JP3716227B2 - ギヤードモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、復帰力をもった操作対象への駆動力を継断して、かかる操作対象を位置制御するためのクラッチ手段を内蔵したギヤードモータに係り、例えば、洗濯機の排水弁の開閉のための駆動源等として好適に採用されるギヤードモータに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、小形の電動モータで有効な出力を得るために、モータ駆動軸に歯車等の減速手段を組付けたギヤードモータが知られており、民生および一般の電気機器等に採用されている。その一種として、例えば、特開平1−194833号公報や特開平3−198638号公報に記載されているように、負荷駆動用モータにより歯車列等の減速手段を介して出力部材を駆動せしめて、該出力部材に連結される復帰力を持った操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめると共に、かかる操作対象を該作動位置へ保持せしめ、更に該操作対象の該復帰力による該作動位置から該初期位置への返戻作動を許容するギヤードモータが、知られている。そして、このようなギヤードモータは、例えば、家庭用洗濯機において排水弁を開閉作動するための駆動手段として、好適に採用される。
【0003】
ところで、このようなギヤードモータでは、操作対象を初期位置から作動位置まで駆動変位せしめた後、操作対象をかかる作動位置に固定的に保持せしめ、その後、操作対象に対するギヤードモータによる駆動力や拘束力の作用を解除して、操作対象自身のもつ復帰力による操作対象の作動位置から初期位置への返戻作動を許容するようになっていることから、ギヤードモータの駆動力を操作対象に伝達/遮断するクラッチ手段が必要となる。
【0004】
そこで、特開平1−194833号公報に記載されているように、負荷駆動用モータの作動時に負荷駆動用モータのステータを通る磁束によって、吸着片をステータに吸着せしめて、かかる吸着によりクラッチが繋がった状態となるようにすると共に、負荷駆動用モータが作動していない状態下においてステータを通る磁束が消滅した時には、吸着片がステータから解放されて、クラッチが切れた状態となる継断手段が採用されている。
【0005】
しかしながら、このような継断手段においては、負荷駆動用モータのステータを通る磁束によって駆動される吸着片の操作ストロークが小さいことに加えて、出力が直線的な往復動であって増幅が難しいことから、クラッチ手段の伝達/遮断作動を確実に行うことが難しいという問題があった。
【0006】
また、特開平3−198638号公報には、磁気誘導によって回転力が伝達されるように対向配置された永久磁石と誘導リングの一方を負荷駆動用モータで回転駆動せしめる一方、それら永久磁石と誘導リングの他方により、クラッチ手段を継断するクラッチ操作片を駆動せしめる誘導リング式の継断手段が採用されている。
【0007】
ところが、このような誘導リング式の継断手段においては、クラッチ操作片を駆動するために、永久磁石と特定材質の誘導リングを使用することから、製造コストが高くなるという問題があった。
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、製造コストを抑えることが出来ると共に、負荷駆動用モータの出力部材への駆動力伝達経路上に配設されたクラッチ手段を安定して伝達/遮断(「継断」とも、称する)せしめて、操作対象を作動制御することの出来る、新規な構造のギヤードモータを提供することにある。
【0009】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用することが出来る。また、本発明の態様および技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
先ず、本発明の第一の態様は、負荷駆動用モータにより歯車列等の減速手段を介して出力部材を駆動せしめて、該出力部材に連結される復帰力をもった操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめると共に、かかる操作対象を該作動位置へ保持せしめ、更に、該操作対象の該復帰力による該作動位置から該初期位置への返戻作動を許容するようにしたギヤードモータにおいて、前記負荷駆動用モータの前記出力部材への駆動力の伝達経路上にクラッチ手段を設けると共に、該クラッチ手段を継断する切換部材と、該切換部材を該クラッチ手段が断状態となる方向に付勢する付勢手段を設ける一方、少なくとも前記操作対象の前記作動位置への駆動変位および保持に際して回転駆動せしめられる所定の回転駆動軸に対して連繋コイルスプリングを介してフライホイルを連結せしめて、それら回転駆動軸およびフライホイルと同一中心軸上に配設された連繋回転軸に該連繋コイルスプリングを巻きつけ、該回転駆動軸の回転力を該連繋コイルスプリングを介して該連繋回転軸に伝達して該連繋回転軸を回転駆動せしめることにより、該連繋回転軸に取り付けられたカム主動体に摺動せしめられるカム従動体を該カム主動体から離隔変位せしめ、更に、該カム主動体に設けられた保持手段によって該カム従動体の摺動を阻止して該カム従動体を該カム主動体から離隔変位した位置に保持せしめることによって、該クラッチ手段を継断する該切換部材を該付勢手段の付勢力に抗して該クラッチ手段が継状態となるように駆動位置せしめると共に、該回転駆動軸が停止した際に該連繋コイルスプリングを該連繋回転軸から緩ませて該連繋回転軸を該回転駆動軸から独立して回転可能とすることにより、該切換部材を該付勢手段の付勢力によって該クラッチ手段が断状態となるように返戻位置せしめるようにしたことを、特徴とする。
【0011】
このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、回転駆動軸を回転駆動せしめることによって、連繋回転軸を連繋コイルスプリングを介して回転駆動せしめて、連繋回転軸に取り付けられたカム主動体に摺動せしめられるカム従動体により、クラッチ手段を継断する切換部材を付勢手段の付勢力に抗してクラッチが繋がった状態に駆動位置せしめるようになっている。また、回転駆動軸が停止した際には、連繋回転軸から連繋コイルスプリングを緩めて連繋回転軸を回転駆動軸から独立して回転可能とすることにより、切換部材を付勢手段の付勢力によってクラッチが切れた状態に返戻作動せしめるようになっている。
【0012】
そこにおいて、本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、クラッチ手段を継断する切換部材を作動せしめるに際して、連繋コイルスプリングの連繋回転軸への巻付き力をフライホイルを用いて巧く制御して、回転駆動軸から連繋回転軸への回転力の伝達/遮断を行うと共に、該連繋回転軸の回転力を、連繋回転軸と一体的に回転せしめられるカム主動体の回転に基づいてカム主動体から離隔変位せしめられたカム従動体を保持手段によって離隔変位せしめた位置に保持することにより切換部材の駆動力として巧く取り出すことが出来るのであり、それによって、負荷駆動用モータの出力部材への駆動力伝達経路上に配設されたクラッチ手段を安定して伝達/遮断せしめて、操作対象を作動制御することが出来るのである。
【0013】
そして、このようなギヤードモータにおいては、切換部材を駆動せしめるに際して、従来の誘導リング式のものに比して、永久磁石や特別な材質の誘導リングを使用することもないことから、製造コストを抑えることが出来るのである。
【0014】
また、本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、クラッチ手段を継断する切換部材の切換作動力が、連繋コイルスプリングの巻付き力とカム主動体の回転に基づくカム従動体の離隔変位および保持手段によるカム従動体のかかる離隔変位位置での保持という機械的な力の伝達経路によって伝達されるようになっていることから、従来の電磁的な力の伝達経路による誘導リング式のギヤードモータに比して、多数の減速歯車を用いる必要もなく、切換部材への駆動力の伝達効率を向上せしめて、クラッチの継断作動をより確実に行わせることが出来るのである。
【0015】
なお、本態様における負荷駆動用モータとしては、従来から公知の各種の電気モータが採用可能であるが、特に、交流同期モータが好適に採用される。また、本態様における保持手段としては、カム主動体若しくはカム従動体の何れか一方に設けられた突起をカム主動体若しくはカム従動体の他方に係合せしめること等によって有利に実現することが出来る。
