JP4044188B2 - 水系コーティング組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部からの分散破壊作用に強い水性エマルジョンと水分散性ポリイソシアネート組成物からなる耐水性に優れた水系常温架橋型2液ウレタンのコーティング組成物であり、ポットライフ、耐水性に優れ、主として建築用水系塗料、自動車用水系塗料、接着剤、建材、家庭用水系塗料、その他コーティング剤、シーリング剤、インキ、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤などに利用できる水系コーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、揮発性有機化合物に関する指針が厳しくなり、アメリカ、ドイツ等ではすでに規制が行われており、日本でも近い将来規制が行われると考えられる。したがって、従来、溶剤系塗料として利用されていた常温架橋型2液ウレタンコーティング組成物も水系化が望まれている。しかし、水系常温架橋型2液ウレタンコーティング組成物のポリオール成分として用いられている水性エマルジョンは、ポリイソシアネートを添加し攪拌する際に、凝集物を生成する恐れがあり、凝集物を生成した場合、塗布直前に濾過等の操作を行わなければならないといった問題点がある。
【0003】
一方、硬化剤として用いられるポリイソシアネートは、水に分散し難く、また水と反応し易く、二酸化炭素を発生するという問題点があったため、自己乳化性を有し、水分散状態でイソシアネート基と水との反応が抑えられるポリイソシアネートの開発が進められている。
特公昭55−7472号公報、特開平5−222150号公報では、自己乳化性を持ったポリイソシアネートを得る方法として、ポリイソシアネート中にノニオン性の親水基を導入した水分散性ポリイソシアネートが提案されている。また、特開平9−71720号公報では、ノニオン性の親水基を導入したポリイソシアネートとイオン性界面活性剤からなる水分散ポリイソシアネート組成物が提案され、水性ポリオールと組み合わせたコーティング組成物のポットライフを飛躍的に延長し、かつ耐水性に優れた塗膜を達成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、外部からの分散破壊作用に強い水性エマルジョンと水分散状態でイソシアネート基と水との反応性が抑えられた水分散性ポリイソシアネート組成物からなる、凝集物を発生し難く、ポットライフが長く、耐水性に優れた塗膜を形成する常温架橋型の2液水系コーティング組成物の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体と(メタ)アクリルアミド系単量体と水酸基含有の重合性ビニル単量体を含有する水性エマルジョンと水分散性ポリイソシアネート組成物からなる水系コーティング組成物が、上記課題を解決できることを見いだし本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)成分として、水酸基含有の重合性ビニル単量体0.3〜60重量%、カルボン酸基含有の重合性ビニル単量体0.1〜30重量%、(メタ)アクリルアミド系単量体0.1〜30重量%、グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体0.1〜30重量%、他の重合性ビニル単量体10〜99.4重量%の共重合体からなる水性エマルジョンであり、粒子径0.03〜0.2μm、粒子内ゲル分率60〜90%である水性エマルジョン、(B)成分として、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネート、またはそれらから得られるポリイソシアネート化合物に、5〜50のエチレンオキサイド繰り返し単位からなるノニオン性の親水基が2〜50重量%導入された水分散性ポリイソシアネート組成物とからなり、(A)成分と(B)成分とをイソシアネート基/水酸基の当量比が0.5〜5.0の範囲となる量で配合してなる水系コーティング組成物に関するものである。
【0007】
また、本発明は、(A)成分として、水酸基含有の重合性ビニル単量体0.3〜60重量%、カルボン酸基含有の重合性ビニル単量体0.1〜30重量%、(メタ)アクリルアミド系単量体0.1〜30重量%、グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体0.1〜30重量%、他の重合性ビニル単量体10〜99.4重量%の共重合体からなる水性エマルジョンであり、粒子径0.03〜0.2μm、粒子内ゲル分率60〜90%である水性エマルジョン、(B)成分として、(i)脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネート、またはそれらから得られるポリイソシアネート化合物に、5〜50のエチレンオキサイド繰り返し単位からなるノニオン性の親水基が2〜50重量%導入された水分散性ポリイソシアネートに対して、(ii)実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤を0.5〜20重量%混合させることにより得られる水分散性ポリイソシアネート組成物とからなり、(A)成分と(B)成分とをイソシアネート基/水酸基の当量比が0.5〜5.0の範囲となる量で配合してなる水系コーティング組成物に関するものである。
【0008】
