JP6530629B2 - セメントクリンカーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、セメントクリンカーの製造方法に関する。
従来より、セメントクリンカー原料中のフッ素(F)および三酸化硫黄(SO)の含有量を所定の範囲に調整して、セメントクリンカーを製造する方法が知られている(特許文献1)。
特許文献1によれば、上記方法では、フッ素(F)の含有量が400〜2000mg/kg、三酸化硫黄(SO)の含有量が0.5〜2.5質量%になるようにセメントクリンカー原料の組成を調整した後、ロータリーキルンを用いて該原料を焼成し、冷却してセメントクリンカーを製造する。この方法で製造されたセメントクリンカーを原料とするモルタルは、圧縮強さが高いという優れた性質を有する。
特開2009−161412号公報
しかしながら、上記方法では、圧縮強さの低いモルタルが得られる場合があり、所定値以上の圧縮強さを有するモルタルを安定して形成することは困難であった。
上記事情に鑑み、本発明は、モルタルの原料としたときに、所定値以上の圧縮強さを有するモルタルを安定して形成することができるセメントクリンカーの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、セメントクリンカー中のフッ素と三酸化硫黄との含有比率と、モルタルの圧縮強さとの間に、良好な相関関係があることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るセメントクリンカーの製造方法は、
フッ素および三酸化硫黄を含有するセメントクリンカー原料組成物を焼成してセメントクリンカーを製造する方法であって、
前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率が0.4未満となるように、前記フッ素と前記三酸化硫黄とを配合して前記セメントクリンカー原料組成物を調製し、
調製された前記セメントクリンカー原料組成物を焼成する。
かかる構成によれば、モルタルの圧縮強さが所定値以上になるように、適切な比率でフッ素および三酸化硫黄をセメントクリンカー原料に配合することができる。
したがって、所定値以上の圧縮強さを有するモルタルを安定して形成できる。
また、本発明に係るセメントクリンカーの製造方法は、
フッ素および三酸化硫黄を含有するセメントクリンカー原料組成物を焼成してセメントクリンカーを製造する方法であって、
前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率と、前記セメントクリンカーを用いて形成されたモルタルの圧縮強さとの相関関係に基づいて、モルタルの圧縮強さが所定値以上になるように、前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率を決定し、
決定された含有比率で前記フッ素と前記三酸化硫黄とを配合して前記セメントクリンカー原料組成物を調製し、
調製された前記セメントクリンカー原料組成物を焼成する。
かかる構成によれば、セメントクリンカー中のフッ素と三酸化硫黄との含有比率と、セメントクリンカーを用いて形成されたモルタルの圧縮強さとの相関関係に基づいて、モルタルの圧縮強さが所定値以上になるように、適切な比率でフッ素および三酸化硫黄をセメントクリンカー原料に配合することができる。
したがって、所定値以上の圧縮強さを有するモルタルを安定して形成できる。
以上のように、本発明によれば、モルタルの原料としたときに、所定値以上の圧縮強さを有するモルタルを安定して形成することができるセメントクリンカーの製造方法が提供される。
フッ素の含有量が0.01〜0.02質量%の場合の、フッ素と三酸化硫黄との含有比率とモルタルの圧縮強さとの関係を示すグラフである。 フッ素の含有量が0.11質量%の場合の、フッ素と三酸化硫黄との含有比率とモルタルの圧縮強さとの関係を示すグラフである。 フッ素の含有量が0.20〜0.22質量%の場合の、フッ素と三酸化硫黄との含有比率とモルタルの圧縮強さとの関係を示すグラフである。 フッ素の含有量が0.30〜0.32質量%の場合の、フッ素と三酸化硫黄との含有比率とモルタルの圧縮強さとの関係を示すグラフである。 フッ素の含有量が0.42質量%の場合の、フッ素と三酸化硫黄との含有比率とモルタルの圧縮強さとの関係を示すグラフである。 フッ素の含有量が異なる複数の場合について、フッ素と三酸化硫黄との含有比率とモルタルの圧縮強さとの関係を示すグラフである。 フッ素の含有量が異なる複数の場合について、フッ素と三酸化硫黄との含有比率とセメントクリンカーの焼成温度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係るセメントクリンカーの製造方法について説明する。なお、本明細書では、所定値とは、求める圧縮強さに応じて、任意に定められる値を意味する。また、セメントクリンカー原料組成物とは、焼成前の組成物を意味し、セメントクリンカー原料とは、フッ素と三酸化硫黄とを配合する前の原料を意味する。
