JP6589784B2 - スタータ - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン始動用のスタータに関する。
現状、多くの自動車に搭載されている低電圧スタータにおいて、ピニオンギヤ(以下、ピニオンと呼ぶ)の押し出しは、ソレノイドの電磁吸引力を活用する方式が一般的である。しかし、ソレノイドはスタータの体格に占める割合が大きく、小型化の観点からソレノイドレス化が進められている。そこで、本出願人は、遊星歯車装置を用いた動力分割機構と、ピニオンに軸方向の前後運動を与える円筒カム機構とを組み合わせたスタータ(特許文献1参照)を提案した。このスタータは、従来のソレノイドを使用することなく、モータの回転力を利用してピニオンの押し出しを行うことができる。また、遊星キャリアに連結されるクラッチ板とモータ軸に連結されるモータ回転板とを磁気的に結合できる電磁クラッチ装置を採用することで、ピニオンの押し出し時と引き戻し時とでモータの回転方向を逆転することなく、同一方向にできる技術を開示している。
特許文献1のスタータは、クランキング時にエンジンのトルク変動によってリングギヤの相対回転速度がピニオンより速くなると、円筒カム機構を介してピニオンに戻し力が加わるため、ピニオンがリングギヤから離脱する恐れがある。これに対し、本出願人は、クランキング時に円筒カム機構の回転を規制することでリングギヤからのピニオンの離脱を防止できる回転規制装置を搭載したスタータ(特許文献2参照)を提案している。
特願2016−23461号公報 特願2016−119940号公報
ところが、特許文献2に開示されたスタータは、ピニオンを押し出す際に使用される第1の電磁装置と、クランキング時に使用される第2の電磁装置と、ピニオンを引き戻す際に使用される第3の電磁装置とを備える。なお、特許文献2では、第1の電磁装置を電磁ブレーキ装置、第2の電磁装置を回転規制装置、第3の電磁装置を電磁クラッチ装置と呼んでいる。つまり、ピニオンの押出し、ピニオンの離脱防止、およびピニオンの引き戻しの三つの異なる動作を実現するために三つの電磁装置を備えるため、構造が複雑になることでコストが高くなる上に、ソレノイドレス化にも関わらず、十分な小型化が成されないという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、ピニオンの押出し、離脱防止、引き戻しの三つの異なる動作をより簡易な構成で実現することにより、低コスト化および小型化が可能なスタータを提供することにある。
請求項1に係る本発明のスタータは、電力の供給を受けてトルクを発生するモータと、 このモータの回転軸に設けられる太陽歯車、この太陽歯車の回転中心と同心に配置されて回転可能に設けられる内歯車、および前記太陽歯車と前記内歯車とに噛み合って自転運動と公転運動が可能な遊星歯車を含んで構成される遊星歯車装置と、前記遊星歯車の公転運動が伝達されて回転する出力軸と、この出力軸の外周にスプライン嵌合して前記出力軸の軸上を移動可能に設けられるピニオンと、前記内歯車に連結されるカムシリンダを有し、このカムシリンダの回転運動を軸方向の直線運動に変換して前記ピニオンに伝達するピニオン移動機構と、通電により磁力を発生する第1コイルを有し、前記ピニオンをエンジンのリングギヤに向けて押し出す際に前記第1コイルが発生する磁力を利用して前記遊星歯車の公転運動を規制する第1電磁装置と、通電により磁力を発生する第2コイルを有し、クランキング時に前記第2コイルが発生する磁力を利用して前記内歯車の回転を規制する第2電磁装置と、前記ピニオンを前記リングギヤから離脱させて引き戻す際に前記第1コイルおよび前記第2コイルが発生する磁力を利用して前記遊星歯車と前記内歯車との相対回転を規制する相対回転規制装置とを備え、前記第1電磁装置と前記第2電磁装置は、前記第1コイルと前記第2コイルとの間に両者の固定磁路部の一部を共有している。
