JP4775045B2 - 還元性せっこう組成物、その製造方法およびセメント系固化材と固化処理方法 - Google Patents

還元性せっこう組成物、その製造方法およびセメント系固化材と固化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、還元性せっこう組成物およびその製造方法に関し、特に、セメントに含有される六価クロムの溶出抑制、あるいは六価クロム汚染土壌からの六価クロムの溶出抑制を可能にする還元性せっこう組成物およびその製造方法に関する。本発明はまた、この還元性せっこう組成物をセメントに添加したセメント系固化材、さらにはこのセメント固化材で処理して六価クロムの溶出を抑制する固化処理方法に関する。
セメントの主原料であるセメントクリンカーは、各種の原料をロータリーキルンにより高温焼成することで製造されている。しかしながら、このような高温条件で製造されたクリンカー中には、原料に不可避的に含まれるクロムが有害な六価クロムの形態で存在する場合がある。
このようなセメントクリンカーを原料とするセメントをセメント系固化材として使用した場合、固化対象土によっては、固化処理土から、土壌環境基準値を上回る六価クロムが溶出する場合がある。
一方、2003年2月の土壌汚染対策法の施行に伴い、重金属汚染土壌の固化・不溶化処理技術への期待が高まっている。六価クロム汚染土は発見頻度の高い汚染物質の一つであり、その固化・不溶化技術が求められている。
このようなセメントに起因する固化処理土からの六価クロムの溶出防止方法または六価クロム汚染土壌の固化・不溶化などに関して、各種の還元剤の添加が知られている。例えば、特許文献1には、還元剤として、硫酸第一鉄、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、硫黄、硫化物、高炉スラグ等が例示されている。さらには短・長期的な還元作用の持続性を確保するため、これらの還元剤を組合せて使用することも開示されている。
しかし、高炉スラグなどを除いて、これらの還元剤をセメントに5質量%以下程度の少量添加する場合、混合装置によっては、均一混合が困難であり不溶化効果のバラツキの一因となることがある。また、これらの還元剤を添加するためには、セメントとの混合のために、専用のタンク、計量器、輸送機器等の設備が必要になる。一方、高炉スラグなどは還元効果が小さく、多量添加が必要であり、このためセメント系固化材の強度発現性の低下に問題があった。また、高炉スラグを除いて、これらの還元剤は一般に高価であり、不溶化処理コストにも課題があった。
特許文献2には、亜硫酸カルシウムとゼオライトとを併用することにより、六価クロムの溶出を抑制する方法が開示されている。しかし、工業薬品としての亜硫酸カルシウムは高価であり、固化成分として不活性なゼオライトの添加はやはり固化強度の低下に繋がる。
一方、従来、セメント系固化材として、軟弱地盤あるいは高含水泥状物を効率的に固化するため、エトリンガイトの多量生成を目的として各種セメントにせっこうを添加したものが使用されている。使用されるせっこうは固化材の製造方法によって異なるが、パン型、スクリュースネッキ型、パドル型ミキサーなどの汎用的な粉体混合装置を用いて製造する場合、乾燥粉体として流通しており、粉体としての取扱い性(混合性)が良好で、固化特性に優れるII型無水せっこうが主に用いられている。そしてこれらの添加・混合設備は汎用的に配備されている。
しかし、このII型無水せっこうは供給源が限られており、固化材を構成する主原料としては価格が高い。一方、比較的安価なせっこう源として排脱せっこうがあるが、通常5〜10質量%前後の付着水分を含み、粉体流動性が悪く、上記の汎用的な混合設備では均一混合が困難である。この排脱せっこうの副生過程では、六価クロムの溶出抑制に効果の高い亜硫酸カルシウムが生成するが、通常、酸化処理されて二水せっこうとして副生している。また、排脱せっこうの副生過程で生成した亜硫酸カルシウムは熱風加熱乾燥時に酸化し易く取扱いが容易ではない。
特開2000−86322号公報 特開2005−112706号公報
本発明は、従来の六価クロム溶出抑制対策材の問題点を解決すること、すなわち、セメントに含有される六価クロムの、または六価クロム汚染土壌からの六価クロムの溶出抑制効果の均一化、固化強度の低下防止、溶出抑制コストの低減を可能にし、かつ、固化材用せっこうコストの低減、固化材製造工程の簡略化を可能にする還元性せっこう組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、これら従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、排煙脱硫工程から副生する酸化処理前の亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうを含む混合物の脱水物を、酸化カルシウム系処理材を用いて脱水物中の水分を消石灰(水酸化カルシウム)等に変換させるとともに、反応熱により乾燥させることにより乾燥粉末化した(以下、「乾粉化」という)。
