JP2011099730A - モルタルあるいはコンクリートの配合推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 用いた水硬性材料の単位量をより精度良くに推定するモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法を提供することにある。
【解決手段】 モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgを定量し、該モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の微量元素の含有量(A)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式1から、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出することを特徴とするモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法を提供する。
【数1】
【選択図】 なし
【解決手段】 モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgを定量し、該モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の微量元素の含有量(A)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式1から、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出することを特徴とするモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法を提供する。
【数1】
【選択図】 なし
Description
本発明は、モルタルあるいはコンクリートの配合推定方法に関し、例えば、モルタルあるいはコンクリートに使用された水硬性材料(結合材)あるいは石灰石骨材の単位量を推定する、モルタルあるいはコンクリートの配合推定方法に関する。
従来より、この種のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法としては、セメント協会コンクリート専門委員会報告F−18「硬化コンクリートの配合推定に関する共同試験報告」に記載されている方法が広く用いられている。
斯かる方法は、絶乾骨材構成比の推定に於いて、通常、試料である硬化コンクリートに使用された骨材の不溶残分は不明であることから、試料である硬化コンクリートを代表するように調整された絶乾微粉末分析試料の不溶残分を測定し、更に、この測定値を日本国内のコンクリート用骨材の不溶残分の平均値で除することにより、絶乾骨材構成比を推定する方法である。
しかるに、コンクリート用骨材は、岩種によって不溶残分が大きく異なるため、斯かる方法は、日本国内のコンクリート用骨材の不溶残分の平均値を用いる点で、絶乾骨材構成比の推定値の信頼性が乏しいという問題がある。
また、斯かる方法は、重要な配合推定項目である単位水量や水セメント比の推定の際に、絶乾骨材構成比が用いられているため、単位水量や水セメント比の推定値の信頼性も乏しいものとなってしまう虞がある。
また、斯かる方法は、単位水量や水セメント比の推定の際に硬化コンクリート中の空気量を用いる必要があるが、該硬化コンクリートの空気量の測定は困難であり現状では該空気量として仮の値が用いられているため、この点からも、単位水量や水セメント比の推定値の信頼性が乏しいものとなってしまう虞がある。
また、斯かる方法は、単位水量や水セメント比の推定の際に硬化コンクリート中の空気量を用いる必要があるが、該硬化コンクリートの空気量の測定は困難であり現状では該空気量として仮の値が用いられているため、この点からも、単位水量や水セメント比の推定値の信頼性が乏しいものとなってしまう虞がある。
斯かる観点から、例えば、絶乾微粉末分析試料(水硬性材料を含有する硬化物)中のCaO含有率を用いて、検体硬化コンクリートの単位セメント量(水硬性材料の単位量)、結合水構成比、絶乾骨材構成比、絶乾単位骨材量、単位セメント量容積、単位骨材量容積を順次推定し、推定見掛空気量容積を引いて検体硬化コンクリートの単位水量を推定する方法(例えば、特許文献1)が提案されている。
しかしながら、CaOは、絶乾微粉末分析試料のみならず、骨材(特に炭酸カルシウムを主成分とする石灰石系の骨材)からも溶出してしまう場合があることから、斯かる方法では、用いた水硬性材料の単位量の推定値の信頼性が乏しいものとなってしまう虞がある。
また、斯かる方法では、一般的な普通ポルトランドセメント以外の水硬性材料(結合材)、例えば、アルミナセメント、11CaO・7Al2O3・CaX2超速硬セメント(XはF等のハロゲン元素)、カルシウムサルフォアルミネート(アーウィン)系セメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏系膨張材、石灰系膨張材の群から選択される任意の1種以上の水硬性材料を使用したモルタル及びコンクリートの場合、前述の水硬性材料(結合材)中のCaO含有量は、一般的な普通ポルトランドセメントのCaO含有量と大きく異なるため、希塩酸を加えた際のCaO溶出量も前述の水硬性材料(結合材)と、一般的な普通ポルトランドセメントとでは、大きく異なるため、用いた水硬性材料(結合材)の単位量の推定に大きな誤差が生じてしまうという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、用いた水硬性材料(結合材)の単位量をより精度良く推定し得るモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法を提供することを課題とする。
