JP4767439B2 - 水性エマルジョン組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性エマルジョン組成物に関し、詳しくは、耐煮沸水接着力および耐溶剤性に優れ、さらに耐水性および放置安定性に優れる水性エマルジョン組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)はエチレン性不飽和単量体、特に酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系単量体の乳化重合用保護コロイドとして広く用いられており、これを保護コロイドとして用いて乳化重合して得られるビニルエステル系水性エマルジョンは紙用、木工用およびプラスチック用などの各種接着剤、含浸紙用および不織製品用などの各種バインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野で広く用いられている。
このような水性エマルジョンは、PVA系重合体のけん化度を調整することにより、一般的に粘度が低く、ニュートニアン流動に近い粘性を有し、比較的耐水性の良好なものから、一般的に粘度が高く、比較的エマルジョン粘度の温度依存性が小さいものが得られることから、種々の用途に賞用されてきた。しかしながら、該水性エマルジョンのあるものは、流動性(高速塗工性)が不足している、また耐水性が悪い、エマルジョン粘度の温度依存性が大きい、低温時のエマルジョン粘度の上昇が著しいなどの欠点を有している。
【0003】
この欠点を改善するため、エチレン単位を含有するビニルアルコール系重合体が提案され、耐水性と低温放置安定性が大幅に改善された。しかしながら、エチレン単位を有していても、PVAであるが故に、厳しい耐水性を要求される用途、例えば耐煮沸水浸漬試験をクリアしなければならない用途では要求を完全に満足することができない。
また、従来のビニルエステル系重合体エマルジョンは耐溶剤性が十分でないため、耐溶剤性の要求される用途、例えばエマルジョンを接着剤として使用して得た集成材の表面を有機溶剤系塗料で塗布するような場合、有機溶剤のためにエマルジョンの接着性能が低下する欠点がある。
また、エチレン変性PVAを分散剤とし、酢酸ビニル系単量体と(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を含有する単量体単位からなる重合体を分散質とする水性エマルジョンにアルミニウム化合物を配合させた水性エマルジョン組成物も知られているが(特開2001−72820号公報)、この組成物は、耐煮沸水接着力は良好であるものの、いまだ十分とは言えず、さらに耐溶剤性も十分ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、耐煮沸水接着力および耐溶剤性に優れ、かつ耐水性および放置安定性にも優れた水性エマルジョン組成物およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、水性エマルジョン(A)を乳化重合するに際し、(1)分散剤として分子内にエチレン単位を1〜15モル%含有し、けん化度90モル%〜99.5モル%のビニルアルコール系重合体を用い、ビニルエステル系単量体と、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基を含有する単量体および/またはN−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−プロパノールメタクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のN−アルキロールアミド基を含有する単量体とを乳化重合するに際し、(2)過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の重合開始剤を全単量体に対してモル比で0.001〜0.01使用し、さらに(3)重合初期にビニルエステル系単量体をビニルエステル系単量体全量の5〜20重量%仕込み、かつ上記重合開始剤を初期仕込みの全単量体に対してモル比で0.005〜0.025添加する重合操作を行って得た水性エマルジョン(A)にアルミニウム化合物(B)を配合することを特徴とする、アルミニウム化合物(B)を、水性エマルジョン(A)100重量部(固形分)に対して、0.01〜5重量部含有する水性エマルジョン組成物の製造方法を提供することによって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水性エマルジョン組成物に用いる水性エマルジョン(A)の分散剤として用いられる分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜15モル%含有し、けん化度90モル%〜99.5モル%のビニルアルコール系重合体は、ビニルエステルと炭素数4以下のα−オレフィンとの共重合体をけん化することにより得ることができる。ここで炭素数4以下のα−オレフィン単位としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン単位が挙げられるが、エチレン単位が好適である。
【0007】
ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、酢酸ビニルが経済的にみて好ましい。
【0008】
炭素数4以下のα−オレフィン単位の含有量としては、1〜15モル%であることが必要であり、好ましくは2〜13モル%、さらに好ましくは3〜10モル%である。炭素数4以下のα−オレフィン単位の含有量が1モル%未満の場合には、耐煮沸水接着力、耐溶剤性、耐水性、放置安定性を同時に満足する水性エマルジョンが得られず、15モル%を越える場合には、水溶性が低下し、安定な水性エマルジョンが得られない懸念が生じる。
【0009】
また、分散剤に用いられる分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜15モル%含有し、けん化度90モル%〜99.5モル%のビニルアルコール系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、炭素数4以下のα−オレフィンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性物も用いることができる。
