JP2001213935A - 自己乳化性ポリイソシアネート及びこれを用いた水性塗料 - Google Patents

自己乳化性ポリイソシアネート及びこれを用いた水性塗料

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JP2001213935A
JP2001213935A JP2000027193A JP2000027193A JP2001213935A JP 2001213935 A JP2001213935 A JP 2001213935A JP 2000027193 A JP2000027193 A JP 2000027193A JP 2000027193 A JP2000027193 A JP 2000027193A JP 2001213935 A JP2001213935 A JP 2001213935A
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polyisocyanate
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water
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Shunji Minazu
俊二 水津
Takeshi Morishima
剛 森島
Toshiaki Sasahara
俊昭 笹原
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Nippon Polyurethane Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Polyurethane Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分散させたポリイソシアネートが十分なポ
ットライフを有し、かつ、硬化剤として用いた場合に十
分な架橋密度が得られる、自己乳化型ポリイソシアネー
トを提供する。 【解決手段】 式(1)で示される親水性セグメントと
疎水性セグメントからなる化合物(イ)と、活性水素基
を有する脂肪族系化合物(ロ)と、有機ポリイソシアネ
ート(ハ)を反応させて得られる自己乳化性ポリイソシ
アネートにおいて、親水性セグメントが親水性極性基を
有する繰り返し単位からなる2価の有機基であり、疎水
性セグメントが親水性セグメント以外の2価の有機基で
あることを特徴とする、自己乳化性ポリイソシアネート
により解決する。なお、(イ)は、親水性セグメントの
数平均分子量が300以上、かつ疎水性セグメントの数
平均分子量が300以上であることが好ましく、また
(ハ)は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシア
ヌレート変性体であることが好ましい。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自己乳化性ポリイ
ソシアネートに関する。更に詳細には、水分散させた
後、長時間イソシアネート基が存在することのできる自
己乳化性ポリイソシアネートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機溶剤を多く含有する塗料、接着剤及
びコーティング剤等は、人体への悪影響、爆発火災等の
安全衛生上の問題、また、大気汚染等の公害問題を有す
る。そこで、これらの問題点を改善するため、近年水性
システム開発が活発に行われている。従来から、水溶性
高分子溶液や水性エマルジョンが使用されているが、水
性一液システムでは、要求物性を発現できないことが多
いため、一般に耐候性及び接着性等向上のため架橋剤が
使用される。架橋システムには種々の方法があり、自己
乳化型ポリイソシアネートは架橋剤として広く用いられ
ている。従来の自己乳化型ポリイソシアネートの例とし
て、特開昭61−291613号公報、特開平5−22
2150号公報等に記載されているものがあり、これら
は、親水性界面活性剤をポリイソシアネートに導入した
ものである。また、特開平10−195172号公報に
は、親水性界面活性剤と疎水鎖を導入した自己乳化型ポ
リイソシアネートが記載されている。また、特開昭57
−183753号公報には、有機ポリイソシアネートに
ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基を有す
る化合物と反応させて得られるイソシアネート組成物が
開示されている。
【0003】しかしながら、特開昭61−291613
号公報、特開平5−222150号公報等では、具体的
に記載されている親水性界面活性剤は、アルコキシポリ
