JP6935642B2 - 水溶性ミスト加工用ドリル - Google Patents

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Description

本発明は、水溶性ミスト加工用ドリルに関する。
特開2005−144630号公報(特許文献1)には、最少量潤滑剤(MQL:Minimum Quantity Lubrication)によって穴あけ加工を行うシンニングドリルが記載されている。当該シンニングドリルは、中心側切刃と、外周側切刃とを有しており、ドリル直径の0.3倍から0.4倍の範囲内において、軸心と平行な断面における中心側切刃のすくい角は−5°から+5°の範囲とされている。
特開2005−144630号公報
多量の水溶性潤滑剤を用いて切削加工を行う場合には、被削材の溶着の発生は比較的少ない。しかしながら、MQL加工法を用いて切削加工を行う場合には、被削材の溶着を十分に抑制することが困難である。
本発明の一態様の目的は、水溶性ミスト加工において被削材の溶着を抑制可能な水溶性ミスト加工用ドリルを提供することである。
本発明の一態様に係る水溶性ミスト加工用ドリルは、すくい面と、逃げ面と、外周面とを備えている。逃げ面は、すくい面と連なる。外周面は、すくい面および逃げ面の双方に連なる。すくい面と逃げ面との稜線は、切刃を構成する。外周面は、2以上のマージンと、2以上のマージンの間に設けられた中間領域とを含む。中間領域には、側部と、側部に連なる底部とにより規定され、かつ底部の最大径が0.5μm以上1μm以下である凹部が設けられている。側部は、ダイヤモンドライクカーボン膜により構成されている。底部は、ダイヤモンドライクカーボン膜から露出した基材により構成されている。ダイヤモンドライクカーボン膜と基材との境界面に対して垂直な方向から見て、凹部の数は、200μm×200μmの正方領域あたり800個以上である。
本発明の一態様によれば、水溶性ミスト加工において被削材の溶着を抑制可能な水溶性ミスト加工用ドリルを提供することができる。
本実施形態に係るドリルの構成を示す正面模式図である。 本実施形態に係るドリルの構成を示す平面模式図である。 図2の領域IIIの拡大図である。 中間領域の一部を示す拡大模式図である。 図4のV−V線に沿った断面模式図である。 図4のVI−VI線に沿った断面模式図である。 本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリルの中間領域の一部を撮影した反射電子画像である。 本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリルの中間領域の一部を撮影した二次電子画像である。
[本発明の実施形態の概要]
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
(1)本発明の一態様に係る水溶性ミスト加工用ドリル100は、すくい面10と、逃げ面20と、外周面4とを備えている。逃げ面20は、すくい面10と連なる。外周面4は、すくい面10および逃げ面20の双方に連なる。すくい面10と逃げ面20との稜線は、切刃9を構成する。外周面4は、2以上のマージン1、2と、2以上のマージンの間に設けられた中間領域3とを含む。中間領域3には、側部6cと、側部6cに連なる底部5aとにより規定され、かつ底部5aの最大径W2が0.5μm以上1μm以下である凹部7が設けられている。側部6cは、ダイヤモンドライクカーボン膜6により構成されている。底部5aは、ダイヤモンドライクカーボン膜6から露出した基材5により構成されている。ダイヤモンドライクカーボン膜6と基材5との境界面6bに対して垂直な方向から見て、凹部7の数は、200μm×200μmの正方領域あたり800個以上である。
上記(1)に係る水溶性ミスト加工用ドリル100によれば、2以上のマージンの間に設けられた中間領域3において、底部5aがダイヤモンドライクカーボン膜6から露出した基材5により構成されている凹部7が設けられている。凹部7の数は、200μm×200μmの正方領域あたり800個以上である。ミスト状の水溶性潤滑剤は、超硬合金などの基材の表面に吸着しやすい性質を有する。そのため、ミスト状の水溶性潤滑剤が、基材が露出した底部を有する凹部内に入り込む。結果として、中間領域の表面は、ダイヤモンドライクカーボンとミスト状の水溶性潤滑剤が溜まった凹部とにより構成される。これにより、潤滑性を向上することができると考えられる。よって、中間領域に被削材の切屑が溶着することを抑制することができる。
(2)上記(1)に係る水溶性ミスト加工用ドリル100において、ダイヤモンドライクカーボン膜6の厚みHは、0.1μm以上1.0μm以下であってもよい。