【0010】
本発明の水性エマルジョンの分散剤として用いる分子内にα−オレフィン単位を1〜15モル%含有し、けん化度90モル%〜99.5モル%のビニルアルコール系重合体のけん化度は、90モル%〜99.5モル%であることが必要であり、より好ましくは92モル%〜98モル%、さらに好ましくは93モル%〜97モル%である。けん化度が90モル%未満の場合には、耐煮沸水接着力、耐溶剤性、耐水性に優れた水性エマルジョン組成物が得られないし、また、けん化度が99.5モル%を越える場合には、耐煮沸水接着力、耐溶剤性に優れた水性エマルジョンが得られない。また、ビニルアルコール系重合体の重合度は、本発明の目的をより好適に達成するためには、100〜8000の範囲が好ましく、300〜3000がより好ましい。
【0011】
本発明の水性エマルジョン組成物を構成する水性エマルジョンにおける分散質を構成するビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステルが挙げられるが、酢酸ビニルが好適に用いられる。
【0012】
また、本発明においては、分散質を構成する単量体として、カルボキシル基を含有する単量体および/またはN−アルキロールアミド基を含有する単量体を用いることが不可欠である。これらの単量体はそれぞれ単独で使用しても良いが、カルボキシル基を含有する単量体およびN−アルキロールアミド基を含有する単量体の両者を併用することにより皮膜の耐溶剤性がさらに向上するので好適である。カルボキシル基を含有する単量体としては、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等が挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。N−アルキロールアミド基を含有する単量体としては、N−アルキロール(メタ)アクリルアミド、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−プロパノールメタクリルアミドなどが挙げられ、通常N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドが好ましく用いられる。アルキロール中の炭素の数は好適には1〜5個である。
【0013】
本発明において、カルボキシル基を含有する単量体および/またはN−アルキロールアミド基を含有する単量体は、ビニルエステル系単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部用いることが重要で、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.25〜3重量部である。カルボキシル基を含有する単量体単位および/またはN−アルキロールアミド基を含有する単量体(併用する場合はその合計量)が0.1重量部未満の場合、耐水性、耐煮沸水接着力が不足し、10重量部をこえると重合安定性が低下する場合がある。
また、分散質には、本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体あるいはジエン系単量体を共重合することもできる。このようなエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどのハロゲン化オレフィン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、さらには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩などのスチレン系単量体、その他N−ビニルピロリドンなど、また、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体が挙げられ、これらは単独あるいは二種以上混合して用いられる。
【0014】
本発明においては、水性エマルジョン組成物を20℃で皮膜化した場合にゲル分が60%以上であることが必須である。ここで、ゲル分とは、エマルジョンを20℃65%RH下で基材上に流延し7日間乾燥して得た厚さ500ミクロン、直径2.5cmの皮膜を24時間アセトンソックスレー抽出し、さらに5リットルの煮沸水中24時間抽出した際の不溶分(重量%)をいう。ゲル分が60%未満である場合、耐煮沸水接着力、耐溶剤性が低下する。ゲル分は好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。
本発明の20℃で皮膜化した場合にゲル分が60%以上である水性エマルジョン組成物は、例えば次のような方法によって得られる。すなわち、(1)分散剤として分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜15モル%含有し、けん化度90モル%〜99.5モル%のビニルアルコール系重合体を用い、ビニルエステル系単量体とカルボキシル基を含有する単量体および/またはN−アルキロールアミド基を含有する単量体とを乳化重合するに際し、(2)過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムから選ばれる少なくとも一種の重合開始剤をビニルエステル系単量体に対してモル比で0.001〜0.01使用し、さらに(3)重合初期にビニルエステル系単量体をビニルエステル系単量体全量の5〜20重量%仕込み、かつ上記重合開始剤を初期仕込みの全単量体に対してモル比で0.005〜0.025添加する重合操作を行って得た水性エマルジョン(A)にアルミニウム化合物を配合することによって得られる。
【0015】
本発明に用いる水性エマルジョン(A)を製造するにあたっては、過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムから選ばれる少なくとも一種の重合開始剤を用いることは重要であり、この中でも、特に過酸化水素が好ましい。また、本発明においては、重合開始剤を使用する全単量体に対してモル比で0.001〜0.01使用して乳化重合することも重要であり、好ましくは0.002〜0.007であり、さらに好ましくは0.0025〜0.005である。理由は明確ではないが、上記量の開始剤を用いることにより、耐煮沸水接着力および耐溶剤性のより改善された、しかも耐水性、放置安定性にも優れた水性エマルジョンが得られる。
【0016】