本発明のスタータは、第1電磁装置により遊星歯車の公転運動が規制され、モータの回転が内歯車に伝達されてカムシリンダが回転することでピニオンがリングギヤに向けて押し出される。ピニオンがリングギヤに噛み合った後、第2電磁装置により内歯車の回転およびカムシリンダの回転が規制されることで、クランキング時にピニオンがリングギヤから離脱することが防止される。エンジンが始動した後、相対回転規制装置により遊星歯車と内歯車との相対回転が規制されると、モータの回転を受けて遊星歯車と内歯車とが一体に回転する。この時、内歯車の回転方向は、ピニオンをリングギヤに向けて押し出す時と反対方向に回転する、つまりモータの回転方向と同一方向に回転するため、ピニオン移動機構よりピニオンに戻し力が加わり、ピニオンがリングギヤから離脱して引き戻される。
上記のように、相対回転規制装置は、独自のコイルを持つことなく、第1コイルおよび第2コイルを第1電磁装置および第2電磁装置と兼用して構成される。これにより、ピニオンの押し出し、リングギヤからの離脱防止、および引き戻しの三つの異なる動作を二つの電磁装置(第1電磁装置と第2電磁装置)のみで実現できる。
実施例1に係るスタータの断面図である。 実施例1に係る遊星歯車装置の軸方向正面図である。 実施例1に係るピニオン移動機構の構成を示す分解斜視図である。 実施例1に係る第1電磁装置を含む断面図(図1に示すA部断面図)である。 実施例1に係る第2電磁装置を含む断面図(図1に示すA部断面図)である。 実施例1に係る相対回転規制装置を含む断面図(図1に示すA部断面図)である。 実施例2に係る相対回転規制装置の構成を説明する断面図である。 実施例3に係る相対回転規制装置の構成を説明する断面図である。
本発明を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。
〔実施例1〕
実施例1のスタータ1(図1参照)は、以下に説明するモータ2、遊星歯車装置、出力軸3、クラッチ、ピニオン4、ピニオン移動機構、第1電磁装置、第2電磁装置、および相対回転規制装置などを含んで構成される。
モータ2は、磁界を形成する界磁子5と、モータ軸2aの端部に整流子(図示せず)を有する電機子6と、この電機子6の回転に伴って整流子の外周上を摺動するブラシ(図示せず)等より構成される直流整流子モータである。
遊星歯車装置は、図2に示すように、モータ軸2aに設けられる太陽歯車7と、太陽歯車7の回転中心と同心に配置されて回転可能に設けられる内歯車8と、太陽歯車7と内歯車8とに噛み合って自転運動と公転運動が可能な遊星歯車9と、自転軸10を介して遊星歯車9を回転自在に支持する遊星キャリア11とを含んで構成される。
クラッチは、図1に示すように、遊星キャリア11と一体に構成されるアウタ12と、出力軸3のモータ側(図1の右側)の端部に設けられるインナ13と、カム室に配置されるローラ14等を含んで構成され、ローラ14を介してアウタ12からインナ13へトルクを伝達する一方、インナ13からアウタ12へのトルク伝達を遮断する周知の一方向クラッチである。
出力軸3は、モータ軸2aと同一軸線上に配置されて回転可能に支持され、軸方向の略中央部に雄側の捩れスプライン3aが形成されている。
ピニオン4は、図3に示すように、内周に雌側の捩れスプライン4aが形成され、この捩れスプライン4aが出力軸3の捩れスプライン3aに噛み合って出力軸3の軸上を移動可能に配置される。
ピニオン移動機構は、カム溝15を有するカムシリンダ16と、カム溝15と軸方向に交差するストレート溝17を有する固定部材(後述する)と、ピニオン4に組み付けられる押出カラー18と、この押出カラー18に保持されてカム溝15とストレート溝17とに嵌合するカムピン19等を備える。
カムシリンダ16は、ピニオン4の外周を軸方向に延びて配置される円筒形状を有し、スタータハウジング20に形成される円筒内周面に回転可能に保持される。カム溝15は、カムシリンダ16の径方向に対向する2カ所に形成され、それぞれ、モータ側の始端と反モータ側の終端とがカムシリンダ16の周方向で異なる位置に有し、始端から終端に向かってカムシリンダ16の周方向に捩れて形成される。このカムシリンダ16は、以下に説明する係合プレート21を介して内歯車8に連結され、内歯車8と一体に回転可能に構成される。