その結果、乾粉化した還元性せっこう組成物は、良好な六価クロム溶出抑制性能を有し、さらに、固化材用せっこうとして、従来のII型無水せっこうと同等の固化作用を示すこと等を見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうを含有する還元性せっこう組成物である。
本発明はまた、還元性せっこう組成物の全質量を基準に、亜硫酸カルシウム半水和物を5〜20質量%、二水せっこうを60〜90質量%、および水酸化カルシウムを5〜20質量%含む、上記の還元性せっこう組成物である。
本発明はさらに、これらの還元性せっこう組成物を、セメント100質量部に対して5〜20質量部を含むセメント系固化材である。
本発明はまた、亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうを含有する還元性せっこう組成物の製造方法であって、排ガス脱硫工程での亜硫酸カルシウム半水和物を含むスラリーおよび該スラリーを酸化して得られる二水せっこうを含むスラリーを機械脱水した脱水物、またはそれぞれのスラリーを別々に機械脱水した脱水物を混合した脱水混合物に、付着水分1モル当たり0.25〜1.0モルの酸化カルシウム系処理材を加えて乾粉化する、還元性せっこう組成物の製造方法である。
さらに本発明は、酸化カルシウム系処理材がセメント仮焼原料である、還元性せっこう組成物の製造方法である。
そして本発明は、還元性せっこう組成物を添加して調製されたセメント系固化材を使用する、六価クロムの溶出を抑制する固化処理方法である。
本発明によれば、副生品として発生する亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物を、亜硫酸カルシウムの還元性能を損ねることなく乾粉化することが可能であり、また、この乾粉は固化材用添加材としてのII型無水せっこうと同等の固化性能を併せ持つことから、セメントへの添加のための製造工程・設備を簡略化することができ、六価クロムの不溶化処理コストの大幅な削減が期待される。また、還元剤となる亜硫酸カルシウムおよび二水せっこうが均一に混合されており、これを通常の還元剤に比較して多くの量をセメントに混合することにより、不溶化効果のバラツキが少ない効果を奏する。
本発明における亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうは各種排煙脱硫工程からの副生品、代表的には、消石灰もしくは炭酸カルシウム等を吸収剤とする火力発電所等の処理工程から発生するものを好適に使用することができる。通常の排煙脱硫工程では、吸収工程の初期に発生した亜硫酸カルシウム半水和物は、pH調整後、酸化器で空気酸化され二水せっこうとされたのち、遠心脱水され、付着水分として5質量%前後の湿潤状態で排出される。
本発明では、この過程におけるpH調整および酸化処理工程を調整し、亜硫酸カルシウムの酸化率(残存率)を調整するか、もしくは各工程のスラリーを混合調製することにより、所定の亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうを含むスラリーを得ることができる。その割合は、乾粉化した還元性せっこう組成物中の亜硫酸カルシウム半水和物の割合が5〜20質量%となるように、脱水後の付着水分と酸化カルシウム系処理材の添加量を勘案して調整する。
亜硫酸カルシウム半水和物の量が5質量%より少ない場合、還元効果が小さく、セメントからの六価クロムの溶出を抑制することが困難となり、亜硫酸カルシウム半水和物の量が20質量%より多いと、相対的に二水せっこう量が低下し、この還元性せっこう組成物を添加した固化材において十分な固化強度を得ることが困難になる。また、微結晶である亜硫酸カルシウム半水和物の量が増加することにより、混合物の脱水性が低下し、付着水分が増加するか、もしくは脱水時間が長くなるため、好ましくない。
所定の割合に調整した亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合スラリーは、遠心脱水機などの機械脱水により付着水分を3〜10質量%程度にする。なお、所定割合の亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物を得る方法としては、それぞれのスラリーを別々に機械脱水処理し、その後、両者を所定割合に混合することもできる。その際、亜硫酸カルシウム半水和物は、上述のように脱水性が悪いため、フィルタープレスなどを用いることが好ましい。脱水物の付着水分が10質量%以上になると、乾粉化のための酸化カルシウム系処理材の添加量が増加し、固化の有効成分である二水せっこう含有量の減少に伴う固化強度の低下等好ましくない現象の発現に繋がり、さらにはトータルコストの増加に繋がる。一方、脱水物の付着水分が3質量%以下になると、保管中の脱水物が一部乾燥するなどして、亜硫酸カルシウム半水和物が酸化して還元性能が損なわれる恐れがある。
