JP4450216B2 - スタータ - Google Patents
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Description
さらに、焼き付きや摩耗を防止する目的で、例えば、電機子軸の段差と軸受の端面との間にワッシャを挿入して、ワッシャとの相対回転を小さくする方法が知られている。
また、軸端部を太くして軸受をサイズアップする方法では、電機子軸の中間部分と軸端部との段差を確保するために、電機子軸の外径が必要以上に大きくなり、電機子の重量増加を招く。特に、軽量化が望まれる近年のスタータでは、電機子の重量増加は大きな問題となる。また、軸受をサイズアップすると、その軸受を支持するフレーム側の設計変更も必要となるため、コストアップは避けられない。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、電機子軸の軸方向の振動を抑制することで、電機子のスラスト荷重を低減できるスタータを提供することにある。
本発明は、電機子に回転力を発生するモータと、電機子の回転を減速する減速装置とを備え、モータは、電機子軸の一端側の外周に絶縁部材によって保持された複数の整流子片を円筒状に配置して構成される整流子と、この整流子の表面上に配置され、電機子の回転によって整流子の表面上を摺動するブラシとを有するスタータにおいて、整流子の表面には、回転方向に平行な複数の凹凸形状が形成され、電機子軸は、モータのエンドフレームに設けられた軸受け部の内周に圧入される軸受を介して一端側の端部(軸端部と呼ぶ)が回転自在に支持され、且つ、絶縁部材を支持する本体軸部の外径より軸端部の外径の方が小さく設けられて、本体軸部と軸端部との間に段差が形成され、軸受は、潤滑油を含浸させた含浸軸受であり、軸方向の一端から他端まで外径が同一寸法を有する円筒形状に設けられ、且つ、軸方向の一端面がエンドフレームの端面に当接した状態で、軸方向の他端面(軸受端面と呼ぶ)が軸受け部の軸方向端面より電機子側へ突出しており、電機子軸に形成された段差と軸受端面とが軸方向に当接可能に設けられていることを特徴とする。
また、整流子の表面に複数の凹凸形状を形成することにより、整流子とブラシとの接触面積が増大すると共に、整流子の表面に形成された凹凸形状にブラシが食い込むことで、両者の接触状態が安定化するため、モータの出力アップにも寄与する。
請求項1に記載したスタータにおいて、減速装置は、電機子軸の他端側に形成された太陽ギヤと、この太陽ギヤに噛み合う遊星ギヤとを有し、電機子の回転により遊星ギヤが太陽ギヤの周囲を公転しながら自転する遊星歯車機構によって構成されていることを特徴とする。
遊星歯車機構によって構成される減速装置では、太陽ギヤと遊星ギヤとの噛み合いによって電機子の軸方向振動を抑制する力が働くため、軸受に掛かるスラスト荷重を低減できる効果が得られる。
本発明は、電機子に回転力を発生するモータと、電機子軸と同一軸線上に配置される出力軸と、電機子軸と出力軸との間に設けられ、電機子軸の回転を減速して出力軸に伝達する遊星歯車減速装置と、出力軸の外周にヘリカルスプライン結合されるクラッチと、出力軸上にクラッチと一体に構成され、モータの駆動トルクがクラッチを介して伝達されるピニオンギヤとを備え、モータは、電機子軸の反減速装置側である一端側の外周に絶縁部材によって保持された複数の整流子片を円筒状に配置して構成される整流子と、この整流子の表面上に配置され、電機子の回転によって整流子の表面上を摺動するブラシとを有するスタータにおいて、整流子の表面には、回転方向に平行な複数の凹凸形状が形成され、電機子軸は、モータのエンドフレームに設けられた軸受け部の内周に圧入される軸受を介して一端側の端部(軸端部と呼ぶ)が回転自在に支持され、且つ、絶縁部材を支持する本体軸部の外径より軸端部の外径の方が小さく設けられて、本体軸部と軸端部との間に段差が形成され、軸受は、潤滑油を含浸させた含浸軸受であり、軸方向の一端から他端まで外径が同一寸法を有する円筒形状に設けられ、且つ、軸方向の一端面がエンドフレームの端面に当接した状態で、軸方向の他端面(軸受端面と呼ぶ)が軸受け部の軸方向端面より電機子側へ突出しており、電機子軸に形成された段差と軸受端面とが軸方向に当接可能に設けられていることを特徴とする。
また、電機子軸と出力軸との間に遊星歯車減速装置を設けることにより、その減速装置に使用されるギヤ同士の噛み合いによって電機子の軸方向振動を抑制する力が働くため、軸受に掛かるスラスト荷重を低減できる効果が得られる。
更に、整流子の表面に複数の凹凸形状を形成することにより、整流子とブラシとの接触面積が増大すると共に、整流子の表面に形成された凹凸形状にブラシが食い込むことで、両者の接触状態が安定化するため、モータの出力アップにも寄与する。
