JP4780734B2 - Dlc被覆工具 - Google Patents

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Description

本発明は、転削工具(バイト、エンドミルなど)、旋削工具(フライス工具など)、穴あけ工具(ドリル、リーマーなど)などのいわゆる切削工具として使用される刃先交換型切削チップ、広い意味で物の切断・切削に利用される切削工具(カッター、ナイフ、スリッター、鋸の刃など)、成型加工工具(パンチ、ダイなど)の表面に耐磨耗性及び耐凝着性を有するDLC膜を形成した工具やその部材に関するものである。
アルミニウム、チタン、マグネシウム、銅といった非鉄金属、有機材料、グラファイトなど硬質粒子を含有する材料などの被削材を加工する場合、被削材の仕上げ表面形状維持、母材硬度維持、寸法精度維持などを高品位に行うことが切削工具に求められている。
しかし、切削工具の切刃部分に被削材が凝着して切削抵抗が大きくなり、刃先が破損するといった問題が生じる。これは他の被削材に比べ、上記被削材の場合には、工具表面への凝着が発生し易く、凝着による切刃のチッピングや加工精度の低下が著しいことによるものと考えられる。
そこで、上記のような問題に対して、非晶質炭素皮膜(ダイヤモンドライクカーボン:以下、「DLC」と略記する。)を備えたDLC被覆工具が検討されている。
DLC膜は、sp(グラファイト構造)成分とsp(ダイヤモンド構造)成分との比率と、水素(H)含有であるかどうかにより、sp成分を多く含むa−C((amorphous Carbon;アモルファスカーボン)、sp成分を多く含むta−C(tetrahederal amorphous Carbon;テトラヘドラルアモルファスカーボン)、それぞれにHを含んだa−C:Hやta−Cの4種類に分類される。これらのうち、a−C:Hは、従来のDLCとして、金型や切削工具の硬質保護皮膜としてすでに実用化されている。なお、DLCはi−C(iカーボン)と呼ばれることもある。
従来のDLC(a−C:H)の成膜は、主に、炭化水素系のガスを原料とする次のような方法、すなわち熱フィラメントにより原料ガスを分解しプラズマ化するイオン源法(物理的蒸着法:PVD法の一種)、直流や高周波プラズマなどにより原料ガスを分解するプラズマCVD法(プラズマ支援CVD法;PECVD法)、プラズマイオン注入成膜法などが利用されている。
しかし、これらの方法では、原料ガスに含まれる水素が膜中に混入し、炭素原子間の結合の終端となるため、硬さが低下する。
これに対し、スパッタ法や真空アーク法では、固体グラファイトを原料として成膜するため、膜中に水素が含まれないDLC膜(ta−C,a−C)を成膜することができる。特に、真空アーク法はプロセスガスを必要とせず、かつ原料のイオン化率が高いため、高密度で高い密着力を示す膜が成膜できると考えられている。
水素を含まない水素フリーDLC被覆工具については、特許文献1及び2に開示されており、特許文献1には、アルミニウム合金などの切削において優れた耐癒着性・耐凝着性・耐溶着性を示すとされている。
一方、特許文献2に、はナノインデンテーション法による圧痕の回復率が0.9以下、密度が3.0g/cm以下、膜厚が0.18μm以下でないと刃先の欠損やチッピングが生じるとの記載がある。
特許第3718664明細書 特開2005−22073号公報
近年においては、被削材の材質として、アルミニウム合金の中でもダイキャスト用合金であるSi(ケイ素)やCu(銅)が添加されたAC系の材料が増加している。
これらのアルミニウム合金材料は、例えば自動車の軽量化を目的として、エンジンブロックを始めとする各部への採用が増加している。さらに、これらの材料を繊維材料等と複合化した材料についても、一部採用が始まっている。
しかしながら、これらのアルミニウム合金は、硬いSiや炭素繊維を含むため、従来の水素フリーDLC膜では十分な硬度が得られず、刃先部を被覆するDLC膜が磨耗してしまい、そこから被削材の凝着が始まってしまう。このため、AC系材料や複合材料、銅といった比較的硬い、非鉄金属材料の切削は、いまだダイヤモンド工具が用いられているのが実情である。しかし、このようなダイヤモンド工具は、コーティング工程に費用が嵩み、製造コストが非常に高くなるという問題がある。
本発明は、比較的高硬度の非鉄金属材料用工具におけるこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、アルミニウム、チタン、マグネシウムあるいは銅などの非鉄金属、又はこれらの合金、有機材料、硬質粒子を含有する材料、プリント回路基板、あるいは鉄系材料と軟質金属との混合部材などを切削加工する際に、チッピングなどの欠陥を生じることなく、高い耐磨耗性を示し、しかも切削抵抗が低いDLC被覆工具を提供することにある。
本発明者らは、上記課題の解決に向けて、鋭意検討を繰り返した結果、工具表面に被覆するDLC膜の密度や硬さなどの物性と、ラマン分光スペクトルにおける特性バンドの出現との関連を見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明のDLC被覆工具は、基材上に実質的に水素を含まないDLC膜を形成して成るものであって、上記DLC膜が、波長632.8nmのレーザを用いたラマン分光スペクトルにおいて、1000〜1200cm−1の間にピークを有する特性バンドとしてSバンドを持ち、DバンドとGバンドの面積強度をそれぞれSd、Sgとすると、これらの比Sd/Sgが0.8以下であり、SバンドとDバンドのピーク強度をそれぞれIs、Id、面積強度をそれぞれSs、Sdとすると、これらピーク強度比Is/Id及び面積強度比Ss/Sdがいずれも0.15以上となっており、上記DLC膜表面における異物粒子の付着及び/又は脱離に起因する凸凹のうち、直径0.1μm以上の凸部の個数Np(個/mm)の膜厚t(mm)に対する比Np/tが1.5×10(個/mm)以下、直径0.1μm以上の凹部の個数Nh(個/mm)の膜厚t(mm)に対する比Nh/tが1.0×10(個/mm)以下であることを特徴とする。