酸化カルシウム系処理材としては、生石灰およびセメント製造工程において、サスペンションプレヒーター部分からキルン窯尻投入部までの工程から抜出したセメント仮焼原料の1種または2種を使用することができる。生石灰は通常の工業製品を使用することができるが、その粒度は5mm以下のものが好ましく、1mm以下であるものがより好ましい。
一方、セメント仮焼原料は、遊離酸化カルシウムを30質量%以上含有するものが好ましい。なお、酸化カルシウム系処理材としてセメント仮焼原料を使用した場合には、仮焼粘土鉱物の共存により、せっこう付着水分の酸化カルシウムの単位質量当たりの脱水化率が生石灰を使用した場合よりも高くなる特徴がある。
乾粉化は、脱水した亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物に含まれる付着水分1モルあたり0.25〜1モルの酸化カルシウム、もしくは含有される酸化カルシウム量が当該割合となるように、生石灰やセメント仮焼原料を加えて混合して行う。これにより、還元性せっこう組成物の付着水分を1.5質量%以下に低減でき、パウダーテスターにより測定された見掛け比重、安息角、スパチュラ角等を指数化して得られるCarrの粉体流動性指数が20以上の還元性せっこう組成物を得ることができる。
還元性せっこう組成物中の二水せっこう量は、亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物の付着水分、生石灰系処理剤の種類及び添加量によって変化するが、せっこう本来の機能を発現させるためには、還元性せっこう組成物の全質量を基準に、60〜90質量%の範囲で含有させるのが好ましく、65〜90質量%の範囲で含有させるのがより好ましく、70〜90質量%の範囲で含有させるのが特に好ましい。
また、脱水物の乾粉化のために添加した酸化カルシウム系処理材の水和の結果として生成する消石灰(水酸化カルシウム)は、亜硫酸カルシウム半水和物の乾粉化時の酸化を抑制するとともに、せっこうとしての機能発現に重要な役割を担うものである。このため、亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物の付着水分量、酸化カルシウム系処理材の種類、添加量を調整して、水酸化カルシウム量は、還元性せっこう組成物の全質量を基準に、5〜20質量%の範囲にあることが好ましい。
水酸化カルシウム量が5質量%より少ないと、亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物と酸化カルシウムとの水和反応および攪拌混合との相乗効果によってもたらされる、六価クロム溶出抑制効果が低下するか、あるいは固化強度が低下する。一方、水酸化カルシウム量が20質量%より多いと、相対的に二水せっこう量が少なくなり、せっこうに起因する本来の機能が損なわれることになる。
なお、還元性せっこう組成物には、原材料である亜硫酸カルシウム半水和物、二水せっこう、および酸化カルシウム系処理材に含まれることがある炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、アルカリ等、あるいは、これらの化合物が不可避成分として混入されることがある。
亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物と酸化カルシウム系処理材との攪拌・混合には、通常のパドル、リボン、パン、ナウタ、傾胴型等の各種ミキサーを使用することができる。この攪拌・混合時には、亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物中の付着水分と酸化カルシウム系処理材との水和反応の発熱により、二水せっこう中の結晶水の脱水による半水せっこう化あるいは無水せっこう化を起す場合がある。この結晶水の脱水が過度に起こると、固化材スラリーなどにおいて、化学混和剤(分散剤等)との相互作用も含めて流動性が大きく変化するため、還元性せっこう組成物に含まれる半水せっこうの含有量は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下に抑制するのがより好ましい。