本発明の実施形態に係るセメントクリンカーの製造方法は、フッ素および三酸化硫黄を含有するセメントクリンカー原料組成物を焼成してセメントクリンカーを製造する方法であって、前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率が0.4未満となるように、前記フッ素と前記三酸化硫黄とを配合して前記セメントクリンカー原料組成物を調製し、調製された前記セメントクリンカー原料組成物を焼成する。
なお、以下では、フッ素(F)と三酸化硫黄(SO)との含有比率をF/SOと略記する。
本発明で使用するセメントクリンカー原料組成物は、各種のセメントクリンカー原料と、フッ素と、三酸化硫黄とを含むものである。
各種のセメントクリンカー原料として、一般のポルトランドセメントクリンカーの原料を用いることができる。一般のポルトランドセメントクリンカーの原料として、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料;珪石、粘土等のSiO原料;粘土等のAl原料;鉄滓、鉄ケース等のFe原料を含む原料が挙げられる。また、一般のポルトランドセメントクリンカーの原料に各種廃棄物を加えてもよい。各種廃棄物として、各種汚泥(下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等)、各種焼却灰(石炭灰、焼却飛灰、溶融飛灰等)、下水汚泥乾粉、都市ごみ、生コンスラッジ、建設廃材、コンクリート廃材、ボーリング廃土、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉二次灰、貝殻等の廃棄物や、建設現場や工事現場等から発生する土壌等が挙げられる。
これらのセメントクリンカー原料は、セメントクリンカーの、CaOが60〜67質量%、SiOが17〜25質量%、Alが3〜8質量%、Feが0.5〜6.0質量%となるように配合される。
セメントクリンカー中のフッ素および三酸化硫黄の含有量は、フッ素原料として、蛍石のほか、フッ素汚泥等を用いて、三酸化硫黄原料として、石膏、ペトコークス、廃硫酸、硫黄(石油回収硫黄等)等を用いて調整される。
本実施形態において、F/SOは、セメントクリンカー中のフッ素および三酸化硫黄の含有量を定量し、フッ素の含有量の値を三酸化硫黄の含有量の値で除して求める。モルタルの圧縮強さは、モルタルを所定時間硬化させた後の圧縮強さを測定して求める。フッ素の含有量はJCAS I−51により、三酸化硫黄の含有量はJIS R 9101により定量する。モルタルの圧縮強さは、JIS R 5201(1997)に従って測定する。
F/SOを0.4未満となるように、フッ素と三酸化硫黄とを配合してセメントクリンカー原料組成物を調製することにより、該セメントクリンカー原料組成物から得られたセメントクリンカーを原料として形成されたモルタルは、所定値以上の圧縮強さを有するようになる。
また、セメントクリンカーの製造方法は、フッ素および三酸化硫黄を含有するセメントクリンカー原料組成物を焼成してセメントクリンカーを製造する方法であって、前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率と、前記セメントクリンカーを用いて形成されたモルタルの圧縮強さとの相関関係に基づいて、モルタルの圧縮強さが所定値以上になるように、前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率を決定し、決定された含有比率で前記フッ素と前記三酸化硫黄とを配合して前記セメントクリンカー原料組成物を調製し、調製された前記セメントクリンカー原料組成物を焼成する。
この場合は、具体的には、まず、F/SOと、セメントクリンカーを用いて形成されたモルタルの圧縮強さ(N/mm)との相関関係を求める。該相関関係は、F/SOが異なる複数のセメントクリンカー原料組成物を用いてセメントクリンカーを形成し、これらのセメントクリンカーに対応する各モルタルの圧縮強さを測定し、F/SOに対して各モルタルの圧縮強さの値をプロットして求める。上記の相関関係を求めた後、モルタルの圧縮強さの目標値を定め、上記相関関係に基づいて、F/SOを決定する。
