JP5072000B2 - 高アルミネートクリンカの製造方法 - Google Patents

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この発明は、高アルミネートクリンカの製造方法、詳しくは主に土木建築の分野で利用され、流動性および強度発現性に優れてアルミネートの含有率が高い高アルミネートクリンカの製造方法に関する。
セメントの製造工程では、かねてより廃棄物問題の解決を目指して、セメント原料に都市ごみ焼却灰や下水汚泥を投入したり、セメントクリンカの焼成用の燃料の一部として廃タイヤなどを利用することが行われてきた。近年、資源循環型社会を構築するという国家的プロジェクトの実現の気運が高まっており、産業廃棄物・副産物の使用量のさらなる増加が望まれている。セメント原料として使用可能な廃棄物の大半は、アルミニウムの含有量が多い。そのため、廃棄物は粘土原料の代替物として利用されている。したがって、廃棄物原料の使用量を増加させるほど、セメントクリンカの化学組成はアルミニウムに富んだものとなる。
こうしてセメントクリンカが高アルミネート化すると、セメントクリンカの化合物組成も変化して行く。すなわち、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al)およびカルシウムアルミノフェライト(4CaO・Al・Fe)の含有量が増加する。アルミン酸三カルシウムは水和活性が著しく高い。そのため、得られたセメントに水などを加えて練り混ぜてコンクリートとしたとき、その流動性が低下する。
総務そこで、アルミン酸三カルシウムを多量に含むセメントを使用したコンクリートの流動性を改善する方法として、例えば特許文献1が知られている。これは、セメントクリンカ中のアルミン酸三カルシウム含有量に対する半水石膏含有量の割合を規定したものである。
また、前記廃棄物および副産物の中には、酸化リン(P)を含有するものが存在する。酸化リンは、コンクリートなどのセメント系水硬物の圧縮強さを低下させる成分として知られている。そこで、酸化リンによるセメント系硬化物の強度低下を抑えるため、酸化リンの含有量および酸化マグネシウム(MgO)の含有量を規定した特許文献2、および、酸化リン含有量、水硬率HM、けい酸率SMおよび酸化マグネシウム含有量を規定した特許文献3がそれぞれ知られている。
特開2004−352516号公報 特開2000−272939号公報 特開2002−265242号公報
しかしながら、特許文献1において、セメント製造工場で入手される石膏はもっぱら二水石膏である。そのため、従来では、二水石膏を脱水して半水石膏に変化させるために何らかの熱エネルギ源が必要であった。
また、上述したように特許文献2および特許文献3には、酸化リンによるセメント系水硬物の強度低下を抑えるため、酸化リンの含有量および酸化マグネシウムの含有量を規定したり(特許文献2)、酸化リン含有量、水硬率HM、けい酸率SMおよび酸化マグネシウム含有量を規定する(特許文献3)ことが記載されている。しかしながら、廃棄物・副産物の使用によりアルミン酸三カルシウムの含有量が増加する点ついては、言及されていなかった。しかも、これについての解決策も開示されていなかった。
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、アルミニウムを多量に含むセメント原料にリンを共存させると、アルミニウムとリンとが共同して安定的にケイ素と置換し、ケイ酸三カルシウムおよびケイ酸二カルシウムに対してのアルミニウムの固溶量を増やすことができることを発見した。しかも、セメント原料にリンを添加すれば、セメント系水硬物に強度低下が発生することが知られている。これには、アルミニウムを固溶したケイ酸三カルシウムは水和反応性に富むことから、リンの固溶と同時にアルミニウムも固溶するように組成が調製されたセメントであれば、リンによる強度の低下を相殺し、これを回避することが可能であることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、セメントクリンカ中のアルミニウム含有量が増加しても、石膏添加量を増加させることなく硬化前のセメント系水硬物の流動性を発現させることができ、かつ、セメントクリンカ中のリン含有量が増加しても、水硬率を増加させることなくセメント系水硬物の強度発現性が良好な高アルミネートセメントクリンカの製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、(1)式で求められたアルミン酸三カルシウムが12〜14質量%で、かつ普通ポルトランドセメントの原料の一部となるセメントクリンカを得るためのセメント原料に、前記セメントクリンカ中の含有量が、P換算で0.5〜2.0質量%となるリンを添加するリン添加工程と、
