JP5624722B2 - セメントクリンカー及びセメント - Google Patents

セメントクリンカー及びセメント Download PDF

Info

Publication number
JP5624722B2
JP5624722B2 JP2008540887A JP2008540887A JP5624722B2 JP 5624722 B2 JP5624722 B2 JP 5624722B2 JP 2008540887 A JP2008540887 A JP 2008540887A JP 2008540887 A JP2008540887 A JP 2008540887A JP 5624722 B2 JP5624722 B2 JP 5624722B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cement
mass
waste
chlorine
cement clinker
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008540887A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2008050484A1 (ja
Inventor
吉川 知久
知久 吉川
松山 祐介
祐介 松山
本間 健一
健一 本間
市川 牧彦
牧彦 市川
真 小早川
真 小早川
一巳 尾島
一巳 尾島
貴之 木村
貴之 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2008540887A priority Critical patent/JP5624722B2/ja
Publication of JPWO2008050484A1 publication Critical patent/JPWO2008050484A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5624722B2 publication Critical patent/JP5624722B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B7/00Hydraulic cements
    • C04B7/24Cements from oil shales, residues or waste other than slag
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding

Description

本発明は、塩素含有廃棄物を原料として製造したセメントクリンカー及びセメントに関する。
近年、都市ゴミ焼却灰をはじめとする塩素含有廃棄物の著しい増加により、その処理が大きな社会問題になっている。すなわち、これら廃棄物の有効利用、再資源化は各方面で進められているが、決定的な方法はなく、多くは投棄されているが現状であり、この投棄も投棄地の不足、投棄地で発生する二次公害などの問題を生じている。このため、これらの廃棄物を資源として再利用する方法を開発することが緊急課題となっている。
セメント産業においても、産業廃棄物、一般廃棄物等の廃棄物・副産物を、原料として大量に使用したセメントクリンカーの開発が行われている。
一般に、セメントクリンカーをキルンにて焼成する場合、セメント原料から持ち込まれる塩素は、キルン・プレヒータ系内で循環することにより次第に濃縮されて平衡状態に達し、セメント原料から持ち込まれる塩素量とセメントクリンカーにより系外へ持ち出される塩素量とが等しくなることが知られている。このため、セメント原料から持ち込まれる塩素量が多いと、セメントクリンカー中に含まれる塩素量も多くなり、製品としてのセメントの品質に悪影響を与えるおそれがある。また、系内の塩素量が多くなると、低融点化合物が形成されるためにプレヒータサイクロンが閉塞して、キルンの安定運転が損なわれるおそれがある。
そこで、従来、キルン排ガスをプローブにより抽気するとともに、プローブ内に外気を取り入れて一次冷却し、サイクロンで粗粉を分離した後、冷却器で二次冷却し、さらに集塵機で高塩素濃度の微粉ダストを回収する塩素バイパス設備により、キルン・プレヒータ系内の塩素量を低減することが行われている(特許文献1)。
しかしながら、近年の塩素含有廃棄物の著しい増加に対処するため、このような塩素含有廃棄物の原料としての使用量を増加させる場合には、キルン排ガスの抽気量を増やす必要があり、熱損失が大きくなるとともに、大量に発生するダストの処理を行う必要があり、効率が悪くなるという問題があった。
また、一般に、セメントクリンカーの焼成には大量のエネルギーが必要である。すなわち、セメントクリンカーの焼成に必要とされる温度は1450〜1470℃であり、このような高温を維持するために大量の燃料が消費されている。そのため、焼成温度を低下させ、燃料使用量を削減することも求められている。
特開平11−35354号公報
従って、本発明の目的は、塩素含有廃棄物の原料としての使用量を増加させた場合でも、キルン排ガスの抽気量を増やすことなく製造でき、また、セメントの品質に悪影響を与えず、さらに、従来より低温で焼成することができるセメントクリンカー及びセメントを提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明者らは、鋭意検討した結果、セメントクリンカー中のフッ素、SO3、塩素の含有量を特定の範囲内にすることにより、塩素含有廃棄物の原料としての使用料を増加させた場合でも、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、塩素含有廃棄物を原料として製造したセメントクリンカーであって、フッ素の含有量が400〜2000mg/kg、SO3含有量が0.5〜2.5質量%、塩素の含有量が50〜250mg/kgであるセメントクリンカー、及びこれを用いたセメントを提供するものである。