本発明によれば、基材上に成膜されるDLC膜は実質的に水素を含まず、当該DLC膜が、波長632.8nmのレーザを用いたラマン分光スペクトルにおいて、1000〜1200cm−1の間にピークを有する特性バンドを持ち、DバンドとGバンドの面積強度比がいずれも0.8以下であり、且つ当該特性バンドとDバンドとのピーク強度比及び面積強度比が0.15以上であるものとしたため、高い耐磨耗性を示し、切削抵抗が低いDLC被覆工具とすることができる。
T−FADにより成膜されたDLC膜の波長632.8nmのHe−Neレーザによるラマンスペクトルの一例を示すグラフである。 (a)〜(c)はT−FAD、NFA、従来FADにより成膜したDLC膜表面形状を比較して示すFE−SEM像である。 各種成膜法によって形成したDLC膜の硬さとヤング率の関係を示すグラフである。 各種成膜法によってDLC膜を形成した薄板試験片における膜厚と反りとの関係を示すグラフである。 T−FAD及びPECVDにより形成したDLC膜を高温保持した場合における表面粗さの変化を比較して示すグラフである。 切り屑カール半径の定義及び測定要領を示す説明図である。 (a)〜(c)は実施例の切削試験により得られた代表的な切り屑の外観を示す写真である。
以下、本発明のDLC被覆工具について、その製造方法を含めてさらに詳細に説明する。
本発明のDLC被覆工具は、基材上に実質的に水素を含まないDLC膜を形成して成るものであって、基材表面に形成したDLC膜としては、波長632.8nmのレーザを用いたラマン分光スペクトルにおいて、1000〜1200cm−1の間にピークを有する特性バンド(以下、「Sバンド」と称する)を持ち、DバンドとGバンドの面積強度をそれぞれSd、Sgとするとき、面積強度比Sd/Sgが0.8以下であり、Sバンド(特性バンド)とDバンドのピーク強度をそれぞれIs、Id、面積強度をそれぞれSs、Sdとするとき、ピーク強度比Is/Id及び面積強度比Ss/Sdがいずれも0.15以上となって当該特性バンドとDバンドとのピーク強度比及び面積強度比が0.15以上であることを必要とする。
すなわち、図1は、波長632.8nmのHe−Neレーザを用いて、T字状フィルタードアーク蒸着法によるDLC膜のラマンスペクトル(ラマンシフト)の一例を示すものである。なお、波長532nmの半導体グリーンレーザを用いた場合も、同様な結果を得ている。
一般にDLCは非晶質ゆえに膜構造を特定することが難しいが、光の格子振動による弾性散乱であるラマン分光分析では、特徴的なピークが得られることが知られている。特に、1560cm−1付近に表れるグラファイトの面内の振動のE2gモードと、それと縮退したモードの重ね合わせのピークであるGバンドと、1360cm−1付近に表れるグラファイトの結晶端での非対称性によるA1gモードと、それと縮退したモードの重ね合わせのピークであるDバンドが存在することは良く知られている。
本発明におけるDLC膜においては、これらのピークに加えさらに1100cm−1近辺にピークを持つ新たな特性バンド(Sバンド)が表れることを新たに見出した。
さらに、DバンドとGバンドの面積強度比(Sd/Sg)が0.8以下であると、グラファイトとその微結晶状態が少なく、かつSバンドとDバンドとのピーク強度比(Is/Id)及び面積強度比(Ss/Sd)がいずれも0.15以下であると、当該DLC膜が極めて高硬度となり、優れた耐摩耗性を持つ工具用被膜となる。
すなわち、今回新たに見出したSバンドは、従来の紫外光レーザで検出されているTバンドのピークと一致するため、SバンドはTバンドと同質であり、sp構造を示すものと判断できる。したがって、可視光レーザによるラマン分光でSバンド=Tバンドが検出できたことは、sp構造からなるドロップレットを極限まで除去され、sp構造成分が極めて多いことを意味している。すなわち、可視光光源のラマン分光でSバンドが検出できれば、ドロップレットを極限まで除去し、凹凸のない極めて平坦なDLC膜であり、水素を実質的に含有せず、高硬度、高密度のDLC膜であることになる。
そして、本発明のDLC被覆工具においては、DLC膜の表面の凹凸のうち、凸部の個数については、単位面積当たりの直径0.1μm以上の個数Np(個/mm)の膜厚t(mm)に対する比Np/tが1.5×10(個/mm)以下であることが必要である。すなわち、この比Np/tが上記値を超えると、ドロップレットの占有する体積密度(1/m)が高すぎて十分な硬度と弾性率が得られず、工具用被膜として十分な耐摩耗性や耐久性が得られなくなることによる。
また、凹部の個数については、単位面積当たりの直径0.1μm以上の個数Nh(個/mm)の膜厚t(mm)に対する比Nh/tを1.0×10(個/mm)以下に抑える必要がある。この比Nh/tが上記値を超えると、膜の横方向の弾性変形に対する抗力が不足し、膜の割れによる剥離の原因となる。膜の一部が剥離すると、そこに被加工材が凝着・溶着し、つまり、工具にピッチングが生じることになり、工具の摩耗・破損に繋がるため好ましくない。なお、凸凹数や凹凸の占有面積は低ければ低いほど望ましい。