該リンの添加後または該リンの添加と同時に、前記セメント原料を加熱してセメントクリンカを焼成する焼成工程とを備えた高アルミネートセメントクリンカの製造方法。
[アルミン酸三カルシウム含有量]=
2.65×[Al含有量]−1.69×[Fe含有量] (1)
ここで、
(1)式中の[Al含有量]は、セメントクリンカ中のAl換算のアルミニウム含有量(単位:質量%)、
(1)式中の[Fe含有量]は、セメントクリンカ中のFe換算の鉄含有量(単位:質量%)とする。
請求項1に記載の発明によれば、アルミン酸三カルシウム含有量が12〜14質量%となるセメントクリンカを得るために必要なセメント原料に対し、このセメントクリンカ中のリン含有量が、P換算で0.5〜2.0質量%となるリンを添加し、高アルミネートセメントクリンカを焼成する。
アルミニウムの含有量が多いセメント原料にリンを添加すれば、アルミニウムとリンとが共同し、これが安定的にケイ素と置換される。その結果、ケイ酸三カルシウムおよびケイ酸二カルシウムに対するアルミニウムの固溶量を増大させることができる。
ところで、このようにセメント原料にリンを添加すれば、コンクリートなどのセメント系水硬物の強度低下が発生する。しかしながら、アルミニウムが固溶されたケイ酸三カルシウムは水和反応性に富んだものである。そこで、セメント原料の組成を、リンの固溶と同時にアルミニウムも固溶するように調整することで、リンの添加によるセメント系水硬物の強度低下を相殺することができ、これを回避することが可能となる。
セメントクリンカの原料としては、一般のセメント原料、すなわち、石灰石などのカルシウムを含む原料、ケイ石、鋳物砂、廃ガラスなどのケイ素を含む原料、粘土、石炭灰、焼却灰、汚泥、建設残土などのアルミニウムを含む原料、鉄鉱石、銅スラグ、高炉ダストなどの鉄を含む原料などを採用することができる。
焼成用の燃料としては、一般のセメントクリンカ焼成用燃料、すなわち、重油、石炭、天然ガス、石油コークス、木材などの発熱量の高いものを採用することができる。各種のセメント原料を所定の配合で粉砕して混合し、これらを公知の燃料により焼成したセメントクリンカにあっては、何ら対策を講じなければ、アルミン酸三カルシウム含有量が10質量%を超えて含まれる。アルミン酸三カルシウム含有量(質量%)は、次の(1)式で求める。
[アルミン酸三カルシウム含有量]=
2.65×[Al含有量]−1.69×[Fe含有量] (1) ここで、
(1)式中の[Al含有量]は、セメントクリンカ中のAl換算のアルミニウム含有量(単位:質量%)、
(1)式中の[Fe含有量]は、セメントクリンカ中のFe換算の鉄含有量(単位:質量%)である。
これは、日本工業規格JIS R 5210「ポルトランドセメント」による。
公知のセメントのように、上記アルミン酸三カルシウム含有量が10質量%未満であれば、石膏の添加量の調整により、硬化前のセメント系水硬物の流動性を確保することができる。そのため、10質量%未満では、セメントクリンカ中のアルムニウム含有量は問題にならない。そこで、ここではアルミン酸三カルシウム含有量を10質量%以上となるように規定している。ただし、アルミン酸三カルシウム含有量が14質量%を超える範囲でのこの発明の効果は確認していない。そのため、ここではアルミン酸三カルシウム含有量は、12〜14質量%と規定している。
リンを含有したセメント原料または焼成燃料としては、無機リン酸および有機リン酸の他、これらを含む各種鉱石、下水汚泥、下水汚泥焼却灰、肉骨粉、動物廃棄物、産業廃棄物および一般廃棄物などを採用することができる。これらのセメント原料および焼成燃料を、セメントクリンカの水硬率、ケイ酸率および鉄率が所定の値となり、かつ、上記(1) 式に適合するように配合し、この配合物を1200〜1550℃で焼成することによりセメントクリンカが製造される。
セメント原料を混合する装置は限定されない。例えば、公知の混合装置でもよい。
