JP4765789B2 - 防水床スラブ、床スラブの防水方法 - Google Patents

防水床スラブ、床スラブの防水方法 Download PDF

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本発明は、防水床スラブに関し、特に、構造体としての機能と防水性能とを確保した上で、充分な耐火性を有する防水床スラブに関する。
従来より、屋上などの雨水に曝される床スラブを駐車場や歩行用として利用する場合には、鉄筋コンクリート製の床スラブの上に防水層を設け、この防水層の上に防水層を傷めないためのアスファルト等の押えコンクリート層を設けた防水床スラブが採用されている(例えば、特許文献1参照)。このような防水床スラブによれば、床スラブと押えコンクリート層との間に防水層が設けられるため、押えコンクリート層に雨水等が降り注がれても、防水層によって床スラブ側へと浸水することを防止できる。
特開平5−125801号公報
しかしながら、このような防水床スラブでは、床スラブと押えコンクリート層との間に介在する防水層によって、床スラブと押えコンクリート層とが縁切りされているため、押えコンクリート層は構造体として機能せず、あくまで、防水層を押さえるためのものとして機能するにすぎない。このため、床スラブを支持する柱や梁では、床スラブの荷重に加えて、押えコンクリート層の荷重も考慮して設計とする必要があり、梁せいが大きくなる等してコスト高になるという問題がある。
そこで、本願出願人らは、特願2005−308787において、防水層を構成する防水シートに下層のコンクリート部材及び前記上層のコンクリート部材との付着強度を高める手段を有する防水シートを用いることにより、構造体としての機能と防水性能とを確保した上で、構成部材の使用量を減少させて、コストを抑えることのできる防水床スラブを提案している。
しかし、上記の防水床スラブは、火災時に防水層の付着強度が低下するため、上層のコンクリート部材と、下層のコンクリート部材との間でせん断ずれ変形を生じる虞がある。
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、上層及び下層のコンクリート部材が構造体として機能し、火災時に上層及び下層のコンクリート部材の間でせん断ずれ変形が発生するのを防止することのできる防水床スラブを提供することにある。
本発明の防水床スラブは、梁部材に支持され、下層のコンクリート部材と、この下層のコンクリート部材の上側となる上層のコンクリート部材と、前記下層及び上層のコンクリート部材の間に設けられる防水層とからなる防水床スラブであって、前記防水層は、少なくとも一部が前記梁部材の上方に配置されるプレートと、前記プレート間に跨って、前記下層のコンクリート部材の上面を覆うように配置された非透水性のシートとで構成され、前記プレートには、その上下面から前記梁部材の上方において夫々突出し、前記上層及び下層のコンクリート部材に埋設される補強部材が設けられていることを特徴とする。
また、上記の防水床スラブにおいて、前記上層のコンクリート部材と、前記防水層と、前記下層のコンクリート部材とは、それらが組み合わせられることによってはじめて建物の躯体を構成してもよい。つまり、上層のコンクリート部材及び下層のコンクリート部材の何れか一方のみでは建物の躯体を構成しなくてもよい。
また、前記補強部材は、前記プレートに接合されたシアー筋本体と、前記シアー筋本体の先端側から外側へ張り出した頭部とを備えてもよい。
本発明によれば、下層のコンクリート部材と上層のコンクリート部材との間でせん断応力を伝達させることができ、防水床スラブに十分な耐力を付与できる。このため、下層のコンクリート部材に加えて上層のコンクリート部材も構造体として機能させることができる。
また、上記の防水床スラブにおいて、前記補強部材は、一端が前記梁部材に溶接され、他端の端部付近に螺条部を備えるスタッドからなり、前記スタッドは、前記螺条部が前記上層のコンクリート部材上面より突出するように設けられ、前記上層のコンクリート部材及び下層のコンクリート部材は、前記スタッドの螺条にナットを螺合させることにより拘束されていてもよい。
このように、補強部材を鉄骨部材に溶接する構成としたため、梁とスラブを固定するスタッドを省略することができる。
また、上記の防水床スラブにおいて、前記梁部材は、耐火被覆が施されている鉄骨部材からなるものであってもよい。また、複数の前記プレートは、互いに連結されることによりユニット化されていてもよい。
また、前記非透水性のシートは、表裏面に前記下層のコンクリート部材及び前記上層のコンクリート部材との付着強度を高める手段を有する防水シートからなるものであってもよい。また、前記付着強度を高める手段は、前記防水シートの表裏面には起毛が形成され、前記起毛が前記上層のコンクリート部材及び下層のコンクリート部材に埋め込まれているものであってもよい。
