JP3899509B2 - 自己乳化型ポリイソシアネート組成物及びそれを用いた水性塗料 - Google Patents

自己乳化型ポリイソシアネート組成物及びそれを用いた水性塗料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己乳化型ポリイソシアネート組成物及びそれを用いた水性塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機溶剤を多く含有する塗料、接着剤及びコーティング剤等は、人体への悪影響、爆発火災等の安全衛生上の問題、また、大気汚染等の公害問題を有する。そこで、これらの問題点を改善するため、近年水性システム開発が活発に行われている。従来から、水溶性高分子溶液や水性エマルジョンが使用されているが、水性一液システムでは、要求物性を発現できないことが多いため、一般に耐候性及び接着性等向上のため架橋剤が使用される。架橋システムには種々の方法があり、自己乳化型ポリイソシアネートは架橋剤として広く用いられている。従来の自己乳化型ポリイソシアネートの例として、特開昭61−291613号公報、特開平5−222150号公報等に記載されているものがあり、これらは、親水性界面活性剤をポリイソシアネートに導入したものである。また、特開平10−195172号公報には、親水性界面活性剤と疎水鎖を導入した自己乳化型ポリイソシアネートが記載されている。また、特開昭57−183753号公報には、有機ポリイソシアネートにポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基を有する化合物と反応させて得られるイソシアネート組成物が開示されている。
【0003】
しかしながら、特開昭61−291613号公報、特開平5−222150号公報等では、具体的に記載されている親水性界面活性剤は、アルコキシポリエチレングリコールである。このような自己乳化性ポリイソシアネートを水に分散させると、イソシアネート基と水との反応によるイソシアネート基の減少が起こり、十分なポットライフ(可使時間)が確保できないという問題がある。また、特開平10−195172号公報では、親水性界面活性剤以外に疎水鎖を導入しているため、自己乳化性ポリイソシアネートのイソシアネート含量が小さくなり、例えば塗料用硬化剤として使用した場合、十分な架橋密度を有する塗膜が得られにくい。また、特開昭57−183753号公報では、ポリイソシアネート水分散液の可使時間はまだ不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水分散させたポリイソシアネートが十分なポットライフを有し、かつ、水性塗料用として用いた場合に十分な強度を有する塗膜が得られる、自己乳化型ポリイソシアネート組成物及びこれを用いた水性塗料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、特定のポリイソシアネートを混合して得られた自己乳化型ポリイソシアネートが上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(3)に示されるものである。
(1)少なくとも以下に示すポリイソシアネート(A)及び(B)を質量比で(A):(B)=10/90〜90/10の比率で含有する自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
(A):ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と、少なくともモノオールのアルキレンオキサイド(但しエチレンオキサイドを30モル%以上含有する)付加物(A2)を反応させて得られる、水分散性を有するポリイソシアネート。
(B):平均官能基数が、25℃での粘度が500mPa・s以下のアロファネート基含有の水分散性を有さないポリイソシアネート。
【0006】
(2)(B)が、カルボン酸ジルコニウム塩の存在下で、ヘキサメチレンジイソシアネートと炭素数1〜5のアルキルモノオールを反応させて得られるものであることを特徴とする、前記(1)の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【0007】
(3)前記(1)又は(2)の自己乳化型ポリイソシアネート組成物を含有することを特徴とする、水性塗料。
【0008】
【発明の実施の手段】
本発明に用いられる原料について説明する。
本発明に用いられるポリイソシアネート(A)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(以後HDIと略称する)のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と、少なくともモノオールのアルキレンオキサイド(但しエチレンオキサイドを30モル%以上含有する)付加物(A2)を反応させて得られる、水分散性を有するポリイソシアネートである。
【0009】
(A1)は、HDIのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートであり、分子中にイソシアネート基、イソシアヌレート基を有するものである。なお(A1)は、ウレタン基、ウレア基等を有していてもよい。
【0010】
(A1)がHDIベースにしているのは、耐候性、水分散時におけるイソシアネート基と水との反応性を考慮したためである。なお、耐候性等を大幅に損なわない範囲で、HDIの一部を他の有機ジイソシアネートに置き換えることができる。