係合プレート21は、内歯車8に係合する大径筒部21aと、カムシリンダ16に係合する小径筒部21bとを有し、この小径筒部21bの外周が軸受22(図1参照)を介してセンタケース23に回転可能に支持される。
大径筒部21aには、周方向の複数個所に位置決め溝21cが形成され、内歯車8に設けられる位置決め突起8aが位置決め溝21cに嵌合して内歯車8と係合プレート21との相対回転が規制される。
小径筒部21bには、凹凸形状21dが全周に設けられ、この凹凸形状21dとカムシリンダ16の底面16aに設けられる凹凸形状16bとが嵌合して係合プレート21とカムシリンダ16との相対回転が規制される。
上記の固定部材はスタータハウジング20であり、図3に示すように、円筒内周面の径方向に対向する2カ所にストレート溝17が形成される。このストレート溝17は、軸方向のモータ側が開放され、反モータ側が閉じている。
押出カラー18は、ピニオン4のモータ側端部に配置されてピニオン4との相対回転が規制され、且つ、軸方向へ移動不能に組み付けられる。この押出カラー18は、カムシリンダ16の内周に挿入されてカムシリンダ16に対し相対回転可能かつ軸方向へ摺動可能に設けられ、径方向に対向する2カ所にピン挿入孔18aが形成される。
カムピン19は、一端側がピン挿入孔18aに挿入され、他端側がピン挿入孔18aより径方向の外側へ突出してカム溝15とストレート溝17とに嵌合している。
第1電磁装置は、図4に示すように、遊星キャリア11に設けられるダミーピン24(図2参照)または自転軸10にボルト25で固定されて遊星キャリア11と一体に回転する第1磁性部材26と、この第1磁性部材26と非接触に対向して配置される第1固定磁路部27と、通電により磁力を発生する第1コイル28とを含んで構成される。
第1磁性部材26は、例えば、鉄などの強磁性材料によって中空円盤状に形成され、軸方向のモータ側端面に凹凸形状が周方向に連続して設けられている。
第1固定磁路部27は、第1磁性部材26と同じく鉄などの強磁性材料によって形成され、第1磁性部材26と軸方向に対向する対向面に凹凸形状が周方向に連続して設けられている。以下、第1磁性部材26に設けられる凹凸形状の凸部を第1突歯26aと呼び、第1固定磁路部27に設けられる凹凸形状の凸部を第1突歯27aと呼ぶ。
第2電磁装置は、図5に示すように、内歯車8のモータ側端面にボルト等で固定されて内歯車8と一体に回転する第2磁性部材29と、この第2磁性部材29と非接触に対向して配置される第2固定磁路部30と、通電により磁力を発生する第2コイル31とを含んで構成される。
第2磁性部材29は、例えば、鉄などの強磁性材料によってリング状に形成され、軸方向のモータ側端面に凹凸形状が周方向に連続して設けられている。
第2固定磁路部30は、第2磁性部材29と同じく鉄などの強磁性材料によって形成され、第2磁性部材29と軸方向に対向する対向面に凹凸形状が周方向に連続して設けられている。以下、第2磁性部材29に設けられる凹凸形状の凸部を第2突歯29aと呼び、第2固定磁路部30に設けられる凹凸形状の凸部を第2突歯30aと呼ぶ。
なお、第1電磁装置と第2電磁装置は、両者の第1固定磁路部27と第2固定磁路部30とが一体に設けられて、第1コイル28と第2コイル31との間に共有磁路部を形成している。
相対回転規制装置は、図6に示すように、第1磁性部材26と第2磁性部材29との間で径方向に非接触に対向して配置される一対の対向部を有し、互いの対向部にそれぞれ凹凸形状が全周に連続して設けられている。以下、第1磁性部材26の対向部に設けられる凹凸形状の凸部を第3突歯26bと呼び、第2磁性部材29の対向部に設けられる凹凸形状の凸部を第3突歯29bと呼ぶ。つまり、第1磁性部材26には、第1突歯26aと第3突歯26bとが設けられ、第2磁性部材29には、第1突歯29aと第3突歯29bとが設けられる。