なお、本発明のDLC被覆工具とは、一体型の工具はもとより、刃先交換型チップも含まれる。また、DLC膜の被覆処理は、切削工具においては、少なくとも基材の刃先に相当する部分に施してあればよい。成型加工用工具においては、少なくとも機材の成型面に相当する部分にDLC膜の被覆処理が施してあればよい。
本発明のDLC被覆工具に用いるDLC膜は、実質的に水素を含まないものであるが、本発明において「実質的に水素を含有しない」とは、プロセスチャンバ内に水素を含むガスを意図的には導入しないで成膜したものであることを意味する。但し、もともと真空チャンバ内壁や電極内(および内壁)に付着,吸着していたガス,ゴミ,あるいは水などがプロセス中に脱離して、膜内に混入する場合もあるため、水素含有量を完全になくすことは困難であるが、その程度は、通常5原子%以下である。
そして、この程度であれば、保護膜としての密度や硬さ、耐熱性、耐摩耗性、耐凝着性などへの実質的な影響がないことから、具体的な水素含有量としては5原子%以下を意味する。なお、水素含有量が少ない方が基材との密着性がよく、0原子%により近い方がより優れた特性となり、より望ましいDLC膜であることは言うまでもない。
チャンバ内壁や電極内のガスや水分は、チャンバ内を100℃以上に加熱したり、成膜プロセス前に、真空アークプラズマを空打ち(成膜をしないでプラズマを発生させること。つまり、シャッターで成膜しないようにしたり、プラズマを曲げずに直進させたりすること。)したりすることによって除去することができる。また、真空アークプラズマの空打ちは、ゲッター作用により不純物ガスを除去でき、真空度を上げ(圧力を下げ)、清浄なプロセス空間を得るのに有効である。
なお、DLC膜の水素含有量は、例えばグロー放電発光分析法(GDOES)や、弾性反跳粒子検出法(ERDA)よって測定することができる。
グロー放電発光分析法は、Arグロー放電領域内で被膜を高周波スパッタリングし、そのスパッタリングされた原子からの放射を分光分析することにより、被膜の深さ方向の元素分析を行う手法である。この方法では、定量的に水素を測定することは難しいが、膜の深さ方向の相対的な変化を知ることができる。
また、弾性反跳粒子検出法は、HeイオンやHイオンを低角で入射し、表面から弾きだされた、原子のエネルギースペクトルを測定する手法であり、任意の試料でスペクトルの規格化を行うことで、水素の定量分析が可能となり、正確な測定が難しい軽元素を正確に測定できる数少ない測定方法の1つである。
一方、本発明者等は、DLC成膜面の平滑性について、各種の成膜装置を用いて繰り返し検討した結果、成膜面の平滑性を損なう主因がプラズマの発生時に陰極から副生する陰極材料粒子(以下、「ドロップレット」という)にあることを見出すに到った。
一般に、真空アーク放電では、陰極点から陰極材料イオン、電子、陰極材料中性粒子(原子及び分子)といった真空アークプラズマ構成粒子が放出されると同時に、サブミクロンから最大数百ミクロンの大きさのドロップレットが放出され、このようなドロップレットが基材表面に付着すると、基材表面に形成されるDLC膜の均一性や平坦性が大きく損なわれることになる。
本発明のDLC被覆工具は、上記したように、実質的に水素を含むことなく、可視光光源のラマン分光による特性バンド(Sバンド)の検出と凹凸の個数により定義される高密度、高硬度で平滑な表面形状を有するDLC膜を基材上に備えたものであるが、このような平滑なDLC膜は、生成膜へのドロップレットの衝突及び付着を極限まで下げることによって、上記ドロップレットに代表される異物粒子の混入をなくし、これら異物粒子の付着による突起状欠陥や、脱離によるくぼみ状欠陥を極限まで低下させることによって得られ、従来の水素フリーDLCと較べて、より高密度、高圧縮応力化した膜を実用化し、さらに高い耐磨耗性と密着性を発現する。
なお、本発明において「異物粒子」とは、主にドロップレットを意味するが、これ以外にもハンドリング中にゴミなどが付着することがないとは言えず、これらのゴミ粒子をも含めて「異物粒子」と称するものとする。
そして、本発明におけるDLCの成膜に際しては、プラズマ源からプラズマ磁気輸送ダクトを介して、成膜プロセスチャンバと接続されるフィルタードアーク蒸着装置を用いることによって、ドロップレットや中性粒子の混入を極力防止することができ、このフィルタードアーク蒸着装置については、黒鉛のアーク陰極から放出される固体状のドロップレットを捕獲・除去するために、陰極と直面対向する位置にドロップレット捕集機能を設けることが望ましく、例えば、T字状フィルタードアーク蒸着装置(T−FAD:特許第3865570号明細書参照)やX字状フィルタードアーク蒸着装置(特開2007−9303号公報参照)を利用することができる。
すなわち、真空アーク蒸着法により形成した非DLC膜の表面には、上記のようなドロップレットが存在する。一般に膜中に取り込まれるドロップレットはDLC膜の膜厚を増やせばそれに比例して増える。この膜中のドロップレットは膜の靱性を下げ、剥離やチッピング磨耗の原因となるため、膜厚を増やし界面の応力が高くなればなるほど、膜中のドロップレットが少なければならない。厚膜化は工具用被覆膜としては対磨耗性を向上させるに有効だが、前述のような問題の他、表面が荒れてしまい切削抵抗を上げてしまう。
