JP6217305B2 - 低水和熱セメント組成物及びその製造方法 - Google Patents

低水和熱セメント組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低水和熱セメント組成物及びその製造方法に関する。
セメント組成物の水和熱は、セメント組成物に含まれる成分と水とが反応して水和物を生成する際の発熱である。一般的には、水和物の生成量が多くなるにつれて、モルタル又はコンクリートの強度は上昇するが、それと同時にセメント組成物と水との反応に伴う水和熱も増大する。言い換えれば、モルタル及びコンクリートの強度発現性が向上すると、セメント組成物の水和熱が増加するのが一般的な傾向である。
しかし、コンクリートの耐久性の観点からは、セメント組成物の水和熱は小さい方が好ましい。このため、耐久性に優れたコンクリートを志向するセメントユーザーからは、コンクリートの強度発現性を損なわずに、水和熱を低減することが可能なセメント組成物が求められている。
セメント組成物の水和熱を低減する方法としては、例えば中庸熱や低熱ポルトランドセメントクリンカーのように、主要鉱物組成を制御する方法(CS量及びCA量等の低減)が知られている(特許文献1)。その他にセメントクリンカーの各鉱物組成を特定の範囲にするとともに、クリンカー1kg当たりのMoの含有量を30mg以下とすることによって、水和熱を低減させ、強度発現性が中庸熱セメントと同等であり、減水剤による流動性を向上させるセメント組成物が開示されている(特許文献2)。
一方、コンクリートの強度発現性を向上する方法としては、「粉末度を細かくする(ブレーン比表面積を大きくする)」、「CS量を増加させる」等の手段が用いられている(非特許文献1)。
特開昭61−097154号公報 特開2013−87036号公報
社団法人セメント協会、「4.セメントの種類と用途」、セメントの常識、2004年、11−17頁
しかし、上述の特許文献1で提案されているCS量及びCA量が特定量に制御されたセメント組成物は、従来から市販されている低発熱型混合セメント組成物よりも、材齢28日や91日における圧縮強度が低くなる。すなわち、特許文献1のように主要鉱物組成を制御する方法では、セメント組成物の水和熱を低減しようとするとコンクリートの強度発現性も低下するのが実情であった。
また、セメントクリンカーは、天然原料の他に、産業廃棄物、一般廃棄物、都市ゴミ焼却灰及び/又は建設発生土等の廃棄物をクリンカー原料の代替として用いている。原料として廃棄物の使用量が多くなると、Moの含有量も増大し、クリンカー1kg当たりのMo含有量が30mgを超える。しかしながら、上述の特許文献2においては、クリンカー1kg当たりのMo含有量が30mgを超える範囲における水和熱の低減等の効果は確認されていない。
一方、非特許文献1のように「粉末度を細かくする(ブレーン比表面積を大きくする)」、「CS量を増加させる」等の手段によって、コンクリートの強度発現性を向上すると、水和熱が増大する。
また、廃棄物使用量が多くなると特許文献2のMo含有量よりも多い領域となるが、この領域での検討はされてなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、モルタルやコンクリートの適正な強度発現性を維持しつつ、セメント組成物の水和熱を低減することが可能な低水和熱セメント組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、モルタルやコンクリートの強度発現性を維持しつつセメント組成物の水和熱を低減するためには、セメント組成物のMo(モリブデン)含有量とCu(銅)を制御することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、Mo含有量が68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgであることを特徴とする低水和熱セメント組成物である。低水和熱セメント組成物は、ボーグ式算定のCS量が30〜40質量%、CS量が40〜55質量%、CA量が1〜8質量%、CAF量が7〜15質量%であることが好ましい。
また、本発明は、セメント組成物中のMo含有量が68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgとなるように、石灰石、珪石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ、都市ゴミ焼却灰及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整して調合し、これらの原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、得られたセメントクリンカーと石膏とを混合して粉砕する工程(B)とを含むことを特徴とする低水和熱セメント組成物の製造方法である。
