JP4772231B2 - クロロプレン重合体の製造方法とその組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロロプレン重合体の製造方法に関するものであり、重合速度の制御、ラテックス粒子径の制御、ラテックスの安定性の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、2−クロロ−1,3−ブタジエン以外の単量体、例えばスチレン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等のラジカル重合においては、ラテックス粒子径の制御、重合速度向上の目的から、アルコール類を添加する技術についてが多数研究され、報告されている。
「Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.39, No.6, 2001, page.898〜912」では、開始剤として過硫酸ナトリウム、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて、3種類のアルコール類(1−ブタノール,1−ペンタノール,1−ヘキサノール)の存在下、スチレンのラジカル乳化重合について報告している。
「Polymeric Materials Science and Engineering, Vol.80, 1999, page.554〜555」では、レドックス系開始剤として過硫酸アンモニウム−N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて、1−ペンタノールの存在下、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレンのラジカル乳化重合について報告している。
「Journal of Applied Polymer Science, Vol.68, No.12, 1998, page.2029〜2039」では、レドックス系開始剤として過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素ナトリウム、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて、セチルアルコール(即ち1−ヘキサデカノール)の存在下、アクリル酸ブチル、スチレンのラジカル乳化重合について報告している。
「Polymer, Vol.37, No.12, 1996, page.2509〜2516」では、レドックス系開始剤としてキュメンハイドロパーオキサイド−硫酸第一鉄、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウムを用いて、セチルアルコール(即ち1−ヘキサデカノール)の存在下、スチレンのラジカル乳化重合について報告している。
【0003】
2−クロロ−1,3−ブタジエンのラジカル重合において、ラテックス粒子径の制御、重合速度向上の目的でアルコール類を使用する例は見つからない。
2−クロロ−1,3−ブタジエンのラジカル重合時のアルコール類の添加に関しては、特開平6−145426公報(出願人:ロード・コーポレーション)で、ブタジエン系単量体を、ポリビニルアルコールと、安定化溶媒として水との混和性を示すアルコール類の存在下で懸濁または乳化重合する技術が提案されている。この公報に記載された技術は、ラテックス及び接着剤の成膜特性の改良を目的としており、本発明で課題としているラテックス粒子径及び/または重合速度の制御には結び付かない。また、この公報では、アルコール類の好適な添加量を、単量体100質量部に対して10〜100質量部としているが、これでは添加量が多過ぎ、揮発性有機溶剤低減が要求されている現在では、問題のある技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ラテックス粒子径を制御し、重合速度を高め、安定で生産性に優れたクロロプレン重合体の新規な重合方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む単量体の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部未満のアルコール類の存在下において、2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む単量体混合物をラジカル重合することで、ラテックス粒子径を小さく、重合速度が速い、クロロプレン重合体の製造方法を発明した。
【0006】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明における単量体は、2−クロロ−1,3−ブタジエン単独、または2−クロロ−1,3−ブタジエンを必須単量体として含む複数の単量体混合物である。
2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類等が挙げられる。そして、これらを2種類以上共重合させても構わない。
【0007】
本発明のクロロプレン重合体は、硫黄変性クロロプレン重合体も含む。2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む単量体の合計100質量部に対して、硫黄を0.2〜2質量部添加し、ラジカル重合反応を開始することで、引張強度、耐屈曲疲労性、耐摩耗性、動的特性に優れた硫黄変性クロロプレン重合体を得ることができる。本来、硫黄自体に、重合速度を遅延させる作用があり、硫黄が存在する系の重合速度は、硫黄が存在しない系よりも遅くなることが知られている。本発明は、硫黄が存在する反応系において、特に顕著な有効性を示し、効率よく重合速度を上げることが可能である。
【0008】