また、セメントの焼成装置は限定されない。例えば、ロータリーキルンなど装置を採用することができる。
なお、ここではセメント原料中の鉄含有量は規定していないが、好ましい鉄含有量は酸化鉄(Fe)換算で、2.5〜3.5質量%である。また、セメントクリンカ中のアルミニウム含有量と鉄含有量とを特定する指標として、鉄率IM(Al換算のアルミニウム含有量(質量%)と、Fe換算の鉄含有量(質量%)の比)とが知られている。これらについても特に限定はしないが、上記鉄含有量の範囲より、好ましい鉄率は鉄含有量より1.7〜2.8である。
このように、アルミン酸三カルシウムが増加する範囲でリンを添加すれば、硬化前のセメント系水硬物の流動性が改善される。以下、その理由を説明する。すなわち、セメントクリンカ中のアルミニウムは、アルミン酸三カルシウムおよびカルシウムアルミノフェライトを生成する他、ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO)およびケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO)のケイ素と、少量だけ置換して固溶することが可能となる。ここでリン、ケイ素およびアルミニウムのイオン半径は、それぞれ31pm、40pmおよび53pmである。
そして、アルミニウムとケイ素とのイオン半径差が大きいことから、アルミニウム単独でのケイ素との置換は不安定となる。その結果、ケイ酸三カルシウムおよびケイ酸二カルシウムへのアルミニウムの固溶量は、ごく少量となる。しかしながら、リンとアルミニウムの平均イオン半径は、ケイ素のイオン半径とほぼ等しい。よって、アルミニウムを多量に含むセメント原料にリンを共存させると、これらが共同して安定的にケイ素と置換できるようになる。したがって、ケイ酸三カルシウムおよびケイ酸二カルシウムへのアルミニウムの固溶量を増やすことができる。すなわち、セメントクリンカ中のリンには、次式に示す置換反応によってケイ酸三カルシウムおよびケイ酸二カルシウムに固溶するアルミニウムの含有量を増やす作用を有している。
エーライト:CaSiO+x[PO3− +x[AlO5−
→ Ca(Si1−2xAl)O+2x[SiO4− (2)
ビーライト:CaSiO+x[PO3−+x[AlO5−
→ Ca(Si1−2x Al)O+2x[SiO4− (3)
ここで、xは0.5以下の正の数である。
以上の理由により、セメントクリンカにリンを添加すれば、本来、アルミン酸三カルシウムの生成に消費されるアルミニウムが、エーライトおよびビーライトの生成に消費される。これにより、アルミン酸三カルシウムの生成量を減らすことができる。したがって、リンの添加により硬化前のセメント系水硬物の流動性の低下が抑制される。
ケイ酸三カルシウムおよびケイ酸二カルシウムへのアルミニウムの固溶反応では、アルミニウム1原子およびリン1原子がケイ素2原子と置換される。アルミン酸三カルシウムの式量は270、酸化アルミニウム(Al)の式量は102、酸化りん(P)の式量は142である。したがって、セメントクリンカ中のアルミン酸三カルシウムを1質量%軽減させるために必要なセメントクリンカ中のリン含有量の理論値は、P換算で(102/270)×(142/102)=0.526質量%である。
リン含有量が0.2質量%以上でアルミン酸三カルシウム含有量の増加に起因する硬化前のセメント系水硬物の流動性の低下が軽減される。これを踏まえて、請求項1ではリン含有量を0.5質量%以上としている。
ところで、このようにセメントクリンカにリンを加えれば、セメント系水硬物の強度低下が懸念される。しかしながら、アルミニウムを固溶したケイ酸三カルシウムは水和反応性に富む。すなわち、リンと同時にアルミニウムが同時に固溶するように調製されたセメントであれば、このリンによる強度低下を相殺し、これを回避することができる。
セメントクリンカ中のリン含有量が2.0質量%を超えると、セメントクリンカの焼成反応性が低下し、遊離酸化カルシウムが未反応のまま残存する。これにより、セメントクリンカ焼成時の燃料原単位の増加および材齢28日のセメントの圧縮強さの低下が生じるおそれがある。
本発明によれば、(1)式により求められたアルミン酸三カルシウムが12〜14質量%、リンがP換算で0.5〜2.0質量%それぞれ含有された高アルミネートセメントクリンカが得られる。
[アルミン酸三カルシウム含有量]=
