JP2012166973A - セメント組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】好適な強度発現性を維持しつつ、断熱温度上昇量が小さいセメント組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下であり、Co含有量が18mg以下であり、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下である、セメント組成物である。また、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を混合し、焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、前記セメントクリンカーと、石膏とを粉砕する工程(B)を含み、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下、Co含有量が18mg以下、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下であるセメント組成物を製造する、セメント組成物の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下であり、Co含有量が18mg以下であり、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下である、セメント組成物である。また、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を混合し、焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、前記セメントクリンカーと、石膏とを粉砕する工程(B)を含み、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下、Co含有量が18mg以下、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下であるセメント組成物を製造する、セメント組成物の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、多種類の重金属成分を含む産業廃棄物等をセメントクリンカーの原料として使用した場合であっても、断熱温度上昇量を小さくすることができるセメント組成物及びその製造方法に関する。
セメント産業において多種の産業廃棄物や副産物が使用されている。産業廃棄物や副産物等を資源として有効利用することにより、近年、各種産業に求められている二酸化炭素排出量を低減することが可能となる。
しかしながら、原料として利用される産業廃棄物等の廃棄物・副産物は比較的Al2O3成分を多く含み、セメントクリンカーの原料として使用する産業廃棄物や副産物の原料原単位の増加とともにセメントクリンカーのアルミネート相(C3A)含有量が増加し、セメント組成物の水和反応性が変化する可能性がある。また、セメントクリンカーの原料として使用する産業廃棄物や副産物に含まれる重金属成分の種類や含有量によってもセメント組成物の水和反応性が変化する可能性もある。このような場合、セメント組成物の水和発熱量が増加し、モルタルやコンクリートを断熱状態(外部への熱の逸散がない状態)で養生した場合に、モルタルやコンクリート内部と外部との温度差が大きくなり、モルタルやコンクリートの温度ひび割れの誘因となる場合がある。この温度ひび割れの危険性を評価するため、土木学会の定めるコンクリート標準示方書[施工編](2002年)では、施工段階におけるひび割れ照査において、温度解析を行うことを規定している。その解析には、断熱温度上昇量が必要とされており、温度ひび割れを発生させないためには、断熱温度上昇量を小さくすることが望ましい。
モルタルやコンクリートの断熱温度上昇量を小さくするために、特定のブレーン値(ブレーン比表面積)及び粉末度を有する高炉スラグ粉を混合材としてポルトランドセメントに混合したセメント組成物(例えば特許文献1)や、特定の粒度分布を有する石灰石微粉末を混合材として高ビーライト系ポルトランドセメントに混合したセメント組成物(例えば特許文献2)が提案されている。
しかしながら、コンクリート等の断熱温度上昇量の評価は、多大な労力を要することもあり、セメント組成物の各成分と断熱温度上昇特性との関係は十分に解明されていない。断熱温度上昇特性に影響を及ぼす要因として、具体的にはセメント組成物の鉱物組成(エーライト(C3S)、ビーライト(C2S)、アルミネート相(C3A)、フェライト相(C4AF))、石膏量、混合材(高炉スラグ、フライアッシュ、石灰石微粉末)量の影響が検討されている程度であり、セメント組成物の鉱物組成を変えたり、特定の混合材を使用したりすることなく、断熱温度上昇量を小さくする技術は確立されていない。
本発明は、セメント組成物の鉱物組成(例えばC3S含有量、C3A含有量等)を大きく変更したり、特定の混合材を使用することなく、多種類の重金属成分を含む廃棄物等をセメントクリンカーの原料として使用した場合であっても、好適な強度発現性を維持しつつ、断熱温度上昇量を小さくすることができるセメント組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために、セメント組成物に含まれる各成分と断熱温度上昇特性との関係について検討した結果、セメント組成物の主要成分である鉱物組成以外に、特定の重金属成分の含有量等が、セメント組成物を用いてなるコンクリート等の硬化体の断熱温度上昇量に影響を及ぼすことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下であり、Co含有量が18mg以下であり、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下である、セメント組成物に関する。本発明は、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が100〜465mgであり、Co含有量が5〜17mgである、前記セメント組成物に関する。本発明は、C3S含有量が48〜61質量%、C2S含有量が5〜25質量%、C3A含有量が8〜12質量%、C4AF含有量が6〜12質量%である、前記セメント組成物に関する。