本発明によれば、モルタルやコンクリートの適正な強度発現性を維持しつつ、材齢28日の水和熱を330J/g未満に低減した低水和熱セメント組成物及びその製造方法を提供することができる。
セメント組成物におけるMo含有量とセメント組成物の水和熱の関係を示す図である。 セメント組成物におけるMo含有量とセメント組成物のモルタル圧縮強さの関係を示す図である。 セメント組成物におけるCu含有量とセメント組成物の水和熱の関係を示す図である。 セメント組成物におけるCu含有量とセメント組成物のモルタル圧縮強さの関係を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の低水和熱セメント組成物は、Mo含有量が68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgである。
Mo及びCu含有量は、セメント組成物の微量成分である。本発明者らは、セメント組成物のMo含有量とCu含有量とセメント組成物の水和熱に相関があることを見出した。本発明の低水和熱セメント組成物は、Mo含有量とCu含有量を特定の範囲となるように制御することによって、モルタルやコンクリートの適正な強度発現性を維持しつつ水和熱を低減することができる。セメント組成物中のMo、Cu含有量は、セメント組成物1kg(質量)に対する含有量(mg)である、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定することができる。
低水和熱セメント組成物中のMo含有量は、68〜120mg/kgであり、好ましくは68〜110mg/kgであり、より好ましくは68〜100mg/kgであり、さらに好ましくは70〜95mg/kgである。低水和熱セメント組成物中のCu含有量は、330〜440mg/kgであり、好ましくは330〜420mg/kgであり、より好ましくは330〜380mg/kgであり、さらに好ましくは330〜370mg/kgである。低水和熱セメント組成物のMo及び/又はCu含有量が範囲外であると水和熱を低減する効果が小さくなる。
本発明の低水和熱セメント組成物は、好ましくはCS量が30〜40質量%、CS量が40〜55質量%、CA量が1〜8質量%、CAF量が7〜15質量%であり、より好ましくはCS量が30〜40質量%、CS量が40〜50質量%、CA量が2〜7質量%、CAF量が8〜12質量%であり、さらに好ましくはCS量が32〜38質量%、CS量が43〜47質量%、CA量が3〜6質量%、CAF量が8〜11質量%であり、特に好ましくはCS量が34〜37質量%、CS量が43〜45質量%、CA量が3〜5質量%、CAF量が9〜10質量%である。セメント組成物の鉱物組成が上記範囲内であると、セメント組成物の水和熱を低減しつつ、セメント組成物の硬化時における強度を向上することができ、モルタルやコンクリートの強度発現性を維持することができる。
ここで、セメント組成物中のCS量(エーライト相)、CS量(ビーライト相)、CA量(アルミネート相)、CAF量(フェライト相)は、下記のボーグ式[1]〜[4]により算出する。
S量(質量%)=4.07×CaO量(質量%)−7.60×SiO量(質量%)−6.72×Al量(質量%)−1.43×Fe量(質量%)−2.85×SO量(質量%) ・・・[1]
S量(質量%)=2.87×SiO量(質量%)−0.754×CS量(質量%) ・・・[2]
A量(質量%)=2.65×Al(質量%)−1.69×Fe(質量%) ・・・[3]
AF量(質量%)=3.04×Fe(質量%) ・・・[4]
式中の「CaO」、「SiO」、「Al」及び「Fe」は、それぞれ、セメント組成物におけるCaO、SiO、Al及びFeのセメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)である。これらの含有割合は、JIS R 5202:2010「セメントの化学分析方法」あるいはJIS R 5204:2002「セメントの蛍光X線分析方法」により測定することができる。
本発明の低水和熱セメント組成物は、NaO含有量が、好ましくは0.10〜0.30質量%、より好ましくは0.12〜0.28質量%、さらに好ましくは0.15〜0.25質量%、特に好ましくは0.17〜0.20質量%である。
本発明の低水和熱セメント組成物は、KO含有量が、好ましくは0.10〜0.40質量%、より好ましくは0.12〜0.38質量%、さらに好ましくは0.15〜0.35質量%、特に好ましくは0.20〜0.30質量%である。
低水和熱セメント組成物のNaOあるいはKO含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物の流動性を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリートの強度発現性も維持して、セメント組成物の水和熱を一層低減することができる。セメント組成物のNaO含有量、KO含有量は、全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。
