JP2012246190A - セメント組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セメントペースト、モルタル又はコンクリートのフレッシュ性状を維持しつつ、セメントペースト、モルタル又はコンクリートの強度発現性を維持・向上させる、セメント組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%、且つSr含有量が0.035〜0.08質量%となるように、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整し、調整した原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、上記セメントクリンカーと石膏とを粉砕する工程(B)とを含む、セメント組成物の製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%、且つSr含有量が0.035〜0.08質量%となるように、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整し、調整した原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、上記セメントクリンカーと石膏とを粉砕する工程(B)とを含む、セメント組成物の製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、セメント組成物の製造方法に関する。
セメント組成物は、セメント組成物に含まれる成分と水とが反応して水和物を生成し、強度を発現する。一般的には、水和物の生成量が多くなるにつれて、モルタル又はコンクリートの強度は上昇する。
セメントユーザーからは、コンクリートの流動性や凝結時間を損なわずに、強度発現性に優れたコンクリートを得ることが可能なセメント組成物が求められている。
コンクリートの強度発現性を向上させる方法としては、「粉末度(ブレーン比表面積)を細かくする」、「C3S含有量を増加させる」等の手段が用いられている(例えば非特許文献1)。
社団法人セメント協会、セメントの常識、「4.セメントの種類と用途」、p.11〜17、2004年発行
しかしながら、非特許文献1のように「粉末度(ブレーン比表面積)を細かくする」、「C3S含有量を増加させる」等のセメント組成物の粉末度や鉱物組成を変える手段によってコンクリート等の硬化体の強度発現性を向上させると、凝結時間が短縮し、流動性が低下してしまうという事情があった。また、「粉末度を細かくする」ことはセメントの粉砕エネルギーを増加し、「C3S含有量を増加させる」ことは原料として石灰石原単位を増やすこととなり、石灰石の脱炭酸によるCO2排出およびクリンカー焼成用のエネルギー増加にも繋がり、いずれの場合もセメント製造におけるCO2発生量の増加になるため、環境面でも好ましいことではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、モルタルやコンクリートの適正なフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を維持しつつ、モルタル又はコンクリート等の硬化体の強度発現性を向上させることが可能なセメント組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、モルタルやコンクリートのフレッシュ性状を維持しつつ、モルタル又はコンクリート等の硬化体の強度発現性を向上させるためには、セメント組成物中のバナジウム (V)含有量を制御することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%、且つSr含有量が0.035〜0.08質量%となるように、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整し、調整した原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、上記セメントクリンカーと石膏とを粉砕する工程(B)とを含む、セメント組成物の製造方法に関する。
本発明によれば、セメントペースト、モルタル又はコンクリートの適正なフレッシュ性状を維持するために、セメントペーストの標準軟度水量(一定の軟度を得るために必要な水量)及び凝結時間を維持しつつ、モルタル又はコンクリート等の硬化体の強度発現性(例えば材齢28日の強度発現性)を維持・向上させることが可能なセメント組成物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係るセメント組成物は、V含有量が0.0063〜0.012質量%であることを特徴とする。
バナジウム(V)はセメント組成物に含有される微量成分である。本発明者らは、セメント組成物中のV含有量が、セメント組成物を用いたセメントペースト、モルタル又はコンクリートの硬化体の強度発現性に影響を及ぼすことを突き止め、セメント組成物のV含有量が適性範囲となるようにすることにより、セメントペースト、モルタル又はコンクリートの適正なフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を維持しつつ、それらの硬化体の強度発現性を向上することを見出した。セメント組成物のV含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電機加熱式原子吸光分析方法によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定することができる。
セメント組成物中のV含有量は、0.0063〜0.012質量%であり、好ましくは0.0070〜0.012質量%であり、より好ましくは0.0080〜0.0115質量%であり、更に好ましくは0.0090〜0.0105質量%である。セメント組成物中のV含有量が0.063質量%未満または0.012質量%を超えると、本実施形態に係るセメント組成物を用いたモルタル又はコンクリート等の硬化体の強度発現性が適正に維持できない場合がある。
