JP4991244B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、表面被覆切削工具に関する。
従来から、超硬合金やサーメットなどの基材表面に、化学蒸着法や物理蒸着法によって形成された耐摩耗性、機械的強度に優れる被覆層を被着形成してなる表面被覆切削工具が広く用いられる。
特に、物理蒸着法にて成膜された被覆層は、鋼やステンレス、アルミ等の材料を加工するための切削工具として好適に用いられており、中でも、アーク放電や、ホロカソードを用いたイオンプレーティング法、スパッタリング法などの色々な成膜方法があり、各方法の特徴に合った用途で使い分けられている。
そして、かかる被覆層の改善を目指して上記被覆層の多層化が検討されている。例えば、特許文献1では、アークイオンプレーティング法によって形成されるTiAlNからなる被覆層について、基体側から、(200)面に最大ピーク強度を有する第1皮膜と、(111)面に最大ピーク強度を有する第2皮膜とを順次形成した表面被覆切削工具が提案され、被覆層が基体から剥離するのを抑制できることが記載されている。
また、特許文献2では、アークイオンプレーティング法にて最大粗さ5μmの表面を有する第1層を成膜した後、その表面にスパッタリング法にてMoS等の固体潤滑膜を成膜することによって、安価な固定潤滑膜を用いても基体との密着力が低下せず、高い耐摩耗性と潤滑性を保持できることが記載されている。
さらに、特許文献3では、基体の表面にアークイオンプレーティング法にてTiAlNの硬質被覆層を成膜した後、その表面にスパッタリング法によってZrOの潤滑被覆層を成膜した被覆超硬工具が記載され、ZrO層が強靭化したものとなって切削時に優れた耐摩耗性を発揮することが記載されている。
特開平10−330914号公報 特開2000−178720号公報 特開2006−15451号公報
しかしながら、上記従来の被覆層では切刃に衝撃がかかると被覆層全体にクラックが進展しやすく、チッピングや大きな欠損が発生することがあった。
本発明の目的は、耐欠損性が高くチッピングや欠損が発生しにくい表面被覆工具を提供することにある。
本発明は、基体の表面に、第1被覆層と、柱状結晶から構成されて前記基体の表面の垂線方向に対して平均で1〜15°の角度で斜めの方向に成長した第2被覆層とを順次被覆していることを特徴とする。
ここで、上記構成において、前記第1被覆層および前記第2被覆層が、(Ti1−a−bAl)C1−d(ただし、XはTiを除く周期表第4、5および6族元素、Siおよび希土類元素より選ばれる一種以上の元素。0.3≦a≦0.7、0≦b≦0.2、0≦d≦1)から構成されていることを特徴とする。
また、上記構成において、前記第1被覆層が前記基体の表面の垂線方向に成長した、平均結晶幅が0.02〜0.3μmの柱状結晶粒子にて構成されていることを特徴とする。
さらに、上記構成において、前記第2被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅が0.1〜0.8μmであり、前記第1被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅よりも大きいことを特徴とする。
また、上記構成において、前記第1被覆層がイオンプレーティング法にて成膜されたものであり、前記第2被覆層がスパッタリング法にて成膜されたものであることを特徴とする。
さらに、上記構成において、前記第1被覆層と前記第2被覆層との界面の粗さが算術平均粗さ(Ra)に換算した値で0.1〜0.25μmであり、かつ前記第2被覆層の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.03〜0.15μmであることを特徴とする。
また、上記構成において、前記第1被覆層の層厚が0.1〜3μmであり、前記第2被覆層の層厚が0.5〜5μmであることを特徴とする。
さらに、上記構成において、前記第1被覆層と前記第2被覆層との総膜厚が2〜7μmであることを特徴とする。
また、上記構成において、前記第1被覆層における金属元素に対するAlの含有量であるaよりも前記第2被覆層における金属元素に対するAlの含有量であるaのほうが多い(a>a)ことを特徴とする。
