JP2018168397A - 非晶質カーボン被膜の製造方法、非晶質カーボン被膜及び切削工具 - Google Patents

非晶質カーボン被膜の製造方法、非晶質カーボン被膜及び切削工具 Download PDF

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薫 島野
Kaoru Shimano
薫 島野
健太郎 鶴田
Kentaro Tsuruta
健太郎 鶴田
萩野 達也
Tatsuya Hagino
達也 萩野
真志 水野
Masashi Mizuno
真志 水野
森口 秀樹
Hideki Moriguchi
秀樹 森口
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Abstract

【課題】高い耐久性を有する非晶質カーボン被膜の製造方法、当該非晶質カーボン被膜及び当該非晶質カーボン被膜を有する切削工具を提供する。【解決手段】基材の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜をベース被膜として形成する基礎成膜工程の後に、基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜の表面を研磨する被膜研磨工程と、被膜研磨工程において研磨された非晶質カーボン被膜の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜を追加被膜として形成する追加成膜工程と、の組み合わせを少なくとも1回実行することにより、1層のベース被膜と少なくとも1層の追加被膜とからなる複数層の非晶質カーボン被膜を基材の表面に形成する。外表面を構成する追加被膜の厚みは小さいことが望ましい。基礎成膜工程の前に基材の表面を研磨する基材研磨工程を実行してもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、非晶質カーボン被膜の製造方法、非晶質カーボン被膜及び切削工具に関する。より具体的には、本発明は、高い耐久性を有する非晶質カーボン被膜の製造方法、当該非晶質カーボン被膜及び当該非晶質カーボン被膜を有する切削工具に関する。
当該技術分野においては、耐摩耗性及び耐溶着性の向上を目的として、例えば切削加工(例えばフライス加工、旋削加工及び穴あけ加工等)等において使用される切削工具(例えばフライス工具、旋削工具及び穴あけ工具等)等の表面に非晶質カーボン被膜を形成することが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。このような非晶質カーボン被膜の例としては、所謂「DLC(Diamond−Like Carbon)被膜」を挙げることができる。また、このような非晶質カーボン被膜は、例えば、グラファイトを原料として実質的に水素を含まない雰囲気下における物理的蒸着法によって形成することができる。
また、超硬合金の切削工具基体の切れ刃及び切れ刃部近傍にダイヤモンド被覆膜を形成し、次いで該ダイヤモンド被覆部を含む基体表面を潤滑性に優れた保護膜によって被覆することも知られている(例えば、特許文献2を参照。)。これによれば、ダイヤモンド被覆切削工具の切れ刃部の耐摩耗性を損なうことなく、大きい表面の凹凸をやわらげて切り屑とダイヤモンド被覆膜との間の摩擦係数を小さくして、ドライ・セミドライ加工における被削物の溶着を低減し、切り屑の流れを改善することができるとされている。
更に、窒素含有量が3〜40at%のCN層がDLC層の上に直接設けられた2層構造を有し且つ膜厚が0.01〜2μmの硬質被膜を工具基材の表面に設けることにより、当該工具において優れた耐熱性、耐摩耗性、耐溶着性及び耐久性を達成することも知られている(例えば、特許文献3を参照。)。加えて、フィルタードアークイオンプレーティング法によって基材の表面にDLC被膜を被覆する被覆工具の製造方法において、平滑な表面状態を有する基材を用いることに加えて、DLC被膜を被覆する前に、水素ガスを含んだ混合ガスを用いて所定のバイアス電圧にて基材の表面をガスボンバード処理することにより、DLC被膜の基材に対する密着性を向上させることも知られている(例えば、特許文献4を参照。)。
特開2003−062706号公報 特開2003−025117号公報 特開2008−229780号公報 特開2015−193913号公報
上述したように、当該技術分野においては、各種工具等の基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜の耐摩耗性、耐溶着性及び基材に対する密着性の向上並びに当該基材の表面と被削材との間の潤滑性の向上等を目的とする様々な技術が提案されている。しかしながら、例えばADC12及びAC8A等のアルミニウム(Al)合金及びマグネシウム(Mg)合金等のダイカストを始めとする比較的柔らかい材料からなる被削材を切削加工の対象とする場合、当該被削材の切削加工において非晶質カーボン被膜を有する切削工具の刃先等への被削材の凝着等の問題が生ずる場合がある。その結果、切削抵抗が増大し、非晶質カーボン被膜の耐久性が低下し、切削工具としての寿命が短くなる虞が高まる。
上記問題は、以下のようなメカニズムによって発生すると考えられる。
(1)非晶質カーボン被膜の形成時に発生し非晶質カーボン被膜に混入したドロップレット(ミクロンオーダーの微粒子。「マクロパーティクル」と称される場合もある。)が切削加工中に脱落して基材が露出する。
(2)上記のようにして露出した基材の表面が被削材の凝着の起点となる。
(3)上記のように脱落したドロップレットが非晶質カーボン被膜の表面を擦過することにより非晶質カーボン被膜に損傷が発生し、被削材の凝着の起点となる。
上記のように、当該技術分野においては、高い耐久性を有する非晶質カーボン被膜の製造方法、当該非晶質カーボン被膜及び当該非晶質カーボン被膜を有する切削工具が求められている。本発明は、高い耐久性を有する非晶質カーボン被膜の製造方法、当該非晶質カーボン被膜及び当該非晶質カーボン被膜を有する切削工具を提供することを1つの目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜の表面を研磨処理に付した後、当該非晶質カーボン被膜の表面上に非晶質カーボン被膜を更に形成することにより、高い耐久性を有する非晶質カーボン被膜を形成することができることを見出した。
上記に鑑み、本発明に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(以降、「本発明方法」と称される場合がある。)は、基材の表面に非晶質カーボン被膜を形成する非晶質カーボン被膜の製造方法であって、以下に列挙する各工程を含む。
基礎成膜工程:基材の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜をベース被膜として形成する。
