JP2010001196A - セメント組成物 - Google Patents

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久典 中河
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雅史 大崎
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Abstract

【課題】産業廃棄物及び/又は産業副産物のセメント原料としての使用量を大量に増加させた場合であっても、練混ぜ直後の流動性に優れるとともに、セメントクリンカーの粉砕温度を上げずに流動性の経時変化の小さいセメント組成物を提供する。
【解決手段】フェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下、かつ石膏中の半水石膏割合が60質量%以下であるセメント組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、産業廃棄物及び/又は産業副産物をセメントクリンカー原料として使用することができ、かつ、初期流動性に優れるとともに、さらに流動性の経時変化の小さいセメント組成物に関する。
1990年代より資源循環型社会の構築に対する機運が高まり、セメント産業においても産業廃棄物及び/又は産業副産物の使用量のさらなる増大が望まれている。一般に、セメントクリンカーの原料として使用できる産業廃棄物及び/又は産業副産物はAlを含む成分に富むため、市販のポルトランドセメントと同じ製造条件でこれらの使用量を単純に増大すると、セメントクリンカー中の3CaO・Al(CA)や4CaO・Al・Fe(CAF)の量が増大することになる。
都市ゴミ焼却灰等の産業廃棄物を多量に使用して製造されるセメントとして、JIS R 5214:2003「エコセメント」で規定されているエコセメントがある。このセメントは、従来のポルトランドセメントとは異なり、カルシウムクロロアルミネート化合物又はCAを多量に含むことを特徴としている。
しかし、カルシウムクロロアルミネート化合物やCAは水和活性が非常に高いため、ダムなど大型マスコンクリートとして使用する中庸熱セメントとしては、水和熱の増大によりひび割れ等の問題が生じる。
さらに、これらCAを多く含むセメントは、一般に、水等とともに練り混ぜてコンクリートを調製したときに、練混ぜ直後のコンクリートの流動性が悪く、しかも流動性の経時変化が大きい。そこで、産業廃棄物及び/又は産業副産物を多く含むセメントを用いたコンクリートの流動性を改善する方法として、高強度コンクリート配合において、流動性を改善するために、所定の鉱物組成のセメントクリンカーを用いることが提案されている。例えば、特許文献1には、セメントクリンカー粉末及び石膏を含有し、該セメントクリンカー粉末は、4CaO・Al・Fe量が12〜40質量%、3CaO・SiO量が36〜80質量%、及び石膏の含有量がSO換算で0.5〜30質量%であるセメント組成物が開示されている。
特開2007−186360号公報
産業廃棄物及び/又は産業副産物を大量に使用する場合には、従来のセメントクリンカーでは、練混ぜ直後の流動性が十分ではなく、スランプフローの経時変化も大きい。また、一般にコンクリートは、セメントクリンカーを含むセメント組成物と、骨材及び水等とを練り混ぜてコンクリート組成物を調製した後、運搬を経て打設される。そのため、コンクリート組成物は、原料を練り混ぜた後、ある程度の長い時間は流動性の高い状態を維持することが求められる。練混ぜ直後の流動性は、単位水量あるいは減水剤添加量の増加である程度の改善が可能であるが、単位水量の増加は硬化後のコンクリート特性に悪影響を及ぼし、減水剤添加量の増加は大幅なコストアップとなる。また、従来のセメントクリンカーを用いる場合、コンクリートの流動性の経時変化が大きいという問題もある。流動性の経時変化が大きいと、ポンプ圧送が困難になるなどのトラブルの原因となることから、流動性の経時変化は小さい方が好ましい。
この流動性の経時変化を小さくする手段として、セメントクリンカーの粉砕温度を上げてセメント組成物中に含まれる石膏中の半水石膏割合を約70〜80質量%以上に高める方法が知られているが、粉砕温度を上げるために製造コストの上昇及びセメント組成物の儀凝結の発生などの問題に繋がっていた。したがって、たとえ産業廃棄物及び/又は産業副産物を多量に使用し、かつセメント組成物中に含まれる石膏中の半水石膏割合の少ないセメント組成物であっても、練混ぜ直後の流動性が高くて経時変化も小さく、また、長期的な強度発現性に優れたセメント組成物を得ることが望まれている。