本実施形態に係るセメント組成物は、ストロンチウム(Sr)含有量が、好ましくは0.035〜0.08質量%、より好ましくはSr含有量が0.04〜0.075質量%、更に好ましくは0.041〜0.07質量%、特に好ましくは0.042〜0.06質量%である。セメント組成物中のSr含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物のフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を適度に維持しつつ、モルタル又はコンクリート等の硬化体の強度発現性を維持・向上させることができる。セメント組成物中のSr含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電機加熱式原子吸光分析方法によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定することができる。
本実施形態に係るセメント組成物は、モリブデン(Mo)含有量が、好ましくは0.0002〜0.007質量%、より好ましくは0.0002〜0.0065質量%、更に好ましくは0.0002〜0.0064質量%、特に好ましくは0.0002〜0.0063質量%である。セメント組成物中のMo含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物のフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリート等の硬化体の強度発現性を維持・向上させることができる。セメント組成物中のMo含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電機加熱式原子吸光分析方法によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定することができる。
本実施形態に係るセメント組成物では、MgO含有量が、好ましくは1〜3質量%、より好ましくは1〜2.5質量%、更に好ましくは1〜2質量%、特に好ましくは1〜1.5質量%である。セメント組成物中のMgO含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物のフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリート等の硬化体の強度発現性を更に向上させることができる。セメント組成物中のMgO含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。
本実施形態に係るセメント組成物は、SO3含有量が0.2〜1.2であるセメントクリンカーを用いてなるものであることが好ましい。セメントクリンカーのSO3含有量は、より好ましくは0.25〜0.90質量%、更に好ましくは0.3〜0.7質量%である。セメントクリンカーのSO3含有量が上記範囲内であると、このセメントクリンカーと、石膏とを粉砕して得られるセメント組成物のSO3含有量を所定の範囲に調整しやすくなるため好ましい。
また、本実施形態に係るセメント組成物は、R2O含有量が、好ましくは0.3〜0.6質量%、より好ましくは0.35〜0.6質量%、更に好ましくは0.35〜0.55質量%、特に好ましくは0.4〜0.5質量%である。セメント組成物中のR2O含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物のフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリート等の硬化体の強度発現性を維持・向上させることができる。セメント組成物中のR2O含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。セメント組成物のR2O(アルカリ)含有量は、下記式(A)で示される量をいう。
セメント組成物のR2O含有量=Na2O含有量+0.658×K2O含有量 (A)
セメント組成物のR2O含有量=Na2O含有量+0.658×K2O含有量 (A)
また、本実施形態に係るセメント組成物は、SO3含有量が、好ましくは1.6〜2.5質量%、より好ましくは1.7〜2.5質量%、更に好ましくは1.8〜2.48質量%である。セメント組成物中のSO3含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物のフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリート等の硬化体の強度発現性を維持・向上させることができる。セメント組成物中のSO3含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。
本実施形態に係るセメント組成物の鉱物組成は、好ましくはC3S含有量が45〜70質量%、C2S含有量が5〜25質量%、C3A含有量が6〜15質量%及びC4AF含有量が7〜15質量%であり、より好ましくはC3S含有量が48〜65質量%、C2S含有量が10〜25質量%、C3A含有量が8〜13質量%及びC4AF含有量が8〜12質量%であり、更に好ましくはC3S含有量が50〜64質量%、C2S含有量が11〜20質量%、C3A含有量が9〜12質量%及びC4AF含有量が8〜11質量%であり、特に好ましくはC3S含有量が53〜60質量%、C2S含有量が11〜18質量%、C3A含有量が9〜11質量%、C4AF含有量が8〜10質量%である。セメント組成物の鉱物組成が上記範囲内であると、モルタル及びコンクリートのフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を維持しつつ、モルタル又はコンクリート等の硬化体の強度発現性を容易に維持・向上させることができる。
ここで、セメント組成物中のC3S含有量(エーライト相)、C2S含有量(ビーライト相)、C3A含有量(アルミネート相)、C4AF含有量(フェライト相)は、下記のボーグ式[1]〜[4]により算出する。
C3S含有量(質量%)=4.07×CaO含有量(質量%)−7.60×SiO2含有量(質量%)−6.72×Al2O3含有量(質量%)−1.43×Fe2O3含有量(質量%)−2.85×SO3含有量(質量%) ・・・[1]
C2S含有量(質量%)=2.87×SiO2含有量(質量%)−0.754×C3S含有量(質量%) ・・・[2]
C3A含有量(質量%)=2.65×Al2O3含有量(質量%)−1.69×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[3]