次に、セメントクリンカーのF/SOを、上記相関関係に基づいて決定した値に調整する。具体的には、セメントクリンカー原料組成物のフッ素および三酸化硫黄の含有量を定量し、上記相関関係に基づいて決定したセメントクリンカーのF/SOになるように、相当する量のフッ素原料または三酸化硫黄原料をセメントクリンカー原料に加える。
次に、上記相関関係に基づいて決定したF/SOとなるように配合されたセメントクリンカー原料組成物を焼成する。該セメントクリンカー原料組成物を焼成する温度は、遊離石灰が0.8質量%(f.CaO=0.8質量%)となる温度(例えば、1300〜1450℃の範囲の温度)を選ぶ。この焼成温度は、F/SOと、f.CaO=0.8質量%となる焼成温度との相関関係から求めてもよい。該相関関係は、F/SOが異なる複数のセメントクリンカー原料組成物を焼成し、これら複数のセメントクリンカー原料組成物についてf.CaO=0.8質量%となる焼成温度を測定し、F/SOに対して、該焼成温度をプロットして求めてもよい。この焼成は、ロータリーキルンを用いて行う。
ところで、モルタルの圧縮強さは、セメントクリンカー中のフッ素の含有量に応じて、F/SOに対する変動の程度が異なる場合がある。そのため、上記F/SOと圧縮強さとの相関関係は、セメントクリンカー中のフッ素の含有量に応じて求めてもよい。具体的には、フッ素の含有量が略同一のセメントクリンカー原料組成物(誤差が10%以内のもの)ごとに、三酸化硫黄の含有量を変動させてF/SOが異なる複数のセメントクリンカー原料組成物を作製し、これらのセメントクリンカー原料組成物から作製されたセメントクリンカーを用いて形成された各モルタルの圧縮強さを測定し、フッ素の含有量ごとにF/SOに対して各モルタルの圧縮強さの値をプロットして求めてもよい。このようにすれば、上記のような場合であっても、目標とするモルタルの圧縮強さを得るのに必要なF/SOを適切に求めることができ、所定値以上の圧縮強さを有するモルタルを安定して形成できる。
また、セメントクリンカー中のフッ素の含有量は、0.1質量%〜0.4質量%であるのが好ましい。フッ素の含有量が上記範囲内にある場合、F/SOとモルタルの圧縮強さとの間に、良好な線形関係が認められる。また、さらに好ましいセメントクリンカー中のフッ素の含有量は、0.1質量%〜0.2質量%である。フッ素の含有量が0.2質量%を超えると、環境庁告示第46号に準拠した溶出試験により、土壌環境基準で設定された基準値を上回る量のフッ素が28日材齢のモルタルから溶出するからである。一方、フッ素の含有量が多い方が同じF/SOでもモルタルの圧縮強さが大きくなる傾向にある。そのため、セメントクリンカー中のフッ素の含有量は、例えば、0.2質量%以上であると好ましい。フッ素の含有量は、0.2質量%を超えていてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]
(1)セメントクリンカーの製造
石灰石、石炭灰、珪石および高炉二次灰を含むセメントクリンカー原料に、フッ素および三酸化硫黄を配合したセメントクリンカー原料組成物を焼成して、表1に示す組成のセメントクリンカーを製造した。焼成はロータリーキルンを用いて、f.CaO=0.8質量%となる温度で行った。焼成後のサンプル中のフッ素および三酸化硫黄の含有量は、フッ素源として蛍石を、三酸化硫黄源として二水石膏を用いて、所望の値に調整した。また、他の調製物として、マグネシウム源であるMgCO、ナトリウム源であるNaCO、リン酸源であるCa(POをセメントクリンカー原料に加えた。なお、表1中のC3Sはエーライト(珪酸三カルシウム)であり、C2Sはビーライト(珪酸二カルシウム)であり、C3Aはアルミネート(アルミン酸三カルシウム)であり、C4AFはフェライト(鉄アルミン酸四カルシウム)であり、それぞれセメントクリンカー中のCaO、SiO、Al、FeからBogue式によって求めた。また、表1のF/SOは、フッ素の含有量を三酸化硫黄の含有量で除して求めたものである。
Figure 0006530629
なお、本実施例に係るセメントクリンカー原料組成物を調製するのに用いた各原料の組成は、以下の表2の通りであった。
石灰石に関してはJIS M 8850に準拠して分析した。