本発明で用いる水酸基含有のビニル単量体とは、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルエステルなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルやアリルアルコールやエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート等である。水酸基含有のビニル単量体を用いることによって、水性エマルジョンに水酸基を導入し、この水酸基をポリイソシアネート組成物のイソシアネート基と反応させることによって、粒子間、粒子内が架橋された塗膜を得ることが可能となる。
【0009】
水酸基含有のビニル単量体の含有量は、0.3〜60重量%、好ましくは1.0〜50重量%、より好ましくは、3.0〜30重量%の範囲であり、0.3重量%未満では、水酸基の導入量が少なくなり、粒子間、粒子内の充分な架橋ができず、耐水性、耐溶剤性、耐汚染性、耐候性が低下する恐れがあるため好ましくなく、30重量%を超えると、架橋点が多すぎるため、塗膜が、硬くなりすぎ脆くなる恐れがあり、また塗膜の耐水性を低下させてしまう恐れがあるため好ましくない。なお、本発明中の水性エマルジョンについての記述における重量%とは、水性エマルジョンの固形分、いわゆるドライに対する重量%を表す。
【0010】
本発明で用いるカルボン酸基含有のビニル単量体とは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸、あるいはイタコン酸、マレイン酸、フマール酸などの2塩基酸のハーフエステル等である。カルボン酸基含有のビニル単量体を用いることによって、水性エマルジョンにカルボン酸基を導入し、水性エマルジョンを作成し、その一部又は全部を、アンモニアやアミン等の塩基で中和することによって、水性エマルジョンの安定性を向上させ、外部からの分散破壊作用に抵抗力を持たせている。
【0011】
カルボン酸基含有のビニル単量体の含有量は、0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%、より好ましくは0.3〜10重量%の範囲であり、0.1重量%未満では、カルボン酸基の導入量が少なすぎるため、水性エマルジョンの安定性が低下するために好ましくなく、30重量%を超えると塗膜の耐水性が低下する恐れがあるため好ましくない。
【0012】
本発明で用いる(メタ)アクリルアミド系単量体とは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等である。(メタ)アクリルアミド系単量体を用いることによって、水性エマルジョンにアミド基を導入し、水性エマルジョンの安定性を向上させている。上記のカルボン酸による水性エマルジョンの安定性の向上との相互作用により、水分散ポリイソシアネートの添加などの分散破壊作用に対する化学的安定性を飛躍的に向上させている。
【0013】
(メタ)アクリルアミド系単量体の含有量は、0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.3〜3.0重量%の範囲であり、0.1重量%未満では、アミド基の導入量が少なすぎるため、水性エマルジョンの安定性が低下するために好ましくなく、30重量%を超えると塗膜の耐水性が低下する恐れがあるため好ましくない。
【0014】
本発明で用いるグリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体とは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルジメチルグリシジルエーテル等である。グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体を用いることによって、水性エマルジョンにグリシジル基を導入し、前述した水酸基、カルボン酸基とグリシジル基を反応させることによって、水性エマルジョンの粒子内の架橋反応を進行させ、水性エマルジョンの粒子内のゲル分率を向上させ、耐水性に優れた塗膜を得ることができる。
【0015】
グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体の含有量は、0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜10重量%、より好ましくは1.0〜5.0重量%の範囲であり、0.1重量%未満では水性エマルジョンの粒子内の架橋が不十分であり、耐水性が低下する恐れがあるため好ましくなく、30重量%を超えると粒子内の架橋密度が高くなりすぎるため、成膜性が低下する恐れがあるため好ましくない。
【0016】
本発明で用いる他の重合性ビニル単量体とは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数1〜12の(シクロ)アルキルエステルや、アクリルニトリル、メタクリロニトリルなどの重合性不飽和ニトリルや、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物等である。
【0017】
他の重合性ビニル単量体の含有量は、10〜99.5重量%、好ましくは20〜98.5重量%、より好ましくは40〜95.7重量%の範囲であり、10重量%未満では、耐水性が低下したり、架橋密度が高くなり過ぎて成膜性が低下する恐れがあるため好ましくなく、99.5重量%を超えると、水性エマルジョンの安定性が低下するために好ましくない。
