遊星キャリア15は、クラッチ6のアウタ17と一体に設けられ、遊星歯車14の公転運動を拾ってアウタ17に伝達する。
この遊星歯車装置5は、モータ4のトルクを内歯車13に伝達する一方の系統と、遊星キャリア15に伝達する他方の系統とに振り分ける本発明の動力分割機構として機能する。
クラッチ6は、カム室に配置されるローラ18を介してアウタ17からインナ19へトルクを伝達する一方、インナ19からアウタ17へのトルク伝達を遮断するローラ式の一方向クラッチである。
出力軸7は、図2に示すように、モータ軸4aと同一軸線上に配置され、反モータ側(図示左側)の端部が軸受20を介してスタータハウジング21に回転自在に支持され、モータ側(図示右側)の端部にクラッチ6のインナ19が設けられる。出力軸7の略中央部には、雄側の捩れスプライン7aが設けられている。この出力軸7は、モータ4に駆動されて回転することでピニオン8に回転運動を与える本発明の回転方向動作部として機能する。
出力軸7は、図2に示すように、モータ軸4aと同一軸線上に配置され、反モータ側(図示左側)の端部が軸受20を介してスタータハウジング21に回転自在に支持され、モータ側(図示右側)の端部にクラッチ6のインナ19が設けられる。出力軸7の略中央部には、雄側の捩れスプライン7aが設けられている。この出力軸7は、モータ4に駆動されて回転することでピニオン8に回転運動を与える本発明の回転方向動作部として機能する。
ピニオン8は、内周に雌側の捩れスプライン8a(図5参照)が設けられ、この捩れスプライン8aが出力軸7の捩れスプライン7aに噛み合って出力軸7の軸上を原点位置と最大前進位置との間で移動可能に配置される。
ピニオン8の原点位置は、例えば、出力軸7に設けられるストッパ部(図示せず)にピニオン8の一部(例えば、捩れスプライン8aを形成するスプライン歯のモータ側端部)が当接することで規制される。
ピニオン8の最大前進位置は、ピニオン8がリングギヤ1aに噛み合った状態であり、図2に二点鎖線で示すように、ピニオン8の反モータ側端面(図示左端面)が出力軸7に取り付けられるピニオンストッパ22に当接することで規制される。
ピニオン8の原点位置は、例えば、出力軸7に設けられるストッパ部(図示せず)にピニオン8の一部(例えば、捩れスプライン8aを形成するスプライン歯のモータ側端部)が当接することで規制される。
ピニオン8の最大前進位置は、ピニオン8がリングギヤ1aに噛み合った状態であり、図2に二点鎖線で示すように、ピニオン8の反モータ側端面(図示左端面)が出力軸7に取り付けられるピニオンストッパ22に当接することで規制される。
磁気ブレーキ装置9は、図4に示すように、強磁性体のブレーキ板23と、このブレーキ板23の反モータ側に配置される摩擦板24と、この摩擦板24を介してブレーキ板23を吸引する磁力発生部(下述する)と、ブレーキ解除コイル25等を有する。この磁気ブレーキ装置9は、ピニオン8を軸方向に動作させる軸方向動作モードと回転方向に動作させる回転方向動作モードとをブレーキ解除コイル25の励磁/非励磁に応じて切り替える本発明の動作モード切替部として機能する。
ブレーキ板23は、遊星キャリア15に設けられるダミーピン26にネジ27(図3参照)を結合して遊星キャリア15に支持され、且つ、ダミーピン26の外周に装着されるコイルスプリング28により反摩擦板側へ付勢される。
摩擦板24は、ブレーキ板23と略同一の外径を有するリング状のプレートであり、下記の位置決め部材29に係合して回転規制されている。
ブレーキ板23は、遊星キャリア15に設けられるダミーピン26にネジ27(図3参照)を結合して遊星キャリア15に支持され、且つ、ダミーピン26の外周に装着されるコイルスプリング28により反摩擦板側へ付勢される。
摩擦板24は、ブレーキ板23と略同一の外径を有するリング状のプレートであり、下記の位置決め部材29に係合して回転規制されている。
磁力発生部は、図4に示すように、永久磁石30と、この永久磁石30によって磁化されるブレーキ磁極片31とを有する。
永久磁石30は、樹脂等の非磁性材料で形成される位置決め部材29を介して周方向の4カ所に位置決めされ、それぞれ径方向に着磁されている。
ブレーキ磁極片31は、永久磁石30の径方向外側に配置される外側磁極片31aと、永久磁石30の径方向内側に配置される内側磁極片31bとを有する。
ブレーキ解除コイル25は、通電により発生する磁力がブレーキ磁極片31に対して永久磁石30の磁力を打ち消す方向に働く。
永久磁石30は、樹脂等の非磁性材料で形成される位置決め部材29を介して周方向の4カ所に位置決めされ、それぞれ径方向に着磁されている。
ブレーキ磁極片31は、永久磁石30の径方向外側に配置される外側磁極片31aと、永久磁石30の径方向内側に配置される内側磁極片31bとを有する。
ブレーキ解除コイル25は、通電により発生する磁力がブレーキ磁極片31に対して永久磁石30の磁力を打ち消す方向に働く。
運動方向変換機構10は、図5に示すように、周方向に捩れ溝32を有する筒形状の押出シリンダ33と、捩れ溝32と軸方向に交差するストレート溝34を有する固定部材(後述する)と、ピニオン8に組み付けられる押出カラー35と、この押出カラー35に保持されて捩れ溝32とストレート溝34とに係合する係合ピン36とを備える。
押出シリンダ33は、スタータハウジング21に形成される円筒内周面に回転可能に保持され、且つ、係合プレート37を介して内歯車13と一体に回転可能に設けられる。