また、前記下層のコンクリート部材の下側にデッキスラブを備えてもよい。また、前記デッキスラブの下面を覆うように耐火性材料からなる耐火層を設けられていてもよい。また、前記下層のコンクリート部材及び前記上層のコンクリート部材の少なくとも一方が鉄筋コンクリート部材であってもよい。
また、本発明は、梁部材に支持される床スラブの防水方法であって、前記床スラブを、下層のコンクリート部材と、この下層のコンクリート部材の上側となる上層のコンクリート部材と、前記下層及び上昇のコンクリート部材の間に設けられる防水層とで構成し、 前記防水層を、少なくとも一部が前記梁部材の上方に配置されるプレートと、前記プレート間に跨って、前記下層のコンクリート部材の上面を覆うように配置された非透水性のシートとで構成し、前記プレートには、その上下面から前記梁部材の上方において夫々突出し、前記上層及び下層のコンクリート部材に埋設される補強部材を設けることを特徴とする床スラブの防水方法を含むものとする。
本発明によれば、構造体としての機能と防水性能とを確保した上で、構成部材の使用量を減少させて、コストを抑えることができる。また、せん断補強部材を耐火被覆のほどこされた鉄骨部材の上方に配置することにより、火災時にせん断補強部材の温度上昇を抑えることができるため、火災時にも構造体としての機能を充分に確保できる。
以下、本発明の防水床スラブの第1実施形態について、図面に基づき説明する。図1は第1実施形態に係る防水床スラブ1を示す平面図である。防水床スラブ1は、鉄骨造の建物の雨水に曝される建物の屋上スラブなどの床スラブとして用いられるものであり、駐車場の床スラブのように積載荷重を支持する躯体としての機能も備える床スラブである。図1に示すように、防水床スラブ1は平面視矩形状に形成され、柱4間の大梁2又は大梁2間にかけられた小梁3に支持されている。大梁2及び小梁3はH型鋼からなり、ロックウールなどの耐火被覆5が施されている。防水床スラブ1の奥行き方向又は幅方向の少なくともいずれかの、大梁2又は小梁3の内法長さが350cm以下(本実施形態では300cm)となるように構築されている。
図2は、図1における防水床スラブ1の中央部における縦断面図である。また、図3は、防水床スラブ1の大梁2又は小梁3付近の構成を示す断面図である。図2に示すように、防水床スラブ1は、下層のコンクリート部材20と、上層のコンクリート部材30と、下層のコンクリート部材20および上層のコンクリート部材30の間に配置された防水層10と、下層のコンクリート部材20の下側に配置されたデッキスラブ40とを備えている。
下層のコンクリート部材20は、デッキスラブ40を型枠として利用することにより構成された現場打ちのコンクリート部材であり、コンクリート部材本体21及びその上部に設けられたセメントペースト24が固化した固着層23とで構成される。
また、上層のコンクリート部材30は、防水層10を覆うように構成された現場打ちの鉄筋コンクリート部材であり、コンクリート部材本体31と、その内部に埋設されたスラブ筋32とで構成される。
防水床スラブを構成する上層のコンクリート部材30及び下層のコンクリート部材20の何れか一方のみでは建物の躯体を構成せず、上層のコンクリート部材30と、防水層10と、下層のコンクリート部材20とが組み合わせられることによってはじめて建物の躯体として機能する。
なお、デッキスラブ40を用いた場合には、鉄筋コンクリート部材のスラブ筋が負担する引張り応力をデッキスラブ40が負担することができるので、上層のコンクリート部材30及び下層のコンクリート部材20を無筋のコンクリート部材とすることができる。
また、本実施形態では、下層のコンクリート部材20をスラブ筋が埋設されていないコンクリート部材としたが、これに限らず、スラブ筋を埋設し、鉄筋コンクリート部材としてもよい。また、この場合、ひび割れ防止のために、上層のコンクリート部材30に溶接金網(メッシュ筋)を埋設させてもよい。
また、図3に示すように、防水スラブ1は、大梁2又は小梁3の上方に、せん断補強部材50を備える。大梁2の上面には略鉛直にスタッド58が溶接されており、下層のコンクリート部材20は、スタッド58を埋設した状態で硬化している。これにより、防水床スラブ1は大梁2及び小梁3に強固に固定される。
図4は、せん断補強部材50を示す斜視図である。同図に示すように、各せん断補強部材50は、平面視矩形状で例えば金属製のプレート52と、プレート52の上下面からそれぞれ略垂直に突出する一対のシアー筋54とを備えている。このようなシアー筋54には、鉄筋やスタッドボルト等の金属製のものを用いることができ、その形状や寸法等は特に限定されず、プレート52の上下面から突出する構成であればよい。
