JP2008174414A - 高強度コンクリート用セメント組成物および高強度コンクリート組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い流動性を有し、材齢7日の圧縮強度を損なうことなく、材齢28日以降の圧縮強度を向上させる高強度コンクリート用セメント組成物および高強度コンクリート組成物を提供する。
【解決手段】 ボーグ式算定のCS量が30〜60質量%である高ビーライト型のセメント組成物であって、遊離石灰の合量を0.70質量%以下とし、さらに塩化物イオン量を0.013質量%以下、ビーライトα’相量を3.0質量%以上、水溶性アルカリ量を0.30質量%以下、とした高強度コンクリート用セメント組成物である。またこれを含み、石灰石を含む粗骨材および細骨材、高性能AE減水剤および水を含む高強度コンクリート組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高強度コンクリート用セメント組成物および高強度コンクリート組成物に関する。
近年、コンクリート構造物の高層化が進む中、建築物の耐久性向上を目的に、使用材料として高強度コンクリートの需要が高まっている。コンクリートの高強度化には、水セメント比(水/セメント質量比)を低減する必要があるが、ポリカルボン酸系分散剤を含む高性能AE減水剤の使用により低水セメント比が可能となってきた。その一方で、コンクリートの高強度化、すなわち低水セメント比化に伴い、使用セメントのキャラクターの違いがコンクリートの強度発現性に顕著に影響を及ぼし、高強度コンクリートを安定的に製造することが困難であるという問題が生じてきた。しかしながら、いずれのセメントキャラクターを制御すれば高強度コンクリートに適するセメント組成物が得られるのかは、技術的に明確ではなかった。
上記の問題に対して、特許文献1では、エーライト(3CaO・SiO、以下、「CS」という)量を40〜50質量%、ビーライト(2CaO・SiO、以下、「CS」という)量が25〜40質量%であり、全アルカリ量が0.50質量%以下であるポルトランドセメントを特徴とする高強度コンクリート組成物が提案されている。しかしながら、この発明においては、CS量が40〜50質量%と多いため、水和発熱が高く、容積の大きい構造体においては温度ひび割れの発生が懸念される。また、このコンクリート組成物においても、必ずしも高強度を得ることができないことがわかってきた。
特開2006−111493号公報
本発明の目的は、ボーグ式算定のCS量が30〜60質量%である高ビーライト型のポルトランドセメントを使用した高強度コンクリートにおいて、高い強度発現性を有するポルトランドセメント組成物および高強度コンクリート組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、水セメント比を低くした高強度コンクリートにおいて、ボーグ式算定のCS量が30〜60質量%である高ビーライト型のポルトランドセメントにおいて、セメント中の遊離石灰含有量を0.70質量%以下の範囲に調整することによって材齢7日強度を損なうことなく、材齢28日から91日にわたる強度発現性が著しく向上することを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ボーグ式算定のCS量を20〜45質量%に低減し、ボーグ式算定のCS量が30〜60質量%とした高ビーライト型のポルトランドセメントを使用し、水+高性能AE減水剤とセメント組成物との質量比:水セメント比が40質量%以下である高強度コンクリート組成物において、初期材齢から長期材齢まで、高い強度発現性を有することが可能である。
以下、本発明に係るセメント組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のセメント組成物は高ビーライト型のポルトランドセメント組成物であり、ボーグ式算定のCS量は30〜60質量%、好ましくは34〜50質量%、より好ましくは34〜45質量%である。またボーグ式算定のCS量は20〜45質量%である。
加えて、上記の本発明の高ビーライト型のポルトランドセメント組成物において、低水セメント比の高強度コンクリートで強度発現性を最大限に発揮させるには、遊離石灰の含有量を0.70質量%以下に調整することが必要であり、0.65質量%以下にすることがより好ましい。遊離石灰の含有量がこの範囲にあると、遊離石灰によって助長された過度なCSの水和反応により長期的な水和組織が粗になり材齢28日以降の圧縮強度が著しく低下するという問題を回避できる。なお、遊離石灰は、ポルトランドセメント中では大部分が水酸化カルシウムとして存在する方が好ましい。