【0016】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るギヤードモータにおいて、前記カム主動体を厚肉の円環形状又は円筒形状とすると共に、該カム主動体に凹所を設けて該凹所の底面によって前記連繋回転軸の回転方向と反対側に行くに従って軸方向上方に向うカム面を形成し、また、前記カム従動体を上底部と筒状部を備えた逆カップ形状とすると共に、該カム面に摺接せしめられるカム突起を該上底部から該筒状部側に突出して形成し、それらカム主動体とカム従動体を重ね合わせて配設することにより、該カム主動体の回転に基づいて該カム面を該カム突起が摺動せしめられて該カム従動体が該カム主動体から軸方向に離隔せしめられると共に、該凹所の側面に該カム突起が当接されて該カム従動体が該カム主動体と一体的に回転せしめられることにより、該カム従動体が該カム主動体から離隔せしめられた位置に保持されることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、カム主動体に設けられた凹所の底面によって構成されたカム面をカム従動体に設けられたカム突起が摺動せしめられることにより、カム主動体の回転に伴うカム従動体の軸方向への離隔変位を容易に行うことが出来るのである。
【0017】
また、本態様においては、カム突起を凹所の側面に当接せしめてカム主動体の回転力を凹所の側面に当接されたカム突起を介してカム従動体に伝達し、カム従動体をカム主動体と一体的に回転せしめるという極めて簡単な方法により、カム従動体をカム主動体から離隔変位せしめた位置に保持することが出来るのであり、それによって、カム主動体およびカム従動体の構造を簡単にすることが出来るのである。
【0018】
また、本発明における第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るギヤードモータにおいて、前記カム従動体を前記カム主動体に接近せしめる方向に常時復帰力を及ぼす復帰手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、付勢手段の付勢力によりカム主動体から離隔せしめられたカム従動体をカム主動体に接近変位せしめることが容易となり、それによって、カム従動体のカム主動体に対する離隔/接近方向の変位に起因するクラッチ手段の継断作動をより安定して行うことが出来るのである。
【0019】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係るギヤードモータにおいて、前記フライホイルと同時に、且つ、該フライホイルと逆方向に回転せしめられる第二のフライホイルを設けたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、衝撃的な外力作用に伴ってフライホイルに及ぼされる回転力と第二のフライホイルに及ぼされる回転力を相互に消失させることが出来るのであり、それ故、連繋回転軸に巻きつけられた連繋コイルスプリングの緩みを軽減乃至は防止することが出来るのである。
【0020】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係るギヤードモータにおいて、前記連繋コイルスプリングにおいて、外力が及ぼされていない自由状態下でのコイル内径寸法を前記連繋回転軸の外径寸法よりも大きくして、該連繋コイルスプリングをそれ自身が有する弾性力によって該連繋回転軸に巻き締めていない状態で装着したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、負荷駆動用モータが停止した際に、フライホイルの慣性回転に加えて、連繋コイスプリング自身が有する弾性力によって連繋回転軸から連繋コイルスプリングを緩めることが一層容易となり、それによって、安定した作動を確保することが出来る。
【0021】
また、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係るギヤードモータにおいて、前記負荷駆動用モータによって前記回転駆動軸を回転駆動せしめる一方、前記出力部材の作動位置に応じて該負荷駆動用モータの該出力部材への駆動力の伝達を継断するモータ側クラッチを、前記クラッチ手段よりも該負荷駆動用モータ側に位置して設けて、前記操作対象の初期位置から作動位置への駆動に際して、該モータ側クラッチを継状態とすると共に、該操作対象の作動位置への保持に際して、該モータ側クラッチを断状態とするようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、出力部材を駆動せしめるための負荷駆動用モータを利用して、回転駆動軸が回転駆動せしめられることから、回転駆動軸の駆動用モータを別途設ける必要がなく、構造の簡略化と低コスト化が実現され得る。
【0022】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に係るギヤードモータにおいて、前記負荷駆動用モータへの給電路上にスイッチを設けると共に、前記出力部材の作動位置に応じて該スイッチを機械的にON/OFFせしめて、外部から該負荷駆動用モータへの給電を制御することにより、少なくとも前記操作対象の作動位置への保持に際して該負荷駆動用モータを停止させるようにする一方、前記回転駆動軸を回転駆動せしめるクラッチ動作用モータを、該負荷駆動用モータとは別に設けたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、負荷駆動用モータの給電路上に設けられたスイッチを、出力部材の作動位置に応じて機械的にON/OFFして、外部から負荷駆動用モータへの給電を制御することにより、外部のスイッチ手段を必要とすることなく、出力部材の作動位置に応じた負荷駆動用モータの回転/停止を行うことが出来るのである。また、回転駆動軸を回転駆動せしめるクラッチ動作用モータを負荷駆動用モータとは別に設けたことから、クラッチの継断作動を負荷駆動用モータによって駆動せしめられる出力部材の作動状態に関係なく制御することが可能となる。なお、回転駆動軸を回転駆動せしめてクラッチの継断作動を行うクラッチ動作用モータは、負荷駆動用モータに比して、十分に小形とすることが出来ることから、負荷駆動用モータの駆動力が必要とされていない状態下で、負荷駆動用モータを停止せしめることにより、消費電力やモータ発熱を抑えることが可能となる。
【0023】
また、本発明の第八の態様は、前記第七の態様に係るギヤードモータにおいて、前記負荷駆動用モータへの給電路を複数並設すると共に、それら各給電路上に独立したスイッチを設けて、前記出力部材の作動位置に応じてそれら複数のスイッチを異なるタイミングでON/OFFせしめることにより、前記操作対象を前記初期位置から前記作動位置に駆動変位せしめる途中に、少なくとも一つの中間作動位置に駆動変位および保持せしめるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめる途中に少なくとも一つの中間作動位置に駆動変位および保持せしめるといった複雑な作動を、永久磁石と誘導リングで構成された動力伝達機構を必要とすることなく行うことが出来るのであり、それによって、3以上の多段位置に操作対象を位置決め制御することが出来る高性能なギヤードモータを製造コストを抑えつつ実現することが出来るのである。そして、本態様に従う構造とされたギヤードモータを採用することにより、例えば、家庭用洗濯機において排水弁を開閉作動せしめる際に、排水弁の開閉作動と併せて、本体洗濯槽のブレーキやクラッチの作動を制御することも可能となるのである。
【0024】
また、本発明の第九の態様は、前記第七又は第八の態様に係るギヤードモータにおいて、前記クラッチ動作用モータとして、板状の磁性材からなるステータにコイルを装着せしめると共に、該ステータに形成された複数の磁極形成部で囲まれた領域に、永久磁石によって複数の磁極が外周面に設定されたロータを配設したプレートモータを採用したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、クラッチ動作用モータの配設スペースを有利に確保することが出来ると共に、フライホイルを利用した回動力の伝達機構を含めて、ギヤードモータのサイズを小さくすることが出来るのである。
【0025】
また、本発明の第十の態様は、前記第一乃至第九の何れかの態様に係るギヤードモータにおいて、前記クラッチ手段を、前記負荷駆動用モータの前記出力部材への駆動力の伝達経路上に配設された前記減速手段の一つとしての遊星歯車機構によって構成して、該遊星歯車機構における太陽歯車を該負荷駆動用モータの出力軸によって回転駆動せしめると共に、該太陽歯車に噛合された遊星歯車の支軸が固設されたキャリアの中心軸上に出力用の連結歯車を固設し、該遊星歯車が噛合される内歯歯車を有するケースの回転を、前記切換部材によって、許容状態と阻止状態に切換えるようにする一方、該太陽歯車の回転を許容/阻止する係止手段を設けて、少なくとも前記操作対象の作動位置への保持作動に際して該係止手段によって該太陽歯車の回転を阻止せしめるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、駆動力の伝達経路の構成手段の一つとして遊星歯車機構を採用したことにより、大きなギヤ比をコンパクトなサイズで設定することが可能となるのであり、しかも、遊星歯車機構を利用してクラッチ手段を構成したことにより、部品点数の削減による構造の簡略化とコンパクト化およびコスト低減が図られ得るのである。