この相対回転規制装置は、第1コイル28および前記第2コイル31への通電により発生する磁束が第1磁性部材26の第3突歯26bと第2磁性部材29の第3突歯29bとの間を同一方向に流れることで互いの第3突歯26b、29b同士の間に磁気吸引力が働くように構成される。
続いて、スタータ1の作動を説明する。
エンジンの始動要求に応答して第1コイル28に通電される。第1コイル28への通電により第1コイル28の周囲に磁場が発生すると、図4に示すように、第1磁性部材26と第1固定磁路部27との間を磁束ΦAが還流する磁束ループが形成される。この磁束ループを還流する磁束ΦAは、第1磁性部材26と第1固定磁路部27との間で磁気抵抗が最も小さくなる互いの第1突歯26a、27a同士の間を流れようとするため、互いの第1突歯26a、27a同士の間に磁気吸引力が働く。この磁気吸引力により第1磁性部材26と第1固定磁路部27とが磁気的に結合されることで第1磁性部材26の回転が規制され、さらに第1磁性部材26が固定される遊星キャリア11の回転が規制される。
遊星キャリア11の回転が規制された状態でモータ2に通電されると、モータ軸2aの回転が太陽歯車7から遊星歯車9に伝達され、遊星歯車9が自転軸10を中心に回転(自転)する。これにより、内歯車8が太陽歯車7の回転方向と逆向き、つまりモータ2の回転方向と逆向きに回転して、内歯車8の回転が係合プレート21を介してカムシリンダ16に伝達される。カムシリンダ16が回転すると、ピニオン移動機構により回転運動が軸方向の直線運動に変換されてピニオン4に伝達されることでピニオン4が軸方向に押し出される。その結果、ピニオン4が出力軸3上を捩れスプライン3aに沿って回転しながらエンジンのクランク軸に取り付けられるリングギヤ(図示せず)に向かって移動する。
ピニオン4がリングギヤに噛み合った後、第1コイル28への通電が停止され、第2コイル31に通電される。第1コイル28への通電が停止されると、第1磁性部材26と第1固定磁路部27との間に働く磁気的な結合力が消失するため、遊星キャリア11の回転規制が解除される。また、第2コイル31への通電により第2コイル31の周囲に磁場が発生すると、図5に示すように、第2磁性部材29と第2固定磁路部30との間を磁束ΦBが還流する磁束ループが形成される。この磁束ループを還流する磁束ΦBは、第2磁性部材29と第2固定磁路部30との間で磁気抵抗が最も小さくなる互いの第2突歯29a、30a同士の間を流れようとするため、互いの第2突歯29a、30a同士の間に磁気吸引力が働く。この磁気吸引力により第2磁性部材29と第2固定磁路部30とが磁気的に結合されることで第2磁性部材29の回転が規制される。
第2磁性部材29の回転が規制されることで、第2磁性部材29が固定される内歯車8の回転が規制される。内歯車8の回転が規制され、且つ、遊星キャリア11の回転規制が解除されると、モータ2のトルクが遊星キャリア11に取り出されて、遊星キャリア11がモータ2の回転方向と同一方向に回転する。遊星キャリア11の回転は、クラッチを介して出力軸3に伝達され、出力軸3と一体にピニオン4が回転してリングギヤを回転駆動することでクランキングが行われる。このクランキング時には、係合プレート21を介して内歯車8に連結されるカムシリンダ16の回転が規制されるので、エンジンのトルク変動に伴ってリングギヤの相対回転速度がピニオン4より速くなった場合でも、ピニオン4がリングギヤから離脱することを防止できる。
クランキングを経てエンジンが始動した後、再度、第1コイル28に通電される。この時、第2コイル31への通電は維持される。第1コイル28と第2コイル31の両方に通電されると、第1電磁装置と第2電磁装置の共有磁路部で互いの磁束が打ち消し合う方向に磁場が形成されるため、第1コイル28と第2コイル31を包囲するように合成磁場が発生する。これにより、図6に示すように、第1固定磁路部27、第1磁性部材26、第2磁性部材29、および第2固定磁路部30の間を磁束ΦCが還流する磁束ループが形成される。この磁束ループを還流する磁束ΦCは、第1磁性部材26と第2磁性部材29との間で磁気抵抗が最も小さくなる互いの第3突歯26b、29b同士の間を流れようとするため、互いの第3突歯26b、29b同士の間に磁気吸引力が働く。