さらに、本発明の高ビーライト型のポルトランドセメント組成物においては、塩化物イオン量が0.013質量%以下であることが好ましく、0.010質量%以下であることがより好ましい。塩化物イオン量が、0.013質量%以下、特に0.010質量%以下であると、遊離石灰の場合と同様に、過度なCSの水和反応を引き起こし、水和組織の面で長期的な強度が出にくくなるという問題を回避できるので、コンクリートの圧縮強度をより向上させることができる。
上記のようなCS量を出来るだけ低減した、すなわち20〜45質量%に低減した鉱物組成において、材齢7日の強度を維持するためには、本発明の高ビーライト型のポルトランドセメント組成物において、X線回折によって定量されたビーライトα’相の量は3質量%以上であることが好ましい。ビーライトα’相の存在は、ビーライトの水和活性を向上し、一般に強度発現が遅いとされるビーライトを多く含むセメントの初期強度を増大させる効果を有する。
さらに、高強度コンクリート用のセメント組成物において、高強度とともに高流動性を向上させるには、水溶性アルカリ量は0.30質量%以下であることが好ましい。
本発明のセメント組成物の粉末度は、ブレーン比表面積で3000〜4200cm/gの範囲にあることが好ましい。粉末度がこの範囲にあると、良好な流動性および良好なコンクリート表面の仕上がりを得ることができる。
また、本発明の高強度コンクリート組成物としては、上記のセメント組成物に加え、粗骨材、細骨材、高性能AE減水剤および水を含むものが好適であり、特に水+高性能AE減水剤とセメント組成物との質量比が40質量%以下の範囲で、コンクリートの流動性および強度をより顕著に向上させることができる。
さらに、粗骨材あるいは細骨材には石灰石を含むものを使用することが好ましい。石灰石骨材を使用すると,コンクリートの初期強度、特に材齢7日までの強度を高めることができるので、高ビーライト型コンクリートの初期強度を確保できる。
なお、上記に記した成分以外の成分としては、CA、CAF、石膏等のほか、フライアッシュや高炉水砕スラグ等の潜在水硬性を有するもの、あるいはひび割れ低減を目的として膨張剤等のコンクリート混合材が含まれても良い。
本発明の高い強度発現性を有するセメント組成物は、以下のようにして製造することができる。まず、水硬性鉱物中のボーグ式算定のC2S量が30〜60質量%の範囲、好ましくは34〜50質量%、より好ましくは34〜45質量%の範囲にある高ビーライト系セメントクリンカーは、石灰石、粘土源原料(粘土、石炭灰、建設発生土、下水汚泥等)、鉄源原料(鉄精鉱、銅からみ等)および珪石の使用比率を制御し、ボーグ式算定の鉱物組成を調整することにより製造することができる。また、遊離石灰含有量を0.70質量%以下にするには、クリンカー焼成時の焼点温度を高くする、焼出量を低減する、あるいはキルン回転数を低減して焼成時間を長くするなどの対策により、クリンカー原料に熱が十分伝わるようにする。また、塩化物イオン量を0.013質量%以下、好ましくは0.010質量%以下にするには、廃プラスチックやRDFといった高塩素含有廃棄物の使用量を低減し、クリンカー原料に対する塩化物イオンの持込量を0.006質量%以下とするか、塩素バイパス装置を備えたクリンカー焼成設備においては塩素バイパスよりKClとして塩化物イオンを抽気し、クリンカー中の塩化物イオン量を低減する。さらには、ビーライトα’相を3質量%以上にするには、全アルカリ量を増加し、具体的には全アルカリ量を0.30〜0.60質量%に調整し、ビーライトに固溶するアルカリ量を増加する。
以下、実施例により本発明の構成および効果を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)セメントの試製
コンクリート性能評価を行うため、表1のポルトランドセメントを試製した。
試製したセメントは、CS量が35.1〜43.0質量%、CS量が34.9〜48.0質量%であり、全アルカリ(RO)量が0.32〜0.57質量%、SO量が1.64〜2.78質量%、塩化物イオン量が0.003〜0.017%、ブレーン比表面積が3130〜4010cm2/gの範囲で大きく変化したものを試製した。