【0026】
また、クラッチ手段として遊星歯車機構を採用する場合には、以下の第十一の態様が好適に採用される。即ち、本発明の第十一の態様は、前記第十の態様に係るギヤードモータにおいて、復元力をもって一軸回りに揺動可能に配設された揺動部材に対して、該復元力に抗した揺動方向への変位によって前記ケースの外周面に形成された外歯歯車又は該外歯歯車に噛合された歯車に対して係止せしめられて該ケースの回転を阻止する係止部を設けることにより、前記切換部材を構成せしめて、前記回転駆動軸から前記連繋コイルスプリングを介して回転駆動せしめられる前記連繋回転軸によって該揺動部材の該係止部が該外歯歯車又は該外歯歯車に噛合された歯車への係止状態に維持されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたギヤードモータにおいては、揺動部材の係止部によって遊星歯車機構を構成するケースの外周面に形成された外歯歯車を係止状態に維持するという簡単な構造によってクラッチが繋がった状態を維持することが出来るのであり、その結果、簡単な構造によってクラッチの継断作動を安定して行うことが可能なギヤードモータが実現され得るのである。また、この揺動部材によって、クラッチ手段を継断する切換部材が有利に構成され得る。
【0027】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
先ず、図1乃至図4には、本発明の第一の実施形態としての洗濯機における排水弁の開閉駆動用のギヤードモータ10が示されている。かかるギヤードモータ10は、洗濯機本体に取り付けられる中空箱体構造のハウジング12を有しており、減速手段としての減速歯車列14と、出力部材としてのプーリ16が、かかるハウジング12に組み付けられている。そして、負荷駆動用モータ18の回転駆動力を、減速歯車列14を介してプーリ16に伝達し、プーリ16に係止された図示しない操作対象を、初期位置から作動位置まで復帰力に抗して駆動変位せしめるようになっていると共に、減速歯車列14上にクラッチ手段としての遊星歯車機構20を設けて、かかる遊星歯車機構20を継断する切換部材としての揺動部材22をカム主動体としての第一のカム部材24およびカム従動体としての第二のカム部材26で駆動せしめるようにされている。
【0029】
より詳細には、ハウジング12は、全体として略矩形の開口箱形状を有するハウジング本体28とハウジング本体28の開口部に重ね合せられて、該開口部を覆蓋する蓋体30から構成されており、それらハウジング本体28と蓋体30が相互にネジ固定されることにより、外部空間から独立した領域を内部に有する中空箱体構造をもって形成されている。なお、ハウジング12を構成する各部材28,30の材質としては、例えば、ABS樹脂等の硬質の合成樹脂が好適に採用される。また、ハウジング本体28の底部には、段差部が設けられており、ハウジング本体28の一部が深底部とされていると共に、かかる深底部には、負荷駆動用モータ18が収容配置されている。
【0030】
この負荷駆動用モータ18は、交流同期モータであって、ロータ32と円環形状のコイル34が巻回されたステータ36を備えている。ロータ32は、円環ブロック形状の永久磁石38に出力軸40が固定された構造とされており、出力軸40の中心孔において、ステータ36の中心軸上に立設されたロータ支軸42に回転可能に外挿されている。また、出力軸40には、係止爪44が設けられており、かかる係止爪44の近くには、係止爪44に対してロータ32の回転方向一方向で係止される係止部材46が一軸回りで揺動可能に配設されている。そして、これら係止爪44と係止部材46によって、出力軸40の回転方向を規定する逆転防止機構が構成されている。また、永久磁石38の外周面には、周方向に交互に複数対のN磁極とS磁極が設定されている。
【0031】
一方、コイル34は、電気絶縁材からなる糸巻き形状のボビン48に対してワイヤが巻回された構造とされている。また一方、ステータ36は、それぞれ強磁性材からなる上側ステータ部材50と下側ステータ部材52によって構成されている。上側ステータ部材50は、全体として薄肉円環板形状を有しており、その内周縁部には、周方向に所定距離を隔てて複数の突出部54が形成されており、それぞれ、軸方向一方(図1中の下方)の側に屈曲されている。一方、下側ステータ部材52は、全体として浅底の有底円筒形状を有しており、底壁部から切り起こされた複数の突出片56が、同一円周上で周方向に所定距離を隔てて突設されている。そして、これら上側ステータ部材50と下側ステータ部材52がコイル34を上下に挟みこむようにして固定的に組み付けられることによって、ステータ36がコイル34に固定されており、かかる固定状態下において、上側ステータ部材50に設けられた複数の突出部54と下側ステータ部材52に設けられた複数の突出片56は、コイル34の内周面上において、周方向で相互に離隔して同一円周上に位置せしめられている。このようにコイル34の内周面上において、周方向に所定距離を隔てて位置せしめられた上側ステータ部材50の複数の突出部54と下側ステータ部材52の複数の突出片56によって、複数の磁極部が形成されており、それら複数の磁極部がロータ32の外周面上に設けられた磁極、即ち、永久磁石38の磁極に対して径方向で離隔して対向位置せしめられている。これにより、コイル34への通電によって、ステータ36とロータ32の両磁極部間に作用する磁力の作用に基づいてロータ32に回転力が及ぼされるようになっている。
【0032】
また、減速歯車列14は、モータ側クラッチとしての回転力継断機構58,クラッチ手段としての遊星歯車機構20,中間車60および出力車62を含んで構成されている。回転力継断機構58は、上側継断部材64,下側継断部材66およびコイルスプリング68を含んで構成されている。この上側継断部材64は、同軸上に一体形成された上側ピニオン70と係止爪72を有しており、その下面には、係止部74が形成されている。また、下側継断部材66は、下側歯車76を有しており、かかる下側歯車76が負荷駆動用モータ18の出力軸40に固設された出力ピニオン78に噛合されている。更に、下側継断部材66の上下両面の中央部分には、軸方向外方に突出する上側及び下側ボス部80,82が一体形成されていると共に、下側継断部材66の上面において、上側ボス部80の周りには、上側継断部材64の係止部74と係合可能な係止片84が軸方向の変位が可能な状態で形成されている。そして、下側継断部材66の上側ボス部80にコイルスプリング68が外挿された状態で、上側継断部材64と下側継断部材66が互いに軸方向に離隔して同一中心軸上に対向配置されており、上側継断部材64の係止部74と下側継断部材66の係止片84が係合された状態において、上側継断部材64と下側継断部材66が一体的に回転するようになっており、負荷駆動用モータ18の出力軸40に固定された出力ピニオン78の回転駆動力が上側継断部材64の上側ピニオン70に伝達されるようになっている。なお、上側継断部材64の係止部74と下側継断部材66の係止片84の係合は、負荷駆動用モータ18の正回転方向では維持されるようになっていると共に、逆回転方向では解除されるようになっている。
【0033】
また、遊星歯車機構20は、ケース86と遊星歯車部材88を含んで構成されている。ケース86は、全体として有底円筒形状とされており、その筒壁部の内周面と外周面には、それぞれ、内歯歯車90と外歯歯車92が形成されていると共に、底壁部には、中心軸上に中心孔が貫設されている。また、遊星歯車部材88は、互いに軸方向に離隔して対向配置されたキャリアとしての上側及び下側円板94,96を有しており、それら上側および下側円板94,96が、下側円板96の中心軸回りに突設された複数本の歯車ピン98によって相互に固定されていると共に、各歯車ピン98には、それぞれ、遊星歯車100が回転可能に装着されている。更に、下側円板96の中央部分には、挿通孔が形成されている。そして、遊星歯車部材88がケース86に対して回転可能に嵌め込まれた状態で下側円板96に形成された挿通孔に上側継断部材64の上側ピニオン70が内挿されており、かかる状態下において、上側ピニオン70と遊星歯車100が噛合されていると共に、遊星歯車100と内歯歯車90が噛合されている。即ち、本実施形態では、上側ピニオン70によって遊星歯車機構20の太陽歯車が構成されているのである。また、遊星歯車部材88の上側円板94の中心軸上には、連結歯車102が上方に突出するようにして一体形成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、遊星歯車機構20を構成するケース86の回転が阻止された状態において、負荷駆動用モータ18の回転駆動力がプーリ16に伝達されるようになっていると共に、ケース86の回転が許容された状態において、負荷駆動用モータ18の回転駆動力がプーリ16に伝達されないようになっている。即ち、ケース86の回転が阻止された状態がクラッチが繋がった状態とされていると共に、ケース86の回転が許容された状態がクラッチが切れた状態とされている。
