JP4106035B2 - 鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、解体・分割した既存の鉄筋コンクリート製構造体を接合して再使用(再利用を含む)する場合における構造体の一体化技術に関する。
鉄筋コンクリート構造どうしを接合して一体化するための接合方法として様々な技術が提案されており、例えば接合対象がプレキャスト製品である場合の接続技術として「プレキャスト鉄筋コンクリート部材の接続構造」が提案されている(特許文献1参照)。この技術は、製造時においてあらかじめ接合面に噛み合い抵抗部を設けておき、その部分を組み合わせた後、隙間部分にモルタルやコンクリートを注入して接続(接合)し一体化を図るというものである。
ただし、これはあくまでプレキャスト製品についての接合技術であり、既存の鉄筋コンクリート構造体を切断したようなブロックについては適用することが難しい。すなわち、既存の鉄筋コンクリート構造体を切断した場合には接合面が平滑となり、接着剤で接着したとしても幾分かの引張抵抗性とせん断抵抗性が期待されるのみで、一体型構造と同等までの耐荷性能は期待できない。
そこで、接合部分のせん断抵抗を向上させる技術として、ジベル筋単体を利用する工法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。また、繊維シートによる補強工法として、「鉄筋コンクリート梁類の補強方法」が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、このような従来技術として、エポキシ樹脂系の接着剤を用いて接合面どうしを一体化し、引張力とせん断力に抵抗させるという接合法も挙げられる。この接合法は、無筋コンクリート材料に対しては有効な技術の一つであるといえる。
特開平10−152888号公報 特開2000−320070号公報 赤石沢総光、川島正史、野本高憲、松尾豊史、「スリップバー形式ジベル筋の力学特性に関する研究」、土木学会年次学術講演会講演概要集第5部、Vol.53巻、1998年
しかしながら、ジベル筋単体を利用した接合法は、純せん断に対しては有効であるが、曲げ変形が卓越する大変形時にはジベル筋の抜け出しによる耐力(つまり外部荷重に対する抵抗力)の低下と変形の急増が発生し、一体型構造と同等の耐荷性能が期待できないという点で問題がある。
また、繊維シートによる補強工法は、補強部位に対して繊維シートを接着して巻き付ける技術が記載されているが、補強部位は連続面であり、不連続な接合面を有する独立体の接合方法ではない。
さらに、エポキシ樹脂系接着剤を用いた接合法については以下のような問題がある。すなわち、鉄筋コンクリート構造では無筋コンクリートよりも大きな引張力とせん断力に対する抵抗性が求められるのに対し、接着剤では接合部分に対して要求される構造的な耐力性能を満足させることが困難であることから、この接合部分が構造上の弱点となり、一体型構造と同等の耐荷性能を保有させることができなかった。
そこで本発明は、独立した鉄筋コンクリート製ブロックを接合し、一体型構造と同等の耐荷性能を保有させるための鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法は、既設の鉄筋コンクリートを複数のブロックに分割し、これら鉄筋コンクリート製ブロックの接合面どうしを密着させて突き合わせた状態で接合部分の外周に繊維シートを巻き付け接着することによって一体型構造の鉄筋コンクリートと同等の耐荷性能を有する堅牢な鉄筋コンクリート製構造材を得るというものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法において、鉄筋コンクリート製ブロックの接合面に削孔し、この削孔にジベル筋を挿入してからこれら鉄筋コンクリート製ブロックどうしを密着させて突き合わせて接合するというものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法において、鉄筋コンクリート製ブロックの接合面積に占めるジベル筋の総断面積の割合を少なくとも0.5%、ジベル筋の接合面からの挿入深さを当該ジベル筋の直径の少なくとも4倍、繊維シートの巻き付け幅を少なくともジベル筋の挿入深さとし、尚かつ、繊維シートをその繊維方向が接合面に直交する方向となるように巻き付けるというものである。
