JP5046584B2 - 自己乳化性ポリイソシアネート組成物及び水系コーティング組成物 - Google Patents
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Description
特許文献1、特許文献2では、自己乳化性を持ったポリイソシアネートを得る方法として、ポリイソシアネート中にノニオン性の親水基を導入した自己乳化性ポリイソシアネートが提案されている。また、特許文献3では、自己乳化性ポリイソシアネートの分散性を向上させるために、乳化性を有する水性エマルジョン分散液を特定することが提案されている。また、特許文献4、特許文献5では、ポットライフを延ばすために、ノニオン性親水基と親油基を導入したポリイソシアネートが提案されている。
しかしながら、上記に示した従来の自己乳化性ポリイソシアネートを、水分散性及び/又は水溶性のポリオールの架橋成分として用いたコーティング組成物から形成される塗膜は、耐透水性が非常に悪く、また塗膜硬度が低いという大きな欠点があった。
課題を解決できることを見いだし本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1は、(a)1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物と、(b)水酸基含有ノニオン乳化剤を、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.05〜1000の範囲で反応させてなる親水性ポリイソシアネート化合物であって、該水酸基含有ノニオン乳化剤が10〜50のエチレンオキサイド繰り返し単位を有する親水基、および2つ以上の芳香環を有する疎水基を有する親水性ポリイソシアネート化合物(A)である。
本発明の第3は、本発明の第1又は2に記載の、親水性ポリイソシアネート化合物(A)に対して、実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤(c)を0.5〜20質量%混合させることにより得られる自己乳化性ポリイソシアネート組成物(C)である。
本発明の第4は、本発明の第1又は2に記載の、親水性ポリイソシアネート化合物(A)と、水酸基価1〜300mgKOH/g、粒子径0.01〜1.0μmの水性エマルジョン(B)を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.05〜5.0の範囲で配合してなる水系コーティング組成物である。
本発明の第5は、本発明の第3に記載の、自己乳化性ポリイソシアネート組成物(C)と、水酸基価1〜300mgKOH/g、粒子径0.01〜1.0μmの水性エマルジョン(B)を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.05〜5.0の範囲で配合してなる水系コーティング組成物である。
上記脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、及びこれらの併用を挙げることができる。
また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよびその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、粗製TDI、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、粗製MDI、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等、及びこれらの併用が挙げられる。
本発明で使用する1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物としては、それから誘導される親水性ポリイソシアネート化合物を含有する水系コーティング組成物から生成する塗膜の耐熱黄変性、耐候性等の向上の点から脂肪族、及び/または脂環族系のジイソシアネート化合物や、それから得られるポリイソシアネート化合物が望ましい。
本発明で1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物と水酸基含有ノニオン乳化剤とを反応させる比率は、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.05〜1000、好ましくは2〜200、さらに好ましくは4〜100の範囲である。当量比が1.05未満では、親水性ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基含有率が著しく低下するため、水系コーティング組成物中の架橋点が少なくなり、硬化速度の低下、あるいは塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こし好ましくない。当量比が1000を越えると、界面張力を下げる効果が十分でなく、親水性を発現することが出来ないため好ましくない。なお、本発明で1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物と水酸基含有ノニオン乳化剤の反応方法としては、両者を混合させて、通常のウレタン化反応を行えば良い。
また、本発明において1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物と反応させる水酸基含有ノニオン乳化剤は、疎水基として、2つ以上の芳香環を有する。芳香環を2つ以上持つことで親水性ポリイソシアネート化合物に十分な自己乳化能を発現させることが出来、かつ、水に対する保護力が高いため、ポリイソシアネート中へ水の浸入を低減させ、実用に耐えられるポットライフを達成し易い。
本発明の親水性ポリイソシアネート化合物の粘度は、実質的に固形分100%の状態で50〜20000、好ましくは200〜10000mPa・s(25℃)である。20000mPa・sを越えると水への分散が困難となるために適当ではない。水への分散を考えると粘度は低いほど望ましいが、50mPa・m未満では、架橋能力の低いジイソシア
ネートを大量に含んでしまうために好ましくない。
本発明の親水性ポリイソシアネート化合物の質量平均分子量は、350〜10000、好ましくは500〜5000である。自己乳化能を発現するために必要な親水基を導入すると質量平均分子量は必然的に350以上となる。10000を超えると親水性ポリイソシアネート化合物の粘度が高くなり、水への分散が困難となるために適当ではない。
イオン性界面活性剤は、水性エマルジョンの中和方法によって、アニオン性か、カチオン性か一義的に決まる。すなわち、水性エマルジョンを塩基によって中和した場合は、アニオン性界面活性剤、酸によって中和した場合は、カチオン性界面活性剤を用いる必要がある。水性エマルジョンが中和されていない場合はどちらを用いてもよい。
カチオン性の界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩が適しており、例えばアルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、アルキルピリジニウムブロマイド、イミダゾリニウムラウレートが挙げられる。