【0011】
(A1)は公知の方法で得られるものであり、具体的には以下の方法で得られるものである。
(イ):HDIにイソシアヌレート化触媒を添加してイソシアヌレート化反応を行い、触媒毒添加によりイソシアヌレート化反応を停止した後遊離のHDIを除去する。
(ロ):HDIとポリオールを反応させてウレタン化反応を行ってイソシアネート基末端プレポリマーを合成し、これにイソシアヌレート化触媒を添加してイソシアヌレート化反応を行い、触媒毒添加によりイソシアヌレート化反応を停止した後遊離のHDIを除去する。
【0012】
なお(ロ)の場合、当初のHDIとポリオールの仕込み比は「イソシアネート基が水酸基に対して過剰となる量」であり、イソシアネート基と水酸基のモル比がイソシアネート基/水酸基=8以上が好ましく、10〜50が特に好ましい。
【0013】
ここで、イソシアヌレート化触媒としては公知のものが使用でき、例えばテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド等のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド、酢酸テトラメチルアンモニウム塩、酢酸テトラエチルアンモニウム塩、酢酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機弱酸塩、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド等のトリアルキルヒドロキシキルアンモニウムハイドロオキサイド、酢酸トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム塩、酢酸トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、酢酸トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム塩、酢酸トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等の有機弱酸塩、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の金属塩等が挙げられる。
【0014】
イソシアヌレート化反応に対する触媒毒としては、リン酸、塩酸等の無機酸、スルホン酸、スルファミン酸基等を有する有機酸及びこれらのエステル類、アシルハライド等が挙げられる。
【0015】
(ロ)におけるポリオールとしては、
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、あるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の数平均分子量500以下である低分子ポリオール類、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、又は酸無水物等の1種以上と、前述の低分子ポリオール類、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールの1種以上との反応で得られるポリエステルポリオール類やポリエステルアミドポリオール類、
また、低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、
前述の低分子ポリオールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応、脱フェノール反応等で得られるポリカーボネートポリオール類、
前述のポリエステルポリオールに用いられる低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及びこれらを共重合したポリエーテルポリオール類、
前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール類、
水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等のポリオレフィンポリオール類、
ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロイン等の動植物系ポリオール類、
等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上混合して使用してもよい。本発明では低分子ポリオール類が好ましい。
【0016】
(ロ)におけるウレタン化における反応条件は、温度:30〜100℃、時間:1〜10時間が好ましく、温度40〜90℃、時間1〜5時間が更に好ましい。なお、この反応の際、公知のジブチルチンジラウレート、トリエチレンジアミン等のウレタン化触媒を用いることができる。なお、この反応条件は、後述する(A1)と(A2)の反応条件にも適用できる。
【0017】
イソシアヌレート化における反応条件は、触媒添加量:反応系に対して10〜10,000ppm、温度:0〜120℃、時間:1〜20時間が好ましく、触媒添加量:反応系に対して100〜5,000ppm、温度:30〜70℃、時間:2〜15時間が更に好ましい。また、イソシアヌレート化反応が進みすぎるとゲル化しやすくなるため、目的とする形状のものが得られなくなる。
【0018】
イソシアヌレート化反応の停止は、触媒毒を添加することにより行う。触媒毒添加量は、イソシアヌレート化触媒に対して0.5〜2当量が好ましく、0.7〜1.5当量が特に好ましい。