また、前記重合開始剤は還元剤と併用し、レドックス系で用いられる場合もある。その場合、通常、過酸化水素は酒石酸、酒石酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどとともに用いられる。また、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムは亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどとともに用いられる。還元剤の使用量も特に限定されないが、通常、重合開始剤に対して、0.05〜3当量用い、好ましくは0.1〜2当量、より好ましくは0.3〜1.5当量用いる。
【0017】
重合初期に重合開始剤を添加する方法としては一括添加する方法、連続的に添加する方法などが用いられが、とくに一括添加する方法が好適である。すなわち、ビニルエステル系単量体を、ビニルエステル系単量体全量の5〜20%を重合初期に仕込み、重合開始剤を初期仕込みの全単量体に対してモル比で0.005〜0.025一括添加することが好適であり、好ましくは0.008〜0.020であり、より好ましくは0.01〜0.018である。
重合開始剤の初期仕込量が全単量体に対してモル比で0.005未満の場合、水性エマルジョンが安定に得られない懸念がある。また重合開始剤の初期仕込量が0.025をこえる場合も本発明の目的とする耐煮沸水接着力および耐溶剤性に優れたエマルジョンが得られない懸念がある。また、ビニルエステル系単量体の初期仕込み量を5〜20重量%にすることにより、本発明の目的とするエマルジョンを得ることができる。
初期重合は、分散剤の水溶液に単量体、重合開始剤を加え、重合温度50〜70℃、好適には55〜65℃、重合時間15〜60分、好適には20〜50分の条件下で行われる。初期重合において単量体は一括添加することが好適である。
初期重合は、ビニルエステルの残存濃度(生成ポリマーに対する重量%)が10%以下、好適には5%以下、さらに好適には1%以下になった時点で終了する。
初期重合後は後期重合に入る。後期重合では重合開始剤、ビニルエステル系単量体は一括添加(ショット添加)でも良いし、連続添加あるいは断続添加でもよい。また、後期重合では、重合温度は、初期重合温度よりも5〜30℃高くすることが好適であり、55〜100℃、好適には60〜95℃の範囲内が好適である。
【0018】
また、カルボキシル基を含有する単量体および/またはN−アルキロールアミド基を含有する単量体の添加方法は特に制限されないが、これらの単量体をビニルエステル系単量体と同時に、または両者を均一に混合して、重合初期および/または重合後期に添加する方法が好適である。
【0019】
本発明の水性エマルジョン(A)に用いる、α−オレフィン変性PVAの使用量については特に制限はないが、ビニルエステル系単量体単位とカルボキシル基を含有する単量体単位および/またはN−アルキロールアミド基を含有する単量体単位からなる重合体(分散質)100重量部に対して好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部の範囲である。α−オレフィン変性PVAの使用量が1重量部未満および30重量部を越える場合には、重合安定性が低下したり、耐煮沸水接着力が低下することがある。
本発明に用いる水性エマルジョンは、上記の方法で得られる水性エマルジョンをそのまま用いることができるが、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマルジョンを併用することができる。
なお、本発明に用いる水性エマルジョンにおける分散剤としては、前述のα−オレフィン変性PVAが用いられるが、必要に応じて、従来公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカチオン性の界面活性剤や、PVA系重合体、ヒドロキシエチルセルロースなどを併用することもできる。
【0020】
本発明に用いるアルミニウム化合物(B)としては特に制限はないが、水溶性アルミニウム化合物が好適に用いられ、具体的には塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびその水和物、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などが好ましく用いられる。なかでも、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムがより好ましく用いられる。
【0021】
本発明の水性エマルジョン組成物において、アルミニウム化合物(B)の水性エマルジョンに対する配合量は、水性エマルジョン(A)100重量部(固形分)に対して、0.01〜5重量部であることが好ましく、0.02〜3重量部、さらには0.03〜2.5重量部であることがより好ましい。アルミニウム化合物(B)の配合比率が0.01重量部未満の場合には、耐煮沸水接着力、耐溶剤性、耐水性が低下し、5重量部を越えると水性エマルジョン組成物の粘度安定性が低下する場合がある。
【0022】
本発明の水性エマルジョン組成物は、必要に応じて、その乾燥性、セット性、粘度、造膜性などを調整するために、トルエン、パークレン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの各種有機溶剤、でんぷん、変性でんぷん、酸化でんぷん、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、無水マレイン酸/イソブテン共重合体、無水マレイン酸/スチレン共重合体、無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体などの水溶性高分子や尿素/ホルマリン樹脂、尿素/メラミン/ホルマリン樹脂、フェノール/ホルマリン樹脂などの熱硬化性樹脂、さらに、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、木粉などの充填剤、小麦粉などの増量剤、酸化チタンなどの顔料あるいはその他、可塑剤、消泡剤、凍結防止剤、防腐剤、防錆剤などの各種添加剤を含有するものでも良い。ここで、可塑剤としては、フタル酸ジブチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テキサノールなどが挙げられる。