固定部材はスタータハウジング21であり、円筒内周面の径方向に対向する2カ所(点対称の位置)にストレート溝34が形成される。
押出シリンダ33は、スタータハウジング21に形成される円筒内周面に回転可能に保持され、且つ、係合プレート37を介して内歯車13と一体に回転可能に設けられる。
固定部材はスタータハウジング21であり、円筒内周面の径方向に対向する2カ所(点対称の位置)にストレート溝34が形成される。
押出カラー35は、ピニオン8の歯部よりモータ側の端部に配置されて、ピニオン8に対し相対回転可能に組み付けられる。この押出カラー35には、径方向に対向する2カ所(点対称の位置)にピン挿入孔35aが形成される。
係合ピン36は、軸心方向の一端側がピン挿入孔35aに挿入され、他端側がピン挿入孔35aより径方向の外側へ突出して捩れ溝32及びストレート溝34に係合している。
この運動方向変換機構10は、押出シリンダ33の回転運動を軸方向の直線運動に変換してピニオン8に伝達する本発明の軸方向動作部として機能する。
係合ピン36は、軸心方向の一端側がピン挿入孔35aに挿入され、他端側がピン挿入孔35aより径方向の外側へ突出して捩れ溝32及びストレート溝34に係合している。
この運動方向変換機構10は、押出シリンダ33の回転運動を軸方向の直線運動に変換してピニオン8に伝達する本発明の軸方向動作部として機能する。
制御装置3は、マイクロコンピュータを搭載するECUであり、図1に示すように、インバータ11を介してモータ4の動作を制御するモータ制御部3aと、モード切替スイッチ38をオン/オフ操作して磁気ブレーキ装置9の動作を制御する動作モード制御部3bとを有する。
以下、制御装置3によるスタータ制御の一例として、プリセットモードに続いてエンジン1を始動するまでの制御手順を図7に示すフローチャートに沿って説明する。
なお、プリセットモードとは、例えば、アイドリングストップが実行された後、エンジン1の始動要求が発生する前にピニオン8をリングギヤ1aに噛み合わせる動作を言う。
ステップS10…プリセットモードを実行するためのプリセット指令が発生したか否かを判定し、プリセット指令が発生するまでステップS10を繰り返す。プリセット指令は、例えば、エンジン1の惰性回転中にエンジン回転数が所定回転数以下(例えば500rpm以下)まで低下した時にエンジンECU(図示せず)から制御装置3へ出力される。
以下、制御装置3によるスタータ制御の一例として、プリセットモードに続いてエンジン1を始動するまでの制御手順を図7に示すフローチャートに沿って説明する。
なお、プリセットモードとは、例えば、アイドリングストップが実行された後、エンジン1の始動要求が発生する前にピニオン8をリングギヤ1aに噛み合わせる動作を言う。
ステップS10…プリセットモードを実行するためのプリセット指令が発生したか否かを判定し、プリセット指令が発生するまでステップS10を繰り返す。プリセット指令は、例えば、エンジン1の惰性回転中にエンジン回転数が所定回転数以下(例えば500rpm以下)まで低下した時にエンジンECU(図示せず)から制御装置3へ出力される。
ステップS20…インバータ11を介してモータ4を正回転させる。この時、モード切替スイッチ38はオフであり、ブレーキ解除コイル25は非励磁の状態である。これにより、永久磁石30によって磁化されるブレーキ磁極片31にブレーキ板23が吸引されて摩擦板24に当接するため、ブレーキ板23と摩擦板24との間に生じる摩擦力によってブレーキ板23の回転が規制される。ブレーキ板23は、遊星キャリア15に対し相対回転が規制されているので、ブレーキ板23の回転が規制されることで遊星キャリア15の回転も規制される。遊星キャリア15の回転が規制された状態でモータ4が正回転すると、遊星歯車14の自転運動により内歯車13が太陽歯車12の回転方向と逆方向に回転する。内歯車13の回転は、係合プレート37を介して運動方向変換機構10の押出シリンダ33に伝達されて、押出シリンダ33が回転する。
運動方向変換機構10は、押出シリンダ33の回転運動を軸方向の直線運動に変換してピニオン8に伝達する。具体的には、図6に示すように、押出シリンダ33が図示矢印方向に回転すると、係合ピン36が捩れ溝32内を移動しながらストレート溝34内を反モータ方向へ移動し、その係合ピン36の軸方向移動が押出カラー35を介してピニオン8に作用する。つまり、ピニオン8に軸方向の押出力が働くことで、ピニオン8が出力軸7の軸上を捩れスプライン7aに沿って回転しながら反モータ方向へ移動する。
ピニオン8がリングギヤ1aに当接して停止すると、その時点で押出シリンダ33の回転が規制されて内歯車13の回転が停止する。この後、モータ4の軸トルクがブレーキ板23と摩擦板24との間に生じる滑りトルクより大きくなると、ブレーキ板23に滑りが生じるため、ブレーキ板23と一体に遊星キャリア15が回転する。遊星キャリア15の回転がクラッチ6を介して出力軸7に伝達され、出力軸7と一体にピニオン8がリングギヤ1aと噛み合い可能な位置まで回転すると、押出シリンダ33が再び回転してピニオン8に軸方向の押出力が付与される。この押出力を受けてピニオン8の歯がリングギヤ1aの歯と歯の間(以下、歯溝と言う)に入り込むことができる。なお、ピニオン8がリングギヤ1aと噛み合い可能な位置とは、ピニオン8の歯がリングギヤ1aの歯溝に合致する位置を言う。