請求項1記載の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法によれば、繊維シートが、分割されたコンクリート製ブロックの接合部分の外周に巻き付けられ接着されることによって母材であるブロックと一体化し、各ブロックを接合させ、かつ引張荷重などの外力に抗する部材として機能する。これにより、各ブロックの接合部分が剥離して脆性破壊を生じるようなことがなくなり、接合して形成された構造材の耐荷性能が一体型構造のものと同等となる。このように、本発明によれば鉄筋コンクリート製ブロックを強固に一体化し、一体型構造の鉄筋コンクリート構造と同等の耐荷性能(変形に関する性能を含む)を確保することができるので、新設構造物を築造する際、既設構造物における部材の再利用や再使用が可能となり、解体物の有効利用や廃棄物の減量、工期短縮、材料費の低減等といった効果をあげることができる。
加えて、本発明によればコストを大幅に削減できるという効果も得られる。すなわち、既存のコンクリート構造物を解体し撤去する場合、解体や撤去に伴い発生する廃棄物処分費(運搬、輸送費含む)は一般に高額となるが、本発明に係る接合方法によれば、既存の構造物をいったん分割しこれらを接合することによって再利用が可能となるため、このような廃棄物処分費が発生しない。したがって、リユース(再使用)技術としても成立する本発明によれば要するコストをトータル的に圧縮して大幅に削減することが可能となる。
また、請求項2記載の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法によれば、鉄筋コンクリート製ブロックの向かい合う接合面の削孔に挿入されるジベル筋(鉄筋)によって、一つひとつ独立している鉄筋コンクリート製ブロックが互いに密着し、連結されていく。この場合のジベル筋はブロックの自重に対して十分抵抗可能であり、接合部分の外周に繊維シートを巻き付ける際に接合部分が互いにずれることなく正確に突き合わされた状態を保つための治具として機能し、接合するときの位置精度とその際の作業効率の両方を向上させる。また、補助的な役割として、繊維シートが破断した時、鉄筋コンクリート製ブロック接合部分は最弱部となるが、上述のように接合面の削孔にジベル筋を挿入している本発明の接合方法によれば、このように内蔵されたジベル筋がせん断力に抵抗し、鉄筋コンクリート製構造材が脆性破壊に至るのを防止する。なお、本明細書でいうジベル筋とはブロックどうしを接合するのに用いられる治具を含む概念であり代表例を挙げれば鉄筋がこのジベル筋に含まれる。
さらに請求項3記載の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法によれば、鉄筋コンクリート製ブロックの接合面に占めるジベル筋の面積比、ジベル筋の接合面からの挿入深さ、および繊維シートの巻き付け幅の各値を所定値以上としているため、一体型構造の鉄筋コンクリートと同等の帯荷性能を有するリユース(再使用)構造材を得ることができる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6に本発明の一実施形態を示す。本発明にかかる鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法は、既設の鉄筋コンクリートを複数のブロック1に分割し、これら鉄筋コンクリート製ブロック1の接合面1aどうしを密着させて突き合わせた状態で接合部分の外周に繊維シート2を巻き付け接着することによって一体型構造の鉄筋コンクリートと同等の耐荷性能を有する堅牢な鉄筋コンクリート製構造材3を得るというものである。
図1に本発明を適用して形成された鉄筋コンクリート製構造材3の一例を示す。この鉄筋コンクリート製構造材3は2つの鉄筋コンクリート製ブロック1が突き合わされて形成されたもので、接合面1aどうしが密着させられた後、接合された部分の外周に繊維シート2が巻き付けられて接着されている。ここでは、既設の鉄筋コンクリートから同じ大きさの2つの直方体形状ブロック1を切り出し、これらを横置き状態で接合することによって形成される梁構造の構造材3を示しているが(図1参照)、この構造材3を縦置きとして柱構造用とすることもできる。