各シアー筋54は、根元部分がプレート52に溶接等により接合された円柱状の本体部54Aと、本体部54Aの先端部分から外側へ張り出すように形成された頭部54Bとを備えている。プレート52の上面から突出するシアー筋54が上層のコンクリート部材30内に埋設され、プレート52の下面から突出するシアー筋54が下層のコンクリート部材20内に埋設される。このため、下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30との間でシアー筋54を介してせん断応力を伝達することができ、防水床スラブ1の構造耐力を十分に確保できる。また、防水床スラブ1に対して、下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30との間を剥離させる向きの力が作用したとしても、各シアー筋54の先端側に設けられた頭部54Bにより、この力に対して抵抗することができる。
特に、火災などにより防水床スラブ1が火災により熱を受けると、防水床スラブ1を支持する大梁2又は小梁3の近傍において、上層のコンクリート部材30と下層のコンクリート部材20とが剥離し易くなる。これに対して、本実施形態の防水床スラブ1によれば、大梁2又は小梁3の上方に配置されたせん断補強部材50により、この上層及び下層のコンクリート部材30、20を剥離させようとする力に対して抵抗するため、せん断ずれ変形を防止できる。
また、せん断補強部材50をスラブの中央付近に設けた場合には、火災の熱によりシアー筋54の耐力が低下してしまう虞があるが、本実施形態では、せん断補強部材50を耐火被覆5の施された大梁2又は小梁3の上方に配置しているため、火災時などで防水床スラブ1が下方より熱に曝されても、耐火被覆により大梁2及び小梁3の上方は高温とならず、火災の熱によるシアー筋54の耐力低下を防止することができる。このように、本実施形態によれば、火災時においても、上層及び下層のコンクリート部材30、20が一体となり、構造体として機能させることができる。
なお、本実施形態では、せん断補強部材50を、5個を1つ単位としてユニット化して、せん断補強ユニット70を構成している。図5に示すように、各せん断補強ユニット70は、隣接するせん断補強部材50間を、プレート52の裏面から突出するシアー筋54同士をつなぎ筋56で連結することにより一体化されている。
また、図2及び図3に示すように、防水層10は、下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30との間に設けられたせん断補強部材50のプレート52と、プレート52及び下層のコンクリート部材20を覆うように設けられた防水シート60とで構成される。
図6は、防水シート60の断面図である。同図に示すように防水シート60は、例えば、エチレン酢酸ビニル樹脂などの樹脂製のシート状部材であるシート部材本体62と、シート部材本体62の表裏面に設けられた複数の起毛61とを備える。このような防水シート60としては、例えば、長谷川化学工業(株)のサンエーシート等を用いることができる。防水シート60に用いられたエチレン酢酸ビニル樹脂などの樹脂は伸縮性を備えており、防水床スラブ1が変形を受けた場合には防水シート60は防水床スラブ1の変形に追従して伸縮するので、防水シート60が破損することを抑止できる。さらに、防水床スラブ1が曲げ変形を受けた場合には、防水シート60が防水床スラブ1の断面中央付近に埋設されているため、防水シート60に作用する曲げ応力は小さくなり、傷つきにくい。
図2に戻って、下層のコンクリート部材20の固着層23は無機性の硬化性流動剤であるセメントペースト24が硬化したものである。このセメントペースト24は、防水シート60の表面の起毛61を隙間なく取り囲むように硬化している。このため、固着層23はその内部に埋設された起毛61を強固に固着することができる。また、これと同様に、上層のコンクリート部材30を構成するコンクリート部材本体31は防水シート60の表面の起毛61の間に隙間なく取り囲むように硬化しているため、上層のコンクリート部材30は起毛61を強固に固着することができる。このため、下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30とは、防水シート60を介してせん断力を互いに伝達することができる。