被膜研磨工程:基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜の表面を研磨する。
追加成膜工程:被膜研磨工程において研磨された非晶質カーボン被膜の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜を追加被膜として形成する。
本発明方法においては、基礎成膜工程を実行した後に、被膜研磨工程と追加成膜工程との組み合わせを少なくとも1回実行する。これにより、1層のベース被膜と少なくとも1層の追加被膜とからなる複数層の非晶質カーボン被膜を基材の表面に形成する。
更に、本発明に係る非晶質カーボン被膜(以降、「本発明被膜」と称される場合がある。)は、基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜であって、非晶質カーボン被膜の基材とは反対側の表面である外表面において、電子エネルギー損出分光法(EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy)によって測定されるエネルギー損失スペクトルの280eV以上且つ310eV以下の損失エネルギーの範囲における信号強度の損失エネルギーに対する積分値に対するsp結合に由来する信号強度の損失エネルギーに対する積分値の比であるsp結合存在比が0.5以上である。
加えて、本発明に係る切削工具(以降、「本発明工具」と称される場合がある。)は、上述した本発明被膜が少なくとも刃先の表面に形成されている切削工具である。
本発明によれば、非晶質カーボン被膜の外表面の平滑性及び潤滑性を向上させ、切削加工における被削材の凝着の起点を低減することができる(詳しくは後述する)。その結果、切削抵抗を低減し、非晶質カーボン被膜の耐久性を向上させ、切削工具としての寿命を延ばすことができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の第1実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(第1方法)において実行される各工程の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(第3方法)において実行される各工程の流れの一例を示すフローチャートである。 実施例において基材として採用したドリルの形状を示す模式図である。 実施例の基材研磨工程における処理時間の長さと処理後の基材の面粗度(表面粗さ)との関係を示すグラフである。 実施例の被膜研磨工程における処理時間の長さと処理後のDLC被膜の面粗度との関係を示すグラフである。 比較例1に係る評価用サンプルとしてのドリルAを用いて切削加工を行った後の刃先近傍の電子顕微鏡写真である。 比較例2に係る評価用サンプルとしてのドリルAを用いて切削加工を行った後の刃先近傍の電子顕微鏡写真である。 比較例4に係る評価用サンプルとしてのドリルAを用いて切削加工を行った後の刃先近傍の電子顕微鏡写真である。 実施例に係る評価用サンプルとしてのドリルAを用いて切削加工を行った後の刃先近傍の電子顕微鏡写真である。
比較例3に係る評価用サンプルとしてのドリルBを用いて切削加工を行った後の刃先近傍の電子顕微鏡写真である。 比較例4に係る評価用サンプルとしてのドリルBを用いて切削加工を行った後の刃先近傍の電子顕微鏡写真である。 実施例に係る評価用サンプルとしてのドリルBを用いて切削加工を行った後の刃先近傍の電子顕微鏡写真である。 比較例3に係る評価用サンプルとしてのドリルBを用いて切削加工を行ったときの切削抵抗値の推移を示すグラフである。 比較例4に係る評価用サンプルとしてのドリルBを用いて切削加工を行ったときの切削抵抗値の推移を示すグラフである。 実施例に係る評価用サンプルとしてのドリルBを用いて切削加工を行ったときの切削抵抗値の推移を示すグラフである。 比較例3に係る評価用サンプルとしての試験片のロックウェル圧痕試験における圧痕部の写真である。 比較例4に係る評価用サンプルとしての試験片のロックウェル圧痕試験における圧痕部の写真である。 比較例5に係る評価用サンプルとしての試験片のロックウェル圧痕試験における圧痕部の写真である。 実施例に係る評価用サンプルとしての試験片のロックウェル圧痕試験における圧痕部の写真である。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(以下、「第1方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈概要〉
第1方法は、基材の表面に非晶質カーボン被膜を形成する非晶質カーボン被膜の製造方法である。基材とは、その表面に非晶質カーボン被膜を形成しようとする対象物又は当該対象物を構成する材料を指し、具体的には、例えば、フライス工具、旋削工具、切断工具及び穴あけ工具等の切削工具並びに当該切削工具を構成する材料等を指す。このような材料の具体例としては、例えば炭化タングステン(タングステン・カーバイド、WC)等を主成分とする超硬合金等を挙げることができる。
非晶質カーボン被膜とは、前述したように、例えばDLC被膜(ダイヤモンドライクカーボン被膜)等を指し、当業者に周知であるように、ダイヤモンド及びグラファイト(黒鉛)の両方の炭素−炭素結合を併せ持つ炭素を主成分とする物質によって形成された薄膜を指す。このようにダイヤモンド及びグラファイトの両方の結合を併せ持つ構造は「アモルファス構造(非晶質構造)」と称される。尚、後述するように、本明細書においては、グラファイト結合(即ち、sp混成軌道による結合)を「sp結合」と称し、ダイヤモンド結合(即ち、sp混成軌道による結合)を「sp結合」と称する場合がある。
〈構成〉
第1方法は、基礎成膜工程、被膜研磨工程及び追加成膜工程を含む。基礎成膜工程は、基材の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜をベース被膜として形成する工程である。基材の表面に炭素を蒸着させるための具体的な手法としては、例えばスパッタリング及びイオンプレーティング(IP)等の物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)並びにプラズマCVD等の化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等を挙げることができる。これらの気相成長法(蒸着法)の詳細については当業者に周知であるので、ここでの説明は割愛する。
被膜研磨工程は、基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜の表面を研磨する工程である。非晶質カーボン被膜の表面を研磨するための手法は、非晶質カーボン被膜の表面に意図せぬ損傷を与えない限り、特に限定されない。このような研磨手法の具体例としては、例えば、ラッピング(Lapping)加工、ブラッシング加工及びバフ研磨加工等を挙げることができる。また、ラッピング加工の具体例としては、例えば、エアロラップ(AERO LAP)(登録商標)を挙げることができる。