【0018】
水性エマルジョンは、例えば上記した水酸基含有の重合性ビニル単量体、カルボン酸基含有の重合性ビニル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体、他の重合性ビニル単量体を、必要に応じて界面活性剤の存在下で、水あるいは水混和性有機溶剤と水との混合溶媒中で重合することによって得られる。また、重合を多段階で行うことによって、コア/シェル構造等の多層構造を有する水性エマルジョンとしても良い。
水性エマルジョンの粒子径は、0.03〜0.2μmの範囲であり、0.03μm未満では、水分散ポリオールの粘度が上昇し、低い不揮発分濃度での使用に限定されるため好ましくなく、0.2μmを超えると、塗膜の耐水性が低下するため好ましくない。
【0019】
水性エマルジョンの粒子内ゲル分率は、60〜90%の範囲であり、60%未満では塗膜の耐水性が低下するために好ましくなく、90%以上では成膜性が低下するため好ましくない。これは前述の如く水酸基、カルボン酸基とグリシジル基を反応させ、水性エマルジョンの粒子内の架橋反応を進めることによって達成できる。粒子内のゲル分率を60〜90%にすることによって、特に塗布後、1日未満の比較的初期の耐水性を著しく向上することが可能となった。
この粒子内ゲル分率は、合成された水性エマルジョンだけをガラス板に塗布し、80℃30分加熱した後、塗膜のアセトン抽出残分を測定して求めることができる。
【0020】
このように合成した水性エマルジョンは、外部からの分散破壊作用に強く、粒子内が架橋されているために、水分散ポリイソシアネート組成物を添加した場合に凝集物を発生し難く、形成された塗膜は優れた耐水性を発揮する。
本発明で用いる脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等が挙げられる。中でもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネートは、工業的に入手し易く好ましくい。
【0021】
上記の脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネートから得られるポリイソシアネートとしては、分子内にビュウレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート等の構造を有するものなどが挙げられる。ポリイソシアネート組成物において、ビュレット構造を有するものは接着性に優れており、イソシアヌレート構造を有するものは耐候性に優れており、長い側鎖を有するアルコール化合物を用いたウレタン構造を有するものは弾性及び伸展性に優れており、ウレトジオン構造あるいはアロファネート構造を有するものは低粘度であるという特徴を有している。
【0022】
本発明で用いる5〜50のエチレンオキサイド繰り返し単位からなるノニオン性の親水基とは、ポリアルキレンオキサイドエーテルアルコール中に5〜50個のエチレンオキサイド繰り返し単位を含むものであり、水分散安定性を考慮した場合、特に好ましいのはポリエチレングリコールモノメチルエーテルである。エチレンオキサイド繰り返し単位が5個未満では、親水性が低すぎるため、ポリイソシアネートを水分散性とすることが困難となる恐れがあり、好ましくなく、50個を越えると親水性ポリイソシアネートの結晶性が高くなり、固体となる恐れがあり、好ましくない。
【0023】
水分散性ポリイソシアネートへの親水基の導入量は、2〜50重量%であり、2重量%未満では、親水成分が少なすぎるため、水分散能力を発現することが出来ない恐れがあり、好ましくなく、50重量%を越えると、水分散性ポリイソシアネート組成物の親水性が高すぎるために、水分散時のイソシアネート基と水との反応が抑えられず好ましくない。ここでいう重量%とは脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネート、またはそれらから得られるポリイソシアネート化合物に対する重量%である。
【0024】
なお、本発明でいう導入とは、ポリイソシアネート中に含まれるイソシアネート基と反応させてポリイソシアネート構造中に組み込むことをいう。導入方法としては、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネート、またはそれから得られるポリイソシアネートとポリアルキレンオキサイドエーテルアルコールを混合して、通常のウレタン化反応を行えばよい。
【0025】
このような水分散性ポリイソシアネート組成物と水性エマルジョンを配合して、攪拌し、コーティング組成物とした場合、水分散性ポリイソシアネート組成物はポリイソシアネート油滴を生成する。これを塗布した場合、水性エマルジョン粒子が凝集するエネルギーによって油滴が破壊され、ポリイソシアネート組成物が水性エマルジョン粒子間、粒子内に侵入し、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基と水性エマルジョン粒子の表面及び粒子内の水酸基が反応し、粒子間、粒子内の架橋反応が進行し、耐水性に優れた強靱な塗膜を形成することができる。
【0026】