そこで、本発明は、産業廃棄物及び/又は産業副産物のセメント原料としての使用量を大量に増加させた場合であっても、練混ぜ直後の流動性に優れるとともに、セメントクリンカーの粉砕温度を上げずに流動性の経時変化の小さいセメント組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、産業廃棄物及び/又は産業副産物をセメントクリンカーの原料として使用したセメント組成物において、鉱物組成と流動性及び強度発現性との関係について詳細に検討した。その結果、鉱物相、特にフェライト相の格子定数と、セメント組成物に含まれる石膏中の半水石膏割合を特定の範囲に制御することにより、産業廃棄物及び/又は産業副産物を、ペースト、モルタル、コンクリート等の原料として大量に用い、セメントクリンカーの粉砕温度を上げなくとも、流動性の経時変化が小さく、かつ、硬化後に十分な強度発現性を有することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、フェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下、かつ石膏中の半水石膏割合が60質量%以下であるセメント組成物である。好ましくは、ボーグ式で算定されるCAが0.1〜4質量%、CAF量が11〜15質量%及びCS量が30〜50質量%であるセメント組成物である。また、セメント組成物に含まれるセメントクリンカーの原料が、石灰石及び硅石に加えて、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1種以上と、鉄含有原料とを含むセメント組成物である。また、好ましくは、ブレーン比表面積が、3000〜4000cm/gであるセメント組成物である。また、好ましくは、SO量が、1.8〜2.2質量%であるセメント組成物である。また、好ましくは、NaO量が0.2〜0.3質量%及びKO量が0.2〜0.4質量%であるセメント組成物である。
また、本発明は、石灰石及び硅石に加えて、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1種以上と、鉄含有原料とを原料として焼成することにより、測定用セメントクリンカーを得る工程と、測定用セメントクリンカーのリートベルト解析を行い、フェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下となるように鉄含有原料の調合割合を調整する工程と、石灰石及び硅石に加えて、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1種以上と、調合割合を調整された鉄含有原料とを原料として焼成することにより、セメントクリンカーを得る工程と、セメントクリンカーと、石膏とを混合して粉砕することにより、セメント組成物を製造する工程とを含む、セメント組成物の製造方法である。好ましくは、セメントクリンカーの原料原単位として、石灰石が200〜300kg/T−クリンカー、硅石が20〜60kg/T−クリンカー、石炭灰5〜15kg/T−クリンカー、銅がらみ5〜20kg/T−クリンカー、建設発生土2〜30kg/T−クリンカー及び下水汚泥5〜15kg/T−クリンカーであるセメント組成物の製造方法である。
本発明により、産業廃棄物及び/又は産業副産物のセメント原料としての使用量を大量に増加させた場合であっても、練混ぜ直後の流動性に優れるとともに、セメントクリンカーの粉砕温度を上げずに流動性の経時変化の小さいセメント組成物を得ることができる。
本発明のセメント組成物は、セメントクリンカー中のフェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下である。そのため、本発明のセメント組成物は、コンクリート練混ぜ直後の流動性に優れるとともに、石膏中の半水石膏割合が60質量%以下である場合でも、流動性の経時変化が小さい。したがって、本発明のセメント組成物のセメント組成物は、セメントクリンカーの粉砕温度を上げなくとも流動性の経時変化の小さいセメント組成物を得ることができる。以下、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
本発明のセメント組成物は、石灰石及び硅石に加えて、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1種以上と、鉄含有原料とを原料とするセメントクリンカーを含むセメント組成物である。セメントクリンカー中の鉱物組成のCA量がボーグ式算定で0.1〜4質量%、好ましくは、0.5〜3.5質量%、より好ましくは、1〜3.5質量%である。また、セメントクリンカー中の鉱物組成のCAF量がボーグ式算定で11〜15質量%、好ましくは、11〜13.5質量%、より好ましくは11〜13質量%である。
A量及びCAF量がそれぞれ0.1〜4質量%及び11〜15質量%の範囲の下限以上であると、セメント組成物の製造のためのセメントクリンカーの原料としての産業廃棄物及び/又は産業副産物の使用量が十分確保できるため好ましい。また、CA量及びCAF量がそれぞれ4質量%以下及び15質量%以下であると、セメントクリンカーの融液量が過剰とならず、通常のロータリーキルンで安定的に製造することができ、また、コンクリートの強度発現性が低下しないため好ましい。
