JP7268901B2 - 摺動部材および摺動部材の製造方法 - Google Patents
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Description
前記被膜が、第1の非晶質炭素層と第2の非晶質炭素層とを含み、
前記第1の非晶質炭素層は、前記基材と前記第2の非晶質炭素層との間に形成され、
前記第1の非晶質炭素層は、前記第2の非晶質炭素層よりも硬度が高く、
前記被膜の断面において、前記第1の非晶質炭素層中に存在するマクロパーティクルを核とする異常成長物の密度が、11.8×10-3個/μm2以下であることを特徴とする、摺動部材。
前記基材上に、物理的気相蒸着法を用いて、前記第1の非晶質炭素層を形成する工程を含み、
前記第1の非晶質炭素層を形成する工程において、前記基材の最高到達温度を、150℃以下に制御することを特徴とする、摺動部材の製造方法。
本発明の実施形態1に係る摺動部材は、基材と、前記基材における少なくとも相手材と摺動する表面を被覆する被膜と、を含む摺動部材であって、前記被膜が、第1の非晶質炭素層と第2の非晶質炭素層とを含み、前記第1の非晶質炭素層は、前記基材と前記第2の非晶質炭素層との間に形成され、前記第1の非晶質炭素層は、前記第2の非晶質炭素層よりも硬度が高く、前記被膜の断面において、前記第1の非晶質炭素層中に存在するマクロパーティクルを核とする異常成長物の密度が、11.8×10-3個/μm2以下であることを特徴とする。
本発明の一実施形態における被膜は、前記基材における少なくとも相手材と摺動する表面を被覆し、後述する第1の非晶質炭素層と後述する第2の非晶質炭素層とを含む。また、本発明の一実施形態における被膜は、後述する第1の非晶質炭素層と後述する第2の非晶質炭素層とからなることが好ましい。
本発明の一実施形態における第1の非晶質炭素層は、前記基材と前記第2の非晶質炭素層との間に形成され、好ましくは、前記基材上に直接形成される。
本発明の一実施形態における第2の非晶質炭素層は、前記第1の非晶質炭素層よりも、前記基材から遠い位置に形成されている。
本発明の一実施形態における被膜は、前記第1の非晶質炭素層および前記第2の非晶質炭素層以外のその他の層を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る被膜の膜厚は、1μm以上、50μm以下であることが好ましく、2μm以上、30μm以下であることがより好ましく、5μm以上、30μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の実施形態2に係る摺動部材の製造方法は、本発明の実施形態1に係る摺動部材を製造する方法であって、前記基材上に、物理的気相蒸着法を用いて、前記第1の非晶質炭素層を形成する工程、および、前記第1の非晶質炭素層上に、前記第2の非晶質炭素層を形成する工程を含み、前記第1の非晶質炭素層を形成する工程において、前記基材の最高到達温度を、150℃以下に制御することを特徴とする。
実施例および比較例において、摺動部材、並びに、当該摺動部材を構成する第1の非晶質炭素層および第2の非晶質炭素層の物性を、以下の方法で測定した。
実施例および比較例にて製造された摺動部材を、基材の表面に垂直な方向に切断した。そして、当該切断により得られる断面に対して、イオンミリング法(CP加工)により化学研磨した後、当該断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観測することによって、第1の非晶質炭素層および第2の非晶質炭素層、並びに、第1の非晶質炭素層および第2の非晶質炭素層からなる被膜全体の膜厚を測定した。
実施例および比較例にて製造された摺動部材において、前述の層厚、膜厚の測定と同様の方法にて得られる任意の断面に対して、倍率1000倍の光学顕微鏡で観察した後、さらに異常成長物が第1の非晶質炭素層または第2の非晶質炭素層のいずれに存在するマクロパーティクルを核としているのかを、マイクロスコープの評価長さ340μmの条件下にてSEMを用いて観察し、前記被膜全体における異常成長の数、および、第1の非晶質炭素層のマクロパーティクルを起点とする異常成長の数を測定した。
実施例および比較例にて製造された摺動部材に対して、カロテスト法を用いて、第1の非晶質炭素層および第2の非晶質炭素層の硬度を測定した。