2.65×[Al含有量]−1.69×[Fe含有量] (1)
ここで、
(1)式中の[Al含有量]は、セメントクリンカ中のAl換算のアルミニウム含有量(単位:質量%)、
(1)式中の[Fe含有量]は、セメントクリンカ中のFe換算の鉄含有量(単位:質量%)とする。
この発明によれば、アルミニウム、鉄およびリンを所定含有量に調整した高アルミネートセメントクリンカが得られる。
また、この発明により得られたものは、高アルミネートセメントクリンカを原料の一部として製造されたポルトランドセメントとした方が望ましい
このようにすれば、高アルミネートセメントクリンカに、石膏および必要により公知のセメントクリンカを加え、これらを粉砕することでポルトランドセメントが得られる。
ポルトランドセメントの種類としては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントなどを採用することができる。
また、必要により添加される公知のセメントクリンカとしては、普通ポルトランドセメント用クリンカ、早強ポルトランドセメント用クリンカ、中庸熱ポルトランドセメント用クリンカ、低熱ポルトランドセメント用クリンカなどを採用することができる。
石膏としては、二水石膏、半水石膏、無水石膏などを単独またはこれらの二つ以上を組み合わせて使用することができる。
最終的に製造されるポルトランドセメントに、この発明により得られたセメントクリンカの粉砕物が含まれていれば、高アルミネートセメントクリンカ、公知のセメントクリンカ、石膏、添加剤のうちの一つ以上を別に粉砕(混合・粉砕)した粉砕物を作製し、複数の粉砕物をさらに混合または粉砕してポルトランドセメントを製造したものでもよい。
最終的に製造されるポルトランドセメント中の石膏量は、セメント系水硬物の寸法の安定性の観点から7.5質量%以下が好ましい。
ポルトランドセメントの粉末度は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に定められているブレーン空気透過法による比表面積値が2500〜5000cm/gである。2500cm/g未満では、硬化前の水硬物の硬化(凝結)の遅延や水硬物の強さの低下という不都合が生じる。また、5000cm/gを超えると、硬化前の水硬物の流動性の低下という不都合が生じる。
ポルトランドセメントの使用時には、硬化前のセメント系水硬物の流動性および硬化後のセメント系水硬物の強度発現性などの観点から、各種のコンクリート用化学混和剤、すなわち、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤などを添加することができる。
コンクリート用化学混和剤の添加量は、ポルトランドセメント100重量部に対して、0.1〜5重量部である。0.1重量部未満では、コンクリート用化学混和剤の効果が十分に発現しない。また、5重量部を超えると、硬化前の水硬物の硬化の遅延や水硬物の強さの低下という不都合が生じる。
この発明により得られた高アルミネートセメントクリンカは、これを原料の一部として製造された混合セメントとした方が望ましい。
この場合、高アルミネートセメントクリンカに、石膏、公知のセメントクリンカ、石灰石、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ質混合材、シリカフュームなどの混合材料およびジ−エチレングリコールなどの添加剤を適宜加えて粉砕することで、混合セメントを製造する。
また、最終的に製造される混合セメントにこの発明により得られたセメントクリンカの粉砕物が含まれていれば、ポルトランドセメント、公知のセメントクリンカ、石膏、混合材料、添加剤のうちの一つ以上を別に粉砕(混合・粉砕)した粉砕物を作製し、複数の粉砕物をさらに混合または粉砕して混合セメントを製造したものでもよい。
最終的に製造される混合セメント中の石膏量、混合セメントの粉末度、コンクリート用化学混和剤の種類および化学混和剤の添加量については、前述した高アルミネートセメントクリンカを原料の一部として製造されたポルトランドセメントの場合に記載された内容とそれぞれ同じである。