ステップS30…ピニオン8とリングギヤ1aとの噛み合いを判定する。具体的には、モータ4の回転角度が所定の回転角度(例えば720deg)以上か否かを判定する。
ピニオン8が原点位置から最大前進位置まで移動する軸方向距離は、モータ4の回転角度に相関するが、実施例1のスタータ2は、モータ4の720deg回転分に相当する。モータ4の回転角度は、例えば、エンコーダやレゾルバ等の回転角センサ39(図1参照)によって検出できる。回転角センサ39で検出される回転角度が720deg以上であれば、ピニオン8が完全にリングギヤ1aに噛み合っている、言い換えると、ピニオン8がピニオンストッパ22に当接する最大前進位置まで前進したと判断できる。
モータ4の回転角度が720deg以上となるまでステップS30を繰り返し、720deg以上となった時に次のステップS40へ進む。
ステップS40…モータ4への通電を停止してプリセットモードを終了する。
ピニオン8が原点位置から最大前進位置まで移動する軸方向距離は、モータ4の回転角度に相関するが、実施例1のスタータ2は、モータ4の720deg回転分に相当する。モータ4の回転角度は、例えば、エンコーダやレゾルバ等の回転角センサ39(図1参照)によって検出できる。回転角センサ39で検出される回転角度が720deg以上であれば、ピニオン8が完全にリングギヤ1aに噛み合っている、言い換えると、ピニオン8がピニオンストッパ22に当接する最大前進位置まで前進したと判断できる。
モータ4の回転角度が720deg以上となるまでステップS30を繰り返し、720deg以上となった時に次のステップS40へ進む。
ステップS40…モータ4への通電を停止してプリセットモードを終了する。
ステップS50…エンジン1の始動要求が発生したか否かを判定し、始動要求が発生するまでステップS50を繰り返す。エンジン1の始動要求は、例えば、運転者がブレーキペダルを緩める、シフトレバーをNレンジからDレンジに入れる等の動作が行われた時にエンジンECUより制御装置3へ出力される。始動要求が発生するまでステップS50を繰り返し、始動要求が発生した時に次のステップS60へ進む。
ステップS60…モード切替スイッチ38をオフからオンに切り替えてブレーキ解除コイル25を励磁すると共に、インバータ11を介してモータ4を正回転させる。ブレーキ解除コイル25を励磁することでブレーキ板23を吸引する磁力が打ち消されるため、ブレーキ板23はコイルスプリング28に付勢されて摩擦板24から切り離される。その結果、遊星キャリア15の回転規制が解除されるので、モータ4のトルクがクラッチ6を介して出力軸7に伝達され、出力軸7と一体にピニオン8が回転してリングギヤ1aを回転駆動する。
ステップS60…モード切替スイッチ38をオフからオンに切り替えてブレーキ解除コイル25を励磁すると共に、インバータ11を介してモータ4を正回転させる。ブレーキ解除コイル25を励磁することでブレーキ板23を吸引する磁力が打ち消されるため、ブレーキ板23はコイルスプリング28に付勢されて摩擦板24から切り離される。その結果、遊星キャリア15の回転規制が解除されるので、モータ4のトルクがクラッチ6を介して出力軸7に伝達され、出力軸7と一体にピニオン8が回転してリングギヤ1aを回転駆動する。
ステップS70…エンジン1が完爆したか否かを判定する。エンジン1の完爆は、例えば、エンジン回転数が予め設定される完爆回転数を超えた時に完爆したと判定できる。
ステップS80…モード切替スイッチ38をオンからオフに切り替えてブレーキ解除コイル25を非励磁にすると共に、インバータ11を介してモータ4を逆回転させる。ブレーキ解除コイル25が非励磁となって遊星キャリア15の回転が規制されると、モータ4の逆回転により内歯車13がプリセットモード時とは逆方向に回転するため、運動方向変換機構10を介してピニオン8に軸方向の戻し力が働く。戻し力とは、ピニオン8を反リングギヤ方向へ押し戻す力である。この戻し力によりピニオン8がリングギヤ1aから離脱して出力軸7の軸上を後退する。
ステップS90…ピニオン8が原点位置へ戻った否かを判定する。具体的には、モータ4の回転角度が720deg以上の時にピニオン8が原点位置へ戻ったと判定する。
ステップS100…モータ4への通電を停止して本処理を終了する。
ステップS80…モード切替スイッチ38をオンからオフに切り替えてブレーキ解除コイル25を非励磁にすると共に、インバータ11を介してモータ4を逆回転させる。ブレーキ解除コイル25が非励磁となって遊星キャリア15の回転が規制されると、モータ4の逆回転により内歯車13がプリセットモード時とは逆方向に回転するため、運動方向変換機構10を介してピニオン8に軸方向の戻し力が働く。戻し力とは、ピニオン8を反リングギヤ方向へ押し戻す力である。この戻し力によりピニオン8がリングギヤ1aから離脱して出力軸7の軸上を後退する。
ステップS90…ピニオン8が原点位置へ戻った否かを判定する。具体的には、モータ4の回転角度が720deg以上の時にピニオン8が原点位置へ戻ったと判定する。
ステップS100…モータ4への通電を停止して本処理を終了する。
実施例1のスタータ2は、イグニッションスイッチがオフの状態で必ずしもピニオン8が原点位置に戻っているとは限らない。つまり、ピニオン8の初期位置が安定しないため、例えば、イグニッションスイッチをオンした時にピニオン8を初期位置から原点位置へ戻すための原点復帰モードを実行することもできる。