繊維シート2は、突き合わされた両ブロック1を接合するため接合部分の外周に巻き付けられるもので、接着剤の作用により母材となる鉄筋コンクリート製ブロック1と一体化することで接合部分に作用する引張力やせん断力に対して抵抗するようになり、接合された両ブロック1の接合面1aが剥離したり接合部分で破断が起きたりしないよう機能する。このような繊維シート2としては、ブロック1どうしの接合部分に対し一体型構造の鉄筋コンクリート製構造材と同等の強度、耐久性、耐荷性能を与えうる材質が使用される。具体的には、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維などの繊維を1方向または2方向に配置してシート状にした補強材であって「連続繊維シート」あるいは「短繊維シート」などと称される繊維シートの使用が好適である。また、繊維シート2はその繊維方向が接合面1aに直交する方向となっていることが好ましい(図1、図3参照)。こうした場合には、接合後の構造材3に対して部材軸方向への引張荷重が作用したとしても繊維シート2はより大きな抵抗力を発揮することが可能となり、より大きな外力に耐えることができるようになる。
また、この繊維シート2の巻き付け長さ(つまり周回長さ)、巻き付け幅(つまり鉄筋コンクリート製ブロック1の軸方向長さ)、厚さといったサイズに関しては所望の強度等を与えるものである限り特に限定されることはなく、接合部分の外周を一巻きする程度の巻き長さで足りる場合もある。また巻き付け幅、厚さについても所望の強度等を与えるものであれば巻き長さと同様に限定されることはないが、巻き付け幅に関しては、下記のようにジベル筋5が併用されている場合にあっては、この巻き付け幅が接合面1aへのジベル筋5の挿入深さ以上となっていることが好ましい。
また、この繊維シート2を鉄筋コンクリート製ブロック1に巻き付ける作業の一例としては、接着剤を繊維シート2に含浸させてからこの繊維シート2を鉄筋コンクリート製ブロック1の接合部に巻き付けて接着するというものがあり、これでも足りるが、より強度な接着性を期待するという観点からすれば以下のような作業が好ましい。すなわち、まずプライマーと呼ばれる下地処理剤を鉄筋コンクリート製ブロック1に塗布して含浸させることより次に塗布される接着剤との接着性をより良好なものとし、次に、接着剤が内側の面(つまり鉄筋コンクリート製ブロック1に巻き付けられる側の面)に塗布された繊維シート2を鉄筋コンクリート製ブロック1どうしの接合部に巻き付け(図1参照)、さらにこの繊維シート2の外側の面にも接着剤を塗りつける。このように繊維シート2の外側面にも接着剤を塗布することにより、接着剤の接着力が繊維シート2の外側面から内側面へ、さらには上述の下地処理剤を介して鉄筋コンクリート製ブロック1にまで達することが期待できるようになる。接着剤には例えばエポキシ樹脂を使用したエポキシ系のものが使用される。
鉄筋コンクリート製ブロック1は、既設の鉄筋コンクリート構造物(既設の建造物の壁など)を複数のブロックに分割することによって得られる。例えば図4に示すような1階建て建造物6を解体・分割することによって鉄筋コンクリート製ブロック1を得る場合の工程の一例を示すと、建造物6の柱7と柱7の間に形成されている1枚の鉄筋コンクリート製スラブに対し、その両側の柱7との境界沿い(言い換えれば柱7の外周であり、図4において二重線で示す)および基盤部8との境界沿い(図4において破線で示す)の3箇所(あるいは3辺)をダイヤモンドディスクソーを用いて切断する。このように既設の建造物6を解体・分割することによって例えば厚さの等しい複数の鉄筋コンクリート製ブロック1を得ることができ、この後さらに所定のサイズに分割することもできる。あるいは、建造物6を解体・分割する時点において一定の境界ラインに沿って切り出せば解体・分割すると同時に所定のサイズの鉄筋コンクリート製ブロック1を得ることも可能である。なお、本実施形態ではダイヤモンドディスクソーを用いて切断すると説明したがこのダイヤモンドディスクソーは切断対象の厚さが50cm以内であるときに好ましく、そうでない場合(つまり厚さが50cmを超える場合)には例えばワイヤーソーを用いて切断することになる。
また、このようにして切り出された鉄筋コンクリート製ブロック1に対しては、他のブロック1との接合部分の外周に繊維シート2の巻厚分だけ周囲を削ってほぞ穴に差し込まれる「ほぞ」のような段付き形状としておくことが好ましい(図3参照)。こうした場合、接合部分の外周に繊維シート2を巻き付けてもその部分が他の箇所より張り出すようなことがなくいわゆる面一状態となり、接合後の構造材3の断面積が部材全部にわたって等しくなる(図1参照)。