追加成膜工程は、被膜研磨工程において研磨された非晶質カーボン被膜の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜を追加被膜として形成する工程である。被膜研磨工程において研磨された非晶質カーボン被膜の表面に炭素を蒸着させるための具体的な手法もまた、例えばスパッタリング及びアークイオンプレーティング等の物理気相成長法(PVD)並びにプラズマCVD等の化学気相成長法(CVD)等の種々の手法の中から適宜選択することができる。尚、追加成膜工程において採用される気相成長法(蒸着法)は、基礎成膜工程において採用される気相成長法(蒸着法)と同じであっても或いは異なっていてもよい。
第1方法においては、基礎成膜工程を実行した後に、被膜研磨工程と追加成膜工程との組み合わせを少なくとも1回実行する。これにより、1層のベース被膜と少なくとも1層の追加被膜とからなる複数層の非晶質カーボン被膜が基材の表面に形成される。
例えば、図1のフローチャートによって示すように、ステップS01において基礎成膜工程を実行した後、次のステップS02においてカウンタNの値をゼロ(0)に設定する。尚、このステップS02をステップS01の前(即ち、当該ルーチンの開始直後)に実行するようにしてもよい。次いで、ステップS03において被膜研磨工程を実行した後、次のステップS04において追加成膜工程を実行する。その後、ステップS05においてカウンタNの値を「1」だけ増やす。
そして、次のステップS06においてカウンタNの値が所定の最大値(上限値)Nmaxに到達しているか否かを判断する。カウンタNの値が最大値Nmaxに到達している場合は、ステップS06において「Yes」と判定し、当該ルーチンを終了する。一方、カウンタNの値が最大値Nmaxに到達していない場合は、ステップS06において「No」と判定し、ステップS03の前に処理を戻し、ステップS03及びステップS04を実行する。即ち、被膜研磨工程と追加成膜工程との組み合わせを更に実行する。
図1においてNmax=1とした場合は、基礎成膜工程を実行した後に被膜研磨工程と追加成膜工程との組み合わせが1回実行され、1層のベース被膜と1層の追加被膜とからなる2層の非晶質カーボン被膜が基材の表面に形成される。また、図1においてNmax=2とした場合は、基礎成膜工程を実行した後に被膜研磨工程と追加成膜工程との組み合わせが2回実行され、1層のベース被膜と2層の追加被膜とからなる3層の非晶質カーボン被膜が基材の表面に形成される。
〈効果〉
前述したように、例えば切削工具の刃先の表面等に形成された非晶質カーボン被膜の耐久性が低下する原因の1つとして、非晶質カーボン被膜の形成時に発生し非晶質カーボン被膜に混入したドロップレットが切削加工中に脱落する問題を挙げることができる。ドロップレットの非晶質カーボン被膜からの脱落により、基材が露出した箇所及び/又は脱落したドロップレットによる擦過に起因して非晶質カーボン被膜が損傷した箇所が生ずる。これらの箇所に被削材が凝着することにより、切削抵抗が増大し、非晶質カーボン被膜の耐久性が低下し、切削工具としての寿命が短くなる。
しかしながら、第1方法によれば、上述した被膜研磨工程において、基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜の表面を研磨する。これにより、基礎成膜工程(又は前回の追加成膜工程)において形成された非晶質カーボン被膜に混入したドロップレットの少なくとも一部が脱落する(除去される)。脱落したドロップレットは一連の研磨処理によって非晶質カーボン被膜から取り除かれるので、例えば後に実行される切削加工中に非晶質カーボン被膜との擦過により損傷を発生させる虞は無い。
更に、被膜研磨工程における研磨時には非晶質カーボン被膜に圧縮応力が作用するので、非晶質カーボン被膜の圧縮の程度に応じて、非晶質カーボン被膜の機械的強度を増大させたり、非晶質カーボン被膜の基材に対する密着性を高めたりすることができる。加えて、研磨処理により非晶質カーボン被膜の表面の平滑性が向上し、被膜研磨工程の次に実行される追加成膜工程において形成される非晶質カーボン被膜の平滑性も向上する。その結果、例えば当該非晶質カーボン被膜が形成された切削工具の切削抵抗を低減することができる。
一方、上記のようにしてドロップレットが除去された箇所においては非晶質カーボン被膜に形成された貫通孔を通して基材が露出する場合がある。このようにして露出した基材の表面は被削材の凝着の起点となり得る。しかしながら、第1方法においては、上記被膜研磨工程の後に追加成膜工程が実行される。即ち、被膜研磨工程において研磨された非晶質カーボン被膜の表面に炭素を蒸着させることにより新たな非晶質カーボン被膜が追加被膜として形成される。その結果、基材が露出していた箇所にも新たな非晶質カーボン被膜が形成されるので、非晶質カーボン被膜において基材が露出している箇所が低減される。
ところで、追加成膜工程において形成される追加被膜としての非晶質カーボン被膜においても、ドロップレットが混入して、例えば当該非晶質カーボン被膜が形成された切削工具による切削加工時に当該ドロップレットが脱落する可能性がある。しかしながら、追加被膜としての非晶質カーボン被膜の下層には他の非晶質カーボン被膜(他の追加被膜又はベース被膜)が存在する。従って、追加被膜としての非晶質カーボン被膜からドロップレットが脱落しても、基材が露出する可能性は著しく低い。
上記の結果、例えば当該非晶質カーボン被膜が形成された切削工具による切削加工時に非晶質カーボン被膜の外表面からドロップレットが脱落して基材が露出する箇所が有効に低減される。従って、第1方法によれば、切削加工における被削材の凝着を低減し、切削抵抗の増大を低減し、非晶質カーボン被膜の耐久性を向上させることができる。
以上のように、第1方法によれば、非晶質カーボン被膜の基材とは反対側の表面である外表面の平滑性を向上させて、例えば当該非晶質カーボン被膜が形成された切削工具の切削抵抗を低減することができる。更に、上記切削工具による切削加工における被削材の凝着を低減し、切削抵抗の増大を低減することができる。それらの結果、非晶質カーボン被膜の耐久性を向上させることができる。
尚、上記のように蒸発法によって形成される非晶質カーボン膜は硬く、その厚みが増大するに従って被膜形成に伴う内部応力も増大する。その結果、ある特定の閾値以上の総厚(複数層の非晶質カーボン被膜全体としての厚み)を有する非晶質カーボン被膜を形成すると、非晶質カーボン被膜が基材から剥離したり、非晶質カーボン被膜に割れが発生したりする問題が生ずる虞がある。
