JP2010228926A - セメント組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性Cr(VI)の溶出を十分に抑制できるとともに、廃棄物を有効利用することが可能であり、良好な流動性を有するセメント組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るセメント組成物は、セメントクリンカーと石膏とを含むものであり、セメントクリンカーは、ボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%及びC4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kgであり、当該セメント組成物の全質量を基準とするSO3量が2.0質量%より多いことを特徴とする
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るセメント組成物は、セメントクリンカーと石膏とを含むものであり、セメントクリンカーは、ボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%及びC4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kgであり、当該セメント組成物の全質量を基準とするSO3量が2.0質量%より多いことを特徴とする
【選択図】なし
Description
本発明は、原料の一部として廃棄物を使用して製造されるセメントクリンカーと石膏とを含有するセメント組成物及びその製造方法に関する。
従来より、セメントクリンカーは、石灰石、粘土、珪石、鉄原料等の主原料をキルン中で高温焼成することにより製造される。クリンカーの製造においては、これらの主原料だけではなく、各種廃棄物を原料として有効利用している。その反面、原料の選択によっては、クリンカー中にCrが持ち込まれ、高温焼成して得られるクリンカー中にCrが有害なCr(VI)の形態で存在する場合がある。Cr(VI)の一部は水溶性であり、これを含むセメント組成物を使用した場合、モルタル硬化体やコンクリート硬化体からCr(VI)が溶出するおそれがある。水溶性のCr(VI)は、クリンカーに含まれるアルカリのような少量成分と化合している。廃棄物原料に含まれる上記少量成分量が増加すれば、水溶性のCr(VI)が増加する。
セメント中の水溶性Cr(VI)を低減する方法として、以下のものが知られている。第1に、溶出低減材の添加による方法である。特許文献1には、原料の混練時にCr(VI)の還元性物質及び鉛の固定化物質を添加して水硬性物質を得る方法が記載されている。この文献の請求項2には還元性物質として第一鉄塩、高炉スラグ、硫黄、チオ硫酸塩又は鉄粉を使用し、固定化物質としてキレート剤、不溶化剤又は吸着剤を使用することが記載されている。
第2に、原料を事前に処理又は選別する方法である。特許文献2には、鉄系廃棄物原料を粉砕し、分級して得られた粉砕分級物から粒径10μm以下の粒子を除去して重金属類を低減させ、残りの10μmを超える鉄系廃棄物原料粒子をセメント原料として再利用する方法が記載されている。特許文献3には、石炭灰中のCaO含有量を測定することにより、石炭灰からのCr(VI)の溶出量を推定して、Cr(VI)の溶出量の少ない石炭灰を選別する方法が記載されている。
第3に、焼成雰囲気を制御する方法である。特許文献4には、Cr(VI)を含有するセメントクリンカーを還元雰囲気下において650〜1100℃で加熱処理する方法が記載されている。特許文献5には、クリンカークーラーに導入されたセメントクリンカーの温度が850℃〜1000℃となる領域に、所定の粒径の固形可燃物を供給する方法が記載されている。
しかしながら、溶出低減材を使用する方法や、原料を事前の処理又は選別する方法は、セメントの製造原価を上昇させる要因となる。また、焼成雰囲気を制御する方法は、セメントの色に影響を及ぼすことが考えられる。
ところで、セメント組成物に含まれる水溶性Cr(VI)を低減するには、全Cr量が少ないセメントクリンカーを使用することが有効である。セメントクリンカーの製造に使用する鉄源(例えば、鉄精鉱、銅がらみ等)は他の原料と比較してCr量が多いため、鉄源の使用量を少なくすればクリンカーの全Cr量を低減できると考えられる。