単に平滑にするだけなら、成膜後に研磨することでドロップレットが抜けて、平滑度を上げることはできるが、ドロップレットが抜けた穴が残ってしまう。この凹も被削材の凝着が生じる原因となる他、剥離の原因となりやすく、また、摩擦係数も上がるため、これも極力少ない事が望ましい。
ドロップレットの多寡に関する評価は、本来、膜の体積に対してドロップレットが占有する体積密度(1/m)で評価すべきであると考えられるが、想定している膜厚(〜1μm)と、ドロップレットの大きさは概ね同程度なため、表面のドロップレット数や粗さの変化量、ドロップレットの占有面積等々を膜厚で割ったもので十分に評価できる。
直径0.1μm以上の凸凹数の面密度については、分解能が通常のSEMよりも優れる、FE−SEM(Filed Emission−Scanning Electron Microscope)像により、直接数えることによって評価することができる。
少なくとも3,000倍以上の倍率で、試料表面を鉛直から10±5度で傾けた方向から写真撮影を行い、画像処理等でドロップレットの占有面積比を求めると、凸凹の評価と面積を少ない誤差で評価することができる。
図2(a)〜(c)は、T字状フィルタードアーク蒸着装置(T−FAD)、ドロップレットフィルターなしの従来の真空アーク蒸着装置(NFA:non−Ffilterd arc)、及び陰極と直面対向する位置にドロップレット捕集機能を設けることなく、フィルタダクトの内部に配置したひだ状のバッフルによってドロップレットを除去する従来タイプのフィルタードアーク蒸着装置(従来FAD)によりDLC膜を成膜したフライス工具用刃先交換型切削チップのすくい面、刃先直下のFE−SEM像を比較して示すものである。
これらFE−SEM像から、T字状フィルタードアーク蒸着装置(T−FAD)によるDLC膜の表面(図2(a))が従来の真空アーク蒸着装置(NFA)や従来タイプのフィルタードアーク蒸着装置(従来FAD)による表面(図2(b)及び(c))と較べて平滑性が高いことが分かる。特に真空アーク蒸着装置によるDLCの表面(図2(b))には、黒丸で示した凸部以外に白丸で示した凹部が存在していることと共に、従来タイプのフィルタードアーク蒸着装置による表面(図2(c))には、粒子状の異物が極めて多数存在していることが分かる。
なお、DLC膜の凹凸については、ドロップレットの付着や脱落が主因ではあるが、その他、基材のハンドリング中のゴミの付着や脱離も、DLC膜の凹凸の副因であることは言うまでもない。従って、本発明を実施するに際しては、DLC膜の凹凸の数を減らすための方法として、基材の前洗浄を十分に行うこと、フィルタードアーク蒸着装置内部のクリーニングを十分に行うことに配慮する必要がある。
更にまた、フィルタードアーク蒸着法において、ドロップレットの発生を極力抑え、ドロップレットに起因する凹凸数を少なくする観点から、プラズマ磁気輸送ダクト内にバッフルやオリフィス板を設ける、陽極形状を変更してドロップレットの反射方向が回収ダクトに向かうようにするなどの装置上の工夫、プロセスチャンバ内へ進入したプラズマを電磁界によって屈曲させ、プラズマの進入軸とオフセットした位置で成膜するなどのプラズマ制御による工夫、あるいは、アーク電流の大きさや波形を勘案しドロップレットの発生自体を抑制するような成膜条件を採用することが重要である。
本発明のDLC被覆工具に成膜されるDLC膜は、3.0〜3.4g/cmの密度を有することが望ましく、この領域で、応用上良好な特性を示し、密度については高い方がより好ましい。
一般に、ダイヤモンドの密度は3.52g/cmであり、従来の水素フリーDLCでは密度が3.0g/cm以上になると、硬度が高くなり、内部に残留する圧縮応力が高くなって基材との密着性が損なわれ、皮膜が剥離しやすくなると考えられていた。また、界面の応力は膜厚に比例するため、膜厚が厚くなっていく場合も同じ理由で剥離しやすくなる。
しかし、本発明におけるDLC膜は、高密度、高硬度、高弾性率、高密着力を同時に実現することができ、これは膜中に機械的に弱いドロップレットが極めて少なく、かつドロップレットの脱離または除去に起因する凹状欠陥が極めて少ないため、実現できたと考えられる。すなわち、ドロップレットは、グラッシーカーボン又はマイクロ結晶グラファイト構造を呈するものが多く、その密度はダイヤモンドと比べて大幅に低い。このため、膜中のドロップレットの数密度が十分に低い場合にのみ、密度が3.0g/cm以上になる。
ただし、当該DLC膜の密度が3.4g/cmを超えると、ダイヤモンド結晶化し始め、結晶化することによって表面粗さが大きくなり、摩擦係数も増加するため好ましくない。このようなDLC膜の密度は、例えばX線反射率測定法(XRR)により求めることができる。
また、本発明のDLC被覆工具に成膜されるDLC膜の硬さとしては、ナノインデンテーション法によって測定した硬さで60〜100GPaの範囲とする必要がある。すなわち、ナノインデンテーション硬さが60GPa未満の場合、十分な硬さがないため耐磨耗性に問題が生じる一方、100GPaを超えると、ダイヤモンド結晶化し始め、ダイヤモンド結晶化することによって表面粗さが大きくなり、摩擦係数も増加するため好ましくないという不具合が生じる)。
ナノインデンテーション法は、硬さ試験の一種であって、圧子の押し込み駆動部に変位計を設置し、押し込み深さを連続的に測定し、硬さやヤング率を求める方法であり、荷重範囲が0.1mN〜1N程度と極めて低加重で、100nm以下の押し込み深さでも正確に測定できる特徴を持つ手法である。本発明におけるDLC膜のように、1μm以下の膜厚で、しかも高い弾性率を示す膜の場合、塑性変形後の硬さしか評価できないマイクロビッカース硬度計やヌープ硬度計では正確な評価ができない。