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、整流子の表面に形成された凹凸形状は、断面V字状に形成されていることを特徴とする。
この場合、電機子が軸方向に移動して、整流子の表面からブラシが浮き上がると、ブラシを整流子の表面に付勢する力(ブラシスプリングの荷重)が、断面V字状に形成された凹凸形状の側面に作用して、整流子を軸方向に押圧する分力が働く。この分力が電機子を原点に戻す力として働くため、電機子の軸方向振動を抑制できる。
実施例1に示すスタータ1は、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転を減速する減速装置3と、この減速装置3を介してモータ2の駆動トルクが伝達される出力軸4と、この出力軸4の外周にクラッチ5と一体化して配置されるピニオンギヤ6と、シフトレバー7を介してクラッチ5とピニオンギヤ6を反モータ方向(図1の左方向)へ押し出す働きを有すると共に、モータ2の通電回路に接続されるメイン接点(図示せず)を開閉する電磁スイッチ8等より構成される。
モータ2は、ヨーク9の内周に永久磁石10(界磁コイルでも良い)を配置して構成される界磁と、この界磁の内側に回転自在に配置される電機子11とを備え、界磁に発生する電磁力によって電機子11に回転力を発生する周知の直流電動機である。
トルクリミッタは、摩擦力によって回転規制された回転ディスク13を有し、この回転ディスク13が内歯ギヤ3bに連結されている。このトルクリミッタは、回転ディスク13の静止トルクを超える過大トルクが内歯ギヤ3bに加わると、回転ディスク13が摩擦力に抗して滑る(回転する)ことにより、内歯ギヤ3bの回転を許容して、過大トルクの伝達を遮断することができる。
クラッチ5は、出力軸4に形成されたヘリカルスプライン4aに嵌合して出力軸4上を移動可能に配置され、エンジン始動時に出力軸4の回転をピニオンギヤ6に伝達すると共に、ピニオンギヤ6がエンジンによって回された時、つまりピニオンギヤ6の回転速度が出力軸4の回転速度を上回った時に、ピニオンギヤ6の回転が出力軸4に伝わらない様に、両者間の動力伝達を遮断する一方向クラッチとして構成されている。
電磁スイッチ8は、始動スイッチ(図示せず)の閉操作によってバッテリから通電される励磁コイル(図示せず)と、この励磁コイルの内側を可動するプランジャ(図示せず)とを備え、励磁コイルへの通電によって電磁石が形成されると、その電磁石にプランジャが吸引されてメイン接点を閉操作する。また、励磁コイルへの通電が停止して電磁石の吸引力が消滅すると、図示しないリターンスプリングの反力にプランジャが押し戻されて、メイン接点を開操作する。
モータ2の電機子軸12は、一端側の端部12aが、エンドフレーム17に設けられた軸受け部17aに軸受18を介して回転自在に支持され、他端側の端部12bが、減速装置3の回転軸部3dに軸受19を介して相対回転可能に支持されている。また、電機子軸12は、電機子鉄心20が圧入状態でセレーション嵌合する本体軸部12cより、両軸受18、19に支持される両端部12a、12bの方が細く設けられ、本体軸部12cと両端部12a、12bとの間にそれぞれ段差12d(図2参照)が形成されている。
電機子軸12の一端側の端部12a(本発明の軸端部)を支持する軸受18は、軸受け部17aの内周に圧入されて、軸方向の一端面(図示右端面)がエンドフレーム17の端面に当接して位置決めされ、軸方向の他端面(本発明の軸受端面)が、軸受け部17aの軸方向端面より若干、電機子側(図1の左側)へ突出している。また、電機子軸12の他端側の端部12bを支持する軸受19は、回転軸部3dの内周に圧入され、軸方向の一端面が回転軸部3dの端面より少し引っ込んでいる。
整流子22の表面(整流子面と呼ぶ)には、回転方向に整流子面を一周する凹凸24が形成され、この凹凸24が整流子面の幅方向(図2の左右方向)に連続して複数本設けられている。なお、実施例1に示す凹凸24は、断面V字状の凹部と断面逆V字状の凸部とで形成される。
整流子面の外周には、複数のカーボンブラシ25が配置され、ブラシスプリング26(図1参照)によって整流子面に押圧されている。
始動スイッチの閉操作により、電磁スイッチ8の励磁コイルに通電されて電磁石が形成されると、その電磁石にプランジャが吸引されて、図1の右方向へ移動する。このプランジャの移動がシフトレバー7を介してクラッチ5に伝達されると、クラッチ5がピニオンギヤ6と一体に出力軸4上を反モータ方向へ移動して、ピニオンギヤ6の端面がリングギヤの端面に当接して停止する。
また、プランジャが押し戻されると、エンジン始動時と反対方向にシフトレバー7が揺動するため、クラッチ5とピニオンギヤ6が一体に出力軸4上を後退して、図1に示す停止位置まで移動する。