また、防水シート60は、隣接するせん断補強部材50のプレート52の上面間を跨るような寸法で形成され、接着剤等を介してプレート52の上面および下層のコンクリート部材20の上面に貼付されている。つまり、下層のコンクリート部材20の上面は、防水シート60やプレート52により覆われている。さらに、本実施形態では、例えば、図7に示すように、防水シート60は、隣接する各プレート52の間や、隣接するせん断補強ユニット70の間などにおいて、互いに重なり合うようにして隙間なく配置されている。このように、防水シート60やプレート52を互いに重なり合うように貼付することにより、防水層10による防水効果を確実なものにすることができる。
次に、このような防水床スラブ1の施工手順について説明する。
まず、大梁2又は小梁3を構成するH型鋼のフランジ上面にスタッド58を溶接する。なお、この作業は、予め、加工工場などで、現場に搬入されるH型鋼にスタッド58を取り付けておくことにより省略することができる。
次に、デッキスラブ40を配置し、このデッキスラブ40の上の所定位置にせん断補強ユニット70を設置する。この際、せん断補強ユニット70を所定の高さに配置するため、スペーサなどをせん断補強ユニット70とH型鋼のフランジとの間に介材させてもよい。
次に、デッキスラブ40を型枠として利用することにより、せん断補強部材50のプレート52の高さ位置までコンクリートを打設して、鉄筋コンクリート製の下層のコンクリート部材20を構築する。そして、打設したコンクリートが硬化した後、この上面に固着層23を構成する流動性のあるセメントペースト34を所定の厚さ塗布する。セメントペースト34は無機性の流動性硬化剤であるため、コンクリート部材本体21を構成する現場打ちコンクリートの表面が湿潤していても表面の水分と分離することなく塗布することができる。
次に、セメントペースト34が硬化する前に、セメントペースト34の上側に防水シート60が他の防水シート60又はプレート52と重なり合うように貼付する。この時、セメントペースト34は流動性を有しているため、防水シート60の起毛61の間の空隙に隙間なく入り込むことができる。セメントペースト34が硬化したのち、シアー筋54が埋設される高さまでコンクリートを打設して、上層のコンクリート部材30を構築する。この際、セメントペースト34の上側に防水シート60を貼付した場合と同様に、防水シート60の起毛61の空隙にコンクリートが隙間なく入り込む。上層のコンクリート部材30のコンクリートが硬化することにより防水床スラブ1が構築される。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)防水層10に表面に起毛を有するエチレン酢酸ビニルからなる防水シート60を用いることにより、上層及び下層のコンクリート部材30、20の間でせん断応力を伝達させることができる。さらに、せん断補強部材50を設けることにより、下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30との間でせん断応力を伝達させることができ、防水床スラブ1に十分な耐力を付与できる。このように下層のコンクリート部材20に加えて上層のコンクリート部材30も構造体として機能するため、従来のように防水層を押えるための押えコンクリートが不要となり、下層のコンクリート部材20および上層のコンクリート部材30を構成する材料の使用量を減少させて、コストを抑えることができる。
(2)下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30との間に防水層10を設けたので、上層のコンクリート部材30の上に雨水等が降り注いでも、下層のコンクリート部材20側へ雨水等が流れ込むことを防止できる。
(3)下層のコンクリート部材20および上層のコンクリート部材30の内部に防水層10を埋設するような構成としたので、防水層10の耐久劣化を抑えることができる。また、せん断補強部材50の縦断面中央付近に防水シート60を配置するようにしたので、防水床スラブ1に曲げモーメントが作用しても、縦断面中央付近には殆ど曲げ応力が作用しないから、曲げ応力による防水シート60の損傷を抑えることができる。さらに、エチレン酢酸ビニル樹脂等の伸縮性を有する材料からなる防水シート60を用いることで、防水床スラブ1がスパン比1/150程度の大変形を受けたとしても、亀裂等が生じず防水性を維持することができる。
(4)シアー筋54にスタッドボルトを用いることにより、せん断補強部材50を簡単に作成することができる。また、シアー筋54に頭部54Bを設けたので、下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30との間を剥離させようとする力を抑えることができる。
(5)プレート52の上面を覆うように防水シート60を貼付したので、せん断応力はシアー筋54のみに作用し、プレート52の表面が損傷しにくい。