そして、JIS M 8850において分析法が複数記載された成分については、以下の分析法で分析した。すなわち、SiOは7.1(1)モリブデン青吸光光度法により、Feは8.1(2)原子吸光法により、Alは9.1(1)水酸化物分離EDTA−亜鉛逆滴定法により、MgOは11.1(2)原子吸光法により、Pは12.1(1)モリブデン青吸光光度法により、それぞれ分析した。
また、JIS M 8850において分析法の記載がない成分については、JIS R 5202に準拠して分析した。
二水石膏に関してはJIS R 9101に準拠して分析した。
そして、JIS R 9101において分析法が複数記載された成分については、以下の分析法で分析した。すなわち、Feは10.1(3)原子吸光分析法により、CaOは11.1(1)EDTA滴定法により、MgOは12.1(1)原子吸光分析法により、Pは18.1.(1)モリブデン青吸光光度法により、それぞれ分析した。
また、JIS R 9101において分析法の記載がない成分については、JIS R 5202に準拠して分析した。
それ以外の原料に関してはJIS M 8853に準拠して分析した。
そして、JIS M 8853において分析法が複数記載された成分については、以下の分析法で分析した。すなわち、SiOは8.1b)脱水重量分析・吸光光度分析併用法により、Feは10.1b)ICP発光分光分析法により、TiOは11.1b)ICP発光分光分析法により、CaOは14.1a)原子吸光分析法により、MgOは15.1a)原子吸光分析法により、NaOは16.1a)原子吸光分析法により、KOは17.1a)原子吸光分析法により、それぞれ分析した。
また、JIS M 8853において分析法の記載がない成分については、JIS R 5202に準拠して分析した。
また、各原料のFについてはJCAS I−52に準拠して分析を行った。
Figure 0006530629
(2)セメントクリンカーの粉砕
上記で得られたセメントクリンカーを所定量の二水石膏と混合し、粉砕助剤としてジエチレングリコールを所定量添加し、ボールミルを用いてブレーン比表面積が3300cm2/gとなるように粉砕して、セメントクリンカー粉砕物を得た。
(3)セメントクリンカー以外の材料
セメントクリンカー以外の材料として、以下のものを使用した。
・セメント強さ試験用標準砂
(4)モルタルの形成
JIS R 5201に従って各セメントクリンカー粉砕物450gとセメント強さ試験用標準砂1350gと水225gとを混練し、40×40×160の型枠に打設し、打設後1日経過後に脱型して20℃の恒温水槽によって、所定の材齢になるまで水中養生して、モルタルを形成した。
(5)モルタルの評価
得られた各モルタルについて、圧縮強さ、凝結およびモルタルフローを測定した。各項目の測定方法は以下の通りである。
<測定方法>
(i)圧縮強さ
JIS R 5201(1997)に従って、打設後3日、7日および28日経過後のモルタルの圧縮強さを測定した。
(ii)凝結
JIS R 5201(1997)に従って、始発・終発を測定した。
(iii)モルタルフロー
JIS R 5201(1997)に従って測定した。

上記各項目の測定結果を表3に示した。
Figure 0006530629
表3より、各サンプルとも品質に問題のないモルタルが形成されていることが確認された。
(6)F/SOとモルタルの圧縮強さとの相関関係
表1に示す各サンプルについて、F/SOに対して28日経過後のモルタルの圧縮強さをプロットして、F/SOとモルタルの圧縮強さとの相関関係を求めた。求めた相関関係を図1〜6に示した。図1〜5は、フッ素の含有量に応じて、F/SOとモルタルの圧縮強さとの相関関係を示したものであり、図6は、各フッ素の含有量に応じたF/SOとモルタルの圧縮強さとの相関関係を比較したものである。
図1は、フッ素の含有量が極めて少ない範囲での結果を示したものである。そのため、SOの含有量を変動させても、F/SOを大きく変動させることが困難であった。したがって、この範囲においては、F/SOとモルタルの圧縮強さとの間に良好な線形関係は認められなかった。しかしながら、フッ素の含有量が0.1質量%以上、つまり、図2〜図5に示したような場合、F/SOとモルタルの圧縮強さとの間には良好な線形関係が認められ、F/SOが高いほど、モルタルの圧縮強さが低下することが分かった。この線形関係を利用すると、モルタルを所望の強さにするのに必要なF/SOを容易に決定でき、セメントクリンカー原料にフッ素および三酸化硫黄を適切な量だけ配合できる。また、上記とは逆に、セメントクリンカーのF/SOから、どの程度の圧縮強さを有するモルタルを形成できるかを容易に推定することもできる。