さらに、上記構成において、30原子%≦a≦60原子%、かつ40原子%≦a≦70原子%であることを特徴とする。
本発明は、基体の表面に、第1被覆層と、柱状結晶から構成されて前記基体の表面の垂線方向に対して平均で1〜15°の角度で斜めの方向に成長した第2被覆層とを順次被覆していることによって、被覆層に衝撃がかかっても第2被覆層から伝わる力が分散して第1被覆層には衝撃が伝わりにくくクラックの進展が抑制される結果、被覆層に発生するチッピングや大きな欠損を抑制できる。
ここで、前記第1被覆層および前記第2被覆層が、(Ti1−a−bAl)C1−d(ただし、XはTiを除く周期表第4、5および6族元素、Siおよび希土類元素より選ばれる一種以上の元素。0.3≦a≦0.7、0≦b≦0.2、0≦d≦1)から構成されていることによって、両被覆層は硬度が高く、かつ柱状結晶を構成しやすく耐欠損性に優れたものとなる。
また、前記第1被覆層が前記基体の表面の垂線方向に成長した、平均結晶幅が0.02〜0.3μmの柱状結晶粒子にて構成されていることによって、第1被覆層が高硬度で基体との密着性に優れるものとなる。さらに、前記第2被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅が0.1〜0.8μmであり、前記第1被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅よりも大きいことによって、被覆層全体としての残留応力を低減することができるとともに硬質被覆層におけるクラックの進展が偏向されやすくなるため、被覆層の膜剥離やチッピングを防止することができて耐欠損性が向上する。
ここで、前記第1被覆層がイオンプレーティング法にて成膜されたものであり、前記第2被覆層がスパッタリング法にて成膜されたものであることが望ましい。これによって、第1被覆層が高硬度で基体に対する高い付着力を有するとともに、第2被覆層が被覆層の表面を非常に平滑な状態にすることができ、加工面粗度の低下や、被削材の工具表面への溶着を防ぐことができる。しかも、第2被覆層に残存する残留応力を小さくすることができて、被覆層の層厚が厚くなっても残留応力によって自己破壊しにくく、厚膜化も可能となる。
なお、前記第1被覆層と前記第2被覆層との界面の粗さが算術平均粗さ(Ra)に換算した値で0.1〜0.25μmであり、かつ前記第2被覆層の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.03〜0.15μmであることが望ましい。これによって、前記第1被覆層と前記第2被覆層との密着性が高くてチッピングの発生を抑制できるとともに、被覆層の表面が平滑で、例えば、切削工具として用いた場合には切削加工面の面粗度を平滑に仕上げることができ、被削材の溶着を抑制することができ、切屑の流れもスムーズにできる。
また、前記第1被覆層の層厚が0.1〜3.0μmであり、前記第2被覆層の層厚が0.5〜5.0μmであることによって、被覆層は基体との密着性が高くかつ厚膜化しても自己破壊により被覆層がチッピングすることを防止できる。これによって、前記第1被覆層と前記第2被覆層との総膜厚を、例えば切削工具として使用する際に必要な耐摩耗性および耐欠損性に優れた2〜7μmとできる。
なお、前記第1被覆層における金属元素に対するAlの含有量であるaよりも前記第2被覆層における金属元素に対するAlの含有量であるaのほうが多い(a>a)こと、特に、30原子%≦a≦60原子%、かつ40原子%≦a≦70原子%であることが望ましい。これによって、第1被覆層の表面、すなわち第2被覆層との界面における面粗度の平滑性を高めることができるとともに、基体と第1被覆層との密着性を高めることができる。さらに、第2被覆層の耐酸化性を向上させることができる。
本発明の表面被覆工具の好適例である表面被覆切削工具(以下、単に工具と略す)について、その一実施態様を示す断面写真である図1を基に説明する。