以下、原点復帰モードの制御手順を図8に示すフローチャートに沿って説明する。
ステップS11…インバータ11を介してモータ4を逆回転させる。この時、ブレーキ解除コイル25は非励磁の状態であり、ブレーキ板23が摩擦板24に摩擦係合して遊星キャリア15の回転が規制されている。これにより、内歯車13がプリセットモード時とは逆方向に回転するため、ピニオン8に軸方向の戻し力が働く。この戻し力によりピニオン8がリングギヤ1aから離脱して出力軸7の軸上を後退する。
以下、原点復帰モードの制御手順を図8に示すフローチャートに沿って説明する。
ステップS11…インバータ11を介してモータ4を逆回転させる。この時、ブレーキ解除コイル25は非励磁の状態であり、ブレーキ板23が摩擦板24に摩擦係合して遊星キャリア15の回転が規制されている。これにより、内歯車13がプリセットモード時とは逆方向に回転するため、ピニオン8に軸方向の戻し力が働く。この戻し力によりピニオン8がリングギヤ1aから離脱して出力軸7の軸上を後退する。
ステップS21…モータ4が720deg以上逆回転したか否かを判定する。プリセットモードで説明したように、実施例1のスタータ2は、ピニオン8が原点位置から最大前進位置まで移動する軸方向距離がモータ4の720deg回転分に相当する。従って、モータ4が720deg以上逆回転する間にピニオン8は初期位置から原点位置まで戻ることができる。
なお、ピニオン8が原点位置に戻った後、モータ4の軸トルクがブレーキ板23と摩擦板24との間に生じる滑りトルクより大きくなると、ブレーキ板23と摩擦板24との間に滑りが発生する。すなわち、ピニオン8が原点位置に戻ることで内歯車13の回転が停止しても、ブレーキ板23が滑ることによって遊星キャリア15が回転できるので、モータ4の逆回転が停止することはない。
ステップS31…モータ4への通電を停止する。
ステップS41…シーケンス終了フラグをセットした後、原点復帰モードを終了する。
なお、ピニオン8が原点位置に戻った後、モータ4の軸トルクがブレーキ板23と摩擦板24との間に生じる滑りトルクより大きくなると、ブレーキ板23と摩擦板24との間に滑りが発生する。すなわち、ピニオン8が原点位置に戻ることで内歯車13の回転が停止しても、ブレーキ板23が滑ることによって遊星キャリア15が回転できるので、モータ4の逆回転が停止することはない。
ステップS31…モータ4への通電を停止する。
ステップS41…シーケンス終了フラグをセットした後、原点復帰モードを終了する。
〔実施例1の作用効果〕
実施例1のスタータ2は、遊星キャリア15の回転が規制されることでモータ4のトルクが内歯車13に伝達され、その内歯車13の回転が運動方向変換機構10により軸方向の直線運動に変換されてピニオン8に伝達される。この構成によれば、出力軸7に設けられる捩れスプライン7aの捩れ角に左右されることなく、ピニオン8をリングギヤ1aに向けて移動させることができる。言い換えると、捩れスプライン7aの送りねじ作用を利用することなくピニオン8を軸方向に動作させることが出来るので、必ずしも出力軸7に捩れスプライン7aを設ける必要はなく、例えば、捩れスプライン7aに替えて直スプラインを採用することも可能である。
実施例1のスタータ2は、遊星キャリア15の回転が規制されることでモータ4のトルクが内歯車13に伝達され、その内歯車13の回転が運動方向変換機構10により軸方向の直線運動に変換されてピニオン8に伝達される。この構成によれば、出力軸7に設けられる捩れスプライン7aの捩れ角に左右されることなく、ピニオン8をリングギヤ1aに向けて移動させることができる。言い換えると、捩れスプライン7aの送りねじ作用を利用することなくピニオン8を軸方向に動作させることが出来るので、必ずしも出力軸7に捩れスプライン7aを設ける必要はなく、例えば、捩れスプライン7aに替えて直スプラインを採用することも可能である。
また、ピニオン8が出力軸7の軸上を移動する際に、ピニオン8の外周を押圧してピニオン8の回転を規制する必要がないので、特許文献1に開示されるスタータと比較して摺動ロスを小さくでき、結果的にモータ4の消費電力を抑制できる。
さらに、エンジン1の始動要求が発生する前にプリセットモードを実行するので、始動要求に応答してモータ4を駆動することにより速やかにエンジン1を始動できる。つまり、エンジンECUから始動要求が出力された時点で既にピニオン8がリングギヤ1aに噛み合っているので、始動要求が発生してからピニオン8を押し出してリングギヤ1aに噛み合わせる場合と比較してエンジン1の始動時間を短縮できる。
さらに、エンジン1の始動要求が発生する前にプリセットモードを実行するので、始動要求に応答してモータ4を駆動することにより速やかにエンジン1を始動できる。つまり、エンジンECUから始動要求が出力された時点で既にピニオン8がリングギヤ1aに噛み合っているので、始動要求が発生してからピニオン8を押し出してリングギヤ1aに噛み合わせる場合と比較してエンジン1の始動時間を短縮できる。