C4AF含有量(質量%)=3.04×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[4]
C2S含有量(質量%)=2.87×SiO2含有量(質量%)−0.754×C3S含有量(質量%) ・・・[2]
C3A含有量(質量%)=2.65×Al2O3含有量(質量%)−1.69×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[3]
C4AF含有量(質量%)=3.04×Fe2O3含有量(質量%) ・・・[4]
式中の「CaO含有量」、「SiO2含有量」、「Al2O3含有量」及び「Fe2O3含有量」は、それぞれ、セメント組成物におけるCaO、SiO2、Al2O3及びFe2O3のセメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)である。これらの含有割合は、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」あるいはJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定することができる。
次に、本発明のセメント組成物の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態に係るセメント組成物の製造方法は、セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%となるように、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト等)からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整し、調整した原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、上記セメントクリンカーと石膏とを粉砕する工程(B)とを含む。
本実施形態に係るセメント組成物の製造方法は、セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%となるように、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト等)からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整し、調整した原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、上記セメントクリンカーと石膏とを粉砕する工程(B)とを含む。
(A)工程におけるセメントクリンカーの原料としては、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源等が挙げられる。石炭灰は、石炭火力発電所等から発生するものであり、シンダアッシュ、フライアッシュ、クリンカアッシュ及びボトムアッシュが挙げられる。建設発生土は、建設工事の施工に伴い副次的に発生する残土や泥土、廃土等が挙げられる。下水汚泥としては、汚泥単味のほか、これに石灰石を加えて乾粉化したものや、焼却残渣等が挙げられる。ハイドロケーキとしては、海水マグネシアクリンカーを製造する際の、海水に少量の水酸化カルシウムを加え、海水中の炭酸ガスを除去する工程で発生する副産物であり、カルシウム及びマグネシウムそれぞれの水酸化物及び炭酸塩を主成分とするものが挙げられる。鉄源としては、銅からみ、高炉ダスト等が挙げられる。なお、Vをある程度含有する原料であれば、上記の石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源以外であっても良い。
(A)工程におけるセメントクリンカー原料の原料原単位としては、セメントクリンカー1トン(t)あたり、ドライベース(水分を含まない状態)で、石灰石700〜1400kg/t−クリンカー、硅石20〜150kg/t−クリンカー、石炭灰0〜300kg/t−クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t−クリンカー、建設発生土10〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー及び鉄源30〜80kg/t−クリンカーを使用することが好ましい。また、工程(A)では、セメントクリンカー原料として、ドライベースで、石灰石800〜1300kg/t−クリンカー、硅石20〜100kg/t−クリンカー、石炭灰10〜250kg/t−クリンカー、粘土0〜80kg/t−クリンカー、高炉スラグ5〜50kg/t−クリンカー、建設発生土20〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜70kg/t−クリンカー、ハイドロケーキを20〜80kg/t−クリンカー及び鉄源30〜60kg/t−クリンカーを使用することがより好ましい。石炭灰は、ドライベースで20〜250kg/t−クリンカーであることが更に好ましい。
(A)工程におけるセメントクリンカー原料の原料原単位を調整する方法としては、各セメントクリンカー原料のV含有量を測定し、Vを多く含むセメントクリンカー原料の原料原単位を主に調整して、セメント組成物のV含有量が0.063〜0.12質量%となるよう原料原単位を調整する。セメントクリンカー原料の原料原単位を調整する方法として、具体的には、予め製造したセメント組成物をサンプリングして、セメント組成物中のV含有量を測定し、セメント組成物中のV含有量が0.0063〜0.012質量%となるように、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整し、この原料を焼成して得られたセメントクリンカーを用いる方法が挙げられる。このような方法によって、V含有量が特定の範囲であり、強度発現性(例えば材齢28日の強度発現性)を維持・向上させたセメント組成物を製造することができる。ここで「原料原単位」とは、セメントクリンカーを1トン製造するにあたり使用される各原料の質量(kg/t−クリンカー)をいう。なお、Vをある程度含有する原料であれば、上記の石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源以外であっても良い。