【0035】
また、中間車60は、同軸上に一体形成された中間歯車104と中間ピニオン106を有しており、中間歯車104が連結歯車102に噛合されている。また、出力車62は、半円形状の歯車部108を有しており、円弧状外周面に形成された歯が、中間ピニオン106に噛合されている。更に、歯車部108の下面には、円弧状に湾曲した摺動壁部110が立設されている。また、かかる摺動壁部110の周方向一方の端部付近には、摺動壁部110との間に隙間を形成するようにして突起112が立設されている。なお、本実施形態では、突起112は、摺動壁部110よりも径方向外方に位置せしめられている。更に、出力車62の軸部の軸方向下端部には、プーリ16が相対回転不能に組み付けられており、それによって、負荷駆動用モータ18の回転駆動力が、回転力継断機構58,遊星歯車機構20,中間車60および出力車62を介して、プーリ16に伝達されるようになっている。
【0036】
また、中間車60の軸方向下方には、カムレバー114が、支軸132回りで揺動可能に配設されている。このカムレバー114は、円筒形状の軸部の外周面上に軸直角方向外方に突出する摺接部116と突出部118を有しており、摺接部116の突出先端部分が、出力車62の歯車部108に突設された摺動壁部110に対して摺動可能とされている。また、突出部118の突出先端部分には、操作部120が一体形成されている。かかる操作部120は、全体として矩形ブロック形状とされており、その板面中央部分には、長手方向に延びる貫通孔が形成されている。そして、突出部118の突出方向と操作部120の長手方向が略垂直となるようにして、操作部120の長手方向一方の端部が突出部118の突出先端部分に一体形成されている。また、操作部120の先端部(長手方向他方の端部)は、長手方向中央部分に形成された傾斜部によって、基端部(長手方向一方の端部)よりも下方に位置せしめられている。そして、操作部120の貫通孔が、後述する回転力継断機構58および遊星歯車機構20の支軸130に対して移動可能に外挿されており、操作部120の上面が下側ボス部82の下面に当接されるようになっている。
【0037】
ここにおいて、本実施形態では、操作部120の基端部が下側ボス部82に当接されて下側継断部材が操作部で上方に持ち上げられている状態では、下側継断部材66の係止片84と上側継断部材64の係止部74が係止されて出力ピニオン78の回転駆動力が連結歯車102に伝達されるようになっているおり、かかる状態下において、摺接部116は、出力車62の摺動壁部110に摺接せしめられている。また、操作部120の先端部が下側ボス部82に当接されて下側継断部材66がコイルスプリング68の付勢力で上側継断部材64から離隔せしめられる状態では、下側継断部材66の係止片84と上側継断部材64の係止部74が係止されていないことから出力ピニオン78の回転駆動力が連結歯車102に伝達されないようになっており、かかる状態下では、摺接部116は出力車62の突起112に当接せしめられている。
【0038】
また、カムレバー114の近くには、係止手段としての係止レバー122が、カムレバー114の揺動中心軸と平行な中心軸回りで揺動可能に配設されている。この係止レバー122は、軸直角方向外方に延びる係止爪124を有しており、かかる係止爪124が上側継断部材64の係止爪72に係止されるようになっている。また、係止レバー122の軸方向下端部には、突出片126が一体形成されており、係止レバー122が配設された状態下において、かかる突出片126がカムレバー114の軸部の外周面上に周方向で所定の距離を隔てて離隔せしめられた一対の突出片128,128の間に位置せしめられている。それによって、係止レバー122は、カムレバー114の揺動に対して連動するようになっている。
【0039】
ここにおいて、本実施形態では、カムレバー114の摺接部116が出力車62の摺動壁部110に摺接されている状態下において、係止レバー122の係止爪124は上側継断部材64の係止爪72に係止されておらず、それによって、上側継断部材64の回転が許容されるようになっている。また、カムレバー114の摺接部116が出力車62の突起112に当接した状態では、係止レバー122の係止爪124は上側継断部材64の係止爪72に係止されており、それによって、上側継断部材64の回転が阻止されるようになっている。
【0040】
なお、回転力継断機構58と遊星歯車機構20の支軸130は、負荷駆動用モータ18のステータ36と蓋体30の間に跨って配設支持されている。また、中間車60の支軸132は、ハウジング本体28と蓋体30の間に跨って配設支持されている。そして、これら各支軸130,132は、何れも、負荷駆動用モータ18のロータ支軸42と平行に延びる状態で、ハウジング12に固設されている。また、出力車62の軸部の上面中央部分には、軸方向に所定の長さに亘って延びる取付穴が形成されている。そして、蓋体30に一体形成された突部134が取付穴に回転可能に内挿されると共に、ハウジング本体28の底壁部に形成された貫通孔に出力車62の軸部の下端部が回転可能に内挿されることによって、出力車62が一軸回りに回転可能に配設されている。また、突部134は、支軸130,132と互いに平行とされている。
【0041】
また、プーリ16は、全体として厚肉の円板形状を有しており、その中央部分には、上面に開口する取付穴が形成されており、かかる取付穴に出力車62の軸部の軸方向下端部が相対回転不能に組み付けられることによって、出力車62とプーリ16が一体的に回転するようになっている。なお、プーリ16は、出力車62に組み付けられた状態において、ハウジング12の外部に位置せしめられている。また、プーリ16の外周面には、周溝136が略2/3周の長さに亘って形成されており、かかる周溝136にワイヤ138が巻きつけられている。更に、このワイヤ138の一方の端部は、プーリ16に係止されていると共に、その他方の端部は図示しない操作対象としての排水弁に取り付けられるようになっている。そして、プーリ16に負荷駆動用モータ18の回転駆動力が伝達されると、ワイヤ138が巻き取られるようになっており、それによって、操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめるようになっている。また、プーリ16の軸方向下方には、蓋140が配設されており、蓋140がハウジング本体28に固定されることにより、プーリ16の外部への露出が防止されている。
【0042】
また、ハウジング12内には、調速機構142が設けられている。この調速機構142は、調速部材144を含んで構成されている。調速部材144は、同軸上に一体形成された調速ピニオン146と調速歯車148を備えており、かかる調速ピニオン146が遊星歯車機構20を構成するケース86の外周面に形成された外歯歯車92に噛合されている。また、調速歯車148の上面には、周上の複数箇所において、軸方向上方に向って突出する支持ピン150が固設されており、これら各支持ピン150に対して、摺動材152が外挿されて取り付けられている。かかる摺動材152は、全体として略三日月形状乃至は円弧形のブロック形状を有しており、その周方向一方の端部に貫設された孔において、支持ピン150に外挿されることにより、支持ピン150回りに回転可能に組み付けられている。そして、各摺動材152は、調速歯車148が中心軸回りに回転せしめられた際に、支持ピン150の回りで遠心力によって径方向外方に広がるようになっている。なお、摺動材152の外周面は、周方向に湾曲した摺接面とされており、遠心力によって径方向外方に広がった際に蓋体30に一体形成された円筒形状の摺動筒部154の内周面によって形成された摺動面に摺動されるようになっており、操作対象が作動位置から初期位置に返戻する際のスピードを調節するようになっている。なお、本実施形態において、摺動材152の上方には、遠心力が働いていない状態で、摺動材152に径方向内方への付勢力を与える付勢部材156が配設されている。また、調速機構142の近くには、ストッパ車158が配設されている。このストッパ車158は、ストッパピニオン160を備えており、かかるストッパピニオン160が調速歯車148に噛合されている。また、ストッパ車158には、係止片162が設けられている。なお、調速機構142およびストッパ車158の支軸164,166は、ハウジング本体28の底壁部と蓋体30の間に跨って配設支持されており、負荷駆動用モータ18のロータ支軸42と平行とされている。