本発明者が鋭意研究したところ、(A)モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料(結合材)に含まれる微量元素それぞれの含有量と、モルタルあるいはコンクリートに含まれる微量元素それぞれの含有量との間に良好な相関関係があり、(B)また、通常、該用いた水硬性材料(結合材)のロット番号が分かり、そのロット番号の水硬性材料自体が保管されており、該水硬性材料自体に含まれる微量元素の定量が可能であり、(C)若しくは、該用いた水硬性材料に含まれる微量元素それぞれの含有量が既知であり、(D)更に、モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量が既知であることから、モルタルあるいはコンクリートに含まれる微量元素の種類の定性及び含有量を定量することによって、該用いた水硬性材料の単位量をより精度良く推定し得ることを見出し、本発明の完成を想到するに至った。
即ち、本発明は、モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgを定量し、該モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料(結合材)に含まれる微量元素の含有量(A)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式1から、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出することを特徴とするモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法にある。
即ち、本発明は、モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgを定量し、該モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料(結合材)に含まれる微量元素の含有量(A)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式1から、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出することを特徴とするモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法にある。
以上のように、本発明によれば、用いた水硬性材料の単位量をより精度良く推定し得る。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法は、モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgを定量し、該モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(B)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の微量元素の含有量(A)mg/kgと、モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式1から、モルタルあるいはコンクリートの作製に用いた水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出する方法である。
前記微量元素は、モルタルあるいはコンクリート中での含有量が3000mg/kg以下、好ましくは2000〜100mg/kg、より好ましくは、1000〜100mg/kgである微量元素である。また、該微量元素は、モルタルあるいはコンクリートにおける微量元素の含有量が骨材における微量元素の含有量の5倍以上、好ましくは5〜10倍、より好ましくは10〜100倍である微量元素である。
前記微量元素としては、例えば、亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、及びほう素等が挙げられ、1種単独或いはこれらを2種以上組み合わせたものであってもよい。
前記微量元素としては、例えば、亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、及びほう素等が挙げられ、1種単独或いはこれらを2種以上組み合わせたものであってもよい。
また、本実施形態のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法は、前記微量元素が2種以上の微量元素である場合、前記B/Aとして、モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(mg/kg)を、用いた水硬性材料に含まれる微量元素の含有量(mg/kg)で微量元素毎に除したものを平均した値を用いてもよく、前記Bとして、モルタルあるいはコンクリートの微量元素の含有量(mg/kg)の値の合計値を用い、且つ前記Aとして、用いた水硬性材料に含まれる微量元素の含有量(mg/kg)の値の合計値を用いてもよい。
前記モルタルあるいはコンクリートの作製に用いられる水硬性材料(結合材、混和材)は、特に限定されるものではないが、普通、中庸熱、低熱、早強、超早強、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメント、アルミナセメント、11CaO・7Al2 O3 ・CaX2 系超速硬セメント(XはF等のハロゲン元素)、カルシウムサルフォアルミネート(アーウィン)系セメント等の超速硬セメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏系膨張材、石灰系膨張材等のセメント用混和材が挙げられる。これら水硬性材料から任意の1種類以上が選択され任意の混合比率で混合されているものでもよい。
前記定量に於いては、モルタルあるいはコンクリートを希硝酸で溶解し、該溶解液に含まれる微量元素を誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量法(ICP−MS)、フレーム原子吸光法(ASS)、電気加熱原子吸光法(ET−AAS)、及びイオンクロマトグラフィー法(IC)からなる群より選ばれた少なくとも1種の分析方法で測定する。