本発明で用いる水分散性ポリイソシアネート組成物には、実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤を混合してもよい。イオン性の界面活性剤を混合することによって、ポリイソシアネート油滴の表面にノニオン性の親水基とイオン性界面活性剤の2重の保護膜を生成し、水分散性ポリイソシアネート油滴の分散安定性が著しく向上し、また水がポリイソシアネート油滴の中に侵入することを防いでくれる。このことによって、コーティング組成物のポットライフが著しく延長し、またポリイソシアネート油滴の粒子径が小さくなり、耐水性を更に向上させることができる。
【0027】
イオン性界面活性剤は、水性エマルジョンの中和方法によって、アニオン性か、カチオン性か決まる。すなわち、水性エマルジョンを塩基によって中和した場合は、アニオン性界面活性剤、酸によって中和した場合は、カチオン性界面活性剤を用いる必要がある。水性エマルジョンが中和されていない場合はどちらを用いてもよい。
【0028】
アニオン性界面活性剤としては、カルボキシレート型、サルフェート型、スルホネート型、ホスフェート型が適しており、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、アルキルジサルフェートナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホネートナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
カチオン性の界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩が適しており、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、アルキルピリジニウムブロマイド、イミダゾリニウムラウレート等が挙げられる。
【0029】
イオン性界面活性剤の混合量が0.5重量%未満では、イオン性界面活性剤を混合することによる効果、特にポットライフの延長が発現されないため適当ではなく、20重量%を越えると、分散粒子径が小さくなりすぎるために、ポットライフが短くなる恐れがあり、更に架橋に関与しない成分が増えすぎるために、塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こす恐れあり、好ましくない。なお、このでいう重量%とは、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、またはそれらから得られるポリイソシアネートとノニオン性の親水基を合計した重量に対するものである。
【0030】
本発明の自己乳化性ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基含有率は、8〜25重量%の範囲であり、8重量%未満では、コーティング組成物中の架橋点が少なくなり、硬化速度の低下、あるいは塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こす欠点を有する。また、イソシアネート基含有率は、親水基の導入量と分子量から一義的に決定されるため、水分散性を有するために必要な親水基を導入すると、必然的に上限は25重量%以下となる。
【0031】
また、水分散性ポリイソシアネート組成物の重量平均分子量は、350〜10000の範囲である。自己乳化能を発現するために必要な親水基を導入すると重量平均分子量は必然的に350以上となる。10000を超えるとポリイソシアネートの粘度が高くなり、水への分散が困難となるために適当ではない。
また、水分散性ポリイソシアネート組成物の粘度は、50〜20000mPa・s(25℃)の範囲であり、20000mPa・sを越えると水への分散が困難となるために適当ではない。水への分散を考えると粘度は低いほど望ましいが、50mPa・m未満では、架橋能力の低いジイソシアネートを大量に含んでしまうために好ましくない。
【0032】
なお、本発明でいう水分散とは、自己乳化性ポリイソシアネート組成物がO/W型になるよう水に分散された状態をいい、水にポリイソシアネートを添加し、棒やハンドミキサー等を用いて機械的に攪拌して作成される。
本発明で用いる水分散性ポリイソシアネート組成物は、有機溶剤を添加して使用することもできる。有機溶剤を混合したポリイソシアネートは、粘度が低くなるため、水分散性が向上し、さらに水分散時のイソシアネート基の残存率が高くなり、ポットライフが長くなるという特徴を有している。この場合、有機溶剤はイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが必要である。また、有機溶剤は本発明の自己乳化性ポリイソシアネート組成物と相溶する事が必要である。
【0033】
本発明の自己乳化性ポリイソシアネート組成物に添加する有機溶剤の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、グルタル酸ジイソプロピル等のエステル化合物やジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル化合物や2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン2−ヘプタノン,4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン化合物やベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン,p−シメン等の芳香族化合物や、ジエチレングリコールジメチルエーテルやジエチレングリコールジエチルエーテルやトリエチレングリコールジメチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物やジエチレングリコールジアセテート等のポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物などが挙げられる。