実施例1に示すスタータ1では、整流子面上をブラシ25が摺動する際に、整流子面に形成された複数本の凹凸24にブラシ25が食い込むことにより、電機子11の軸方向振動が抑制される。即ち、図2に示す様に、電機子11が(a)に示す停止位置から軸方向に所定量Δxだけ移動すると、(b)に示す様に、整流子22とブラシ25との相対位置が軸方向にずれるため、整流子面に形成された凹凸24からブラシ25が少し浮き上がった状態となる。この時、図3に示す様に、ブラシスプリング26の荷重Fsが、凹凸24の側面(傾斜面)に作用して、その傾斜面を軸方向に押圧する分力Faが生じる。この分力Faが電機子11を原点(停止位置)に押し戻す力として働くことにより、電機子11の軸方向振動が抑制される。なお、図中のFbは、凹凸24の傾斜面に垂直に働く荷重分力である。
また、整流子面に複数本の凹凸24を形成することにより、整流子22とブラシ25との接触面積が増大し、且つ凹凸24にブラシ25が食い込むことで、整流子22とブラシ25との接触状態が安定化するため、モータ2の出力アップにも寄与する。
2 モータ
3 減速装置(遊星歯車減速装置)
3a 太陽ギヤ
3c 遊星ギヤ
4 出力軸
5 クラッチ
6 ピニオンギヤ
11 電機子
12 電機子軸
12a 電機子軸の一端側の端部
12b 電機子軸の他端側の端部
12c 電機子軸の本体軸部
12d 電機子軸の段差
18 軸受
19 軸受
20 電機子鉄心
22 整流子
24 凹凸(凹凸形状)
25 ブラシ
Claims (4)
- 電機子に回転力を発生するモータと、
前記電機子の回転を減速する減速装置とを備え、
前記モータは、電機子軸の一端側の外周に絶縁部材によって保持された複数の整流子片を円筒状に配置して構成される整流子と、この整流子の表面上に配置され、前記電機子の回転によって前記整流子の表面上を摺動するブラシとを有するスタータにおいて、
前記整流子の表面には、回転方向に平行な複数の凹凸形状が形成され、
前記電機子軸は、前記モータのエンドフレームに設けられた軸受け部の内周に圧入される軸受を介して一端側の端部(軸端部と呼ぶ)が回転自在に支持され、且つ、前記絶縁部材を支持する本体軸部の外径より前記軸端部の外径の方が小さく設けられて、前記本体軸部と前記軸端部との間に段差が形成され、
前記軸受は、潤滑油を含浸させた含浸軸受であり、軸方向の一端から他端まで外径が同一寸法を有する円筒形状に設けられ、且つ、軸方向の一端面が前記エンドフレームの端面に当接した状態で、軸方向の他端面(軸受端面と呼ぶ)が前記軸受け部の軸方向端面より前記電機子側へ突出しており、前記電機子軸に形成された段差と前記軸受端面とが軸方向に当接可能に設けられていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記減速装置は、前記電機子軸の他端側に形成された太陽ギヤと、この太陽ギヤに噛み合う遊星ギヤとを有し、前記電機子の回転により前記遊星ギヤが前記太陽ギヤの周囲を公転しながら自転する遊星歯車機構によって構成されていることを特徴とするスタータ。 - 電機子に回転力を発生するモータと、
電機子軸と同一軸線上に配置される出力軸と、
前記電機子軸と前記出力軸との間に設けられ、前記電機子軸の回転を減速して前記出力軸に伝達する遊星歯車減速装置と、
前記出力軸の外周にヘリカルスプライン結合されるクラッチと、
前記出力軸上に前記クラッチと一体に構成され、前記モータの駆動トルクが前記クラッチを介して伝達されるピニオンギヤとを備え、
前記モータは、前記電機子軸の反減速装置側である一端側の外周に絶縁部材によって保持された複数の整流子片を円筒状に配置して構成される整流子と、この整流子の表面上に配置され、前記電機子の回転によって前記整流子の表面上を摺動するブラシとを有するスタータにおいて、
前記整流子の表面には、回転方向に平行な複数の凹凸形状が形成され、
前記電機子軸は、前記モータのエンドフレームに設けられた軸受け部の内周に圧入される軸受を介して一端側の端部(軸端部と呼ぶ)が回転自在に支持され、且つ、前記絶縁部材を支持する本体軸部の外径より前記軸端部の外径の方が小さく設けられて、前記本体軸部と前記軸端部との間に段差が形成され、
前記軸受は、潤滑油を含浸させた含浸軸受であり、軸方向の一端から他端まで外径が同一寸法を有する円筒形状に設けられ、且つ、軸方向の一端面が前記エンドフレームの端面に当接した状態で、軸方向の他端面(軸受端面と呼ぶ)が前記軸受け部の軸方向端面より前記電機子側へ突出しており、前記電機子軸に形成された段差と前記軸受端面とが軸方向に当接可能に設けられていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
前記整流子の表面に形成された凹凸形状は、断面V字状に形成されていることを特徴とするスタータ。
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