【0043】
また、ハウジング12内には、クラッチ継断機構168が配設されている。このクラッチ継断機構168は、回転駆動軸170,連繋コイルスプリング172,フライホイル174,連繋回転軸176,第一のカム部材24および第二のカム部材26を含んで構成されている。回転駆動軸170は、駆動歯車178を有しており、かかる駆動歯車178が負荷駆動用モータ18の出力ピニオン78に噛合されている。また、駆動歯車178の上面中央部分には、円筒部180が一体形成されており、かかる円筒部180に連繋回転軸176が相対的に回転可能な状態で同一中心軸上に内挿配置されている。この連繋回転軸176は、全体として円筒形状とされており、その軸方向中央部分には、段差面181が形成されていると共に、環状の突出片182が外周面に突設して一体形成されている。また、連繋回転軸176の軸方向上端部には、嵌着突部184が一体形成されている。また、連繋回転軸176の段差面181の上方には、フライホイル174が配設されている。フライホイル174は、浅底の逆カップ形状とされており、上底中央部分に形成された貫通孔において、連繋回転軸176に外挿されて、連繋回転軸176の軸方向中央部分に形成された段差面181に載置された状態で配設されており、かかる配設状態下において、嵌着突部184は、フライホイル174よりも上方に突出せしめられている。更に、フライホイル174には、連結歯車186が設けられている。
【0044】
また、連繋回転軸176には、ばね鋼等によって形成された連繋コイルスプリング172が外挿されており、突出片182よりも下方に配設されている。この連繋コイルスプリング172は、外力が及ぼされていない自由状態下で、コイル内径寸法が連繋回転軸176の外径寸法よりも僅かに大きくされており、それによって、連繋回転軸176に外挿された状態下で、連繋コイルスプリング172は、全長に亘って、連繋回転軸176に巻きつけられていない状態とされている。また、連繋コイルスプリング172は、その一方の端部が回転駆動軸170の円筒部180に固定されていると共に、他方の端部がフライホイル174に設けられた固定部187に固定されている。
【0045】
さらに、連繋回転軸176のフライホイル174を貫通して上方に突出せしめられた嵌着突部184に対して、第一のカム部材24が組み付けられている。第一のカム部材24は、中心孔を備えた円環ブロック形状とされており、その外周縁部には、凹所188が形成されている。この凹所188は、所定幅(所定の径方向寸法)で周方向に所定の長さ(本実施形態では略1/3周の長さ)で延びるように形成されており、周方向一方から他方に行くに従って次第に深さ寸法が変化するようになっている。即ち、凹所188の底面190は、周方向一方から他方に行くに従って軸方向一方に向って傾斜する傾斜面とされており、特に本実施形態では、連繋回転軸176の回転方向と逆方向に行くに従って軸方向上方に向って傾斜する傾斜面とされている。そして、このような構造とされた第一のカム部材24は、中心孔に連繋回転軸176の嵌着突部184が圧入固定されており、それによって、第一のカム部材24が連繋回転軸176と一体的に回転するようになっている。一方、第二のカム部材26は、筒状部192と上底部194を含んで構成されて、全体として浅底の逆カップ形状を有しており、その上底部194には、筒状部192に隣接する位置において、軸方向下方に突出する摺接突起196が固設されている。また、上底部194の中央部分には、軸方向上方に突出するボス部198が一体形成されており、かかるボス部198には、径方向外方に突出する径方向突部200が一体形成されている。ここにおいて、本実施形態では、かかる径方向突部200の突出先端面は、筒状部192の外周面と略面一とされている。そして、第二のカム部材26の上底部194の中央部分に形成された挿通孔に連繋回転軸176の嵌着突部184が外挿されて第一のカム部材24と第二のカム部材26が軸方向で重ね合せられて組み付けられており、かかる組付け状態下において、第二のカム部材26に設けられた摺接突起196は、第一のカム部材24に設けられた凹所188内に位置せしめられて、その突出先端面が凹所188の底面190に摺接せしめられている。このように組み付けられた第一のカム部材24と第二のカム部材26は、摺接突起196が凹所188の底面190に摺動せしめられる範囲内で、即ち、摺接突起196が凹所188を形成する周方向一方の壁面202に当接した状態から周方向他方の壁面204に当接するまでの範囲内で、相対回転可能とされている。このことから明らかなように、本実施形態では、凹所188の底面190によってカム面が構成されていると共に、摺接突起196によってカム突起が構成されており、また、壁面202によって、保持手段が構成されている。
【0046】
また、第二のカム部材26の軸方向上方には、復帰手段としてのコイルスプリング206が位置せしめられている。このコイルスプリング206は、圧縮コイルスプリングとされており、その外径寸法は、ボス部198の外径寸法よりも小さくされている。そして、コイルスプリング206は、連繋回転軸176の嵌着突部184に外挿されて軸方向に圧縮された状態で、蓋体30と第二のカム部材26のボス部198の間に配設されており、それによって、第二のカム部材26に対して、常時軸方向下方への付勢力が及ぼされるようになっている。
【0047】
また、第二のカム部材26の近くには、揺動部材22が配設されている。この揺動部材22は、全体として平板形状を有しており、長手方向一方の端部には、幅方向一方に突出する突出片208が一体形成されていると共に、長手方向他方の端部には、幅方向他方に突出する突部210が一体形成されている。また、突部210の上面には、係止片212が上方に突出して一体形成されており、かかる係止片212に係止される付勢手段としてのコイルスプリング214により、揺動部材22に揺動方向一方向への復帰力が付与されている。また、揺動部材22の長手方向一方の端部には、揺動方向他方に向って突出する係止部216が一体形成されており、揺動部材22がコイルスプリング214の復帰力に抗して回動せしめられた際に、揺動部材22の揺動方向とは反対方向に回転するストッパ車158に設けられた係止片162に対して係止部216が係止されることとなり、それによって、ストッパピニオン160に噛合された調速歯車148の回転を阻止して、調速ピニオン146に噛合された外歯歯車92を有するケース86の回転を阻止するようになっている。なお、揺動部材22が、初期位置に位置せしめられている状態において、係止部216は、回転作動せしめられるストッパ車158に干渉しないようになっていると共に、突出片208は、第二のカム部材26の上底部194の上方に位置せしめられている。
【0048】
要するに、本実施形態では、揺動部材22の係止部216が、ストッパ車158の係止片162に係止された状態において、遊星歯車機構20を構成するケース86の回転が阻止されて、クラッチが繋がった状態となると共に、揺動部材22の係止部216がストッパ車158の係止片162に係止されていない状態において、遊星歯車機構20を構成するケース86の回転が許容されて、クラッチが切れた状態となるのである。
【0049】
なお、揺動部材22の支軸218およびクラッチ継断機構168の支軸219は、ハウジング本体28の底壁部と蓋体30の間に跨って配設されていると共に、負荷駆動用モータ18のロータ支軸42に平行とされている。
【0050】
また、クラッチ継断機構168の近くには、第二のフライホイル220が配設されている。この第二のフライホイル220は、鉄等の高比重な金属材によって形成されており、全体として薄肉の円環板形状を呈している。また、第二のフライホイル220の下面には、連動ピニオン222が設けられており、かかる連動ピニオン222がフライホイル174の連結歯車186に噛合されている。それによって、第二のフライホイル220がフライホイル174の回転方向と逆方向に回転せしめられるようになっている。なお、第二のフライホイル220の支軸226は、ハウジング本体28の底壁部と蓋体30の間に跨って配設されていると共に、負荷駆動用モータ18のロータ支軸42に平行とされている。
【0051】
次に、上述の如き構造とされたギヤードモータ10における作動を図5乃至図10に基づいて説明する。先ず、ギヤードモータ10に電源が接続されていない状態において、操作対象は初期位置に位置せしめられている。そして、ギヤードモータ10に電源が接続されると、負荷駆動用モータ18のコイル34に給電されて、ロータ32が回転する。
【0052】