【0019】
なお、ウレタン化反応やイソシアヌレート化反応の際、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。この有機溶剤としては、n−ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系有機溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系有機溶剤、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミド等の極性非プロトン溶剤等が挙げられる。前記溶剤は1種又は2種以上使用することができる。
【0020】
遊離のHDIを除去する方法としては、蒸留、再沈、抽出等公知の方法が挙げられ、蒸留特に薄膜蒸留が溶剤等を用いることなくできるので好ましい。また、好ましい薄膜蒸留の条件としては、圧力:0.1kPa以下、温度:100〜200℃であり、特に好ましい条件は圧力:0.05kPa以下、温度:120〜180℃である。
【0021】
このようにして得られた(A1)は、イソシアネート含量が10〜30質量%、25℃の粘度が1,000〜5,000mPa・sであり、好ましくはイソシアネート含量が15〜25質量%、25℃の粘度が1,500〜3,500mPa・sである。
【0022】
(A2)は、モノオールのアルキレンオキサイド(但し、エチレンオキサイドを30モル%以上含有する)付加物である。アルキレンオキサイド中のエチレンオキサイド含有量が30モル%未満の場合、ポリイソシアネート(A)の水分散性が不十分となりやすい。
【0023】
このモノオールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチル−ヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、シンナミルアルコール等の脂肪族モノオール類、
フェノール、クレゾール等の芳香族モノオール類、
ベンジルアルコール等の芳香脂肪族モノオール類、
等が挙げられる。本発明では炭素数1〜5の脂肪族アルコールが好ましい。
【0024】
(A2)の数平均分子量は、300〜3,000が好ましく、500〜2,000が特に好ましい。数平均分子量が300未満の場合は、ポリイソシアネート(A)の水分散性が不十分となりやすい。3,000を越える場合は、(A)の粘度が高くなり、作業性が低下しやすい。
【0025】
ポリイソシアネート(A)は、(A1)と少なくとも(A2)を反応させることによって得られる。反応条件は前述の(ロ)におけるウレタン化反応が適用できる。(A)中の(A1)含有量は2〜20質量%が好ましく、3〜18質量%が特に好ましい。なおこの際に(A2)の一部を疎水性モノオールに置き換えることができる。疎水性モノオールとしては、前述の(A1)を得る際に用いられるモノオール類、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル等が挙げられる。
【0026】
このようにして得られたポリイソシアネート(A)のイソシアネート含量は10〜30質量%、25℃の粘度が1,000〜5,000mPa・sであり、好ましいイソシアネート含量は15〜25質量%、25℃の粘度が1,500〜3,500mPa・sである。
【0027】
ポリイソシアネート(B)は、平均官能基数が、25℃での粘度が500mPa・s以下のアロファネート基含有の水分散性を有さないポリイソシアネートである。平均官能基数が下限未満の場合は、ポリイソシアネートの架橋効率が低下して、塗膜強度が低下しやすい。上限を越える場合は、ポリイソシアネート(B)の25℃の粘度が500mPa・s以下のものが得られにくい。また、25℃の粘度が上限を越える場合、得られるポリイソシアネートの粘度が高くなり、作業性が低下しやすい。
【0028】
ポリイソシアネート(B)の製造方法は特に制限はなく、アロファネート化触媒の存在下で、HDIとアルコールとを反応させること等で得られる。ここでアルコールとは、アルコール性水酸基を含有する化合物をいい、フェノール等のような芳香環に水酸基が直接結合した化合物は含まない意である。
【0029】
アルコールとしては、前述の(A)に用いられるポリオール、モノオールが挙げられる。これらは単独又は2種類以上混合して用いられる。本発明では、脂肪族モノオール(アルキルモノオール)が好ましく、炭素数1〜5の脂肪族モノオール(アルキルモノオール)が特に好ましい。
【0030】
アロファネート化触媒は公知のものが使用できるが、カルボン酸ジルコニウム塩を用いると、イソシアネート基の二量化や三量化といった副反応がほとんど起きず、低粘度のポリイソシアネートが得られるので好ましい。また、カルボン酸ジルコニウム塩を用いることにより、助触媒等を使用することなく、実質的に着色のないアロファネート変性ポリイソシアネートが比較的容易に得られる。
【0031】
このカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上記したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸等のモノカルボン酸類、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸類が挙げられる。これらのカルボン酸ジルコニウム塩は、単独あるいは2種以上の混合物のいずれの形態で用いてもよい。本発明で好ましい(c)は、炭素数10以下のモノカルボン酸ジルコニウム塩である。