SおよびCS量は、クリンカー製造工程で石灰石、粘土源原料(粘土、石炭灰、建設発生土、下水汚泥等)、鉄源原料(鉄精鉱、銅からみ等)および珪石の調合割合を適宜調整することによって変化させた。全アルカリ量は、同じくクリンカー製造工程において、アルカリ含有量の少ない石炭灰とアルカリ含有量の多い建設発生土の使用比率の調整することにより増減した。SO量は、ポルトランドセメントクリンカーに石膏を加えて粉砕する際、石膏の添加割合を変化させることにより調整した。また、ブレーン比表面積は、同工程にてクリンカーおよび石膏の挽入量を増減することにより調整した。
(2)セメントの評価
(2−1)ボーグ式による鉱物組成および全アルカリ(RO)量の算定
本発明のポルトランドセメントクリンカーの水硬性鉱物量のうち、CS、CS、CAおよびCAFの含有量(質量%)は、下記のボーグ式により求めた。
S量(質量%)=(4.07×CaO)−(7.60×SiO)−(6.72×Al)−(1.43×Fe)−2.85×SO
S量(質量%)=(2.87×SiO)−(0.754×CS)
A量(質量%)=(2.65×Al)−(1.69×Fe
AF量(質量%)=3.04×Fe
式中の「CaO」、「SiO」、「Al」および「Fe」は、それぞれ、ポルトランドセメントクリンカー中のCaO、SiO、AlおよびFeの含有量(質量%)である。また、全アルカリ(RO)量(質量%)は、ポルトランドセメントクリンカー中のアルカリ量(NaO量およびKO量)を定量し、次式により求めた。
全アルカリ(RO)量(質量%)=(NaO)+(0.658×KO)
なお、CaO、SiO、Al、Fe、NaO、KOおよびSO量は、JIS R 5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析方法」により測定した。
(2−2)遊離石灰および水酸化カルシウムの測定
本発明における遊離石灰含有量は、水酸化カルシウムと遊離石灰の合量である。ポルトランドセメント中の水酸化カルシウムと遊離石灰の合量は、JCAS I−01:1981「遊離カルシウムの分析方法」に準じて測定した。なお、水酸化カルシウムの含有量は、熱重量分析装置(Seiko Instruments Inc.製EXSTRAR6000シリーズTG/DTA6200)を用いて、アルミ製の容器にセメント試料30mgを測りとり、N雰囲気下で昇温速度10℃/分の条件で重量減少量を測定して、350〜450℃付近の重量減少を水酸化カルシウムの脱水(Ca(OH)→CaO+HO)によるものと考え、水酸化カルシウム含有量(質量% CaO換算)として、下記の式にて算出した(図3参照)。
水酸化カルシウム含有量(質量% CaO換算)=
400〜500℃の重量減少量(質量%)÷18(水分子量)×56(CaO分子量)
(2−3)水溶性アルカリ量および固溶アルカリ量の測定
水溶性アルカリ量は、セメント協会標準試験方法 JCAS I−04:2002「セメントの水溶性成分の分析方法」に準じ、水溶性NaO量(質量%)および水溶性KO量(質量%)を定量し、下記の式により算出した。また、固溶アルカリ量は、全アルカリ量から水溶性アルカリ量を差し引いて求めた。
水溶性アルカリ量(質量%)=(水溶性NaO(質量%))+(0.658×水溶性KO(質量%))
固溶アルカリ量(質量%)=(全アルカリ量(質量%))−(水溶性アルカリ量(質量%))
(2−4)X線回折によるクリンカー鉱物量の測定
X線回折を利用したポルトランドセメント中の水硬性鉱物のうちエーライト、ビーライト(β相、α’相)、アルミネート(立方晶、斜方晶)およびフェライトの含有量は下記の方法によって測定した。
まず、ポルトランドセメントを遊星ボールミルで90μm篩全通するように粉砕し、粉末X線回折試料とした。粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置RINT−2000((株)リガク製)を用いて、管電圧40kV、管電流130mA、測定範囲2θ=10〜70°、ステップ幅0.02°、固定時間2sの条件で行った。
クリンカー鉱物量の測定は、リートベルト解析方法(非特許文献1参照)によって行った。解析ソフトにはJADE6.0(Material Inc.製)を使用した。
リートベルト解析に利用した各鉱物相の基本結晶構造は表2に示すとおりである。なお、定量値は定量対象相としたエーライト、ビーライト(β相+α’相)、アルミネート(立方晶、斜方晶)およびフェライトの6相の合量を100質量%に換算して求めた。