せっこうの半水化は、付着水分が10質量%以下の亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物を使用し、ミキサーへの亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物あるいは酸化カルシウム系処理材の投入順序、添加速度、混合時間等を調整するか、必要に応じて冷却機能(ジャケット等)を付与することによって、乾粉化工程におけるせっこう温度を60℃以下、好ましくは50℃以下にすることで、抑制することができる。また、得られる還元性せっこう組成物の付着水分を0.05〜1.5質量%に留めるのがより好ましい。なお、本発明の還元性せっこう組成物は、亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうを含む混合物の脱水物から水分を、酸化カルシウム系処理材を用いて消石灰(水酸化カルシウム)等に変換させ、併せて反応熱により乾粉化したものであり、一般的には、0.5〜1000μmの範囲の粒子からなる粉状体または顆粒状体が好適に用いられる。なお、顆粒状体の場合、乾粉化の条件により、1000μm以上のものも生成するが、このような粗大な顆粒状体のものは、更に分級や粉砕して使用目的に合わせることもできる。
参考として、還元性せっこう組成物の製造フローの一例を図1に示した。
これらの方法によって得られた還元性せっこうを、セメント100質量部に対して5〜20質量部添加して、六価クロム溶出抑制型セメント系固化材を製造する。その添加量は、セメント中の六価クロム含有量、固化対象とする土質の性状、六価クロム汚染土壌の汚染状況によって異なるため、還元性せっこう組成物の所要量を調整する。
還元性せっこう組成物が5質量部以下では、必要な六価クロム溶出抑制性能が得られないおそれがあるほか、十分な固化強度が得られない。一方、20質量部以上添加しても、それ以上の効果が望めないか、あるいは固化強度が低下するか、処理土が過度に膨張する恐れがある。
還元性せっこう組成物を添加するセメントとしては、JIS R 5210:2003「ポルトランドセメント」に規定されている各種ポルトランドセメントや混合セメントを挙げることができる。この他、混合材として、生石灰、消石灰、高炉スラグや石炭灰(フライアッシュ)を併用しても良い。還元性せっこう組成物のセメントへの添加・混合は、通常、無水せっこうと同じ混合工程で行うことができるが、その他、粉砕、分級、輸送などの所定の混合効果が見込める工程での添加も可能である。
このように調製したセメント系固化材は、粉体あるいはスラリーの状態で軟弱土などに添加・攪拌して土壌を改良する。固化材添加量は、改良目標強度や対象となる土質性状によって異なるが、通常、50〜400kg/m3の範囲から選択する。本発明の固化材がスラリー施工される場合においても、スラリー中で還元性せっこうが浮上あるいは沈降分離することなく、均質な固化処理土が得られる。本発明は、このような工程を経て、六価クロムの溶出量が抑制された固化処理方法を含むものである。
以下に、本発明を、実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実験1〕
火力発電所の排煙脱硫工程のpH調整槽前のスラリーと酸化塔を出た酸化後のスラリーとの混合物を想定して、還元性せっこう組成物を調製した。すなわち、通常の処理工程を経て副生された湿潤排脱二水せっこう(付着水分5.2%)に亜硫酸カルシウム半水和物(試薬一級:和光純薬(株)製)を、湿潤排脱二水せっこうと亜硫酸カルシウム半水和物とのドライベースでの合計量を100質量%とした場合に、亜硫酸カルシウム半水和物の割合が15質量%なるように添加し、実施例1の還元性せっこう組成物を得た。これに、上水を加えて付着水分80%の混合スラリーを調製した。次に、このスラリーを減圧濾過して脱水し、付着水分8.0質量%の脱水ケーキを得た。
ついで、ホバートミキサー(容量5L)を用い、この亜硫酸カルシウム半水和物および二水せっこうの混合物に、生石灰(0〜1mm品:宇部マテリアルズ(株)製)を付着水分1モルあたり0.24〜0.52モルとなるように添加し(生石灰中の酸化カルシウムは100%として計算)、20分間低速で混合・攪拌し、実施例1A、1B、1Cの還元性せっこう組成物を調製した。
得られた還元性せっこう組成物の計算上の化学組成およびCarrの流動性指数(下記参照)の測定結果を表1に示す。付着水分はJIS R9101-1995「セッコウの分析方法」に準拠して測定した。また粉体流動性指数は、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターPT−E型により測定した。比較として、通常の亜硫酸せっこうを含まない排脱せっこう付着水分5質量%品(比較例1A)およびII型無水せっこう(比較例1B)のデータを併記した。
Carrの流動性指数:(1)安息角、(2)圧縮度、(3)スパチュラ角、(4)凝集度および(5)均一度などの結果を総合して求める(下記非特許文献を参照のこと)。
横山藤平,浦山清,粉体工学研究会誌,6,264(1969).
横山藤平,粉砕,14,102(1965).