しかし、Cr量の少ない原料を使用してセメントクリンカーを製造する方法については、これまで検討されていない。特に、鉄源の使用量を削減してセメントクリンカーを製造する場合、どのような鉱物組成にすべきか等について検討がなされていないのが現状である。また、鉄源に代表されるCr含有量の多い廃棄物の使用量を単に削減したのでは、廃棄物使用量が低減し、セメント製造原価の上昇を招来する。従って、セメントクリンカーを製造するに際し、Cr含有量の多い廃棄物の使用量を少なくする代わりに、他の廃棄物の使用量を増やして廃棄物使用量の大幅な低減を防ぐことが求められる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、水溶性Cr(VI)の溶出を十分に抑制できるとともに、廃棄物を有効利用することが可能なセメント組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、水溶性Cr(VI)溶出の低減及び廃棄物使用量の維持を両立させるため、鉄源の使用量を低減する代わりに石炭灰の使用量を増加させ、C3A量が多いセメントクリンカーを試作した。セメントクリンカーと石膏とを混合し、複数種のセメント組成物を製造して評価を行ったところ、上記セメントクリンカーから製造したセメント組成物は十分に水溶性Cr(VI)を低減できることが確認された。更に、本発明者らは、セメント組成物のSO3量を所定の範囲とすることでセメント組成物の流動性を良好なものにできることを見出し、以下の発明を完成させた。
すなわち、本発明は、セメントクリンカーと石膏とを含むセメント組成物であって、セメントクリンカーは、ボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%及びC4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kgであり、当該セメント組成物の全質量を基準とするSO3量が2.0質量%より多いことを特徴とするセメント組成物を提供する。ここで、C3Sはエーライト(3CaO・SiO2)を、C4AFはフェライト相(4CaO・Al2O3・Fe2O3)を、C3Aはアルミネート相(3CaO・Al2O3)をそれぞれ示す。
更に、本発明は、上記セメント組成物の製造方法を提供する。すなわち、当該製造方法は、セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、石灰石を1000〜1200kg、石炭灰を160〜360kg、建設発生土を10〜50kg、高炉ダストを10〜40kg使用して混合物を得る第1工程と、この混合物を焼成してセメントクリンカーを得る第2工程と、このセメントクリンカーに石膏を配合し、SO3量が2.0質量%より多いセメント組成物を得る第3工程とを備え、第2工程においてボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%及びC4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kgであるセメントクリンカーが得られるように、第1工程において石灰石、石炭灰、建設発生土及び高炉ダストの配合量を調整することを特徴とする。
本発明のセメント組成物の製造に使用されるセメントクリンカーは、従来のセメントクリンカーと比較し、C4AF量が少なく、他方、C3A量が多い組成となっている。換言すれば、このセメントクリンカーは、Cr含有量の多い廃棄物(特に鉄源)の使用量を削減し、火力発電所等で発生する石炭灰の使用量を増加させることによって製造可能である。
上記セメントクリンカーは、Cr含有量の多い廃棄物の使用量を削減したことにより、全Cr量が10〜60mg/kgと低いレベルとなり、これを用いて製造されるセメント組成物は水溶性Cr(VI)の溶出を十分に抑制することが可能である。また、Cr含有量の多い廃棄物の使用量を削減した代わりに、石炭灰の使用量を増加させることができ、廃棄物の有効利用が可能である。その結果、セメント製造原価の上昇を十分に抑制できる。
本発明によれば、水溶性Cr(VI)溶出の低減及び廃棄物使用量の維持の両方が可能であるとともに、良好な流動性を有するセメント組成物が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(セメントクリンカー)
本実施形態に係るセメントクリンカーは、鉱物組成がボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%、C4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kg・クリンカーである。
本実施形態に係るセメントクリンカーは、鉱物組成がボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%、C4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kg・クリンカーである。
セメントクリンカーのC3S量は47〜58質量%、好ましくは48〜57質量%、より好ましくは49〜56質量%、更に好ましくは50〜55質量%である。C3S量が47質量%未満であると初期の強度発現性の低下があるため、好ましくない。C3S量が58質量%を超えると水和熱による発熱量が増加するため、好ましくない。
セメントクリンカーのC3A量は11〜13質量%、好ましくは11.5〜12.5質量%である。クリンカーのC3A量を11%未満とするには廃棄物使用量を大幅に削減せざるを得ず、セメント製造原価が上がるため、好ましくない。C3A量が13%を超えると水和熱による発熱量が増加するため、好ましくない。