(3)上記(1)または(2)に係る水溶性ミスト加工用ドリル100において、ダイヤモンドライクカーボン膜6には、境界面6bに対して垂直な方向から見て、最大径W1が1μm以上20μm以下の凸部8が設けられていてもよい。凸部8の数は、200μm×200μmの正方領域あたり、1個以上20個以下であってもよい。これにより、切削中に被削材の切屑が凸部に引っ掛かることを抑制することができる。結果として、中間領域に被削材の切屑が溶着することをさらに抑制することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面に基づいて本発明の実施形態(以降、本実施形態と称する)の詳細について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
まず、本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリルの構成について説明する。水溶性ミスト加工とは、MQLを用いた加工方法の一種であり、具体的には、水溶性の潤滑剤を霧状にして噴射し、潤滑剤の使用量を最少限度に抑えながら被削材を加工する方法である。
図1、図2および図3に示されるように、本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリル100は、すくい面10と、逃げ面20と、外周面4と、シンニング面50と、後方逃げ面12と、先端部15と、後端部16と、シャンク13とを主に有している。逃げ面20は、すくい面10と連なる。すくい面10と逃げ面20との稜線は、切刃9を構成する。外周面4は、すくい面10および逃げ面20の双方に連なる。シンニング面50は、逃げ面20に対して外周面4と反対側に設けられている。シンニング面50は、逃げ面20およびすくい面10の双方に連なる。
ドリル100は、軸線Aの周りを回転可能に構成されている。外周面4は、先端部15側から後端部16に向かって軸線Aの周りを螺旋状に延在している。後方逃げ面12は、逃げ面20に対して回転方向の後方に配置されている。後方逃げ面12は、逃げ面20に連なる。シンニング面50は、後方逃げ面12に対して回転方向の後方に配置されている。後方逃げ面12は、逃げ面20に対して傾斜している。後方逃げ面12は、後方逃げ面12および逃げ面20の境界部から後端部16に向かって延在していてもよい。シンニング面50は、後方逃げ面12およびシンニング面50の境界部から後端部16に向かって延在していてもよい。
水溶性ミスト供給孔11は、たとえば後方逃げ面12とシンニング面50との境界部に設けられている。言い換えれば、水溶性ミスト供給孔11は、後方逃げ面12およびシンニング面50の双方に開口している。水溶性ミスト供給孔11は、後方逃げ面12のみに開口するように後方逃げ面12に設けられていてもよいし、シンニング面50のみに開口するようにシンニング面50に設けられていてもよい。水溶性ミスト供給孔11は、シャンク13の内部を延在して後端部16に開口していてもよい。
図1および図3に示されるように、外周面4は、2以上のマージン1、2と、中間領域3とを含む。2以上のマージンは、たとえば第1マージン部1と、第2マージン部2とを有する。第1マージン部1は、たとえば逃げ面20に連なっている。第2マージン部2は、たとえばシンニング面50に連なっている。マージンとは、軸線Aに平行な方向から見て、径方向に突出した部分である。第1マージン部1および第2マージン部2の各々は、互いに離間している。第1マージン部1および第2マージン部2の各々は、先端部15側から後端部16に向かって軸線Aの周りを螺旋状に延在している。マージンの数は、1つの切刃9に対して2以上である。本実施形態においては、切刃9が2つであり、マージンは4つである。
中間領域3は、2以上のマージンの間に設けられている。中間領域3は、たとえば外周面4に設けられた溝である。中間領域3は、第1マージン部1および第2マージン部2の各々の外周面部に対して、軸線A側に窪んだ部分である。中間領域3は、先端部15側から後端部16側に向かって軸線Aの周りを螺旋状に延在している。中間領域3は、たとえば後方逃げ面12に連なっている。
図4および図5に示されるように、中間領域3には、凹部7が設けられている。図5に示されるように、凹部7は、側部6cと底部5aとにより規定されている。底部5aは、側部6cに連なる。図4および図5に示されるように、底部5aの最大径W2は、0.5μm以上1μm以下である。凹部7の数は、少なくとも1個以上である。側部6cは、ダイヤモンドライクカーボン膜6により構成されている。底部5aは、ダイヤモンドライクカーボン膜6から露出した基材5により構成されている。図4に示されるように、凹部7を構成する底部5aの形状は、略円形である。ダイヤモンドライクカーボン膜6と基材5との境界面6bに対して垂直な方向から見て、凹部7の数は、200μm×200μmの正方領域あたり800個以上である。凹部7の数は、200μm×200μmの正方領域あたり、850個以上であってもよいし、900個以上であってもよい。