また、制御装置3は、回転角センサ39の検出情報を基にスタータ2の動作状態(モータ4の回転角度)を適切に把握できるので、ピニオン8がリングギヤ1aに噛み合う時に生じる騒音を低減できる。例えば、回転角センサ39の検出情報を基にピニオン8がリングギヤ1aに当接する手前でモード切替スイッチ38をオフからオンに切り替えた後、再度、オフにする。これにより、軸方向動作モードから一旦、回転方向動作モードに切り替わった後、再度、軸方向動作モードに切り替わるので、ピニオン8がリングギヤ1aに噛み合う時の速度が小さくなる。その結果、ピニオン8がリングギヤ1aに噛み合う時の衝撃が軽減されてピニオン8の寿命を延ばすことができ、且つ、噛み合い時の騒音も低減できる。
以下、本発明に係る他の実施例について説明する。
なお、実施例1と共通する部品および構成を示すものは、実施例1と同一の符号を付与し、詳細な説明は省略(実施例1を参照)する。
〔実施例2〕
実施例2は、プリセットモードを実行する際に、モータ4の軸トルクを推定してピニオン8とリングギヤ1aとの噛み合いを判定する一例である。
モータ4の軸トルクは、図9に示すように、ピニオン8の歯がリングギヤ1aの歯溝に入り込んでピニオンストッパ22に当接した後、滑りトルク(例えば、0.12Nm)を超える所定のトルク値まで大きくなり、その後、ピニオン8の歯面がリングギヤ1aの歯面を押圧することで更に増大する。なお、滑りトルクとは、ブレーキ板23が摩擦板24に対し滑り始める時のトルクである。
なお、実施例1と共通する部品および構成を示すものは、実施例1と同一の符号を付与し、詳細な説明は省略(実施例1を参照)する。
〔実施例2〕
実施例2は、プリセットモードを実行する際に、モータ4の軸トルクを推定してピニオン8とリングギヤ1aとの噛み合いを判定する一例である。
モータ4の軸トルクは、図9に示すように、ピニオン8の歯がリングギヤ1aの歯溝に入り込んでピニオンストッパ22に当接した後、滑りトルク(例えば、0.12Nm)を超える所定のトルク値まで大きくなり、その後、ピニオン8の歯面がリングギヤ1aの歯面を押圧することで更に増大する。なお、滑りトルクとは、ブレーキ板23が摩擦板24に対し滑り始める時のトルクである。
制御装置3は、所定のトルク値より大きい噛合い判定値(Trq_mesh)を設定し、図10に示すフローチャートのステップS30でモータ4の軸トルクが噛合い判定値以上か否かを判定する。モータ4の軸トルクは、例えば、バッテリBからインバータ11に流れる電流を電流センサ40(図11参照)で検出し、その検出された電流値より推定できる。
ステップS30でモータ4の軸トルク(電流値から推定されるトルク)が噛合い判定値(例えば、0.2Nm)以上となった時にピニオン8がリングギヤ1aに噛み合ったことを判定する。なお、フローチャートのステップS10、S20、S40の各処理は、実施例1のプリセットモードと同じであり、処理内容は実施例1を参照する。
この実施例2は、電流センサ40で検出される電流値からモータ4の軸トルクを推定し、その推定された軸トルクを基にピニオン8とリングギヤ1aとの噛み合いを判定する構成以外は、実施例1と同じであり、スタータ2の構造も同一であるので、実施例1と同様の効果を得ることができる。
ステップS30でモータ4の軸トルク(電流値から推定されるトルク)が噛合い判定値(例えば、0.2Nm)以上となった時にピニオン8がリングギヤ1aに噛み合ったことを判定する。なお、フローチャートのステップS10、S20、S40の各処理は、実施例1のプリセットモードと同じであり、処理内容は実施例1を参照する。
この実施例2は、電流センサ40で検出される電流値からモータ4の軸トルクを推定し、その推定された軸トルクを基にピニオン8とリングギヤ1aとの噛み合いを判定する構成以外は、実施例1と同じであり、スタータ2の構造も同一であるので、実施例1と同様の効果を得ることができる。
〔実施例3〕
実施例3のエンジン始動システムは、直流整流子モータ4を採用すると共に、本発明の動作モード切替部を電磁ブレーキ装置41と電磁クラッチ装置42とで構成する一例である。
モータ4は、モータ軸4aに設けられる整流子(図示せず)と、この整流子の外周上に配置されるブラシ(図示せず)とを含んで構成される直流整流子モータであり、図12に示す制御スイッチ43によって通電電流がオン/オフされる。制御スイッチ43は、バッテリBからモータ4に電力を供給するための電源回路に設けられ、制御装置3によりオン/オフ動作が制御される。
実施例3のエンジン始動システムは、直流整流子モータ4を採用すると共に、本発明の動作モード切替部を電磁ブレーキ装置41と電磁クラッチ装置42とで構成する一例である。
モータ4は、モータ軸4aに設けられる整流子(図示せず)と、この整流子の外周上に配置されるブラシ(図示せず)とを含んで構成される直流整流子モータであり、図12に示す制御スイッチ43によって通電電流がオン/オフされる。制御スイッチ43は、バッテリBからモータ4に電力を供給するための電源回路に設けられ、制御装置3によりオン/オフ動作が制御される。
電磁ブレーキ装置41と電磁クラッチ装置42は、図13に示すように、両者が共有する強磁性体のブレーキ&クラッチ板44を有する。
ブレーキ&クラッチ板44は、円環状の板ばね45を介して非磁性体のベース板46に結合され、そのベース板46に対し板ばね45が撓むことにより軸方向のモータ側へ移動可能に設けられる。板ばね45は、径方向の外周部でリベット等によりブレーキ&クラッチ板44に固定され、径方向の内周部でリベット等によりベース板46に固定される。
ベース板46は、ダミーピン26に形成される螺子孔にネジ27を結合して遊星キャリア15に支持される。