図1によれば、工具1は、基体2の表面に、第1被覆層3と、柱状結晶から構成されて基体2の表面の垂線方向に対して平均で1〜15°の角度で斜めの方向に成長した第2被覆層4とを順次被覆した硬質被覆層5が被着形成されている。これによって、硬質被覆層5に衝撃がかかっても第2被覆層4から伝わる力が分散して第1被覆層3および基体2に伝わる衝撃が伝わりにくくクラックが進展しにくくなる結果、硬質被覆層5に発生するチッピングや大きな欠損を抑制できる。
ここで、第1被覆層3および第2被覆層4が、(Ti1−a−bAl)C1−d(ただし、XはTiを除く周期表第4、5および6族元素、Siおよび希土類元素より選ばれる一種以上の元素。0.3≦a≦0.7、0≦b≦0.2、0≦d≦1)から構成されていることによって、硬質被覆層5は、硬度が高く、かつ柱状結晶を構成しやすく耐欠損性に優れたものとなる。なお、第1被覆層3と第2被覆層4を構成する成分は必ずしも同じ元素および比率である必要はなく、必要に応じて変化させることができる。
また、第1被覆層3が平均で基体2の表面の垂線方向に成長した、平均結晶幅dが0.02〜0.3μmの柱状結晶粒子にて構成されていることによって、第1被覆層3が高硬度で基体との密着性に優れるものとなる。さらに、第2被覆層4を構成する柱状結晶の平均結晶幅dが0.1〜0.8μmであり、第1被覆層3を構成する柱状結晶の平均結晶幅dよりも大きいことによって、硬質被覆層5全体としての残留応力を低減することができるとともに硬質被覆層5におけるクラックの進展が偏向されやすくなるため、硬質被覆層5の膜剥離やチッピングを防止することができて耐欠損性が向上する。
なお、第1被覆層3の平均結晶幅dと、第2被覆層4の平均結晶幅dの比d/dを1.5以上、特に1.5〜3とすることによって、硬質被覆層内部の残留応力を低減することができ、硬質被覆層5の厚膜化が可能である。ここで、平均結晶幅dおよびdの測定方法は、硬質被覆層5の断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5,000倍〜500,000倍の倍率での拡大写真を撮り、その写真に対して、第2被覆層4の中間厚み位置で柱状結晶の成長方向と垂直な線分Aを引き、この線分A上を横切る粒界数を測定して、線分Aの長さ/粒界の数によって平均結晶幅dを求めることができる。同様に、第1被覆層3においても、中間厚み位置で柱状結晶の成長方向と垂直な線分Bを引き、この線分B上を横切る粒界数を測定して、線分Bの長さ/粒界の数によって平均結晶幅dを求めることができる。なお、第1被覆層3および第2被覆層4を構成する結晶が粒状である場合には、中間厚み位置で基体の表面と平行な線分を引き、この線分上を横切る粒界数を測定して、線分の長さ/粒界の数によって平均結晶幅dを求める。
ここで、硬質被覆層5の構成としては、第1被覆層3がイオンプレーティング法にて成膜されたものであり、第2被覆層4がスパッタリング法にて成膜されたものであることが望ましい。これによって、第1被覆層3が高硬度で基体に対する高い付着力を有するとともに、第2被覆層4が硬質被覆層5の表面を非常に平滑な状態にすることができ、切削工具として用いた場合には加工面粗度の低下を防止できるとともに被削材の工具1表面への溶着を防ぐことができる。しかも、第2被覆層4に残存する残留応力を小さくすることができて、硬質被覆層5の層厚が厚くなっても残留応力によって自己破壊しにくく、厚膜化も可能となる。
さらに、第1被覆層3と第2被覆層4との界面の粗さが算術平均粗さ(Ra)に換算した値で0.1〜0.25μmであり、かつ第2被覆層4の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.03〜0.15μmであることによって、第1被覆層3と第2被覆層4との密着性が高くてチッピングの発生を抑制できるとともに、硬質被覆層5の表面を平滑なものにできる。なお、第1被覆層3と第2被覆層4との界面の粗さは、上記顕微鏡観察写真から、第1被覆層と第2被覆層の間の界面をトレースし、この形状からJIS B0601’01に準拠して界面粗さを測定する。
また、第1被覆層3の層厚が0.1〜3.0μmであり、第2被覆層4の層厚が0.5〜5.0μmであることによって、硬質被覆層5は基体との密着性が高くかつ厚膜化しても自己破壊により硬質被覆層5がチッピングすることを防止できる。これによって、第1被覆層3と第2被覆層4との総膜厚が、切削工具として使用する際に必要な耐摩耗性および耐欠損性に優れた2〜7μmとできる。