上記したとおりの方法により得た水性エマルジョン(A)にアルミニウム化合物を配合することにより、20℃で皮膜化した場合のゲル化分が60%以上の水性エマルジョン組成物が得られ、ゲル化分を60%以上にしたことで、エマルジョンに優れた耐煮沸水接着力および耐溶剤性を付与することができる。
また、本発明により得た水性エマルジョンは、引っ張り剪断接着強度が3.5N(ニュートン)/mm2以上を示すことがより好適な態様であり、4N/mm2以上を示すことが最良の態様である。ここで、引っ張り剪断接着強度とは、British Standard EN204 D4クラス Serial Number of conditioning sequence6により測定される値であり、耐煮沸水接着力を示している。
本発明の水性エマルジョン組成物は、耐煮沸水接着力、耐溶剤性に優れ、かつ耐水性、放置安定性に優れるという特徴を生かして、とくに接着剤用途、例えばエマルジョンを接着剤として使用して得た集成材の表面を有機溶剤系塗料で塗布するような接着剤用途、その他木工用接着剤、紙加工用接着剤、塗料、繊維処理剤等の各種用途において有効に用いられる。なお、本発明において、耐溶剤性の「溶剤」とは、アセトン、トルエン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチルなどの有機溶剤が挙げられる。
【0023】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。
【0024】
水性エマルジョン製造例1
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1(重合度1700、けん化度95モル%、エチレン変性量5モル%)19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4gおよび5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gおよびアクリル酸0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9gおよび5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234gおよびアクリル酸2.34gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−1)。
【0025】
水性エマルジョン製造例2
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1 19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4gおよび5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gおよびメタクリル酸0.31gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9gおよび5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234gおよびメタクリル酸3.09gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.3%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しメタクリル酸1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−2)。
【0026】
水性エマルジョン製造例3
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1 19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4gおよび5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9gおよび5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234gおよびN−メチロールアクリルアミド2.6gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しN−メチロールアクリルアミド1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−3)。
【0027】
水性エマルジョン製造例4
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1 19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4gおよび5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gおよびアクリル酸0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9gおよび5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234g、アクリル酸2.34gおよびN−メチロールアクリルアミド2.6gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.4%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸およびN−メチロールアクリルアミドを各1重量部;合計2重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−4)。
【0028】
水性エマルジョン製造例5
水性エマルジョン製造例1で用いたアクリル酸を用いなかった他は、水性エマルジョン製造例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度47.1%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−5)。
【0029】
水性エマルジョン製造例6
水性エマルジョン製造例1で用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−2(重合度1700、けん化度95モル%)を用いた他は、水性エマルジョン製造例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸を1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−6)。