請求項1に記載された高アルミネートセメントクリンカの製造方法によれば、アルミン酸三カルシウム含有量が12〜14質量%となるセメントクリンカを得るセメント原料に対し、セメントクリンカ中の含有量が、P換算で0.5〜2.0質量%となるリンを添加するので、セメントクリンカ中のアルミニウム含有量が増加しても、石膏添加量を増加させることなく硬化前のセメント系水硬物の流動性を発現させることができる。しかも、セメントクリンカ中のリン含有量が増えても、水硬率を増加させることなくセメント系水硬物の強度発現性を良好とすることができる。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ただし、この発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜5、参考例1〜6、比較例1〜4〕
以下の手順により、高アルミネートセメントクリンカを実際に製造した。
すなわち、セメント原料である(A)石灰石(埼玉県横瀬町産)、(B)粘土(埼玉県秩父市産)、(C)鉄原料(三菱マテリアル株式会社製)および(D)珪石(埼玉県東秩父村産)を、CA(アルミン酸三カルシウム)が10質量%の場合には(A)77.70:(B)11.67:(C)1.02:(D)9.60(重量比、以下同じ)で配合し、CAが12質量%の場合には77.44:13.85:0.64:8.08で配合し、CAが14質量%の場合には77.18:16.01:0.26:6.56で配合した。これらの配合物を多数の鉄ボールが収納された原料ミルにそれぞれ投入し、300℃程度で、ブレーン空気透過法による比表面積値が5000cm/g程度になるまで粉砕した。得られたセメント原料粉は、実施例および比較例の数分に配し、これらに関東化学株式会社製のオルトリン酸(純薬)を0.13〜2.2重量%の範囲で適宜添加した。
それから、この調合されたセメント原料粉を個別に電気炉に投入し、何れも1450℃で90分間の焼成後、空冷式のクリンカクーラを用いて急冷し、セメントクリンカをそれぞれ得た。
次に、各セメントクリンカをジョークラッシャにより呼び寸法3.4mmの篩を全通するまでそれぞれ粉砕し、各セメントクリンカの粉砕物に対して、石膏を外割で2.5質量%添加し、ブレーン空気透過法による比表面積値が3200±50cm/gとなるまで、直径20mmの多数の鉄ボールが収納されたボールミルにより粉砕することで、それぞれ普通ポルトランドセメントとした。
得られたセメントクリンカの焼成反応性を、セメント協会標準試験方法JCAS I−01「遊離酸化カルシウムの定含有量方法」の遊離酸化カルシウム含有量により比較した。また、セメントの流動性および材齢28日の強さを日本工業規格JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に記載の「フロー試験」および「強さ試験」によって比較した。結果を表1に示す。
Figure 0005072000
比較例2に対して実施例1〜3、および、比較例3に対して実施例4,5ではPの増加によって流動性が改善されるとともに、強さも同程度以上となった。また、クリンカの焼成反応性も大きく変化しないことが判った。なお、比較例1〜3は天然の原料に由来する0.1質量%のリンを含有している。一方、比較例4はリン含有量が2.0質量%を超えるセメントである。この場合には、セメントクリンカの焼成反応性が低下し、遊離酸化カルシウム含有量が増加し、材齢28日の強度の低下が著しかった。また、表1中の評価は、これらの試験結果を総評したもので、○が良好、×ば不良とした。

Claims (1)

  1. (1)式で求められたアルミン酸三カルシウムが12〜14質量%で、かつ普通ポルトランドセメントの原料の一部となるセメントクリンカを得るためのセメント原料に、前記セメントクリンカ中の含有量が、P換算で0.5〜2.0質量%となるリンを添加するリン添加工程と、
    該リンの添加後または該リンの添加と同時に、前記セメント原料を加熱してセメントクリンカを焼成する焼成工程とを備えた高アルミネートセメントクリンカの製造方法。
    [アルミン酸三カルシウム含有量]=
    2.65×[Al含有量]−1.69×[Fe含有量] (1)
    ここで、
    (1)式中の[Al含有量]は、セメントクリンカ中のAl換算のアルミニウム含有量(単位:質量%)、
    (1)式中の[Fe含有量]は、セメントクリンカ中のFe換算の鉄含有量(単位:質量%)である。
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