前記定量に於いては、具体的には、まず、モルタルあるいはコンクリートが未硬化のフレッシュ状態である場合は、該未硬化のモルタルあるいはコンクリートを十分に混合して均一化させた後、約50〜500gを縮分採取し、該縮分採取したものを測定用試料とする。この未硬化のフレッシュ状態の測定試料は、清浄なポリエチレン製袋等の任意の容器に入れて密封養生し、硬化後、後述する粉砕工程を経て分析に供する。一方で、モルタルあるいはコンクリートが硬化体である場合は、圧縮強度試験用の供試体(モルタル:直径5cm×高さ10cm、コンクリート:直径10cm×高さ20cm等)と同じ大きさにしたモルタルあるいはコンクリートを試料用供試体とする。この試料用供試体を外部からの汚染や外部への試料の散逸を避けながら1本全量を粗粉砕装置で粗粉砕し、目開き5〜10mmの非金属製のふるいを全通させ、目開き5〜10mmの非金属製のふるいを全通させたモルタルあるいはコンクリート硬化体の粗粉砕試料を十分に混合して均一化させた後、約50〜500gを縮分採取して、該縮分採取したものを測定用試料とする。
そして、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、硬質ガラス製、ポリテトラフロオロエチレン(テフロン)製等の耐酸性容器に該測定用試料約50〜500g及び該測定用試料の約10倍量の希硝酸を入れる。ガラス棒等を用いて時々軽く攪拌しながら1〜6時間程度かけてモルタルあるいはコンクリートに含まれるセメント等の水硬性材料中の酸可溶性成分を溶解させる。なお、試料の質量は0.01gの単位まで正確に記録しておく。
次に、前記酸可溶性成分を溶解させた溶液を孔径0.45μmのガラス繊維フィルターあるいはメンブランフィルターでろ過し、得られたろ液からホールピペットを用いて5〜100ml程度分取し、50〜1000mlのメスフラスコに入れ、化学分析用蒸留水(純水)を用いて希釈および定容(メスアップ)する。定容した試料溶液中の微量元素(亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、ほう素の群から選択される1種以上)の定量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、フレーム原子吸光法(AAS)、電気加熱原子吸光法(ET−AAS)、イオンクロマトグラフィー法(IC)の群から選択される1種以上の分析方法を用いて行う。
そして、モルタルあるいはコンクリートの微量元素含有量(mg/kg)は、以下の式で算出される。なお、微量元素含有量は各元素個別に算出する。
モルタルあるいはコンクリートの微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷1000(ml)÷測定用試料の質量(g)×1000
上記式を整理すると、下記式となる。
モルタルあるいはコンクリートの微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷測定用試料の質量(g)
尚、ここで、メスフラスコ定容による希釈倍率は、下記式より算出する。
メスフラスコ定容による希釈倍率=使用したメスフラスコの容積(ml)÷ホールピペットで分取した試料ろ液の体積(ml)
そして、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、硬質ガラス製、ポリテトラフロオロエチレン(テフロン)製等の耐酸性容器に該測定用試料約50〜500g及び該測定用試料の約10倍量の希硝酸を入れる。ガラス棒等を用いて時々軽く攪拌しながら1〜6時間程度かけてモルタルあるいはコンクリートに含まれるセメント等の水硬性材料中の酸可溶性成分を溶解させる。なお、試料の質量は0.01gの単位まで正確に記録しておく。
次に、前記酸可溶性成分を溶解させた溶液を孔径0.45μmのガラス繊維フィルターあるいはメンブランフィルターでろ過し、得られたろ液からホールピペットを用いて5〜100ml程度分取し、50〜1000mlのメスフラスコに入れ、化学分析用蒸留水(純水)を用いて希釈および定容(メスアップ)する。定容した試料溶液中の微量元素(亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、ほう素の群から選択される1種以上)の定量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、フレーム原子吸光法(AAS)、電気加熱原子吸光法(ET−AAS)、イオンクロマトグラフィー法(IC)の群から選択される1種以上の分析方法を用いて行う。
そして、モルタルあるいはコンクリートの微量元素含有量(mg/kg)は、以下の式で算出される。なお、微量元素含有量は各元素個別に算出する。
モルタルあるいはコンクリートの微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷1000(ml)÷測定用試料の質量(g)×1000
上記式を整理すると、下記式となる。
モルタルあるいはコンクリートの微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷測定用試料の質量(g)
尚、ここで、メスフラスコ定容による希釈倍率は、下記式より算出する。
メスフラスコ定容による希釈倍率=使用したメスフラスコの容積(ml)÷ホールピペットで分取した試料ろ液の体積(ml)
前記粗粉砕装置としては、ハンマー(金槌)、ジョークラッシャ、ハンマーミル、インパクトクラッシャ等の一般的な装置が挙げられる。
前記硝酸としては、濃度約61%(約13.5mol/l)の濃硝酸を蒸留水(純水)で約0.1〜1mol/lに希釈して調整したものを用いる。なお、前記濃硝酸は本発明で配合推定の指標とする微量元素(亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、ほう素等)をほとんど含まないもの(0.1mg/kg以下)であるものが好ましく、具体的には、有害重金属測定用硝酸等の高純度濃硝酸が挙げられる。
さらに、本実施形態のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法は、あらかじめモルタルあるいはコンクリートに使用した水硬性材料(結合材)の微量元素の種類およびその成分ごとの含有量が既知の場合には、この値を用いて、モルタルあるいはコンクリートに使用された水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出する。