上記のような問題を回避し得る非晶質カーボン被膜の総厚の上限値は、非晶質カーボン被膜の形成に用いられる蒸発法のタイプ及び/又は非晶質カーボン被膜を構成する材料の組成等によって変化する。例えば、上述したPVDにより水素を含まない(水素フリーな)DLC被膜を形成する場合における総厚の上限値は1μm程度であり、上述したCVDによりDLC被膜を形成する場合における総厚の上限値は10μm程度である。
従って、第1方法においても、例えば、非晶質カーボン被膜の形成に用いられる蒸発法のタイプ及び/又は非晶質カーボン被膜を構成する材料の組成等に応じた上限値を非晶質カーボン被膜の総厚が超えないように非晶質カーボン被膜を構成して、非晶質カーボン被膜の剥離及び/又は割れ等の問題を回避することが望ましい。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(以下、「第2方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第2方法は、基材の表面に形成される複数層の非晶質カーボン被膜のうち、非晶質カーボン被膜の基材とは反対側の表面である外表面を構成する追加被膜の厚みが、その他の非晶質カーボン被膜のうちの少なくとも何れか1層の非晶質カーボン被膜の厚みよりも小さいことを除き、上述した第1方法と同様である。
換言すれば、第2方法によって形成される複数層の非晶質カーボン被膜のうち、外表面を構成する非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中で最も厚い非晶質カーボン被膜ではない。具体的には、例えば、1層のベース被膜と1層の追加被膜とからなる2層の非晶質カーボン被膜が基材の表面に形成される場合、外表面を構成する非晶質カーボン被膜である1層の追加被膜の厚みは、唯一のその他の非晶質カーボン被膜である1層のベース被膜の厚みよりも小さい(薄い)。或いは、1層のベース被膜と2層の追加被膜とからなる3層の非晶質カーボン被膜が基材の表面に形成される場合、外表面を構成する非晶質カーボン被膜である1層の追加被膜の厚みは、その他の非晶質カーボン被膜である他の1層の追加被膜及び1層のベース被膜のうちの何れか1層の厚みよりも小さい(薄い)。
〈効果〉
これまでの説明から明らかであるように、本発明に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(本発明方法)においては、最後に実行される追加成膜工程において形成される追加被膜としての非晶質カーボン被膜は研磨されない。従って、本発明方法によって形成される非晶質カーボン被膜の外表面の平滑性を向上させるためには、最後に形成される追加被膜の平滑性を向上させることが望ましい。このような観点からは、最後に形成される追加被膜については、その他の非晶質カーボン被膜の何れにも増して、ドロップレットを低減することが望まれる。
一方、炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜を基材の表面に形成する場合、非晶質カーボン被膜の厚みが大きいほど、非晶質カーボン被膜に混入するドロップレットの頻度が高く(数が多く)、非晶質カーボン被膜に混入するドロップレットの大きさも大きい。従って、基材の表面に形成される非晶質カーボン被膜の外表面の平滑性を向上させるためには、最後に形成される追加被膜の厚みを小さく(薄く)することが望ましい。
第2方法によれば、上述したように、基材の表面に形成される複数層の非晶質カーボン被膜のうち、外表面を構成する追加被膜の厚みが、その他の非晶質カーボン被膜のうちの少なくとも何れか1層の非晶質カーボン被膜の厚みよりも小さい。つまり、外表面を構成する非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中で最も厚い非晶質カーボン被膜ではない。
従って、外表面を構成する非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中でドロップレットが最も多い非晶質カーボン被膜ではない。換言すれば、第2方法によれば、複数層の非晶質カーボン被膜の中でドロップレットが最も多い(即ち、最も厚い)非晶質カーボン被膜によっては非晶質カーボン被膜の外表面が構成されない。これにより、非晶質カーボン被膜の平滑性が低下する(粗くなる)ことを回避することができる。その結果、例えば当該非晶質カーボン被膜が形成された切削工具の切削抵抗を低減することができる。より好ましくは、第2方法によって形成される複数層の非晶質カーボン被膜のうち、外表面を構成する非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中で最も薄い非晶質カーボン被膜である。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(以下、「第3方法」と称される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第3方法は、基礎成膜工程の前に、基材の表面を研磨する基材研磨工程を更に含むことを除き、上述した第1方法及び/又は第2方法と同様である。図2は、第3方法において実行される各工程の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、「基材研磨工程が実行されるステップS00」が「基礎成膜工程が実行されるステップS01」の前に追加されている点を除き、上述した第1方法において実行される各工程の流れの一例を示す図1のフローチャートと同様である。従って、以下の説明においては基材研磨工程に着目して第3方法を説明する。
基材研磨工程において基材の表面を研磨するための手法は、基材の表面に意図せぬ損傷を与えない限り、特に限定されない。このような研磨手法の具体例としては、例えば、上述した被膜研磨工程において採用することができる各種研磨手法を挙げることができる。尚、基材研磨工程において採用される研磨手法は、被膜研磨工程において採用される研磨手法と同じであっても或いは異なっていてもよい。
〈効果〉
第3方法によれば、ベース被膜としての非晶質カーボン被膜が基材の表面に形成される基礎成膜工程が実行される前に、基材の表面が研磨される基材研磨工程が実行される。これにより、基材の表面の平滑性が向上するので、その後に形成されるベース被膜及び追加被膜の平滑性が更に向上する。その結果、例えば当該非晶質カーボン被膜が形成された切削工具の切削抵抗を更に低減することができる。