エチレングリコールである。このような自己乳化性ポリ
イソシアネートを水に分散させると、イソシアネート基
と水との反応によるイソシアネート基の減少が起こり、
十分なポットライフ(可使時間)が確保できないという
問題がある。また、特開平10−195172号公報で
は、親水性界面活性剤以外に疎水鎖を導入しているた
め、自己乳化性ポリイソシアネートのイソシアネート含
量が小さくなり、例えば塗料用硬化剤として使用した場
合、十分な架橋密度を有する塗膜が得られにくい。ま
た、特開昭57−183753号公報では、ポリイソシ
アネート水分散液の可使時間はまだ不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水分
散させたポリイソシアネートが十分なポットライフを有
し、かつ、硬化剤として用いた場合に十分な架橋密度が
得られる、自己乳化型ポリイソシアネート及びこれを用
いた水性塗料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、特定の変性剤を用いて得られた自己乳化型ポ
リイソシアネートが上記課題を解決することを見いだ
し、本発明を完成させるに至った。
【0006】すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)
に示されるものである。 (1) 式(1)で示される親水性セグメントと疎水性
セグメントからなる化合物(イ)及び(イ)以外の活性
水素基を有する脂肪族系化合物(ロ)と、有機ポリイソ
シアネート(ハ)とを反応させて得られる自己乳化性ポ
リイソシアネートにおいて、(イ)の親水性セグメント
は、式(2)〜(6)から選択される2価の有機基であ
り、疎水性セグメントは、式(2)〜(6)以外の2価
の有機基であり、(ハ)は、脂肪族ジイソシアネート及
び/又は脂環族ジイソシアネートの変性体であって、イ
ソシアヌレート基、ウレトジオン基、ビウレット基、ア
ロファネート基のいずれかを含有する、ことを特徴とす
る自己乳化性ポリイソシアネート。
【0007】
【化7】
【0008】
【化8】
【0009】
【化9】
【0010】
【化10】
【0011】
【化11】
【0012】
【化12】
【0013】(2) (イ)の親水性セグメントの数平
均分子量は300以上、かつ疎水性セグメントの数平均
分子量は300以上である、ことを特徴とする前記
(1)の自己乳化性ポリイソシアネート。
【0014】(3) (ハ)は、ヘキサメチレンジイソ
シアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートのウレ
タン変性体をイソシアヌレート化して得られる、ことを
特徴とする前記(1)又は(2)の自己乳化性ポリイソ
シアネート。
【0015】(4) 前記(1)〜(3)のいずれかの
自己乳化性ポリイソシアネートと、水性樹脂からなる水
性塗料。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、以下の式(1)で示さ
れる親水性セグメントと疎水性セグメントからなる化合
物(イ)と、脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族
ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体である有機
ポリイソシアネート(ロ)を反応させて得られる自己乳
化性ポリイソシアネートである。
【0017】
【化13】
【0018】(イ)は、式(1)で示されるようにモノ
オール化合物である。また、式(1)のR1 は、1価の
有機基であれば特に問題はないが、本発明では炭素数1
〜5のアルキル基が好ましい。R1 の炭素数があまり大
きいと、得られるポリイソシアネートが水に分散しにく
くなる。
【0019】親水性セグメントは、式(1)の−A−で
示される部位であり、具体的には式(2)〜(6)から
選択される2価の有機基である。
【0020】
【化14】
【0021】
【化15】
【0022】
【化16】
【0023】
【化17】
【0024】
【化18】
【0025】本発明では、得られる自己乳化性ポリイソ
シアネートの貯蔵安定性等を考慮すると、親水性セグメ
ントは式(2)で表されるものが好ましい。親水性セグ
メントにカチオン性親水基又はアニオン性親水基を有す
るものは、それ自身がウレトジオン化触媒やイソシアヌ
レート化触媒となりうるため、貯蔵中にイソシアネート
基が反応し、イソシアネート含量が低下することがある
ためである。
【0026】疎水性セグメントは、式(1)の−B−で
示される部位であり、具体的には上記式(2)〜(6)
以外の2価の有機基である。疎水性セグメントは、親水