セメントクリンカー原料の中でも、石炭灰、建設発生土、粘土、鉄源(銅からみ、高炉ダスト)等の使用量(原料原単位)が、セメント組成物のV含有量に与える影響が大きい。セメント組成物のV含有量を調整するには、V含有量に与える影響が大きい上記原料の原料原単位を調整してなるセメントクリンカーを用いて、セメント組成物を製造することが好ましい。
本実施形態に係るセメント組成物の製造方法において、セメント組成物のSr含有量が0.035〜0.08質量%となるように、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整することが好ましい。また、セメント組成物の製造方法において、セメント組成物のMo含有量が0.0002〜0.007質量%となるように、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整することが好ましい。また、セメント組成物の製造方法において、セメント組成物のMgO含有量が1〜3質量%となるようにセメントクリンカー原料の原料原単位を調整することが好ましい。さらに、セメント組成物の製造方法において、セメント組成物のR2O含有量が0.3〜0.6質量%となるように、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整することが好ましい。セメント組成物のSr含有量、Mo含有量、MgO含有量及びR2O含有量を調整するには、予め製造したセメント組成物をサンプリングして、セメント組成物中のSr含有量、Mo含有量、MgO含有量及びR2O含有量を測定し、セメント組成物中のSr含有量、Mo含有量、MgO含有量及びR2O含有量が特定量となるように、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整し、この原料を焼成して得られたセメントクリンカーを用いる方法が挙げられる。
本実施形態に係るセメント組成物の製造方法において、セメントクリンカーのSO3含有量が0.2〜0.9質量%となるようにセメントクリンカー原料の原料原単位を調整することが好ましい。
セメントクリンカー原料として、各原料中のV含有量、Sr含有量、Mo含有量、MgO含有量及びR2O含有量が、以下の範囲のものを使用することが好ましい。なお、各原料中のV含有量、Sr含有量、Mo含有量、MgO含有量及びR2O含有量は、各原料全体(100質量%)に対する含有割合(質量%)である。
石灰石としては、V含有量が、好ましくは0.0001〜0.002質量%、より好ましくは0.0001〜0.0015質量%、更に好ましくは0.0002〜0.0012質量%、特に好ましくは0.0002〜0.001質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.005〜0.07質量%、より好ましくは0.005〜0.06質量%、更に好ましくは0.01〜0.06質量%、特に好ましくは0.015〜0.055質量のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、更に好ましくは0.0005質量%以下、特に好ましくは0.0003質量%以下のものを使用する。MgO含有量が、好ましくは0.1〜1.5質量%以下、より好ましくは0.2〜1.3質量%以下、更に好ましくは0.25〜1.1質量%以下、特に好ましくは0.3〜1.0質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.001〜0.04質量%、更に好ましくは0.005〜0.03質量%、特に好ましくは0.005〜0.02質量%のものを使用する。
硅石としては、V含有量が、好ましくは0.001〜0.01質量%、より好ましくは0.001〜0.008質量%、更に好ましくは0.002〜0.008質量%、特に好ましくは0.003〜0.03質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.04質量%、より好ましくは0.001〜0.03質量%、更に好ましくは0.001〜0.025質量%、更に好ましくは0.001〜0.02質量%のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、更に好ましくは0.0005質量%以下、特に好ましくは0.0004質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは0.05〜1.0質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%、更に好ましくは0.1〜0.6質量%、特に好ましく0.1〜0.5質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.1〜4.0質量%、より好ましくは0.1〜3.0質量%、更に好ましくは0.3〜2.5質量%、特に好ましくは0.3〜2.0質量%のものを使用する。
石炭灰としては、V含有量が、好ましくは0.01〜0.1質量%、より好ましくは0.01〜0.05質量%、更に好ましくは0.015〜0.08質量%、最も好ましくは0.035〜0.06質量%のものを使用する。なお、セメント組成物中のV含有量を制御するには、出来るだけV含有量の多い石炭灰を選択して用いることが好ましい。Sr含有量が、好ましくは0.02〜0.2質量%、より好ましくは0.02〜0.15質量%、更に好ましくは0.02〜0.13質量%、特に好ましくは0.02〜0.12質量%のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.004質量%以下、より好ましくは0.003質量%以下、更に好ましくは0.002質量%以下、特に好ましくは0.0015質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは0.2〜3.0質量%、より好ましくは0.4〜3.0質量%、更に好ましくは0.4〜2.5質量%、特に好ましくは0.4〜2.3質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.1〜3.5質量%、より好ましくは0.2〜3.0質量%、更に好ましくは0.3〜2.5質量%、特に好ましくは0.5〜2.0質量%のものを使用する。