なお、本発明に用いるDLCは、ヤング率も極めて高く、400〜900GPaもの高い値を示す。図3は、WC平均粒度が0.8μm、Co含有量が10重量%、0.3重量%のCrを含有した超硬合金に、鏡面加工を施した基材上に、各種成膜法によって、700〜1000nmの厚さに形成したDLC膜の硬さとヤング率の関係を示すグラフであって、T字状フィルタードアーク蒸着(T−FAD)によるDLC膜は、従来の水素フリーDLCを上回り、ダイヤモンドに次ぐ高硬度、高弾性率を示し、これによって高い耐磨耗性を有することが判る。また、弾性率が高いため、膜の基材への追従性が高く、チッピング等の磨耗も起こり難くなっている。
さらに、従来の水素フリーDLCでは、これらの性質をもちつつ実用的な密着性を得ることは困難であったのに対し、T−FAD法によるDLCにおいては、十分な密着力が得られている。
なお、図中示すPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)とは、いわゆるプラズマCVD法である。
また、測定には、ENT−1100型ナノインデンター装置を使用し、試験荷重:9.8mN、負荷ステップ:0.98mN、負荷除去速度:0.98μN/msec、測定数:10点の条件を採用した。
また、工具基材に成膜するDLC膜の厚さについては、10nm〜1μmの範囲とすることが望ましいが、この理由は、工具を完全に被覆するのに最低限必要な膜厚が10nmであると共に、1μmを超えて厚膜化した場合には、膜中に取り込まれるドロップレットなどの異物粒子が増加して、表面平滑性が低下し、性能が低下することによる。
なお、前述の特許文献2には膜厚が薄い方が好ましく、0.18μm以上の膜厚では刃先の欠損やチッピング等が生じ易いとの記載があるが、後述する実施例に示すように、上記DLC膜を切削用チップに被覆しアルミニウム合金を切削した場合には、膜厚が0.2μm以上の方がむしろ優れた切削性能を示し、特に、Siを添加した比較的高硬度なアルミニウム合金の切削において、その傾向は顕著になることが確認されたが、この理由は未だ明確になっていない。
本発明のDLC被覆工具におけるDLC膜は、前述のように極めて高密度であるため、膜の内部に極めて高い内部応力が働いている。これは、一般の工具用DLC被膜としては、クラックの伝播を抑えるなどの利点がある反面、内部応力が高すぎる場合、膜の密着力が不足し、チッピングなどの欠陥の原因となる。しかし、本発明に用いるDLC膜においては、高い密着力と高い内部応力が両立しており、このような欠陥発生の虞はない。
図4は、長さ22mm、幅6mm、厚さ1mmの超硬基材(WC(bal)−13.5wt%Co−1wt%Cr/Ta)の両面を鏡面研磨した応力測定用薄板試験片(基材)の上に各種成膜法によってDLC膜を形成した場合の膜厚に対する試験片の反りの変化量を示すグラフであって、予め試験片の反りを計測しておき、被処理物と同時に試験片の片面のみにDLCを被膜処理し、処理後、改めて中心部の反りと厚みを計測し、次式(1)から内部応力を求めた。
Figure 0004780734
[式中のσfは膜の応力(GPa)、Esは基材のヤング率(517.54GPa)、
νsは基材のポアッソン比(0.238)、dは膜厚、Dは全厚、Lは試験片長さ、δは反り(成膜前後の反りの差)を示す。]
これより、本発明におけるDLC膜は、上記試験片の反りy(μm)に対する膜厚x(μm)の比y/xが4.0以上、9.0以下であることが判る。
この値を超えて反りが大きい場合、チッピング等の欠陥を生じてしまい、この値に満たない場合、十分な膜の強度が得られず、耐摩耗性に問題を生じる。
なお、上記領域は、DLC膜の内部応力に換算すると、6GPa以上14GPa以下ということになる。
また、X線微少部応力測定機を使用して、上記試験片のX線応力測定を行った。DLCはアモルファスであるため、DLCそのもの内部応力をX線で評価することはできないが、本発明で用いるDLCは、極めて応力が高いため、基材側に掛かる応力を測定することが可能で、上記試験片測定結果と合わせて、膜の応力を推定することができる。
これをもとに、実際の被覆工具の刃先等の平面部位を数mm程切り出して、X線応力測定を行うことにより、実際の工具の膜の応力を調べることができる。
X線による応力測定の原理は、金属材料では外力により弾性限界内の応力が生じると、応力の大きさに比例して結晶の格子面間隔(d値)がシフトする。試料表面法線をNと格子面法線をN’のなす角度ψを変えてその回折角度(2θ)の変化を調べると、次式(2)によって応力σが求まる。
Figure 0004780734
[式中のσsは応力(MPa)、Esはヤング率(MPa)、νsはポアッソン比、θは標準ブラッグ角(Deg)を示す。]
ここで、K(応力定数)は、材料及び回折角によって決まる定数である。測定値(φ−2θ)から2θ−sin2φの線図を書き、最小二乗法で勾配を求め、Kを乗ずれば一義的に求まる。
ただし、測定したのは基材中WCのピークであって、超微粒子超硬基材が含むCoバインダーの部位は含まれない。また、基材の応力は膜の全応力に対して比例し、これより膜厚に比例して大きくなると考えられる。超硬基材の場合、バインダーとなる比較的柔らかいCoが基材中に含まれることなどから、WCの結晶に掛かる応力は膜中より下がるものの、基本的に比例すると考えられる。なお、鉄系基材であっても同様の手法により、内部応力を推定できる。