図5に示されるように、水溶性ミスト加工用ドリル100は、基材5と、基材5上に設けられたダイヤモンドライクカーボン膜6とにより構成されている。基材5は、たとえばWC(炭化タングステン)等の粉末と、Co(コバルト)等の結合剤とを含む焼結体である超硬合金である。なお、基材5は、超硬合金に限られるものではなく、たとえばサーメットまたはセラミックス等であってもよい。断面視において、ダイヤモンドライクカーボン膜6の厚みHは、たとえば0.1μm以上1.0μm以下である。厚みHは、たとえば0.15μm以上0.95μm以下であってもよいし、0.20μm以上0.90μm以下であってもよい。ダイヤモンドライクカーボン膜6は、たとえばアモルファス構造を有している。
図5に示されるように、ダイヤモンドライクカーボン膜6は、基材5と接する境界面6bと反対側の表面6aを有している。断面視において、表面6aから境界面6bに向かうにつれて凹部7の幅が小さくなっていてもよい。断面視において、凹部7を構成する側部6cは、円弧状の部分を有していてもよい。側部6cは、内側に凹む曲面であってもよい。底部5aは、境界面6bに連なっていてもよい。
図4および図6に示されるように、中間領域3上のダイヤモンドライクカーボン膜6の領域には、凸部8が設けられていてもよい。境界面6bに対して垂直な方向から見て、凸部8の最大径W1は、1μm以上20μm以下である。凸部8の数は、200μm×200μmの正方領域あたり、たとえば1個以上20個以下である。凸部8の数は、200μm×200μmの正方領域あたり、2個以上18個以下であってもよいし、4個以上16個以下であってもよい。
図6に示されるように、凸部8は、ダイヤモンドライクカーボン膜6の表面6aから基材5と反対側に突出している。凸部8は、たとえばPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて基材5上にダイヤモンドライクカーボン膜6を形成する際に発生するドロップレットである。ドロップレットは、たとえば複数の炭素原子が集まって形成されたクラスターである。ドロップレットは、炭素原子以外の原子を核にして、当該核の周りに炭素原子が集まったものであってもよい。凸部8は、球面状の表面部分を有してもよい。断面視において、凸部8は、基材5に向かうにつれて凸部8の径が大きくなる部分を有していてもよい。200μm×200μmの正方領域あたりの凸部8の数は、当該正方領域あたりの凹部7の数よりも少なくてもよい。
次に、凹部の測定方法について説明する。
凹部7は、たとえばJEOL社製の走査電子顕微鏡(型番:JSM−6610A)の反射電子画像を用いて測定することができる。図7は、本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリル100の中間領域3の一部を撮影した反射電子画像である。反射電子は、試料を構成する物質の原子番号が大きい程、多く放出される。そのため、反射電子画像においては、重い原子で構成された部分は明るく表示され、軽い原子で構成された部分は暗く表示される。つまり、反射電子画像においては、試料の組成の違いを識別することができる。図7において、明るく表示されている部分は、超硬合金が露出している部分である。反対に、暗く表示されている部分は、ダイヤモンドライクカーボンが残っている部分である。当該反射電子画像を用いて、明るく表示されている領域を凹部として特定することができる。当該反射電子画像を用いて凹部7の数を算出することにより、200μm×200μmの正方領域あたりの凹部7の数を算出することができる。
次に、凸部の測定方法について説明する。
凸部8は、たとえばJEOL社製の走査電子顕微鏡(型番:JSM−6610A)の二次電子画像を用いて測定することができる。図8は、本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリル100の中間領域3の一部を撮影した二次電子画像である。二次電子は、試料を構成する原子の価電子が放出されたものである。二次電子は、エネルギーが極めて小さいため、試料の表面付近で生成されたものだけが試料の外に放出される。そのため、二次電子画像においては、試料の表面形状を識別することができる。図8において、明るく表示されている丸い領域は、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面が突出した部分である。当該反射電子画像を用いて、明るく表示されている丸い領域を凸部として特定することができる。当該反射電子画像を用いて凸部8の数を算出することにより、200μm×200μmの正方領域あたりの凸部8の数を算出することができる。なお、図8の測定領域は、図7の測定領域と同じである。