また、本発明の低水和熱セメント組成物は、SO含有量が、好ましくは1.8〜2.6質量、より好ましくは1.9〜2.5質量%、さらに好ましくは1.9〜2.4質量%であり、特に好ましくは2.0〜2.4質量%である。低水和熱セメント組成物のSO含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物の流動性を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリートの強度発現性も維持して、セメント組成物の水和熱を一層低減することができる。セメント組成物のSO含有量は、全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。
Zn含有量は、セメント組成物の微量成分である。セメント組成物中のZn含有量は、セメント組成物1kg(質量)に対する含有量(mg)である、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定することができる。
低水和熱セメント組成物中のZn含有量は、好ましくは440mg/kg以上であり、より好ましくは470mg/kg以上であり、さらに好ましくは500mg/kg以上であり、特に好ましくは520mg/kg以上である。また、セメント組成物中のZn含有量は、好ましくは650mg/kg以下であり、より好ましくは610mg/kg以下である。低水和熱セメント組成物中のZn含有量は、好ましく440〜650mg/kgである。低水和熱セメント組成物中のZn含有量が440mg/kg以上であると、材齢28日の水和熱を330J/g以下に低減することができる。また、低水和熱セメント組成物中のZn含有量が440mg/kg以上であると、材齢28日のモルタル圧縮強さを60N/mm以上に維持することができる。
本発明の低水和熱セメント組成物の製造方法は、セメント組成物のMo含有量が68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgとなるように、石灰石、珪石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ、都市ゴミ焼却灰及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整して調合し、これらの原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、得られたセメントクリンカーと石膏とを混合して粉砕する工程(B)を含む。
具体的には、サンプリングしたセメント組成物のMo、Cu含有量に基づいて、セメント組成物の水和熱との相関関係を測定し、セメント組成物のMo含有量が68〜120mg/kg、Cu含有量が330〜440mg/kgとなるように、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整し、この原料を焼成して得られたセメントクリンカーを用いることによって、Mo、Cu含有量が特定の範囲であり、材齢28日の水和熱を330J/g以下に低減することの可能なセメント組成物を製造することができる。なお、「原料原単位」とは、セメントクリンカーを1トン製造するにあたり、使用される各原料の質量(kg/t−クリンカー)をいう。
他のセメントクリンカー原料と比較して、銅からみ、石灰石、都市ゴミ焼却灰は、モリブデン(Mo)、銅(Cu)を多く含む原料である。セメント組成物のMo、Cu含有量を調整する場合には、モリブデン(Mo)、銅(Cu)を多く含む、都市ゴミ焼却灰、銅からみ及び石灰石からなる群より選ばれる原料の原料原単位を増量又は減量して調整し、Mo含有量が68〜120mg/kg、Cu含有量が330〜440mg/kgであるセメントクリンカーを製造し、このセメントクリンカーを用いて、Mo含有量が68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgであるセメント組成物を製造することができる。
(A)工程におけるセメントクリンカーの原料としては、石灰石、珪石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ、都市ゴミ焼却灰及び鉄源等が挙げられる。石炭灰は、石炭火力発電所等から発生するものであり、シンダアッシュ、フライアッシュ、クリンカアッシュ及びボトムアッシュが挙げられる。建設発生土は、建設工事の施工に伴い副次的に発生する残土や泥土、廃土等が挙げられる。下水汚泥としては、汚泥単味のほか、これに石灰石を加えて乾粉化したものや、焼却残渣等が挙げられる。鉄源としては、銅からみ、高炉ダスト等が挙げられる。
