JP4111748B2 - モータ駆動式排水弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、洗濯機や食洗機等の貯水槽用の排水弁として好適に採用され得るモータ駆動式排水弁に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、電気モータの回転駆動力を減速歯車列等の減速手段を介して出力部材に及ぼして出力部材に連結される駆動対象を初期位置から作動位置に向って、初期位置への返戻方向に及ぼされる付勢力に抗して駆動変位せしめると共に、かかる駆動対象を作動位置へ保持せしめ、更に駆動対象の作動位置から初期位置への返戻作動を許容するモータ式駆動装置が知られており、例えば家庭用洗濯機や食洗機における排水弁を駆動対象として、排水弁を開閉作動せしめるモータ駆動式排水弁を構成することが検討されている。
【0003】
ところが、従来では、排水弁が配設される排水用管体とモータ式駆動装置が別体形成されており、排水弁を組み込んだ排水用管体とモータ式駆動装置を各別に準備して、各々個別に洗濯機等の装置本体の各所定部位に取り付けなければならないことから、部品点数が増えて取扱いや取付けの作業が煩雑で面倒であることに加えて、排水弁を組み込んだ排水用管体とモータ式駆動装置の取付位置を特定の位置関係をもってそれぞれ確保しなければならず、取付スペースが大きくなってスペース確保が難しいという問題もあった。
【0004】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、取扱いや取付けの作業が容易とされると共に、全体としてコンパクトで洗濯機等の装置本体における取付スペースも容易に確保することが出来る、新規な構造のモータ駆動式排水弁を提供することにある。
【0005】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用することが出来る。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0006】
先ず、本発明の第一の態様は、(a)軸方向先端部に開口する第一の通水口を有すると共に、軸方向先端部近くの周壁部に開口する第二の通水口を有し、洗濯機等の貯水槽を備えた装置本体に取り付けられる筒形のバルブハウジングと、(b)該バルブハウジング内で軸方向に往復移動可能に配されて、軸方向先端側への移動により前記第一の通水口を閉塞する一方、軸方向基端側への移動により該第一の通水口を前記第二の通水口に該バルブハウジング内で連通せしめる可動弁体と、(c)該可動弁体を前記バルブハウシング内で軸方向先端側に向かって付勢する付勢手段と、(d)前記バルブハウジングに対して固定的に取り付けられた電気モータと、(e)前記可動弁体から前記バルブハウジングの軸方向基端側に延び出して配設されて該可動弁体と一体的に該バルブハウジングの軸方向に移動せしめられる従動部材と、(f)前記電気モータの回転駆動力を直線運動に変換して前記従動部材に伝達せしめることとにより、前記可動弁体を前記付勢手段による付勢力に抗して前記バルブハウジングの軸方向に駆動する運動変換手段と、(g)前記電気モータから前記運動変換手段に回転駆動力を及ぼす回転駆動力の伝達経路上に配されて回転駆動力を伝達/遮断せしめるクラッチ手段とを、有すると共に、前記電気モータから前記運動変換手段に回転駆動力を及ぼす回転駆動力の伝達経路上に、該電気モータの回転駆動力を該運動変換手段に対して所定の摩擦抵抗のもとに伝達する摩擦抵抗式伝動手段を配して、該電気モータの回転作動状態下で、前記可動弁体を、前記付勢手段による付勢力に抗して前記バルブハウジング内での軸方向先端側の移動端から軸方向基端側の移動端まで駆動変位せしめると共に、かかる軸方向基端側の移動端に保持せしめるようにして、前記電気モータから前記運動変換手段に回転駆動力を及ぼす回転駆動力の伝達経路上において、該電気モータで回転駆動せしめられる主動軸に対して副動軸を同一中心軸上で相対回転可能に配設すると共に、該主動軸と該副動軸の何れか一方に巻き付けた連結コイルスプリングの一端部をそれら主動軸と副動軸の他方に係止して、該主動軸の該電気モータによる回転駆動力を該連結コイルスプリングの巻き締め力を利用して該副動軸から前記運動変換手段に伝達せしめるようにする一方、該運動変換手段を介しての前記従動部材の移動に伴って前記可動弁体が前記バルブハウジング内で軸方向基端側に変位せしめられた際に該連結コイルスプリングの他端部に係合して該連結コイルスプリングを緩ませる係合部材を設けて、該係合部材の係合により緩ませた該連結コイルスプリングの摺動抵抗を利用して該主動軸の回転駆動力を該副動軸に伝達せしめて、該可動弁体を前記付勢手段の付勢力に抗して位置保持せしめるようにすることによって、前記摩擦抵抗式伝動手段を構成して、前記電気モータにより回転せしめられる回転駆動軸に対して連繋コイルスプリングを介してフライホイルを連結すると共に、該回転駆動軸と同一中心軸上に配設された連繋回転軸に該連繋コイルスプリングを巻き付けることによって、前記クラッチ手段を構成し、該回転駆動軸が回転駆動せしめられることにより該連繋コイルスプリングが該連繋回転軸に巻き締められて該回転駆動軸と該連繋回転軸が一体的に回転せしめられるようにすると共に、該電気モータの作動停止により該回転駆動軸の回転が停止せしめられることにより該連繋コイルスプリングが該連繋回転軸から緩んで該回転駆動軸に対する該連繋回転軸の相対回転が許容されるようにしたモータ駆動式排水弁を、特徴とする。
【0007】