ブレーキ&クラッチ板44は、円環状の板ばね45を介して非磁性体のベース板46に結合され、そのベース板46に対し板ばね45が撓むことにより軸方向のモータ側へ移動可能に設けられる。板ばね45は、径方向の外周部でリベット等によりブレーキ&クラッチ板44に固定され、径方向の内周部でリベット等によりベース板46に固定される。
ベース板46は、ダミーピン26に形成される螺子孔にネジ27を結合して遊星キャリア15に支持される。
電磁ブレーキ装置41は、通電により磁力を発生するブレーキコイル47と、このブレーキコイル47への通電によって磁化されるブレーキ磁極片31と、このブレーキ磁極片31のモータ側に配置される摩擦板24等を備える。ブレーキコイル47は、第1モード切替スイッチ38a(図12参照)によって通電電流がオン/オフされる。
電磁クラッチ装置42は、通電により磁力を発生するクラッチコイル48と、このクラッチコイル48への通電によって磁化されるクラッチ磁極片49と、モータ軸4aに嵌合してモータ軸4aと一体に回転する強磁性体のモータ回転板50等を備える。クラッチコイル48は、第2モード切替スイッチ38b(図12参照)によって通電電流がオン/オフされる。
モータ回転板50には、ブレーキ&クラッチ板44とクラッチ磁極片49との間にそれぞれ僅かな隙間を有して配置されるプレート状のクラッチ回転磁極51が一体に設けられる。
電磁クラッチ装置42は、通電により磁力を発生するクラッチコイル48と、このクラッチコイル48への通電によって磁化されるクラッチ磁極片49と、モータ軸4aに嵌合してモータ軸4aと一体に回転する強磁性体のモータ回転板50等を備える。クラッチコイル48は、第2モード切替スイッチ38b(図12参照)によって通電電流がオン/オフされる。
モータ回転板50には、ブレーキ&クラッチ板44とクラッチ磁極片49との間にそれぞれ僅かな隙間を有して配置されるプレート状のクラッチ回転磁極51が一体に設けられる。
次に、実施例3のスタータ2を制御する制御装置3の手順を図14に示すフローチャートに沿って説明する。ここでは、実施例1と同様に、プリセットモードに続いてエンジン1を始動するまでの制御手順を説明する。
ステップS10…プリセット指令が発生したか否かを判定し、プリセット指令が発生するまでステップS10を繰り返す。
ステップS20…第1モード切替スイッチ38aおよび制御スイッチ43をオン操作してブレーキコイル47及びモータ4に通電する。
ステップS10…プリセット指令が発生したか否かを判定し、プリセット指令が発生するまでステップS10を繰り返す。
ステップS20…第1モード切替スイッチ38aおよび制御スイッチ43をオン操作してブレーキコイル47及びモータ4に通電する。
ブレーキコイル47への通電によりブレーキ&クラッチ板44がブレーキ磁極片31に吸引されて摩擦板24に係合することで、ブレーキ&クラッチ板44の回転が規制される。これにより、ブレーキ&クラッチ板44に板ばね45を介して連結されるベース板46の回転が規制され、そのベース板46を支持する遊星キャリア15の回転が規制される。この後、運動方向変換機構10の働きによりピニオン8が反モータ方向へ移動してリングギヤ1aに噛み合うまでの動作は実施例1と同じである。
ステップS30…実施例1または実施例2と同様に、ピニオン8とリングギヤ1aとの噛み合いを判定し、判定結果がYESとなった時にステップS40へ進む。
ステップS40…制御スイッチ43をオフ操作してモータ4への通電を停止する。
ステップS30…実施例1または実施例2と同様に、ピニオン8とリングギヤ1aとの噛み合いを判定し、判定結果がYESとなった時にステップS40へ進む。
ステップS40…制御スイッチ43をオフ操作してモータ4への通電を停止する。
ステップS50…エンジン1の始動要求が発生したか否かを判定し、始動要求が発生するまでステップS50を繰り返す。
ステップS60…第1モード切替スイッチ38aをオフ操作してブレーキコイル47への通電を停止する。ブレーキコイル47への通電停止により、ブレーキ&クラッチ板44が摩擦板24から切り離されて摩擦制動力が消滅するため、遊星キャリア15の回転規制が解除される。その結果、モータ4のトルクがクラッチを介して出力軸7に伝達され、出力軸7と一体にピニオン8が回転してリングギヤ1aを回転駆動することでエンジン1をクランキングする。
ステップS60…第1モード切替スイッチ38aをオフ操作してブレーキコイル47への通電を停止する。ブレーキコイル47への通電停止により、ブレーキ&クラッチ板44が摩擦板24から切り離されて摩擦制動力が消滅するため、遊星キャリア15の回転規制が解除される。その結果、モータ4のトルクがクラッチを介して出力軸7に伝達され、出力軸7と一体にピニオン8が回転してリングギヤ1aを回転駆動することでエンジン1をクランキングする。
ステップS70…エンジン1が完爆したか否かを判定し、完爆するまでステップS70を繰り返す。
ステップS80…第2モード切替スイッチ38bをオン操作してクラッチコイル48に通電する。クラッチコイル48への通電によって磁化されたクラッチ回転磁極51とブレーキ&クラッチ板44との間に吸引力が働き、その吸引力によってブレーキ&クラッチ板44が板ばね45を撓ませながらクラッチ回転磁極51に吸着される。