次に、本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリルの製造方法について説明する。
まず、ドリルの基材が準備される。ドリルの基材の材料は、たとえば超硬合金である。次に、基材の表面にダイヤモンドライクカーボン膜が形成される。ダイヤモンドライクカーボン膜は、たとえばPVD法を用いて形成される。たとえば基材が、真空チャンバの内部に配置される。真空チャンバ内でアーク放電を発生させることで、原料となるグラファイトのターゲットの表面から炭素イオンが発生する。炭素イオンが基材の表面に堆積することにより、基材上にダイヤモンドライクカーボン膜が形成される。
ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜工程において、複数の炭素原子が集まったドロップレットがアークスポットから発生する場合がある。発生した複数のドロップレットの中の一部は、基材の表面(たとえば外周面、すくい面、逃げ面およびシンニング面等)に付着する。たとえばターゲットに印加されるアーク電源などを調整することにより、発生するドロップレットの数が制御される。基材の表面におけるドロップレットの数が、たとえば200μm×200μmの正方領域あたり800個以上となるように、ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜条件が調整される。
次に、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面の研磨が行われる。具体的には、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に対して遊離砥粒による磨き処理もしくはバレル処理が行われる。まず、たとえば水滴に複数の研磨砥粒を含ませた略球状の研磨材が準備される。研磨砥粒は、たとえばダイヤモンド砥粒である。研磨材の径は、たとえば0.1mm以上2mm以下である。たとえばエアーノズルを用いて、研磨材を基材の表面に吹き付けて、研磨材をダイヤモンドライクカーボン膜の表面上において滑走させることにより、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面が研磨される。これにより、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面上に堆積していたドロップレットの一部がダイヤモンドライクカーボン膜の表面上から除去される。最大径が1μm以下の凸状のドロップレットもダイヤモンドライクカーボン膜の表面上から除去される。
ドロップレットがダイヤモンドライクカーボン膜の表面から剥がれる際、ドロップレットの下にあるダイヤモンドライクカーボン膜の部分も一緒に剥がれる。これにより、基材5の一部がダイヤモンドライクカーボン膜6から露出して凹部7が形成される(図4および図5参照)。ダイヤモンドライクカーボン膜6上に残されたドロップレットは、凸部8を構成する(図4および図6参照)。凹部7の数が、たとえば200μm×200μmの正方領域あたり800個以上となるように、処理条件が調整される。同様に、凸部8の数が、200μm×200μmの正方領域あたり1個以上20個以下となるように、処理条件が調整されてもよい。以上により、本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリル100(図1参照)が製造される。
次に、本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリルの作用効果について説明する。
本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリル100によれば、第1マージン部1と第2マージン部2との間に設けられた中間領域3において、底部5aがダイヤモンドライクカーボン膜6から露出した基材5により構成されている凹部7が設けられている。凹部7の数は、200μm×200μmの正方領域あたり800個以上である。ミスト状の水溶性潤滑剤は、超硬合金などの基材の表面に吸着しやすい性質を有する。そのため、ミスト状の水溶性潤滑剤が、基材が露出した底部を有する凹部内に入り込む。結果として、中間領域の表面は、ダイヤモンドライクカーボンとミスト状の水溶性潤滑剤が溜まった凹部とにより構成される。これにより、潤滑性を向上することができると考えられる。よって、中間領域に被削材の切屑が溶着することを抑制することができる。