このような本態様に従う構造とされたモータ駆動式排水弁においては、例えば、排水用管体の一部を構成することとなる筒形のバルブハウジングに対して、可動弁体が組み込まれると共に、該可動弁体を駆動するための電気モータや駆動力の伝達機構等も組み付けられて一体的なユニット構造として構成されることとなる。そして、かかるモータ駆動式排水弁においては、付勢手段の付勢力により、可動弁体が第一の通水口と第二の通水口の間でそれら両通水口の連通部分を遮断する状態に保持され得るのであり、かかる状態下で電気モータを回転駆動せしめて、その回転駆動力を運動変換手段を介して従動部材に直線運動として伝達することにより、可動弁体が付勢手段の付勢力に抗して変位せしめられて、第一の通水口と第二の通水口がバルブハウジング内で連通せしめられることとなる。また、そのような第一の通水口と第二の通水口の連通状態下で電気モータへの通電を停止等せしめて、可動弁体を付勢手段の付勢力に基づいて返戻作動させることにより、第一の通水口と第二の通水口の間でそれら両通水口の連通部分が遮断状態に復帰せしめられることとなる。
【0008】
そして、このような本態様に係るモータ駆動式排水弁は、可動弁体と該可動弁体を駆動する電気モータと該電気モータの駆動力を可動弁体に及ぼす駆動力の伝達系が組み込まれた一体構造とされていることから、その取扱いや取付けの作業が極めて容易となる。しかも、全体としてコンパクト化が図られ得ることとなり、装置本体における取付スペースも小さく抑えることが可能となるのである。
また、本態様においては、電気モータへの通電を維持したままの状態で、可動弁体を付勢力に抗して保持せしめて第一の通水口と第二の通水口をバルブハウジング内で連通状態に維持することが出来るのであり、それによって、電気モータの通電制御の簡略化が図られ得る。
そして、本態様においては、主動軸または副動軸に外挿装着せしめた連結コイルスプリングの巻締力を利用したことにより、摩擦抵抗式伝動手段が、コンパクトで且つ効率的な摩擦伝動性能をもって構成され得る。しかも、本態様においては、特定作動状態下で連結コイルスプリングを緩ませる係合部材を採用したことにより、連結コイルスプリングの巻締力に基づく回転駆動力の伝達効率を十分に大きくして可動弁体を付勢力に抗して確実に駆動変位せしめ得るようにした上で、可動弁体を付勢力に抗した変位端に保持せしめるに際しての連結コイルスプリングによる摩擦抵抗力を適度に低減せしめて電気モータの消費電力や発熱等を抑えることが可能となるのである。
更にまた、本態様に係るモータ駆動式排水弁においては、可動弁体を付勢力に抗して駆動変位せしめるに際しては電気モータから及ぼされる回転駆動力を利用して電気モータの回転駆動力を可動弁体に伝達する一方、可動弁体を付勢力に従って返戻変位せしめるに際しては電気モータから及ぼされる回転駆動力がなくなることによってフライホイルの慣性力を利用して自動的に切れるクラッチ手段が実現されることとなる。それ故、本態様においては、目的とするクラッチ手段が、複雑な切換機構を必要とすることなく簡単な構造をもってコンパクトに実現可能となるのである。
【0009】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るモータ駆動式排水弁において、円筒形外周面に螺旋状の案内溝を有する原動軸部材を前記バルブハウジングの基端側で略同軸上に配して中心軸回りに回動可能で且つ軸方向に移動不能に支持せしめる一方、前記従動部材に対して、該原動軸部材の該案内溝に滑動可能に係合する滑動子を設けて、該出力軸部材の回動作動に伴って該滑動子が該出力軸部材の軸方向に移動せしめられるようにすることにより、前記運動変換手段を構成したことを、特徴とする。このような本態様においては、原動軸部材と従動部材が略円柱カムのように作動して、従動部材が原動軸部材の回転中心軸の方向に駆動せしめられることとなり、それによって、原動軸部材の回転運動を中心軸方向の直線運動として従動部材に伝達する運動変換手段が、有利に構成され得る。
【0010】
また、本発明の第三の態様は、上記第二の態様に係るモータ駆動式排水弁において、前記従動部材として、前記可動弁体に固定されて前記原動軸部材に向かって延び出し、該原動軸部材に対して外挿される筒状スライダを採用し、該筒状スライダの内周面に前記滑動子を突設すると共に、該筒状スライダの中心軸回りの回転を阻止して軸方向に案内するガイド機構を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、原動軸部材と筒状スライダが内外挿されて配設されることから、それら原動軸部材と筒状スライダを相対的に位置決め支持することが容易となり、それら原動軸部材と筒状スライダの間での駆動力伝達に際しての安定した作動がコンパクトな構造で実現可能となる。なお、本態様においては、原動軸部材における案内溝を複数条設けると共に、それら各案内溝に係合する滑動子を筒状スライダに設けることが望ましく、それによって、原動軸部材と筒状スライダの間での駆動力伝達に際しての原動軸部材と筒状スライダの相対的な軸直角方向のブレを抑えて、駆動力伝達作動が一層スムーズに発現されるようにすることが出来る。
【0011】
また、本発明の第四の態様は、前記第二又は第三の態様に係るモータ駆動式排水弁において、前記電気モータの出力軸の軸方向端部と前記原動軸部材の軸方向端部を同一中心軸上で対向位置せしめて相対回動可能に連結するカップリング手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、バルブハウジングに対して固定的に支持された電気モータを利用して原動軸部材を支持させることが可能となり、原動軸部材の支持構造の簡略化が優れたスペース効率のもとに効果的に実現され得る。
【0012】
【0013】
【0014】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係るモータ駆動式排水弁であって、前記摩擦抵抗式伝動手段を構成する前記連結コイルスプリングにおいて、外力が及ぼされていない自由状態下でのコイル内径寸法を該連結コイルスプリングが巻き付けられた前記主動軸または前記副動軸の外径寸法よりも小さくして、該連結コイルスプリングをそれ自身が有する弾性力によって該主動軸または該副動軸に巻き締めた状態で装着したことを、特徴とする。このような本態様においては、連結コイルスプリングの締付力に基づく摩擦力を利用した駆動力の伝達効率が一層有利に且つ長期間に亘って確保され得ることとなる。