この磁気吸引力により第1磁性部材26と第2磁性部材29とが磁気的に結合されることで両者の相対回転が規制されるため、太陽歯車7の回転に応じて遊星歯車9と内歯車8とが一体に回転する。この時、内歯車8の回転方向は、ピニオン4をリングギヤに向けて押し出す時と反対方向、つまりモータ2の回転方向と同一方向に回転する。この内歯車8の回転が係合プレート21を介してカムシリンダ16に伝達され、ピニオン移動機構よりピニオン4に戻し力が加わることで、ピニオン4がリングギヤから離脱して静止位置(図1に示す位置)まで引き戻される。このピニオン4を引き戻す行程では、相対回転規制装置により第1磁性部材26と第2磁性部材29との相対回転が規制されて遊星歯車9と内歯車8とが一体に回転するため、モータ2をクランキング時と逆方向に回転させる必要はない。すなわち、ピニオン4を押し出す時と引き戻す時とでモータ2の回転方向を切り換える必要がないので、直流整流子モータ2を採用できる。
〔実施例1の効果〕
実施例1のスタータ1は、エンジンが始動した後、ピニオン4を引き戻す際に、第1磁性部材26と第2磁性部材29との相対回転を規制する相対回転規制装置を備える。この相対回転規制装置は、独自のコイルを持つことなく、第1電磁装置が持つ第1コイル28および第2電磁装置が持つ第2コイル31を利用して構成される。すなわち、相対回転規制装置として独自に備える構成部は、第1磁性部材26に設けられる第3突歯26bと、第2磁性部材29に設けられる第3突歯29bだけであり、ピニオン4の押し出し、リングギヤからの離脱防止、および引き戻しの三つの異なる動作を二つのコイル(第1コイル28と第2コイル31)のオンとオフを切り替えることで実現できる。その結果、特許文献2の従来技術と比較して、より簡易に構成できるので、コストの低減および小型化が可能である。
以下、本発明に係る他の実施例について説明する。
なお、実施例1と共通する部品および構成を示すものは、実施例1と同一の符号を付与し、詳細な説明は省略(実施例1を参照)する。
〔実施例2〕
実施例2の相対回転規制装置は、図7に示すように、第1磁性部材26に設けられる第3突歯26bと第2磁性部材29に設けられる第3突歯29bとを軸方向に対向して配置した一例である。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
〔実施例3〕
実施例3の相対回転規制装置は、図8に示すように、第2磁性部材29に設けられる第3突歯29bを内歯車8のギヤ部(太陽歯車7のギヤ部と噛み合う部分)によって構成する一例である。すなわち、内歯車8の全体を鉄などの強磁性材料によって構成し、その内歯車8のギヤ部を第3突歯29bとして利用する。この構成でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
〔変形例〕
実施例1、2では、第2磁性部材29を内歯車8と別体に構成してボルト等で内歯車8に固定する構成を例示したが、例えば、実施例3と同様に、内歯車8を鉄などの強磁性材料で構成して、その内歯車8の一部(ギヤ部以外の肉部)に第2突歯29aおよび第3突歯29bを設けることもできる。
実施例1では、カムシリンダ16にカム溝15を形成し、スタータハウジング20の円筒内周面にストレート溝17を形成する事例を記載したが、カムシリンダ16にストレート溝17を形成し、スタータハウジング20の円筒内周面にカム溝15を形成する構成でも良い。
1 スタータ 2 モータ
3 出力軸 4 ピニオン
7 太陽歯車(遊星歯車装置) 8 内歯車(遊星歯車装置)
9 遊星歯車(遊星歯車装置)
16 カムシリンダ(ピニオン移動機構)
26 第1磁性部材 26a 第1磁性部材の第1突歯
26b 第1磁性部材の第3突歯(相対回転規制装置)
27 第1固定磁路部 27a 第1固定磁路部の第1突歯
28 第1コイル(第1電磁装置) 29 第2磁性部材