添加量が、0.5質量部未満では、イオン性界面活性剤を混合することによる水分散安定性の効果が発現されないため適当ではない。20質量部を越えると、分散粒子径が小さくなりすぎるために、ポットライフが短くなり、更に架橋に関与しない成分が増えすぎるために、塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こすことがあり好ましくない。
なお、本発明でいう水分散とは、自己乳化性ポリイソシアネート組成物がO/W型になるよう水に分散された状態をいい、水に自己乳化性ポリイソシアネート組成物を添加し、棒やハンドミキサー等を用いて機械的に攪拌して作成される。
本発明の自己乳化性ポリイソシアネート組成物は水分散安定性が良好である。本発明でいう水分散安定性とは、上記の方法で水分散した自己乳化性ポリイソシアネート組成物の油滴の水中における安定性のことである。本発明の自己乳化性ポリイソシアネート組成物は水分散した状態で、20℃6時間放置しても全く沈殿がみられない。これもまた、導入した親水基成分と混合したイオン性界面活性剤の相互効果によって達成される。
メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、グルタル酸ジイソプロピル等のエステル化合物やジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル化合物や、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン2−ヘプタノン,4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン化合物やベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン,p−シメン等の芳香族化合物や、ジエチレングリコールジメチルエーテルやジエチレングリコールジエチルエーテルやトリエチレングリコールジメチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物やジエチレングリコールジアセテート等のポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物などが挙げられる。
また本発明は、前記の親水性ポリイソシアネート化合物または自己乳化性ポリイソシアネート組成物と、水酸基価1〜300mgKOH/g、粒子径0.01〜1.0μmの水性エマルジョンを、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.05〜5.0の範囲で配合してなる水系コーティング組成物を提供するものである。
本発明で使用する水性エマルジョンの水酸基価は、1〜300、好ましくは5〜200、さらに好ましくは10〜100mgKOH/gである。1mgKOH/g未満では、コーティング組成物中の架橋点が少なくなり、硬化速度の低下、あるいは塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こすため好ましくない。300mgKOH/gを超えると逆に架橋点が多すぎるために、被覆物が、堅く脆くなるために好ましくない。
本発明では、親水性ポリイソシアネート化合物または自己乳化性ポリイソシアネート組成物と、水性エマルジョンを配合する際のイソシアネート基/水酸基の当量比は、0.05〜5.0、好ましくは、0.2〜3.0である。0.05未満では、コーティング組成物中の架橋点が少なくなり、硬化速度の低下、あるいは塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こすため好ましくない。5.0を超えると、被覆物が堅く脆くなるため好ましくない。
また、上記水系コーティング組成物より、20℃、24時間の塗工条件で得られる塗膜
のゲル分率は、50%以上である。50%未満では、耐水性に劣るため好ましくない。 本発明の親水性ポリイソシアネート化合物、自己乳化性ポリイソシアネート組成物、及び水系コーティング組成物には、必要に応じて、顔料、分散安定剤、粘度調整剤、レベリング剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、硬化促進触媒等を添加することが出来る。
1.イソシアネート基含有率は、イソシアネート基を過剰のアミンで中和した後、塩酸による逆滴定によって求めた。
2.粘度は、デジタル粘度計(東京計器株式会社DVM−B型)により25℃、60rpmで測定した。
3.質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めた。なお、GPCは質量平均分子量2000未満の場合は(カラム:東ソー(株)G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL、キャリアー:THF、検出方法:視差屈折計、データ処理器:東ソー(株)CP−8000)で、質量平均分子量2000以上の場合は(カラム:東ソーG2000HXL、G4000HXL、G5000HXL、キャリアー:THF、検測方法:視差屈折計、データ処理器:東ソー(株)Chromatocoder21)にて測定した。
5.水系コーティング組成物は、水性エマルジョンに自己乳化性ポリイソシアネート組成物を所定量添加し、600rpmで10分間攪拌して作成した。
6.粒子径は、超遠心式自動粒度分布測定装置(堀場製作所製CAPC−700)を用いて測定した。
7.ゲル分率は、硬化させた樹脂約0.1gをアセトン50gにより抽出させて以下の式より求めた。
ゲル分率=(樹脂を24時間アセトン抽出したときの固形分残存量/樹脂質量)×100%)
8.塗膜の硬度は、ケーニッヒ硬度計を用いて測定した。
9.塗膜の耐溶剤性は、キシレンを染込ませた綿棒を塗膜にこすりつけて往復させ、傷の付き始めるまでの往復回数を測定することにより評価した(キシレンラビングテスト)。
ポリエチレングリコールジスチレン化フェニルエーテル(ノイゲンEA167、第一工業製薬株式会社製)200gとビュレットタイプポリイソシアネート(デュラネート24A−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)1000gを混ぜ、120℃で4時間ウレタン化反応を行った。得られた親水性ポリイソシアネート化合物にアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム(ニューコール210、固形分50%、日本乳化剤株式会社製)を固形分質量比で100:3になるように混合した。得られた自己乳化性ポリイソシアネート組
成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は18.5%、質量平均分子量は1500、粘度は2800mPa・sであった。この自己乳化性ポリイソシアネート組成物を水分散すると分散性は良好であり、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、95%であった。