本発明の乳化重合に使用される乳化剤及び/または分散剤は特に限定するものではなく、乳化重合に通常使用される各種アニオン型、ノニオン型、カチオン型乳化剤が使用できる。アニオン型の乳化剤としては、カルボン酸型、硫酸エステル型等があり、例えば、ロジン酸及びロジン酸のアルカリ金属塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルホネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドの縮合物等が挙げられる。ノニオン型の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルまたはその共重合体(例えば、マレイン酸との共重合体)、ポリビニルピロリドンまたはその共重合体(例えば、酢酸ビニルとの共重合体)、あるいは、これら(共)重合体を化学修飾したもの、あるいはセルロース系誘導体(ヒドロキシエチルセルロース)等を挙げることができる。ここで、ポリビニルアルコールの鹸化度、重合度は特に限定されるものではないが、鹸化度が60〜95モル%、重合度が200〜700のものが好適である。また、ここで言うポリビニルアルコールは、変性タイプ(例えば、アクリルアミドとの共重合体、アセトアセチル化されたタイプ、ポリエチレン単位を有するタイプ(通常RSタイプと呼ばれている))であっても構わない。
カチオン型の具体例としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩等があり、例えば、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0009】
本発明に用いられる乳化剤としては、重合中の乳化状態の安定性に優れるロジン酸類のアルカリ金属塩が最も好ましい。ここで、ロジン酸類とは、松ヤニの非揮発性樹脂(通称ロジン)のことであり、詳細には、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、コムン酸、アンチコパル酸、ランベルチアン酸、ジヒドロアガト酸、アセチルイソキュプレシン酸等の三環式樹脂酸の混合物である。これらの三環式樹脂酸の組成比は、原料(原木)や産地、加工方法等によって変わるものであり、特に制限されない。
特にアビエチン酸が30質量%以上のものが工業的に入手し易く好ましい。
【0010】
本発明における乳化剤及び/または分散剤の添加量は、初期仕込み単量体の合計100質量部に対して0.2〜10質量部が好ましい。0.2質量部未満の場合には、乳化力が十分でなく、10質量部を超えると、ラテックスから仕上げたゴムの物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0011】
本発明におけるアルコール類とは、鎖式または脂環式の炭化水素の水素原子をヒドロキシル基で置換したものである。分子内のヒドロキシル基の数、分子内のヒドロキシル基の位置は限定されない。また、低級アルコール(炭素数5以下)、高級アルコール(炭素数6以上)でもよく、分子内に不飽和結合を有していてもよい。
【0012】
特に、アルコール類が、20℃における水に対する溶解度が1g/100g以下である、実質的に水に不溶なアルコール類が好ましく、さらに、下式(2)で表される飽和一価アルコールであれば、一層重合速度を高めることができ好ましい。
【0013】
【化2】
【0014】
上式(2)で表されるアルコール類としては、具体的には、1−プロパノール(n=3)、2−プロパノール(n=3)、1−ブタノール(n=4)、1−ペンタノール(n=5)、1−ヘキサノール(n=6)、1−ヘプタノール(n=7)、2−ヘプタノール(n=7)、3−ヘプタノール(n=7)、4−ヘプタノール(n=7)、1−オクタノール(n=8)、2−オクタノール(n=8)、1−ノナノール(n=9)、2−ノナノール(n=9)、1−デカノール(n=10)、1−ウンデカノール(n=11)、1−ドデカノール(即ちラウリルアルコール,n=12)、1−ヘキサデカノール(即ちセチルアルコール,n=16)、ステアリルアルコール(n=18)等が挙げられる。
【0015】
アルコール類の添加量は、2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む単量体の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部未満である。この範囲であれば、重合速度に対して最も良好な効果が得られる。
【0016】
乳化重合を安定かつ安全に進行させるために必要な、乳化液のpH、水の仕込み量、単量体の仕込み方法等の仕込み条件は特に限定されない。単量体及び/または乳化剤の種類に応じて、適切に選択すればよい。
【0017】
また、水の量は、単量体の合計100質量部に対して、80〜250質量部、好ましくは90〜150質量部である。80質量部未満では、ラテックス粒子が凝集し易くなる。また250質量部を越えると、ラテックスの固形分が低くなり、その結果、ラテックスを濃縮したり、ラテックス中の重合体を凍結や乾燥等によって固形物(シートやペレットやチップ等)に仕上げる工程で生産性が悪くなる。
【0018】
重合開始剤としては通常のラジカル重合で用いられる過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が用いられる。また、還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤であってもよい。
【0019】
本発明におけるクロロプレン重合体の連鎖移動剤の種類は特に限定されるものではなく、通常2−クロロ−1,3−ブタジエンの乳化重合に使用されるものが使用できるが、例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
【0020】
重合率は、実用的見地から転化率50〜100%の範囲で行われ、ついで重合禁止剤を加えて停止させる。
重合体の重合停止剤(重合禁止剤)は、例えば、2,6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、ヒドロキシルアミン等が使用できる。
安定な重合をおこなうために、重合温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは0〜55℃である。
【0021】
本発明におけるラテックス平均粒子径は、レーザー回折散乱法(レーザー回折法とも言う)によるD50%粒子径(体積基準による累積粒子分布が50%となる粒子径=中位径またはメディアン径とも呼ぶ)が、20nm以上150nm未満であることが好ましい。平均粒子径が20nm未満または150nm以上の場合には、ラテックスの乳化安定性が悪くなる場合がある。