また、上述のように接合面1aどうしを突き合わせて鉄筋コンクリート製ブロック1を接合する場合においては、あらかじめ接合面1aに削孔しておき、これら削孔4にジベル筋(鉄筋)5を挿入してからこれら鉄筋コンクリート製ブロック1どうしを突き合わせて接合することが好ましい。こうした場合、ジベル筋5が鉄筋コンクリート製ブロック1を正確に突き合わされた状態に保つ治具として機能して接合する際の位置精度を向上させる。また、接合部分の外周に繊維シート2を巻き付けるまで突き合わせ状態を保つこれらジベル筋5は鉄筋コンクリート製ブロック1を接合する作業をより効率的なものとする。加えてこのようなジベル筋5は、仮に繊維シート2が破断したとしても構造材3の接合部分が曲折したり横方向へずれたりするのを防止する補強材としても機能しうる。また、副次的な効果として、繊維シート2が破断した場合において、少なくとも短期的には自重に対して抵抗することが可能となる。このような諸機能を発揮しうるこれらジベル筋5は、建造物6等の一部がリユース(再使用)されることによって形成された構造材3であっても所定以上の強度と耐久性を備えているとの安心感をこの構造材3の提供者や使用者に対し与えることができる。
本実施形態では、鉄筋コンクリート製ブロック1の接合面1aの四隅をあらかじめコアドリル等で垂直方向(鉄筋コンクリート製ブロック1の軸方向)に削孔することによって計4個の削孔4を設け、これら削孔4にそれぞれジベル筋5を挿入することとしている(図2参照)。挿入後、接合部分に隙間が生じないよう鉄筋コンクリート製ブロック1どうしを密着させることで、ジベル筋5は鉄筋コンクリート製ブロック1単体の自重によるせん断力に対し十分に抵抗することが可能となる。すなわち、このようにジベル筋5を使用するとともに十分な挿入深さを確保することによって、例えば鉄筋コンクリート製ブロック1をその接合面1aが垂直方向となるような向き(ジベル筋5が水平方向となる向き)に横たえたとしてもジベル筋5が削孔4から抜け出してブロックがバラバラとなり壊れてしまうような事態を招かなくなり、その後の繊維シート2の巻き付けや接着といった工程における作業がより容易なものとなる。なお、削孔4の設置箇所や個数などは特に限定されるものではないが、均一的な構造と強度を確保するという観点からすれば例えば本実施形態のような断面矩形(正方形)の鉄筋コンクリート製ブロック1であれば四隅に設けるなど均一な配置とすることが好ましい。
また、挿入されるジベル筋5のサイズ(太さ、長さ)や本数も特に限定されることはなく、鉄筋コンクリート製ブロック1のサイズや強度、構造材3の使用状況などに応じて適宜選択されることになるが、接合面1aの面積に対する鉄筋比(接合部分の断面積に対するジベル筋5の総面積百分率)Asが0.5%以上であることが好ましい(図2参照)。すなわち、鉄筋コンクリート製ブロック1の接合面積に占めるジベル筋5の総断面積の割合が少なくとも0.5%となるようなサイズおよび本数とすることで、リユース(再使用)構造材3として必要な一般的な強度が確保しやすくなる。すなわち、ジベル筋5を利用した鉄筋構造を一般的な鉄筋コンクリート構造と構造的に同等であるとし、一般的な鉄筋構造物における鉄筋量が概ね0.5%以上であることを勘案するとジベル筋5の鉄筋比Asも同等であると考えられる。つまり、ジベル筋5の使用量が鉄筋比As<0.5%となる程度であればコンクリートブロックの軸方向の連続性が保たれなくなり極端な場合には自重により接合部で折れ曲がることも懸念されるが、所定値以上の鉄筋比Asが確保されることで所用の強度を備えた鉄筋コンクリート製ブロック1を形成することができるようになる。
また、このジベル筋5の接合面1aからの挿入深さは当該ジベル筋の直径φの少なくとも4倍となっていることが好ましい(図3参照)。こうした場合、挿入深さが十分となり削孔4からジベル筋5が抜け出にくい。なお、このように対向する接合面1aの両方について挿入深さを4φ(直径φの4倍を意味する)ずつ確保するためにはジベル筋5の長さLは少なくとも8φが必要である(図3参照)。なお、繊維シート2の巻き付け幅がジベル筋5の挿入深さ以上となっていることが好ましいことは上述した通りだが、このようにジベル筋5の長さL=8φである場合には、繊維シート2のシート幅(巻き付け幅)Wは少なくとも8φ(W≧8φ)ということになる(図3参照)。