本発明のセメントクリンカーは、産業廃物、一般廃棄物等の原料としての使用量を増やすことができるので、廃棄物の有効利用の促進に貢献することができる。
また、本発明のセメントクリンカーは、従来より低温で焼成して製造することができるので、燃料使用量を削減することができる。
本発明のセメントクリンカーは、フッ素の含有量が400〜2000mg/kg、好ましくは450〜1800mg/kg、特に好ましくは500〜1500mg/kgである。フッ素の含有量が400mg/kg未満では、焼成温度を低下させることが困難である上、塩素含有廃棄物の原料としての使用量を増加させようとした場合、キルン排ガスの抽気量を増やす必要があり、熱損失も大きくなる。一方、フッ素の含有量が2000mg/kgを超えると、凝結遅延や強度低下など、セメントの品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、本発明のセメントクリンカーは、SO3含有量が0.5〜2.5質量%、好ましくは0.6〜2質量%、特に好ましくは0.7〜1.5質量%である。SO3含有量が0.5質量%未満では、焼成温度を低下させることが困難である上、塩素含有廃棄物の原料としての使用量を増加させようとした場合、キルン排ガスの抽気量を増やす必要があり、熱損失も大きくなる。一方、SO3含有量が2.5質量%を超えると、プレヒータサイクロンが閉塞してキルンの安定運転が損なわれるおそれがある上、初期強度の低下など、セメントの品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
さらに、本発明のセメントクリンカーは、塩素の含有量が50〜250mg/kg、好ましくは70〜200mg/kg、特に好ましくは100〜150mg/kgである。塩素の含有量が50mg/kg未満では、塩素含有廃棄物の原料としての使用量を増加させることが困難であり、焼成温度を低下させることもできない。一方、塩素の含有量が250mg/kgを超えると、キルン排ガスの抽気量を増やす必要があり、熱損失が大きくなる。
なお、本発明において、セメントクリンカー中のフッ素、SO3及び塩素の含有量は、JIS R 5202(ポルトランドセメントの化学分析方法)により測定される。
本発明のセメントクリンカーは、塩素含有廃棄物を原料として製造される。塩素含有廃棄物としては、例えば、各種汚泥(例えば、下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等)、各種焼却灰(例えば、石炭灰、焼却飛灰、溶融飛灰等)、下水汚泥乾粉、都市ゴミ焼却灰などが挙げられる。
また、塩素含有廃棄物以外の原料として、例えば、生コンスラッジ、建設廃材、コンクリート廃材、ボーリング廃土、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰、貝殻等の廃棄物や、例えば、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、廃土壌等の発生土を使用することもできる。
さらに、一般のポルトランドセメントクリンカー原料、例えば、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料;珪石、粘土等のSiO2原料;粘土等のAl2O3原料;鉄滓、鉄ケーキ等のFe2O3原料を使用することができる。
これらの原料を使用し、フッ素及びSO3の含有量を前記特定量に調整できない場合には、フッ素原料として、蛍石のほか、フッ素汚泥等を使用することができ、SO3原料として、石膏、廃石膏ボード、ペトコークス、廃硫酸、硫黄(石油回収硫黄等)などを使用することができる。
本発明のセメントクリンカーの具体例としては、各種ポルトランドセメントクリンカーのほか、水硬率(H.M.)を1.8〜2.3、ケイ酸率(S.M.)を1.3〜3.0、鉄率(I.M.)を1.3〜2.8に調整したセメントクリンカー等が挙げられる。特に、廃棄物の有効利用を促進する観点から、普通ポルトランドセメントクリンカー、早強ポルトランドセメントクリンカーであるのが好ましい。
本発明のセメントクリンカーは、上記のような原料を、目的とするセメントクリンカーが得られるような組成で混合した後、ロータリーキルンを用いて焼成し、冷却することにより製造することができる。
各原料を混合する方法は特に制限されず、慣用の装置等を用いて行うことができる。
燃料は、主原料である石炭のほか、燃料代替廃棄物、例えば、廃油、廃タイヤ、廃プラスチック、木屑、ゴミ固形化燃料等を使用することができる。なお、これらの燃料には、フッ素、SO3や塩素が含まれているものもあり、これらの燃料を、フッ素源、SO3源、塩素源として使用することができる。
なお、本発明においては、廃棄物の有効利用を促進する観点から、塩素含有廃棄物等の廃棄物原料(発生土を含む)や燃料代替廃棄物を、セメントクリンカー1tonあたり、300〜600kg使用するのが好ましい。