さらに重合速度を速めるためには、ラテックスの最大径が、50nm以上300nm未満であることが好ましい。最大粒子径が50nm未満または300nm以上の場合には、ラテックスの乳化安定性が悪くなる場合がある。
【0022】
レーザー回折散乱法とは、分散媒中に分散した粒子にレーザー光を当てて、レーザー光の回折/散乱光の強度パターンが粒子の大きさに依存することを利用して、これらを観測して、フラウンフォーファ(Fraunhofer)回折理論や、ミー(Mie)散乱理論を用いて粒度分布を求める方法のことである。
市販測定機器としては、SALD−2000(島津製作所株式会社製)、LA−910W(堀場製作所株式会社製)、LA−920(堀場製作所株式会社製)、コールターLS(コールター株式会社製)、コールターN4プラス型サブミクロン粒子アナライザー(コールター株式会社製)、Microtrac UPA(日機装株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
なお、測定時点での試料ラテックスに含まれる未反応単量体の量は関係なく、重合反応中、重合反応停止後、減圧加温等により単量体を除去した後のいずれのラテックスでも良い。
【0024】
本発明で製造されたクロロプレン重合体の用途は特に限定されない。従来のクロロプレン重合体の用途と同じである。
本発明のクロロプレン重合体のラテックスを、凍結凝固や塩析等によって重合体を単離し、水洗、乾燥させれば、固形に仕上げることができる。これを公知の加硫や発泡(独立気泡,連続気泡)や成形技術によって様々な農工業用資材に加工できるほか、適切な有機溶剤に溶解させることで溶剤系接着剤や溶剤系塗料、溶剤系バインダー等に利用できる。
また、例えば、クロロプレン重合体のラテックスに、必要に応じて、粘着付与樹脂、可塑剤、増粘剤、硬化剤(加硫剤)、加硫促進剤等を配合することで、水系接着剤、レゾルシンホルムアルデヒドラテックス接着剤(RFL接着剤)、水系塗料、艶消し剤、コーティング剤(被覆剤)、表面処理剤、塗膜防水剤、ゴムチップや砂や各種粉砕粉等の粉末物を成型するための粘結剤(バインダー)、カーペット加工等の繊維や布帛の処理剤(バインダー)、手袋や避妊具等の浸漬製品、履き物の防水処理剤、土砂流出防止(土砂飛散防止)ラテックス、地面やマットに種子や肥料や土を固定するための植生用ラテックス、コンクリート改質剤、アスファルト改質剤等に使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0026】
[実施例1]
蒸留水130質量部に、ロジン酸ナトリウム(ハリマ化成株式会社製)を3.5質量部、水酸化ナトリウムを0.3質量部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物を1.0質量部を40℃で溶解させ、ロジン酸塩水溶液を作製した。
2−クロロ−1,3−ブタジエン100質量部に、硫黄0.5質量部、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)2質量部を溶解させて、単量体溶液を作製した。
内容積5リットルの反応器に、ロジン酸塩水溶液と単量体溶液を仕込み、窒素雰囲気中で、35℃に保持しながら10分間撹拌して乳化させた。その後、30分間かけて40℃に昇温し、液温が40℃に安定したところで、重合開始剤として、過硫酸カリウムの2質量%水溶液を、毎分0.015質量部(wet)の速度で滴下し、重合反応を開始した。
転化率70質量%に達した時点で、クロロプレン単量体、蒸留水、チオジフェニルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンを含む乳濁液を添加して、重合を終了させた。
下記の方法によって重合速度及びラテックス粒子径を測定した。
【0027】
[重合速度計算]
重合開始剤の滴下を開始してから、0時間、0.5時間、1.0時間、1.5時間後の比重(ρ)を測定した。そのデータを基に、最小二乗法によって、1時間当たりの比重の変化(Δρ/hr)を計算した。
【0028】
[粒子径測定]
重合反応を終了させた直後のラテックスを、固形分濃度が0.05質量%となるように蒸留水で希釈調整し、Microtrac UPA(日機装株式会社製)によって、平均粒子径、最大粒子径を測定した。
【0029】
[実施例2]
実施例1のセチルアルコール2質量部を、1−ヘキサノール0.8質量部に置き換えた以外は全て実施例1と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0030】
[実施例3]
実施例1のセチルアルコール2質量部を、1−ペンタノール0.7質量部に置き換えた以外は全て実施例1と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0031】
[実施例4]
実施例1のセチルアルコール2質量部を、1−プロパノール0.5質量部に置き換えた以外は全て実施例1と同じ方法で重合をおこなった。重合速度、粒子径の測定方法も、実施例1と同様である。
【0032】
[比較例1]
単量体溶液に、アルコール類を添加しないこと以外は全て実施例1と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0033】
実施例1〜4,比較例1の得られた評価結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
[実施例5]
蒸留水130質量部に、ロジン酸ナトリウム(ハリマ化成株式会社製)を3.5質量部、水酸化ナトリウムを0.3質量部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物を1.0質量部、亜硫酸水素ナトリウム0.5質量部を40℃で溶解させ、ロジン酸塩水溶液を作製した。
2−クロロ−1,3−ブタジエン100質量部、n−ドデシルメルカプタン0.15質量部、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)2質量部を溶解させて、単量体溶液を作製した。