【0015】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に係るモータ駆動式排水弁において、前記バルブハウジングの軸方向基端部に前記従動部材を収容配置すると共に、該従動軸部材を覆って該バルブハウジング内に流入する水の該従動軸部材に対する接触を防止するシール筒体を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、駆動力伝達系への水の接触が回避されることにより耐久性の向上が図られ得るのであり、特に、従動部材に外挿装着される筒状のシール筒体を採用したことにより、可動弁体からバルブハウジング内を軸方向に延びる従動部材を含んで駆動力の伝達系を構成する各部材を効率的にシールすることが可能となるのである。
【0016】
【0017】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に係るモータ駆動式排水弁であって、前記クラッチ手段を構成する前記連繋コイルスプリングにおいて、外力が及ぼされていない自由状態下でのコイル内径寸法を前記連繋回転軸の外径寸法よりも大きくして、該連繋コイルスプリングをそれ自身が有する弾性力によって該連繋回転軸に巻き締めていない状態で装着したことを、特徴とする。このような本態様に係るモータ駆動式排水弁においては、電気モータからの回転駆動力の作用がなくなった状態下で、連繋コイルスプリングが、それ自体の弾性力に基づいて、駆動力を遮断する状態に保持され得るのであり、それによって、可動弁体の確実な返戻作動が実現可能となる。
【0018】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態態様に係るモータ駆動式排水弁において、前記フライホイルと同時に、且つ該フライホイルと逆方向に回転せしめられる第二のフライホイルを設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、衝撃的な外力作用に伴ってフライホイルに及ぼされる回転力と第二のフライホイルに及ぼされる回転力を相互の消失させることが出来るのであり、それ故、連結コイルスプリングを利用したクラッチ手段の作動の安定化が図られ得るのである。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1乃至図8には、本発明の一実施形態としての洗濯機用のモータ駆動式排水弁10が示されている。このモータ駆動式排水弁10は、モータハウジング12が一体的に組み付けられたバルブハウジング14を備えており、モータハウジング12には、電気モータ16,減速歯車列18および原動軸部材としての出力部材20が組み込まれていると共に、バルブハウジング14には、出力部材20,従動部材としてのスライダ22および可動弁体としての排水弁24が組み込まれている。そして、電気モータ16の回転駆動力を減速歯車列18を介して出力部材20に伝達し、出力部材20を回転駆動してスライダ22を変位せしめることにより排水弁24を開閉作動せしめるようになっている。
【0021】
より詳細には、モータハウジング12は、有底開口のボックス構造を有するハウジング本体26に対して、深さ方向の中間部分を仕切るように広がる第一の仕切板28と、開口部分を覆蓋するように広がる第二の仕切板30が組み付けられた構造とされている。そして、このハウジング本体26内の底部に電気モータ16が配設固定されており、第一の仕切板28より下方に収容されている。
【0022】
かかる電気モータ16は、特開2001−251893号公報等に記載されている公知の交流同期モータであって、ロータ32と円環形状のコイル34が巻回されたステータ36を備えている。ロータ32は、略円環ブロック形状の永久磁石38に出力軸40が固定された構造とされており、出力軸40の中心孔において、ステータ36の中心軸上に立設されたロータ支軸42に回転可能に外挿されている。そして、永久磁石38の外周面において周方向に交互に着磁されたN,S磁極と、ステータを構成する上下ステータ部材44,46に一体形成された上下磁極部48,50においてコイル34への交番電流の通電で発現されるN,S磁極との相互作用に基づいて、出力軸40において回転駆動力やディテント力が発揮されるようになっている。
【0023】
なお、出力軸40には、係止爪52が設けられていると共に、かかる係止爪52の近くには、係止爪52に対してロータ32の回転方向一方向で係止される係止部材54が一軸回りで揺動可能に配設されている。そして、これら係止爪52と係止部材54によって、ロータ32の回転方向を規定する逆転防止機構が構成されている。
【0024】
そして、電気モータ16は、上述の如きモータハウジング12への組付状態下で、その出力軸40に固着された出力ピニオン56が、第一の仕切板28に形成された切欠窓58を通じて、第一の仕切板28より上の空間に露出されている。
【0025】
また、減速歯車列18は、クラッチ手段としてのクラッチ機構60と摩擦抵抗式伝動手段としての回転力伝動機構62を含んで構成されている。
【0026】
クラッチ機構60は、回転駆動軸64,連繋コイルスプリング66,フライホイル68および連繋回転軸70を含んで構成されている。回転駆動軸64は駆動歯車72を有しており、かかる駆動歯車72が第一の仕切板28の切欠窓58から露出せしめられた出力ピニオン56に噛合されている。また、回転駆動軸64の上面中央部分には、ボス部74と円筒部76が同心軸上に位置せしめられるように固設されている。一方、連繋回転軸70は、全体として中実のロッド形状を有しており、軸方向下端面に開口する凹所78に回転駆動軸64に設けられたボス部74が内挿配置されて、回転駆動軸64に対して同一中心軸上で相対回転可能に配設されている。また一方、フライホイル68は、全体として薄肉円環板形状を有しており、中央部分に形成された中心孔において連繋回転軸70に外挿されて、連繋回転軸70の軸方向中央部分に形成された支持片80に載置された状態で配設されている。それによって、連繋回転軸70の軸方向上端部に設けられた連繋ピニオン82がフライホイル68の上方に突出せしめられている。また、連繋回転軸70には、ばね鋼等によって形成された連繋コイルスプリング66が外挿配置されている。この連繋コイルスプリング66は、外力が及ぼされていない自由状態下で、コイル内径寸法が連繋回転軸70の外径寸法よりも所定寸法だけ大きくされており、連繋回転軸70に外挿された状態下において、連繋コイルスプリング66と連繋回転軸70との間には、僅かな隙間が形成されている。また、連繋コイルスプリング66は、その一方の端部が回転駆動軸64の円筒部84に固定されていると共に、他方の端部がフライホイル68の下面から下方に突出せしめられている筒壁部86に固定されている。