【0032】
(B)は公知の方法で得られるものであり、具体的には以下の方法で得られるものである。
(ハ):有機ジイソシアネートとアルコールを反応させてウレタン化反応を行ってイソシアネート基末端プレポリマーを合成し、これにアロファネート化触媒を添加してアロファネート化反応を行い、触媒毒添加によりアロファネート化反応を停止した後遊離の有機ジイソシアネートを除去する。
(ニ):有機ジイソシアネートとアルコールをアロファネート化触媒の存在下で、ウレタン化反応・アロファネート化反応を並行して行い、触媒毒添加によりアロファネート化反応を停止した後遊離の有機ジイソシアネートを除去する。
【0033】
(B)に用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、また、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、イソホロンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、また、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。本発明ではポリイソシアネート(B)の粘度が低いものとなりやすいHDIが好ましい。
【0034】
なお、当初の有機ジイソシアネートとアルコールの仕込み比は、「イソシアネート基が水酸基に対して過剰となる量」であり、イソシアネート基と水酸基のモル比がイソシアネート基/水酸基=8以上が好ましく、10〜50が特に好ましい。
【0035】
アロファネート化反応に対する触媒毒しては、リン酸、塩酸等の無機酸、スルホン酸基、スルファミン酸基等を有する有機酸及びこれらのエステル類、アシルハライド等公知の物が挙げられる。
【0036】
(ハ)におけるウレタン化反応の条件は、前述のウレタン化反応条件が適用できる。
【0037】
(ハ)におけるウレタン化反応の条件、及び(ニ)におけるウレタン化・アロファネート化反応の条件は、反応温度を70〜150℃、好ましくは80〜130℃にして行う。反応温度が低すぎる場合は、アロファネート基があまり生成せず、得られるポリイソシアネートの平均官能基数が低下することになる。このようなポリイソシアネートを塗料用硬化剤に用いると、塗膜物性が不十分となりやすい。反応温度が高すぎる場合は、得られるポリイソシアネートを不必要に加熱することになり、ポリイソシアネートが着色する原因になることがある。反応時間は、触媒の種類や添加量、反応温度により異なるが、通常10時間以内が好ましく、特に好ましくは1〜5時間である。
【0038】
アロファネート化触媒の使用量はその種類により異なるが、上記有機ジイソシアネートとアルコールの総和量に対して、0.0005〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましい。触媒使用量が0.0005質量%未満の場合は、実質的に反応が遅くなって長時間を要し、熱履歴による着色が起こる場合がある。一方触媒使用量が1質量%を超える場合は、反応制御が難しなり、副反応である二量化反応(ウレトジオン化反応)や三量化反応(イソシアヌレート化反応)が起きて粘度が高いものとなりやすい。
【0039】
なお、ウレタン化反応、アロファネート化反応、ウレタン化・アロファネート化反応の際、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。この有機溶剤としては、前述のものが挙げられる。
【0040】
アロファネート化反応後、触媒毒を添加してアロファネート化反応を停止させる。触媒毒の添加時期は、アロファネート化反応後であれば特に制限はないが、後に遊離の有機ジイソシアネートを除去する方法に薄膜蒸留法を使用する場合は、アロファネート反応後であって薄膜蒸留前に触媒毒の添加を行うのが好ましい。これは、薄膜蒸留時の熱により、副反応が起こるのを防止するためである。
【0041】
触媒毒の添加量はその種類や触媒の種類により異なるが、触媒の0.5〜2当量となる量が好ましく、0.8〜1.5当量が特に好ましい。触媒毒が少なすぎる場合は、得られるポリイソシアネートの貯蔵安定性が低下しやすい。多すぎる場合は、得られるポリイソシアネートが着色する場合がある。
【0042】
次いで遊離の有機ジイソシアネートを除去する工程である。本発明においては、基本的にはアロファネート化反応後の生成物には、遊離の有機ジイソシアネートが存在することになる。この遊離の有機ジイソシアネートは、臭気や経時変化した場合の原因となる。このため、遊離の有機ジイソシアネートが1質量%以下となるまで未反応の有機ジイソシアネートを除去するのが好ましい。
【0043】
遊離の有機ジイソシアネートを除去する方法としては、蒸留、再沈、抽出等公知の方法が挙げられ、蒸留、特に薄膜蒸留が溶剤等を用いることなくできるので好ましい。また、好ましい薄膜蒸留の条件としては、圧力:0.1kPa以下、温度:100〜200℃であり、特に好ましい条件は圧力:0.05kPa以下、温度:120〜180℃である。
【0044】
このようにして得られたポリイソシアネート(B)の25℃での粘度は500mPa・s以下であり、好ましくは300mPa・s以下である。またイソシアネート含量は3〜25質量%が好ましく、5〜23質量%が好ましい。
【0045】