【0034】
水分散性ポリイソシアネート組成物に添加する有機溶剤の添加量は、水分散ポリイソシアネート組成物(該有機溶剤も含む)に対して5〜50重量%が好ましく、5重量%未満では有機溶剤を混合する効果、すなわち水分散性の向上やポットライフの延長効果がみられないため好ましくなく、50重量%を超えると本発明の水系コーティング組成物の中に占める揮発性有機化合物の量が多くなるために好ましくない。
【0035】
本発明では、(A)成分の水性エマルジョンと(B)成分の水分散性ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基/水酸基の当量比は、0.5〜5.0、好ましくは1.0〜3.0の範囲であり、0.5未満では、コーティング組成物中の架橋点が少なくなり、硬化速度の低下、あるいは塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こすため好ましくなく、5.0を超えると、被覆物が堅く脆くなるため好ましくない。
本発明で用いる水性エマルジョンあるいは水分散性ポリイソシアネート組成物には、必要に応じて、顔料、分散安定剤、粘度調整剤、レベリング剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、硬化促進触媒等を添加することが出来る。
【0036】
本発明の水系コーティング組成物は、外部からの分散破壊作用に強く、乾燥初期の耐水性に優れた水性エマルジョンと水分散性ポリイソシアネート組成物から構成されている。従って、本発明の水系コーティング組成物から得られる塗膜等被覆物は、耐水性に優れている。さらにイオン界面活性剤を使用した水分散性ポリイソシアネート組成物を用いた場合、水系コーティング組成物のポットライフを著しく向上させることができる。したがって、従来、溶剤系のポリウレタン塗料が用いられていた塗料、特に建築外装塗替え用塗料あるいは自動車補修用塗料、プラスチック用塗料を水系化することが出来る。更にはシーリング剤、接着剤、インキ、コーティング材、注型材、エラストマー、フォームやプラスチック原料、繊維処理剤など幅広い分野に応用することができる。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例などを用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
本発明で用いた測定方法を以下に示す。
イソシアネート基含有率は、イソシアネート基を過剰のアミンで中和した後、塩酸による逆滴定によって求めた。
粘度は、デジタル粘度計(東京計器株式会社製、DVM−B型)により25℃、60rpmで測定した。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めた。
【0038】
なお、GPCは数平均分子量2000未満の場合は(カラム:東ソー(株)製G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL、キャリアー:THF、検出方法:視差屈折計、データ処理器:東ソー(株)製CP−8000)で、数平均分子量2000以上の場合は(カラム:東ソー(株)製G2000HXL、G4000HXL、G5000HXL、キャリアー:THF、検測方法:視差屈折計、データ処理器:東ソー(株)製Chromatocoder21)にて測定した。
【0039】
水系コーティング組成物は、水性エマルジョンに水分散性ポリイソシアネート組成物を所定量添加し、600rpmで10分間攪拌して作成した。
粒子径は、マイクロトラックUPA粒度分布計(Leeds+Northrup社製)を用いて測定した。
ゲル分率は、硬化させた樹脂約0.1gをアセトン50gにより抽出させて以下の式より求めた。
ゲル分率(%)=樹脂を24時間アセトン抽出したときの固形分残存量/樹脂重量×100
水性エマルジョンの粒子内ゲル分率は、水性エマルジョンをガラス板に塗布し、80℃30分加熱後、上記のゲル分率と同様の方法で求めた。
【0040】
〔水性エマルジョンの合成1〕
滴下漏斗、メカニカルスターラーを備え付けた2リットルの四ッ口フラスコに水675gとエマノールNC(アニオン界面活性剤、35%水溶液、花王株式会社製:商品名)4.3gを入れ、80℃に加熱し、開始剤として過硫酸アンモニウム(2%水溶液)8gを入れた。次に、フラスコ内に下記の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間80℃に保った。
【0041】
2−ヒドロキシメチルメタクリレート 25g( 3.5重量%)
アクリル酸 10g( 1.4重量%)
アクリルアミド 2g( 0.3重量%)
グリシジルメタアクリレート 27g( 3.8重量%)
メチルメタアクリレート 353g(49.0重量%)
ブチルアクリレート 293g(40.7重量%)
スチレン 9g( 1.3重量%)
水 400g
過硫酸アンモニウム(2%水溶液) 31g
エレミノールJS−2(注1) 38g
エマルゲン920(注2) 9g
(注1)反応性乳化剤、39%水溶液、三洋化成株式会社製:商品名