基を含まないものであれば特に制限はないが、以下の式
(7)又は式(8)で示されるものが好ましく、更には
式(7)で示されるものが特に好ましい。
【0027】
【化19】
【0028】
【化20】
【0029】式(7)のR12及び式(8)のR13の炭素
数が少なすぎると、得られるポリイソシアネートを水分
散させた後のポットライフが短くなりやすい。
【0030】親水性セグメントの数平均分子量は、30
0以上が好ましく、特に350〜5,000が好まし
い。数平均分子量が小さすぎる場合は、得られるポリイ
ソシアネートが水に分散しにくくなる。
【0031】疎水性セグメントの数平均分子量は、30
0以上が好ましく、特に350〜5,000が好まし
い。親水性セグメント(A)の数平均分子量が小さすぎ
る場合は、水分散後のポリイソシアネートのポットライ
フが短く不十分になりやすく、又は導入量を増やさざる
を得ず、イソシアネート含量を小さくなり、硬化剤と用
いた場合、架橋密度が小さくなり、硬化物の物性が不十
分となりやすくなる。
【0032】本発明に用いられる(イ)のうち、親水性
セグメントが式(2)、疎水性セグメントが式(7)又
は式(8)で示される化合物は、以下に示される製造方
法によって得られる。
【0033】まず、モノオール化合物を開始剤として、
エチレンオキサイドを公知の方法で開環付加反応させ
て、ポリ(オキシエチレン)モノオールを製造する。な
お、必要に応じて、この開環付加反応時にエチレンオキ
サイドの一部(具体的には20質量%以下)を、プロピ
レンオキサイド、ブチレンオキサイド等のエチレンオキ
サイド以外のアルキレンオキサイドや、スチレンオキサ
イド、シクロヘキサンオキサイド等のエポキサイド、テ
トラヒドロフラン等の環状エーテル、ε−カプロラクト
ン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(これらを総
称して疎水性環状モノマーと称する)に置換してもよ
い。
【0034】開始剤に用いられるモノオールとしては、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロ
パノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタ
ノール等の脂肪族モノアルコール類、シクロヘキサノー
ル、シクロヘキサンメタノール等の脂環族モノアルコー
ル類、フェノール、ナフトール等の芳香族モノオール
類、オキシ酢酸等のモノオキシモノカルボン酸、オキシ
酢酸メチル等のモノオキシモノカルボン酸エステル等が
挙げられる。本発明においては、親水性セグメントの親
水性を向上させるために、炭素数5以下のモノオールが
好ましい。
【0035】このようにして得られたポリ(オキシエチ
レン)モノオールを開始剤として、前述の疎水性環状モ
ノマーを開環付加反応させて疎水性セグメントを形成
し、親水性セグメントと疎水性セグメントからなるブロ
ック構造を有し、かつ水酸基を1個有する化合物が得ら
れる。なお、必要に応じて、開環付加反応時に疎水性環
状モノマーの一部(具体的には20質量%以下)をエチ
レンオキサイドに置換してもよい。
【0036】疎水性セグメントを構成する疎水性環状モ
ノマーは、プロピレンオキサイド、ε−カプロラクト
ン、γ−バレロラクトンから選択される化合物が好まし
く、更にはプロピレンオキサイドが特に好ましい。
【0037】(ロ)は、(イ)以外の活性水素基を有す
る脂肪族系化合物であり、具体的にはメタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブ
タノール、i−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノ
ール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2
−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘ
キサノール、アルキレングリコールモノアルキルエーテ
ル等の低分子モノオール類、エチルアミン、ブチルアミ
ン、アニリン等の低分子第1モノアミン類、ジエチルア
ミン、ジブチルアミン、メチルアニリン等の低分子第2
モノアミン類、活性水素基含有ポリエステル、繰り返し
単位が炭素数3以上のオキシアルキレン基である活性水
素基含有ポリエーテル、活性水素基含有ポリカーボネー
ト、活性水素基含有ポリオレフィン、炭素数6以上のヒ
ドロキシ高級脂肪酸やそのエステル等が挙げられる。本
発明で好ましいものは、炭素数6以上のヒドロキシ高級
脂肪酸のアルキルエステルである。
【0038】本発明に用いられる有機ポリイソシアネー