測定の結果、概ね膜厚に比例して基材側の応力も増加している。一方、NFA、従来FAD及びPECVDで成膜したDLC膜被覆基材ではこのようなピークシフトは見られなかったことから、十分な応力が得られていないと考えられる。
本発明におけるDLC膜の超硬基材のWC粒子に加わる応力をy(GPa)、膜厚をx(μm)とした場合、y/xが0.2以上2.0以下であることが望ましい。上記値に満たない場合、十分な膜の応力が得られてなく、膜強度が不十分であり、上記値を超える場合には、基材自身の靭性が不足し、基材内からチッピング等の欠陥を生じることがあるため望ましくない。
上記DLC膜の耐熱性については、600℃大気中で、1時間保持した後のDLC膜の算術平均粗さRaの変化量が0.05μm以下であることが望ましい。
すなわち、図5は、WC平均粒度が0.8μm、Co含有量が10重量%、Cr含有量が0.3重量%、残WCから成る鏡面加工を施した超硬試験片を基材として、この上にT字状フィルタードアーク蒸着法(T−FAD)とプラズマCVD法(PECVD)とによってDLCを被覆したのち、大気中で、200℃から100℃ずつ600℃までの各温度でそれぞれ1時間保持し、加熱後室温にもどしてから各膜の表面形状を測定した結果をノンコートの場合と比較して示すものである。
この結果、T字状フィルタードアーク蒸着法によるDLC膜は、ほとんど変化が見られないのに対し、未被覆の試験片とプラズマCVD法によりDLC被覆を施した試料に関しては、超硬基材の炭素が脱離してしまい表面が荒れてしまう結果となった。PECVD法では膜中に水素が含まれ、これが500℃前後から脱離するため、膜が破壊されてしまう。この結果、基材が空気と接触してしまい未処理と同様の変化を示した。これに対し、T字状フィルタードアーク蒸着法によるDLC膜は、高い耐熱性を示し、微量の残留ドロップレットが燃焼して平滑度が若干変化する程度で、大気中では600℃でも異常がないことを示した。また、粗さの変化が0.05μm以上の膜の場合、ドロップレットの燃焼により膜に欠陥が生じてしまう。このため、急速に膜硬度が低下し、工具用被膜としては十分な耐摩耗性が維持できなくなることがあるため、好ましくない。
工具用被膜は、切削工具に適用した場合、特にドライでの切削において、その刃先の温度上昇に耐えうることが極めて重要になる。アルミ合金の場合、通常600℃程度で溶解が始まるといわれており、刃先は局所的にこの温度まで上昇していると考えられる。したがって600℃の温度にも耐えるDLC膜を備えた工具は、無潤滑(ドライ)でのアルミニウム合金の切削工具として極めて有効である。
本発明のDLC被覆工具においては、基材表面に形成したDLC膜のプラズモンロススペクトルのピークエネルギーが29〜33eVであることが望ましい。
プラズモン励起スペクトルは、電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy−Loss Spectroscopy)で計測できる。EELSとは、数百eVのエネルギーの電子を試料表面に入射すると、入射電子は固体の電子密度や原子の並びによって非弾性散乱し、エネルギーを損失するため、その電子エネルギーの損失を分光する方法である。EELSで計測されるスペクトルをEELSスペクトルと言い、10〜50eVの範囲に現れる自由電子の集団振動に起因するプラズモン励起によるスペクトルをプラズモン励起スペクトルと呼ぶ。プラズモン励起スペクトルのピーク位置は、電子密度の平方根に比例するため、ピーク位置が高いということは、電子密度が高く、引いては、原子密度が高いことを示す。
従って、プラズモン励起スペクトルのピーク位置が28〜33keVであるということは、高密度の膜であるということを示すことになる。グラファイト及びダイヤモンドのプラズモン励起スペクトルのピーク位置が、それぞれ、26eVおよび33.7eVであることから、水素などの不純物元素や比較的低密度の不純物であるドロップレットを含まないDLCの場合に限り、プラズモン励起スペクトルのピーク位置が29〜33keVとなる。さらには、この値がより高いほうがより高密度のであり、工具用被膜として十分な硬さが得られる、本発明のDLCとして好適である。
上記下限値に満たない場合には密度が低く、十分な硬さが得られず、上限値を超えるとダイヤモンド結晶の領域となり、ダイヤモンド結晶では平滑な表面が得られず、また摩擦抵抗も高くなってしまう。
本発明のDLC被覆工具における基材として、代表的には、WC基超硬基材を挙げることができる。このWC超硬合金は、炭化タングステン(WC)を主成分とする硬質相と、コバルトなどの鉄族金属を主成分とする結合相とからなる。
本発明に適用されるDLC膜は、ダイヤモンドに次ぐ高い弾性率を示すため、従来、困難であった高い靭性を持つコバルト量の多い超々微粒子超硬基材にも適用することができる。このようなDLC膜が剥離することなく、安定した密着性を示す基材のコバルト含有量としては、0〜25質量%、より好ましくは5〜15%である。また、WC平均粒度は1.5μm以下が好適である。なお、本発明の工具に用いられる基材は、超硬合金に限らず、鉄基合金の一種である、JIS G4403に規定されている高速度鋼や、炭素工具鋼(JIS G 4401)、合金工具鋼(JIS G4404)などの他、サーメット材、cBN含有焼結体への被覆も可能である。
本発明のDLC被覆工具においては、DLC膜の密着力をより強固なものにする観点から、基材とDLC膜との間に中間層を設けることが好ましい。