29a 第2磁性部材の第2突歯
29b 第2磁性部材の第3突歯(相対回転規制装置)
30 第2固定磁路部 30a 第2固定磁路部の第2突歯
31 第2コイル(第2電磁装置)

Claims (4)

  1. 電力の供給を受けてトルクを発生するモータ(2)と、
    このモータの回転軸に設けられる太陽歯車(7)、この太陽歯車の回転中心と同心に配置されて回転可能に設けられる内歯車(8)、および前記太陽歯車と前記内歯車とに噛み合って自転運動と公転運動が可能な遊星歯車(9)を含んで構成される遊星歯車装置と、
    前記遊星歯車の公転運動が伝達されて回転する出力軸(3)と、
    この出力軸の外周にスプライン嵌合して前記出力軸の軸上を移動可能に設けられるピニオン(4)と、
    前記内歯車に連結されるカムシリンダ(16)を有し、このカムシリンダの回転運動を軸方向の直線運動に変換して前記ピニオンに伝達するピニオン移動機構と、
    通電により磁力を発生する第1コイル(28)を有し、前記ピニオンをエンジンのリングギヤに向けて押し出す際に前記第1コイルが発生する磁力を利用して前記遊星歯車の公転運動を規制する第1電磁装置と、
    通電により磁力を発生する第2コイル(31)を有し、クランキング時に前記第2コイルが発生する磁力を利用して前記内歯車の回転を規制する第2電磁装置と、
    前記ピニオンを前記リングギヤから離脱させて引き戻す際に前記第1コイルおよび前記第2コイルが発生する磁力を利用して前記遊星歯車と前記内歯車との相対回転を規制する相対回転規制装置とを備え、
    前記第1電磁装置と前記第2電磁装置は、前記第1コイルと前記第2コイルとの間に両者の固定磁路部(27、30)の一部を共有しているスタータ(1)。
  2. 請求項1に記載したスタータにおいて、
    前記第1電磁装置は、前記遊星歯車の公転運動に連動して回転する第1磁性部材(26)と、この第1磁性部材と非接触に対向して配置される第1固定磁路部(27)とを有し、前記第1磁性部材および前記第1固定磁路部は、互いの対向面にそれぞれ複数の第1突歯(26a、27a)が設けられ、前記第1コイルへの通電により互いの前記第1突歯同士の間を磁束が流れることで前記第1磁性部材と前記第1固定磁路部との間に磁気的な結合力が働き、
    前記第2電磁装置は、前記内歯車と一体に回転する第2磁性部材(29)と、この第2磁性部材と非接触に対向して配置される第2固定磁路部(30)とを有し、
    前記第2磁性部材および前記第2固定磁路部は、互いの対向面にそれぞれ複数の第2突歯(29a、30a)が設けられ、前記第2コイルへの通電により互いの前記第2突歯同士の間を磁束が流れることで前記第2磁性部材と前記第2固定磁路部との間に磁気的な結合力が働き、
    前記相対回転規制装置は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間で非接触に対向して配置される一対の対向部を有すると共に、互いの前記対向部にそれぞれ複数の第3突歯が設けられ、前記第1コイルおよび前記第2コイルへの通電により発生する磁束が互いの前記第3突歯同士の間を同一方向に流れることで前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に磁気的な結合力が働くことを特徴とするスタータ。
  3. 請求項2に記載したスタータにおいて、
    前記第2磁性部材に設けられる前記第3突歯は、前記内歯車のギヤ部によって構成されることを特徴とするスタータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載したスタータにおいて、
    前記モータは、直流整流子モータであることを特徴とするスタータ。
JP2016178306A 2016-09-13 2016-09-13 スタータ Active JP6589784B2 (ja)

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