クラッチ回転磁極51を有するモータ回転板50は、モータ軸4aと一体に回転するので、ブレーキ&クラッチ板44がモータ軸4aと同一方向に回転する。ブレーキ&クラッチ板44は、板ばね45を介してベース板46に連結され、そのベース板46が遊星キャリア15に対し相対回転が規制されるので、遊星キャリア15もモータ軸4aと同一回転する。
ステップS80…第2モード切替スイッチ38bをオン操作してクラッチコイル48に通電する。クラッチコイル48への通電によって磁化されたクラッチ回転磁極51とブレーキ&クラッチ板44との間に吸引力が働き、その吸引力によってブレーキ&クラッチ板44が板ばね45を撓ませながらクラッチ回転磁極51に吸着される。
クラッチ回転磁極51を有するモータ回転板50は、モータ軸4aと一体に回転するので、ブレーキ&クラッチ板44がモータ軸4aと同一方向に回転する。ブレーキ&クラッチ板44は、板ばね45を介してベース板46に連結され、そのベース板46が遊星キャリア15に対し相対回転が規制されるので、遊星キャリア15もモータ軸4aと同一回転する。
遊星キャリア15がモータ軸4aと同一回転することにより、内歯車13が太陽歯車12及び遊星キャリア15と同一方向、つまり、モータ軸4aの回転方向と同一方向に回転する。この内歯車13の回転方向は、ピニオン8をリングギヤ1aに向けて押し出す時と反対方向になるため、内歯車13の回転が運動方向変換機構10により軸方向の戻し力に変換されてピニオン8に作用する。この戻し力によりピニオン8がリングギヤ1aから離脱して出力軸7の軸上を後退する。
ステップS90…ピニオン8が原点位置へ戻ったか否かを判定する。具体的には、モータ4の回転角度が720deg以上の時にピニオン8が原点位置へ戻ったと判定する。
ステップS100…第2モード切替スイッチ38bをオフ操作してクラッチコイルへの通電を停止すると共に、制御スイッチ43をオフ操作してモータ4への通電を停止する。
ステップS90…ピニオン8が原点位置へ戻ったか否かを判定する。具体的には、モータ4の回転角度が720deg以上の時にピニオン8が原点位置へ戻ったと判定する。
ステップS100…第2モード切替スイッチ38bをオフ操作してクラッチコイルへの通電を停止すると共に、制御スイッチ43をオフ操作してモータ4への通電を停止する。
この実施例3のスタータ2は、エンジン1が始動した後、電磁クラッチ装置42によりブレーキ&クラッチ板44をクラッチ回転磁極51に吸着させることで、遊星キャリア15をモータ軸4aと同一方向に回転させることができる。これにより、エンジン1のクランキング時とは逆向きに内歯車13が回転するため、ピニオン8をリングギヤ1aから離脱させる際に、モータ4をクランキング時と逆方向に回転させる必要はない。言い換えると、ピニオン8をリングギヤ1aに向けて移動させる時と反リングギヤ方向に移動させる時とで、モータ4の回転方向は同一であり、モータ4の回転方向を切り換える必要はないため、直流整流子モータを使用できる。
また、制御装置3は、回転角センサ39あるいは電流センサ40の検出情報を基にスタータ2の動作状態(モータ4の回転角度あるいは軸トルク)を適切に把握できるので、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、制御装置3は、回転角センサ39あるいは電流センサ40の検出情報を基にスタータ2の動作状態(モータ4の回転角度あるいは軸トルク)を適切に把握できるので、実施例1と同様の効果を得ることができる。
〔変形例〕
実施例1では、交流モータを使用する事例を記載したが、回転方向を切り替えるための正逆転回路を備えた直流モータを採用することも可能である。
実施例1で説明した原点復帰モードは、イグニッションスイッチをオンした時に限らず、プリセットモードに先立って実行することもできる。 実施例1、3では、プリセットモードに続いてエンジン1を始動するまでの制御手順を説明しているが、プリセットモードを実施することが必須ではない。つまり、アイドリングストップが実行された後、エンジンの始動要求を待ってからスタータの動作を制御してエンジンをクランキングさせることもできる。
制御装置3は、モータ4の回転角度あるいは電流の他に、例えば、モータ4の回転子位置情報、温度、電圧、エンジン1の温度やクランク角度、リングギヤ1aの回転数、バッテリBの持ち出し電流、電圧等の物理量を基にモード切替スイッチ38(実施例3では第1モード切替スイッチ38a及び第2モード切替スイッチ38b)のオン/オフ動作を制御することもできる。
実施例1では、交流モータを使用する事例を記載したが、回転方向を切り替えるための正逆転回路を備えた直流モータを採用することも可能である。
実施例1で説明した原点復帰モードは、イグニッションスイッチをオンした時に限らず、プリセットモードに先立って実行することもできる。 実施例1、3では、プリセットモードに続いてエンジン1を始動するまでの制御手順を説明しているが、プリセットモードを実施することが必須ではない。つまり、アイドリングストップが実行された後、エンジンの始動要求を待ってからスタータの動作を制御してエンジンをクランキングさせることもできる。
制御装置3は、モータ4の回転角度あるいは電流の他に、例えば、モータ4の回転子位置情報、温度、電圧、エンジン1の温度やクランク角度、リングギヤ1aの回転数、バッテリBの持ち出し電流、電圧等の物理量を基にモード切替スイッチ38(実施例3では第1モード切替スイッチ38a及び第2モード切替スイッチ38b)のオン/オフ動作を制御することもできる。