(A)工程におけるセメントクリンカー原料としては、石灰石900〜1500kg/t‐クリンカー、珪石20〜250kg/t‐クリンカー、石炭灰0〜200kg/t‐クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t‐クリンカー、建設発生土0〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー、都市ゴミ焼却灰0〜50kg/t−クリンカー、鉄源30〜80kg/t−クリンカーを調合することが好ましい。また、(A)工程におけるセメントクリンカー原料としては、石灰石1000〜1400kg/t‐クリンカー、珪石20〜200kg/t‐クリンカー、石炭灰0〜150kg/t‐クリンカー、粘土0〜80kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜70kg/t‐クリンカー、建設発生土0〜100kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜70kg/t−クリンカー、ハイドロケーキを0〜80kg/t−クリンカー、都市ゴミ焼却灰0〜40kg/t−クリンカー、鉄源40〜70kg/t−クリンカーを調合することがより好ましい。
セメントクリンカーの製造は、SP方式(多段サイクロン予熱方式)又はNSP方式(仮焼炉を併設した多段サイクロン予熱方式)等の既存のセメント製造設備を用いて製造することができる。
なお、工業スケールの製造においては、例えば、まず品質管理用のセメント組成物を製造し、そのMoとCu含有量とセメント組成物の水和熱との相関関係を測定し、セメント組成物のMo含有量が68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgとなるように、セメントクリンカーの原料原単位及び焼成条件を調整し、強度発現性を維持しつつ水和熱の低減が可能なセメント組成物を製造することができる。
次に、NSP方式の既存のセメント製造設備を用いて、本発明の低水和熱セメント組成物に用いるセメントクリンカーの製造方法の一実施態様を説明する。なお、本発明の低水和熱セメント組成物の製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではない。
セメントクリンカーの各原料の混合方法は、特に限定されないが、例えば原料粉砕ミル等で粉砕混合することが好ましい。
粉砕混合されたセメントクリンカー原料は、さらに既存の設備であるサスペンションプレヒータ及びロータリーキルンを用いて焼成することができる。セメントクリンカーの焼成温度、焼成時間等の焼成条件を調整することによっても、Mo含有量を68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgに調整したセメント組成物を製造するためのセメントクリンカーを得ることができる。
セメントクリンカーの焼成温度は、特に限定されないが、NSP方式のセメント製造設備を用いた場合には、ロータリーキルンの出口付近におけるセメントクリンカーの温度が、好ましくは800〜1700℃、より好ましくは900〜1600℃、さらに好ましくは1000〜1500℃である。焼成時間は、20分間〜2時間、より好ましくは30分間〜2時間、さらに好ましくは45分〜1.5時間である。
焼成後、得られたセメントクリンカーは、ロータリーキルンの下流側に設けられたクリンカークーラーによって、例えば100〜200℃程度まで冷却されることが好ましい。冷却速度は、好ましくは10〜60℃/分であり、より好ましくは15〜45℃/分であり、さらに好ましくは15〜30℃/分である。冷却速度が10〜60℃/分の範囲であると、優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となる低水和熱セメント組成物を得ることができる。
本発明の(B)工程において、低水和熱セメント組成物は、セメントクリンカーと石膏を混合して粉砕することによって製造することができる。石膏は、JIS R 9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質を満足することが望ましく、具体的には、二水石膏、半水石膏、不溶性無水石膏が好適に用いられる。
本発明の(B)工程において、セメントクリンカーに対して、セメント組成物中のSO量が好ましくは1.8〜2.6質量%、より好ましくは1.9〜2.5質量%、さらに好ましくは2.0〜2.4質量%、特に好ましくは2.1〜2.3質量%となるように石膏を配合して粉砕することが好ましい。粉砕方法としては、特に制限されないが、ボールミル等の粉砕機、セパレータ等の分級機を用いる方法が挙げられる。