【0027】
また、クラッチ機構60の近くには、第二のフライホイル88が配設されている。この第二のフライホイル88には、連動歯車90が設けられており、かかる連動歯車90がフライホイル68に設けられた連結歯車92に噛合されていることによって、第二のフライホイル88がフライホイル68の回転に伴って逆方向に回転せしめられるようになっている。
【0028】
また、回転力伝動機構62は、主動軸としての下側回転部材94,副動軸としての上側回転部材96および連結コイルスプリング98を含んで構成されている。下側回転部材94は、下側歯車100を備えており、かかる下側歯車100がクラッチ機構60を構成する連繋回転軸70に設けられた連繋ピニオン82に噛合されている。また、下側回転部材94の中央部分には、上方に突出する中央突部102が一体形成されている。一方、上側回転部材96は、上側ピニオン104を備えており、下側回転部材94の中央突部102に載置された状態で配設されている。また、下側回転部材94の中央突部102には、ばね鋼等によって形成された連結コイルスプリング98が外挿配置されている。この連結コイルスプリング98は、外力が及ぼされていない自由状態下で、コイル内径寸法が中央突部102の外径寸法よりも所定寸法小さくされており、それによって、中央突部102に外挿された状態下において、連結コイルスプリング98自身の弾性に基づいて連結コイルスプリング98が略全長に亘って中央突部102に巻きつけられている。また、連結コイルスプリング98は、その一方の端部が上側回転部材96の外周縁部から下方に突出形成された筒部106に固定されていると共に、他方の端部が固定されていない状態とされている。
【0029】
また、回転力伝動機構62の近くには、出力部材20が配設されている。この出力部材20は、全体として厚肉の円筒形状を有する出力軸108を備えており、かかる出力軸108の外周面には、軸方向一方から他方に向かって略一定の断面形状で螺旋状に延びる複数条(本実施形態では2条)の案内溝110が形成されている。また、出力部材20には、出力軸108の軸方向一方の端部において、出力歯車112が設けられており、かかる出力歯車112が上側ピニオン104に噛合されている。更に、出力部材20には、カム部114が設けられており、かかるカム部114には、径方向外方に突出するカム突起116が設けられている。
【0030】
また、出力部材20の近くには、係合部材としてのカムレバー118が配設されている。このカムレバー118は、円筒形状の軸部の上端部から径方向外方に摺接部120が突設せしめられていると共に、軸部の下端部から径方向外方に当接部122が突設せしめられた構造とされており、本実施形態では、摺接部120と当接部122の突出方向は互いに異なる径方向に設定されている。
【0031】
また、カムレバー118の近くには、板ばね124が長手方向一方の端部が第一の仕切板28に設けられた固定部126で支持されて配設されており、かかる配設状態下において、板ばね124がカムレバー118の摺接部120に当接されていることにより、カムレバー118の摺接部120が出力部材20のカム部114に常時摺接されるようになっている。
【0032】
このような構造とされたクラッチ機構60,第二のフライホイル88,回転力伝動機構62およびカムレバー118の上方に第二の仕切板30が配設されている。そして、クラッチ機構60の支軸128が電気モータ16の上側ステータ部材44と第二の仕切板30の間に配設されることによって、また、第二のフライホイル88の支軸130および回転力伝動機構62の支軸132が、それぞれ、第一の仕切板28と第二の仕切板30の間に配設されることによって、更に、カムレバー118の軸部の中心孔に挿通されて、カムレバー118を一軸回りに揺動可能にする第一の仕切板28に一体形成された支軸部134の突出先端部分が第二の仕切板30に設けられた凹部136に嵌め込まれることによって、第二の仕切板30がハウジング本体26の開口部分を覆蓋するように配設されている。このように第二の仕切板30が配設された状態下において、出力部材20は、出力軸108が第二の仕切板30に形成された貫通孔138に挿通されて上方に突出せしめられた状態とされていると共に、軸方向下端部が第一の仕切板28に設けられた筒状部140に挿通されており、それによって、出力部材20が一軸回りに回転可能に配設されている。そこにおいて、本実施形態では、出力軸108の案内溝110,110は、第二の仕切板30から上方に突出せしめられた部分の全体に亘って形成されている。また、第一の仕切板28における出力部材20の軸方向下端部を支持している筒状部140が形成された側と反対側には、ロータ支軸42の上端部が支持されており、それによって、出力部材20の回転中心軸が出力ピニオン56の回転中心軸と略一致せしめられている。このことから明らかなように、本実施形態では、第一の仕切板28によってカップリング手段が構成されている。更に、第二の仕切板30には、出力軸108と同心軸上に位置せしめられるようにして筒状のガイド部142が上方に突出するようにして一体形成されており、筒状のガイド部142の内周面側には、径方向内方に開口して径方向一方向で対向位置せしめられる一対のガイド溝144,144が形成されている。
【0033】