ここで、第1被覆層3における金属元素に対するAlの含有量であるaよりも第2被覆層4における金属元素に対するAlの含有量であるaのほうが多い(a>a)こと、特に、30原子%≦a≦60原子%、かつ40原子%≦a≦70原子%であることが、第1被覆層3の第1被覆層の表面、すなわち第2被覆層との界面における面粗度の平滑性を高めることができるとともに、基体と第1被覆層との密着性を高めることができる。さらに、第2被覆層4の耐酸化性を向上させることができる。
なお、基体2は、例えば、超硬合金やサーメット、窒化珪素や酸化アルミニウム等のセラミックス、ダイヤモンドや立方晶窒化硼素等の超高圧焼結体が好適に用いられる。
(製造方法)
上記図1の表面被覆切削工具の製造方法について説明する。
まず、無機原料粉末に、金属粉末、カーボン粉末などを適宜添加し、これにバインダが適量添加して混合し、この混合粉末を、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形などの成形方法で所望の工具形状に成形する。そして、この成形体を焼成して基体を作製する。
次に、得られた基体に対して、必要に応じて、基体表面の研磨加工、切刃部のホーニング加工などが施した後、硬質被覆層を成膜する。硬質被覆層の詳細な成膜条件について説明すると、まず、得られた基体の表面にアークイオンプレーティング法を用いて第1被覆層を成膜する。アークイオンプレーティング法による成膜が可能な成膜装置を用いて、所定元素の金属または合金にて構成されたターゲットを用い、アーク放電によりターゲット中の金属を蒸発させてイオン化するのと同時に、窒素ガスやメタンガス等の反応ガス、およびアルゴンガスやキセノンガス等の不活性ガスを混合した混合ガスを成膜装置のチャンバ内に供給し、金属イオンと反応ガスとを反応させることにより所望の構成からなる第1被覆層を成膜する。
ここで、成膜中に、窒素ガスやメタンガスの反応ガスとともにヘリウムガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス等の不活性ガスを混合ガス中に添加して、基体に100〜300Vのバイアス電圧を印加しながら成膜することによって、基体に対する第1被覆層の付着力を高めることができる。特に、アルゴンガスを添加するとともにバイアス電圧を120〜200Vとすることが、密着力の高い第1被覆層の製造ができるため望ましい。
次に、イオンプレーティング法によって第1被覆層を成膜した基体の表面にスパッタリング法により第2被覆層を成膜する。この時、スパッタリング装置内にセットされる基体の位置が、第1被覆層での成膜位置に対してずれた位置となるように制御して基体またはターゲットを配置することにより、第2被覆層の結晶の成長方向を制御することができる。
また、所望により、イオンプレーティング法にて第1被覆層を成膜した後にスパッタリング法で第2被覆層を成膜する前に、成膜された第1被覆層の表面にArイオンによるイオンボンバード処理を行うことが望ましい。この処理によって第1被覆層の表面の面粗度を調節して第2被覆層の第1被覆層への付着力を向上させることができる。なお、第1被覆層を成膜する前にも基体の表面にArイオンによるイオンボンバード処理を行うことが、第1被覆層が成膜された表面が平滑になる点で望ましい。
ここで、スパッタリング装置は、前述のイオンプレーティング装置と同じ装置を用いて第1被覆層を成膜した後引き続いて第2被覆層を成膜することも可能である。または、第1被覆層を成膜した後、イオンプレーティング装置から一旦基体を取り出して、スパッタリング装置にセットすることもできる。
第2被覆層の成膜条件は、アルゴンイオンまたアルゴンとクリプトンの混合ガスをグロー放電によってイオン化し、発生したイオンにより金属または合金にて構成されたターゲットの表面をスパッタリングすると同時に、窒素(N)ガス、メタン(CH)ガス、アセチレン(C)ガス等の反応ガスと反応させて成膜する。成膜時に基体に印加するバイアス電圧を50〜200Vとすることにより、第2被覆層の結晶化度を高くかつ逆スパッタの発生も抑制されて第2被覆層の組成が変動してしまうことも防止できる。特に、バイアス電圧を80〜150Vとすることが、第2被覆層の結晶化度を高くかつ第2被覆層の内部に発生する内部応力を抑制できて第2被覆層の耐欠損性が高い被覆層5の製造ができるため望ましい。