上記DLC膜と基材との間に、0.1〜500nmの厚さを有する金属膜、非金属固体膜、窒化物膜、窒化水素化物膜、酸化物膜、酸化水素化物膜、酸化炭化物膜、酸化炭化水素化物膜、窒化酸化物膜、窒化酸化水素化物膜、窒化炭化物膜、窒化炭化水素化物膜、窒化酸化炭化物膜及び窒化酸化炭化水素化物膜から成る群より選ばれた少なくとも1種から成る中間層を備えていることが望ましく、さらに、上記中間層とDLC膜との間に、それぞれの被膜組成を混合した化学組成または連続的に変化した化学組成の被膜を介在させ、さらに強固な密着力得ることとが、一層望ましい。
中間層の成膜とDLC膜の成膜において製造条件を切り替える際、通常、わずかに中間層とDLC膜との混合が生じ、上記のような混合化学組成の被膜層が形成される。
このような混合化学組成層は、直接確認することは難しいが、例えばXPS(X−ray photo−electronic Spectroscopy)やAES(Auger Electron Spectroscopy)などによる膜の深さ方向のプロファイルの結果から十分推定することができる。
本発明のDLC被覆工具は、その耐磨耗性と耐凝着性から、特にアルミニウム及びその合金を加工するための工具に適する。また、チタン、マグネシウム、銅など非鉄材やその合金に使用することが最適である。さらに、グラファイトなどの硬質粒子やガラスなどの繊維を含有する材料、有機材料などの切削や、プリント回路基板加工やガラス加工、鉄系材料とアルミニウムとの共削り加工などにも有効である。加えて、本発明におけるDLC膜は非常に高硬度であることから、非鉄材だけでなく、ステンレス鋼などの鋼や鋳物などの加工にも用いることができる。
本発明のDLC被覆工具としては、高い切削性能を有することから、ドリル、エンドミル、エンドミル加工用刃先交換型チップ、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換チップ、メタルソー、歯きり工具、リーマ、タップなどの切削工具としての用途に用いることができる。また、その優れた耐摩耗性や耐凝着性から、成型加工用パンチ及びダイなどの用途に用いることができる。
本発明のDLC被覆工具の切削性の指標として、アルミニウム合金の乾式切削加工時に得られる切り屑のカール径に着目する。
例えば、WC基超硬合金から成るチップ用基材(住友電工ハードメタル製チップ、型番:APET160508PDFR−S、チップ材質:H1)に上記のようなDLC被覆を施した本発明のチップとボディー(住友電工製 エンドミル、型番:WEM3025)を用いた場合、表1に示した基材工具の製作メーカが指定する推奨切削条件内での切削時に得られる切り屑カール半径が、DLC被覆未処理の同チップによる切り屑カール半径の0.7倍以下であれば、アルミの刃先への凝着が生じにくいことが分かった。
Figure 0004780734
この切り屑は、切削工具表面のすくい面側の表面と被削材との摩擦係数により、そのカール半径が変化し、半径が小さいほど良いとされる。切り屑には刃先の熱を奪う役割もあり、切り屑の排出のよさ(はけのよさ)は切削工具の性能をきめる重要な要素の1つであり、摩擦係数が低く、切り屑のカール半径が小さいほど排出性も優れる。
本発明のDLC被覆工具では、従来は困難であったSiを添加したAC4AやADC12といったアルミニウム合金に対しても、高い切り屑の排出性を持ち、上記条件工具を用いて得られる切り屑カール半径が、DLC被覆未処理の工具による切り屑カール半径の0.7倍以下であることが望ましい。
なお、切り屑カール半径については、図6に示すように、切り屑自由曲面(工具のすくい面と接して、切削された面)の自由曲面側の始点をA、Aに接する接線をX軸とし、Aを通りX軸に直行するY軸を引き、さらに切り屑自由曲面とY軸との交点(2点以上存在する場合は切り屑厚さが最も厚い箇所を選択する)をBとする。そして、線分ABを直径とする円を描き、その半径をもって切り屑カール半径とする。
また、JIS H4000にA5052として規定されるアルミニウム合金の前述条件による乾式切削加工時における切削抵抗については、切削初期における本発明のDLC被覆チップによる切削抵抗のDLC被覆未処理のチップによる切削抵抗に対する比率が、主分力で0.6以下、背分力で0.7以下、主分力と背分力と送り分力の合力で0.7以下であることが望ましい。
なお、切削抵抗は、例えば圧電式切削動力計(キスラー)によって測定することができる。また、「切削初期」とは、具体的には、切削開始から切削長0.1m以内のことを意味するものとする。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
基材として、WC基超硬合金から成るチップ用基材(住友電工ハードメタル製チップ、型番:APET160508PDFR−S、チップ材質:H1)を用意し、当該基材上に、T字状フィルタードアーク蒸着装置(T−FAD)を用いてDLC膜を形成して、本発明品に相当する試料1〜5を作製した。
一方、上記基材上に、ドロップレットフィルターなしの従来の真空アーク蒸着装置(NFA、従来タイプのフィルタードアーク蒸着装置(従来FAD)、及びプラズマCVD装置(PECVD)により、それぞれDLC膜を成膜し、比較例に相当する試料5〜9を作製した。なお、試料9については、DLC膜を形成することなく、基材のままのスローアウェイチップとした。
そして、得られたスローアウェイチップに形成されたDLC膜の各種物性や表面形状を測定した。