〔非特許文献1〕 粉末X線回折の実際−リートベルト法入門、日本分析化学会、X線分析研究懇談会[編]
〔非特許文献2〕 F.Nishi, Y. Takeuchi and I. Maki, "Tricalcium silicate Ca3O[SiO4]; The monoclinic superstructure, Zeitschrift fur Kristallographie, 172, pp.297-314 (1985)
〔非特許文献3〕 K.H. Jost, B. Ziemer and R. Seydel, "Redetermnation of the Structure of β-Dicalcium Silicate, Acta Cryst., B33, pp.1696-1700 (1977)
〔非特許文献4〕 W.G. Mumme et al., Neues Jahrbuch fuer Mineralogie. Abhandlungen, Vo.169, No.1, pp.35-68, (1995)
〔非特許文献5〕 P. Mondal and J.W. Jeffery, "The Crystal Structure of Tricalcium Aluminate, Ca3Al2O6", Acta Cryst., B31, p.689 (1975)
〔非特許文献6〕 Y. Takeuchi and F.Nishi, Crystal chemical characterization of the 3CaO-Al2O3-Na2O solid-solution series", Zeitschrift fur Kristallographie 152, pp.259-307 (1980)
〔非特許文献7〕 A.A> Colville and S. Geller, "The Crystal Structure of Brownmillerite, Ca2FeAlO5, Acta Cryst., B27, p.2311 (1971)
(2−5)セメントの粉体特性
セメントの粉末度(ブレーン比表面積および45μm残分)および凝結試験についてもJIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。
(2−6)モルタル圧縮強さ
モルタル圧縮強さは,JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載の方法に準じて、セメント450g対して水225gおよび砂1350gをホバートミキサーによって練混ぜて作製したモルタル供試体を水中養生し,材齢3、7、28および91日において測定した。
(3)コンクリート性能評価試験
(3−1)コンクリート配合
コンクリート性能評価は表3に示すコンクリート配合を基本として行った。但し、混和剤添加量は表中の値を目安としたが、使用セメントによっては目標のスランプフロー値を得るために微調整した。

(W/C:水セメント比、
s/a:細骨材率(=細骨材÷全骨材(細骨材+粗骨材))(体積比)
(3−2)使用した骨材、混和材および水
細骨材: 混合砂
・千葉県富津市鶴岡産山砂60%+青森県八戸市松館石灰石砕砂40%
・表乾密度2.64g/cm3、吸水率1.64%、粗粒率2.53
粗骨材: 山口県美祢市伊佐産石灰石砕石2005
・2015:1505=20:80混合、表乾密度2.69g/cm3、吸水率0.40%、粗粒率6.84
混和剤: 高性能AE減水剤 フローリックSF500S(フローリック社製)
水: 上水道水
(3−3)コンクリートの練り混ぜ
コンクリートの練り混ぜに用いたミキサ、練混ぜ量および手順は以下のとおりである。
ミキサ: 強制二軸型ミキサ(公称容積55L)
練混ぜ量: 30L/バッチ
練混ぜ時間および手順
a) 細骨材およびセメントをミキサに投入後、10秒間空練り。
b) 水(混和剤含)を加えて60秒間練混ぜ。
c) 粗骨材を加え60秒間練混ぜ後、5分静置後15秒間練混ぜ排出。
(3−4)コンクリート性能の評価項目および試験方法
コンクリート性能の評価項目および試験方法は表4のとおりである。
(3−5)コンクリートの流動性評価結果
表5にコンクリートの流動性評価結果を記す。
いずれのセメントにおいても、セメントに対する混和剤添加量補正値を1.36〜1.48%の範囲で調整することにより、所定のスランプフロー60cmを得ることが可能であり、流動性に優れることが判った。