本発明は、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を混合し、焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、前記セメントクリンカーと、石膏とを粉砕する工程(B)を含み、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下、Co含有量が18mg以下、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下であるセメント組成物を製造することを特徴とするセメント組成物の製造方法に関する。
本発明によれば、セメント組成物の鉱物組成を大きく変更することなく、また、特定の混合材を使用することなく、セメント組成物を用いてなる硬化体の好適な強度発現性を維持しつつ、セメント組成物を用いてなるコンクリート等の硬化体の断熱温度上昇量を小さくすることができる。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明のセメント組成物は、セメント組成物1kgあたり、Zn(亜鉛)含有量が470mg以下であり、Co(コバルト)含有量が18mg以下であり、且つBe(ベリリウム)含有量が2mgを超えて10mg以下である。
ここで、セメント組成物中のZn含有量、Co含有量及びBe含有量は、CAJS I−51:1981「セメント及びセメント原料中の微量成分の定量方法」、JCAS I−52:2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定することができる。なお、Be含有量は、JCAS I−52:2000「ICP発光分光分析及び電機加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」を適用する。
セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mgであり、且つCo含有量が18mg以下である場合に、Be含有量が2mg以下であると、セメント組成物を用いてなるモルタル又はコンクリートの硬化体の断熱温度上昇量が大きくなるため好ましくない。また、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下であり、Co含有量が18mg以下である場合には、Be含有量が多いほど、セメント組成物を用いてなる硬化体の断熱温度上昇量は小さくなるが、ベリリウム(Be)は毒性を有する物質であることからセメント組成物のBe含有量は10mg以下であることが望ましい。以下、セメント組成物1kgあたりのZn含有量、Co含有量及びBe含有量を質量(mg/kg)で表す。
セメント組成物のZn含有量が470mg/kg以下であり、且つCo含有量が18mg/kg以下である場合のセメント組成物のBe含有量は、好ましくは2.1〜9mg/kg、より好ましくは2.2〜8mg/kg、更に好ましくは2.3〜7mg/kg、特に好ましくは2.3〜6mg/kgである。
セメント組成物のZn含有量が、470mg/kgを超え、及び/又は、Co含有量が18mg/kgを超える場合には、Be含有量が2mg/kgを超えて10mg/kg以下であっても、セメント組成物を用いてなる硬化体の断熱温度上昇量を抑制しにくい。
セメント組成物のZn含有量は、好ましくは100〜465mg/kg、より好ましくは200〜462mg/kg、更に好ましくは320〜462mg/kg、特に好ましくは340〜460mg/kgである。セメント組成物のZn含有量がこの範囲にあると、Be含有量によって断熱温度上昇量を抑制しやすくなる。
セメント組成物のCo含有量は、好ましくは5〜17mg/kg、より好ましくは7〜16mg/kg、更に好ましくは10〜15mg/kg、特に好ましくは11〜14mg/kgである。セメント組成物のCo含有量がこの範囲であると、Be含有量によって断熱温度上昇量を抑制しやすくなる。
セメント組成物の鉱物組成は、好ましくはC3S含有量が48〜61質量%、C2S含有量が5〜25質量%、C3A含有量が8〜12質量%、C4AF含有量が6〜12質量%であり、より好ましくはC3S含有量が50〜61質量%、C2S含有量が7〜23質量%、C3A含有量が8〜12質量%、C4AF含有量が7〜12質量%であり、更に好ましくはC3S含有量が52〜60質量%、C2S含有量が8〜22質量%、C3A含有量が9〜11質量%、C4AF含有量が8〜11質量%であり、特に好ましくはC3S含有量が53〜60質量%、C2S含有量が10〜20質量%、C3A含有量が9〜11質量%、C4AF含有量が8〜10質量%である。
本発明のセメント組成物は、鉱物組成が、好ましくはC3S含有量が48〜61質量%、C2S含有量が5〜25質量%、C3A含有量が8〜12質量%、C4AF含有量が6〜12質量%であれば、断熱温度上昇量をより抑制することができる。セメント組成物のC3S含有量が少ないほど、断熱温度上昇量を小さくすることができるが、セメント組成物を用いた硬化体の強度発現性を考慮すると、C3S含有量は48質量%以上であることが好ましい。
ここで、セメント組成物の鉱物組成であるC3S含有量(エーライト)、C2S含有量(ビーライト)、C3A含有量(アルミネート相)及びC4AF含有量(フェライト相)は、下記のボーグ式[1]〜[4]により算出する。
C3S含有量(質量%)=4.07×CaO含有量(質量%)−7.60×SiO2含有量(質量%)−6.72×Al2O3含有量(質量%)−1.43×Fe2O3含有量(質量%)−2.85×SO3含有量(質量%) ・・・[1]
C2S含有量(質量%)=2.87×SiO2含有量(質量%)−0.754×C3S含有量(質量%) ・・・[2]
C3A含有量(質量%)=2.65×Al2O3含有量(質量%)−1.69×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[3]
C4AF含有量(質量%)=3.04×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[4]
C2S含有量(質量%)=2.87×SiO2含有量(質量%)−0.754×C3S含有量(質量%) ・・・[2]
C3A含有量(質量%)=2.65×Al2O3含有量(質量%)−1.69×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[3]