尚、上述した第1方法乃至第3方法を始めとする本発明の種々の実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法においては、基礎成膜工程が実行される前に、例えばエッチング処理等の表面処理を基材の表面に施して、ベース被膜としての非晶質カーボン被膜と基材の表面との接合を強めてもよい。このようなエッチング処理の具体例としては、例えば、プラズマエッチング処理等を挙げることができる。基礎成膜工程が実行される前に基材研磨工程を実行する場合、上記表面処理は、基材研磨工程の前に実行してもよく、或いは、基材研磨工程と基礎成膜工程との間に実行してもよい。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る非晶質カーボン被膜(以下、「第4被膜」と称される場合がある。)について説明する。
〈概要〉
第4被膜は、基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜である。基材及び非晶質カーボン被膜の詳細については、上述した第1方法に関する説明において既に述べたので、個々での説明は割愛する。
〈構成〉
第4被膜は、上述した第1方法乃至第3方法を始めとする本発明の種々の実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(本発明方法)によって製造することができる。本発明者は、このようにして製造される非晶質カーボン被膜の表面における炭素の結合構造の割合を特定の範囲に収めることにより、非晶質カーボン被膜の耐久性を向上させることができることを見出した。
即ち、第4被膜の基材とは反対側の表面である外表面(最も外側に形成された追加被膜の表面)において、電子エネルギー損出分光法(EELS)によって測定されるエネルギー損失スペクトルの280eV以上且つ310eV以下の損失エネルギーの範囲における信号強度の損失エネルギーに対する積分値に対するsp結合に由来する信号強度の損失エネルギーに対する積分値の比であるsp結合存在比が0.5以上である。前述したように、「sp結合」とは、sp混成軌道による炭素原子間の結合(グラファイト結合)を指し、「sp結合」とは、sp混成軌道による炭素原子間の結合(ダイヤモンド結合)を指す。
〈効果〉
第4被膜によれば、外表面におけるsp結合(グラファイト結合)の占める割合が高いため、当該非晶質カーボン被膜が刃先の表面に形成された切削工具の切削抵抗を低減し、非晶質カーボン被膜の耐久性を向上させ、切削工具としての寿命を延ばすことができる。
尚、第1方法に関する説明において述べたように、第4被膜においても、例えば、非晶質カーボン被膜の形成手法及び/又は非晶質カーボン被膜の材料組成等に応じた上限値を非晶質カーボン被膜の総厚が超えないように非晶質カーボン被膜を構成して、非晶質カーボン被膜の剥離及び/又は割れ等の問題を回避することが望ましい。
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係る非晶質カーボン被膜(以下、「第5被膜」と称される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第5被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の積層体として形成されていることを除き、上述した第4被膜と同様の構成を有する。
〈効果〉
第5被膜においても、成膜時にドロップレットが混入して、第5被膜が形成された切削工具による切削加工中に当該ドロップレットが脱落する可能性がある。しかしながら、上記のように第5被膜は複数層の非晶質カーボン被膜の積層体として形成されている。従って、外表面を構成する非晶質カーボン被膜の下層には他の非晶質カーボン被膜が存在する。従って、外表面を構成する非晶質カーボン被膜からドロップレットが脱落しても、基材が露出する可能性は著しく低い。
上記の結果、第5被膜によれば、例えば刃先の表面等に非晶質カーボン被膜が形成された切削工具による切削加工時における被削材の凝着を低減し、切削抵抗の増大を低減し、非晶質カーボン被膜の耐久性を向上させることができる。
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係る非晶質カーボン被膜(以下、「第6被膜」と称される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第6被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜のうち、外表面を構成する最外層の非晶質カーボン被膜の厚みは、その他の非晶質カーボン被膜のうちの少なくとも何れか1層の非晶質カーボン被膜の厚みよりも小さいことを除き、上述した第5被膜と同様の構成を有する。換言すれば、第6被膜を構成する複数層の非晶質カーボン被膜のうち、外表面を構成する最外層の非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中で最も厚い非晶質カーボン被膜ではない。
〈効果〉
上記のように、第6被膜において、外表面を構成する最外層の非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中で最も厚い非晶質カーボン被膜ではない。従って、上述した第2方法に関する説明からも明らかであるように、外表面を構成する最外層の非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中でドロップレットが最も多い非晶質カーボン被膜ではない。
換言すれば、第6被膜によれば、複数層の非晶質カーボン被膜の中でドロップレットが最も多い(即ち、最も厚い)非晶質カーボン被膜によっては非晶質カーボン被膜の外表面が構成されない。これにより、非晶質カーボン被膜の平滑性が低下する(粗くなる)ことを回避することができる。その結果、例えば当該非晶質カーボン被膜が形成された切削工具の切削抵抗を低減することができる。より好ましくは、第6被膜を構成する複数層の非晶質カーボン被膜のうち、外表面を構成する最外層の非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の中で最も薄い非晶質カーボン被膜である。
《第7実施形態》
以下、本発明の第7実施形態に係る非晶質カーボン被膜(以下、「第7被膜」と称される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第7被膜は、最外層の非晶質カーボン被膜の厚みが0.02μm以上であり且つ0.3μm以下であることを除き、上述した第6被膜と同様の構成を有する。より好ましくは、最外層の非晶質カーボン被膜の厚みは0.05μm以上であり且つ0.15μm以下である。
〈効果〉
第7被膜によれば、高い均質性及び密着性を有する非晶質カーボン被膜を得ることができる。最外層の非晶質カーボン被膜の厚みが0.02μmよりも薄い場合は、外表面に形成される非晶質カーボン被膜の均質性(連続性)が低下する。最外層の非晶質カーボン被膜の厚みが0.3μmよりも厚い場合は、外表面の直下に形成されている他の非晶質カーボン被膜に対する密着性が低下する。より好ましくは、最外層の非晶質カーボン被膜の厚みは0.05μm以上であり且つ0.15μm以下である。