このようにして得られる本発明の表面被覆切削工具は、たとえば、旋削加工具、転削加工具、穴あけ加工具などが挙げられる。旋削加工具としては、たとえば、外丸削りバイト、突っ切り/溝削りバイト、面削りバイトなどの外径旋削バイト、内径旋削バイト、外径ホルダ、内径ホルダ、スモールツールホルダ、溝入れホルダなどのホルダなどとして使用できる。転削加工具としては、たとえば、平フライス、正面フライス、側フライス、溝切りフライスなどフライス、1枚刃エンドミル、複数刃エンドミル、テーパ刃エンドミル、ボールエンドミルなどのエンドミルなどが挙げられる。穴あけ加工具としては、たとえば、ツイストドリル、スローアウェイ式ドリル、コアドリル、センタ穴ドリルなどのドリル、深穴工具などが挙げられる。それ以外にも、スリッターなどの切断刃、裁断刃、ダイスなどの型工具、ノズルなどの耐摩耗工具にも使用できる。もちろん、スローアウェイ工具としても使用できる。
平均粒径0.8μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を10質量%、平均粒径1.0μmの炭化チタン(TiC)粉末を0.5質量%、炭化バナジウム(VC)粉末と炭化クロム(Cr)粉末を合計で5質量%の割合で添加、混合して、プレス成形によりスローアウェイインサート形状(CNMA120408)に成形した後、脱バインダ処理を施し、0.01Paの真空中、1450℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。さらに、作製した超硬合金にブラシ加工にて刃先処理(ホーニングR)を施した。
そして、上記基体に表1に記載した第1被覆層および表2に記載した第2被覆層を順次成膜した硬質被覆層を形成して試料No.1〜13を作製した。
Figure 0004991244
Figure 0004991244
作製した試料の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)によって1万倍と20万倍で観察し、第1被覆層および第2被覆層それぞれの層厚並びにこれらの総層厚、結晶形態、平均結晶幅および平均角度を測定した。結果は表1、表2に示した。
また、各被覆層中のアルミニウム元素の含有量をエネルギー分散型X線分析(EPMA)により測定した。結果は表1、表2に示した。
また、硬質被覆層の第2被覆層の表面における算術平均粗さRaを接触式の表面粗さ計で任意3箇所について測定し、その平均値から求めた。具体的な測定方法は、JIS B0601’01に基づき触針式表面粗さ測定器を用いて、カットオフ値:0.25mm、基準長さ:0.8mm、走査速度:0.1mm/秒にて測定した。また、上記TEM写真から、第1被覆層と第2被覆層の間の界面をトレースし、この形状からJIS B0601’01に準拠して第1被覆層と第2被覆層との間の界面粗さを求めた。
さらに、硬質被覆層の付着力をスクラッチ試験にて測定した。スクラッチ試験は、ダイヤモンド圧子を硬質皮膜表面に付与し、その後、付与荷重を徐々に増加させながら硬質皮膜上を一方向にスクラッチすることにより実施した。付与荷重がある値に達したところで硬質皮膜が剥離するので、その値を基体と硬質被覆層との付着力とした。剥離が生じたことの有無は、ダイヤモンド圧子に取り付けられたアコースティックエミッションの急激な変化が生じる点として判断した。結果は表3に示した。
さらに、作製した試料にて下記の切削条件で切削評価を行った。
<切削条件>
切削方法:旋削
被削材 :SCM450
切削速度:150m/min
送り :0.25mm/rev
切り込み:1.5mm
切削状態:乾式
評価方法:20分間切削後のチッピングの有無、逃げ面摩耗幅
また、そのときの刃先の状態を走査型電子顕微鏡にて観察し、刃先の損傷状態を表3に示した。
Figure 0004991244