(6)耐火被覆の施された大梁2又は小梁3の上方にせん断補強部材50を設置することで、せん断補強部材50の温度上昇を抑えることができる。これにより、火災時のせん断補強部材50の耐力低下を防止することができ、防水床スラブ1としての耐火性能を向上することができる。
(7)せん断補強ユニット70を設ける位置を大梁2又は小梁3の上方としたことにより、墨出しをしなくても、所定の位置に配置することが可能となる。このため、墨出しの手間を削減することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る防水床スラブ100について説明する。なお、前記第1実施形態と同一または相当する構成部品には、同じ符号を付して、その説明を省略または簡略化する。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、図2に示すように、防水床スラブ100は、下層のコンクリート部材20と、上層のコンクリート部材30と、下層のコンクリート部材20および上層のコンクリート部材30の間に配置された防水層10とを備えている。防水層10は、下層のコンクリート部材20と上層のコンクリート部材30との間に設けられた複数のせん断補強部材50と、これらのせん断補強部材50間に設けられた防水シート60とを備えている。
図8は、第2実施形態の防水床スラブ100の大梁2又は小梁3付近の構成を示す平面図である。 同図に示すように、各せん断補強部材50は、平面視矩形状で例えば金属製のプレート52と、表面に螺条を有するスタッド80と、挿通口をスタッド80が挿通し、上層のコンクリート部材30の上面に当接するように設けられた座金81と、スタッド80表面の螺条と螺合するナット82と、を備えている。
スタッド80は、下端が大梁2又は小梁3を構成するH型鋼のフランジ面に溶接されており、プレート52を貫通し、上端が上層のコンクリート部材30の上面より突出している。スタッド80の上層のコンクリート部材30の上面より突出した部分には、ナット82が螺合しており、このナット82がきつく締付けられることにより、上層及び下層のコンクリート部材30、20はナット82とH型鋼により上下から拘束されている。
防水床スラブ100は、火災などにより熱を受けると上層のコンクリート部材30と、下層のコンクリート部材20とが肌分かれを起こすことがある。しかし、本実施形態によれば、せん断補強部材50により上層のコンクリート部材30と下層のコンクリート部材20とを押えつけているため、このような肌分かれを防止することができる。
次に、本実施形態の防水床スラブ100の施工手順について説明する。
まず、大梁2又は小梁3を構成するH型鋼の上面にせん断補強部材50のスタッド80を溶接する。なお、スタッド80は予め、加工工場などでH型鋼に溶接しておいてもよい。
次に、デッキスラブ40を配置し、このデッキスラブ40を型枠として用いて、せん断補強部材50のプレート52の高さまでコンクリートを打設する。
次に、コンクリート部材本体21が硬化した後、下層のコンクリート部材20の表面及びプレートの表面に、この上面に固着層23を構成する流動性のあるセメントペースト34を所定の厚さ塗布する。
次に、セメントペースト34が硬化する前に、セメントペースト34の上側に防水シート60同士が重なり合うように貼付して防水層10を構成する。
次に、上層のコンクリート部材30の上面にあたる高さまでコンクリートを打設して、上層のコンクリート部材30を構成する。次に、座金81を上層のコンクリート部材の上面より突出したスタッド80に貫通させ、スタッド80にナット82を締付ける。以上のようにして、防水床スラブ100が構築される。
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(8)せん断補強ユニットのスタッド80を鉄骨部材に溶接する構成としたため、梁とスラブを固定するスタッドを省略することができる。
(9)上層及び下層のコンクリート部材30、20を、せん断補強部材50により上下から拘束することで、防水床スラブ100の固定度も向上することができる。
なお、前記各実施形態で、防水シート60として、表面に起毛を有するエチレン酢酸ビニル樹脂系シートを用いたが、これに限らず、アスファルト防水や、ウレタンゴム系塗膜シート等を採用してもよい。かかる構成であっても、せん断補強部材を設けることにより、上層及び下層のコンクリート部材が一体となり、構造体として機能する。
また、上記の両実施形態では、シアー筋又はスタッドを埋設する構成としたが、これに限らず、上層及び下層のコンクリート部材を跨ぐようにせん断強度が高い部材を埋設すればよい。
本発明の第1実施形態に係る防水床スラブを示す平面図である。 図1における防水床スラブの中央における縦断面図である。 第1実施形態に係る防水床スラブの大梁又は小梁付近の構成を示す平面図である。 せん断補強部材を示す斜視図である。 せん断補強ユニットの構成を示す図である。 防水シートの断面図である。 図1のA部に設けられた防水層の一部を示す平面図である。 第2実施形態の防水床スラブの大梁又は小梁付近の構成を示す平面図である。