本発明の低水和熱セメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは3000〜4300cm/gであり、より好ましくは3200〜4200cm/gであり、さらに好ましくは3400〜4100cm/gであり、特に好ましくは3500〜4100cm/gである。ブレーン比表面積が上記範囲内であると、水和熱を低減しつつ、優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜5)
[セメントクリンカーの原料]
セメントクリンカーの原料としては、石灰石、珪石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ、都市ゴミ焼却灰及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト)を使用した。使用した原料の原単位は、石灰石900〜1500kg/t‐クリンカー、珪石20〜250kg/t‐クリンカー、石炭灰0〜200kg/t‐クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t‐クリンカー、建設発生土0〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー、都市ゴミ焼却灰0〜50kg/t−クリンカー、鉄源30〜80kg/t−クリンカーで調合した。
また、セメント組成物のSO量を調整するために、二水石膏を使用した。表1に石灰石、珪石、石炭灰、銅からみの化学成分の参考値を示す。表1中、ig.loss(強熱減量(ignition loss))、SiO、Al、Fe、CaO、MgO及びSOは、質量%で表し、Mo、Cu、Znは、セメント組成物1kgに対する含有量(mg/kg)で表した。表1中「<」の記号は未満を表す。例えば、石灰石は、Mo含有量が2.5mg/kg未満である。
石灰石、珪石、石炭灰、銅からみ以外の他の原料のMo含有量、Cu含有量、Zn含有量を以下に示す。Mo含有量、Cu含有量、Zn含有量は、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。
・粘土(Mo含有量:<2.5mg/kg、Cu含有量:51.9mg/kg、Zn含有量:136mg/kg)
・建設発生土(Mo含有量:<2.5mg/kg、Cu含有量:350mg/kg、Zn含有量:410mg/kg)
・下水汚泥(Mo含有量:6.3mg/kg、Cu含有量:310mg/kg、Zn含有量:676mg/kg)
・ハイドロケーキ(Mo含有量:<2.5mg/kg、Cu含有量:7.3mg/kg、Zn含有量:43.5mg/kg)
・高炉スラグ(Mo含有量:<2.5mg/kg、Cu含有量:3.9mg/kg、Zn含有量:21.6mg/kg)
・高炉ダスト(Mo含有量:10.3mg/kg、Cu含有量:146mg/kg、Zn含有量:6825mg/kg)
・都市ゴミ焼却灰(Mo含有量:9.6mg/kg、Cu含有量:3917mg/kg、Zn含有量:5691mg/kg)
実施例において使用したセメントクリンカーの原料の原料原単位は、石灰石1000〜1200kg/t−クリンカー、建設発生土20〜100kg/t−クリンカー、珪石20〜150kg/t−クリンカー、石炭灰0〜200kg/t−クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー、都市ゴミ焼却灰0〜50kg/t−クリンカー、及び鉄源30〜80kg/t−クリンカーであった。
[セメントクリンカーの製造]
セメントクリンカー原料を調合し、調合した原料をNSPキルンで最高温度1200〜1500℃で焼成し、セメントクリンカーを製造した。NSPキルン出口付近におけるセメントクリンカーの温度は1000〜1500℃であった。焼成時間は、45分〜1.5時間であった。得られたセメントクリンカーを、ロータリーキルンの下流側に設けられたクリンカークーラーで、1000〜1500℃から100〜200℃まで、10〜60℃/分の冷却速度で冷却した。
得られたセメントクリンカーに二水石膏をセメント組成物中のSO含有量が2質量%となるように配合し、実機ミルでブレーン比表面積が3900〜4100cm/gになるように粉砕し、セメント組成物を得た。
[セメント組成物の化学成分]
得られたセメント組成物中のSiO、Al、Fe、CaO、SO、NaO及びKOについて、全体質量に対する含有割合(質量%)を測定した。これらの含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定した。また、セメント組成物中のMo、Cu、Zn含有量を、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。結果を表3に示す。
[セメント組成物の鉱物組成及び物性]
<セメント組成物の鉱物組成>
得られたセメント組成物の鉱物組成(CS量、CS量、CA量及びCAF量)を、ボーグ式[1]〜[4]に基づいて測定した。結果を表4に示す。
<セメント組成物の粉末度>