【0030】
水性エマルジョン製造例7
水性エマルジョン製造例1で用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−3(重合度1000、けん化度99.7モル%、エチレン変性量8モル%)を用いた他は、水性エマルジョン製造例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸を1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−7)。
【0031】
水性エマルジョン製造例8
水性エマルジョン製造例1で用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−4(重合度1700、けん化度88モル%、エチレン変性量4モル%)を用いた他は、水性エマルジョン製造例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸を1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−8)。
【0032】
水性エマルジョン製造例9
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1 19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4gおよび5%過酸化水素水10g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.05)をショット添加後、酢酸ビニル26gおよびアクリル酸0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量1%未満)を確認した。次いで、酒石酸の10%水溶液0.9gおよび5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234gおよびアクリル酸2.34gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸を1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−9)。
【0033】
水性エマルジョン製造例10
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1 19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4gおよび5%過酸化水素水0.1g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.0005)をショット添加後、酢酸ビニル26gおよびアクリル酸0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量1%未満)を確認した。次いで、酒石酸の10%水溶液0.9gおよび5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234gおよびアクリル酸2.34gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を試みたが、途中で系が不安定化し、安定にエマルジョンを得ることが出来なかった。
【0034】
水性エマルジョン製造例11
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1 19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4gおよび5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gおよびアクリル酸0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量1%未満)を確認した。次いで、酒石酸の10%水溶液1.8gおよび5%過酸化水素水35gをショット添加後、酢酸ビニル234gおよびアクリル酸2.34gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸を1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−10)。
【0035】
水性エマルジョン製造例12
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水260g、PVA−5(重合度1000、けん化度99.0モル%、エチレン変性量7.0モル%)37gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、酢酸ビニル37gおよびアクリル酸3.7gを仕込み、60℃に昇温した後、過酸化水素/酒石酸のレドックス開始剤系の存在下で重合を開始した。重合開始15分後から酢酸ビニル333gを3時間にわたって連続的に添加し、重合を完結させた。固形分濃度48.3%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸を1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してジブチルフタレート5部を添加混合した(Em−11)。
【0036】
水性エマルジョン製造例13
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水260g、PVA−6(重合度1700、けん化度97.3モル%、エチレン変性量4.0モル%)37gを仕込み95℃で完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、酢酸ビニル37gおよびアクリル酸3.7gを仕込み、60℃に昇温した後、過酸化水素/酒石酸のレドックス開始剤系の存在下で重合を開始した。重合開始15分後から酢酸ビニル333gを3時間にわたって連続的に添加し、重合を完結させた。固形分濃度48.4%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100重量部に対しアクリル酸を1重量部含有)が得られた。このエマルジョンの100重量部(固形分)に対してジブチルフタレート5部を添加混合した(Em−12)。