焼成温度は、1250〜1400℃、特に1300〜1400℃が好ましい。焼成温度が1250℃未満では、十分な焼成が困難であり、1400℃を超えると、塩素の含有量を50〜250mg/kgとすることが困難となり、塩素含有廃棄物の使用量を増加することができない。また、この範囲内であれば、焼成温度を低下させるという本発明の目的を達成することができる。
焼成時間は、30〜120分、特に40〜60分であるのが好ましい。
また、セメントクリンカーを冷却する方法は特に制限されず、慣用の装置等を用いて行うことができる。
本発明のセメントクリンカーの製造においては、塩素バイパス設備により、キルン排ガスの一部を抽気するのが好ましい。キルン排ガスの一部を抽気することにより、塩素含有廃棄物の使用量をより増加させることができる。キルン排ガスの抽気率(キルン窯尻排ガス量に対する抽気割合)は、10%以下、特に2〜5%であるのが好ましい。キルン排ガスの抽気率が10%を超えると、熱損失が大きくなるとともに、大量のダストが発生するので、その処理に手間がかかるので好ましくない。
本発明のセメントは、上記セメントクリンカーを用いて得られるものである。具体的には、JIS R 5210に規定される各種ポルトランドセメント、JIS R 5211、JIS R 5212又はJIS R 5213に規定される各種混合セメント;JISに規定された以上の混和材混合率にて製造した高炉セメント、フライアッシュセメント及びシリカセメント;各種ポルトランドセメントに石灰石粉末やシリカフュームを混合したセメント;各種ポルトランドセメントに2CaO・SiO2(C2S)及び2CaO・Al2O3・SiO2(C2AS)を必須成分とし、C2S100質量部に対して、C2AS+4CaO・Al2O3・Fe2O3(C4AF)を10〜100質量部含有し、かつ、3CaO・Al2O3(C3A)の含有量が20質量部以下である焼成物の粉砕物を混合したセメント;さらには、水硬率(H.M.)を1.8〜2.3、ケイ酸率(S.M.)を1.3〜3.0、鉄率(I.M.)を1.3〜2.8に調整したセメントクリンカー粉砕物と石膏を含むセメントや、さらに高炉スラグ粉末、フライアッシュ、珪石粉末、石灰石粉末、シリカフュームを含むセメントなどが挙げられる。
高炉スラグ粉末、フライアッシュ、珪石粉末、石灰石粉末及びシリカフュームから選ばれる1種以上の無機粉末を含有するセメントでは、水和熱の低減や、流動性の向上、耐久性や長期強度発現性の向上等を図ることができる。
また、C2S及びC2ASを必須成分とし、C2S100質量部に対して、C2AS+C4AFを10〜100質量部含有し、かつ、C3Aの含有量が20質量部以下である焼成物の粉砕物を含有するセメントでは、水和熱の低減や、流動性の向上を図ることができる。また、このような焼成物は、産業廃棄物等を原料とするものであるので、廃棄物の有効利用を促進することができる。
本発明において、JISに規定された以上の混和材混合率にて高炉セメント、フライアッシュセメント及びシリカセメントを製造する場合、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、珪石粉末のブレーン比表面積は、セメントの流動性、強度発現性等の観点から、2500〜10000cm2/gであるのが好ましく、特に強度発現性の観点から、3000〜10000cm2/g、更に4000〜9000cm2/gであるのが好ましい。
また、高炉スラグ粉末の含有量は、セメント中、内割で80質量%以下、特に75質量%以下であるのが、セメントの水和熱や、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。フライアッシュ、珪石粉末の含有量は、それぞれ、セメント中、内割で50質量%以下、特に40質量%以下であるのが、セメントの水和熱や、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
なお、この場合のセメント中の石膏量は、全SO3換算で1〜5質量%、特に1.5〜4質量%、更に1.8〜3質量%であるのが、セメントの水和熱、凝結、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
本発明において、各種ポルトランドセメントに石灰石粉末を混合したセメントを製造する場合、石灰石粉末のブレーン比表面積は、セメントの流動性、強度発現性等の観点から、2500〜10000cm2/gであるのが好ましく、特に強度発現性の観点から、3000〜10000cm2/g、更に4000〜9000cm2/gであるのが好ましい。
また、石灰石粉末の含有量は、セメント中、内割で50質量%以下、特に1〜40質量%であるのが、セメントの水和熱や、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
なお、この場合のセメント中の石膏量は、全SO3換算で1〜5質量%、特に1.5〜4質量%、更に1.8〜3質量%であるのが、セメントの水和熱、凝結、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
本発明において、各種ポルトランドセメントにシリカフュームを混合したセメントを製造する場合、シリカフュームのBET比表面積は、入手のしやすさ、セメントの流動性、強度発現性等の観点から、5〜20m2/gであるのが好ましく、特に流動性、強度発現性の観点から、6〜18m2/g、更に7〜15m2/gであるのが好ましい。
また、シリカフュームの含有量は、セメント中、内割で40質量%以下、特に1〜30質量%であるのが、セメントの水和熱や、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