内容積5リットルの反応器に、ロジン酸塩水溶液と単量体溶液を仕込み、窒素雰囲気中で、10℃に保持しながら10分間撹拌して乳化させた。液温10℃の状態で、重合開始剤として、過硫酸カリウムの2質量%水溶液を、毎分0.015質量部(wet)の速度で滴下し、重合反応を開始した。
転化率60質量%に達した時点で、クロロプレン単量体、蒸留水、チオジフェニルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンを含む乳濁液を添加して、重合を終了させた。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0036】
[実施例6]
実施例5のセチルアルコール2質量部を、1−ヘキサノール0.8質量部に置き換えた以外は全て実施例5と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0037】
[実施例7]
実施例5のセチルアルコール2質量部を、1−ペンタノール0.7質量部に置き換えた以外は全て実施例5と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0038】
[実施例8]
実施例5のセチルアルコール2質量部を、1−プロパノール0.5質量部に置き換えた以外は全て実施例5と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0039】
[比較例2]
単量体溶液に、アルコール類を添加しないこと以外は全て実施例5と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0040】
実施例5〜8,比較例2の得られた評価結果を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
[実施例9]
蒸留水130質量部に、ロジン酸ナトリウム(ハリマ化成株式会社製)を3.5質量部、水酸化ナトリウムを0.3質量部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物を1.0質量部、亜硫酸水素ナトリウム0.5質量部を40℃で溶解させ、ロジン酸塩水溶液を作製した。
2−クロロ−1,3−ブタジエン80質量部、2−メチル−1,3−ブタジエン20質量部に、n−ドデシルメルカプタン0.2質量部、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)2質量部を溶解させて、単量体溶液を作製した。
内容積5リットルの反応器に、ロジン酸塩水溶液と単量体溶液を仕込み、窒素雰囲気中で、30℃に保持しながら10分間撹拌して乳化させた。その後、20分間かけて35℃に昇温し、液温が35℃に安定したところで、重合開始剤として、過硫酸カリウムの2質量%水溶液を、毎分0.015質量部(wet)の速度で滴下し、重合反応を開始した。
転化率60質量%に達した時点で、クロロプレン単量体、蒸留水、チオジフェニルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンを含む乳濁液を添加して、重合を終了させた。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0043】
[実施例10]
実施例9のセチルアルコール2質量部を、1−ヘキサノール0.8質量部に置き換えた以外は全て実施例9と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0044】
[実施例11]
実施例9のセチルアルコール2質量部を、1−ペンタノール0.7質量部に置き換えた以外は全て実施例9と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0045】
[実施例12]
実施例9のセチルアルコール2質量部を、1−プロパノール0.5質量部に置き換えた以外は全て実施例9と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0046】
[比較例3]
単量体溶液に、アルコール類を添加しないこと以外は全て実施例9と同じ方法で重合をおこなった。
重合速度、粒子径の測定方法は、実施例1と同様である。
【0047】
実施例9〜12,比較例3の得られた評価結果を表3に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】
表1〜3より明らかな如く、本発明のクロロプレン重合体の製造方法(実施例1〜12)は、従来の製造方法(比較例1〜3)よりも、重合速度が速い点、及び平均粒子径を小さく制御できる点において優れている。
Claims (5)
- 単量体の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部未満のアルコール類の存在下において、2−クロロ−1,3−ブタジエン単独または2−クロロ−1,3−ブタジエンを含有する単量体混合物をラジカル重合することを特徴とする、クロロプレン重合体の製造方法であって、アルコール類が下式で表される、炭素数3〜20の飽和1価アルコールであることを特徴とする、クロロプレン重合体の製造方法。
C n H 2n+1 OH(nは3以上20以下の整数を表す。) - ラテックスの平均粒子径が、20nm以上150nm未満であることを特徴とする、請求項1記載のクロロプレン重合体の製造方法。
- ラテックスの最大粒子径が、50nm以上300nm未満であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項記載のクロロプレン重合体の製造方法。
- 乳化剤がロジン酸類であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のクロロプレン重合体の製造方法。
- クロロプレン重合体が硫黄変性クロロプレン重合体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のクロロプレン重合体の製造方法。
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