(注2)ノニオン界面活性剤、25%水溶液、花王株式会社:商品名
得られた水性エマルジョンは乳白色、固形分38%の安定な分散液であり、粒子径は0.1μm、粒子内ゲル分率は、81%であった。計算から求められた水酸価15.0mgKOH/g、酸価10.8mgKOH/g、ガラス転移点温度15.7℃であった。
【0042】
〔水性エマルジョンの合成2〕
滴下漏斗、メカニカルスターラーを備え付けた2リットルの四ッ口フラスコに水675gとネオペレックスF−25(アニオン界面活性剤、35%水溶液、花王株式会社製)8.6gを入れ、80℃に加熱し、開始剤として過硫酸アンモニウム(2%水溶液)8gを入れた。次に、フラスコ内に下記の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間80℃に保った。
【0043】
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 214g(29.7重量%)
メタアクリル酸 68g( 9.4重量%)
アクリルアミド 8g( 1.1重量%)
グリシジルメタアクリレート 17g( 2.4重量%)
メチルメタアクリレート 105g(14.6重量%)
ブチルアクリレート 299g(41.5重量%)
スチレン 9g( 1.3重量%)
水 400g
過硫酸アンモニウム(2%水溶液) 31g
エレミノールJS−2 38g
ノニオンNS230(25%水溶液)(注3)9g
(注3)ノニオン界面活性剤、日本油脂株式会社製:商品名
【0044】
得られた水性エマルジョンは乳白色、固形分40%の安定な分散液であり、粒子径は0.06μm、粒子内ゲル分率は72%であった。計算から求められた水酸価128.2mgKOH/g、酸価61.5mgKOH/g、ガラス転移点温度7.9℃であった。
【0045】
〔水性エマルジョンの合成3〕
滴下漏斗、メカニカルスターラーを備え付けた2リットルの四ッ口フラスコに水675gとエマノールNC(アニオン界面活性剤、35%水溶液、花王株式会社製)4.3gを入れ、80℃に加熱し、開始剤として過硫酸アンモニウム(2%水溶液)8gを入れた。次にフラスコ内に下記の混合物を1時間で滴下し、滴下終了後1時間80℃を保った。
【0046】
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 14g( 1.9重量%)
アクリル酸 5g( 0.7重量%)
アクリルアミド 2g( 0.3重量%)
メチルメタアクリレート 90g(12.5重量%)
ブチルアクリレート 60g( 8.3重量%)
スチレン 9g( 1.3重量%)
水 90g
過硫酸アンモニウム(2%水溶液) 11g
アデカリヤソープSE−1025N(注4) 9g
エマルゲン920 9g
(注4)反応性乳化剤、25%水溶液、旭電化株式会社製(商品名)
【0047】
次に、フラスコ内に下記の混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後1時間80℃で保った。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 8g( 1.1重量%)
アクリル酸 5g( 0.7重量%)
アクリルアミド 5g( 0.7重量%)
グリシジルメタアクリレート 27g( 3.8重量%)
メチルメタアクリレート 263g(36.4重量%)
ブチルアクリレート 232g(32.2重量%)
水 310g
過硫酸アンモニウム(2%水溶液) 20g
アデカリヤソープSE−1025N 29g
得られた水性エマルジョンは乳白色、固形分38%の安定な分散液であり、粒子径は0.1μm、粒子内ゲル分率は84%であった。計算から求められた水酸価13.5mgKOH/g、酸価6.5mgKOH/g、ガラス転移点温度23.0℃であった。
【0048】
〔水性エマルジョンの合成4〕
滴下漏斗、メカニカルスターラーを備え付けた2リットルの四ッ口フラスコに水675gとエマノールNC(アニオン界面活性剤、35%水溶液、花王株式会社製)4.3gを入れ、80℃に加熱し、開始剤として過硫酸アンモニウム(2%水溶液)8gを入れた。次に、フラスコ内に下記の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間80℃に保った。
【0049】
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 25g( 3.5重量%)
アクリル酸 10g( 1.4重量%)
メチルメタアクリレート 380g(52.8重量%)
ブチルアクリレート 295g(41.0重量%)
スチレン 9g( 1.3重量%)
水 400g
過硫酸アンモニウム(2%水溶液) 31g
エレミノールJS−2 38g
エマルゲン920 9g
得られた水性エマルジョンは乳白色、固形分38%の安定な分散液であり、粒子径は0.12μm、粒子内ゲル分率は45%であった。計算から求められた水酸価13.5mgKOH/g、酸価10.8mgKOH/g、ガラス転移点温度15.7℃であった。
【0050】
〔水分散性ポリイソシアネート組成物の合成1〕
メトキシポリエチレングリコール(MPG−130、数平均分子量=430、エチレンオキサイド繰り返し単位=9.0個、日本乳化剤株式会社製:商品名)200gとイソシアヌレートタイプポリイソシアネート(デュラネートTPA−100、旭化成工業株式会社製:商品名)1000gを混ぜ、95℃で5時間ウレタン化反応を行った。得られたポリイソシアネートは、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は17.8%、重量平均分子量は1000、粘度は1000mPa・sであった。