なお、この場合のセメント中の石膏量は、全SO3換算で1〜5質量%、特に1.5〜4質量%、更に1.8〜3質量%であるのが、セメントの水和熱、凝結、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
本発明のセメントは、C2S及びC2ASを必須成分とし、C2S100質量部に対して、C2AS+C4AFを10〜100質量部含有し、かつ、C3Aの含有量が20質量部以下である焼成物の粉砕物を含有することができる。かかる焼成物は、C2S及びC2ASを必須成分とするもので、C2S100質量部に対して、C2AS+C4AFを10〜100質量部、好ましくは20〜90質量部含有するものである。C2AS+C4AF含有量が10質量部未満では、セメントの流動性が悪くなる。また、焼成時に焼成温度を上げてもフリーライム量が低下しにくく、焼成が困難になり、また、生成するC2Sも水和活性のないγ型C2Sである可能性が高くなり、セメントの強度発現性を大きく低下させることがある。一方、C2AS+C4AF含有量が100質量部を超えると、セメントの強度発現性が低下することがある。
また、焼成物は、C2S100質量部に対するC3Aの含有量が20質量部以下、好ましくは10質量部以下のものである。20質量部を超えると、セメントの水和熱が大きくなり、流動性も悪くなる。
さらに、焼成物は、P2O5を0.2〜8質量%、特に0.5〜6質量%含有するのが好ましく、アルカリ(Na2O+K2O)を0.4〜4質量%、特に0.5〜3.5質量%含有するのが好ましい。P2O5やアルカリをこの範囲内で含有する場合、C2Sを活性化させるため、C3Aなどのカルシウムアルミネートがない場合でも、セメントの強度発現性が良好になる。カルシウムアルミネートが少なくなるほど、セメントの流動性も良好でかつ水和熱も低くなる。
なお、焼成物中のフリーライム量は、セメントの水和熱や流動性、強度発現性等の点から、1.5質量%以下、特に1質量%以下であるのが好ましい。
このような焼成物は、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上を原料とし、これを焼成することにより製造することができる。産業廃棄物としては、例えば石炭灰;生コンスラッジ;下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥、赤泥等の各種汚泥;建設廃材、コンクリート廃材、ボーリング廃土、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰等が挙げられ;一般廃棄物としては、例えば下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。また、建設発生土としては、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、さらには廃土壌等が挙げられる。
また、一般のポルトランドセメントクリンカー原料、例えば、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料;珪石、粘土等のSiO2原料;粘土等のAl2O3原料;鉄滓、鉄ケーキ等のFe2O3原料を使用することができる。
なお、焼成物の原料組成によっては、特に、前記産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上(廃棄物原料)を原料として用いた場合、C4AFが生成することがあるが、本発明においては、焼成物のC2ASの一部、好ましくはC2ASの70質量%以下がC4AFで置換されていても良い。C4AFがこの範囲を超えて置換されると、焼成の温度範囲が狭くなり、製造の管理が難しくなる。
焼成物の鉱物組成は、使用原料中のCaO、SiO2、Al2O3、Fe2O3の各含有量(質量%)から、次式により求めることができる。
C4AF=3.04×Fe2O3
C3A=1.61×CaO−3.00×SiO2−2.26×Fe2O3
C2AS=−1.63×CaO+3.04×SiO2+2.69×Al2O3+0.57×Fe2O3
C2S=1.02×CaO+0.95×SiO2−1.69×Al2O3−0.36×Fe2O3
焼成物の焼成温度は、1000〜1350℃、特に1200〜1330℃であるのが、焼成工程の熔融相の状態が良好であるので好ましい。
用いる装置は特に限定されず、例えばロータリーキルン等を用いることができる。また、ロータリーキルンで焼成する際には、燃料代替廃棄物、例えば廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用することができる。
このような焼成により、C2ASが生成し、上記組成の焼成物を得ることができる。
焼成物の粉砕物は、ブレーン比表面積が2500〜5000cm2/gであるのが、セメントの水和熱や、流動性、強度発現性の点から好ましい。粉砕方法は特に制限されず、例えばボールミル等を用い、通常の方法で粉砕することができる。
焼成物の粉砕物の含有量は、セメント中、内割で50質量%以下、特に1〜40質量%であるのが、セメントの水和熱や、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
なお、この場合のセメント中の石膏量は、全SO3換算で1〜5質量%、特に1.5〜4質量%、更に1.8〜3質量%であるのが、セメントの水和熱、凝結、流動性、耐久性、強度発現性等の観点から好ましい。