セメントクリンカーのC4AF量は6.0〜9.0質量%、好ましくは6.5〜8.5質量%であり、より好ましくは7.0〜8.0質量%である。クリンカーのC4AF量を6.0質量%未満とするには廃棄物使用量を大幅に削減せざるを得ず、セメント製造原価が上がるため、好ましくない。C4AF量が9.0質量%を超えると、全Cr量の低減効果が小さくなり、水溶性Cr(VI)の低減効果が不十分となる。
セメントクリンカーのC2S量は、当該クリンカー全質量から上記のC3S量、C3A量及びC4AF量の合計を除いた量とほぼ等しくなるようすればよい。セメントクリンカーのC3S量、C2S量、C3A量及びC4AF量の合計量は、当該クリンカーの全質量を基準として94質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。当該合計量が94質量%未満であると、セメント中のクリンカー量が低減し、セメントの強度が不十分となりやすい。なお、C2Sはビーライト(2CaO・SiO2)を示す。
セメントクリンカーの全Cr量は、10〜60mg/kg・クリンカー、好ましくは20〜50mg/kg・クリンカー、より好ましくは25〜45mg/kg・クリンカーである。クリンカーのCr量を10mg/kg・クリンカー未満とするには廃棄物使用量を大幅に削減せざるを得ず、セメント製造原価が上がるため、好ましくない。Cr量が60mg/kg・クリンカーを超えると、水溶性Cr(VI)の低減効果が不十分となる。
セメントクリンカーのf.CaO量は、好ましくは0.5〜2.0質量%、より好ましくは0.6〜1.5質量%、更に好ましくは0.65〜1.3質量%、より一層好ましくは0.70〜1.2質量%である。f.CaO量が上記範囲内であれば、セメントの十分な強度が得られる。なお、f.Caはセメントクリンカー中の遊離石灰を示す。
セメントクリンカーの水溶性アルカリ量は、好ましくは0.05〜0.4質量%、より好ましくは0.1〜0.35質量%、更に好ましくは0.15〜0.30質量%である。水溶性アルカリ量が上記範囲内であれば、強度や流動性のようなセメントの物性の低下にはつながらない。なお、ここでいう「水溶性アルカリ量」は、JCAS I−04:2004「セメントの水溶性成分の分析方法」によって測定される値を意味する。
本実施形態に係るセメントクリンカーは、当該セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、以下の量の石灰石、石炭灰、建設発生土及び高炉ダストを使用して製造できる。各原料の使用量を以下の範囲とすることにより十分な流動性を有するセメントクリンカーを安定的に製造できる。
石灰石の使用量は、セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、好ましくは1000〜1200kg、より好ましくは1020〜1180kg、更に好ましくは1050〜1150kg、より一層好ましくは1080〜1130kgである。
石炭灰の使用量は、セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、好ましくは160〜360kg、より好ましくは190〜330kg、より好ましくは210〜310kg、更に好ましくは220〜300kg、より一層好ましくは220〜280kgである。
建設発生土の使用量は、セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、好ましくは10〜50kg、より好ましくは15〜40kg、更に好ましくは20〜35kg、より一層好ましくは22〜30kgである。
高炉ダストの使用量は、セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、好ましくは10〜40kg、より好ましくは15〜35kg、更に好ましくは20〜30kg、より一層好ましくは22〜28kgである。
上記セメントクリンカーは、以下の方法によって製造される。すなわち、当該セメントクリンカーの製造方法は、所定量の石灰石、石炭灰、建設発生土及び高炉ダストを使用して混合物を得る第1工程と、混合物を焼成して上述のセメントクリンカーを得る第2工程とを備え、第2工程においてボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%及びC4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kgであるセメントクリンカーが得られるように、第1工程において石灰石、石炭灰、建設発生土及び高炉ダストの配合量を調整することを特徴とする。