《第8実施形態》
以下、本発明の第8実施形態に係る切削工具(以下、「第8工具」と称される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第8工具は、上述した第4被膜乃至第7被膜を始めとする本発明の種々の実施形態に係る非晶質カーボン被膜(本発明被膜)の何れかが少なくとも刃先の表面に形成されている切削工具である。
第8工具の少なくとも刃先の表面に形成される非晶質カーボン被膜の製造方法については、上述した第1方法乃至第3方法を始めとする本発明の種々の実施形態に係る非晶質カーボン被膜の製造方法(本発明方法)に関する説明において既に詳しく述べたので、ここでは説明を割愛する。同様に、第8工具の少なくとも刃先の表面に形成される非晶質カーボン被膜の構成については、上述した第4被膜乃至第7被膜を始めとする本発明の種々の実施形態に係る非晶質カーボン被膜(本発明被膜)に関する説明において既に詳しく述べたので、ここでは説明を割愛する。
切削工具の具体例としては、例えば、フライス工具、旋削工具、切断工具及び穴あけ工具等を挙げることができる。また、このような切削工具を構成する材料の具体例としては、例えば炭化タングステン(タングステン・カーバイド、WC)等を主成分とする超硬合金等を挙げることができる。
尚、第8工具においては、上記のように、少なくとも刃先の表面に本発明被膜が形成される。従って、第8工具の全ての表面が本発明被膜によって被覆されていてもよく、或いは、第8工具の刃先に加えて切削加工時に被削材と接触する部分又は切削加工時に被削材と接触する可能性が高い部分の表面が本発明被膜によって被覆されていてもよい。
〈効果〉
第8工具においては、非晶質カーボン被膜の基材とは反対側の表面である外表面の平滑性が向上されているので切削工具の切削抵抗を低減することができる。更に、切削加工における被削材の凝着を低減し、切削抵抗の増大を低減することができる。それらの結果、非晶質カーボン被膜の耐久性が向上するので、切削工具としての寿命を延ばすことができる。
ここで、本発明の実施例に係る非晶質カーボン被膜の各種特性につき、幾つかの比較例と対比しながら詳しく説明する。
《評価用サンプルの調製》
〈材料及び加工手法〉
タングステン・カーバイド(WC)を主成分とする超硬合金からなる平板状の試験片並びに図3に示すような形状を有する2種類のドリルA及びBを基材として採用した。各工程における研磨処理及び成膜処理は、試験片については一方の主面に対して、ドリルについては溝長(l)に対応する領域に対して、それぞれ施した。
更に、基材研磨工程及び被膜研磨工程における研磨手法としては、前述したエアロラップ(AERO LAP)(登録商標)を採用した。尚、研磨処理の条件としては、基材研磨工程及び被膜研磨工程のそれぞれについて、処理時間の長さと処理後の面粗度(表面粗さ)との関係を調べ、適切な処理時間を定めた。具体的には、基材研磨工程については、図4に示すグラフに基づき、処理時間を60秒間と定めた。一方、被膜研磨工程については、図5に示すグラフに基づき、処理時間を30秒間と定めた。
加えて、非晶質カーボン被膜としては、グラファイトをターゲットとするアークイオンプレーティング法により、水素フリーなDLC被膜をそれぞれの評価用サンプルの表面に形成した。尚、基礎成膜工程については形成するDLC被膜(ベース被膜)の目標厚みを約0.5μとし、追加成膜工程については形成するDLC被膜(追加被膜)の目標厚みを約0.1μとした。
〈各評価用サンプルの加工工程〉
上述した材料及び加工手法を用いて、比較例1乃至比較例5及び実施例のそれぞれに係る評価用サンプルを調製した。尚、実施例に係る評価用サンプルについては基材研磨工程、基礎成膜工程、被膜研磨工程及び追加成膜工程の全ての工程を実行したが、比較例1乃至比較例5に係る評価用サンプルについては、これらの工程のうち一部のみを実行した。
具体的には、以下の表1に示すように、比較例1については基材研磨工程を実行せずに基礎成膜工程のみを実行し、比較例2については基材研磨工程を実行せずに追加成膜工程のみを実行した。比較例3については基材研磨工程を実行した後に基礎成膜工程のみを実行し、比較例4については基材研磨工程を実行した後に追加成膜工程及び被膜研磨工程のみを実行した。更に、比較例5については、基材研磨工程を実行した後に基礎成膜工程を実行し、その後、被膜研磨工程を実行せずに追加成膜工程を実行した。
《評価用サンプルの評価》
〈総厚(試験片)〉
表1に示すように、基礎成膜工程のみを実行した比較例1及び追加成膜工程のみを実行した比較例2については、それぞれの成膜工程の目標厚みに概ね一致する厚みを有するDLC被膜が形成された。一方、基材研磨工程及び基礎成膜工程を実行した後に被膜研磨工程を実行した比較例4については、基礎成膜工程の後に被膜研磨工程を実行しない比較例1と比較して、総厚が小さい。これは、被膜研磨工程における研磨処理の結果、DLC被膜の厚みが薄くなったためであると考えられる。
これに対し、基材研磨工程、基礎成膜工程及び被膜研磨工程を実行した後に追加成膜工程を実行した実施例については、追加成膜工程を実行しない比較例4と比較して、総厚が若干大きい。これは、被膜研磨工程における研磨処理の結果、DLC被膜(ベース被膜)の厚みが薄くなったものの、その後に実行した追加成膜工程における成膜処理の結果、追加被膜が形成されたためであると考えられる。
〈表面粗さ(試験片)〉
上述した比較例1、比較例2、比較例4及び実施例に係る評価用サンプルにつき、周知の表面粗さ測定装置を使用して、表面粗さ(面粗度)Rzをそれぞれ測定した。表1に示すように、基材研磨工程を実行しなかった比較例1及び比較例2の面粗度と比較して、基材研磨工程を実行した比較例1及び実施例の面粗度は小さい。これは前述したように、基材研磨工程の実行により、基材の表面の平滑性が向上するので、その後に形成されるベース被膜及び追加被膜の平滑性が向上したと考えられる。
尚、表1に示した面粗度の値は、あくまでも本例において採用した材料及び加工手法における値であり、採用される材料及び加工手法等により面粗度の値自体は変化し得ることは言うまでも無い。
〈簡易凝着試験(ドリルA)〉
上述した比較例1、比較例2、比較例4及び実施例に係る評価用サンプル(ドリルA)につき、所定条件下において、アルミニウム合金(ADC12)のダイカストを被削材とする切削加工を行った。具体的には、6mmの直径を有するドリルを穴あけ工具として及びエマルジョンタイプのクーラントを切削油としてそれぞれ使用し、200m/minの切削速度及び1.0mm/revの送り速度にて、15mmの深さまで切削加工を行った。当該切削加工を行った後の刃先の電子顕微鏡写真を図6乃至図9にそれぞれ示す。これらの写真における破線によって囲まれた領域は、切り刃とシンニングとの境目において被削材が凝着している領域を表す。