ト(ハ)は、脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族
ジイソシアネートの変性体であって、イソシアヌレート
基、ウレトジオン基、ビウレット基、アロファネート基
のいずれかを有するものである。脂肪族ジイソシアネー
トとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、
3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシア
ネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添
加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレ
ンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネ
ート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネー
ト、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
これらのジイソシアネートは2種類以上混合して用いて
もよい。また、前記ジイソシアネートのウレタン変性
体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイ
ミン変性体も好適に用いることができる。本発明で好ま
しい有機ポリイソシアネート(ハ)は、ヘキサメチレン
ジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネート
のウレタン変性体をイソシアヌレート変性したポリイソ
シアネートである。
【0039】本発明に用いられる有機ポリイソシアネー
ト(ハ)は、前述のいわゆる無黄変イソシアネートの変
性体である。本発明において、無黄変ポリイソシアネー
トを用いるのは、ポリイソシアネートの水分散液におい
て、イソシアネート基と水そのものとの反応性を考慮し
たためである。更に、例えば本発明の自己乳化性ポリイ
ソシアネートを塗料用硬化剤に用いた場合、芳香族系ポ
リイソシアネートを用いると塗膜が黄変するため、塗膜
の美観が損なわれやすい。
【0040】(イ)、(ロ)と(ハ)との反応における
反応温度は、30〜120℃、好ましくは40〜100
℃である。なお、(イ)と(ロ)は、同時に反応させて
もよいし、異なる時期に反応させてもよい。反応時には
必要に応じて、ジブチルチンジラウレート、トリエチレ
ンジアミンのようなウレタン化触媒を添加することがで
きる。
【0041】反応終了後、必要に応じて、顔料、染料、
分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止
剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上
剤、無機及び有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、
補強材、触媒、揺変剤等を添加することができる。
【0042】本発明の自己乳化性ポリイソシアネートの
親水性極性基の導入量は、次の通りである。ノニオン性
極性基を導入する場合、すなわち親水性セグメントが式
(2)示される場合では、(イ)と(ハ)の質量比が、
(イ)/(ハ)=1/100〜80/100、好ましく
は(イ)/(ハ)=1.5/100〜70/100であ
る。アニオン性又はカチオン性極性基を導入する場合、
すなわち親水性セグメントが式(3)〜(6)で示され
る場合では、得られる自己乳化性ポリイソシアネートに
対して、アニオン性又はカチオン性極性基が0.1〜
3.0mmol/g、好ましくは、0.15〜2.9m
mol/gとなる量である。
【0043】親水性極性基導入量が下限未満の場合は、
これにより変性されたポリイソシアネートの水分散性が
悪くなりやすい。逆に上限を越える場合は、結果として
イソシアネート含量が低下するので、硬化剤として用い
た場合、硬化物の物性が低下しやすい。
【0044】活性水素基を有する脂肪族系化合物(ロ)
の導入量は、(ロ)と(ハ)の質量比が、(ロ)/
(ハ)=1/100〜50/100、更には(ロ)/
(ハ)=5/100〜40/100が好ましい。(ロ)
の導入量が上限を越える場合は、水分散性が不良となり
やすく、また、得られるポリイソシアネートのイソシア
ネート含量が小さくなるため、硬化物の耐熱性や耐久性
が不充分となる傾向がある。(ロ)の導入量が下限未満
の場合は、ポリイソシアネート水分散液のポットライフ
が短くなりやすい。
【0045】本発明の自己乳化性ポリイソシアネートの