本実施形態に係るセメントクリンカーの特徴は、製造時の石炭灰使用量が通常のポルトランドセメントクリンカーに比べて多い点にある。上記の通り、石炭灰の好適な使用量は160〜360kgの範囲である。当該使用量が160kg未満であると、Al2O3源が不十分となり、目標とする鉱物組成を得ることが困難となりやすく、他方、360kgを超えると原料調合が困難となりやすい。なお、石炭灰としては、石炭火力発電所等から発生するフライアッシュ、ボトムアッシュ等が代表的であるが、これらに限定されるものではない。
セメントクリンカーのAl2O3量は、好ましくは5.3〜6.9質量%、より好ましくは5.6〜6.6質量%、更に好ましくは5.7〜6.5質量%である。セメントクリンカー中のAl2O3量が5.3質量%未満であると廃棄物使用量が低減し、セメント製造原価が上昇しやすく、他方、6.9質量%を超えると原料調合が困難となりやすい。
セメントクリンカーのFe2O3量は、好ましくは1.9〜3.0質量%、より好ましくは2.0〜2.9質量%、更に好ましくは2.1〜2.8質量%である。セメントクリンカー中のFe2O3量が1.9質量%未満であると廃棄物使用量が低減し、セメント製造原価が上昇しやすく、他方、3.0質量%を超えると全Cr量の低減効果が小さくなり、水溶性Cr(VI)の低減効果が不十分となる。
(セメント組成物)
本実施形態に係るセメント組成物は、上記セメントクリンカーと、石膏とを含有し、当該セメント組成物の全質量を基準とするセメントクリンカーの含有量が95〜97質量%であり且つ石膏の含有量が3〜5質量%である。石膏の含有量が3質量%未満であるとセメント組成物が短時間のうちに凝結し、他方、5質量%を超えると製造原価の上昇や、長期強度の低下を招く。
本実施形態に係るセメント組成物は、上記セメントクリンカーと、石膏とを含有し、当該セメント組成物の全質量を基準とするセメントクリンカーの含有量が95〜97質量%であり且つ石膏の含有量が3〜5質量%である。石膏の含有量が3質量%未満であるとセメント組成物が短時間のうちに凝結し、他方、5質量%を超えると製造原価の上昇や、長期強度の低下を招く。
セメントクリンカーと石膏とを混合してセメント組成物を製造するに際し、セメント組成物の全質量を基準とするSO3量が2.0質量%より多くなるように石膏の添加量を調整する。セメント組成物のSO3量は、好ましくは2.3質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上である。セメント組成物のSO3量を2.0質量%以下であるとセメント組成物の流動性が不十分となる。
本実施形態に係るセメント組成物は、上記セメントクリンカーと石膏との混合物を混合粉砕することによって製造できる。当該混合物の混合粉砕にはチューブミル、振動ミル、竪型ミル等の一般的ミルを使用できる。セメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは2800〜3500cm2/g、より好ましくは2900〜3400cm2/g、更に好ましくは2850〜3350cm2/gである。ブレーン比表面積が上記範囲内であれば、セメント組成物に十分な初期強度及び長期強度を発現させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[1.クリンカーの原料及び原料調合]
クリンカー1の原料として表1に示す原料のうち、石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト、硫酸カルシウム二水和物(試薬)、炭酸ナトリウム(試薬)及び炭酸カリウム(試薬)を用いた。比較用のクリンカー2の原料として、クリンカー1の原料に加え、銅がらみ、脱鉄スラグを更に用いた。これらのセメントクリンカーの原料調合は表2に示す原料原単位(乾燥ベース、単位:kg/t−クリンカー)に従い行った。更に、比較用のクリンカー3の原料として、表3に示すように石灰石、珪石、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト及び下水汚泥を使用した。原料調合は、表4に示す原料原単位(湿分ベース、単位:kg/t−クリンカー)に従い行った。
クリンカー1の原料として表1に示す原料のうち、石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト、硫酸カルシウム二水和物(試薬)、炭酸ナトリウム(試薬)及び炭酸カリウム(試薬)を用いた。比較用のクリンカー2の原料として、クリンカー1の原料に加え、銅がらみ、脱鉄スラグを更に用いた。これらのセメントクリンカーの原料調合は表2に示す原料原単位(乾燥ベース、単位:kg/t−クリンカー)に従い行った。更に、比較用のクリンカー3の原料として、表3に示すように石灰石、珪石、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト及び下水汚泥を使用した。原料調合は、表4に示す原料原単位(湿分ベース、単位:kg/t−クリンカー)に従い行った。
[2.セメントクリンカーの製造]