高炉スラグとしては、V含有量が、好ましくは0.001〜0.02質量%、より好ましくは0.001〜0.015質量%、更に好ましくは0.003〜0.012質量%、特に好ましくは0.004〜0.01質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.02〜0.08質量%、より好ましくは0.02〜0.07質量%、更に好ましくは0.02〜0.06質量%、特に好ましくは0.02〜0.05質量%以下のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、更に好ましくは0.0005質量%以下、特に好ましくは0.0003質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは3.0〜10質量%、より好ましくは3.0〜8.0質量%、更に好ましくは3.0〜7.0質量%、特に好ましくは4.0〜7.0質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.02〜1.0質量%、より好ましくは0.04〜0.8質量%、更に好ましくは0.06〜0.6質量%、特に好ましくは0.08〜0.5質量%のものを使用する。
粘土としては、V含有量が、好ましくは0.005〜0.05質量%、より好ましくは0.005〜0.03質量%、更に好ましくは0.01〜0.025質量%、特に好ましくは0.015〜0.02質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.03質量%、より好ましくは0.003〜0.025質量%、更に好ましくは0.003〜0.02質量%、特に好ましくは0.004〜0.015質量%以下のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、更に好ましくは0.0005質量%以下、特に好ましくは0.0004質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは0.3〜6.0質量%、より好ましくは0.3〜5.0質量%、更に好ましくは0.3〜4.0質量%以下、特に好ましくは0.5〜4.0質量%のものを使用する。粘土としては、R2O含有量が、好ましくは0.5〜4.0質量%、より好ましくは0.7〜3.5質量%、更に好ましくは1.0〜3.0質量%、特に好ましくは1.2〜2.8質量%のものを使用する。
建設発生土としては、V含有量が、好ましくは0.0001〜0.03質量%、より好ましくは0.0001〜0.025質量%、更に好ましくは0.005〜0.02質量%、特に好ましくは0.007〜0.02質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.01〜0.4質量%、より好ましくは0.01〜0.3質量%、更に好ましくは0.01〜0.2質量%、特に好ましくは0.015〜0.1質量%のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、更に好ましくは0.0005質量%以下、特に好ましくは0.0004質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは0.5〜6.0質量%、より好ましくは0.5〜5.5質量%、更に好ましくは1.0〜5.0質量%、特に好ましくは1.0〜4.0質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.5〜4.5質量%、より好ましくは0.7〜4.0質量%、更に好ましくは1.0〜3.5質量%、特に好ましくは1.2〜3.0質量%のものを使用する。
下水汚泥としては、V含有量が、好ましくは0.0001〜0.01質量%、より好ましくは0.0001〜0.007質量%、更に好ましくは0.0005〜0.005質量%、特に好ましくは0.0007〜0.004質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.07質量%、更に好ましくは0.001〜0.05質量%、特に好ましくは0.001〜0.04質量%のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.0015質量%以下、更に好ましくは0.0012質量%以下、0.0011質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは0.05〜4.0質量%、より好ましくは0.1〜4.0質量%、更に好ましくは0.1〜3.0質量%、特に好ましくは0.1〜2.5質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.4〜3.5質量%、より好ましくは0.6〜3.0質量%、更に好ましくは0.8〜2.5質量%、特に好ましくは1.0〜2.0質量%のものを使用する。
ハイドロケーキとしては、V含有量が、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.01〜0.08質量%、更に好ましくは0.01〜0.06質量%、特に好ましくは0.01〜0.05質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.1〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.7質量%、更に好ましくは0.1〜0.6質量%、特に好ましくは0.1〜0.5質量%のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、更に好ましくは0.0005質量%以下、特に好ましくは0.0003質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは10〜20質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.02〜1.5質量%、より好ましくは0.04〜1.2質量%、更に好ましくは0.06〜1.0質量%、特に好ましくは0.08〜0.8質量%のものを使用する。
