JP7330003B2 - 組積造構造物の補強方法 - Google Patents
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Description
まず、外壁10Aに対して鉄筋挿入工法を実施する。鉄筋挿入工法をPC緊張工法に先行して実施することで、レンガ壁10に鉛直孔16が複数にあいた状態でPC緊張未了の状態となるのを回避することができる。具体的な手順としては、図2(1)に示すように、外壁10Aをなすレンガ壁10に対して、鉄筋挿入用の鉛直孔16Aを複数形成する。この鉛直孔16Aは、レンガ壁10の上端18(頂部)から下部あるいはコンクリート基礎内の所定位置に向けて鉛直方向に穿孔して形成する。この鉛直孔16Aは、円形断面の非貫通孔であり、図示を省略するが、レンガ壁10の長さ方向に沿って間隔をあけて複数形成する。
続いて、鉄筋32をレンガ壁10の上端18から鉛直孔16Aに挿入配置し、その後、同じく上端18から鉛直孔16A内の全長にわたって固化材28を充填し、固化させる。これにより、鉛直孔16Aの孔壁24と鉄筋32の間の隙間には、固化材28が充填され、鉄筋32が埋設される。これによれば、プレストレスを導入することがないため、目地14および開口部30にクリープ変形が生じるリスクを排除できる。固化材28は既設のレンガ壁10よりも圧縮強度の大きい材料を使用することが望ましい。固化材28としては、例えばモルタル、グラウト、コンクリートなどの無機材料、エポキシ樹脂などの有機材料など、鉄筋32を孔壁24に固定できるものなら何でもよい。
次に、内壁10Bに対してPC緊張工法を実施する。具体的には、図2(2)に示すように、内壁10Bをなすレンガ壁10に対して、PC鋼棒挿入用の鉛直孔16Bを複数形成する。この鉛直孔16Bは、レンガ壁10の上端18(頂部)から下部に向けて鉛直方向に穿孔して形成する。この鉛直孔16Bは、円形断面の非貫通孔であり、図示を省略するが、レンガ壁10の長さ方向に沿って間隔をあけて複数形成する。この鉛直孔16Bは、レンガ壁10あるいは図外のコンクリート基礎の下まで貫通させず、レンガ壁10下部あるいはコンクリート基礎内のPC鋼棒20の下部を定着させる位置まで穿孔する。鉛直孔16Bの孔径は、後述するように、PC鋼棒20に接合する定着板22(定着部)の直径あるいは最大寸法よりも若干大径に設定する。
続いて、図2(2)に示すように、鉛直孔16Bの下部の孔壁24を切削し、孔壁24にリング状(環状)の凹部26を形成する。凹部26の形成方法としては、例えばレンガ壁10に横孔をあけることなく、レンガ壁10の上端18から切削治具を挿入して孔壁24に溝切り加工を施すスプリングビット工法などを用いることができる。この凹部26は、定着板22の上面より上に少なくとも1か所以上設ける。凹部26は、凹溝状の部分が全体としてリング状を呈するものでよく、周方向に非連続な部分があってもよい。また、リング状に限らず、孔壁24に対して螺旋状に形成してもよい。凹部26は、鉛直方向に間隔をあけて複数設けてもよい。凹部26の鉛直断面はどのような形状でもよく、例えば鉛直断面視で四角形状、三角形状、任意の多角形状、丸形状、任意の曲線形状であってもよい。
次に、PC鋼棒20の下端部に定着板22を取り付けた後、このPC鋼棒20をレンガ壁10の上端18から鉛直孔16Bに挿入する。定着板22の大きさ・形状は、上述したように、鉛直孔16Bの径よりも小さく、鉛直孔16Bの上端18から挿入できる大きさ・形状に設定する。なお、定着部はこれに限るものではなく、PC鋼棒等の緊張材に定着用の頭部を付加するものであればいかなるものでもよい。例えばPC鋼棒に螺合するタイプの定着ナットでもよいし、定着ナットの上に鋼板などを設けてもよい。また、緊張材に定着板を溶接、摩擦圧接、ネジ接合などにより取り付けてもよいし、緊張材自体を成形して頭部を作ってもよい。また、定着板22は、鉛直方向に間隔をあけてPC鋼棒20の下端部に複数設けてもよい。この場合は、最上部に配置した定着板22よりも上側に凹部26が少なくとも1か所あるように設定する必要がある。
続いて、定着板22が鉛直孔16Bの凹部26よりも下側に納まる位置までPC鋼棒20を挿入する。凹部26と定着板22との間には一定の鉛直距離を確保することが好ましい。定着板22と凹部26の間に圧縮ストラット(束)を形成して定着力を伝達させるためである。
次に、図2(2)に示すように、鉛直孔16B内に固化材28を充填する。固化材28は、鉛直孔16Bの全長に充填する必要はないが、少なくともPC鋼棒20の定着部となる定着板22の周囲から凹部26までの範囲には必ず充填する。固化材28の充填は、定着部となる位置のレンガ壁10の側面に削孔した小径の孔から注入して行うことができる。固化材28は既設のレンガ壁10よりも圧縮強度の大きい材料を使用することが望ましい。固化材28としては、例えばモルタル、グラウト、コンクリートなどの無機材料、エポキシ樹脂などの有機材料など、PC鋼棒20の定着部から作用する力を孔壁24のリング状の凹部26に伝達できるものなら何でもよい。
次に、固化材28が固化した後、PC鋼棒20の下端を固定端、上端を緊張端としてPC鋼棒20に緊張力(プレストレス)を付与して、PC鋼棒20の上端をレンガ壁10の上端18に設けた図外の定着板等に定着する。プレストレスを導入することにより、レンガ壁10の上端18と下部の定着板22との間に上下方向の圧縮力を作用させて目地14のせん断耐力を高め、レンガ壁10を補強することができる。このプレストレス導入作業は、全ての鉛直孔16Bに対して建物100全体の構造耐力バランスを考慮して行う。こうすることで、レンガ壁10全体としての保有水平耐力を確保して耐震性能を高めることが可能となる。
10A 外壁
10B 内壁
12 レンガ(組積材)
14 目地
16A,16B 鉛直孔
18 上端(頂部)
20 PC鋼棒(緊張材)
22 定着板(定着部)
24 孔壁
26 凹部
28 固化材
30 開口部
32 鉄筋(補強材)
100 建物
Claims (3)
- 組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、
前記組積造構造物の異なる平面位置の頂部から前記組積造構造物の下部またはその基礎の内部にかけて複数の鉛直孔をそれぞれ設けるステップと、所定の前記鉛直孔に棒状の補強材を挿通配置する一方で、前記鉛直孔に固化材を充填して前記補強材を埋設するステップと、他の前記鉛直孔に棒状の緊張材を挿通配置するステップと、前記補強材を埋設した後、前記緊張材の下部を固定端、上部を緊張端として緊張力を付与して前記組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップとを備えることを特徴とする組積造構造物の補強方法。 - 前記組積造構造物の側面に設けられた開口部との最短距離が所定距離に満たない前記鉛直孔に、前記補強材を挿通配置し、前記開口部との最短距離が前記所定距離を超える前記鉛直孔に、前記緊張材を挿通配置することを特徴とする請求項1に記載の組積造構造物の補強方法。
- 前記緊張材を挿通配置する前記鉛直孔の位置を、その近傍箇所において想定される所定時間経過後のクリープ変形が所定の許容範囲内に収まる位置に設定したことを特徴とする請求項1に記載の組積造構造物の補強方法。
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JP2019134041A JP7330003B2 (ja) | 2019-07-19 | 2019-07-19 | 組積造構造物の補強方法 |
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