表1に示すように、生石灰を添加することで還元性せっこうの流動性を、比較例1Bに示す現状のII型無水せっこうと同等以上に改善することが可能となる。
〔実験2〕
〔実験1〕で得られた還元性せっこう組成物のうち、生石灰/付着水のモル比=0.4で乾粉化した還元性せっこう組成物(実施例1B)を、普通セメント(宇部三菱セメント(株)製)100質量部に8〜12質量部添加、混合して、実施例2A、2B、2Cの六価クロム溶出抑制型セメント系固化材を調製した。この固化材を関東ローム(埼玉県上福岡産、含水比108.6質量%、細粒分88.9質量%)に300kg/m3添加し、ホバートミキサー(容量5L)を用い低速で2分間練混した後、掻き落と操作を行い、さらに2分間低速で混合した。この場合、固化材はスラリー(水/固化材比60質量%)で添加した。
この固化処理土をJGS 0821-2000「安定処理土の締固めをしない供試体の作成方法」に準拠して、直径5×高さ10cmの円筒形供試体を作製し、20℃で所定材齢まで密封養生した。7日間養生した円柱供試体をJIS A 1216:1998「土の一軸圧縮試験方法」に準拠し、一軸圧縮強さを測定した。一軸圧縮試験後の供試体を2mm以下に解砕して、下記の六価クロム溶出試験を行った。この結果を、表2に示す。
なお、比較として、通常の処理工程を経て副生された湿潤排脱二水せっこう(付着水分5.2%)を50℃で付着水分1%に乾燥した二水せっこう乾燥物、II型無水せっこう単体を、各々普通セメントに添加した固化材(比較例2A、2B)についても同じ試験を行った。
六価クロムの溶出試験は、環境省告示46号(平成8年8月23日)に則り、6時間振とう後のろ液を、ジフェニルカルバジド方法(吸光光度方法)を用いて溶出六価クロムを定量した。本吸光光度方法の測定限界は0.01mg/Lであり、これ以下はNDと記載する。
表2に示すように、生石灰で乾粉化した還元性せっこう組成物を用いたセメント系固化材(実施例2A、2B、2C)は、乾燥二水せっこう、II型無水せっこうを、各々普通セメントに添加した固化材(比較例2A、2B)と比較して、六価クロムの溶出量NDとすることが可能であり、固化強度についても、比較例2BのII型無水せっこうを添加した固化材を用いた場合と同等の固化強度を得ることができる。
〔実験3〕
生石灰/付着水のモル比=0.3となるようにセメント仮焼原料で乾粉化した実施例3の改質せっこう(粉体流動性指数28)を用いて、六価クロム溶出抑制型セメント系固化材(実施例4A、4B、4C)を調製した他は、〔実験2〕と同様の試験を行った。なお、セメント仮焼原料はCaO含有量が40質量%(残余成分は、SiO、Al、Fe等のセメントの構成成分よりなる)のものを使用した。得られた還元性せっこう組成物の計算上の化学組成および粉体流動性指数を表3に、固化試験結果を表4に示す。
表4に示すように、セメント仮焼原料で乾粉化した還元性せっこう組成物を含有する実施例4A、4B、4Cの固化材は、乾燥二水せっこう、II型無水せっこうを添加した固化材(比較例2A、2B)に比較して六価クロムの溶出量NDとすることが可能である。また固化強度についても、生石灰で乾粉化した還元性せっこう組成物を含有する実施例2A、2B、2Cの固化材に比較してやや低いものの、乾燥二水せっこう、II型無水せっこうを含有する固化材(比較例2A、2B)と同等以上の固化強度を得ることができる。
還元性せっこう組成物の製造フローの一例を図1に示す図である。

Claims (5)

  1. 還元性せっこう組成物の全質量を基準に、亜硫酸カルシウム半水和物を5〜20質量%、二水せっこうを60〜90質量%、および水酸化カルシウムを5〜20質量%含む還元性せっこう組成物。
  2. 請求項1記載の還元性せっこう組成物を、セメント100質量部に対して5〜20質量部を含む、セメント系固化材。
  3. 請求項1記載の還元性せっこう組成物の製造方法であって、
    排ガス脱硫工程での亜硫酸カルシウム半水和物を含むスラリーおよび該スラリーを酸化して得られる二水せっこうを含むスラリーを機械脱水した脱水物、またはそれぞれのスラリーを別々に機械脱水した脱水物を混合した脱水混合物に、付着水分1モル当たり0.25〜1.0モルの酸化カルシウム系処理材を加えて乾粉化する、ことを特徴とする還元性せっこう組成物の製造方法。
  4. 酸化カルシウム系処理材がセメント仮焼原料である、請求項記載の還元性せっこう組成物の製造方法。
  5. 請求項記載のセメント系固化材を使用する、六価クロムの溶出を抑制する固化処理方法。
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