【0051】
〔水分散性ポリイソシアネート組成物の合成2〕
メトキシポリエチレングリコール(MPG−081、エチレンオキサイド繰り返し単位=15.0個、日本乳化剤株式会社製:商品名)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(ニューコール290M、固形分70%、日本乳化剤株式会社製:商品名)を固形分重量比で2:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。ビュレットタイプポリイソシアネート(デュラネート24A−100、旭化成工業株式会社製:商品名)1000gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物300gを混ぜ、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。得られた自己乳化製ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は16.6%、重量平均分子量は1100、粘度は4100mPa・sであった。また、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、93%であった。
【0052】
〔水分散性ポリイソシアネート組成物の合成3〕
メトキシポリエチレングリコール(MPG−081、エチレンオキサイド繰り返し単位=15.2個、日本乳化剤株式会社製:商品名)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(ニューコール290M、固形分70%、日本乳化剤株式会社製:商品名)を固形分重量比で2:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。HDI/IPDI混合系ビュレットタイプポリイソシアネート(デュラネートV−3000、旭化成工業株式会社製:商品名)1000gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物100gを混ぜ、100℃で2時間ウレタン化反応を行い、反応終了後、室温で放置し、温度が50℃に降下したときに酢酸エチルを加え、固形分を80%に調節した。得られた自己乳化性ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は14.6%、重量平均分子量は900、粘度は300mPa・sであった。
【0053】
(実施例1)
水性エマルジョンの合成1で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成1で作成した水分散性ポリイソシアネート7.2gを600rpmで10分間攪拌した(NCO/OH当量比=1.5)。この時、凝集物は認められなかった。この水系コーティング組成物は、20℃で4時間放置したところで、発泡した。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると88%であり、20℃の水に4時間浸漬するとやや白化した。
【0054】
(実施例2)
水性エマルジョンの合成1で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成2で作成した水分散性ポリイソシアネート10.3gを600rpmで10分間攪拌した(NCO/OH当量比=2.0)。この時、凝集物は認められなかった。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると87%であり、20℃の水に4時間浸漬しても白化は生じなかった。
【0055】
(実施例3)
水性エマルジョンの合成2で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成1で作成した水分散性ポリイソシアネート64.7gを600rpmで10分間攪拌した(NCO/OH当量比=1.5)。この時、凝集物は認められなかった。この水系コーティング組成物は、20℃3.5時間で発泡した。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると85%であり、20℃の水に4時間浸漬するとやや白化した。
【0056】
(実施例4)
水性エマルジョンの合成2で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成2で作成した水分散性ポリイソシアネート46.3gを600rpmで10分間攪拌した(NCO/OH当量比=1.0)。この時、凝集物は認められなかった。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると85%であり、20℃の水に4時間浸漬しても白化は認められなかった。
【0057】
(実施例5)
水性エマルジョンの合成3で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成2で作成した水分散性ポリイソシアネート13.9gを600rpmで10分間攪拌した(NCO/OH当量比=3.0)。この時、凝集物は認められなかった。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると86%であり、20℃の水に4時間浸漬しても白化は認められなかった。