鉄源である銅からみとしては、V含有量が、好ましくは0.001〜0.05質量%、より好ましくは0.003〜0.03質量%、更に好ましくは0.005〜0.03質量%、0.005〜0.02質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.005〜0.05質量%、より好ましくは0.005〜0.04質量%、更に好ましくは0.005〜0.03質量%、特に好ましくは0.005〜0.02質量%のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.0002〜0.8質量%、より好ましくは0.0002〜0.6質量%、更に好ましくは0.0002〜0.4質量%、特に好ましくは0.0002〜0.3質量%のものを使用する。MgO有量が、好ましくは0.5〜3.0質量%、より好ましくは0.5〜2.5質量%、更に好ましくは0.6〜2.0質量%、特に好ましくは0.7〜1.5質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.04〜2質量%、より好ましくは0.06〜1.8質量%、更に好ましくは0.08〜1.6質量%、特に好ましくは1〜1.4質量%のものを使用する。
鉄源である高炉ダストとしては、V含有量が、好ましくは0.001〜0.03質量%、より好ましくは0.003〜0.02質量%、更に好ましくは0.005〜0.02質量%、特に好ましくは0.008〜0.015質量%のものを使用する。Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.03質量%、より好ましくは0.001〜0.02質量%、更に好ましくは0.002〜0.015質量%、特に好ましくは0.002〜0.01質量%のものを使用する。Mo含有量が、好ましくは0.004質量%以下、より好ましくは0.003質量%以下、更に好ましくは0.002質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以下のものを使用する。MgO有量が、好ましくは0.1〜3.0質量%、より好ましくは0.15〜2.0質量%、更に好ましくは0.15〜1.5質量%、特に好ましくは0.2〜1.5質量%のものを使用する。R2O含有量が、好ましくは0.002〜1.0質量%、より好ましくは0.004〜0.8質量%、更に好ましくは0.006〜0.6質量%、特に好ましくは0.008〜0.4質量%のものを使用する。
鉄源として、V含有量が好ましくは0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.08〜0.5質量%、更に好ましくは0.1〜0.4質量%である、転炉滓、脱鉄スラグ等を、セメント組成物中のV含有量の制御原料として選択して用いることもできる。
セメントクリンカーの製造は、SP方式(多段サイクロン予熱方式)又はNSP方式(仮焼炉を併設した多段サイクロン予熱方式)等の既存のセメント製造設備を用いて製造することができる。
なお、工業スケールの製造においては、例えば、セメントクリンカー焼成時に品質管理用のサンプルを採取し、このサンプルのV含有量を測定して、各原料中のV含有量に基づいて、各原料の使用比率(原料原単位)を調整し、セメントクリンカー中のV含有量が0.0063〜0.012質量%となるようにする。
次に、本発明の工程(A)(焼成工程)の一実施形態として、NSP方式の既存のセメント製造設備を用いて、セメントクリンカーを製造する例を説明する。
セメントクリンカーの各原料の混合方法は、特に限定されないが、例えば原料粉砕ミル等で粉砕混合し、更にはブレンディングサイロで混合することが好ましい。
粉砕混合されたセメントクリンカー原料は、さらに既存の設備であるサスペンションプレヒータ及びロータリーキルンを用いて焼成することができる。セメントクリンカーの焼成温度、焼成時間等の焼成条件を調整することによっても、V含有量が0.0063〜0.012質量%であるセメントクリンカーを製造することができる。
セメントクリンカーの焼成温度は、特に限定されないが、NSP方式のセメント製造設備を用いた場合には、ロータリーキルンの出口付近におけるセメントクリンカーの温度が、好ましくは800〜1700℃、より好ましくは900〜1600℃、更に好ましくは1000〜1500℃である。焼成時間は、20分間〜2時間、より好ましくは30分間〜2時間、更に好ましくは45分〜1.5時間である。
焼成後、得られたセメントクリンカーは、ロータリーキルンの下流側に設けられたクリンカークーラーによって、例えば100〜200℃程度まで冷却されることが好ましい。冷却速度は、好ましくは10〜60℃/分であり、より好ましくは15〜45℃/分であり、更に好ましくは15〜30℃/分である。冷却速度が10〜60℃/分の範囲であると、優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となるセメント組成物が得られるセメントクリンカーを製造することができる。
次に、本発明の工程(B)(粉砕工程)の一実施形態として、セメントクリンカーと石膏とを粉砕する工程を説明する。
セメント組成物は、V含有量が0.0063〜0.012質量%であるセメントクリンカーと石膏とを混合して粉砕することによって製造することができる。石膏は、JIS R 9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質を満足することが望ましく、具体的には、二水石膏、半水石膏、不溶性無水石膏が好適に用いられる。
工程(B)(粉砕工程)において、V含有量が0.0063〜0.012質量%であるセメントクリンカーに対して、セメント組成物中のSO3含有量が1.6〜2.5質量%、より好ましくは1.7〜2.5質量%、更に好ましくは1.8〜2.48質量%となるように石膏を配合して粉砕することが好ましい。粉砕方法としては、特に制限されないが、ボールミル等の粉砕機、セパレータ等の分級機を用いる方法が挙げられる。なお、セメントクリンカーと石膏とを含有するセメント組成物では、セメントクリンカーの含有量がセメント組成物の全体質量に対して95〜97質量%であり且つ石膏の含有量が3〜5質量%であることが好ましい。