そして、3種のアルミニウム合金の切削試験を表1に示す条件で実施し、7m切削後の切り屑を採取し、そのカール径を図6に示した要領によって測定する共に、刃先への凝着幅、及び切削抵抗をキスラーにより測定した。
これらの結果を表2〜4に示す。
また、切削試験による切り屑の代表例として、試料3、試料5及びDLC未被覆の試料9のチップを用いたアルミニウム合金ADC12の切り屑の外観を図7(a)(b)及び(c)にそれぞれ示す。
Figure 0004780734
Figure 0004780734
Figure 0004780734
表2〜4の結果から明らかなように、本発明に相当する試料1〜4のDLC被覆工具による切り屑は、硬いSiが含まれるADC12やAC4Aなどのアルミニウム合金材の切削においても、切削性の良いA5052と変わらず、安定して小さなカール半径を示す。 これに対し、従来のFADやNADにより成膜したDLC膜は、ラマン分光スペクトルにおけるSバンドの強度比が極めて小さく、密度や硬さにおいて劣り、このようなDLC膜で被覆した工具による切り屑はA5052に対しては優れた切削性を示すものの、ADC12やAC4Aの切削においては、未被覆の工具と殆ど同じ性能でしかないことが確認された。また、本発明のDLC被覆工具は、ADC12やAC4Aの切削においては従来品より優れており、切り屑のカール半径では未処理のものと比べて、およそ0.7倍以下となっている。
さらに、A5052に対する切削抵抗については、切削初期から、本発明のDLC被覆工具は、最小の切削抵抗を示している。
アルミ合金の切削において、摩擦係数は凝着のしやすさに比例すると示唆され、7m切削後の凝着幅も概ね、カール半径、切削抵抗に比例して少なくなっている。
本発明のDLC被覆工具は、比較例に示した従来の水素フリーDLC膜を備えた工具(試料5〜7)に較べ、ラマン分光スペクトルにおけるSバンドの強度比が極めて大きく、密度や硬さにおいて勝り、このような幅広い被削材に対して、切り屑の排出がよく、切削抵抗が低く、耐凝着性も優れていることが判明した。

Claims (9)

  1. 基材上に実質的に水素を含まないDLC膜を形成して成るDLC被覆工具であって、上記DLC膜が、波長632.8nmのレーザを用いたラマン分光スペクトルにおいて、1000〜1200cm−1の間にピークを有する特性バンドとしてSバンドを持ち、DバンドとGバンドの面積強度をそれぞれSd、Sgとするとき、これらの比Sd/Sgが0.8以下であり、SバンドとDバンドのピーク強度をそれぞれIs、Id、面積強度をそれぞれSs、Sdとするとき、これらピーク強度比Is/Id及び面積強度比Ss/Sdがいずれも0.15以上であると共に、上記DLC膜表面における異物粒子の付着及び/又は脱離に起因する凸凹のうち、直径0.1μm以上の凸部の個数Np(個/mm)の膜厚t(mm)に対する比Np/tが1.5×10(個/mm)以下、直径0.1μm以上の凹部の個数Nh(個/mm)の膜厚t(mm)に対する比Nh/tが1.0×10(個/mm)以下であることを特徴とするDLC被覆工具。
  2. 上記DLC膜の密度が3.0〜3.4g/cm、ナノインデンテーション硬さが60〜100GPaであることを特徴とするDLC被覆工具。
  3. 上記DLC膜の膜厚が10nm〜1μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のDLC被覆工具。
  4. 上記DLC膜が圧縮応力を有し、その内部応力が6〜14GPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のDLC被覆工具。
  5. 600℃大気中で、1時間保持した後のDLC膜の算術平均粗さRaの変化量が0.05μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のDLC被覆工具。
  6. 上記DLC膜のプラズモンロススペクトルのピークエネルギーが29〜33eVであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のDLC被覆工具。
  7. 上記基材が超硬合金であって、DLC膜を被覆したことによって超硬合金基材のWC粒子に加わる応力y(GPa)の膜厚x(μm)に対する比y/xが0.2〜2.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載のDLC被覆工具。
  8. 上記基材とDLC膜との間に、0.1〜500nmの厚さを有する金属膜、非金属固体膜、窒化物膜、窒化水素化物膜、酸化物膜、酸化水素化物膜、酸化炭化物膜、酸化炭化水素化物膜、窒化酸化物膜、窒化酸化水素化物膜、窒化炭化物膜、窒化炭化水素化物膜、窒化酸化炭化物膜及び窒化酸化炭化水素化膜から成る群より選ばれた少なくとも1種から成る中間層を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載のDLC被覆工具。
  9. ドリル、エンドミル、エンドミル加工用刃先交換型チップ、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換チップ、メタルソー、歯きり工具、リーマ、タップ、成型加工用パンチ又はダイであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載のDLC被覆工具。
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