クリンカー1及びクリンカー2は、上記原料の混合物を1500℃で30分間電気炉で焼成して得た。クリンカー3については、各種調合原料を竪型ミルにて所定粒度になるまで250〜350℃で乾燥粉砕し、クリンカー送入原料を調製した。その原料をサスペンションプレヒーター上部から送入し、プレヒーター中で予熱及び仮焼した後、ロータリーキルン中で約1450℃の高温で焼成し、その後、クーラーで冷却することによりクリンカー3を得た。クリンカー1及びクリンカー2については、ボールミルを用いてブレーン比表面積が3200±50cm2/gとなるように粉砕した。
クリンカー1及びクリンカー2は、上記原料の混合物を1500℃で30分間電気炉で焼成して得た。クリンカー3については、各種調合原料を竪型ミルにて所定粒度になるまで250〜350℃で乾燥粉砕し、クリンカー送入原料を調製した。その原料をサスペンションプレヒーター上部から送入し、プレヒーター中で予熱及び仮焼した後、ロータリーキルン中で約1450℃の高温で焼成し、その後、クーラーで冷却することによりクリンカー3を得た。クリンカー1及びクリンカー2については、ボールミルを用いてブレーン比表面積が3200±50cm2/gとなるように粉砕した。
表5にセメントクリンカー1〜3の主要化学組成、クリンカー中の全Cr量及び水溶性Cr(VI)量を示す。クリンカー又はセメントの化学組成は、JIS R5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析法」に準じて測定した。f.CaO量は、セメント協会標準試験方法のJCAS I−01:1997「遊離酸化カルシウムの定量方法」に準じて測定した。水溶性アルカリ(水溶性Na2Oeq.)量は、JCAS I−04:2004「セメントの水溶性成分の分析方法」により測定した。Cr量は、セメント協会標準試験方法のJCAS I−52「ICP発光分光分析および電気加熱式原子吸光分析によるセメントの微量成分の分析方法」に準じて測定し、水溶性Cr(VI)量は、セメント協会標準試験方法のJCAS I−51−1981「セメント及びセメント原料中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。
表6にセメントクリンカーの鉱物組成を示す。表6に示すように、セメントクリンカー1は、原料として銅がらみ及び脱鉄スラグを使用しない代わりに石炭灰の使用量を増やすなどして製造したものである(表2参照)。その結果、セメントクリンカー1は、セメントクリンカー2と比較してC3A量が少ない鉱物組成となっている。なお、鉱物組成は下式を用いて算出した。また、ブレーン比表面積は、JIS R5201「セメントの物理試験方法」に従い、ブレーン空気透過装置を用いて測定した。
[3.セメント組成物の調製及びその試験方法]
(実施例1)
クリンカー1の粉砕物にセメント組成物のSO3量が3.0質量%となるように、二水セッコウ(試薬)及び半水セッコウ(試薬)を添加した。ロッキングミキサーで混合してセメント組成物を調製した。なお、セッコウは、セッコウの半水化率(全セッコウ量中の半水セッコウ量)が70%となるように二水セッコウ及び半水セッコウを所定量添加した。
(実施例1)
クリンカー1の粉砕物にセメント組成物のSO3量が3.0質量%となるように、二水セッコウ(試薬)及び半水セッコウ(試薬)を添加した。ロッキングミキサーで混合してセメント組成物を調製した。なお、セッコウは、セッコウの半水化率(全セッコウ量中の半水セッコウ量)が70%となるように二水セッコウ及び半水セッコウを所定量添加した。
(比較例1)
クリンカー2の粉砕物にセメント組成物のSO3量が2.0質量%となるように、二水セッコウ(試薬)及び半水セッコウ(試薬)を添加してセメント組成物を調製した。なお、混合方法及びセッコウの半水化率は実施例1と同様とした。
クリンカー2の粉砕物にセメント組成物のSO3量が2.0質量%となるように、二水セッコウ(試薬)及び半水セッコウ(試薬)を添加してセメント組成物を調製した。なお、混合方法及びセッコウの半水化率は実施例1と同様とした。
(比較例2)
クリンカー1の粉砕物にセメント組成物のSO3量が2.0質量%となるように、二水セッコウ(試薬)及び半水セッコウ(試薬)を添加してセメント組成物を調製した。なお、混合方法及びセッコウの半水化率は実施例1と同様とした。
クリンカー1の粉砕物にセメント組成物のSO3量が2.0質量%となるように、二水セッコウ(試薬)及び半水セッコウ(試薬)を添加してセメント組成物を調製した。なお、混合方法及びセッコウの半水化率は実施例1と同様とした。
(比較例3)
クリンカー3をボールミルに入れ、排脱二水セッコウを添加しながらブレーン比表面積が4400±100cm2/gとなるように混合粉砕してセメント組成物を調製した。なお、セメント組成物のSO3量が2.9±0.1%となるように排脱二水セッコウを添加した。