ポリイソシアネート(B)は、それ単独では水分散性を有さないものである。一方ポリイソシアネート(A)は、水分散性を有するものであるが、(A)単独で水分散させた場合のポットライフは5〜6時間程度である。しかし、本発明のポリイソシアネート組成物は、(A)と(B)を質量比で10/90〜90/10、好ましくは40/60〜90/10で混合したものであるが、均一に水分散し、かつポットライフが8時間以上となることが判明した。
【0046】
このようにして得られた本発明の自己乳化型ポリイソシアネート組成物の好ましいイソシアネート含量は5〜30質量%であり、特に好ましくは10〜25質量%である。また、好ましい25℃での粘度は200〜1,500mPa・sであり、特に好ましくは200〜1,300mPa・sである。このため、水分散工程が容易になる。
【0047】
本発明の自己乳化型ポリイソシアネート組成物には、公知の添加剤、例えば、染料、顔料、無機又は有機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、触媒、防腐剤、抗菌剤、安定剤、揺変剤、溶剤、難燃剤、加水分解防止剤、潤滑剤、可塑剤、貯蔵安定剤等を添加することができる。
【0048】
本発明の水性塗料は、前述の自己乳化型ポリイソシアネート組成物を主剤又は硬化剤として用いたものである。水性二液型塗料の場合、主剤に水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンを用い、前述の自己乳化型ポリイソシアネート組成物が硬化剤となる。用途としては、金属、木工、プラスチック、無機材料等の塗料(コーティング剤を含む)及び接着剤である。二液配合することで硬化剤中に存在するイソシアネート基による密着性の向上や架橋形成による強度、硬度耐久性の向上等を図ることができる。
【0049】
なお、本発明の自己乳化型ポリイソシアネート組成物の応用分野としては、塗料の他に、接着剤、シール材、インキ、繊維・ガラスファイバー処理剤、サイジング剤として使用することができる。添加効果としては、従来のものと比べて優れた密着性、耐久性の硬化物や処理物が得られることである。
【0050】
前述の水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、水溶性エチレン−酢酸ビニル共重合体、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性リグニン誘導体、水溶性フッ素樹脂、水溶性シリコン樹脂等が挙げられる。
【0051】
水性エマルジョンには、いわゆるラテックス、エマルジョンと表現されるもの全てを包含する。例えば、スチレンブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリルブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタアクリレ−トブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックス等のゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリブタジエンラテックス、あるいはこれらのラテックスをカルボキシル変性したもの等が挙げられ、またポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリルエマルジョン、シリコンアクリルエマルジョン、酢酸ビニルアクリルエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。また、優れた耐候性、耐汚染性を有するフッ素エマルジョンは非架橋のため耐溶剤性は乏しいが、本発明の水性樹脂用ポリイソシアネート硬化剤を使用することにより、耐候性、耐汚染性及び耐溶剤性等をさらに向上できる。
【0052】
本発明に使用される水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンは、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を含有していない場合又は少ししか含有していない場合でも、最終的には自己乳化型ポリイソシアネート組成物は、水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンの中の水と反応してポリウレア化合物となり、硬くて強靭な塗膜となるため耐候性が向上する。また、イソシアネート基が被着剤表面に存在する活性水素基と反応するため、密着性も向上する。しかし、常温においてイソシアネート基と反応しうる活性水素基を多く含有する水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンを使用した場合は、高分子中の活性水素基と水性樹脂用ポリイソシアネート硬化剤中のイソシアネート基が反応し、架橋構造を形成するため、耐候性、耐溶剤性等がさらに向上する。ゆえに、水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンはイソシアネート基と反応しうる活性水素基を含有するほうがより好ましい。
【0053】
水性二液型塗料の場合、主剤と硬化剤の配合方法は、そのまま添加する、一旦水性樹脂用硬化剤を水分散させる、又はウレタン工業で常用の溶剤に溶解させる等の方法で配合する。好ましい方法は、硬化剤を水に分散させてから、配合するという方法である。
【0054】
本発明の水性塗料において、主剤に対する前述の硬化剤の添加量は、固形分質量比で主剤/硬化剤=100/0.5〜100/100、好ましくは100/1〜100/80である。
【0055】