一方で、モルタルあるいはコンクリートに使用した水硬性材料の微量元素の種類およびその成分ごとの含有量が未知の場合には、水硬性材料に含まれる微量元素を測定し、この値を用いて、モルタルあるいはコンクリートに使用された水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出する。
具体的には、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、硬質ガラス製、ポリテトラフロオロエチレン(テフロン)製等の耐酸性容器に水硬性材料約1〜10g及びその約10倍量の希硝酸を入れる。時々軽く攪拌しながら約1時間かけて水硬性材料中の酸可溶性成分を溶解させる。なお、試料の質量は0.01gの単位まで正確に記録しておく。
そして、水硬性材料中の酸可溶性成分を溶解させた溶液を孔径0.45μmのガラス繊維フィルターあるいはメンブランフィルターでろ過し、得られたろ液からホールピペットを用いて5〜100ml程度分取し、50〜1000mlのメスフラスコに入れ、化学分析用蒸留水(純水)を用いて希釈および定容(メスアップ)する。定容した試料溶液中の微量元素(亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、ほう素の群から選択される1種以上)の定量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、フレーム原子吸光法(AAS)、電気加熱原子吸光法(ET−AAS)、イオンクロマトグラフィー法(IC)の群から選択される1種以上の分析方法を用いて行う。
そして、同様に水硬性材料の微量元素含有量(mg/kg)は、以下の式で算出される。なお、微量元素含有量は各元素個別に算出する。
水硬性材料の微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷1000(ml)÷測定用試料の質量(g)×1000
上記式を整理すると、下記式となる。
水硬性材料の微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷測定用試料の質量(g)
尚、ここで、メスフラスコ定容による希釈倍率は、下記式より算出する。
メスフラスコ定容による希釈倍率=使用したメスフラスコの容積(ml)÷ホールピペットで分取した試料ろ液の体積(ml)
そして、水硬性材料の微量元素含有量を用いて、モルタルあるいはコンクリートに使用された水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出する。
そして、水硬性材料中の酸可溶性成分を溶解させた溶液を孔径0.45μmのガラス繊維フィルターあるいはメンブランフィルターでろ過し、得られたろ液からホールピペットを用いて5〜100ml程度分取し、50〜1000mlのメスフラスコに入れ、化学分析用蒸留水(純水)を用いて希釈および定容(メスアップ)する。定容した試料溶液中の微量元素(亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、ほう素の群から選択される1種以上)の定量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、フレーム原子吸光法(AAS)、電気加熱原子吸光法(ET−AAS)、イオンクロマトグラフィー法(IC)の群から選択される1種以上の分析方法を用いて行う。
そして、同様に水硬性材料の微量元素含有量(mg/kg)は、以下の式で算出される。なお、微量元素含有量は各元素個別に算出する。
水硬性材料の微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷1000(ml)÷測定用試料の質量(g)×1000
上記式を整理すると、下記式となる。
水硬性材料の微量元素含有量(mg/kg)=各種分析法による微量元素の定量値(mg/l)×メスフラスコ定容による希釈倍率×使用したメスフラスコの容積(ml)÷測定用試料の質量(g)
尚、ここで、メスフラスコ定容による希釈倍率は、下記式より算出する。
メスフラスコ定容による希釈倍率=使用したメスフラスコの容積(ml)÷ホールピペットで分取した試料ろ液の体積(ml)
そして、水硬性材料の微量元素含有量を用いて、モルタルあるいはコンクリートに使用された水硬性材料の単位量(Y)kg/m3を算出する。
本実施形態のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法は、前記モルタルあるいはコンクリートの微量元素として、用いた水硬性材料における含有量の定量値が、好ましくは100mg/kg以上、より好ましくは200〜1000mg/kg、さらにより好ましくは約1000mg/kgの微量元素のみを用いることが好ましい。本実施形態は、前記モルタルあるいはコンクリートの微量元素として、用いた水硬性材料における含有量の定量値が、100mg/kg以上の微量元素のみを用いることにより、モルタルあるいはコンクリートの微量元素含有量の定量値、及び用いた水硬性材料に含まれる微量元素含有量の定量値が高いものとなり、これらの量の測定値の信頼性が高まるため、水硬性材料の単位量をより一層精度良く推定し得るという利点がある。
また、本実施形態のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法は、モルタルあるいはコンクリートを20℃から1000℃まで段階的に加熱した際のモルタルあるいはコンクリートの分析サンプル質量当たりの水の生成量(D)質量%及び二酸化炭素の生成量(E)質量%を測定し、該モルタルあるいはコンクリートの分析サンプル質量当たりの水の生成量(D)質量%と、前記モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式2から、モルタルあるいはコンクリートの作製の際に用いられた練り混ぜ水の単位量(W)kg/m3を算出し、前記モルタルあるいはコンクリートの分析サンプル質量当たりの二酸化炭素の生成量(E)質量%と、前記モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式3から、モルタルあるいはコンクリートの作製の際に用いられた石灰石骨材の単位量(V)kg/m3を算出する方法である。