続いて、鉄筋コンクリート製ブロック1の具体的な利用態様の一例として土留め擁壁9に適用した場合について説明する(図5参照)。ここでは、高さ2m、幅5m、厚さ0.5mのサイズとした鉄筋コンクリート製ブロック1を7個用意し、これらを順次接合することによって横幅35mの擁壁9を構成している(図5参照)。本実施形態では、鉄筋コンクリート製ブロック1の各接合部分に外径16mmのジベル筋5を4本ずつ設置している。また、各接合部分の外周にはシート幅(巻き付け幅)15cmの繊維シート2を1巻きして接着している。
また、鉄筋コンクリート製ブロック1を利用して土留め擁壁9を製造した場合の経済性比較結果を図6に示す。比較対象とした解体の概要(シナリオ)は、解体物の全量を処分して生コンを購入するというもの(図中のA)と、敷地外の外部中間処理施設で再生骨材を製造し尚かつ受け入れるというもの(図中のB)である。図中のCが本発明を適用した場合を表す。解体物を全量処分し、新たに材料を購入して建設するAの場合と比較すればCとした場合にはトータルコストのうちの1/3を削減することが可能となる(図6参照)。また、解体物を再生骨材として再利用するBの場合と比べるとCの場合のトータルコストは変わらないが、新設コンクリートの養生期間が無いことや、既に供用された実績があり性能が確認されているブロック1を適用してリユース(再使用)構造材3が得られることといったメリットがある。
ここで説明した経済比較結果の具体的試算内容を以下に説明しておく。この試算は、「積算資料」(財団法人経済調査会発行の月刊誌)に掲載された価格表と、財団法人エネルギー総合工学研究所の実用発電用原子炉廃炉技術調査報告書とを参考にしたものである。上述したとおり、想定した製造内容の概要は、
A:解体物全量処分、生コン購入
B:解体物敷地外再利用、再生骨材利用
C:切断物再利用
である。また、解体・切断費と処分費については、
[解体・切断費]
・A、B(全量について)
(労務費3,105円+重機使用費736円)/m3×28m3=107,548円
・C(柱6本分)
(労務費3,105円+重機使用費736円)/m3×3m3=11,523円
[処分費]
・A(全量)
27,600円/m3×28m3=772,800円
・C(柱6本分)
27,600円/m3×3m3=82,800円
となる。さらに、A〜Cのそれぞれについてかかる建設費は以下のようになる。
[建設費:A]
・コンクリートはレディーミクストコンクリート(いわゆる生コン)を使用
10,400円/m3×25m3=260,000円
・擁壁内部は鉄筋比0.5%で補強
鉄筋加工 4人×7日
17,600円×28人日=492,800円
・型枠組立、コンクリート打設、脱型
(技師C1人+普通作業員3人)×5日
(26,600円+14,100円×3人)×5日=344,500円
[建設費:B]
・再生骨材の製造費(処理費、運搬費)
(処理費5,750円+往復運搬費10,580円)/m3×28m3=457,240円
・セメント購入費
300kg/m3×9.2円/kg×25m3=69,000円
・擁壁内部は鉄筋比0.5%で補強
鉄筋加工 4人×7日
17,600円×28人日=492,800円
・型枠組立、コンクリート打設、脱型
(技師C1人+普通作業員3人)×5日
(26,600円+14,100円×3人)×5日=344,500円
[建設費:C]
・ワイヤーソー切断
スラブ1枚は3カット=4.5m2
スラブ5枚×4.5m2×130,000円/m2=2,925,000円
・ダイヤモンドディスクソー切断
スラブ1枚は3カット=4.5m2
スラブ5枚×4.5m2×50,700円/m2=1,140,750円
・炭素繊維シートによる補強
1箇所は、15cm幅×500cm=0.75m2
6箇所×0.75m2/箇所×22,149円/m2=99,671円
ここまで説明したように、本実施形態の鉄筋コンクリート製ブロック1の接合方法は鉄筋コンクリート製ブロック1の接合部分の外周に繊維シート2を巻き付けて接着することにより一体型構造の鉄筋コンクリート構造材と同等の耐荷性能を有する構造材3を製造することができる。この構造材3の耐荷性能が一体型構造の鉄筋コンクリート構造材と同等であることは実験結果により確認されている。また、鉄筋コンクリート製ブロック1の接合部分に配置されたジベル筋5はブロック1の自重に対しては十分抵抗できるため、繊維シート2を巻き付ける際の位置決めや固定持具として役目を果たすものであり、施工作業の効率化に寄与する。