ポリエチレングリコールジスチレン化フェニルエーテル(ノイゲンEA177、第一工業製薬株式会社製)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(ニューコール290M、固形分70%、日本乳化剤株式会社製)を固形分質量比で2:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。イソシアヌレートタイプポリイソシアネート(デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)1000gと上記より得られたポリエチレングリコールジスチレン化フェニルエーテルとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物300gを混ぜ、140℃で4時間ウレタン化反応を行った。得られた自己乳化性ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は18.0%、質量平均分子量は1700、粘度は3000mPa・sであった。この自己乳化性ポリイソシアネート組成物を水分散すると分散性は良好であり、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、94%であった。
ポリエチレングリコールジスチレン化フェニルエーテル(エマルゲンA90、花王株式会社製)とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム(ニューコール560SF、固形分50%、日本乳化剤株式会社製)を固形分質量比で3:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。イソシアヌレートタイプポリイソシアネート(デュラネートV−3000、旭化成ケミカルズ株式会社製)1000gと上記より得られたポリエチレングリコールジスチレン化フェニルエーテルとポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウムの混合物150gを混ぜ、120℃で5時間ウレタン化反応を行った。得られた自己乳化製ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は12.4%、質量平均分子量は1500、粘度は3500mPa・sであった。この自己乳化性ポリイソシアネート組成物を水分散すると分散性は良好であり、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、93%であった。
ポリエチレングリコール多環フェニルエーテル(ニューコール714、日本乳化剤株式会社製)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(ニューコール290M、固形分70%、日本乳化剤株式会社製)を固形分質量比で6:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。イソシアヌレートタイプポリイソシアネート(デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)1000gと上記より得られたポリエチレングリコールラウリルエーテルとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物300gを混ぜ、120℃で5時間ウレタン化反応を行った。得られた自己乳化製ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は16.8%、質量平均分子量は1900、粘度は3800mPa・sであった。この自己乳化性ポリイソシアネート組成物を水分散すると分散性は良好であり、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、85%であった。
実施例2で得られた自己乳化性ポリイソシアネート組成物160gにジエチレングリコールジエチルエーテル40gを添加した。得られた自己乳化性ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は14.4%、粘度は500mPa・sであった。この自己乳化性ポリイソシアネート組成物を水分散すると分散性は著しく良好
であり、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、93%であった。
アクリルラテックス(スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/2−ヒドロキシメチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体、アンモニアでpH5に調整、水酸基価60mgKOH/g、酸価6mgKOH/g、Tg25℃、粒子径0.09μm)と実施例1で得た自己乳化性ポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=0.5で混合し水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると79%であり、ケーニッヒ硬度は95、キシレンラビングテストは150回、20℃の水に4時間浸漬しても塗膜の白化は認められなかった。
アクリルラテックス(スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/2−ヒドロキシメチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体、アンモニアでpH5に調整、水酸基価20mgKOH/g、酸価6mgKOH/g、Tg10℃、粒子径0.08μm)と実施例2で得た自己乳化性ポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.5で混合し水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると84%であり、ケーニッヒ硬度は105、キシレンラビングテストは180回、20℃の水に4時間浸漬しても塗膜の白化は認められなかった。
アクリルラテックス(スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/2−ヒドロキシメチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体、アンモニアでpH5に調整、水酸基価40mgKOH/g、酸価1mgKOH/g、Tg10℃、粒子径0.2μm)と実施例3で得た自己乳化性ポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=3.0で混合し水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると80%であり、ケーニッヒ硬度は100、キシレンラビングテストは160回、20℃の水に4時間浸漬しても塗膜の白化は認められなかった。
フッ素ラテックス(水酸基価100mgKOH/g、酸価2mgKOH/g、Tg0℃、粒子径0.1μm)と実施例4で得た自己乳化性ポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.25で混合し水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると87%であり、ケーニッヒ硬度は90、キシレンラビングテストは200回、20℃の水に4時間浸漬しても塗膜の白化は認められなかった。