クリンカー3をボールミルに入れ、排脱二水セッコウを添加しながらブレーン比表面積が4400±100cm2/gとなるように混合粉砕してセメント組成物を調製した。なお、セメント組成物のSO3量が2.9±0.1%となるように排脱二水セッコウを添加した。
表7に示すように、セメント組成物のブレーン比表面積は、いずれも目標通りであった。また、セメント組成物のSO3量は、実施例1及び比較例1,2については目標通りであり、比較例3については2.7質量%と目標より少なかった。
[4.セメント組成物の流動性試験]
ペースト状のセメント組成物の流動性をパラレルプレート型回転粘度計(Haake社製 Rotovisco RV1、プレート半径30mm、プレート間のギャップ0.5mm)を用いて評価した。測定用のペーストは、次のようにして調製した。すなわち、水セメント比を35%とし、計量したセメントに混和剤(ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(レオビルド SP8SBsx4))を0.9%含む水を加えた。さじを用いて1分間手で混合物を練混ぜた後、ホモジナイザー(4000rpm)で2分間高せん断にて練混ぜた。練混ぜ後に5分間静置し、ペーストのビンガム降伏値(降伏値)及び塑性粘度を測定することによって流動性を評価した。
ペースト状のセメント組成物の流動性をパラレルプレート型回転粘度計(Haake社製 Rotovisco RV1、プレート半径30mm、プレート間のギャップ0.5mm)を用いて評価した。測定用のペーストは、次のようにして調製した。すなわち、水セメント比を35%とし、計量したセメントに混和剤(ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(レオビルド SP8SBsx4))を0.9%含む水を加えた。さじを用いて1分間手で混合物を練混ぜた後、ホモジナイザー(4000rpm)で2分間高せん断にて練混ぜた。練混ぜ後に5分間静置し、ペーストのビンガム降伏値(降伏値)及び塑性粘度を測定することによって流動性を評価した。
表7にセメント組成物の降伏値及び塑性粘度の測定結果を示す。実施例1のセメント組成物は、降伏値及び塑性粘度の両方を低減でき、良好な流動性が得られることがわかる。また、セメントクリンカー1及びこれを用いて調合した実施例1のセメント組成物の評価結果から水溶性Cr(VI)溶出の低減及び廃棄物使用量の維持を両立できることがわかる。
Claims (6)
- セメントクリンカーと石膏とを含むセメント組成物であって、
前記セメントクリンカーはボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%及びC4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kgであり、
当該セメント組成物の全質量を基準とするSO3量が2.0質量%より多いことを特徴とするセメント組成物。 - 前記セメントクリンカーは、Al2O3量が5.3〜6.9質量%であり且つFe2O3量が1.9〜3.0質量%である、請求項1に記載のセメント組成物。
- 前記セメントクリンカーは、水溶性アルカリ量が0.05〜0.4質量%である、請求項1又は2記載のセメント組成物。
- ブレーン比表面積が2800〜3500cm2/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセメント組成物。
- 前記セメントクリンカーは、当該セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、石灰石を1000〜1200kg、石炭灰を160〜360kg、建設発生土を10〜50kg、高炉ダストを10〜40kg使用して得られたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセメント組成物。
- セメントクリンカー1トンあたり、乾燥ベースで、石灰石を1000〜1200kg、石炭灰を160〜360kg、建設発生土を10〜50kg、高炉ダストを10〜40kg使用して混合物を得る第1工程と、
前記混合物を焼成してセメントクリンカーを得る第2工程と、
前記セメントクリンカーに石膏を配合し、SO3量が2.0質量%より多いセメント組成物を得る第3工程と、
を備え、
前記第2工程においてボーグ式換算でC3S量が47〜58質量%、C3A量が11〜13質量%及びC4AF量が6〜9質量%であり且つ全Cr量が10〜60mg/kgであるセメントクリンカーが得られるように、前記第1工程において石灰石、石炭灰、建設発生土及び高炉ダストの配合量を調整することを特徴とするセメント組成物の製造方法。
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- 2009-03-25 JP JP2009074841A patent/JP2010228926A/ja active Pending
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