C4AF含有量(質量%)=3.04×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[4]
式中の「CaO含有量」、「SiO2含有量」、「Al2O3含有量」及び「Fe2O3含有量」は、それぞれ、セメント組成物におけるCaO、SiO2、Al2O3及びFe2O3のセメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)である。これらの含有割合は、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」あるいはJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定することができる。
次に、本発明のセメント組成物の製造方法について説明する。本発明のセメント組成物の製造方法は、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を混合し、焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、前記セメントクリンカーと、石膏とを粉砕する工程(B)を含み、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下、Co含有量が18mg以下、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下であるセメント組成物を製造する。
多種類の重金属成分を含む産業廃棄物及び/又は副産物を用いた場合であっても、Zn含有量が470mg/kg以下、Co含有量が18mg/kg以下、且つBe含有量が2mg/kgを超えて10mg/kg以下であるセメント組成物を製造することによって、セメント組成物を用いてなる硬化体の強度発現性を維持しつつ、断熱温度上昇量を小さくすることができ、好ましくは断熱温度上昇量を50℃以下にすることができる。セメントクリンカー原料の中でも、下水汚泥、石炭灰、鋳物砂、鉄精鉱等は他の原料として比較して、Zn、Co、Be等の重金属成分の含有量を多いと推測される。例えば石炭灰、下水汚泥等のZn、Co、Be等の重金属成分の含有量が多い原料の使用量を変更することによって、Zn含有量が470mg/kg以下、Co含有量が18mg/kg以下、且つBe含有量が2mg/kgを超えて10mg/kg以下であるセメント組成物を製造することができる。
セメントクリンカーは、SP方式(多段サイクロン予熱方式)又はNSP方式(仮焼炉を併設した多段サイクロン予熱方式)等の既存のセメント製造設備を用いて、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を混合し、焼成して製造することができる。
本発明の(B)工程において、セメント組成物は、工程(A)で得られたセメントクリンカーと、石膏とを粉砕することによって製造することができる。
石膏としては、JIS R 9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質を満足することが望ましく、具体的には、二水石膏、半水石膏、不溶性無水石膏が好適に用いられる。石膏の使用量は特に制限されないが、石膏は、セメント組成物中のSO3量が、好ましくは1.6〜2.6質量%、より好ましくは1.7〜2.4質量%、特に好ましくは1.8〜2.2質量%となるように石膏を混合して粉砕する。粉砕方法としては、特に制限されないが、ボールミル等の粉砕機、セパレータ等の分級機を用いる方法が挙げられる。
本発明の(B)工程において、セメント組成物は、更に場合により混合材を含有してもよい。混合材としては、JIS R 5211「高炉セメント」で規定される高炉スラグ、JIS R 5212「シリカセメント」で規定されるシリカ質混合材、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」で規定されるフライアッシュ、石灰石微粉末等が挙げられる。
本発明の(B)工程において、セメントクリンカーと、石膏と、場合により混合材を混合する方法としては、特に制限されるものではなく、セメントクリンカーと、石膏と、場合により混合材とを同時に粉砕して混合する方法や、セメントクリンカーを粉砕後、粉砕したセメントクリンカーと、石膏と場合により混合材とを混合する方法等が挙げられる。
本発明のセメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは2800〜4000cm2/gである。ブレーン比表面積がこの範囲内であると、断熱温度上昇量が小さく、優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となる。セメント組成物のブレーン比表面積は、より好ましくは3000〜3800cm2/gであり、更に好ましくは3000〜3500cm2/gである。
本発明の製造方法によって得られるセメント組成物は、強度発現性を維持しつつ、断熱温度上昇量が小さいことから、温度ひび割れ対策が求められるマスコンクリートや高強度コンクリートの用途に好適に使用できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[セメント組成物の製造]
セメントクリンカー原料として、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を使用し、これらの原料を混合し、ロータリーキルンで焼成した。得られたセメントクリンカーに石膏をセメント組成物中のSO3含有量が所定量となるように混合し、実機ミルでブレーン比表面積が所定量になるように粉砕し、セメント組成物を製造した。
セメントクリンカー原料として、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を使用し、これらの原料を混合し、ロータリーキルンで焼成した。得られたセメントクリンカーに石膏をセメント組成物中のSO3含有量が所定量となるように混合し、実機ミルでブレーン比表面積が所定量になるように粉砕し、セメント組成物を製造した。
[セメント組成物の成分]
また、得られたセメント組成物の化学成分をJIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」又はJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定した。結果を表1に示す。表1の結果から各化学成分からボーグ式を用いて、セメント組成物の鉱物組成を算出した。結果を表2に示す。また、得られたセメント組成物のZn含有量、Co含有量及びBe含有量をCAJS I−51:1981「セメント及びセメント原料中の微量成分の定量方法」、JCAS I−52:2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。結果を表2に示す。
