JP2007120002A - プレテンション部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】異形鉄筋等の付着力の高い緊張材を使用しても割裂破壊が生じにくいプレテンション部材を提案する。
【解決手段】異形鉄筋10を緊張してプレストレスを導入するプレストレス梁1(プレテンション部材)であって、プレストレス梁1の両端部において異形鉄筋10をアンボンドにすることにより無応力のコンクリート部である付着割裂防止部Uを形成し、この付着割裂防止部Uにより、付着割裂防止部Uの中央側に隣接する定着域を拘束して、付着割裂破壊および緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂を防止している。
【選択図】図1

Description

本発明は、緊張材を介して予め圧縮応力を与えることにより、コンクリート部材の引張強度を高めたプレテンション部材に関する。
プレストレストコンクリート部材は、緊張材を介して予め圧縮応力を導入しておくことにより、この圧縮応力が供用後のコンクリート部材に加わる引張応力と打ち消しあうことで当該コンクリート部材の強度を高め、故にコンクリート部材の断面形状の小型化、軽量化を図るものである。
プレストレストコンクリート部材は、PCケーブル等の緊張材を配置した後、コンクリートを打設し、コンクリートの硬化後に緊張材にプレストレスを導入するいわゆるポストテンション方式による方法や、引張力が付与された緊張材を配設した後、コンクリートを打設し、コンクリートの硬化後に緊張材を開放することによりプレストレスを導入するいわゆるプレテンション方式による方法により構成されている。
ところが、前者のポストテンション方式は、現場施工時にPCケーブルおよび定着具の配置、プレストレスの導入工事、グラウト工事を要するため、施工に手間がかかるという問題点を有していた。また、プレストレス導入のための設備の作業スペースを確保する必要があり、例えば建築物の梁に採用する場合等、十分なスペースを確保できない場合があるという問題点を有していた。
また、後者のプレテンション方式は、プレストレス力の導入を緊張材とコンクリートとの付着に期待しているため、初期のコンクリート強度発現を必要とし、高強度のコンクリートを使用する。そのため、コストが高くなるという問題点を有していた。
そのため、例えば特許文献1に示すように、緊張材としてコンクリートとの付着性に優れた異形鉄筋を使用したプレテンション方式のプレストレストコンクリート部材(以下、単に「プレテンション部材」と呼ぶ)が開示されており、実施されている。
特開平3−93929号公報(第3頁、第1図−第5図)
ところが、図5(a)〜(c)に示すように、異形鉄筋110を緊張材として使用したプレテンション部材101は、異形鉄筋110とコンクリート111との付着力が高すぎるために、緊張力による付着割裂破壊(亀裂120)がコンクリート部材の端部で発生する場合があった。この場合、被りコンクリートが剥落することや、緊張力を伝えるための緊張材定着長さ(定着域)が極端に長くなることなどにより、構造部材として使用できない場合があるという問題点を有していた。また、プレテンション部材は、緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂が生じる場合があるという問題点も有していた。
ここで、付着割裂破壊とは、過度な鉄筋の引張力Pがコンクリートに伝達されるときに、鉄筋(異形鉄筋)10の周囲のコンクリート11が、鉄筋10を中心として放射状に押し広げる力P1により、鉄筋に沿って亀裂が発生することをいい、主に鉄筋10が密集した場合や、コンクリート被り厚が薄い場合に生じる(図3(a)及び(b)参照)。
また、はだ圧とは、緊張力導入時(緊張材開放時)に伴い、緊張材が膨張することによりコンクリートに作用する力である。つまり、プレテンション部材の緊張材は、引張力を導入することによりその直径が細くなっているが、引張力を開放(緊張材開放)することにより、緊張材の両端での引張力は0となり、直径は最初に直径に戻る。そして、プレテンション部材の定着域よりも中央側では、プレストレスの導入が一定となり、緊張材の直径は両端よりも細くなっている。つまり、プレテンション部材の定着域において、緊張材は膨張して、中央側から先端に向かって直径が徐々に太くなるため、定着域のコンクリートにはこの緊張材の膨張力(はだ圧)が作用している。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、異形鉄筋等の付着力の高い緊張材を使用しても割裂破壊が生じにくいプレテンション部材を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、異形鉄筋を緊張してコンクリートにプレストレスを導入するプレテンション部材であって、両端部において前記異形鉄筋をアンボンドにして付着割裂防止部を設けてなることを特徴としている。