また、主剤用樹脂を用いることなく、水性一液塗料としても使用できる。水性一液塗料のタイプには以下のものがある。
・ポリイソシアネートと水を分散させ、イソシアネート基が残存している間に塗布して用いるタイプ。
・ポリイソシアネートと水を分散させ、完全にイソシアネート基が消失してから塗布して用いるタイプ。
【0056】
前者のタイプは、常温硬化が可能であるが、あらかじめ水とポリイソシアネートを配合しておくことは実質的にはできない。一方、後者は焼き付け塗装になり常温硬化はできない。しかし、イソシアネート基が残存していないので、あらかじめ水とポリイソシアネートを配合しておくことは可能である。
【0057】
前者は、水とイソシアネート基との反応によるウレア基生成反応が硬化反応の基本反応になっていると思われる。一方後者は、ウレタン基やウレア基の交換反応硬化反応の基本反応になっていると思われる。
【0058】
本発明の水性塗料には、必要に応じて水性システムで慣用される添加剤及び助剤を使用できる。例えば、顔料、染料、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上剤、無機及び有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、触媒等を添加することができる。
【0059】
【実施例】
本発明について、実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例において「%」は「質量%」を意味する。
【0060】
〔自己乳化型イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの製造〕
合成例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:100Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を90.0kg、1,3−ブタンジオールを0.72g仕込み、反応器内を窒素置換して、攪拌しながら反応温度80℃に加温し、2時間反応させた。このときの反応液のイソシアネート含有量を測定したところ、48.9%であった。次にイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸カリウムを0.02kg、助触媒としてフェノールを0.1kgを仕込み、60℃で5時間イソシアヌレート化反応を行った。この反応液に停止剤としてリン酸を0.013g加え、反応温度で1時間攪拌した後、未反応のHDIを120℃、0.04kPaの条件での薄膜蒸留により除去してポリイソシアネートA−1を得た。A−1は、淡黄色透明液体でイソシアネート含量=21.3%、25℃の粘度=2,400mPa・s、遊離HDI含有量=0.4%、平均官能基数=3.7、収率=32%であった。また、FT−IR及び13C−NMRからイソシアネート基、イソシアヌレート基及びウレタン基の存在が確認されたが、ウレトジオン基は確認されなかった。よって、イソシアネート含有量から算出されるイソシアヌレート基含有量は、27.7%となった。
上記と同様な容量:1Lの反応器に、A−1を800g、数平均分子量が400のメトキシポリエチレングリコールを128g仕込み、80℃で4時間反応させて、自己乳化型イソシアヌレート変性ポリイソシアネートAD−1を得た。AD−1のイソシアネート含量は16.9%、25℃の粘度は2,500mPa・sであった。
【0061】
〔アロファネート変性ポリイソシアネートの製造〕
合成例2
合成例1と同様な容量:100L反応器に、HDIを90.0kg、メタノールを10.0kg仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。次に2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.02kg仕込み、110℃にて4時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。次いで、リン酸を0.01kg仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は31.9%であった。この反応生成物を130℃×0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、アロファネート変性ポリイソシアネートB−1を得た。B−1のイソシアネート含量は20.9%、25℃の粘度は120mPa・s、平均官能基数は2.0、遊離のHDI含有量は0.1%であった。また、B−1をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は確認されず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度であった。結果を表1に示す。
【0062】
合成例3、4
合成実施例1と同様にして、表1に示す原料を用いてアロファネート変性ポリイソシアネートB−2、3の製造を行った。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0003899509
【0064】
表1において
MeOH :メタノール
IPA :イソプロピルアルコール
2EHOH :2−エチル−ヘキシルアルコール
HDI :ヘキサメチレンジイソシアネート
Zr−2EH:2−エチルヘキサン酸ジルコニウム
【0065】
〔自己乳化型ポリイソシアネート組成物の製造・評価〕