セメントの粉末度(ブレーン比表面積)について、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。結果を表4に示す。
<モルタル圧縮強さ>
モルタル圧縮強さは、得られたセメント組成物を用いて、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて、材齢28日において測定した。結果を表4に示す。
<セメント組成物の水和熱>
セメント組成物の材齢28日の水和熱を、JIS R 5203:1995「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に準じて測定した。結果を表4に示す。
また、図1は、セメント組成物のMo含有量と水和熱との関係を示し、図2は、セメント組成物のMo含有量と圧縮強さとの関係を示す。また、図3は、Cu含有量と水和熱との関係を示し、図4は、セメント組成物のCu含有量と圧縮強さとの関係を示す。図1及び2において、カッコの中に記載された数値は、各実施例及び比較例におけるCu含有量の数値を示す。
表3、4及び図1〜4に示す結果から、実施例、比較例ともにJIS R 5210に規定されている中庸熱ポルトランドセメントの水和熱の規定(材齢28日は330J/g以下)を満足している。さらに実施例においては、セメント組成物のMo含有量を68〜120mg/kg、且つCu含有量を330〜440mg/kgに制御することによって、水和熱をより低減でき、材齢28日で325J/g以下の水和熱である。また、表3、4及び図2、4に示す結果から、セメント組成物のMo含有量及びCu含有量の影響によるセメント組成物のモルタル圧縮強さの低下はなく、材齢28日のモルタル圧縮強さを60N/mm以上に維持し、セメント組成物のMo含有量とCu含有量を制御することで、モルタル圧縮強さを維持しながら水和熱を低減できる。図1に示すように、特に実施例1〜4のMo含有量が68.7〜91.4mg/kgのセメント組成物において、Mo含有量と水和熱とは相関関係があることが確認できた。また、図3に示すように、実施例1〜4のCu含有量が332〜370mg/kg、且つMo含有量が68.7〜91.4mg/kgのセメント組成物において、Cu含有量と水和熱とも相関関係があることが確認できた。
以上に示す結果から、セメント組成物のMo含有量を68〜120mg/kg、且つCu含有量を330〜440mg/kgとすることによって、モルタルやコンクリートの適正な強度発現性を維持しつつ、さらに材齢28日の水和熱を330J/g未満まで低減した低水和熱セメント組成物及びその製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. Mo含有量が68〜120mg/kgCu含有量が330〜440mg/kg、Zn含有量が527〜650mg/kg、且つ、ボーグ式算定のC S量が30〜40質量%、C S量が40〜55質量%、C A量が1〜8質量%、C AF量が7〜15質量%である低水和熱セメント組成物。
  2. ブレーン比表面積が3000〜4300cm /gである請求項1記載の低水和熱セメント組成物。
  3. SO 含有量が1.8〜2.6質量%である請求項1〜2のいずれか1項記載の低水和熱セメント組成物。
  4. Na O含有量が0.10〜0.30質量%、且つK O含有量が0.10〜0.40質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の低水和熱セメント組成物。
  5. セメント組成物中のMo含有量が68〜120mg/kg、且つCu含有量が330〜440mg/kgとなるように、石灰石、珪石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ、都市ゴミ焼却灰及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整して調合し、これらの原料を焼成してセメントクリンカーを製造する工程(A)と、
    得られたセメントクリンカーと石膏とを混合して粉砕する工程(B)と
    を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の低水和熱セメント組成物の製造方法。
  6. 前記(A)工程におけるセメントクリンカー原料として、石灰石900〜1500kg/t‐クリンカー、珪石20〜250kg/t‐クリンカー、石炭灰0〜200kg/t‐クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t‐クリンカー、建設発生土0〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー、都市ゴミ焼却灰0〜50kg/t−クリンカー、鉄源30〜80kg/t−クリンカーを調合する、請求項5記載の製造方法。
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