次に、フッ素の含有量に応じて、セメントクリンカーのF/SOとモルタルの圧縮強さとの相関関係を比較した例を説明する。図6は、フッ素の含有量が0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、および0.4質量%の各場合について、F/SOとモルタルの圧縮強さとの関係を示したものである。図の横軸はF/SOを示し、縦軸はモルタルの圧縮強さを示している。図中の□はフッ素の含有量が0.1質量%の場合を、◇はフッ素の含有量が0.2質量%の場合を、△はフッ素の含有量が0.3質量%の場合を、×はフッ素の含有量が0.4質量%の場合をそれぞれ示している。図6より、いずれの場合においても、F/SOが増加する、つまり、三酸化硫黄の含有量が少なくなると、モルタルの圧縮強さが低下することが分かった。また、フッ素の含有量に応じて、F/SOとモルタルの圧縮強さとの線形関係が異なる、つまり、F/SOに対するモルタルの圧縮強さの変動の程度が異なることが分かった。この結果から、予めフッ素の含有量を決めておけば、所定値以上の強さを有するモルタルを得るのに必要なF/SO、つまり、三酸化硫黄の含有量を容易に求めることができる。
また、F/SOを0.4未満とすることにより、圧縮強さの高いモルタルが得られることが分かった。
[実施例2]
本実施例では、フッ素の含有量に応じて、セメントクリンカーのF/SOと、f.CaO=0.8質量%となるまでセメントクリンカー原料組成物を焼成したときの焼成温度との相関関係を求めた例を説明する。図7は、フッ素の含有量が0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、および0.4質量%の各場合について、F/SOと、f.CaO=0.8質量%となるまでセメントクリンカー原料組成物を焼成したときの焼成温度との関係を示したものである。図の横軸はF/SOを示し、縦軸は焼成温度を示している。図中の符号は、図6と同じものを示している。図7より、いずれの場合においても、F/SOと焼成温度との間に線形関係があることが分かった。また、フッ素含有量が0.1質量%の場合を除いて、F/SOが増加する、つまり、三酸化硫黄の含有量が少なくなると、セメントクリンカー原料組成物を焼成する温度は上昇することが分かった。また、フッ素の含有量に応じて、F/SOと焼成温度との線形関係が異なる、つまり、F/SOに対する焼成温度の変動の程度が異なることが分かった。このような相関関係を求めておけば、予めセメントクリンカー中のフッ素の含有量が決まっている場合に、図6に示した相関関係に基づいて、所望の強さを有するモルタルを得るのに必要なF/SOを求めた上で、求めたF/SOの値から、その強さを得るのに最適なセメントクリンカーの焼成温度を容易に求めることができる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態および変形が可能とされたものである。また、上述の実施形態および実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。

Claims (3)

  1. フッ素および三酸化硫黄を含有するセメントクリンカー原料組成物を焼成してセメントクリンカーを製造する方法であって、
    前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率と、前記セメントクリンカーを用いて形成されたモルタルの圧縮強さとの相関関係に基づいて、モルタルの圧縮強さが所定値以上になるように、前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率を決定し、
    決定された含有比率で前記フッ素と前記三酸化硫黄とを配合して前記セメントクリンカー原料組成物を調製し、
    調製された前記セメントクリンカー原料組成物を焼成する、
    セメントクリンカーの製造方法。
  2. 前記セメントクリンカー原料組成物の前記フッ素の含有量に応じて求められた、前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率と、前記モルタルの圧縮強さとの相関関係に基づいて、前記フッ素と前記三酸化硫黄との含有比率を決定する、
    請求項に記載のセメントクリンカーの製造方法。
  3. 前記セメントクリンカー原料組成物の前記フッ素の含有量は、0.1質量%〜0.4質量%である、
    請求項1または2に記載のセメントクリンカーの製造方法。
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