【0037】
実施例1
水性エマルジョン製造例1で得られた「Em−1」100重量部(固形分)に対して、硝酸アルミニウム9水和物を1重量部配合して水性エマルジョン組成物を調製した。得られた水性エマルジョン組成物の皮膜耐水性、耐溶剤性、耐煮沸水接着力および粘度安定性を下記の要領で評価した。結果を表1に示す。
【0038】
(エマルジョンの評価)
(1)皮膜の耐水性
得られた水性エマルジョンを20℃65%RH下で、PET上に流延し、7日間乾燥させて500μmの乾燥皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmの円形に打ち抜き、それを試料として煮沸水に4時間浸漬した場合の、皮膜の吸水率、溶出率を求めた。
溶出率(%):{1−(浸漬後の皮膜絶乾重量/浸漬前の皮膜絶乾重量)}×100
吸水率(%):{(浸漬後の皮膜吸水重量/浸漬前の皮膜絶乾重量)−1}×100
*浸漬前の皮膜絶乾重量;浸漬前の皮膜重量(含水)−(浸漬前の皮膜重量(含水)× 皮膜含水率(%)/100)
*皮膜含水率;皮膜(20℃水に浸漬するサンプルとは別のサンプル)を、105℃、4時間で絶乾し、皮膜の含水率をあらかじめもとめる。
*浸漬後の皮膜絶乾重量;浸漬後の皮膜を105℃、4時間で絶乾した重量。
浸漬後の皮膜吸水重量;浸漬後の皮膜を水から引き上げた後、皮膜についた水をガーゼで拭き取り秤量。
(2)耐溶剤性
得られた水性エマルジョンを20℃65%RH下で、PET上に流延し、7日間乾燥させて500μmの乾燥皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmの円形に打ち抜き、それを試料としてアセトンに24時間浸漬した場合の、皮膜の吸液率、溶出率を求めた。
溶出率(%):{1−(浸漬後の皮膜絶乾重量/浸漬前の皮膜絶乾重量)}×100
吸液率(%):{(浸漬後の皮膜吸液重量/浸漬前の皮膜絶乾重量)−1}×100
*浸漬前の皮膜絶乾重量;浸漬前の皮膜重量(含水)−(浸漬前の皮膜重量(含水)× 皮膜含水率(%)/100)
*皮膜含水率;皮膜(20℃水に浸漬するサンプルとは別のサンプル)を、105℃、4時間で絶乾し、皮膜の含水率をあらかじめもとめる。
*浸漬後の皮膜絶乾重量;浸漬後の皮膜を105℃、4時間で絶乾した重量。
浸漬後の皮膜吸液重量;浸漬後の皮膜をアセトンから引き上げた後、皮膜についたアセトンをガーゼで拭き取り秤量。
(3)耐水、耐煮沸水接着力
ブナ材を用いた試験
得られた水性エマルジョンをヨーロッパ産ブナ材(柾目)に150g/m2塗布し、はりあわせて7kg/m2の荷重で16時間圧締した。その後、解圧し、20℃65%RH下で7日間養生した後、British Standard BS EN204のD3規格(Serial number of conditioning sequenceの1、3、4)およびD4規格(Serial number of conditioning sequenceの5、6)により引張りせん断接着強度(N/mm2)を測定した。
Serial number of conditioning sequenceの各試験条件を示す。
1:20℃65%RH下で7日間放置後、そのまま測定。
3:20℃水中に4日間浸漬し、濡れたまま測定。
4:20℃水中に4日間浸漬後、20℃65%RH下で7日間風乾し、測定。
5:煮沸水中に6時間浸漬、20℃水中に2時間浸漬し、濡れたまま測定。
6:煮沸水中に6時間浸漬、20℃水中に2時間浸漬後、20℃65%RH下で7日間風乾し、測定。
ツガ材を用いた試験
得られた水性エマルジョンをツガ材(柾目)に150g/m2塗布し、はりあわせて7kg/m2の荷重で16時間圧締した。その後、解圧し、20℃65%RH下で5日間養生した後、煮沸水に4時間浸漬し、ぬれたままの状態で圧縮せん断強度(kg/cm2)を測定した。
(4)粘度安定性
エマルジョンを5℃および50℃に放置した場合の30日後の粘度変化をB型粘度計を用い、評価した。
(4)ゲル分
水性エマルジョンを20℃65%RH下で、PET上に流延し、7日間乾燥させて厚さ500μmの乾燥皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmの円形に打ち抜き、24時間アセトンソックスレー抽出し、さらに5 リットルの煮沸水中に24時間抽出した際の不溶分(重量%)を測定した。
ゲル分(不溶分):(浸漬後の皮膜絶乾重量/浸漬前の皮膜絶乾重量)×100
【0039】
実施例2
実施例1において硝酸アルミニウム9水和物1重量部の代わりに塩化アルミニウム0.5重量部を用いる他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0040】
実施例3
実施例1において硝酸アルミニウム9水和物1重量部の代わりに同水和物0.05重量部を用いる他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0041】
実施例4
実施例1において用いた硝酸アルミニウム9水和物1重量部の代わりに同水和物2.3重量部を用いる他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0042】
比較例1
実施例1において硝酸アルミニウム9水和物を用いない以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0043】
実施例5
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例2で得られたEm−2を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0044】
実施例6
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例3で得られたEm−3を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0045】
実施例7
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例4で得られたEm−4を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0046】
比較例2