アクリルラテックス(スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/2−ヒドロキシメチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体、アンモニアでpH5に調整、水酸基価160mgKOH/g、酸価6mgKOH/g、Tg25℃、粒子径0.09μm)と実施例5で得た自己乳化性ポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=0.75で混合し水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物は、20℃8時間放置しても粘度上昇、発泡は認められなかった。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると88%であり、ケーニッヒ硬度は85、キシレンラビングテストは120回、20℃の水に4時間浸漬しても塗膜の白化は認められなかった。
メトキシポリエチレングリコール(ユニオックスM1000、日本油脂株式会社製)150gとイソシアヌレートタイプポリイソシアネート(デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)1000gを混ぜ、100℃で2時間ウレタン化反応を行った。得られた親水性ポリイソシアネート化合物にアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム(ニューコール210、固形分50%、日本乳化剤株式会社製)を固形分質量比で100:3になるように混合した。得られた自己乳化性ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は18.5%、質量平均分子量は1400、粘度は2500mPa・sであった。このポリイソシアネート組成物を水分散すると分散性は良好であったが、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は0%であった。
メトキシポリエチレングリコール(MPG−081、エチレンオキサイド繰り返し単位=15.2個、日本乳化剤株式会社製)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(ニューコール290M、固形分70%、日本乳化剤株式会社製)を固形分質量比で2:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。ビュレットタイプポリイソシアネート(デュラネート24A−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)1000gに上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物300gを混ぜ、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。得られた自己乳化性ポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は18.0%、質量平均分子量は1500、粘度は2600mPa・sであった。このポリイソシアネート組成物を水分散すると分散性は良好であったが、水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は20%であった。
アクリルラテックス(スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/2−ヒドロキシメチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体、アンモニアでpH5に調整、水酸基価20mgKOH/g、酸価6mgKOH/g、Tg10℃、粒子径0.08μm)と、比較例1で得た自己乳化性ポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.5で混合し水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物は、20℃5時間放置すると固化した。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、やや濁りがある塗膜を得た。ゲル分率を測定すると81%であり、ケーニッヒ硬度は60、キシレンラビングテストは20回、20℃の水に4時間浸漬すると塗膜が水膨れ及び白化した。
アクリルラテックス(スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/2−ヒドロキシメチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体、アンモニアでpH5に調整、
水酸基価60mgKOH/g、酸価6mgKOH/g、Tg10℃、粒子径0.08μm)と、比較例2で得た自己乳化性ポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.0で混合し水系コーティング組成物を得た。この水系コーティング組成物は、20℃6時間放置すると固化した。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると84%であり、ケーニッヒ硬度は70、キシレンラビングテストは50回、20℃の水に4時間浸漬すると塗膜が水膨れ及び白化した。
Claims (5)
- (a)1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物と、(b)水酸基含有ノニオン乳化剤を、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.05〜1000の範囲で反応させてなる親水性ポリイソシアネート化合物であって、該水酸基含有ノニオン乳化剤が10〜50のエチレンオキサイド繰り返し単位を有する親水基、および2つ以上の芳香環を有する疎水基を有する親水性ポリイソシアネート化合物。
- 水酸基含有ノニオン乳化剤がポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルである請求項1に記載の親水性ポリイソシアネート化合物。
- 請求項1又は2に記載の親水性ポリイソシアネート化合物(A)に対して、実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤(c)を0.5〜20質量%混合させることにより得られる自己乳化性ポリイソシアネート組成物。
- 請求項1又は2に記載の親水性ポリイソシアネート化合物(A)と、水酸基価1〜300mgKOH/g、粒子径0.01〜1.0μmの水性エマルジョン(B)を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.05〜5.0の範囲で配合してなる水系コーティング組成物。
- 請求項3に記載の自己乳化性ポリイソシアネート組成物(C)と、水酸基価1〜300mgKOH/g、粒子径0.01〜1.0μmの水性エマルジョン(B)を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.05〜5.0の範囲で配合してなる水系コーティング組成物。
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