表2,3より、本発明の範囲外となる試料No.11〜13において、基体と接する下層部をアークイオンプレーティング以外の方法で成膜した試料(No.11,12)では、基体との密着力が弱いため、切削の早期膜剥離が発生してしまい、被削材の溶着やチッピングが発生して早期に工具寿命が来てしまった。また、工具の表面に露出する上部層にスパッタリング法以外の方法で成膜した試料No.11,13では、工具表面の面粗度が粗くなるため、被削材の溶着しやすくなり、早期に加工面の面粗度が0.3μm以上になってしまった。
これに対して、本発明の範囲内となる試料No.1〜10においては、硬質被覆層の付着力も高く、基体表面の粗大粒子も少なく、非常に平滑な表面であった。切削評価においても、硬質被覆層の剥離も無く、非常に優れた切削寿命を発揮した。
本発明の表面被覆切削工具の好適例である表面被覆切削工具について、その一実施態様を示す断面写真である。
符号の説明
1 工具
2 基体
3 第1被覆層
4 第2被覆層
5 硬質被覆層
第1被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅
第2被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅

Claims (10)

  1. 基体の表面に、第1被覆層と、柱状結晶から構成されて前記基体の表面の垂線方向に対して平均で1〜15°の角度で斜めの方向に成長した第2被覆層とを順次被覆していることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記第1被覆層および前記第2被覆層が、(Ti1−a−bAl)C1−d(ただし、XはTiを除く周期表第4、5および6族元素、Siおよび希土類元素より選ばれる一種以上の元素。0.3≦a≦0.7、0≦b≦0.2、0≦d≦1)から構成されていることを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記第1被覆層が前記基体の表面の垂線方向に成長した、平均結晶幅が0.02〜0.3μmの柱状結晶粒子にて構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の表面被覆切削工具。
  4. 前記第2被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅が0.1〜0.8μmであり、前記第1被覆層を構成する柱状結晶の平均結晶幅よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の表面被覆切削工具。
  5. 前記第1被覆層がイオンプレーティング法にて成膜されたものであり、前記第2被覆層がスパッタリング法にて成膜されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記第1被覆層と前記第2被覆層との界面の粗さが算術平均粗さ(Ra)に換算した値で0.1〜0.25μmであり、かつ前記第2被覆層の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.03〜0.15μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記第1被覆層の層厚が0.1〜3μmであり、前記第2被覆層の層厚が0.5〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記第1被覆層と前記第2被覆層との総膜厚が2〜7μmであることを特徴とする請求項7記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記第1被覆層における金属元素に対するAlの含有量であるaよりも前記第2被覆層における金属元素に対するAlの含有量であるaのほうが多い(a>a)ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  10. 30原子%≦a≦60原子%、かつ40原子%≦a≦70原子%であることを特徴とする請求項9記載の表面被覆切削工具。
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