平均官能基数は2〜5、好ましくは2.1〜4.9であ
る。平均官能基数が低すぎる場合は、硬化物の強度や耐
久性が低下しやすい。平均官能基数が高すぎる場合は、
(数平均)分子量が大きくなりすぎるため、粘度が大き
くなって作業性(水への分散)が低下しやすい。
【0046】本発明の自己乳化性ポリイソシアネートの
イソシアネート含量は、5〜20質量%、好ましくは8
〜18質量%である。イソシアネート含量が小さすぎる
場合は、架橋密度が低いために硬化物の強度や耐久性が
低下しやすい。イソシアネート含量が大きすぎる場合
は、ポリイソシアネート中のイソシアヌレート基や
(イ)の導入量が少ないため、硬化物の耐久性が低下し
たり、ポリイソシアネートの水への分散性が低下しやす
くなる。
【0047】本発明の自己乳化性ポリイソシアネートの
遊離のジイソシアネート含有量は、1%以下、好ましく
は0.9%以下である。遊離のジイソシアネート含有量
が高すぎる場合は、水分散後のポットライフが短くなっ
たり、臭気の問題が起こりやすい。
【0048】本発明の水性塗料は、前述の自己乳化性ポ
リイソシアネートと、水性樹脂からなるものである。
【0049】活性水素基を有する水性樹脂としては、ポ
リビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、水溶性
エチレン−酢酸ビニル共重合体、水溶性アクリル樹脂、
水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性
ポリエステル、水溶性リグニン誘導体、水溶性フッ素樹
脂、水溶性シリコン樹脂等の水溶性樹脂、ラテックス、
エマルジョンと表現されるもの、例えば、スチレンブタ
ジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリルブタジエ
ン共重合体ラテックス、メチルメタアクリレ−トブタジ
エン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポ
リブタジエンラテックス等のゴム系ラテックス、ポリア
クリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテ
ックス、ポリブタジエンラテックス、あるいはこれらの
ラテックスをカルボキシル変性したもの等が挙げられ、
またポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリルエ
マルジョン、シリコンアクリルエマルジョン、酢酸ビニ
ルアクリルエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、
アクリルエマルジョン等が挙げられる。また、優れた耐
候性、耐汚染性を有するフッ素エマルジョンは非架橋の
ため耐溶剤性は乏しいが、本発明の自己乳化性ポリイソ
シアネートを使用することにより、耐候性、耐汚染性及
び耐溶剤性等を更に向上できる。
【0050】水性樹脂は、イソシアネート基と反応しう
る活性水素基を含有していない場合又は少ししか含有し
ていない場合でも、最終的には自己乳化性ポリイソシア
ネートは、水性樹脂中の水と反応してポリウレア化合物
となり、硬くて強靭な塗膜となるため耐候性が向上す
る。また、イソシアネ−ト基が被着剤表面に存在する活
性水素基と反応するため、密着性も向上する。しかし、
常温においてイソシアネート基と反応しうる活性水素基
を多く含有する水性樹脂を使用した場合は、高分子中の
活性水素基と自己乳化性ポリイソシアネートのイソシア
ネート基が反応し、架橋構造を形成するため、耐候性、
耐溶剤性等が更に向上することになる。また、高温にて
焼き付けを行う場合、ウレトジオン基を含有させた自己
乳化型ポリイソシアネートでは、ウレトジオン基が解離
し、イソシアネート基が発生するため、常温で使用する
場合と比較して、添加効果が顕著に現れる。ゆえに、水
性樹脂はイソシアネート基と反応しうる活性水素基を含
有するほうがより好ましい。
【0051】本発明の自己乳化型ポリイソシアネートを
水性塗料として使用する方法としては、水性樹脂にその
まま添加する、一旦自己乳化型ポリイソシアネートを水
分散させる、又はウレタン工業で常用の溶剤に溶解させ
る等の方法が挙げられる。好ましい方法は、自己乳化型
ポリイソシアネートを水に分散させてから、この分散液
を水性樹脂に配合する、又は分散液に水性樹脂を配合す
るという方法である。
【0052】本発明の水性塗料において、水性樹脂と自
己乳化型ポリイソシアネートの配合比は質量比で、水性
樹脂(固形分)/自己乳化型ポリイソシアネート=10
0/0.5〜100/100、好ましくは100/1〜
100/80である。