その際、図5に示されているように、カムレバー114の摺接部116が出力車62の摺動壁部110に摺接されていることから、カムレバー114における操作部120の基端部によって、下側継断部材66がコイルスプリング68の復帰力に抗して軸方向上方に押し上げられることとなる。それによって、下側継断部材66の係止片84が上側継断部材64の係止部74に係止されるようになっている。また、下側継断部材66の係止片84が上側継断部材64の係止部74に係止された状態では、係止レバー122の係止爪124が上側継断部材64の係止爪72に係止されておらず、上側継断部材64の回転が許容されており、それによって、出力ピニオン78の回転駆動力が、回転力継断機構58,遊星歯車機構20,中間車60,出力車62を介してプーリ16に伝達されて、ワイヤ138が巻き取られることとなり、ワイヤ138に取り付けられた操作対象が初期位置から作動位置に駆動変位せしめられるのである。
【0053】
ここにおいて、本実施形態では、負荷駆動用モータ18における正転方向が、連繋回転軸176に外挿された連繋コイルスプリング172を巻き締める方向に設定されている。そして、負荷駆動用モータ18のコイル34に給電されて、ロータ32が回転すると、出力ピニオン78に噛合された回転駆動軸170も回転することとなり、それによって、図6に示されているように、円筒部180に一方の端部が固定された連繋コイルスプリング172が連繋回転軸176に対して巻き締める方向に回転する。その際、連繋コイルスプリング172には、フライホイル174およびフライホイル174と共に回転せしめられる第二のフライホイル220の慣性力が作用することから、加速時だけでなく、定速回転時においても、連繋コイルスプリング172には、巻き締め方向の力が及ぼされることとなる。その結果、回転駆動軸170と連繋回転軸176が、連繋コイルスプリング172を介して実質的に相互に一体的に連結された状態となり、連繋回転軸176に固定された第一のカム部材24が回転せしめられ、それによって、第二のカム部材26に設けられた摺接突起196が第一のカム部材24に設けられた凹所188の底面190を登る方向に摺動せしめられる。そこにおいて、摺接突起196が底面190を摺動せしめられている状態では、揺動部材22の突出片208は、図7に示されているように、第二のカム部材26の上底部194に当接されており、それによって、第二のカム部材26の第一のカム部材24からの離隔変位が制限されるようになっている。そして、摺接突起196が凹所188の周方向一方の壁面202に当接せしめられるまで底面190を摺動せしめられると、第一のカム部材24に及ぼされている回転駆動力が摺接突起196を介して第二のカム部材26に伝達されることとなり、それによって、第一のカム部材24と第二のカム部材26が一体的に回転せしめられる。また、このように第一のカム部材24と第二のカム部材26が一体的に回転せしめられることにより、揺動部材22の突出片208が第二のカム部材26の径方向突部200に当接せしめられて、揺動部材22の係止部216がストッパ車158の係止片162に係止される方向に揺動部材22がコイルスプリング214の付勢力に抗して揺動せしめられる。そして、揺動部材22の突出片208が第二のカム部材26の径方向突部200に当接せしめられて、揺動部材22の突出片208が第二のカム部材26の径方向突部200の突出先端面よりも径方向外方、即ち、第二のカム部材26の筒状部192の外周面よりも径方向外方に揺動せしめられると、揺動部材22の突出片208が第二のカム部材26の上底部194に当接せしめられていたことに起因する第二のカム部材26の第一のカム部材24からの離隔を阻止する阻止力が解除されて、第二のカム部材26がコイルスプリング206の復帰力に抗して軸方向上方に変位せしめられる。その結果、図8に示されているように、揺動部材22の突出片208が第二のカム部材26の筒状部192の外周面に摺接せしめられることとなる。即ち、第一のカム部材24と第二のカム部材26が一体的に回転せしめられている状態では、揺動部材22の突出片208は、周方向に連続して延びる筒状外周面を備えた第二のカム部材22の筒状部192の外周面を摺動せしめられるようになっている。また、揺動部材22が揺動せしめられることにより、揺動部材22に設けられた係止部216がストッパ車158に設けられた係止片162に係止されて、ストッパピニオン160、延いては調速歯車148の回転が阻止されることとなり、調速ピニオン146と噛合されている外歯歯車92を有するケース86の回転を阻止するようになる。それによって、クラッチが繋がった状態となり、負荷駆動用モータ18の回転力を、回転力継断機構58,遊星歯車機構20,中間車60および出力車62を介して、プーリ16に伝達することが可能となり、操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめることが出来るのである。
【0054】
ここにおいて、本実施形態では、第一のカム部材24と一体的に回転せしめられている第二のカム部材26の筒状部192の外周面に揺動部材22の突出片208が摺動せしめられていることによって、揺動部材22の係止部216がストッパ車158の係止片162に係止された状態が保持される。
【0055】
そして、操作対象を作動位置まで駆動変位せしめると、図9に示されているように、カムレバー114の摺接部116が出力車62の突起112により出力車62の回転方向に押されることとなり、カムレバー114が回動中心軸回りで(図9中の矢印の方向)に回動する。それによって、カムレバー114の操作部120における先端部が下側ボス部82に当接せしめられることとなる。その結果、コイルスプリング68の復帰力に抗して軸方向上方に押し上げられていた下側継断部材66が、コイルスプリング68の復帰力により、軸方向下方に押し下げられて、上側継断部材64の係止部74と下側継断部材66の係止片84との係止状態が解除されることとなり、出力ピニオン78の回転駆動力が連結歯車102に伝達されないようになっている。ここにおいて、操作対象は、それ自身の有する復帰力により、初期位置に向って返戻作動を開始しようとするが、揺動部材22の突出片208が第一のカム部材24と一体的に回転せしめられている第二のカム部材26の筒状部192の外周面を摺動せしめられていることから、揺動部材22の係止部216をストッパ車158の係止片162に係止した状態、即ち、クラッチが繋がった状態を維持することが出来るのである。また、上側継断部材64の係止部74と下側継断部材66の係止片84との係止状態が解除された状態においては、カムレバー114の揺動により係止レバー122の係止爪124が上側継断部材64の係止爪72に係止されるようになっており、上側継断部材64の逆方向への回転を阻止することが出来るのである。その結果、連結歯車102の逆方向への回転を阻止することが可能となり、操作対象の作動位置への保持が可能となるのである。
【0056】
そして、所定時間が経過した後に、負荷駆動用モータ18のコイル34への給電が停止されると、負荷駆動用モータ18のロータ32が磁力の作用により瞬間的に停止されることとなり、かかる停止の瞬間において、クラッチ継断機構168に制動力が及ぼされることとなる。即ち、かかる制動力が逆転力となって、連繋コイルスプリング172に対して締め付け方向とは反対方向に作用することとなり、連繋コイルスプリング172が連繋回転軸176から緩むようになる。特に、本実施形態では、連繋コイルスプリング172の一方の端部が、フライホイル174に固定されていることから、フライホイル174およびフライホイル174と共に回転せしめられる第二のフライホイル220の慣性モーメントの作用で、連繋コイルスプリング172を緩める力が一層有利に得られる。加えて、本実施形態では、連繋コイルスプリング172自身が有する弾性力によって連繋コイルスプリング172が連繋回転軸176から緩められるようになっていることから、連繋コイルスプリング172を連繋回転軸176から緩める力がより一層有利に得られる。そして、連繋コイルスプリング172が緩むことによって、図10に示されているように、連繋回転軸176がフリーの状態となり、その結果、第二のカム部材26に及ぼされていた回動力、延いては、軸方向上方への変位力が解除されて、略0となる。これにより、コイルスプリング206の付勢力によって第二のカム部材26が第一のカム部材24に対して接近方向に変位せしめられることとなり、第二のカム部材26の筒状部192の外周面に対する揺動部材22の突出片208の摺接状態が解除されて、揺動部材22がコイルスプリング214の復帰力によって初期位置に瞬間的に戻ることとなり、揺動部材22の突出片208が第二のカム部材26の上底部194の上方に位置せしめられるようになっている。それによって、揺動部材22の係止部216がストッパ車158の係止片162に係止されていない状態となり、ストッパピニオン160および調速歯車148の回転が許容されて、調速ピニオン146に噛合された外歯歯車92を有するケース86の回転も許容される。その結果、クラッチが切れた状態となり、係止レバー122の係止爪124が上側継断部材64の係止爪72に係止されることによって得られた上側継断部材64の逆回転阻止力がプーリ16に伝達されなくなり、操作対象がそれ自身が有する復帰力により、作動位置から初期位置に返戻作動するようになっている。