具体的には、まず、モルタルあるいはコンクリートが未硬化のフレッシュ状態の場合は、未硬化のモルタルあるいはコンクリートを十分に混合して均一化させた後、約500gを縮分採取して測定用試料とし、乾燥機あるいは電子レンジ等を用いて加熱して蒸発する水(付着水及び自由水)を定量する。加熱によって完全に該測定用試料が乾燥したら、前述の方法で全量粗粉砕し、目開き5〜10mmの非金属製のふるいを全通させる。目開き5〜10mmの非金属性ふるいを全通させたモルタルあるいはコンクリート硬化体の粗粉砕試料100gを、摩擦熱によって試料が100℃以上となり結合水が散逸しないように留意しながら、清浄なタングステンカーバイド製ディスクミルを用いて、目開き250μmの非金属製ふるいを全量が通過するまで微粉砕し、再縮分したサンプルを用いて、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から1000℃まで段階的に加熱した際のサンプルの質量変化から水(結合水)を定量する。さらに熱重量−示差熱分析装置の排気ガスをモノエタノールアミンの10質量%水溶液を200ml入れた容量325mlの硬質ガラス製インピンジャーに導入して排気ガス中の二酸化炭素を該水溶液に吸収させる。排気ガス導入前後の質量変化から吸収した二酸化炭素を定量する。
モルタルあるいはコンクリートが硬化体の場合は、目開き5〜10mmの非金属製ふるいを全通させたモルタルあるいはコンクリート硬化体の粗粉砕試料100gを清浄なタングステンカーバイド製ディスクミルを用いて目開き250μmの非金属製ふるいを全量が通過するまで微粉砕し、再縮分したサンプルを用いて、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から1000℃まで段階的に加熱した際の質量変化から水(付着水、結合水)を定量する。さらに熱重量−示差熱分析装置の排気ガスをモノエタノールアミンの10質量%水溶液を200ml入れた容量325mlの硬質ガラス製インピンジャーに導入して排気ガス中の二酸化炭素を吸収させる。排気ガス導入前後の質量変化から吸収した二酸化炭素を定量する。
定量した水は、モルタルあるいはコンクリートが未硬化のフレッシュ状態の場合は、乾燥機あるいは電子レンジ等を用いて加熱して蒸発する水が付着水及び自由水であり、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から600℃まで加熱した際に失われた質量がセメントの結合水と推定することができる。一方、モルタルあるいはコンクリートが硬化体の場合は、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から105℃まで加熱した際に失われた質量がセメントの付着水及び自由水、105℃〜600℃まで加熱した際に失われた質量がセメントの結合水と推定することができる。
下の反応式のように石灰石骨材の主成分である炭酸カルシウムは、900℃前後で熱分解し、酸化カルシウムと二酸化炭素になる。純度100%の石灰石からは理論的には44%の二酸化炭素が生成する。日本で産出し、コンクリート骨材用に使用されている石灰石の純度は平均約98%と非常に高純度である。したがって、モノエタノールアミンの10質量%水溶液に吸収された二酸化炭素量の(100÷44)×0.98=2.227倍が加熱したサンプル中の石灰石量(石灰石骨材量)と推定することが可能となる。
化学式 CaCO3 → CaO + CO2
分子量 100 56 44
以上のようにモルタルあるいはコンクリートの加熱による質量減量、水及び二酸化炭素の生成量を配合推定に使用することで従来より精度の高い配合推定が可能となる。
モルタルあるいはコンクリートが硬化体の場合は、目開き5〜10mmの非金属製ふるいを全通させたモルタルあるいはコンクリート硬化体の粗粉砕試料100gを清浄なタングステンカーバイド製ディスクミルを用いて目開き250μmの非金属製ふるいを全量が通過するまで微粉砕し、再縮分したサンプルを用いて、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から1000℃まで段階的に加熱した際の質量変化から水(付着水、結合水)を定量する。さらに熱重量−示差熱分析装置の排気ガスをモノエタノールアミンの10質量%水溶液を200ml入れた容量325mlの硬質ガラス製インピンジャーに導入して排気ガス中の二酸化炭素を吸収させる。排気ガス導入前後の質量変化から吸収した二酸化炭素を定量する。
定量した水は、モルタルあるいはコンクリートが未硬化のフレッシュ状態の場合は、乾燥機あるいは電子レンジ等を用いて加熱して蒸発する水が付着水及び自由水であり、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から600℃まで加熱した際に失われた質量がセメントの結合水と推定することができる。一方、モルタルあるいはコンクリートが硬化体の場合は、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から105℃まで加熱した際に失われた質量がセメントの付着水及び自由水、105℃〜600℃まで加熱した際に失われた質量がセメントの結合水と推定することができる。
下の反応式のように石灰石骨材の主成分である炭酸カルシウムは、900℃前後で熱分解し、酸化カルシウムと二酸化炭素になる。純度100%の石灰石からは理論的には44%の二酸化炭素が生成する。日本で産出し、コンクリート骨材用に使用されている石灰石の純度は平均約98%と非常に高純度である。したがって、モノエタノールアミンの10質量%水溶液に吸収された二酸化炭素量の(100÷44)×0.98=2.227倍が加熱したサンプル中の石灰石量(石灰石骨材量)と推定することが可能となる。
化学式 CaCO3 → CaO + CO2
分子量 100 56 44
以上のようにモルタルあるいはコンクリートの加熱による質量減量、水及び二酸化炭素の生成量を配合推定に使用することで従来より精度の高い配合推定が可能となる。