粉砕工程(B)において、セメント組成物は、さらに混合材を含有してもよい。混合材としては、JIS R 5211「高炉セメント」で規定される高炉スラグ、JIS R 5212「シリカセメント」で規定されるシリカ質混合材、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」で規定されるフライアッシュ、石灰石微粉末を利用することができる。混合材の合計含有割合(質量%)は、セメント組成物の全体質量に対して5質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るセメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは2800〜4000cm2/gである。ブレーン比表面積が上記範囲内であると、更に優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となる。セメント組成物のブレーン比表面積は、より好ましくは3000〜3800cm2/gであり、更に好ましくは3000〜3500cm2/gである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1)
[セメントクリンカーの原料]
セメントクリンカー原料としては、石灰石、珪石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト)のV含有量を予め測定し、上記原料の原料原単位を調整して、セメントクリンカーのV含有量が0.0063〜0.012質量%となるように調整した。更に、Sr含有量が0.035〜0.08質量%、Mo含有量が0.0002〜0.007質量%、MgO含有量が1〜3質量%、R2O含有量が0.3〜0.6質量%であるセメントクリンカーが得られるように各原料の使用比率(原料原単位)を調整した。また、セメント組成物のSO3量を調整するために、二水石膏を使用した。実施例及び比較例で使用した石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト)のV含有量、Sr含有量、Mo含有量、MgO含有量及びR2O含有量を表1に記載する。なお、以下に示す化学成分および原料原単位は、ドライベース(水分を含まない状態)の原料原単位である。また、表1中、「<0.00025」は、Mo含有量が0.00025質量%以下であることを示す。
[セメントクリンカーの原料]
セメントクリンカー原料としては、石灰石、珪石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト)のV含有量を予め測定し、上記原料の原料原単位を調整して、セメントクリンカーのV含有量が0.0063〜0.012質量%となるように調整した。更に、Sr含有量が0.035〜0.08質量%、Mo含有量が0.0002〜0.007質量%、MgO含有量が1〜3質量%、R2O含有量が0.3〜0.6質量%であるセメントクリンカーが得られるように各原料の使用比率(原料原単位)を調整した。また、セメント組成物のSO3量を調整するために、二水石膏を使用した。実施例及び比較例で使用した石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト)のV含有量、Sr含有量、Mo含有量、MgO含有量及びR2O含有量を表1に記載する。なお、以下に示す化学成分および原料原単位は、ドライベース(水分を含まない状態)の原料原単位である。また、表1中、「<0.00025」は、Mo含有量が0.00025質量%以下であることを示す。
原料中のV、Sr、Mo、MgO及びR2O含有量は、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。
[セメントクリンカーの原料]
セメントクリンカー原料として使用した各原料の原単位は、石灰石800〜1300kg/t−クリンカー、珪石20〜150kg/t−クリンカー、石炭灰10〜250kg/t−クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t−クリンカー、建設発生土20〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー及び鉄源30〜80kg/t−クリンカー(銅からみ5〜50kg/t−クリンカー、高炉ダスト25〜55kg/t−クリンカー)であった。
セメントクリンカー原料として使用した各原料の原単位は、石灰石800〜1300kg/t−クリンカー、珪石20〜150kg/t−クリンカー、石炭灰10〜250kg/t−クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t−クリンカー、建設発生土20〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー及び鉄源30〜80kg/t−クリンカー(銅からみ5〜50kg/t−クリンカー、高炉ダスト25〜55kg/t−クリンカー)であった。
[セメントクリンカーの製造]
上記セメントクリンカー原料を調合し、調合した原料をNSPキルンで最高温度1200〜1500℃で焼成し、セメントクリンカーを製造した。NSPキルン出口付近におけるセメントクリンカーの温度は1000〜1500℃であった。このセメントクリンカーを、ロータリーキルンの下流側に設けられたクリンカークーラーで、1000〜1400℃から100〜200℃まで、10〜60℃/分の冷却速度で冷却した。
上記セメントクリンカー原料を調合し、調合した原料をNSPキルンで最高温度1200〜1500℃で焼成し、セメントクリンカーを製造した。NSPキルン出口付近におけるセメントクリンカーの温度は1000〜1500℃であった。このセメントクリンカーを、ロータリーキルンの下流側に設けられたクリンカークーラーで、1000〜1400℃から100〜200℃まで、10〜60℃/分の冷却速度で冷却した。
得られたセメントクリンカーに二水石膏をセメント組成物中のSO3含有量が2質量%となるように配合し、さらに混合材(石灰石、高炉スラグ)を石灰石4質量%と高炉スラグ1質量%で添加し、実機ミルでブレーン比表面積が3100〜3400cm2/gになるように粉砕し、セメント組成物を得た。
[セメント組成物の化学成分]
得られたセメント組成物中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、R2O及びSO3とクリンカー中のSO3について、全体質量に対する含有割合(質量%)を測定した。これらの含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定した。また、セメント組成物中のSr含有量を、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した結果を表2に示す。