表1に示すように、上記写真から判断される被削材の凝着量は、基材研磨工程を実行せずに基礎成膜工程のみを実行した結果、ベース被膜としてのDLC被膜のみが基材の表面に形成されている比較例1については「中」であった。一方、基材研磨工程を実行せずに追加成膜工程のみを実行した結果、追加被膜としてのDLC被膜のみが基材の表面に形成されている比較例2については「大」であった。また、基材研磨工程、基礎成膜工程及び被膜研磨工程を実行した結果、研磨処理により平滑性が向上した基材の表面にベース被膜としてのDLC被膜のみが形成され且つ当該DLC被膜もまた研磨処理に付されている比較例4についても、被削材の凝着量は「中」であった。
上記に対し、基材研磨工程、基礎成膜工程、被膜研磨工程及び追加成膜工程を実行した実施例については、被削材の凝着量は極めて少なく(図9を参照)「小」であった。これは、基材研磨工程における研磨処理により平滑性が向上した基材の表面に基礎成膜工程における成膜処理によりベース被膜としてのDLC被膜が形成され、更に被膜研磨工程における研磨処理によりベース被膜の平滑性が向上された後に追加被膜としてのDLC被膜が更に形成された結果、DLC被膜の外表面の平滑性が向上され、切削加工時の摩擦係数が低減され、切削抵抗もまた低減されたためであると考えられる。
更に、前述したように、ベース被膜に混入したドロップレットが被膜研磨工程における研磨処理により除去されると共に、その後に実行される追加成膜工程における成膜処理によって形成される追加被膜により、ベース被膜からのドロップレットの除去に伴って基材が露出した箇所が塞がれるので、被削材の凝着の起点となる箇所が低減されたためであると考えられる。
〈簡易凝着試験(ドリルB)〉
次に、上述した比較例3、比較例4及び実施例に係る評価用サンプル(ドリルB)につき、上述した簡易凝着試験(ドリルA)と同様の条件下において、アルミニウム合金(ADC12)のダイカストを被削材とする切削加工を行った。当該切削加工を行った後の刃先の電子顕微鏡写真を図10乃至図12にそれぞれ示す。これらの写真における破線によって囲まれた領域は、切り刃とシンニングとの境目において被削材が凝着している領域を表す。
表1に示すように、上記写真から判断される被削材の凝着量は、基材研磨工程を実行した後に基礎成膜工程のみを実行した結果、研磨処理により平滑性が向上した基材の表面にベース被膜としてのDLC被膜のみが形成されている比較例3については「中」であった。一方、基材研磨工程、基礎成膜工程及び被膜研磨工程を実行した結果、研磨処理により平滑性が向上した基材の表面にベース被膜としてのDLC被膜のみが形成され且つ当該DLC被膜もまた研磨処理に付されている比較例4については、被削材の凝着量は「大」であった。これは、ベース被膜に混入したドロップレットが被膜研磨工程における研磨処理により除去されて基材が露出した箇所が増えるために、被削材の凝着の起点となる箇所が増えたためであると考えられる。
上記に対し、基材研磨工程、基礎成膜工程、被膜研磨工程及び追加成膜工程を実行した実施例については、被削材の凝着量は極めて少なく(図12を参照)「小」であった。これは、基材研磨工程における研磨処理により平滑性が向上した基材の表面に基礎成膜工程における成膜処理によりベース被膜としてのDLC被膜が形成され、更に被膜研磨工程における研磨処理によりベース被膜の平滑性が向上された後に追加被膜としてのDLC被膜が更に形成された結果、DLC被膜の外表面の平滑性が向上され、切削加工時の摩擦係数が低減され、切削抵抗もまた低減されたためであると考えられる。
更に、前述したように、被膜研磨工程における研磨処理によりベース被膜に混入したドロップレットが除去されると共に、その後に実行される追加成膜工程における成膜処理によって形成される追加被膜により、ベース被膜からのドロップレットの除去に伴って基材が露出した箇所が塞がれるので、被削材の凝着の起点となる箇所が低減されたためであると考えられる。
〈切削抵抗値測定(ドリルB)〉
次に、上述した比較例3、比較例4及び実施例に係る評価用サンプル(ドリルB)についての簡易凝着試験における切削抵抗値の時間的な推移をそれぞれ計測した結果を図13乃至図15に示す。これらのグラフ及び表1に示すように、被削材の凝着量と切削抵抗値とは正の相関を示し、これら3種の評価用サンプルのうち、被削材の凝着量が最も少なかった実施例に係るドリルBの切削抵抗値が最も低いことが確認された。
〈ランニング試験(ドリルB)〉
次に、上述した比較例3及び実施例に係る評価用サンプル(ドリルB)の耐久性について評価した。具体的には、上述した簡易凝着試験と同様の条件下において、アルミニウム合金(ADC12)のダイカストを被削材とするドリル切削加工を行い、加工された穴の加工精度及びバリの発生度合いを評価することにより、工具の使用可能な寿命として切削回数を比較例3及び実施例に係る評価用サンプルのそれぞれについて測定した。その結果、表1に示すように、従来技術に係るDLC被膜に相当する被膜が形成された比較例3に係る評価用サンプルにおいては20000回であったのに対し、本発明に係る実施例に係る評価用サンプルにおいては640000回であった。即ち、本発明に係る非晶質カーボン被膜により切削工具の耐久性を大幅に延ばすことができることが確認された。
〈密着性評価(試験片)〉
次に、上述した比較例3乃至比較例5及び実施例に係る評価用サンプル(試験片)につき、非晶質カーボン被膜(DLC被膜)の基材に対する密着性をロックウェル圧痕試験によって評価した。それぞれの評価用サンプルの圧痕部の写真を図16乃至図19に示す。表1に示すように、DLC被膜の基材に対する密着性は、本発明に係る実施例が最も良好であり、次いで研磨された基材の表面に1層のベース被膜のみが形成された従来技術に対応する比較例3が良好であった。
一方、比較例3のベース被膜に研磨処理(被膜研磨工程)を施したものに相当する比較例4については、被膜研磨工程におけるドロップレットの除去の影響からか、DLC被膜の基材に対する密着性は最も不良であった。更に、比較例3のベース被膜に研磨処理(被膜研磨工程)を経ること無く追加被膜の成膜処理(追加成膜工程)を施したものに相当する比較例5については、比較例4よりは良好であるものの、DLC被膜の基材に対する密着性は不良であった。
〈結晶構造評価(試験片)〉
最後に、上述した比較例3乃至比較例5及び実施例に係る評価用サンプル(試験片)につき、外表面(即ち、最外層)におけるsp結合(グラファイト結合)の占める割合を表すsp結合存在比を、反射法による電子エネルギー損失分光法(EELS)によって分析した。分析装置としては、走査型オージェ分光装置(Pekin−Elmer社製)と静電半球型検出器(Omicron社製)とを組み合せたものを用いた。対照標準試料としてはグラファイト及びダイヤモンドを用いた。
具体的な評価手順は以下の通りである。
(1)C−K損失端コアロスペクトルからバックグラウンドを除去して強度を規格化した損失端近傍のEELSスペクトル(ELNESスペクトル)を求める。