【0057】
ここにおいて、操作対象の返戻作動の開始時に、カムレバー114の摺接部116が出力車62の突起112への当接状態から解除されて、摺動壁部110に摺接されるようになっており、それによって、操作部120の基端部が下側ボス部82に当接されることとなり、下側継断部材66がコイルスプリング68の復帰力に抗して軸方向上方に押し上げられて、上側継断部材64の係止部74と下側継断部材66の係止片84が係止状態とされることとなる。その結果、操作対象の作動位置から初期位置への返戻作動時には、上側継断部材64の係止部74と下側継断部材66の係止片84が係止された状態となっており、負荷駆動用モータ18の磁力によるロータ32の位置決め力(ディテントトルク)が上側継断部材64に伝達されて、上側継断部材64の逆方向への回転が阻止されるようになっている。
【0058】
なお、操作対象の作動位置から初期位置への返戻作動時には、出力車62,中間車60および遊星歯車機構20を構成する遊星歯車部材88に設けられた連結歯車102が逆方向に回転せしめられるが、ケース86の回転が許容されていると共に、上側ピニオン70(太陽歯車)の逆方向への回転が阻止されていることから、ケース86の回転が調速ピニオン146に伝達されて、調速ピニオン146が回転するようになっている。そして、調速ピニオン146が回転することによって、調速歯車148が回転せしめられ、各摺動材152が支持ピン150の回りで、遠心力によって径方向外方に広がるようになっており、それによって、蓋体30に一体形成された摺動筒部154の摺接面に摺接されて、操作対象の返戻作動時のスピードを調節することが出来るようになっている。
【0059】
従って、このような構造とされたギヤードモータ10においては、クラッチ手段を継断する揺動部材22を駆動せしめるに際して、連繋コイルスプリング172の連繋回転軸176への巻付け力をフライホイル174および第二のフライホイル220を用いて制御することによって、回転駆動軸170から連繋回転軸176への回転力の伝達/遮断を行うと共に、連繋回転軸176の回転力を、第一のカム部材24の回転に伴って離隔変位せしめられる第二のカム部材26を利用することによって、揺動部材22の駆動力として取り出すことが出来るのであり、その結果、クラッチの継断作動を安定して行うことが出来るのである。
【0060】
そこにおいて、特に、本実施形態では、揺動部材22を駆動せしめるに際して、従来の誘導リング式のものに比して、永久磁石や特別な材質の誘導リングを使用することもないことから、製造コストを抑えることも出来るのであり、また、連繋回転軸176の回転力を摩擦力を利用しないで揺動部材22に伝達するようになっていることから、ギヤードモータ10の耐久性を有利に確保することが出来るのである。
【0061】
また、本実施形態では、フライホイル174と逆方向に回転せしめられる第二のフライホイル220が採用されていることから、衝撃的な外力の作用に伴ってフライホイル174に及ぼされる回転力と第二のフライホイル220に及ぼされる回転力を相互に消失させることが出来るのであり、クラッチ継断機構168の作動の安定化が図られ得る。
【0062】
また、クラッチを継断する揺動部材22の切換作動力が、連繋コイルスプリング172の巻付き力と第一のカム部材24に対する第二のカム部材26の離隔変位による機械的な力の伝達経路によって伝達されるようになっていることから、従来の電磁的な力の伝達経路による誘導リング式のギヤードモータに比して、多数の減速歯車を採用する必要もなく、揺動部材22への駆動力の伝達効率を向上させて、クラッチの継断作動をより確実に行わせることが出来るのである。
【0063】
また、本実施形態では、負荷駆動用モータ18の停止時において、フライホイル174および第二のフライホイル220の慣性回転に加えて、連繋コイルスプリング172自身の弾性力で連繋コイルスプリング172が連繋回転軸176から緩むようになっていることから、安定した作動を確保することが出来るのである。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0065】
例えば、前記実施形態では、コイルスプリング206によって、第二のカム部材26に対して第一のカム部材24への接近方向の付勢力が及ぼされるようになっていたが、かかるコイルスプリング206を採用しないことも可能であり、そのような場合には、図11に示されているような態様が望ましい。
【0066】
すなわち、図11には、本発明の第二の実施形態としてのギヤードモータを構成するクラッチ継断機構228が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0067】
より詳細には、本実施形態のギヤードモータを構成するクラッチ継断機構228は、第一の実施形態におけるクラッチ継断機構(168)に比して、第二のカム部材230の構造が異なっている。具体的には、第二のカム部材230の上底部232の上面234は軸方向下方に行くに従って次第に拡径するテーパ面とされている。
【0068】
このような本実施形態のギヤードモータのクラッチ継断機構228は、負荷駆動用モータ18のロータ32が回転せしめられると、第一のカム部材24が連繋回転軸176の回転に伴って回転せしめられることにより、摺接突起196が底面190を摺動せしめられて第二のカム部材230が第一のカム部材24から上方に離隔せしめられる。その際、上底部132の内周縁部側に位置せしめられた揺動部材22の突出片208が上底部232の上面234を滑り降りるようになっており、それによって、揺動部材22が揺動せしめられ、係止部216がストッパ車158の係止片162に係止される。そして、摺接突起196が底面190を上りきって周方向一方の壁面202に当接せしめられて第二のカム部材230と第一のカム部材24が一体的に回転せしめられ、揺動部材22の突出片208が第二のカム部材230の上面234の外周縁部に摺動せしめられることにより、係止部216が係止片162に係止された状態が保持される。一方、負荷駆動用モータ18のロータ32の回転が停止されると、第二のカム部材230の回転が停止し、それによって、揺動部材22がコイルスプリング214の付勢力で係止部216が係止片162に係止されていない方向に揺動せしめられる。その際、揺動部材22の突出片208が上面234を外周縁部側から内周縁部側に摺動せしめられることとなり、それによって、第二のカム部材230が第一のカム部材24側に接近変位せしめられる。なお、突出片208が上底部232の内周縁部側に位置せしめられている状態下では、突出片208は、上面234の摺接されていても良いし、摺接されていなくても良い。
【0069】
このような構造とされたギヤードモータにおいても、連繋回転軸176の回転力を、第一のカム部材24の回転に伴って離隔変位せしめられる第二のカム部材230を利用することによって、揺動部材22の駆動力として取り出すことが出来るのである。
【0070】
また、前記第一および第二の実施形態では、第一のカム部材24側にカム面が形成されていると共に、第二のカム部材26,230側にカム突起が形成されていたが、第一のカム部材側にカム突起を形成すると共に、第二のカム部材側にカム面を形成するようにしても良い。
【0071】
また、前記第一及び第二の実施形態では、遊星歯車機構20を構成するケース86の回転は、調速ピニオン146を介して阻止されていたが、ケース86に外歯歯車92を設ける代わりに係止片を設けて、かかる係止片に対して揺動部材22の係止部216を直接に係止することによって、ケース86の回転を阻止するようにしても良い。
【0072】
また、前記第一および第二の実施形態では、負荷駆動用モータ18によって回転駆動軸170が回転駆動せしめられていたが、回転駆動軸170を回転駆動せしめるためのクラッチ動作用モータを設けることも可能である。その場合には、クラッチ動作用モータとして、板状の磁性材からなるステータにコイルを装着せしめると共に、ステータに形成された複数の磁極形成部で囲まれた領域に、永久磁石によって複数の磁極が外周面に設定されたロータを配設したプレートモータを採用することが望ましく、それによって、クラッチ動作用モータの配設スペースを有利に確保することが出来ると共に、フライホイルを用いた回動力の伝達機構を含めて、ギヤードモータのサイズを小さくすることが出来るのである。また、プレートモータにおいて、コイルを挟んで磁極形成部と反対側に短絡部を形成することも可能であり、それによって、安定したモータ作動と出力が発揮されるようになる。
【0073】