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例5で得られたEm−5を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0047】
比較例3
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例6で得られたEm−6を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0048】
比較例4
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例7で得られたEm−7を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0049】
比較例5
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例8で得られたEm−8を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0050】
比較例6
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水100g、アセトアセチル基変性PVA(重合度1030、けん化度98.5%、アセトアセチル基変性量5モル%)のビニルアルコール系重合体5gを仕込み95℃で完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、140rpmで撹拌しながら酢酸ビニル10gを仕込み、60℃に昇温した後、過酸化水素/酒石酸のレドックス開始剤系の存在下で重合を開始した。重合開始15分後初期重合の終了(酢酸ビニルの残存量1未満)を確認した。次いで、酢酸ビニル90gを3時間にわたって連続的に添加し、重合温度80℃に維持して重合を完結させた。固形分濃度50%のポリ酢酸ビニルエマルジョンが得られた。このエマルジョン100重量部(固形分)に対してフェノキシエタノール5部を添加混合した(Em−13)。得られた「Em−13」 100重量部に対して、40%グリオキザール水溶液を5重量部(固形分で2重量部)配合して水性エマルジョン組成物を調製した。得られた水性エマルジョン組成物の皮膜耐水性、耐煮沸水接着力および粘度安定性を実施例1と同様の要領で評価した。結果を併せて表1に示す。
【0051】
比較例7
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例9で得られたEm−9を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0052】
比較例8
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例11で得られたEm−10を用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0053】
比較例9
比較例2において硝酸アルミニウム9水和物を用いなかった他は比較例2と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0054】
比較例10
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例12で得られたEm−11を用い、さらに硝酸アルミニウム9水和物1重量部の代わりに塩化アルミニウム0.5重量部用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0055】
比較例11
実施例1において水性エマルジョン製造例1で得られたEm−1の代わりに水性エマルジョン製造例13で得られたEm−12を用い、さらに硝酸アルミニウム9水和物1重量部の代わりに塩化アルミニウム0.5重量部用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を併せて表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
本発明の水性エマルジョン組成物は、耐煮沸水接着力および耐溶剤性に優れ、かつ耐水性および放置粘度安定性に優れており、木工用接着剤、合板用接着剤、紙加工剤、塗料、繊維加工剤などに幅広く好適に用いられる。
Claims (3)
- (1)分散剤として分子内にエチレン単位を1〜15モル%含有し、けん化度90モル%〜99.5モル%のビニルアルコール系重合体を用い、ビニルエステル系単量体と、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基を含有する単量体および/またはN−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−プロパノールメタクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のN−アルキロールアミド基を含有する単量体とを乳化重合するに際し、(2)過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の重合開始剤を全単量体に対してモル比で0.001〜0.01使用し、さらに(3)重合初期にビニルエステル系単量体をビニルエステル系単量体全量の5〜20重量%仕込み、かつ上記重合開始剤を初期仕込みの全単量体に対してモル比で0.005〜0.025添加する重合操作を行って得た水性エマルジョン(A)にアルミニウム化合物(B)を配合することを特徴とする、アルミニウム化合物(B)を、水性エマルジョン(A)100重量部(固形分)に対して、0.01〜5重量部含有する水性エマルジョン組成物の製造方法。
- 重合初期に重合開始剤を初期仕込みの全単量体に対してモル比で0.005〜0.025一括添加する請求項1に記載の水性エマルジョン組成物の製造方法。
- 水性エマルジョン組成物が、20℃で皮膜化した場合にゲル分が60%以上を示す水性エマルジョン組成物である請求項1または2に記載の水性エマルジョン組成物の製造方法。
ここで、ゲル分とは、エマルジョン組成物を20℃65%RH下で基材上に流延し7日間乾燥して得た厚さ500μm、直径2.5cmの円形の皮膜を24時間アセトンソックスレー抽出し、さらに5リットルの煮沸水中24時間抽出した際の不溶分(重量%)をいう。
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