尚、本実施形態のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法は、上記構成により、上記利点を有するものであったが、本発明のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
[コンクリート用材料]
水硬性材料:高炉セメントB種(住友大阪セメント社製、ブレーン比表面積4000cm2/g、密度=3.05g/cm3)
細骨材:千葉県産富津産山砂(表乾密度=2.64g/cm3、吸水率=1.8%、FM=2.61)
粗骨材:高知県鳥形山産石灰岩砕石1305(表乾密度=2.65g/cm3、吸水率=1.2%、実積率=61%)
水:上水道水
AE剤:BASFポゾリス社製、商品名:マイクロエア101
水硬性材料:高炉セメントB種(住友大阪セメント社製、ブレーン比表面積4000cm2/g、密度=3.05g/cm3)
細骨材:千葉県産富津産山砂(表乾密度=2.64g/cm3、吸水率=1.8%、FM=2.61)
粗骨材:高知県鳥形山産石灰岩砕石1305(表乾密度=2.65g/cm3、吸水率=1.2%、実積率=61%)
水:上水道水
AE剤:BASFポゾリス社製、商品名:マイクロエア101
[配合推定用模擬コンクリートの単位容積質量]
150+375+766+1039=2330(kg/m3)
[配合推定用模擬コンクリート中の水硬性材料(高炉セメント)の含有量]
375÷2330×100=16.09(%)
150+375+766+1039=2330(kg/m3)
[配合推定用模擬コンクリート中の水硬性材料(高炉セメント)の含有量]
375÷2330×100=16.09(%)
上記材料を上記配合割合で、20℃恒温室内にて50lパン型ミキサを用いて120秒間練り混ぜて、練上り後、直ちに直径10cm×高さ20cmの供試体を作製し、封かん状態で28日間養生した。養生後、直径10cm×高さ20cmの供試体の圧縮強度を測定後、ハンマー及びジョークラッシャを用いて供試体1本全量を粗粉砕し、目開き5〜10mmのポリプロピレン樹脂製のふるいを全通させた。全通させたコンクリート硬化体の粉砕試料は、十分に攪拌して均一化させた後、正確に500gを採取し、測定用試料とした。
試料溶解用の希硝酸は、濃度約61%(約13.5mol/l)の有害重金属測定用硝酸を日本工業規格JIS K0557「化学分析用の水」に規定されるA2クラスの純水(蒸留水)で希釈し、約1mol/lに調整した。
局所換気装置を有するドラフトチャンバ(排気はガススクラバで浄化)内で、容量10lの清浄なポリエチレン製ビーカーに前述の測定用試料500gおよび約1mol/lの希硝酸5000mlを入れ、ガラス棒を用いて時々軽く攪拌しながら約3時間かけてコンクリートに含まれる水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた。
水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた溶液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。ホールピペットを用いてろ過後の溶液50mlを分取し、500mlのメスフラスコに移した後、誘導結合プラズマ発光分光分析法の内部標準物質として濃度1000mg/lのイットリウム(Y)水溶液を5ml加えてイットリウム(Y)濃度が10mg/lとなるように純水を加えて定容(メスアップ)した。
一方、水硬性材料である高炉セメントB種を縮分して正確に1gを秤量した。局所換気装置を有するドラフトチャンバ(排気はガススクラバで浄化)内で、容量100mlの清浄なガラス製ビーカーに水硬性材料である高炉セメントB種1g及び約1mol/lの希硝酸50mlを入れ、ガラス棒を用いて時々軽く攪拌しながら約1時間かけてコンクリートに含まれる水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた。
水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた溶液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。ホールピペットを用いてろ過後の溶液を20ml分取し、100mlのメスフラスコに移した後、誘導結合プラズマ発光分光分析法の内部標準物質として濃度1000mg/lのイットリウム(Y)水溶液を1ml加えてイットリウム(Y)濃度が10mg/lとなるように純水を加えて定容(メスアップ)した。
微量元素のうち亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(総クロム=T−Cr)、モリブデン(Mo)、ストロンチウム(Sr)、臭素(Br)、ほう素(B)の定量は、内部標準物質としてイットリウム(Y)を10mg/lの濃度となるように添加し、誘導結合プラズマ発光分光装置(Rigaku社製CCD−ICP発光分光分析装置CIROS MarkII)を用いて多元素同時定量した。
また、臭素(Br)、ふっ素(F)の定量は、試料溶液のpHが6〜8になるように1mol/lの高純度NaOH水溶液を加えて中和(調整)してから、日本工業規格JIS K 0557「化学分析用の水」に規定されるA2クラスの純水(蒸留水)でさらに20倍になるように希釈定容し、ナトリウム交換型陽イオン交換樹脂を充填した前処理フィルターを用いて妨害イオン(アルカリ土類金属および遷移金属イオン)を除去した後、イオンクロマトグラフィー装置(日本ダイオネクス社製ICS2000、分離カラム:IonPac AS12A)によって定量した。なお、臭素は臭化物イオン(Br-)として、ふっ素はふっ化物イオン(F-)として定量した。
下記表に、水硬性材料である高炉セメントB種及びコンクリート硬化体の微量元素の定量結果を示す。またコンクリート硬化体と水硬性材である高炉セメントB種から溶出した微量元素の比率、すなわち、水硬性材料である高炉セメントB種の微量元素の定量値をA、コンクリート硬化体の微量元素の定量値をBとした場合のB÷Aの値も示す。