1 エンジン 1a リングギヤ
2 スタータ 3 制御装置
3a モータ制御部 3b 動作モード制御部
4 モータ 5 遊星歯車装置(動力分割機構)
6 出力軸(回転方向動作部) 7 ピニオン
9 磁気ブレーキ装置(動作モード切替部)
10 運動方向変換機構(軸方向動作部)
11 インバータ 25 ブレーキ解除コイル(電磁コイル)
38 モード切替スイッチ 39 回転角センサ
40 電流センサ 41 電磁ブレーキ装置(動作モード切替部)
42 電磁クラッチ装置(動作モード切替部)
43 制御スイッチ 47 ブレーキコイル(電磁コイル)
48 クラッチコイル(電磁コイル) B バッテリ(直流電源)
2 スタータ 3 制御装置
3a モータ制御部 3b 動作モード制御部
4 モータ 5 遊星歯車装置(動力分割機構)
6 出力軸(回転方向動作部) 7 ピニオン
9 磁気ブレーキ装置(動作モード切替部)
10 運動方向変換機構(軸方向動作部)
11 インバータ 25 ブレーキ解除コイル(電磁コイル)
38 モード切替スイッチ 39 回転角センサ
40 電流センサ 41 電磁ブレーキ装置(動作モード切替部)
42 電磁クラッチ装置(動作モード切替部)
43 制御スイッチ 47 ブレーキコイル(電磁コイル)
48 クラッチコイル(電磁コイル) B バッテリ(直流電源)
Claims (6)
- ピニオン(7)を軸方向に動作させてエンジン(1)のリングギヤ(1a)に噛み合わせ、且つ、モータ(4)に発生するトルクを前記ピニオンに伝達して前記エンジンをクランキングするスタータ(2)と、
このスタータの動作を制御する制御装置(3)とを備えるエンジン始動システムであって、
前記スタータは、
前記モータのトルクを一方と他方の二系統に振り分けて出力できる動力分割機構(5)と、
前記一方の系統に振り分けられたトルクを入力して前記ピニオンに軸方向の直線運動を与える軸方向動作部(10)と、
前記他方の系統に振り分けられたトルクを入力して前記ピニオンに回転運動を与える回転方向動作部(6)と、
前記モータのトルクを前記一方の系統に振り分けて前記軸方向動作部により前記ピニオンを軸方向に動作させる動作モードを軸方向動作モードと呼び、前記モータのトルクを前記他方の系統に振り分けて前記回転方向動作部により前記ピニオンを回転方向に動作させる動作モードを回転方向動作モードと呼ぶ時に、前記軸方向動作モードと前記回転方向動作モードとを電磁コイル(25、47、48)の励磁/非励磁に応じて切り替える動作モード切替部(9、41、42)とを有し、
前記制御装置は、
前記モータの動作を制御するモータ制御部(3a)と、
前記動作モード切替部による前記軸方向動作モードと前記回転方向動作モードとの切り替えを制御する動作モード制御部(3b)とを有し、
前記動作モード制御部は、前記モータ制御部により前記モータへの通電が開始された後、前記エンジンまたは前記スタータの状態に応じて変化する物理量を入力し、その物理量を基に前記電磁コイルの励磁/非励磁を制御することを特徴とするエンジン始動システム。 - 請求項1に記載したエンジン始動システムにおいて、
前記モータに流れる電流を前記物理量として検出する電流センサ(40)を有し、
前記動作モード制御部は、前記モータへの通電が開始された後、前記電流センサで所定値以上の電流値が検出された時に、前記電磁コイルの励磁/非励磁を制御して前記軸方向動作経路から前記回転方向動作経路へ切り替えることを特徴とするエンジン始動システム。 - 請求項1または2に記載したエンジン始動システムにおいて、
前記モータの回転角度を前記物理量として検出する回転角センサ(39)を有し、
前記モータ制御部は、前記モータへの通電を開始した後、前記回転角センサで所定角度以上の回転角度が検出された時点で前記モータへの通電を停止することを特徴とするエンジン始動システム。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載したエンジン始動システムにおいて、
前記モータは、インバータ(11)より交流電圧が印加されて作動する交流モータであり、
前記モータ制御部は、前記インバータを介して前記モータの動作を制御することを特徴とするエンジン始動システム。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載したエンジン始動システムにおいて、
前記モータは、直流電源(B)より電力の供給を受けて作動する直流モータであり、
前記直流電源より前記モータに電力を供給するための電源回路を開閉する制御スイッチ(43)を有し、
前記モータ制御部は、前記制御スイッチのオン/オフ状態を切り替えることで前記モータの動作を制御することを特徴とするエンジン始動システム。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載したエンジン始動システムにおいて、
直流電源(B)より前記電磁コイルに通電するための通電回路を開閉するモード切替スイッチ(38)を有し、
前記動作モード切替部は、前記モード切替スイッチのオン/オフ状態を切り替えることで前記電磁コイルの励磁/非励磁を制御することを特徴とするエンジン始動システム。
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