また、得られたセメント組成物の化学成分をJIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」又はJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定した。結果を表1に示す。表1の結果から各化学成分からボーグ式を用いて、セメント組成物の鉱物組成を算出した。結果を表2に示す。また、得られたセメント組成物のZn含有量、Co含有量及びBe含有量をCAJS I−51:1981「セメント及びセメント原料中の微量成分の定量方法」、JCAS I−52:2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。結果を表2に示す。
表2に示すセメント組成物No.1は、Be含有量が2mg/kg未満であり、比較例である。セメント組成物No.2、No.3、No.4は、Zn含有量が470mg/kg以下であり、Co含有量が18mg/kg以下であり、且つBe含有量が2mg/kgを超えて10mg/kg以下であり、本発明の実施例である。
表2に示すセメント組成物No.1〜4は、いずれも鉱物組成がC3S含有量が48〜61質量%、C2S含有量が5〜25質量%、C3A含有量が8〜12質量%、C4AF含有量が6〜12質量%である。
[モルタルの調製]
表2に示すセメント組成物に、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に規定される標準砂及びイオン交換水を混合してモルタルを調製した。モルタルの砂セメント比は2.65、水セメント比は0.55とした。調製は手練りで行い、所定量のイオン交換水及びセメント組成物を2分間練り混ぜた後、標準砂を加えて3分間練り混ぜた。
表2に示すセメント組成物に、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に規定される標準砂及びイオン交換水を混合してモルタルを調製した。モルタルの砂セメント比は2.65、水セメント比は0.55とした。調製は手練りで行い、所定量のイオン交換水及びセメント組成物を2分間練り混ぜた後、標準砂を加えて3分間練り混ぜた。
[断熱温度上昇特性の評価]
得られたモルタル試料について、少量の試料で測定が可能な断熱熱量計(特開2008−241520号公報参照)を用いてモルタル試料の断熱温度上昇特性を評価した。試料容器であるフィルムケースにモルタル試料を投入し、20℃に調節した断熱熱量計内に設置し測定を開始した。測定は3日間以上行い、得られた断熱温度上昇曲線より終局の断熱温度上昇量(Q∞)を求めた。また、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に準じてモルタルの圧縮強さを求めた。結果を表3に示す。
得られたモルタル試料について、少量の試料で測定が可能な断熱熱量計(特開2008−241520号公報参照)を用いてモルタル試料の断熱温度上昇特性を評価した。試料容器であるフィルムケースにモルタル試料を投入し、20℃に調節した断熱熱量計内に設置し測定を開始した。測定は3日間以上行い、得られた断熱温度上昇曲線より終局の断熱温度上昇量(Q∞)を求めた。また、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に準じてモルタルの圧縮強さを求めた。結果を表3に示す。
以上の結果より、本発明の実施例(セメント組成物No.2、No.3、No4)は、セメント組成物の鉱物組成(例えばC3S含有量、C3A含有量等)が、比較例(セメント組成物No.1)とほぼ同程度であるが、終局断熱温度上昇量(Q∞)が50℃以下と小さくなることが確認できた。また、本発明の実施例(セメント組成物No.2、No.3、No.4)を用いたモルタルは、材齢28日のモルタル圧縮強さがいずれも62N/mm2以上であり、強度発現性も良好であることが確認できた。一方、Be含有量が2mg/kg未満であるセメント組成物No.1(比較例)を用いたモルタルは、材齢28日のモルタル圧縮強さが実施例のモルタルよりも低く、終局断熱温度上昇量(Q∞)が50℃を超えた。
本発明のセメント組成物によれば、多種類の重金属成分を含む廃棄物等をセメントクリンカーの原料として使用した場合であっても、セメント組成物の鉱物組成を大きく変えることなく、特定の混合材を多量に添加することなく、セメント組成物を用いてなる硬化体の強度発現性を維持しつつ、断熱温度上昇量を小さくすることができる。
Claims (4)
- セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下であり、Co含有量が18mg以下であり、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下であることを特徴とするセメント組成物。
- セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が100〜465mgであり、Co含有量が5〜17mgである、請求項1記載のセメント組成物。
- C3S含有量が48〜61質量%、C2S含有量が5〜25質量%、C3A含有量が8〜12質量%、C4AF含有量が6〜12質量%である、請求項1又は2記載のセメント組成物。
- 石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を混合し、焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、前記セメントクリンカーと、石膏とを粉砕する工程(B)を含み、セメント組成物1kgあたり、Zn含有量が470mg以下、Co含有量が18mg以下、且つBe含有量が2mgを超えて10mg以下であるセメント組成物を製造することを特徴とするセメント組成物の製造方法。
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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