また、出力軸108とガイド部142の径方向対向面間には、スライダ22が配設されている。このスライダ22は、全体として薄肉の円筒形状を呈しており、軸方向一方の端部の内周面側には、径方向内方に突出する滑動子としての一対の摺接突起146,146が径方向一方向で対向位置せしめられるようにして一体形成されていると共に、軸方向一方の端部の外周面側には、径方向一方向で対向位置せしめられる位置において、径方向外方に突出する一対のガイド突起148,148が一体形成されている。また、軸方向他方の端部には、径方向外方に突出する円環形状の係止片150が一体形成されている。このような構造とされたスライダ22は、軸方向一方(係止片150が形成されていない方)の側から出力軸108に外挿されて、且つ、ガイド部142に内挿されることによって、出力軸108とガイド部142の径方向対向面間に配設されており、かかる配設状態下において、一対の摺接突起146,146は、それぞれ、出力軸108の外周面上に設けられた螺旋状の案内溝110,110内に位置せしめられていると共に、一対のガイド突起148,148は、それぞれ、ガイド部142に設けられた一対のガイド溝144,144内に位置せしめられている。そして、出力軸108の回転に伴って螺旋状の案内溝110,110でスライダ22に設けられた一対の摺接突起146,146が案内されることによりスライダ22が軸方向に移動可能とされており、特に本実施形態では、スライダ22は、出力軸108の回転により軸方向上方から下方に向かって移動せしめられるようになっている。そこにおいて、本実施形態では、ガイド部142のガイド溝144,144内にガイド突起148,148が位置せしめられていることから、出力軸108の回転に伴うスライダ22の回転が有利に防止されて、スライダ22の軸方向の変位が安定して生ぜしめられるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、一対の摺接突起146,146を備えたスライダ22と螺旋状の案内溝110,110を備えた出力部材20によって運動変換手段が構成されていると共に、ガイド溝144,144とガイド突起148,148によってガイド機構が構成されている。また、付勢手段としてのコイルスプリング152がスライダ22の係止片150と第二の仕切板30の対向面間においてガイド部142に外挿配置されている。
【0034】
また、スライダ22の係止片150には、排水弁24が取り付けられている。この排水弁24は、略逆カップ形状の本体部154を備えており、かかる本体部154の筒状部156の内側に設けられた係止溝158に対してスライダ22の係止片150が嵌め込まれている。それによって、スライダ22の軸方向の変位に伴って排水弁24が軸方向で変位せしめられるようになっている。また、本体部154の上底部160は、その中央部分が軸方向上方に向って半球状に突出せしめられていると共に、その外周縁部には、筒状の当接部162が一体形成されている。更に、本体部154の開口側端部には、スライダ22およびガイド部142を覆うようにして蛇腹状のシール筒体164が一体形成されており、かかる蛇腹状のシール筒体164の軸方向下端部、即ち、本体部154の筒状部156に接続されていない側の端部には、径方向外方に突出する円環形状のフランジ部166が一体形成されている。
【0035】
そして、このような構造とされた排水弁24を覆うようにしてバルブハウジング14が配設されている。このバルブハウジング14は、全体として逆向きの有底円筒形状とされており、上底部168には、第一の通水口170が形成されていると共に、上底部168近くの周壁部には、第二の通水口172が形成されている。そして、第一の通水口170が洗濯機の洗濯槽に接続されるようになっている一方、第二の通水口172が外部に接続されるようになっている。なお、本実施形態では、第二の通水口172において、洗濯機の脱水槽に接続される脱水槽用接続口が設けられている。また、バルブハウジング14の開口部には、径方向外方に突出する外フランジ部176が一体形成されていると共に、かかる外フランジ部176には、周上の複数箇所において切欠178が形成されている。このような構造とされたバルブハウジング14は、外フランジ部176における切欠178が形成されていない部分が、ハウジング本体26の開口部分に形成された複数の内方突部180における隣接する内方突部180,180の間から挿通されて、外フランジ部176が第二の仕切板30に重ね合わせられた後、バルブハウジング14が周方向一方向に回転せしめられて、外フランジ部176が内方突部180と第二の仕切板30の間で挟圧保持せしめられることにより、モータハウジング12に一体的に組み付けられており、それによって、バルブハウジング14内に排水弁24が位置せしめられるようになっている。また、このようにバルブハウジング14がモータハウジング12に組み付けられた状態下において、シール筒体164のフランジ部166が、バルブハウジング14の軸方向下端面と第二の仕切板30の外周縁部の間で挟圧保持されている。これによって、シール筒体164に覆われているスライダ22およびガイド部142に対するバルブハウジング14内に流入した水の接触が防止されて、モータ駆動式排水弁10の耐久性が向上され得る。
【0036】
さらに、排水弁24の半球状に突出せしめられた上底部160中央部分が第一の通水口170内に位置せしめられていると共に、当接部162が上底部160、即ち、第一の通水口170の開口周縁部に当接せしめられており、それによって、第一の通水口170が閉塞されている。このように排水弁24によって第一の通水口170が閉塞されている状態下では、コイルスプリング152は、スライダ22の係止片150と第二の仕切板30の対向面間で圧縮された状態とされており、それによって、スライダ22、延いては排水弁24に対して、常時上方への付勢力が及ぼされるようになっている。そして、電気モータ16の回転駆動力によって出力部材20が回転せしめられて、スライダ22がコイルスプリング15の付勢力に抗して出力軸108の基端部側に変位せしめられ、スライダ22の下端面が第二の仕切板30に当接せしめられた状態下では、バルブハウジング14内で第一の通水口170が第二の通水口172に連通せしめられるようになっている。
【0037】