試料溶解用の希硝酸は、濃度約61%(約13.5mol/l)の有害重金属測定用硝酸を日本工業規格JIS K0557「化学分析用の水」に規定されるA2クラスの純水(蒸留水)で希釈し、約1mol/lに調整した。
局所換気装置を有するドラフトチャンバ(排気はガススクラバで浄化)内で、容量10lの清浄なポリエチレン製ビーカーに前述の測定用試料500gおよび約1mol/lの希硝酸5000mlを入れ、ガラス棒を用いて時々軽く攪拌しながら約3時間かけてコンクリートに含まれる水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた。
水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた溶液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。ホールピペットを用いてろ過後の溶液50mlを分取し、500mlのメスフラスコに移した後、誘導結合プラズマ発光分光分析法の内部標準物質として濃度1000mg/lのイットリウム(Y)水溶液を5ml加えてイットリウム(Y)濃度が10mg/lとなるように純水を加えて定容(メスアップ)した。
一方、水硬性材料である高炉セメントB種を縮分して正確に1gを秤量した。局所換気装置を有するドラフトチャンバ(排気はガススクラバで浄化)内で、容量100mlの清浄なガラス製ビーカーに水硬性材料である高炉セメントB種1g及び約1mol/lの希硝酸50mlを入れ、ガラス棒を用いて時々軽く攪拌しながら約1時間かけてコンクリートに含まれる水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた。
水硬性材料中の酸可溶性成分を溶出させた溶液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。ホールピペットを用いてろ過後の溶液を20ml分取し、100mlのメスフラスコに移した後、誘導結合プラズマ発光分光分析法の内部標準物質として濃度1000mg/lのイットリウム(Y)水溶液を1ml加えてイットリウム(Y)濃度が10mg/lとなるように純水を加えて定容(メスアップ)した。
微量元素のうち亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(総クロム=T−Cr)、モリブデン(Mo)、ストロンチウム(Sr)、臭素(Br)、ほう素(B)の定量は、内部標準物質としてイットリウム(Y)を10mg/lの濃度となるように添加し、誘導結合プラズマ発光分光装置(Rigaku社製CCD−ICP発光分光分析装置CIROS MarkII)を用いて多元素同時定量した。
また、臭素(Br)、ふっ素(F)の定量は、試料溶液のpHが6〜8になるように1mol/lの高純度NaOH水溶液を加えて中和(調整)してから、日本工業規格JIS K 0557「化学分析用の水」に規定されるA2クラスの純水(蒸留水)でさらに20倍になるように希釈定容し、ナトリウム交換型陽イオン交換樹脂を充填した前処理フィルターを用いて妨害イオン(アルカリ土類金属および遷移金属イオン)を除去した後、イオンクロマトグラフィー装置(日本ダイオネクス社製ICS2000、分離カラム:IonPac AS12A)によって定量した。なお、臭素は臭化物イオン(Br-)として、ふっ素はふっ化物イオン(F-)として定量した。
下記表に、水硬性材料である高炉セメントB種及びコンクリート硬化体の微量元素の定量結果を示す。またコンクリート硬化体と水硬性材である高炉セメントB種から溶出した微量元素の比率、すなわち、水硬性材料である高炉セメントB種の微量元素の定量値をA、コンクリート硬化体の微量元素の定量値をBとした場合のB÷Aの値も示す。
(実施例1)
微量元素の定量値の絶対値が小さいと推定精度が低くなるため、100mg/kg未満の微量元素(本実施例1では鉛、銅、クロム、モリブデン、臭素、ほう素)を除外し、100mg/kg以上の微量元素(亜鉛、マンガン、ストロンチウム、ふっ素)のBとAの比率を平均すると0.1624となる。
コンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)にこの0.1624を乗じると水硬性材料の推定単位量は378(kg/m3)(実際は、375(kg/m3))となり、極めて精度が高いことがわかる。
微量元素の定量値の絶対値が小さいと推定精度が低くなるため、100mg/kg未満の微量元素(本実施例1では鉛、銅、クロム、モリブデン、臭素、ほう素)を除外し、100mg/kg以上の微量元素(亜鉛、マンガン、ストロンチウム、ふっ素)のBとAの比率を平均すると0.1624となる。
コンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)にこの0.1624を乗じると水硬性材料の推定単位量は378(kg/m3)(実際は、375(kg/m3))となり、極めて精度が高いことがわかる。
(実施例2)
全ての微量元素のBとAの比率を平均すると0.1755となる。
コンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)にこの0.1755を乗じると水硬性材料の推定単位量は409(kg/m3)(実際は、375(kg/m3))となった。
従って、実施例1は、実施例2に比して、極めて精度が高いことがわかる。
全ての微量元素のBとAの比率を平均すると0.1755となる。
コンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)にこの0.1755を乗じると水硬性材料の推定単位量は409(kg/m3)(実際は、375(kg/m3))となった。
従って、実施例1は、実施例2に比して、極めて精度が高いことがわかる。
目開き5〜10mmの非金属製ふるいを全通させたコンクリート硬化体の粗粉砕試料100gを、摩擦熱によって試料が100℃以上となり結合水が散逸しないように留意しながら、清浄なタングステンカーバイド製ディスクミルを用いて目開き250μmの非金属製ふるいを全量が通過するまで微粉砕し、再縮分したサンプル50mgを用いて、熱重量−示差熱分析法(TG−DTA)によって20℃から1000℃まで段階的に加熱し、さらに熱重量−示差熱分析装置の排気ガスをモノエタノールアミンの10質量%水溶液を200ml入れた容量325mlの硬質ガラス製インピンジャーに導入して排気ガス中の二酸化炭素を吸収させた。