また、CAF量が11質量%以上であると、セメントクリンカーの原料の産業廃棄物及び/又は産業副産物の量が十分であり、資源循環型社会への貢献が大きくなるため好ましい。CAF量が15質量%以下であると、水和熱が増大せず、セメントクリンカーの融液量が過剰とならず、通常のロータリーキルンで安定的に製造することができるため好ましい。
本発明のセメント組成物のCS量は、ボーグ式算定で30〜50質量%、好ましくは、35〜45質量%である。CS量が30質量%以上であると、長期的な強度が確保できるため好ましい。CS量が50質量%以下であると初期強度が減少せず、原料としての珪石原単位が増大しないため好ましい。
ボーグ式は、セメントクリンカー中の主要な4鉱物の含有量を算出するための計算式である。セメントクリンカーの場合のボーグ式は、下記のように表される。
S量=(4.07×CaO)―(7.60×SiO)―(6.72×Al)―(1.43×Fe
S量=(2.87×SiO)―(0.754×CS)
A量=(2.65×Al)―(1.69×Fe
AF量=3.04×Fe
式中の「CaO」、「SiO」、「Al」及び「Fe」は、それぞれ、セメントクリンカーにおけるCaO、SiO、Al及びFeのセメントクリンカー全体質量に対する含有割合(質量%)である。これらの含有割合は、JIS R 5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析方法」により測定することができる。
セメントクリンカー中のフェライト相の格子定数b軸長は14.565Å以下、好ましくは14.000〜14.565Å、更に好ましくは14.500〜14.560Å、特に好ましくは14.530〜14.550Åである。フェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下、特に14.000〜14.565Åの範囲であれば、コンクリート練混ぜ直後の流動性に優れるとともに、流動性の経時変化の小さいセメント組成物を得ることができる。
本発明のセメント組成物の製造方法について述べる。本発明のセメント組成物の製造に用いるセメントクリンカーの原料は、例えば、天然原料である石灰石及び珪石とともに、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも一種と、鉄含有原料とを含む再利用原料を使用する。石炭灰は、石炭火力発電所等から発生するものであり、例えば、シンダアッシュ、フライアッシュ、クリンカアッシュ及びボトムアッシュ等が挙げられる。下水汚泥としては、汚泥単味のほか、これに石灰石を加えて乾粉化したものや、焼却残渣等も使用することができる。建設発生土としては、建設工事の施工に伴い副次的に発生する残土や泥土、廃土等が挙げられる。鉄含有原料としては、銅がらみ、鉄精鋼、転炉滓、含鉄スラグ、高炉ダスト、脱鉄スラグ、混合滓及び中和汚泥等が挙げられる。銅がらみは、銅製錬プロセスから得ることができる。
セメントクリンカーの原料原単位は、石灰石が200〜300kg/T−クリンカー、好ましくは220〜280kg/T−クリンカー、硅石が20〜60kg/T−クリンカー、好ましくは30〜50kg/T−クリンカー、石炭灰が5〜15kg/T−クリンカー、好ましくは7〜11kg/T−クリンカー、銅がらみが5〜20kg/T−クリンカー、好ましくは8〜18kg/T−クリンカー、建設発生土が2〜30kg/T−クリンカー、好ましくは10〜25kg/T−クリンカー及び下水汚泥が5〜15kg/T−クリンカー、好ましくは7〜12kg/T−クリンカーである。これらの範囲であれば適度な流動性、強度を示すセメント組成物を得ることが可能である。
次に、セメントクリンカーの原料を、所定の温度で焼成する。セメントクリンカーの原料の焼成温度は、1350℃〜1450℃であることが好ましい。焼成温度が1350℃以上であると、セメントクリンカー鉱物の生成が十分であり、水和活性が小さくなる傾向がなく、また、焼成後の遊離石灰量が適量に保たれるため好ましい。焼成温度が1450℃以下であると、セメントクリンカーの融液量が過剰とならず、通常のロータリーキルンで安定的に製造することができるため好ましい。
セメントクリンカーの原料は、上記の再利用原料以外の産業廃棄物及び/又は産業副産物をさらに含有していてもよい。このような産業廃棄物及び/又は産業副産物としては、具体的には、ボタ、汚泥、スラッジ、燃え殻、ばいじん及びダスト等が挙げられる。
コンクリート中の鉄筋腐食の原因となる塩素が原料に多く含まれる場合、水洗等の前処理や焼成の際に抽気処理が必要となる。したがって、セメントクリンカーの原料として使用する前記の再利用原料は、塩素含有量が0.1質量%以下であることが望ましい。