本発明のセメントの製造方法は特に制限されず、例えば、各種ポルトランドセメントの製造においては、セメントクリンカーと石膏を同時粉砕しても良いし、セメントクリンカー粉砕物と石膏を混合しても良い。高炉スラグ粉末等の無機粉末や焼成物の粉砕物を含有するセメントでは、高炉スラグ粉末等の無機粉末や焼成物の粉砕物をセメントクリンカー粉砕物やポルトランドセメントや混合セメントと混合しても良いし、セメントクリンカーと石膏と高炉スラグ粉末等の無機粉末や焼成物を同時粉砕しても良い。
なお、本発明において、得られるセメントは、ブレーン比表面積が、2500〜4500cm2/gであるのが、モルタルやコンクリートのブリーディングの低減や、流動性、強度発現性の観点から好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
実施例1
(1)セメントクリンカーの製造:
表1に示す組成の各原料を使用して、表2に示す鉱物組成、フッ素、SO3及び塩素含有量の普通ポルトランドセメントクリンカーを製造した。
焼成はロータリーキルンを用い、燃料の一部に、木屑、廃プラスチックを使用した。また、塩素バイパス設備により、キルン排ガスの一部を抽気しながら行った。キルン排ガスの抽気率は4%である。また、焼成温度及びクリンカー1tonあたりの廃棄物の使用量を表2に併記する。
なお、No.4のセメントクリンカーが、現状の普通ポルトランドセメントクリンカーに相当する。
Figure 0005624722
Figure 0005624722
(2)セメントの製造:
上記で得られた各セメントクリンカー100質量部に2水石膏(ブレーン比表面積4000cm2/g)をSO3換算で2.2質量部混合し、バッチ式ボールミルでブレーン比表面積が3250±50cm2/gとなるように同時粉砕して、ポルトランドセメントを製造した。
得られたセメントについて、凝結、モルタルフロー及びモルタル圧縮強さを評価した。結果を表3に示す。
(評価方法)
(1)凝結:
JIS R 5201に従って、標準軟度水量、始発・終結を測定した。
(2)モルタルフロー:
JIS R 5201に従って測定した。
(3)モルタル圧縮強さ:
3日、7日及び28日後のモルタル圧縮強さを、JIS R 5201に従って測定した。
Figure 0005624722
表2の結果より、本発明のセメントクリンカーは、従来より低温で焼成することができる。また、表3の結果より、本発明のセメントは、品質も良好である。
実施例2
(1)セメントクリンカーの製造:
表1に示す組成の各原料を使用して、表4に示す鉱物組成、フッ素、SO3及び塩素含有量の普通ポルトランドセメントクリンカーを製造した。
焼成はロータリーキルンを用い、燃料の一部に、木屑、廃プラスチックを使用した。また、塩素バイパス設備により、キルン排ガスの一部を抽気しながら行った。キルン排ガスの抽気率は4%である。また、焼成温度及びクリンカー1tonあたりの廃棄物の使用量を表4に併記する。
Figure 0005624722
(2)ポルトランドセメントの製造:
上記で得られたセメントクリンカー(No.7)100質量部に2水石膏(ブレーン比表面積4000cm2/g)をSO3換算で2.2質量部混合し、バッチ式ボールミルでブレーン比表面積が3250cm2/gとなるように同時粉砕して、ポルトランドセメントを製造した。
(3)焼成物の製造:
表5に示す化学組成の石灰石、下水汚泥、石炭灰を原料として、C2S100質量部に対して、C2AS 32質量部、C4AF 15質量部、C3A 0質量部の焼成物(フリーライム量0.1質量%)を製造した。焼成は、ロータリーキルンを用い、1350℃で行った。焼成物1ton製造する際に使用した下水汚泥及び石炭灰の総量(廃棄物等の総量)は528kg/tonであった。
得られた焼成物を粉砕して、ブレーン比表面積3250cm2/gの粉砕物を調製した。
Figure 0005624722
(4)上記以外の材料:
以下の材料を使用した。
・石膏:ブレーン比表面積4000cm2/gの2水石膏。
・無機粉末:ブレーン比表面積4500cm2/gの高炉スラグ粉末。
・細骨材:JIS R 5201(セメントの物理試験方法)の標準砂。
・減水剤:ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(商品名:SP8N)。
(5)セメントの製造:
(2)で得られたポルトランドセメントと、上記各材料、(3)で得られた焼成物の粉砕物を、表6に示す組成で混合し、セメントを製造した。
Figure 0005624722
(6)評価:
得られたセメントについて、水和熱、モルタルフロー及びモルタル圧縮強さを評価した。結果を表7に示す。なお、参考として、市販高炉セメントB種(太平洋セメント社製)のモルタル圧縮強さも同様に測定し、結果を表7に併せて示した。
(評価方法)
(1)水和熱:
JIS R 5203に従って測定した。
(2)モルタルフロー:
W/C=0.35、S/C=2、セメント組成物に対して0.65質量%の減水剤を混合したものを5分間混練したモルタルについて、JIS R 5201-1997に規定されているフローコーンを用い、JIS R 5201に従って、製造直後及び30分後のモルタルフローを測定した。
(3)モルタル圧縮強さ:
3日、7日及び28日後のモルタル圧縮強さを、JIS R 5201に従って測定した。
Figure 0005624722
表7の結果より、高炉スラグ粉末や特定の焼成物の粉砕物を含有するセメントは、水和熱が低く、流動性及び強度発現性が良好であった。