さらに、出力部材の作動位置に応じて外部から負荷駆動用モータへの給電を制御するスイッチが負荷駆動用モータへの給電路上に設けられたギヤードモータに対して本発明を適用することも勿論可能であり、そのような場合においては、負荷駆動用モータへの給電路上に複数のスイッチを設けることも可能であり、それら複数のスイッチを異なるタイミングでON/OFFすることによって、操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめる途中で、少なくとも一つの中間作動位置に駆動変位および保持するといった複雑な作動を行うことが出来るのである。
【0074】
また、洗濯機用の排水弁等の操作対象が、小さな返戻方向の復帰力しか備えていない場合には、操作対象に返戻方向の復帰力を補助的に及ぼす金属ばね等の付勢部材を付加的に採用することも可能である。
【0075】
さらに、歯車列の構造や各歯車対の減速比の他、歯車列を構成する歯車の数等は、前記第一及び第二の実施形態のものに限定されるものではない。また、負荷駆動用モータのコイルの数や具体的形状は、前記第一及び第二の実施形態のものに限定されるものではない。更に、出力部材としてラックレバーを採用することも可能である。
【0076】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0077】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたギヤードモータにおいては、クラッチ手段を継断する切換部材に回転駆動力を伝達するに際して、連繋コイルスプリングの連繋回転軸への巻付き力をフライホイルを用いて巧く制御して、回転駆動軸から連繋回転軸への回転力の伝達/遮断を行うと共に、連繋回転軸の回転駆動力を、連繋回転軸と一体的に回転せしめられるカム主動体およびカム主動体によって変位せしめられるカム従動体を利用して、切換部材の駆動力として巧く取り出すことが出来ることから、負荷駆動用モータの出力部材への駆動力伝達経路上に配設されたクラッチ手段を安定して伝達/遮断せしめることが可能となり、その結果、操作対象を安定して作動制御することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのギヤードモータの内部構造を示す図である。
【図2】図1に示されたギヤードモータの組立説明図である。
【図3】図1に示されたギヤードモータの組立説明図である。
【図4】図1に示されたギヤードモータの組立分解図である。
【図5】図1に示されたギヤードモータを構成しているカムレバーの作動状態を説明する図である。
【図6】図1に示されたギヤードモータを構成しているクラッチ継断機構の作動状態を説明する図である。
【図7】図1に示されたギヤードモータを構成している第二のカム部材と揺動部材の作動状態を説明する図である。
【図8】図1に示されたギヤードモータを構成している第二のカム部材と揺動部材の他の作動状態を説明する図である。
【図9】図1に示されたギヤードモータを構成しているカムレバーの他の作動状態を説明する図である。
【図10】図1に示されたギヤードモータを構成しているクラッチ継断機構の他の作動状態を説明する図である。
【図11】本発明の第二の実施形態としてのギヤードモータを構成するクラッチ継断機構の組立分解図である。
【符号の説明】
10 ギヤードモータ
14 減速歯車列
16 プーリ
18 負荷駆動用モータ
20 遊星歯車機構
22 揺動部材
24 第一のカム部材
26 第二のカム部材
170 回転駆動軸
172 連繋コイルスプリング
174 フライホイル
176 連繋回転軸
202 壁面

Claims (8)

  1. 負荷駆動用モータにより歯車列等の減速手段を介して出力部材を駆動せしめて、該出力部材に連結される復帰力をもった操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめると共に、かかる操作対象を該作動位置へ保持せしめ、更に、該操作対象の該復帰力による該作動位置から該初期位置への返戻作動を許容するようにしたギヤードモータにおいて、
    前記負荷駆動用モータの前記出力部材への駆動力の伝達経路上にクラッチ手段を設けると共に、該クラッチ手段を継断する切換部材と、該切換部材を該クラッチ手段が断状態となる方向に付勢する付勢手段を設ける一方、少なくとも前記操作対象の前記作動位置への駆動変位および保持に際して回転駆動せしめられる所定の回転駆動軸に対して連繋コイルスプリングを介してフライホイルを連結せしめて、それら回転駆動軸およびフライホイルと同一中心軸上に配設された連繋回転軸に該連繋コイルスプリングを巻きつけ、該回転駆動軸の回転力を該連繋コイルスプリングを介して該連繋回転軸に伝達して該連繋回転軸を回転駆動せしめることにより、該連繋回転軸に取り付けられたカム主動体に摺動せしめられるカム従動体を該カム主動体から離隔変位せしめ、更に、該カム主動体に設けられた保持手段によって該カム従動体の摺動を阻止して該カム従動体を該カム主動体から離隔変位した位置に保持せしめることによって、該クラッチ手段を継断する該切換部材を該付勢手段の付勢力に抗して該クラッチ手段が継状態となるように駆動位置せしめると共に、該回転駆動軸が停止した際に該連繋コイルスプリングを該連繋回転軸から緩ませて該連繋回転軸を該回転駆動軸から独立して回転可能とすることにより、該切換部材を該付勢手段の付勢力によって該クラッチ手段が断状態となるように返戻位置せしめるようにしたことを特徴とするギヤードモータ。
  2. 前記カム主動体を厚肉の円環形状又は円筒形状とすると共に、該カム主動体に凹所を設けて該凹所の底面によって前記連繋回転軸の回転方向と反対側に行くに従って軸方向上方に向うカム面を形成し、また、前記カム従動体を上底部と筒状部を備えた逆カップ形状とすると共に、該カム面に摺接せしめられるカム突起を該上底部から該筒状部側に突出して形成し、それらカム主動体とカム従動体を重ね合わせて配設することにより、該カム主動体の回転に基づいて該カム面を該カム突起が摺動せしめられて該カム従動体が該カム主動体から軸方向に離隔せしめられると共に、該凹所の側面に該カム突起が当接されて該カム従動体が該カム主動体と一体的に回転せしめられることにより、該カム従動体が該カム主動体から離隔せしめられた位置に保持される請求項1に記載のギヤードモータ。
  3. 前記フライホイルと同時に、且つ、該フライホイルと逆方向に回転せしめられる第二のフライホイルを設けた請求項1又は2に記載のギヤードモータ。
  4. 前記フライホイルから伝達される回転駆動力によって該フライホイルと共に回転せしめられる第二のフライホイルを設けた請求項1乃至3の何れかに記載のギヤードモータ。
  5. 前記連繋コイルスプリングにおいて、外力が及ぼされていない自由状態下でのコイル内径寸法を前記連繋回転軸の外径寸法よりも大きくして、該連繋コイルスプリングをそれ自身が有する弾性力によって該連繋回転軸に巻き締めていない状態で装着した請求項1乃至4の何れかに記載のギヤードモータ。
  6. 前記負荷駆動用モータによって前記回転駆動軸を回転駆動せしめる一方、前記出力部材の作動位置に応じて該負荷駆動用モータの該出力部材への駆動力の伝達を継断するモータ側クラッチを、前記クラッチ手段よりも該負荷駆動用モータ側に位置して設けて、前記操作対象の初期位置から作動位置への駆動に際して、該モータ側クラッチを継状態とすると共に、該操作対象の作動位置への保持に際して、該モータ側クラッチを断状態とするようにした請求項1乃至5の何れかに記載のギヤードモータ。
  7. 前記クラッチ手段を、前記負荷駆動用モータの前記出力部材への駆動力の伝達経路上に配設された前記減速手段の一つとしての遊星歯車機構によって構成して、該遊星歯車機構における太陽歯車を該負荷駆動用モータの出力軸によって回転駆動せしめると共に、該太陽歯車に噛合された遊星歯車の支軸が固設されたキャリアの中心軸上に出力用の連結歯車を固設し、該遊星歯車が噛合される内歯歯車を有するケースの回転を、前記切換部材によって、許容状態と阻止状態に切換えるようにする一方、該太陽歯車の回転を許容/阻止する係止手段を設けて、少なくとも前記操作対象の作動位置への保持作動に際して該係止手段によって該太陽歯車の回転を阻止せしめるようにした請求項1乃至6の何れかに記載のギヤードモータ。
  8. 復元力をもって一軸回りに揺動可能に配設された揺動部材に対して、該復元力に抗した揺動方向への変位によって前記ケースの外周面に形成された外歯歯車又は該外歯歯車に噛合された歯車に対して係止せしめられて該ケースの回転を阻止する係止部を設けることにより、前記切換部材を構成せしめて、前記回転駆動軸から前記連繋コイルスプリングを介して回転駆動せしめられる前記連繋回転軸によって該揺動部材の該係止部が該外歯歯車又は該外歯歯車に噛合された歯車への係止状態に維持されるようにした請求項7に記載のギヤードモータ。
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