次に、上記焼成により得られたセメントクリンカーを、石膏と混合して粉砕することによって、本発明のセメント組成物を得ることができる。
上記の製造方法において、原料及び焼成温度等の上記製造条件以外については、セメントクリンカーを製造する際に一般的に採用されている製造条件を、特に制限されることなく採用することができる。例えば、上記条件を満足する単一のセメントクリンカーを製造してもよいし、二種以上のセメントクリンカーの混合物を用いて製造することも可能である。製造設備にも制限はなく、既存のセメント製造設備によって製造することが可能である。
セメントクリンカーと混合して粉砕する石膏は、二水石膏、半水石膏及び無水石膏のいずれを使用してもよい。得られるセメント組成物に含まれる各種石膏の合計量は、SO換算で0.5〜4.5質量%、好ましくは1.0〜3.5質量%、より好ましくは1.2〜2.5質量%である。また、得られるセメント組成物に含まれる石膏の合計量に対する半水石膏の割合(石膏中の半水石膏割合)は、10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%、特に好ましくは20〜45質量%、更に好ましくは25〜40質量%、最も好ましくは28〜35質量%である。石膏中の半水石膏割合がこの範囲であれば、セメントクリンカーの粉砕にかかるコスト上昇を抑えられ、儀凝結も起こらず、コンクリートの練混ぜ直後の流動性が高く、経時変化も小さく保つことが可能である。
粉末X線回折を利用したリートベルト解析方法により、上記のようにして製造されたセメントクリンカーのフェライト相の格子定数を測定し、測定結果に応じて銅がらみ等の鉄含有原料を増減させることによって、フェライト相の格子定数b軸長を制御することができる。なお、本明細書では、このフェライト相の格子定数の測定に用いられるセメントクリンカーのことを「測定用セメントクリンカー」という。フェライト相の格子の定数b軸長の制御方法としては、例えばフェライト相の格子の定数b軸長が所定の上限を超えている場合には、鉄含有原料を減らすことによってフェライト相の格子の定数b軸長を短くし、所定の範囲内とすることができる。すなわち、鉄含有原料の調合割合を調整することによって、フェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下となるようなセメントクリンカーの製造条件を定めることができる。鉄含有原料の調合割合の調整は、銅がらみの調合割合を調整することにより容易に行うことができる。
本発明のセメント組成物のブレーン比表面積は、3000〜4000cm/gの範囲、好ましくは3200cm/gを超え3900cm/g以下の範囲であることが好ましい。ブレーン比表面積が3000cm/g以上であると、強度発現性が低下しないため好ましい。また、ブレーン比表面積が4000cm/g以下であると水和熱が増大しないため好ましい。
ブレーン比表面積は、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定する。
本発明のセメント組成物のSO量は、1.8〜2.2質量%、好ましくは1.9〜2.1質量%であることが好ましい。
本発明のセメント組成物のアルカリ量は、NaO量が、0.2〜0.3質量%の範囲、KO量が0.2〜0.4質量%の範囲であることが好ましい。ここで、「アルカリ量」は、JIS R 5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析方法」又はJIS R 5204:2002「セメントの蛍光X線分析方法」により測定される値である。
本発明により、原料として産業廃棄物及び/又は産業副産物の使用量を大量に増加させた場合でも、初期流動性に優れるとともに、流動性の経時変化の小さいセメント組成物を得ることができる。具体的には、本発明のセメント組成物を使用して製造したコンクリート組成物においては、スランプフローの混練60分後(スランプフロー60分)の残存率を90%以上にすることが出来る。なお、「スランプフロー」は、JIS A 1150:2001「コンクリートのスランプフロー試験方法」により測定される値である。また、「スランプフローの混練60分後の残存率」とは、セメント組成物の混練直後のスランプフローの測定値を、混練60分後のスランプフローの測定値で除すことにより算出した割合をいう。したがって、スランプフロー60分での残存率が高いほど、流動性の経時変化の小さいといえる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(セメント組成物の原料)
セメントクリンカーの原料として、天然原料である石灰石及び珪石と、産業廃棄物及び/又は産業副産物として、石炭灰、銅がらみ、建設発生土及び下水汚泥等とを使用し、これらを調合して焼成し、セメントクリンカーを得た。セメントクリンカーの原料調合量を表1に、原料の強熱減量(ig.loss)及び組成を表2に示す。