符号の説明
1、100 防水床スラブ 2 大梁
3 小梁 4 柱
5 耐火被覆 10 防水層
20 下層のコンクリート部材 21 (下層の)コンクリート部材本体
23 固着層 24 セメントペースト
30 上層のコンクリート部材 31 (上層の)コンクリート部材本体
32 スラブ筋 40 デッキスラブ
50 せん断補強部材 52 プレート
54 シアー筋 54A 本体部
54B 柱頭部 56 つなぎ筋
58 スタッド 60 防水シート
61 起毛 62 シート部材本体
70 せん断補強ユニット 80 スタッド
81 座金 82 ナット

Claims (12)

  1. 梁部材に支持され、下層のコンクリート部材と、この下層のコンクリート部材の上側となる上層のコンクリート部材と、前記下層及び上層のコンクリート部材の間に設けられる防水層とからなる防水床スラブであって、
    前記防水層は、少なくとも一部が前記梁部材の上方に配置されるプレートと、前記プレート間に跨って、前記下層のコンクリート部材の上面を覆うように配置された非透水性のシートとで構成され、
    前記プレートには、その上下面から前記梁部材の上方において夫々突出し、前記上層及び下層のコンクリート部材に埋設される補強部材が設けられていることを特徴とする防水床スラブ。
  2. 前記上層のコンクリート部材と、前記防水層と、前記下層のコンクリート部材とは、それらが組み合わせられることによってはじめて建物の躯体を構成することを特徴とする請求項1記載の防水床スラブ。
  3. 請求項1又は2に記載の防水床スラブであって、
    前記補強部材は、前記プレートに接合されたシアー筋本体と、前記シアー筋本体の先端側から外側へ張り出した頭部とを備えることを特徴とする防水床スラブ。
  4. 請求項1又は2に記載の防水床スラブであって、
    前記補強部材は、一端が前記梁部材に溶接され、他端の端部付近に螺条部を備えるスタッドからなり、
    前記スタッドは、前記螺条部が前記上層のコンクリート部材上面より突出するように設けられ、
    前記上層のコンクリート部材及び下層のコンクリート部材は、前記スタッドの螺条にナットを螺合させることにより拘束されていることを特徴とする防水床スラブ。
  5. 前記梁部材は、耐火被覆が施されている鉄骨部材からなることを特徴とする請求項1から4何れかに記載の防水床スラブ。
  6. 請求項1から5の何れかに記載の防水床スラブにおいて、
    複数の前記プレートは、互いに連結されることによりユニット化されていることを特徴とする防水床スラブ。
  7. 前記非透水性のシートは、表裏面に前記下層のコンクリート部材及び前記上層のコンクリート部材との付着強度を高める手段を有する防水シートからなることを特徴とする請求項1から6何れかに記載の防水床スラブ。
  8. 請求項7記載の防水床スラブであって、
    前記付着強度を高める手段として、
    前記防水シートの表裏面には起毛が形成され、
    前記起毛が前記上層のコンクリート部材及び下層のコンクリート部材に埋め込まれていることを特徴とする防水床スラブ。
  9. 請求項1から8いずれか記載の防水床スラブであって、
    前記下層のコンクリート部材の下側にデッキスラブを備えることを特徴とする防水床スラブ。
  10. 請求項9記載の防水床スラブであって、
    前記デッキスラブの下面を覆うように耐火性材料からなる耐火層を設けられていることを特徴とする防水床スラブ。
  11. 請求項1から10いずれか記載の防水床スラブであって、
    前記下層のコンクリート部材及び前記上層のコンクリート部材の少なくとも一方が鉄筋コンクリート部材であることを特徴とする防水床スラブ。
  12. 梁部材に支持される床スラブの防水方法であって、
    前記床スラブを、下層のコンクリート部材と、この下層のコンクリート部材の上側となる上層のコンクリート部材と、前記下層及び上昇のコンクリート部材の間に設けられる防水層とで構成し、
    前記防水層を、少なくとも一部が前記梁部材の上方に配置されるプレートと、前記プレート間に跨って、前記下層のコンクリート部材の上面を覆うように配置された非透水性のシートとで構成し、
    前記プレートには、その上下面から前記梁部材の上方において夫々突出し、前記上層及び下層のコンクリート部材に埋設される補強部材を設けることを特徴とする床スラブの防水方法。



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