また本実施形態に係る水溶性ミスト加工用ドリル100によれば、ダイヤモンドライクカーボン膜6には、境界面6bに対して垂直な方向から見て、最大径W1が1μm以上20μm以下の凸部8が設けられている。凸部8の数は、200μm×200μmの正方領域あたり、1個以上20個以下である。これにより、切削中に被削材の切屑が凸部に引っ掛かることを抑制することができる。結果として、中間領域に被削材の切屑が溶着することをさらに抑制することができる。
(サンプル準備)
まず、中間領域3における凹部7(図4参照)の数の異なるサンプル1および2の水溶性ミスト加工用ドリルを準備した。サンプル1および2の水溶性ミスト加工用ドリルの中間領域における凹部の数(言い換えれば、基材の露出部の数)を、200μm×200μmの正方領域あたり、それぞれ999個および271個とした。凹部の数は、前述の測定方法により算出した。
(切削条件)
サンプル1および2の水溶性ミスト加工用ドリルを用いて、水溶性ミスト供給孔からミスト状の水溶性潤滑剤を噴射しながら、被削材に対して穴あけ加工を行った。水溶性潤滑剤としてエマルジョンを使用した。ミストの直径を約15μm以下とした。被削材をアルミニウム合金(ADC12材)とした。穴の径をφ7.5とした。穴をストップホールとした。穴の深さを25mmとした。切削速度(Vc)を200m/分とした。1回転あたりの送り速度(f)を0.5mm/回転とした。上記条件を用いて穴あけ加工試験を実施し、加工穴数を測定した。
(評価結果)
Figure 0006935642
表1は、各サンプルの加工穴数と、中間領域における凹部の数との関係を示している。表1に示されるように、サンプル1および2の水溶性ミスト加工用ドリルの加工穴数は、それぞれ14000穴および20穴であった。また20穴加工後、サンプル2の水溶性ミスト加工用ドリルを観察したところ、中間領域、切刃およびシンニング面などにおいて、被削材の切屑が多量に溶着していることが確認された。一方、10000穴加工後、サンプル1の水溶性ミスト加工用ドリルを観察したところ、中間領域、切刃およびシンニング面などにおいて、被削材の切屑がほとんど溶着していないことが確認された。以上の結果より、サンプル2の水溶性ミスト加工用ドリルと比較して、サンプル1の水溶性ミスト加工用ドリルは、被削材の切屑の溶着を抑制可能であることが確認された。またサンプル2の水溶性ミスト加工用ドリルと比較して、サンプル1の水溶性ミスト加工用ドリルは、加工穴数を向上可能であることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 第1マージン部
2 第2マージン部
3 中間領域
4 外周面
5 基材
5a 底部
6 ダイヤモンドライクカーボン膜
6a 表面
6b 境界面
6c 側部
7 凹部
8 凸部
9 切刃
10 すくい面
11 水溶性ミスト供給孔
12 後方逃げ面
13 シャンク
15 先端部
16 後端部
20 逃げ面
50 シンニング面
100 水溶性ミスト加工用ドリル
A 軸線
H 厚み
W1,W2 最大径

Claims (3)

  1. すくい面と、
    前記すくい面と連なる逃げ面と、
    前記すくい面および前記逃げ面の双方に連なる外周面とを備え、
    前記すくい面と前記逃げ面との稜線は、切刃を構成し、
    前記外周面は、2以上のマージンと、前記2以上のマージンの間に設けられた中間領域とを含み、
    前記中間領域には、側部と、前記側部に連なる底部とにより規定され、かつ前記底部の最大径が0.5μm以上1μm以下である凹部が設けられており、
    前記側部は、ダイヤモンドライクカーボン膜により構成され、
    前記底部は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜から露出した基材により構成されており、
    前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記基材との境界面に対して垂直な方向から見て、前記凹部の数は、200μm×200μmの正方領域あたり800個以上である、水溶性ミスト加工用ドリル。
  2. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の厚みは、0.1μm以上1.0μm以下である、請求項1に記載の水溶性ミスト加工用ドリル。
  3. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜には、前記境界面に対して垂直な方向から見て、最大径が1μm以上20μm以下の凸部が設けられており、
    前記凸部の数は、200μm×200μmの正方領域あたり、1個以上20個以下である、請求項1または請求項2に記載の水溶性ミスト加工用ドリル。
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