かかるプレテンション部材は、付着割裂破壊が生じやすい両端部において、異形鉄筋をアンボンドにした区間である付着割裂防止部を形成し、異形鉄筋の引き抜き力によるコンクリートへの負荷の低減を行い、プレテンション部材の破損を防止する。そして、異形鉄筋を介して作用するプレストレスは、プレテンション部材の長手方向に対して所定長内側に入った位置から中央部において作用するため、付着割裂破壊が生じにくい。さらに、当該プレテンション部材は、端部に設けられた無応力のコンクリート部である付着割裂防止部により、緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂が防止される。つまり、プレテンション部材は、付着割裂防止部により、付着割裂防止部の中央側(部材端部の反対側)に隣接する定着域(プレストレスの導入が完全ではない区間)を拘束して、割裂破壊の発生を防止する。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプレテンション部材であって、少なくとも前記付着割裂防止部の中央側に隣接する部位において、前記異形鉄筋の周囲にスパイラル鉄筋を配してなることを特徴としている。
かかるプレテンション部材は、付着割裂破壊が生じやすい両端部において、付着割裂防止部を形成して付着割裂破壊および緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂を両端から拘束するとともに、付着割裂防止部の中央側に隣接する部位において、異形鉄筋の周囲にスパイラル鉄筋を配置することで異形鉄筋を中心として放射状に押し広げる力を拘束している。これにより、異形鉄筋を介して作用するプレストレスは、プレテンション部材の両端部の付着割裂防止部以外の部分において作用し、この部位を付着割裂防止部により両端から拘束するとともに、スパイラル鉄筋により緊張材である異形鉄筋とコンクリートとの分離を防止して、付着割裂破壊を防止することを可能としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のプレテンション部材であって、少なくとも前記付着割裂防止部の中央側に隣接する部位において、部材厚が増加されていることを特徴としている。
かかるプレテンション部材は、付着割裂破壊が生じやすい両端部において、付着割裂防止部を形成して付着割裂破壊および緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂を両端から拘束するとともに、付着割裂防止部の中央側に隣接する部位において、当該プレテンション部材の部材厚を他の部位よりも増加することでコンクリートの割裂強度を高めることができる。これにより、異形鉄筋はプレテンション部材断面における割裂線長さが十分に確保されて、緊張材である異形鉄筋とコンクリートとの分離を防止しているため、付着割裂破壊を防止することを可能としている。また、当該プレテンション部材は、端部に設けられた無応力のコンクリート部である付着割裂防止部により、この付着割裂防止部の中央側に隣接する定着域を拘束して、割裂破壊の発生が防止される。
ここで、プレテンション部材断面における割裂線長さとは、図4に示すように、付着割裂破壊に伴い発生する部材断面方向の亀裂の長さであって、プレテンション部材1の左右の側面から両端の鉄筋(異形鉄筋)10までの亀裂の長さt1、t3と鉄筋(異形鉄筋)10同士の間に生じた亀裂の長さt2の合計をいう。
また、付着割裂破壊が生じやすい両端部における異形鉄筋のアンボンド化と、異形鉄筋の周囲のコンクリートへのスパイラル鉄筋の配筋と、部材厚の増加とを行うことにより、この部分におけるコンクリートへの負荷を軽減させるとともにコンクリートの割裂強度を高めることができる。これにより、異形鉄筋はプレテンション部材断面における割裂線長さが十分に確保されて、緊張材である異形鉄筋とコンクリートとの分離を防止して、付着割裂破壊を防止することを可能としている。また、端部に設けられた無応力のコンクリート部である付着割裂防止部により、この付着割裂防止部の中央側に隣接する定着域を拘束して、緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂および付着割裂破壊が防止される。