そして、このような構造とされたモータ駆動式排水弁10は、バルブハウジング14に一体形成された取付片182を介して洗濯機本体に取り付けられるようになっている。
【0038】
続いて、このような構造とされたモータ駆動式排水弁10の作動について、図9乃至図14に基づいて、説明する。先ず、電気モータ16に電源が接続されていない状態下では、図9に示されているように、スライダ22は、コイルスプリング152の付勢力によって軸方向上方に位置せしめられており、それによって、スライダ22の係止片150に組み付けられた排水弁24における当接部162がバルブハウジング14の上底部168に圧接されている。ここにおいて、本実施形態では、このように排水弁24の当接部162がバルブハウジング14の上底部168に圧接された状態を初期位置とする。また、このように排水弁24が初期位置に位置せしめられた状態下では、図10に示されているように、カムレバー118の摺接部120が出力部材20のカム部114におけるカム突起116が形成されていない部分に摺接せしめられており、それによって、カムレバー118の当接部122が連結コイルスプリング98の他方の端部に当接しない状態に位置せしめられて、連結コイルスプリング98が下側回転部材94の中央突部102に巻きついた状態で下側回転部材94と一体的に回転することが許容されるようになっている。
【0039】
そして、モータ駆動式排水弁10に電源が接続されると、電気モータ16のコイル34に通電されて、ロータ32が回転せしめられることとなり、出力ピニオン56に噛合された駆動歯車72を有する回転駆動軸64が連繋回転軸70に外挿された連繋コイルスプリング66を、連繋コイルスプリング66自身が有する弾性力に抗して、巻き締める方向に回転駆動せしめることとなる。その際、連繋コイルスプリング66には、フライホイル68及びフライホイル68と共に回転せしめられる第二のフライホイル88の慣性力が作用することととなり、加速時だけでなく、定速回転時においても、連繋コイルスプリング66には、巻き締め方向の力が及ぼされることとなる。その結果、図11に示されているように、連繋コイルスプリング66が連繋回転軸70に巻き締められて、回転駆動軸64と連繋回転軸70が連繋コイルスプリング66を介して相互に実質的に一体的に連結された状態となって、回転駆動せしめられる。それによって、出力ピニオン56の回転駆動力が連繋回転軸70に設けられた連繋ピニオン82を介して下側回転部材94に伝達されて、下側回転部材94が中央突部102に巻き付けられた連結コイルスプリング98を巻き締める方向に回転駆動せしめられる。その結果、下側回転部材94と上側回転部材96が連結コイルスプリング98を介して相互に実質的に一体的に連結された状態となって、回転駆動せしめられることとなる。それによって、出力ピニオン56の回転駆動力がクラッチ機構60および回転力伝動機構62を介して出力部材20に伝達されて、出力部材20が回転せしめられることとなり、かかる出力部材20の回転に伴って、出力軸108に設けられた螺旋状の案内溝110,110で一対の摺接突起146,146が案内されることにより、スライダ22がコイルスプリング152の付勢力に抗して軸方向上方から下方に向って変位せしめられる。その結果、スライダ22の係止片150に組み付けられた排水弁24が初期位置から作動位置に向って付勢力に抗して駆動変位せしめられるようになっている。また、かかる状態下では、カムレバー118の摺接部120は、出力部材20のカム部114の筒状外周面、即ち、カム突起116が形成されていない部分を摺動せしめられる。
【0040】
そして、図12に示されているように、スライダ22の軸方向下端面が第二の仕切板30に当接せしめられるまで、排水弁24が軸方向下方に駆動せしめられると、図13に示されているように、出力部材20に設けられたカム突起116にカムレバー118の摺接部120が摺接せしめられることとなり、それによって、カムレバー118が板ばね124の付勢力に抗して揺動せしめられ、カムレバー118に設けられた当接部122が連結コイルスプリング98の他方の端部、即ち、固定されていない側の端部に当接せしめられる。その結果、連結コイルスプリング98の中央突部102への締め付けが緩むこととなり、連結コイルスプリング98に対して下側回転部材94の中央突部102が摺動せしめられて、上側回転部材96が下側回転部材94と一体的に回転しないようになる。それ故、排水弁24は、コイルスプリング152の付勢力によって初期位置に向って返戻作動しようとするが、連結コイルスプリング98に対して下側回転部材94の中央突部102が摺動せしめられることにより、電気モータ16の回転駆動力が連結コイルスプリング98を介して上側回転部材96に伝達されて、上側回転部材96の逆回転が阻止されることとなり、それによって、排水弁24のコイルスプリング152の付勢力による軸方向上方への変位が阻止されて、スライダ22の軸方向下端部が第二の仕切板30に当接された状態で保持されるようになっている。ここにおいて、本実施形態では、スライダ22の軸方向下端部が第二の仕切板30に当接された状態が排水弁24の作動位置とされており、排水弁24がかかる作動位置に保持された状態で排水が行われるようになっている。
【0041】
そして、所定時間が経過した後に、電気モータ16への給電が中止されると、電気モータ16の回転駆動力が下側回転部材94に伝達されなくなり、一対の摺接突起146,146が螺旋状の案内溝110,110で案内されることによりスライダ22がコイルスプリング152の付勢力によって軸方向上方に向って変位せしめられるようになっている。そこにおいて、本実施形態では、電気モータ16への給電が中止されると、電気モータ16のロータ32が磁力の制動作用によって極めて短い時間で停止されることとなり、かかる停止時に、クラッチ機構60に制動力が及ぼされることとなる。即ち、かかる制動力が逆転力となって連繋コイルスプリング66に対して締め付け方向とは反対方向に作用することとなり、図14に示されているように、連繋コイルスプリング66が連繋回転軸70から緩むようになる。特に本実施形態では、連繋コイルスプリング66の一方の端部がフライホイル68の筒壁部86に固定されていることから、フライホイル68および第二のフライホイル88の慣性モーメントの作用で連繋コイルスプリング66を緩める力が有利に得られる。加えて、本実施形態では、連繋コイルスプリング66自身が有する弾性力によっても、連繋コイルスプリング66が連繋回転軸70から緩められるようになっている。そして、連繋コイルスプリング66が連繋回転軸70から緩むことによって連繋回転軸70が動力伝達系でロータ32から独立せしめられてフリーの状態となり、連繋ピニオン82に対する電気モータ16のディテントトルクの作用が回避される。