その結果、熱重量−示差熱分析法によって20℃から105℃まで加熱して際に失われた質量1.1mgがセメントの付着水及び自由水、105℃〜600℃まで加熱して際に失われた質量2.1mgがセメントの結合水と推定することができ、サンプル50mg中に含まれる水の含有率(%)は、(1.1+2.1)mg÷50mg×100=6.4%と算出される。この水の含有率(%)にコンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)を乗ずることでサンプル中の水量(単位水量)kg/m3を推定することが可能となる。
またモノエタノールアミンの10質量%水溶液に吸収された二酸化炭素7.7mgから、二酸化炭素生成率(%)は、7.7mg÷50mg×100=15.4%と算出される。この二酸化炭素生成率(%)に2.227およびコンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)を乗ずることでサンプル中の石灰石量(石灰石骨材量)kg/m3を推定することが可能となる。
練混ぜ水の推定単位量=(1.1+2.1)÷50×2330
=149.12(kg/m3)
石灰石骨材の推定単位量=(7.7÷50)×2.227×2330
=778.34(kg/m3)
練混ぜ水の推定単位量は149(kg/m3)(実際は、150(kg/m3))、細骨材の推定単位量は778(kg/m3)(実際は、766(kg/m3))と精度が高いことがわかる。
その結果、熱重量−示差熱分析法によって20℃から105℃まで加熱して際に失われた質量1.1mgがセメントの付着水及び自由水、105℃〜600℃まで加熱して際に失われた質量2.1mgがセメントの結合水と推定することができ、サンプル50mg中に含まれる水の含有率(%)は、(1.1+2.1)mg÷50mg×100=6.4%と算出される。この水の含有率(%)にコンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)を乗ずることでサンプル中の水量(単位水量)kg/m3を推定することが可能となる。
またモノエタノールアミンの10質量%水溶液に吸収された二酸化炭素7.7mgから、二酸化炭素生成率(%)は、7.7mg÷50mg×100=15.4%と算出される。この二酸化炭素生成率(%)に2.227およびコンクリートの単位容積質量2330(kg/m3)を乗ずることでサンプル中の石灰石量(石灰石骨材量)kg/m3を推定することが可能となる。
練混ぜ水の推定単位量=(1.1+2.1)÷50×2330
=149.12(kg/m3)
石灰石骨材の推定単位量=(7.7÷50)×2.227×2330
=778.34(kg/m3)
練混ぜ水の推定単位量は149(kg/m3)(実際は、150(kg/m3))、細骨材の推定単位量は778(kg/m3)(実際は、766(kg/m3))と精度が高いことがわかる。
Claims (5)
- 前記微量元素が、亜鉛、鉛、銅、マンガン、クロム、モリブデン、ストロンチウム、臭素、ふっ素、及びほう素からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法。
- 前記モルタルあるいはコンクリートの微量元素として、前記用いた水硬性材料における含有量の定量値が100mg/kg以上の微量元素のみを用いることを特徴とする請求項1及び2記載のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法。
- 前記定量に於いて、モルタルあるいはコンクリートを希硝酸で溶解し、該溶解液に含まれる微量元素を誘導結合プラズマ発光分光法、誘導結合プラズマ質量法、フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法、及びイオンクロマトグラフィー法からなる群より選ばれた少なくとも1種の方法で測定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法。
- モルタルあるいはコンクリートを20℃から1000℃まで段階的に加熱した際のモルタルあるいはコンクリートの分析サンプル質量当たりの水の生成量(D)質量%及び二酸化炭素の生成量(E)質量%を測定し、該モルタルあるいはコンクリートの分析サンプル質量当たりの水の生成量(D)質量%と、前記モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式2から、モルタルあるいはコンクリートの作製の際に用いられた練り混ぜ水の単位量(W)kg/m3を算出し、前記モルタルあるいはコンクリートの分析サンプル質量当たりの二酸化炭素の生成量(E)質量%と、前記モルタルあるいはコンクリートの単位容積質量(C)kg/m3とを用い、下記数式3から、モルタルあるいはコンクリートの作製の際に用いられた石灰石骨材の単位量(V)kg/m3を算出することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のモルタルあるいはコンクリートの配合推定方法。
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---|---|---|---|---|
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JP2015081209A (ja) * | 2013-10-22 | 2015-04-27 | 宇部興産株式会社 | 低水和熱セメント組成物及びその製造方法 |
CN113125296A (zh) * | 2019-12-31 | 2021-07-16 | 江苏苏博特新材料股份有限公司 | 一种硬化混凝土初始配合比的测试方法 |
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-
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