ここで、異形鉄筋をアンボンドにする領域やスパイラル鉄筋の配筋区間や部材厚を増加させる区間は、導入されるプレストレス力、コンクリート被り厚、コンクリート強度、鉄筋径等に応じて適宜設定される。
本発明により、異形鉄筋等の付着力の高い緊張材を使用しても付着割裂破壊が生じにくいプレテンション部材を構築することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
ここで、図1は、本発明の好適な実施の形態にかかるプレストレス梁(プレテンション部材)を示す図であって、(a)は全体図、(b)は(a)のA部分を示す部分斜視図である。また、図2は、各実施の形態にかかる図1(a)のA部分を示す図であって、(a)は第1の実施の形態にかかる横断面図、(b)は同縦断面図、(c)は第2の実施の形態にかかる横断面図、(d)は同縦断面図、(e)は第3の実施の形態にかかる横断面図、(f)は同縦断面図である。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態にかかるプレストレス梁1は、図1(a)に示すように、所定の間隔を有して立設された左右の柱2,2の間に横設される部材であって、緊張力が付与された異形鉄筋10とコンクリート硬化体11とにより構成されている。ここで、図面における符号3は、床スラブである。
そして、プレストレス梁1の両端部には、図1(b)に示すように、異形鉄筋10をアンボンドにすることにより付着割裂防止部Uが形成されている。
付着割裂防止部Uは、図2(a)および(b)に示すように、プレストレス梁1の両端部の一定領域において、異形鉄筋10の周囲にパイプ材12が配設して、この異形鉄筋10とパイプ材12との隙間には、アンボンド材13が充填することにより形成されている。つまり、付着割裂防止部Uは、この構成により、プレストレス梁1の両端部において異形鉄筋10がアンボンドにされて、プレストレスト力が導入されない、無応力のコンクリート部である。
第1の実施の形態にかかるプレストレス梁1は、両端から引張力を負荷した状態の異形鉄筋10が配筋された型枠内に、コンクリートを打設して、コンクリートの硬化後、異形鉄筋10の引張力を解放し、型枠を撤去することにより構成されている、いわゆるプレテンション方式によるプレストレストコンクリート部材である。
異形鉄筋10には、公知の高強度異形鉄筋を使用するものとし、その鉄筋径等は、想定される外力や予め付与するプレストレス力に応じて適宜決定する。また、異形鉄筋10の本数や配筋ピッチについても、適宜設定すればよい。
第1の実施の形態では、プレストレス梁1に作用する上載荷重による曲げモーメントに対して、十分な耐力を発現すること目的として、図2(a)および(b)に示すように、プレストレス梁1の下側に配筋された異形鉄筋10にプレストレスを導入する。なお、曲げモーメントは、プレストレス梁1の長手方向に対して中央部に作用するため、この部分にプレストレスが作用されていればよく、端部の曲げモーメントが作用しない部分においては、異形鉄筋10とコンクリート硬化体11との付着力を低減することが可能である。
コンクリート硬化体11を構成するコンクリートとしては、当該プレストレス梁1に作用する外力やプレストレス力等に応じて設計した配合によるコンクリートを使用するものとするが、必要に応じて繊維補強コンクリート等の高強度コンクリートを使用してもよい。そして、コンクリート硬化体11は、図1(b)に示すように、直方体状に形成されている。
パイプ材12には、図2(a)及び(b)に示すように、異形鉄筋10の挿通が可能なものを使用する。つまり、パイプ材12の内径は、異形鉄筋10のふしを含めた外径よりも大きく形成されている。なお、パイプ材12の材質は限定されるものではなく、適宜公知のパイプ材から選定して使用するものとする。
ここで、パイプ材12の長さ(一定領域)Luは、導入されるプレストレス力、コンクリート被り厚、コンクリート強度、鉄筋径等に応じて適宜設定するものとするが、第1の実施の形態では、異形鉄筋10の公称直径Dの5倍程度とする。
アンボンド材13は、異形鉄筋10とパイプ材12との隙間を密閉し、プレストレス梁1の劣化を防止するものであって、例えば、グリースやアスファルトなど、高い粘性を有した材料を使用するものとする。