【0058】
(実施例6)
水性エマルジョンの合成3で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成3で作成した水分散性ポリイソシアネート7.9gを600rpmで10分間攪拌した。(NCO/OH当量比=1.5)この時、凝集物は認められなかった。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると83%であり、20℃の水に4時間浸漬しても白化は認められなかった。
【0059】
(比較例1)
水性エマルジョンの合成4で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成1で作成した水分散性ポリイソシアネート7.5gを600rpmで10分間攪拌した(NCO/OH当量比=1.5)。この時、水性エマルジョンは分散破壊を起こし凝集物が生じていた。この水系コーティング組成物は、20℃3時間放置で発泡した。このコーティング組成物を、400メッシュの金網で濾過して、厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると86%であり、20℃の水に4時間浸漬したところとは塗膜は白化した。
【0060】
(比較例2)
水性エマルジョンの合成4で作成した水性エマルジョン200gと水分散性ポリイソシアネート組成物の合成2で作成した水分散性ポリイソシアネート7.7gを600rpmで10分間攪拌した(NCO/OH当量比=1.5)。この時、水性エマルジョンは分散破壊を起こし凝集物が生じていた。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても、粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を、400メッシュの金網で濾過して、厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると87%であり、20℃の水に4時間浸漬したところとは塗膜はやや白化した。
【0061】
【発明の効果】
本発明の水系コーティング組成物は、外部からの分散破壊作用に強く、乾燥初期の耐水性に優れた水性エマルジョンと水分散性ポリイソシアネート組成物から構成されている。従って、本発明の水系コーティング組成物から得られる塗膜等被覆物は、耐水性に優れている。さらにイオン界面活性剤を使用した水分散性ポリイソシアネート組成物を用いた場合、水系コーティング組成物のポットライフを著しく向上させることができる。従って、従来溶剤系のポリウレタン塗料が用いられていた塗料、特に建築外装塗替え用塗料あるいは自動車補修用塗料、プラスチック用塗料を水系化することが出来る。更にはシーリング剤、接着剤、インキ、コーティング材、注型材、エラストマー、フォームやプラスチック原料、繊維処理剤など幅広い分野に応用することができる。
Claims (2)
- (A)成分として、水酸基含有の重合性ビニル単量体0.3〜60重量%、カルボン酸基含有の重合性ビニル単量体0.1〜30重量%、(メタ)アクリルアミド系単量体0.1〜30重量%、グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体0.1〜30重量%、他の重合性ビニル単量体10〜99.4重量%の共重合体からなる水性エマルジョンであり、粒子径0.03〜0.2μm、粒子内ゲル分率60〜90%である水性エマルジョン、(B)成分として、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネート、またはそれらから得られるポリイソシアネート化合物に、5〜50のエチレンオキサイド繰り返し単位からなるノニオン性の親水基が2〜50重量%導入された水分散性ポリイソシアネート組成物とからなり、(A)成分と(B)成分とをイソシアネート基/水酸基の当量比が0.5〜5.0の範囲となる量で配合してなる水系コーティング組成物。
- (A)成分として、水酸基含有の重合性ビニル単量体0.3〜60重量%、カルボン酸基含有の重合性ビニル単量体0.1〜30重量%、(メタ)アクリルアミド系単量体0.1〜30重量%、グリシジル基含有の(メタ)アクリル系単量体0.1〜30重量%、他の重合性ビニル単量体10〜99.4重量%の共重合体からなる水性エマルジョンであり、粒子径0.03〜0.2μm、粒子内ゲル分率60〜90%である水性エマルジョン、(B)成分として、(i)脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネート、またはそれらから得られるポリイソシアネート化合物に、5〜50のエチレンオキサイド繰り返し単位からなるノニオン性の親水基が2〜50重量%導入された水分散性ポリイソシアネートに対して、(ii)実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤を0.5〜20重量%混合させることにより得られる水分散性ポリイソシアネート組成物とからなり、(A)成分と(B)成分とをイソシアネート基/水酸基の当量比が0.5〜5.0の範囲となる量で配合してなる水系コーティング組成物。
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