実施例および比較例にて製造された摺動部材において、前述の硬度測定にて得られたカロテスト痕における第1の非晶質炭素層および第2の非晶質炭素層それぞれに対して、ラマン分光分析機(日本分光(株)製NRS-5100、波長532nm)を用いて、ラマンスペクトルを測定した。得られたラマンスペクトルから直線によりベースラインを除去した後、波数1350cm-1の付近に存在するDピークと波数1550cm-1の付近に存在するGピークとにピーク分離を行った。その後、ピーク分離された前記Dピークおよび前記Gピークのピーク面積、並びに、前記Gピークのピーク位置を測定した。測定された前記Dピークおよび前記Gピークのピーク面積に基づき、ピーク面積比ID/IGの値を算出した。また、測定された前記Gピークのピーク位置の波数を、Gピークシフトの値とした。
実施例および比較例にて製造された摺動部材において、触診式粗さ計((株)アルバック製 Dektak 150)の測定装置を用いて、ANSI B46.1に準ずる方法により、前記被膜の表面粗さRaを測定した。続いて、測定された表面粗さRaの値を、前記被膜の膜厚にて除して、単位膜厚あたりの表面粗さ(Ra/膜厚)を算出した。
(摺動部材の製造)
基材として、クロムモリブデン鋼(商品名:SCM415、ロックウェル硬さ(HRC):約58)からなる鋼材を使用した。
基材として、クロムモリブデン鋼(商品名:SCM415、ロックウェル硬さ(HRC):約58)からなる鋼材を使用した。
実施例1~17および比較例1~3における、基材の最高到達温度、非晶質炭素層の形成時間といった製造条件を以下の表1に示す。また、実施例1~17および比較例1~3において製造された摺動部材、並びに、当該摺動部材を構成する第1の非晶質炭素層および第2の非晶質炭素層、並びに、被膜について、前述の方法にて測定した物性を、以下の表2および表3に示す。
表2および表3を参照して、実施例1~17と、比較例1~2との比較から、基板上に、より硬度が高い第1の非晶質炭素層と、より硬度が低い第2の非晶質炭素層を含む被膜が積層してなる摺動部材において、前記第1の非晶質炭素層中に存在するマクロパーティクルを核とする異常成長物の密度が、11.8×10-3個/μm2以下である摺動部材は、当該第1の非晶質炭素層中に存在するマクロパーティクルを起点とする異常成長の密度が11.8×10-3個/μm2よりも大きい摺動部材よりも、表面粗さが小さく、平滑性に優れることが分かった。
2 第1の非晶質炭素層
3 第2の非晶質炭素層
4 第1の非晶質炭素層
5 第2の非晶質炭素層
6 最表面
7 マクロパーティクルを核とする異常成長物
Claims (6)
- 基材と、前記基材における少なくとも相手材と摺動する表面を被覆する被膜と、を含む摺動部材であって、
前記被膜が、第1の非晶質炭素層と第2の非晶質炭素層とを含み、
前記第1の非晶質炭素層は、前記基材と前記第2の非晶質炭素層との間に形成され、
前記第1の非晶質炭素層は、前記第2の非晶質炭素層よりも硬度が高く、
前記被膜の断面において、前記第1の非晶質炭素層中に存在するマクロパーティクルを核とする異常成長物の密度が、11.8×10-3個/μm2以下であり、
前記第1の非晶質炭素層の層厚が、100nm以上であることを特徴とする、摺動部材。 - 前記第1の非晶質炭素層の層厚が、1000nmと前記被膜の総膜厚の20%とを比べて厚い方の層厚以下であることを特徴とする、請求項1に記載の摺動部材。
- 前記第1の非晶質炭素層の硬度が、40GPa以上、80GPa以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の摺動部材。
- 前記第1の非晶質炭素層のラマン分光によるID/IGの値が1.0以下であり、Gピークシフトが1535cm-1以上、1570cm-1以下であることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の摺動部材。
- 前記被膜の膜厚が、1μm以上、50μm以下であることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の摺動部材。
- 請求項1~5の何れか1項に記載の摺動部材を製造する方法であって、
前記基材上に、物理的気相蒸着法を用いて、前記第1の非晶質炭素層を形成する工程、および、
前記第1の非晶質炭素層上に、前記第2の非晶質炭素層を形成する工程を含み、
前記第1の非晶質炭素層を形成する工程において、前記基材の最高到達温度を、150℃以下に制御することを特徴とする、摺動部材の製造方法。
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