Claims (4)

  1. 塩素含有廃棄物を原料とし、塩素バイパス設備により、キルン排ガスの一部を抽気しながら製造した普通ポルトランドセメントクリンカー又は早強ポルトランドセメントクリンカーであって、フッ素の含有量が500〜1800mg/kg、SO3含有量が0.6〜2質量%、塩素の含有量が100〜200mg/kgであるセメントクリンカー。
  2. 請求項記載のセメントクリンカーを用いて得られるセメント。
  3. 更に、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、珪石粉末、石灰石粉末及びシリカフュームから選ばれる1種以上の無機粉末を含有する請求項記載のセメント。
  4. 更に、2CaO・SiO2及び2CaO・Al2O3・SiO2を必須成分とし、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al2O3・SiO2+4CaO・Al2O3・Fe2O3を10〜100質量部含有し、かつ、3CaO・Al2O3の含有量が20質量部以下である焼成物の粉砕物を含有する請求項2又は3記載のセメント。
JP2008540887A 2006-10-24 2007-10-23 セメントクリンカー及びセメント Active JP5624722B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008540887A JP5624722B2 (ja) 2006-10-24 2007-10-23 セメントクリンカー及びセメント

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006288261 2006-10-24
JP2006288261 2006-10-24
PCT/JP2007/001155 WO2008050484A1 (fr) 2006-10-24 2007-10-23 Scorie de ciment et ciment
JP2008540887A JP5624722B2 (ja) 2006-10-24 2007-10-23 セメントクリンカー及びセメント

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008050484A1 JPWO2008050484A1 (ja) 2010-02-25
JP5624722B2 true JP5624722B2 (ja) 2014-11-12

Family

ID=39324297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008540887A Active JP5624722B2 (ja) 2006-10-24 2007-10-23 セメントクリンカー及びセメント