なお、第1の実施の形態では、プレストレス梁1の両端部において、アンボンド材13が充填されたパイプ材12を各異形鉄筋10の周囲に配置するものとしたが、異形鉄筋10をアンボンドにすることが可能であれば、必ずしもパイプ材12を配置しなくてもよい。例えば、予め所定の範囲内においてアンボンド材13を異形鉄筋10の周囲に塗着させておく方法や、型枠の配置により所定範囲における異形鉄筋10とコンクリートとの付着を分離する方法等によりパイプ材12を省略してもよい。また、異形鉄筋10またはコンクリート硬化体11の劣化の恐れがない場合には、アンボンド材13を充填することなく、パイプ材12を配置するのみとしてもよい。
第1の実施の形態にかかるプレストレス梁1により、付着割裂破壊が生じやすいプレストレス梁1の両端部の一定領域において、異形鉄筋10がアンボンドにされているため、この部分におけるコンクリート硬化体11への負荷を軽減させて、破損(付着割裂破壊)を防止する。そして、異形鉄筋を介して作用するプレストレスは、プレストレス梁1の両端の付着割裂防止部Uよりも中央において作用するため、付着割裂破壊が生じにくい。つまり、端部に設けられた無応力のコンクリート部である付着割裂防止部Uにより、この付着割裂防止部Uの中央側に隣接する定着域を拘束して、緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂および付着割裂破壊が防止されている。
なお、付着割裂防止部Uは、付着割裂破壊および緊張力導入時のはだ圧による割裂を防止することが可能に形成されていれば、その形状(長さLu等)は限定されるものではないが、例えば、付着割裂防止部Uによる拘束力(引張強度ft×長さLu×幅b)がはだ圧(緊張力、付着応力等)よりも大きくなるように、式(1)を満足するように形成してもよい。
Figure 2007120002
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態と同様に第2の実施の形態にかかるプレストレス梁1は、図1(a)に示すように、所定の間隔を有して立設された左右の柱2,2の間に横設される部材であって、緊張力が付与された異形鉄筋10とコンクリート硬化体11とにより構成されている。
そして、プレストレス梁1は、図2(c)および(d)に示すように、その両端部の第一領域において、異形鉄筋10の周囲にパイプ材12が配設され、異形鉄筋10とパイプ材12との隙間には、アンボンド材13が充填され、かつ、その両端部の第二領域において、この異形鉄筋10の周囲にスパイラル鉄筋14が配筋されている。つまり、プレストレス梁1は、両端部において前記異形鉄筋をアンボンドにして付着割裂防止部Uが設けられており(図1(b)参照)、この付着割裂防止部Uを含めた付着割裂防止部Uの中央側に隣接する部位において、異形鉄筋10の周囲にスパイラル鉄筋14が配置されている。
ここで、第2の実施の形態に係る異形鉄筋10は、第1の実施の形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略する。
また、第2の実施の形態に係るパイプ材12およびアンボンド材13は、第1の実施の形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略する。
さらに、コンクリート硬化体11の構成は、第1の実施の形態で示したものと同様なため詳細な説明は省略する。
スパイラル鉄筋14は、コイル(螺旋状)状に加工された鉄筋であって、螺旋状に形成される円弧の直径が、異形鉄筋10を所定の間隔を有して内挿可能となるように、形成されている。また、スパイラル鉄筋14が配筋される範囲(第二領域)は、プレストレス梁1の両端部の付着割裂防止部から中央方向に、導入されるプレストレス力、コンクリート被り厚、コンクリート強度、鉄筋径等に応じて適宜設定された長さの範囲とすればよいが、図2の(d)に示すように異形鉄筋10から付着力が加わるコンクリート部分材軸方向区間Ldを包含する必要がある。前記Ldは、異形鉄筋10の公称直径の10〜15倍程度である。なお、本実施形態による付着割裂が避けられていることの検証方法は、式(2)を満足することで、上記スパイラル鉄筋14の効果を盛り込んだ付着割裂強度τbuを安全率nで割った値が、付着応力度τを上回っていることである。
Figure 2007120002
図2(d)に示すように、第2の実施の形態では、スパイラル鉄筋14を配筋する第二領域を、付着力が加わるコンクリート部分材軸方向区間Ldを包含する範囲として、プレストレス梁1の先端からパイプ材12(付着割裂防止部U)よりも付着力が加わるコンクリート部分材軸方向区間Ldの長さ分中央よりの区間とする。つまり、プレストレス梁1の長手方向に対してパイプ材12の長さ(第一領域)Luに付着力が加わるコンクリート部分材軸方向区間Ldを加えた区間(第二区間=Lu+Ld)について配筋する。