【0042】
その結果、出力軸40がフリー回転せしめられることとなり、一対の摺接突起146,146が案内溝110,110内を摺動しつつ、スライダ22がコイルスプリング152の付勢力によって軸方向上方に向って変位せしめられる。また、かかる返戻作動の際には、出力部材20が逆回転せしめられることに伴って上側回転部材96も逆方向に回転せしめられることとなり、それによって、上側回転部材96に一方の端部が固定された連結コイルスプリング98が下側回転部材94の中央突部102の筒状外周面を摺動せしめられ、かかる摺動抵抗により、スライダ22、延いては排水弁24が時間的に緩やかに返戻作動せしめられる。
【0043】
このような構造とされたモータ駆動式排水弁10は、排水弁24と排水弁24を駆動する電気モータ16と電気モータ16の駆動力を排水弁24に及ぼす駆動力の伝達系が組み込まれた一体構造とされていることから、取扱いや取付の作業が極めて容易となり、しかも、全体サイズのコンパクト化が図られ得ることから、洗濯機本体に対する取付スペースも小さく抑えることが出来る。
【0044】
また、本実施形態では、電源のON/OFFという簡単な制御によって、排水弁24を作動位置に保持することが出来ることから、モータ駆動式排水弁10自体の構造の簡略化が図られ得る。
【0045】
また、本実施形態では、出力部材20によって駆動される駆動対象が排水弁24のみとされていることから、モータ駆動式排水弁10に要求される駆動力を小さくすることが可能となり、排水弁24の返戻作動時において、連結コイルスプリング98の中央突部102への摺動抵抗のみで排水弁24の返戻作動を時間的に緩やかにすることが可能となって、ガバナ機構を別途設ける必要がなくなる。
【0046】
さらに、本実施形態では、フライホイル68と逆方向に回転せしめられる第二のフライホイル88が設けられていることから、衝撃的な外力作用に伴ってフライホイル68に及ぼされる回転力と第二のフライホイル88に及ぼされる回転力を相互に消失させることが出来るのであり、クラッチ機構60の作動の安定化が図られ得る。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0048】
例えば、前記実施形態では、電気モータとして交流同期モータが採用されていたが、本発明において、採用される交流同期モータのコイルの数等の具体的構造は、かかる実施形態の記載等によって、何等、限定されるものではない。また、減速歯車列の構造や各歯車対の減速比の他、減速歯車列を構成する歯車の数等は、前記実施形態のものに限定されるものではない。
【0049】
また、前記実施形態では、出力部材として外周面に螺旋状の案内溝が形成された出力軸を備えたものが採用されていたが、出力部材としてラックレバーを採用することも可能であり、その場合には、ラックレバーの突出先端部をバルブハウジング内に位置せしめると共に、かかる突出先端部に排水弁を固定的に組付ける態様が好適に採用される。
【0050】
さらに、前記実施形態では、電気モータとして交流同期モータが採用されていたが、本発明において採用され得る電気モータは、交流同期モータに限定されることなく、従来から公知のDCモータの他、同期モータや誘導モータ等のACモータが何れも採用可能である。
【0051】
加えて、前記実施形態では、本発明を洗濯機の排水弁の開閉のための駆動源に適用したものの一具体例を示したが、本発明は、その他、食洗機の排水弁の駆動源等に適用することも可能である。
【0052】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたモータ駆動式排水弁においては、可動弁体と可動弁体を駆動する電気モータと電気モータの駆動力を排水弁に及ぼす駆動力の伝達系が組み込まれた一体構造とされていることから、取扱いや取付の作業が極めて容易となり、しかも、全体サイズのコンパクト化が図られ得ることから、取り付けスペースも小さく抑えることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態としてのモータ駆動式排水弁の内部構造を示す平面図である。
【図2】 図1に示されたモータ駆動式排水弁の一部分の組み立て説明図である。
【図3】 図1に示されたモータ駆動式排水弁の他の部分の組み立て説明図である。
【図4】 図1に示されたモータ駆動式排水弁の一部分の組み立て分解図である。
【図5】 図1に示されたモータ駆動式排水弁の他の部分の組み立て分解図である。
【図6】 図1に示されたモータ駆動式排水弁の正面図である。
【図7】 図1に示されたモータ駆動式排水弁の側面図である。
【図8】 図1に示されたモータ駆動式排水弁の底面図である。
【図9】 図1に示されたモータ駆動式排水弁によって駆動される排水弁が初期位置に位置せしめられた状態を示す断面図である。
【図10】 図1に示されたモータ駆動式排水弁を構成するカムレバーの作動状態を示す平面図である。
【図11】 図1に示されたモータ駆動式排水弁を構成するクラッチ手段の作動状態を示す断面図である。
【図12】 図1に示されたモータ駆動式排水弁によって駆動される排水弁が作動位置に位置せしめられた状態を示す断面図である。
【図13】 図1に示されたモータ駆動式排水弁を構成するカムレバーの他の作動状態を示す平面図である。
【図14】 図1に示されたモータ駆動式排水弁を構成するクラッチ手段の他の作動状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 モータ駆動式排水弁