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5624722B2 (ja)
KR (1) KR101482530B1 (ja)
WO (1) WO2008050484A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5441768B2 (ja) * 2010-03-10 2014-03-12 太平洋セメント株式会社 水硬性組成物
JP5598674B2 (ja) * 2010-03-12 2014-10-01 三菱マテリアル株式会社 セメントクリンカー焼成物の製造方法
KR101312088B1 (ko) * 2011-08-24 2013-09-25 쌍용양회공업(주) 초기 강도가 향상된 슬래그 시멘트 제조방법
WO2014068643A1 (ja) * 2012-10-29 2014-05-08 太平洋セメント株式会社 放射性セシウムの除去方法、及び、焼成物の製造方法
JP6530629B2 (ja) * 2015-03-31 2019-06-12 住友大阪セメント株式会社 セメントクリンカーの製造方法
JP6323484B2 (ja) * 2016-03-22 2018-05-16 住友大阪セメント株式会社 セメントクリンカ組成物および高炉セメント組成物
JP6500277B2 (ja) * 2016-03-22 2019-04-17 住友大阪セメント株式会社 セメントクリンカ組成物およびポルトランドセメント組成物
JP7026741B1 (ja) 2020-08-18 2022-02-28 デンカ株式会社 セメント混和材、及びセメント組成物
KR102459113B1 (ko) * 2020-12-16 2022-10-26 한국세라믹기술원 소성성을 향상시킨 고염소 시멘트 클링커

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11157890A (ja) * 1997-12-03 1999-06-15 Taiheiyo Cement Corp 焼成物の製造法
JP2000302491A (ja) * 1999-04-22 2000-10-31 Taiheiyo Cement Corp セメント組成物
JP2001130932A (ja) * 1999-11-02 2001-05-15 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd セメントおよびその製造方法
JP2004002155A (ja) * 2002-03-22 2004-01-08 Taiheiyo Cement Corp セメント混和材
JP2005255456A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Taiheiyo Cement Corp 水硬性組成物
JP2006282455A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd セメント及びその製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4441614C1 (de) * 1994-11-23 1996-04-04 Ivan Prof Dr Odler C¶4¶ A¶3¶ S freier Portlandzementklinker und dessen Verwendung

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11157890A (ja) * 1997-12-03 1999-06-15 Taiheiyo Cement Corp 焼成物の製造法
JP2000302491A (ja) * 1999-04-22 2000-10-31 Taiheiyo Cement Corp セメント組成物
JP2001130932A (ja) * 1999-11-02 2001-05-15 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd セメントおよびその製造方法
JP2004002155A (ja) * 2002-03-22 2004-01-08 Taiheiyo Cement Corp セメント混和材
JP2005255456A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Taiheiyo Cement Corp 水硬性組成物
JP2006282455A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd セメント及びその製造方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6011024716; 上野直樹: '塩素バイパスシステムによるセメントキルンの安定運転と廃棄物の有効活用' セメント・コンクリート 第634号, 19991210, 第28-35頁, 社団法人セメント協会 *
JPN6013005365; G K MOIR: 'MINERALISERS, MODIFIERS AND ACTIVATORS IN THE CLINKERING PROCESS' 9th International Congress on the Chemistry of Cement - CONGRESS REPORTS Volume I, 1992, pp.125-152, National Council for Cement and Building Materials *
JPN6013005366; 社団法人日本コンクリート工学協会: コンクリート便覧 第2版, 19960215, 第43頁, 技報堂出版 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2008050484A1 (fr) 2008-05-02
KR20090082355A (ko) 2009-07-30
KR101482530B1 (ko) 2015-01-21
JPWO2008050484A1 (ja) 2010-02-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5624722B2 (ja) セメントクリンカー及びセメント
JP5627840B2 (ja) セメント組成物
JP6021753B2 (ja) 混合セメント
JP5800387B2 (ja) 土質改良材
US7722717B2 (en) Hydraulic composition
JP7218083B2 (ja) セメント組成物の製造方法
JP2010222171A (ja) セメントクリンカ、その製造方法および水硬性セメント
JP2009190904A (ja) 固化材
JP2012201519A (ja) セメント組成物
JP5583429B2 (ja) 水硬性組成物
JP5441768B2 (ja) 水硬性組成物
JP2014051433A (ja) 水硬性組成物
JP5425697B2 (ja) 水硬性組成物
JP2011219341A (ja) 水硬性組成物
JP2006272174A (ja) 焼結物の製造方法
JP5474649B2 (ja) 水硬性組成物
JP2009035451A (ja) セメント添加材及びセメント組成物
JP4944750B2 (ja) セメント添加材及びセメント組成物
JP4116987B2 (ja) 水硬性組成物
JP2011225393A (ja) 水硬性組成物
JP5506367B2 (ja) 水硬性組成物
JP2004307327A (ja) コンクリート
JP5474604B2 (ja) 水硬性組成物
JP5501705B2 (ja) セメント添加材及びセメント組成物
JP5355339B2 (ja) セメント添加材及びセメント組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130205

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130329

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130425

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140929

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5624722

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250