第2の実施の形態に係るプレストレス梁1によれば、付着割裂破壊が生じやすい端部において、異形鉄筋10をアンボンドにすることにより、この部分におけるコンクリート硬化体11への負荷を軽減させるとともに、周囲のコンクリート硬化体11にスパイラル鉄筋14を配筋することにより、プレストレスPによる異形鉄筋10を中心として放射状に押し広げる力P1(図3参照)を拘束して、コンクリート硬化体11の割裂強度を高めている。これにより、異形鉄筋10は、コンクリート硬化体11との付着された部分が、パイプ材12が配置された以外の部分(プレストレス梁1の両端部の第一領域以外の中央部)となるため、異形鉄筋を介して作用するプレストレスは、プレストレス梁1の長手方向に対して所定長(Lu)内側に入った位置から中央部において作用する。そして、プレストレス梁1は、端部に設けられた無応力のコンクリート部である付着割裂防止部Uにより、この付着割裂防止部Uの中央側に隣接する定着域(プレストレス力の導入が完全ではない区間)を拘束して、緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂および付着割裂破壊を防止している。また、スパイラル鉄筋14は、パイプ材12よりも中央よりにまで配筋されているため、プレストレスが作用する端部、つまりパイプ材12の先端部のコンクリート硬化体11を補強して、この部分における破損を防止している。
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態と同様に第3の実施の形態にかかるプレストレス梁1は、図1(a)に示すように、所定の間隔を有して立設された左右の柱2,2の間に横設される部材であって、緊張力が付与された異形鉄筋10とコンクリート硬化体11とにより構成されている。
そして、プレストレス梁1は、図2(e)および(f)に示すように、その両端部の第一領域において、異形鉄筋10の周囲にパイプ材12が配設され、かつ、その両端部の第二領域において、異形鉄筋10の周囲にスパイラル鉄筋14が配筋され、なおかつ、その両端部の第二領域において、コンクリート硬化体11の部材厚が増加されている。さらに、異形鉄筋10とパイプ材12との隙間には、アンボンド材13が充填されている。この構成によりプレストレス梁1は、両端部において異形鉄筋をアンボンドにした付着割裂防止部Uが形成され(図1(b)参照)、この付着割裂防止部Uと付着割裂防止部Uの中央側に隣接する部位において、異形鉄筋の周囲にスパイラル鉄筋14の配筋および部材厚が増加されている。
ここで、第3の実施の形態に係る異形鉄筋10は、第1の実施の形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略する。
また、パイプ材12およびアンボンド材13は、第1の実施の形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略する。
また、スパイラル鉄筋14の構成は、第2の実施の形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略
コンクリート硬化体11は、図2(e)に示すように、プレストレス梁1の両端部において、断面矩形状に形成された一般部11aの前後(図2(e)における左右)に断面台形状の増厚部11b,11bにより部材厚が増加されている。つまり、図2(e)および(f)に示すように、直方体の両端部において増し厚がなされている。ここで、第3実施形態では、プレストレス梁1の下方に配置された異形鉄筋10のコンクリート被り厚を増加させることを目的として、断面台形状に増厚部11bを形成するものとしたが、増厚部11bの形状は限定されるものではなく、プレストレス梁1の形状や異形鉄筋10の配置などに応じて、適宜設定すればよい。なお、増厚部11bの範囲は、プレストレス梁1に導入されるプレストレス力、コンクリート被り厚、コンクリート強度、鉄筋径等に応じて適宜設定すればよいが、第3の実施の形態では、第2の実施の形態において示したスパイラル鉄筋を配筋する第2領域の範囲と同等の範囲について行うものとする。
第3の実施の形態に係るプレストレス梁1によれば、付着割裂破壊が生じやすい端部(第一領域)において、異形鉄筋10をアンボンドにすることにより、この部分におけるコンクリートへの負荷を軽減させるとともに、無応力のコンクリート部である付着割裂防止部Uを形成して、この付着割裂防止部Uの中央側に隣接する定着域を拘束して、緊張力導入時(緊張材開放時)のはだ圧による割裂および付着割裂破壊を防止する。