Figure 2010001196
Figure 2010001196
(セメントクリンカーのフェライト相の格子定数b軸長)
得られたセメントクリンカーに、セメント組成物中のSO基準で2.0質量%になるように石膏を内割で添加し、ボールミルでブレーン比表面積3200±100cm/g及び3800±100cm/gになるように粉砕し、セメント組成物とした。また比較用として市販のセメント組成物3種類を準備した。
セメントクリンカー中のフェライト相の格子定数b軸長を、粉末X線回折を利用したリートベルト解析方法(非特許文献1参照)を用いて測定した。粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置RINT−2000((株)リガク製)を用い、管電圧35kV、管電流110mA、測定範囲2θ=10〜60°、ステップ幅0.02°及び固定時間2sの条件で行った。リートベルト解析は、粉末X線回折パターン総合解析ソフト(JADE6.0(Materials Data Inc.製))を使用した。リートベルト解析に使用した各鉱物相の基本結晶構造は表3に示すとおりである。フェライト相の格子定数b軸長の測定結果を表5に示す。
Figure 2010001196
[非特許文献1] 粉末X線回折の実際−リートベルト法入門、日本分析化学会、X線分析研究懇談会[編]
[非特許文献2] Mumme、W.G.、Neues Jahrb. Mineral.、Abh.169、pp.35-68 (1995)
[非特許文献3] F.Nishi and Y. Takeuchi: "Crystal Structure of β-C2S、"Zeitschrift fur Krustallographie、 No.172、 pp.297-314 (1985)
[非特許文献4] 山口悟朗:「クリンカー中のビーライトの結晶構造解析」、窯業協会誌、 Vol.71、 No.2、 pp.21-26 (1963)
[非特許文献5] Y. Takeuchi、 F. Nishi and I. Maki: "Crystal Structure of Na doped C3A、"Zeitschrift fur Kristallographie、 No.152、 pp.259-307 (1980)
[非特許文献6] 鶴見敬章、平野義信、大門正機:「フェライトの結晶構造」、第46回セメント技術大会講演要旨集、 No.46、 pp.20-25 (1992)
(石膏中の半水石膏割合)
セメント組成物に含まれる石膏中の半水石膏割合は、次の方法により求めた。まず、半水石膏量及び二水石膏量を、示差熱重量分析(TG−DTA)によって定量した。具体的には、示差熱熱重量分析装置TG−DTA6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて、直径20μmの孔を有する容量30μLのセル(材料:アルミニウム)に、試料を約30mg入れ、昇温速度5℃/分で、室温から300℃まで昇温した。図1に示すように、まず、重量減少曲線(図1のTG)を微分した曲線(図1のDTG)から、DTGピークAの立ち上がり温度(約105℃)、半水石膏の脱水に伴うDTGピークBの立ち上がり温度(約150℃)、ピークBの終局点(約185℃)を求めた。次に、二水石膏の脱水に伴う105〜150℃附近の減量(a質量%)と、半水石膏の脱水に伴う150〜185℃附近の減量(b質量%)を求め、式(4)及び式(5)を用いて、セメント組成物に含まれる石膏中の二水石膏量(質量%)及び半水石膏量(質量%)を算出した。これの半水石膏量及び二水石膏量より、半水石膏の割合(質量%)を式(6)により算出した。なお、リファレンス(標準試料)として、アルミニウム板を用いた。このようにして得られた半水石膏割合の測定結果を表6示す。
二水石膏量(質量%)=減量a(質量%)×172〔二水石膏の分子量〕÷(1.5×18〔HOの分子量〕) (4)
半水石膏量(質量%)={減量b(質量%)−減量a(質量%)÷3}×145〔半水石膏の分子量〕÷(0.5×18〔HOの分子量〕) (5)
半水石膏割合(質量%)=半水石膏量÷(半水石膏量+二水石膏量)×100 (6)
(モルタル圧縮強さ試験及び水和熱試験)
JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」にしたがって、各セメント組成物のモルタル圧縮強さ及び水和熱試験を行うことにより、強度発現性及び水和熱の評価を行った。モルタル圧縮強さ及び水和熱試験の試験結果を表6に示す。
(コンクリートの流動性評価試験)
コンクリート性能評価は、表4に示すコンクリート配合を基本として行った。但し、混和剤添加量は表中の値を目安としたが、使用するセメント組成物によっては目標スランプフロー値を得るために微調整した。また、空気量の調整のために一部試料には空気量調整剤を使用した。
Figure 2010001196
使用した骨材及び混和剤は以下のとおりである。