(3−6)コンクリートの強度発現性評価
表6に各セメントを使用した高強度コンクリートの圧縮強度を記す。
遊離石灰含有量が0.70質量%以下のポルトランドセメントM02(実施例1)、M03(実施例2)、M08〜10(実施例3〜5)は、材齢28日強度で82.5〜86.5N/mm、材齢56日強度で90.2〜93.8N/mmである。一方、遊離石灰含有量が0.70質量%を超えるM01、M04〜07(比較例1〜5)は、材齢28日強度77.7〜81.4N/mmおよび材齢56日強度83.3〜88.8N/mmである。したがって、遊離石灰含有量が0.70質量%以下の本発明のセメント組成物を使用したコンクリート組成物は、それが0.70質量%を越える比較例のセメント組成物を使用したコンクリート組成物に比べて、高い強度が得られている。
また、参考までに、図1には、遊離石灰含有量と高強度コンクリートの材齢28日圧縮強度との関係を示した。図に示したように、遊離石灰含有量を0.70質量%以下とすることにより、材齢28日で82N/mm以上の圧縮強度を得ることができる。したがって、本発明により製造されたポルトランドセメントおよび高強度コンクリート組成物は、高い流動性を有するとともに、材齢28日以降の材齢において高い強度発現性を有していることがわかる。なお、ここで言う遊離石灰とは、表1−2のCa(OH)/f.CaOの欄の数値をみてもわかるように、大部分が水酸化カルシウムとして存在しており、言い換えると水酸化カルシウムをCaO換算で0.70質量%以下とすることが必要となる。
さらに、図2に示すように、塩化物イオン量として0.013質量%以下とすることが好ましいこともわかる。なお、塩化物は、クリンカー焼成時に揮発して大部分が除去されるが、遊離石灰の低減のためには、焼成温度を高める、あるいは焼出量を減じてキルン内における原料厚を低減することが効果的であり、このことは塩化物の揮発を助長する働きもあり、セメント組成物中の塩化物イオン量低減にも繋がる。
因みに、表1をみてもわかるように、実施例3および4は、比較例3および4に比べて、水セメント比が50質量%のときのモルタル圧縮強さは低いが、表6に示すように、水セメント比が32%のコンクリートの圧縮強度は逆に高い。このことから、遊離石灰含有量の低減は、水セメント比が40質量%以下のような低い領域で効果的であることがわかる。言い換えると、水セメント比が低い領域では、一般的に言われるブレーン比表面積や鉱物組成等の強度への影響度が小さく、遊離石灰量の影響度が非常に大きいことを意味している。すなわち、遊離石灰量を制御しない限りは高強度を得ることができないことになる。
遊離石灰含有量が高強度コンクリートの圧縮強度に及ぼす影響 塩化物イオン量が高強度コンクリートの圧縮強度に及ぼす影響 水酸化カルシウム量(CaO換算%)の定量方法

Claims (7)

  1. ボーグ式算定のCS量が30〜60質量%である高ビーライト型の高強度コンクリート用セメント組成物であって、遊離石灰を0.70質量%以下で含有する高強度コンクリート用セメント組成物。
  2. 塩化物イオン含有量が0.013質量%以下である、請求項1記載の高強度コンクリート用セメント組成物。
  3. 遊離石灰の主成分が水酸化カルシウムである、請求項1または2記載の高強度コンクリート用セメント組成物。
  4. ビーライト中のα’ビーライト量が3質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項記載の高強度コンクリート用セメント組成物。
  5. 水溶性アルカリ量が0.30質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の高強度コンクリート用セメント組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のボーグ式算定のCS量が30〜60質量%である高ビーライト型の高強度コンクリート用セメント組成物と、細骨材と、粗骨材と、水と高性能AE減水剤とを含み、セメント組成物に対する水+高性能AE減水剤の質量比が40質量%以下である、高強度コンクリート組成物。
  7. 細骨材または粗骨材が石灰石を含む、請求項6記載の高強度コンクリート組成物。
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