また、既存の建造物を解体し撤去した後に発生する廃棄物処分費(運搬、輸送費含む)は高額であるが、本実施形態の接合方法によれば従来廃棄物としていたものをリユース(再使用)できるためこのような処分費が発生しない。廃棄処分時等における粉塵が生じるようなこともない。また、工期の短縮化も図れる。このため、複数に分割した鉄筋コンクリート製ブロック1を再利用ないし再使用した工法の方がトータルコストをより安価なものとすることができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
上述した実施形態に従い形成された鉄筋コンクリート製ブロック1からなる構造材3の最大耐力を確認すべく、FEM解析(有限要素法を用いた解析)による事前解析と載荷試験を行った(図7、図8参照)。対象は、図7に示す形状・大きさの鉄筋コンクリート製ブロック1および繊維シート2からなる構造材3とし、図示する箇所に荷重を作用させた。試験は、接合部のない一体構造の試験体a、ジベル筋5のみで接合された試験体b、繊維シート2のみで接合された試験体c、ジベル筋5と繊維シート2の両方で接合された試験体dのそれぞれについて実施した(図8参照)。結果、ジベル筋のみで接合された試験体dの最大耐力は事前解析値、試験値とも一体構造試験体aの20%程度に止まったが、試験体cについては事前解析値が試験体aの約94%、試験値が84%であり、試験体dについては事前解析値が試験体aの約104%、試験値が90%であった。そしてこれらの結果、繊維シート2のみで接合された試験体c、ジベル筋5と繊維シート2の両方で接合された試験体dに関しては、一体構造材と比較した場合に10%程度の差しかない良好な値の最大耐力が得られることが確認できた。
本発明に係る鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法の特徴を示す概略図であり、2つの直方体ブロックを接合して得られる構造体を表したものである。 鉄筋コンクリート製ブロックの接合面の一例を示す図である。 接合前の鉄筋コンクリート製ブロックとジベル筋と繊維シートとを示す概略図である。 鉄筋コンクリート製ブロックを得るために解体・分割される既設の1階建て構造物の概略を示す図である。 鉄筋コンクリート製ブロックを接合して製造される土留め擁壁の具体的一例を示す図である。 鉄筋コンクリート製ブロックを利用して土留め擁壁を製造した場合の経済性比較結果を示すグラフである。 構造材の最大耐力を確認するために行った事前解析および載荷試験に用いた試験体の形状・大きさを示す図である。 4種類の試験体について行った事前解析と載荷試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 鉄筋コンクリート製ブロック
1a 接合面
2 繊維シート
3 構造材
4 削孔
5 ジベル筋

Claims (3)

  1. 既設の鉄筋コンクリートを複数のブロックに分割し、これら鉄筋コンクリート製ブロックの接合面どうしを密着させて突き合わせた状態で接合部分の外周に繊維シートを巻き付け接着することによって一体型構造の鉄筋コンクリートと同等の耐荷性能を有する堅牢な鉄筋コンクリート製構造材を得ることを特徴とする鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法。
  2. 前記鉄筋コンクリート製ブロックの接合面に削孔し、この削孔にジベル筋を挿入してからこれら鉄筋コンクリート製ブロックどうしを密着させて突き合わせて接合することを特徴とする請求項1記載の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法。
  3. 前記鉄筋コンクリート製ブロックの接合面積に占める前記ジベル筋の総断面積の割合を少なくとも0.5%、前記ジベル筋の前記接合面からの挿入深さを当該ジベル筋の直径の少なくとも4倍、前記繊維シートの巻き付け幅を少なくとも前記ジベル筋の挿入深さとし、尚かつ、前記繊維シートをその繊維方向が前記接合面に直交する方向となるように巻き付けることを特徴とする請求項2記載の鉄筋コンクリート製ブロックの接合方法。
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