【0053】また、本発明の自己乳化型ポリイソシアネ
ートを水分散させたものをそのまま水性塗料に用いるこ
とが可能である。
【0054】この場合、水と自己乳化型ポリイソシアネ
ートの配合比は質量比で、水/自己乳化型ポリイソシア
ネート=100/1〜100/100、好ましくは10
0/10〜100/100である。この分散液は、水分
散後も比較的安定に存在しているイソシアネート基がこ
れら基材表面に存在する活性水素と反応するため、非常
に密着性の良い塗料(コーティング剤)あるいは接着剤
となる。また、水分散後かなりの時間が経過し、イソシ
アネート基が消滅した後の水分散液も、粒径が0.1〜
0.3μm程度のエマルジョン状態として安定に存在
し、それを常温乾燥あるいは加熱乾燥して得られるウレ
ア化合物を主体とした被膜は、硬くて強靭なものとなる
ため、フィルム又はシートの形態あるいは各種基材のコ
ーティング剤等として使用することが可能である。な
お、基材との密着性が重視される場合は、イソシアネー
ト基が存在している状態で使用するのが望ましい。
【0055】また、本発明の自己乳化型ポリイソシアネ
ートは、水性塗料の他に、水性接着剤、有機溶剤型の塗
料や接着剤、シール材、インキ、繊維・ガラスファイバ
ー処理剤、サイジング剤として使用することができる。
添加効果としては、従来のものと比べて優れた密着性、
耐久性を有する硬化物や処理物が得られる。
【0056】
【実施例】本発明について、実施例、比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定され
るものではない。なお、実施例、比較例において、
「%」は全て「質量%」を意味する。
【0057】〔自己乳化型ポリイソシアネートの製造〕 実施例1 攪拌機、温度計、アリーン冷却管、窒素ガス導入管を組
んだ容量:2Lの反応装置に、日本ポリウレタン工業製
のコロネート(登録商標)HXを710g、モノオール
(1)を290g仕込んで、70℃にて3時間反応させ
て、自己乳化型ポリイソシアネートAを得た。ポリイソ
シアネートAの25℃における粘度は2,720mPa
・s、イソシアネート基含量は12.0%であった。
【0058】実施例2〜4、比較例1、2 表1に示す原料を用いて、実施例1と同様にして自己乳
化型ポリイソシアネートB〜Fを得た。結果を表1に示
す。
【0059】
【表1】
【0060】実施例1〜4、比較例1、2、表1におい
て コロネートHX :ヘキサメチレンジイソシアネートの
イソシアヌレート変性ポリイソシアネート イソシアネート含量=21.3% 25℃の粘度=1,500mPa・s モノオール(1):数平均分子量=700のメトキシポ
リエチレングリコールにプロピレンオキサイドを付加さ
せたもの 全体の数平均分子量=1,400 モノオール(2):数平均分子量=700のメトキシポ
リエチレングリコールにε−カプロラクトンを付加させ
たもの 全体の数平均分子量=1,400 モノオール(3):数平均分子量=400のメトキシポ
リエチレングリコールにプロピレンオキサイドを付加さ
せたもの 全体の数平均分子量=800 モノオール(4):数平均分子量=700のメトキシポ
リエチレングリコールにプロピレンオキサイドを付加さ
せたもの 全体の数平均分子量=1,100 モノオール(5):メトキシポリエチレングリコール 全体の数平均分子量=400
【0061】応用実施例1〜4、応用比較例1、2 得られた自己乳化性ポリイソシアネートA〜Fについ
て、以下の試験にて評価した。結果を表2に示す。 〔水分散性試験方法〕 容量:2Lの容器に、水900g、自己乳化性ポリイソ
シアネート100gを配合し、ホモミキサーにて30秒
間高速(毎分2,000回)攪拌して、水分散液の状態
を目視にて評価した。 〔ポットライフ測定〕水分散性試験で調製したサンプル
をそのまま25℃にて保管し、分散してから1時間毎に
イソシアネート含量を測定した。イソシアネート含量が
0となった時間をポットライフ時間とした。 〔塗膜物性〕 容量:0.3Lの容器に、以下に示すアクリルエマルジ
ョン100g、自己乳化型ポリイソシアネートを10g
仕込み、ホモミキサーで30秒間高速(毎分2,000
回)攪拌して、クリヤー塗料を調整した。このクリヤー
塗料をアルミ板にアプリケーターにて、乾燥膜厚20μ
mになるように塗布した後、50℃にて20時間硬化さ
せて塗装サンプルを得た。この塗装サンプルの耐溶剤性
を評価した。 耐溶剤性:脱脂綿にキシレンをしみ込ませ、塗膜にこれ
を擦り付けた。 ○:200回で外観の変化なし。 △:100回で塗膜表面が曇りを生ずる。 ×:50回以下で塗膜が破れる。
【0062】[水性アクリルエマルジョンの合成]攪拌
機、温度計、窒素シール管、冷却器のついた容量:2L