14 バルブハウジング
16 電気モータ
20 出力部材
22 スライダ
24 排水弁
60 クラッチ機構
152 コイルスプリング

Claims (8)

  1. 軸方向先端部に開口する第一の通水口を有すると共に、軸方向先端部近くの周壁部に開口する第二の通水口を有し、洗濯機等の貯水槽を備えた装置本体に取り付けられる筒形のバルブハウジングと、
    該バルブハウジング内で軸方向に往復移動可能に配されて、軸方向先端側への移動により前記第一の通水口を閉塞する一方、軸方向基端側への移動により該第一の通水口を前記第二の通水口に該バルブハウジング内で連通せしめる可動弁体と、
    該可動弁体を前記バルブハウシング内で軸方向先端側に向かって付勢する付勢手段と、
    前記バルブハウジングに対して固定的に取り付けられた電気モータと、
    前記可動弁体から前記バルブハウジングの軸方向基端側に延び出して配設されて該可動弁体と一体的に該バルブハウジングの軸方向に移動せしめられる従動部材と、
    前記電気モータの回転駆動力を直線運動に変換して前記従動部材に伝達せしめることとにより、前記可動弁体を前記付勢手段による付勢力に抗して前記バルブハウジングの軸方向に駆動する運動変換手段と、
    前記電気モータから前記運動変換手段に回転駆動力を及ぼす回転駆動力の伝達経路上に配されて回転駆動力を伝達/遮断せしめるクラッチ手段とを、
    有すると共に、
    前記電気モータから前記運動変換手段に回転駆動力を及ぼす回転駆動力の伝達経路上に、該電気モータの回転駆動力を該運動変換手段に対して所定の摩擦抵抗のもとに伝達する摩擦抵抗式伝動手段を配して、該電気モータの回転作動状態下で、前記可動弁体を、前記付勢手段による付勢力に抗して前記バルブハウジング内での軸方向先端側の移動端から軸方向基端側の移動端まで駆動変位せしめると共に、かかる軸方向基端側の移動端に保持せしめるようにして、
    前記電気モータから前記運動変換手段に回転駆動力を及ぼす回転駆動力の伝達経路上において、該電気モータで回転駆動せしめられる主動軸に対して副動軸を同一中心軸上で相対回転可能に配設すると共に、該主動軸と該副動軸の何れか一方に巻き付けた連結コイルスプリングの一端部をそれら主動軸と副動軸の他方に係止して、該主動軸の該電気モータによる回転駆動力を該連結コイルスプリングの巻き締め力を利用して該副動軸から前記運動変換手段に伝達せしめるようにする一方、該運動変換手段を介しての前記従動部材の移動に伴って前記可動弁体が前記バルブハウジング内で軸方向基端側に変位せしめられた際に該連結コイルスプリングの他端部に係合して該連結コイルスプリングを緩ませる係合部材を設けて、該係合部材の係合により緩ませた該連結コイルスプリングの摺動抵抗を利用して該主動軸の回転駆動力を該副動軸に伝達せしめて、該可動弁体を前記付勢手段の付勢力に抗して位置保持せしめるようにすることによって、前記摩擦抵抗式伝動手段を構成して、
    前記電気モータにより回転せしめられる回転駆動軸に対して連繋コイルスプリングを介してフライホイルを連結すると共に、該回転駆動軸と同一中心軸上に配設された連繋回転軸に該連繋コイルスプリングを巻き付けることによって、前記クラッチ手段を構成し、該回転駆動軸が回転駆動せしめられることにより該連繋コイルスプリングが該連繋回転軸に巻き締められて該回転駆動軸と該連繋回転軸が一体的に回転せしめられるようにすると共に、該電気モータの作動停止により該回転駆動軸の回転が停止せしめられることにより該連繋コイルスプリングが該連繋回転軸から緩んで該回転駆動軸に対する該連繋回転軸の相対回転が許容されるようにしたことを特徴とするモータ駆動式排水弁。
  2. 円筒形外周面に螺旋状の案内溝を有する原動軸部材を前記バルブハウジングの基端側で略同軸上に配して中心軸回りに回動可能で且つ軸方向に移動不能に支持せしめる一方、前記従動部材に対して、該原動軸部材の該案内溝に滑動可能に係合する滑動子を設けて、該原動軸部材の回動作動に伴って該滑動子が該原動軸部材の軸方向に移動せしめられるようにすることにより、前記運動変換手段を構成した請求項1に記載のモータ駆動式排水弁。
  3. 前記従動部材として、前記可動弁体に固定されて前記原動軸部材に向かって延び出し、該原動軸部材に対して外挿される筒状スライダを採用し、該筒状スライダの内周面に前記滑動子を突設すると共に、該筒状スライダの中心軸回りの回転を阻止して軸方向に案内するガイド機構を設けた請求項2に記載のモータ駆動式排水弁。
  4. 前記電気モータの出力軸の軸方向端部と前記原動軸部材の軸方向端部を同一中心軸上で対向位置せしめて相対回動可能に連結するカップリング手段を設けた請求項2又は3に記載のモータ駆動式排水弁。
  5. 前記摩擦抵抗式伝動手段を構成する前記連結コイルスプリングにおいて、外力が及ぼされていない自由状態下でのコイル内径寸法を該連結コイルスプリングが巻き付けられた前記主動軸または前記副動軸の外径寸法よりも小さくして、該連結コイルスプリングをそれ自身が有する弾性力によって該主動軸または該副動軸に巻き締めた状態で装着した請求項1乃至4の何れかに記載のモータ駆動式排水弁。
  6. 前記バルブハウジングの軸方向基端部に前記従動部材を収容配置すると共に、該従動部材を覆って該バルブハウジング内に流入する水の該従動部材に対する接触を防止するシール筒体を設けた請求項1乃至の何れかに記載のモータ駆動式排水弁。
  7. 前記クラッチ手段を構成する前記連繋コイルスプリングにおいて、外力が及ぼされていない自由状態下でのコイル内径寸法を前記連繋回転軸の外径寸法よりも大きくして、該連繋コイルスプリングをそれ自身が有する弾性力によって該連繋回転軸に巻き締めていない状態で装着した1乃至6の何れかに記載のモータ駆動式排水弁。
  8. 前記フライホイルと同時に、且つ該フライホイルと逆方向に回転せしめられる第二のフライホイルを設けた請求項1乃至7の何れかに記載のモータ駆動式排水弁。
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