(2)規格化されたELNESスペクトルの280eV以上且つ310eV以下の損失エネルギーの範囲(全範囲)内の面積Aを求める。
(3)全範囲内に2つのピーク(sp結合に由来するπピーク及びsp結合に由来するσピーク)があるとみなし、それぞれのピークを分離する。
(4)πピークの面積Bの上記面積Aに対する面積比(B/A)を求める。
(5)グラファイトについて求められた面積比(B/A)を1とし、ダイヤモンドについて求められた面積比(B/A)を0とした場合における各評価用サンプル(試験片)について求められた面積比(B/A)の相対値をそれぞれ求め、これらの相対値を各評価用サンプル(試験片)の外表面(即ち、最外層)におけるsp結合存在比とする。
このようにして評価した結果を、以下の表2に示す。
表2に示すように、基材研磨工程において研磨された基材の表面に形成されたDLC被膜である比較例3については、sp結合存在比(即ち、外表面におけるグラファイト結合の占める割合)は低く、必ずしも潤滑性は高くないと考えられる。
比較例3のベース被膜に研磨処理(被膜研磨工程)を施したものに相当する比較例4については、外表面におけるsp結合存在比は比較例3よりも更に少なくなっていた。この原因は不明であるが、比較例4についても、必ずしも潤滑性は高くないと考えられる。また、比較例3のベース被膜に研磨処理(被膜研磨工程)を経ること無く追加被膜の成膜処理(追加成膜工程)を施したものに相当する比較例5については、外表面におけるsp結合存在比は比較例3と基本的に同様であった。これは、追加成膜工程におけるDLC被膜(追加被膜)の気相成長は、ベース被膜の外表面におけるsp結合存在比に対応したものとなるためであると考えられる。
一方、比較例3のベース被膜に研磨処理(被膜研磨工程)を施した後に追加被膜の成膜処理(追加成膜工程)を施したものに相当する実施例については、比較例3乃至比較例5と比較して、sp結合存在比が多くなっていた。即ち、実施例においては、比較例3乃至比較例5と比較して、外表面におけるグラファイト結合の占める割合が高い。従って、実施例に係るDLC被膜は比較的軟らかく、潤滑性が高いと考えられる。これは、被膜研磨工程における研磨処理により、ベース被膜に混入していたドロップレットが除去されるのみならず、ベース被膜の外表面における(sp結合による)結晶構造に欠陥が生じ、その後に実行される追加成膜工程における気相成長において、sp結合の占める割合が減少し、sp結合の占める割合が増大したためであると考えられる。
尚、上記結晶構造評価(試験片)においては、ELNESスペクトルにおける幾何学的な面積A及び面積Bに基づいてsp結合存在比を算出した。しかしながら、sp結合存在比を求めるための具体的な手順は当該手順に限定されない。例えば、面積A及び面積Bに代えて、ELNESスペクトルの280eV以上且つ310eV以下の損失エネルギーの範囲(全範囲)に亘る信号強度の積分値及びπピークの信号強度の積分値をそれぞれ求め、前者に対する後者の比を上記面積比(B/A)の代わりに使用してもよい。
以上の結果から、本発明に係る非晶質カーボン被膜の製造方法及び本発明に係る非晶質カーボン被膜によれば、非晶質カーボン被膜の平滑性、密着性及び潤滑性を高め、ドロップレットを低減することにより、当該非晶質カーボン被膜を有する切削工具による切削加工時における被削材の凝着を低減して、切削抵抗を低減し、当該非晶質カーボン被膜及び当該切削工具の耐久性を向上させることができることが確認された。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。

Claims (8)

  1. 基材の表面に非晶質カーボン被膜を形成する非晶質カーボン被膜の製造方法であって、
    前記基材の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜をベース被膜として形成する基礎成膜工程と、
    前記基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜の表面を研磨する被膜研磨工程と、
    前記被膜研磨工程において研磨された非晶質カーボン被膜の表面に炭素を蒸着させることにより非晶質カーボン被膜を追加被膜として形成する追加成膜工程と、
    を含み、
    前記基礎成膜工程を実行した後に前記被膜研磨工程と前記追加成膜工程との組み合わせを少なくとも1回実行することにより、1層の前記ベース被膜と少なくとも1層の前記追加被膜とからなる複数層の非晶質カーボン被膜を前記基材の表面に形成する、
    非晶質カーボン被膜の製造方法。
  2. 請求項1に記載された非晶質カーボン被膜の製造方法であって、
    前記複数層の非晶質カーボン被膜のうち、前記非晶質カーボン被膜の前記基材とは反対側の表面である外表面を構成する前記追加被膜の厚みは、その他の非晶質カーボン被膜のうちの少なくとも何れか1層の非晶質カーボン被膜の厚みよりも小さい、
    非晶質カーボン被膜の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された非晶質カーボン被膜の製造方法であって、
    前記基礎成膜工程の前に前記基材の表面を研磨する基材研磨工程を更に含む、
    非晶質カーボン被膜の製造方法。
  4. 基材の表面に形成された非晶質カーボン被膜であって、
    前記非晶質カーボン被膜の前記基材とは反対側の表面である外表面において、電子エネルギー損出分光法(EELS)によって測定されるエネルギー損失スペクトルの280eV以上且つ310eV以下の損失エネルギーの範囲における信号強度の損失エネルギーに対する積分値に対するsp結合に由来する信号強度の損失エネルギーに対する積分値の比であるsp結合存在比が0.5以上である、
    非晶質カーボン被膜。
  5. 請求項4に記載された非晶質カーボン被膜であって、
    前記非晶質カーボン被膜は、複数層の非晶質カーボン被膜の積層体として形成されている、
    非晶質カーボン被膜。
  6. 請求項5に記載された非晶質カーボン被膜であって、
    前記複数層の非晶質カーボン被膜のうち、前記外表面を構成する最外層の非晶質カーボン被膜の厚みは、その他の非晶質カーボン被膜のうちの少なくとも何れか1層の非晶質カーボン被膜の厚みよりも小さい、
    非晶質カーボン被膜。
  7. 請求項6に記載された非晶質カーボン被膜であって、
    前記最外層の非晶質カーボン被膜の厚みは、0.02μm以上であり且つ0.3μm以下である、
    非晶質カーボン被膜。
  8. 請求項4乃至請求項7の何れか1項に記載された非晶質カーボン被膜が少なくとも刃先の表面に形成されている切削工具。
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