の反応器に、イオン交換水を170g、レベノールWZ
(アニオン性乳化剤、花王製)を4g、ノイゲンEA−
170(ノニオン性乳化剤、第一工業製薬製)を1g仕
込み、80℃まで加熱した。次いでメタクリル酸メチル
が300g、アクリル酸ブチルが180g、アクリル酸
が4g、ダイアセトンアクリルアミドが5g、イオン交
換水が330g、ノイゲンEA−170が5g、過酸化
カリウム(開始剤)が1gからなる混合液を、反応液中
の温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、その
後、80℃で3時間反応させた。反応終了後室温まで冷
却し、25%アンモニア水溶液にてpH8に調製し、固
形分49.5%の水性アクリルエマルジョンを得た。
【0063】
【表2】
【0064】表2より、本発明の自己乳化型ポリイソシ
アネートは、水分散後のポットライフが改善され、ま
た、水性塗料の硬化剤として使用した場合は、塗膜の物
性は良好であった。
【0065】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の自己乳化性
ポリイソシアネートは、同一分子中に親水性セグメント
と疎水性セグメントを有している化合物及び活性水素基
を有する脂肪族系化合物で変性しているため、水分散後
のポットライフが長い。また、十分なイソシアネート含
量を確保できるので、水性塗料の硬化剤として使用した
場合、塗膜は良好な物性を示す。なお、本発明の自己乳
化型ポリイソシアネートは水性塗料の他、水性接着剤、
水性コーティング剤、シール材、インキ、繊維・ガラス
ファイバー処理剤、サイジング剤等に適用できる。ま
た、従来の有機溶剤系のシステムにも適用可能である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J034 BA05 BA07 BA08 CA01 CA02 CA12 CA13 CA15 DA01 DB01 DF01 DF02 DF12 DF24 DG01 DG02 DG03 DG04 DG05 DG14 DG15 DG16 DK02 DP04 DP12 DP13 DP16 DP17 DP18 DP19 DQ15 DQ16 DQ18 DQ23 HA01 HA06 HA07 HB07 HB08 HC01 HC02 HC03 HC09 HC22 HC25 HC32 HC34 HC35 HC44 HC46 HC52 HC61 HC63 HC64 HC66 HC67 HC71 HC73 LA08 QA05 QC05 RA07 4J038 DG071 DG271 DG291 GA06 GA08 GA13 GA14 MA08 MA10 MA14 NA24 NA26 PB12 PC03 PC10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示される親水性セグメントと
    疎水性セグメントからなる化合物(イ)及び(イ)以外
    の活性水素基を有する脂肪族系化合物(ロ)と、有機ポ
    リイソシアネート(ハ)とを反応させて得られる自己乳
    化性ポリイソシアネートにおいて、 (イ)の親水性セグメントは、式(2)〜(6)から選
    択される2価の有機基であり、疎水性セグメントは、式
    (2)〜(6)以外の2価の有機基であり、 (ハ)は、脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族ジ
    イソシアネートの変性体であって、イソシアヌレート
    基、ウレトジオン基、ビウレット基、アロファネート基
    のいずれかを含有する、ことを特徴とする自己乳化性ポ
    リイソシアネート。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】
  2. 【請求項2】 (イ)の親水性セグメントの数平均分子
    量は300以上、かつ疎水性セグメントの数平均分子量
    は300以上である、ことを特徴とする請求項1記載の
    自己乳化性ポリイソシアネート。
  3. 【請求項3】 (ハ)は、ヘキサメチレンジイソシアネ
    ート又はヘキサメチレンジイソシアネートのウレタン変
    性体をイソシアヌレート化して得られる、ことを特徴と
    する請求項1又は2記載の自己乳化性ポリイソシアネー
    ト。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の自己乳
    化性ポリイソシアネートと、水性樹脂からなる水性塗
    料。
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