実施例1〜6、比較例1〜4
合成例1と同様な容量:1Lの反応器に、表2に示す配合比で各ポリイソシアネートを仕込み、自己乳化型ポリイソシアネート組成物NCO−1〜6を調整した。得られた自己乳化型ポリイソシアネート組成物を水に分散して、1時間毎にイソシアネート含量を測定して、ポットライフを測定した。また、比較のため、A−1、B−1〜3についても同様に評価した。結果を表2に示す。なおB−1〜3は水に分散しなかったため、ポットライフ測定はできなかった。
ポットライフ測定条件
配合比 :水/ポリイソシアネート=270g/30g
分散方法:配合後、ホモミキサーで2,000rpm×30秒攪拌
測定温度:25℃
【0066】
【表2】
Figure 0003899509
【0067】
表2において
A成分:自己乳化型イソシアヌレート変性ポリイソシアネート
B成分:アロファネート変性ポリイソシアネート
【0068】
表2より、自己乳化型イソシアヌレート変性ポリイソシアネートと、アロファネート変性ポリイソシアネートを混合して得られたポリイソシアネート組成物は、自己乳化型イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの単品よりポットライフが延びることが判明した。
【0069】
〔水性塗料評価〕
実施例7
容量:300mlの容器に、以下に示す水性アクリルエマルジョン100g、P−1を3g仕込み、ホモミキサーで2,000rpm×30秒攪拌して、クリヤー塗料を調整した。このクリヤー塗料をアルミ板にアプリケーターにて、乾燥膜厚20μmになるように塗布した後、50℃にて20時間硬化させて塗装サンプルを得た。この塗装サンプルに、キシレンをしみ込ませた脱脂綿を擦り付け、塗膜表面の荒れが生じる回数を測定した。結果を表3に示す。
【0070】
実施例8〜12
P−1の代わりにP−2〜6を用いる他は実施例7と同様にて水性クリヤー塗料を調製し、評価した。結果を表3に示す。
【0071】
[水性アクリルエマルジョンの合成]
攪拌機、温度計、窒素シール管、冷却器のついた容量:2,000mlの反応器に、イオン交換水を170g、レベノールWZ(アニオン性乳化剤、花王製)を4g、ノイゲンEA−170(ノニオン性乳化剤、第一工業製薬製)を1g仕込み、80℃まで加熱した。次いでメタクリル酸メチルが300g、アクリル酸ブチルが180g、アクリル酸が4g、ダイアセトンアクリルアミドが5g、イオン交換水が330g、ノイゲンEA−170が5g、過酸化カリウム(開始剤)が1gからなる混合液を、反応液中の温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、その後、80℃で3時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液にてpH8に調製し、固形分49.5%の水性アクリルエマルジョンを得た。
【0072】
実施例13
容量:1Lの容器にP−3を100g、水を900g仕込み、ホモミキサーで2,000rpm×30秒攪拌して分散させ、その後、200rpmで攪拌しながら、イソシアネート基と水を完全に反応させた。その後、この分散液をそのままクリヤー塗料として、アルミ板にアプリケーターにて、乾燥膜厚20μmになるように塗布した後、室温で10分間静置した後、150℃で30分焼き付けて、塗装サンプルを得た。この塗装サンプルに、キシレンをしみ込ませた脱脂綿を擦り付け、塗膜表面の荒れが生じる回数を測定した。結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
Figure 0003899509
【0074】
【発明の効果】
本発明によって得られた自己乳化型アロファネート変性ポリイソシアネートは、従来の自己乳化型ポリイソシアネートと比較して、水分散後のポットライフが長いという特徴を有するものである。
【0075】
本発明によって得られる自己乳化型アロファネート変性水性ポリイソシアネートは、水性塗料の硬化剤に最適である。また、水性塗料の主剤や、水性の接着剤、シール材、インキ、繊維・ガラスファイバー処理剤、サイジング剤、目止め剤、プライマー、固結剤、アンカーコート剤、各種バインダー等の主剤や硬化剤として使用することができる。

Claims (3)

  1. 少なくとも以下に示すポリイソシアネート(A)及び(B)を質量比で(A):(B)=10/90〜90/10の比率で含有する自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
    (A):ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と、少なくともモノオールのアルキレンオキサイド(但しエチレンオキサイドを30モル%以上含有する)付加物(A2)を反応させて得られる、水分散性を有するポリイソシアネート。
    (B):平均官能基数が、25℃での粘度が500mPa・s以下のアロファネート基含有の水分散性を有さないポリイソシアネート。
  2. (B)が、カルボン酸ジルコニウム塩の存在下で、ヘキサメチレンジイソシアネートと炭素数1〜5のアルキルモノオールを反応させて得られるものであることを特徴とする、請求項1記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物を含有することを特徴とする、水性塗料。
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