細骨材:混合砂(福岡県相ノ島産海砂50%+北九州市門司産50%、表乾密度2.60g/cm、吸水率1.57%、粗粒率2.70)
粗骨材:山口市宮野産砕石2005(2015:1505=50:50混合、表乾密度2.70g/cm、吸水率0.51%、粗粒率6.72)
混和剤:空気量調整剤
コンクリートの練り混ぜに用いたミキサ、練混ぜ量及び手順は以下のとおりである。また、JIS A 1150:2001「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準じて、得られたコンクリートのスランプフローを測定した。なお、「スランプフローの混練60分後の残存率」は、セメント組成物の混練直後のスランプフローの値を、混練60分後のスランプフローの値で除すことにより算出した。表5に実施例及び比較例のセメントクリンカーの種類及びセメント組成物の鉱物組成を、表6に対応するコンクリートの流動性評価結果を示す。なお、セメント組成物の鉱物組成はJIS R 5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析方法」に従って測定した化学分析値から、ボーグ式により算出したものである。
ミキサ:強制二軸型ミキサ(公称容積55L)
練混ぜ量:30L/バッチ
練混ぜ時間及び手順
a)細骨材及びセメント組成物をミキサに投入後、10秒間空練りした。
b)水(混和剤含む)を加えて、60秒間練混ぜた。
c)粗骨材を加え60秒間練混ぜる。5分間静置した後、15秒間練混ぜて排出した。
Figure 2010001196
Figure 2010001196
フェライト相の格子定数b軸長を14.565Å以下にすることにより、セメント組成物中の半水石膏割合が50%以下においてもスランプフロー60分での残存率90%以上を得られることが可能であることが明らかとなった(実施例1及び2並びに比較例1及び2)。また、セメント組成物の製造の際の産業廃棄物及び/又は産業副産物の使用量をより多く使用でき、さらにモルタル圧縮強さ、水和熱においても比較例と乖離しないことが明らかとなった。フェライト相の格子定数b軸長を14.565Å以上とした場合は、スランプフロー60分での残存率90%以上を得るには、半水石膏割合を68質量%と高くする必要があった(比較例3)。
半水石膏量及び二水石膏量の示差熱重量分析結果を示す図である。

Claims (8)

  1. フェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下、かつ石膏中の半水石膏割合が60質量%以下である、セメント組成物。
  2. ボーグ式で算定されるCA量が0.1〜4質量%、CAF量が11〜15質量%及びCS量が30〜50質量%である、請求項1記載のセメント組成物。
  3. セメント組成物に含まれるセメントクリンカーの原料が、石灰石及び硅石に加えて、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1種以上と、鉄含有原料とを含む、請求項1又は2記載のセメント組成物。
  4. ブレーン比表面積が、3000〜4000cm/gである、請求項1〜3のいずれか一項記載のセメント組成物。
  5. SO量が、1.8〜2.2質量%である、請求項1〜4のいずれか一項記載のセメント組成物。
  6. NaO量が0.2〜0.3質量%及びKO量が0.2〜0.4質量%である、請求項1〜5のいずれか一項記載のセメント組成物。
  7. 石灰石及び硅石に加えて、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1種以上と、鉄含有原料とを原料として焼成することにより、測定用セメントクリンカーを得る工程と、
    測定用セメントクリンカーのリートベルト解析を行い、フェライト相の格子定数b軸長が14.565Å以下となるように鉄含有原料の調合割合を調整する工程と、
    石灰石及び硅石に加えて、石炭灰、建設発生土及び下水汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1種以上と、調合割合を調整された鉄含有原料とを原料として焼成することにより、セメントクリンカーを得る工程と、
    セメントクリンカーと、石膏とを混合して粉砕することにより、セメント組成物を製造する工程と
    を含む、セメント組成物の製造方法。
  8. セメントクリンカーの原料原単位として、石灰石が200〜300kg/T−クリンカー、硅石が20〜60kg/T−クリンカー、石炭灰5〜15kg/T−クリンカー、銅がらみ5〜20kg/T−クリンカー、建設発生土2〜30kg/T−クリンカー及び下水汚泥5〜15kg/T−クリンカーである、請求項7記載のセメント組成物の製造方法。
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