得られたセメント組成物中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、R2O及びSO3とクリンカー中のSO3について、全体質量に対する含有割合(質量%)を測定した。これらの含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定した。また、セメント組成物中のSr含有量を、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した結果を表2に示す。
[セメント組成物の鉱物組成及び物性]
<セメント組成物の鉱物組成>
得られたセメント組成物の鉱物組成(C3S量、C2S量、C3A量及びC4AF量)を、ボーグ式[1]〜[4]に基づいて測定した。結果を表3に示す。
<セメント組成物の粉末特性>
セメントの粉末特性(ブレーン比表面積及び45μm残分)について、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。結果を表4に示す。
<色調b値>
セメント組成物の色調b値は、測色色差計(日本電色工業社製Spectro Color Meter Se2000)用いて測定した結果を表4に示す。
<標準軟度水量>
標準軟度水量は、セメントペーストの軟らかさ(軟度)を一定にするために必要な水量のことであり、これが多いほどセメントの流動性が悪いこととなる。測定方法は、セメント組成物500gを練り鉢に入れ、水を加えて練り混ぜた後、セメントペーストを容器に投入し、表面を平滑にした後、標準棒を降下させて、30秒後に標準棒の先端と底板との間隔を測定し、これが6±1mm(標準軟度)となる水量を測定し、標準軟度水量とする。
<凝結(始発、終結)、モルタル圧縮強さ>
凝結時間(始発、終結)は、得られたセメント組成物を用いて、JIS R5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。結果を表4に示す。
<セメント組成物の鉱物組成>
得られたセメント組成物の鉱物組成(C3S量、C2S量、C3A量及びC4AF量)を、ボーグ式[1]〜[4]に基づいて測定した。結果を表3に示す。
<セメント組成物の粉末特性>
セメントの粉末特性(ブレーン比表面積及び45μm残分)について、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。結果を表4に示す。
<色調b値>
セメント組成物の色調b値は、測色色差計(日本電色工業社製Spectro Color Meter Se2000)用いて測定した結果を表4に示す。
<標準軟度水量>
標準軟度水量は、セメントペーストの軟らかさ(軟度)を一定にするために必要な水量のことであり、これが多いほどセメントの流動性が悪いこととなる。測定方法は、セメント組成物500gを練り鉢に入れ、水を加えて練り混ぜた後、セメントペーストを容器に投入し、表面を平滑にした後、標準棒を降下させて、30秒後に標準棒の先端と底板との間隔を測定し、これが6±1mm(標準軟度)となる水量を測定し、標準軟度水量とする。
<凝結(始発、終結)、モルタル圧縮強さ>
凝結時間(始発、終結)は、得られたセメント組成物を用いて、JIS R5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。結果を表4に示す。
セメント組成物のV含有量と材齢28日圧縮強さとの関係を図1に示す。図1に示すように、セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%(実施例1〜4、図1中の記号「●」)であれば、一定の強度発現性(材齢28日のモルタル圧縮強さが60N/mm2以上)を維持・向上させることができる。一方、セメント組成物のV含有量が0.0063質量%未満であると(比較例1、図1中の記号「□」)、強度発現性は低下した。また、表4に示すように、V含有量が0.0063〜0.012質量%であり、好ましくはSr含有量が0.035〜0.08質量%であるセメント組成物(実施例1〜4)は、一定の強度発現性を維持・向上させながら、セメント組成物のV含有量が0.0063質量%未満のセメント組成物(比較例1)と比べて、標準軟度水量に大差がなく、凝結時間は却って長くなっていることから、フレッシュ性(標準軟度水量、凝結時間)が維持されていることが確認できる。
以上に示す結果から、セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%であり、好ましくはSr含有量が0.035〜0.08質量%であるセメント組成物は、モルタルやコンクリートのフレッシュ性状(標準軟度水量、凝結時間)を維持しつつ、強度発現性を維持・向上させることができる。
Claims (6)
- セメント組成物のV含有量が0.0063〜0.012質量%、且つSr含有量が0.035〜0.08質量%となるように、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整し、調整した原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、上記セメントクリンカーと石膏とを粉砕する工程(B)とを含むことを特徴とするセメント組成物の製造方法。
- セメント組成物のMo含有量が0.0002〜0.007質量%であり、MgO含有量が1〜3質量%である、請求項1記載のセメント組成物の製造方法。
- SO3含有量が0.2〜1.2質量%であるセメントクリンカーを用いてなる、請求項1又は2記載のセメント組成物の製造方法。
- セメント組成物のSO3含有量が1.6〜2.5質量%である、請求項1〜3のいずれか1項記載のセメント組成物の製造方法。
- セメント組成物のR2O含有量が0.3〜0.6質量%である、請求項1〜4のいずれか1項記載のセメント組成物の製造方法。
- セメント組成物のC3S含有量が45〜70質量%、C2S含有量が5〜25質量%、C3A含有量が6〜15質量%及びC4AF含有量が7〜15質量%である、請求項1〜5のいずれか1項記載のセメント組成物の製造方法。
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- 2011-05-30 JP JP2011119897A patent/JP2012246190A/ja not_active Withdrawn
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