さらに、プレストレス梁1の端部(第二領域)では、周囲のコンクリートにスパイラル鉄筋14の配筋および部材厚の増加を行うことにより、コンクリートの割裂強度を高めている。これにより、スパイラル鉄筋14は、パイプ材12よりも中央側まで配筋されているため、プレストレスが作用する端部、つまりパイプ材12の先端部(付着割裂防止部Uの中央側に隣接する部位)のコンクリート硬化体11を補強して、プレストレスPによる異形鉄筋10を中心として放射状に押し広げる力P1(図3参照)を拘束して、この部分における破損を防止する。また、プレストレス梁1の端部の第二領域において部材厚が増加されており、コンクリート断面における割裂線長さ(図4参照)を確保することで付着割裂破壊を防止する。
以上、本発明に係る好適な実施の形態について説明したが、本発明は前記の各実施の形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、本発明に係るプレストレス梁は、予め工場などにおいて生産するプレキャスト部材として使用するのが好適であるが、プレキャスト部材として搬送が困難な大規模な部材への適用等において、現場におけるプレストレス力の導入に必要な設備等の配置や作業に必要なスペース等の確保が可能であれば、現場施工により構築してもよい。
また、前記各実施形態では、本発明のプレテンション部材を梁部材として使用する場合について説明したが、本発明のプレテンション部材の使用用途が限定されないことはいうまでもない。
また、前記各実施形態で示した構成の他に、前記各実施形態で示した構成を適宜組み合わせることにより、さらに、優れたプレテンション部材を構築してもよい。例えば、プレテンション部材の両端部の所定領域(第一領域)において、異形鉄筋をアンボンドとし、かつ、両端部の所定領域(第二領域)において部材厚を増加することにより、プレテンション部材の両端部の第一領域におけるコンクリートへの負荷を軽減させるとともに、両端部の第二領域におけるコンクリートの割裂強度を高めてもよい。これにより、緊張材である異形鉄筋とコンクリートとの分離を防止して、付着割裂破壊が生じることを防止することが可能となる。
また、異形鉄筋のアンボンドに加えて、プレテンション部材の両端部の所定領域について、高強度コンクリートを採用することにより、緊張材である異形鉄筋とコンクリートとの分離を防止して、付着割裂破壊が生じることを防止する構成としてもよい。この場合において、高強度コンクリートとして、例えば、繊維補強コンクリートを採用してもよい。
また、第2の実施の形態および第3の実施の形態では、パイプ材(付着割裂防止部)の長さに付着力が加わるコンクリート部分材軸方向区間を加えた区間について、スパイラル鉄筋の配筋等を行うものとしたが、付着割裂防止部についてはスパイラル鉄筋の配筋や部材厚の増加を行わず、付着割裂防止部の中央側に隣接する部位(付着力が加わるコンクリート部分材軸方向区間)のみについて、スパイラル鉄筋の配筋または部材厚の増加等を行ってもよい。
本発明の好適な実施の形態にかかるプレストレス梁を示す図であって、(a)は全体図、(b)は(a)のA部分を示す部分斜視図である。 各実施の形態にかかる図1(a)のA部分を示す図であって、(a)は第1の実施の形態にかかる横断面図、(b)は同縦断面図、(c)は第2の実施の形態にかかる横断面図、(d)は同縦断面図、(e)は第3の実施の形態にかかる横断面図、(f)は同縦断面図である。 (a),(b)ともに付着割裂破壊の説明図である。 コンクリート部材断面における割裂線長さの説明図である。 従来のプレテンション部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB部分を示す横断面図、(c)は(a)のB部分を示す縦断面図である。
符号の説明
1 プレストレス梁(プレテンション部材)
10 異形鉄筋
11 コンクリート硬化体
12 パイプ材
13 アンボンド材
14 スパイラル鉄筋
U 付着割裂防止部

Claims (3)

  1. 異形鉄筋を緊張してコンクリートにプレストレスを導入するプレテンション部材であって、
    両端部において前記異形鉄筋をアンボンドにして付着割裂防止部を設けてなることを特徴とする、プレテンション部材。
  2. 少なくとも前記付着割裂防止部の中央側に隣接する部位において、前記異形鉄筋の周囲にスパイラル鉄筋を配してなることを特徴とする、請求項1に記載のプレテンション部材。
  3. 少なくとも前記付着割裂防止部の中央側に隣接する部位において、部材厚が増加されていることを特徴とする、請求項1に記載のプレテンション部材。
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