JP7374646B2 - 組積造構造物の補強方法および補強構造 - Google Patents

組積造構造物の補強方法および補強構造 Download PDF

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Description

本発明は、組積造構造物の補強方法および補強構造に関し、例えばレンガ壁などの既設の組積造構造物に対してPC鋼棒などを設けることにより耐震補強する組積造構造物の補強方法および補強構造に関するものである。
従来、既存のレンガ造(組積造)建物の耐震補強において、レンガ壁体に頂部から鉛直に孔を堀り、中にPC鋼棒を挿入し、端部を定着し、プレストレスを導入することによりレンガ壁体の構造性能を向上させる工法がある。この工法では、レンガ壁下部でPC鋼棒を定着させる方法として、レンガ壁頂部からに鉛直下向きに孔をあけ、レンガ壁下部あるいは基礎コンクリートに、鉛直孔につながる横孔を側面から掘り、横孔内でPC鋼棒下端部に定着板を取り付けて定着する方法(例えば、特許文献1を参照)などが提案されている。
これらの工法では側面に大きな孔をあける必要があり、手間がかかるとともに、建物の外観に影響を与えて文化財的価値を損なうという問題があった。これに対し、本特許出願人は、レンガに大きな損傷を与えない方法として、レンガ側面から水平目地を削って鉛直孔に達する溝状の横孔を形成し、その溝状の横孔にねじ孔を有する鋼製の定着板を挿入し、鉛直孔に上からPC鋼棒を挿入して、定着板のねじ孔にPC鋼棒をねじ込む、という方法を既に提案している(特許文献2を参照)。
特開2010-281033号公報 特開2019-85756号公報
しかし、上記の従来の特許文献2の方法では、PC鋼棒を定着板のねじ孔にねじ込む作業に手間がかかること、1本のPC鋼棒に定着部を1箇所しか作れないため定着耐力を大きくとることが困難である、などの問題があった。このため、PC鋼棒などの棒状材を容易に施工することができて、複数の定着部を容易に形成することができる方法が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、棒状材を容易に施工することができて、複数の定着部を容易に形成することができる組積造構造物の補強方法および補強構造を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る組積造構造物の補強方法は、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、組積造構造物の内部に、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔を設けるステップと、棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に、目地の表面から縦孔に通じる横溝を設けるステップと、棒状材を縦孔に挿通配置する一方で、先端に凹部を有する定着板を横溝に挿通配置するステップと、横溝内の定着板の凹部が、縦孔内の棒状材を挟み込むように配置するステップと、棒状材の下端を横溝内の定着板に定着するステップとを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法は、上述した発明において、棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下端を固定端、上端を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法は、上述した発明において、棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されることを特徴とする。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法は、上述した発明において、横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けることを特徴とする。
また、本発明に係る組積造構造物の補強構造は、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、組積造構造物の内部に設けられ、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔と、棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に設けられ、目地の表面から縦孔に通じる横溝と、縦孔に挿通配置される棒状材と、横溝に挿通配置され、棒状材を挟み込む凹部を先端に有する定着板とを備え、棒状材の下端は、横溝内の定着板に定着していることを特徴とする。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強構造は、上述した発明において、棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されることを特徴とする。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強構造は、上述した発明において、横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けたことを特徴とする。
本発明に係る組積造構造物の補強方法によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、組積造構造物の内部に、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔を設けるステップと、棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に、目地の表面から縦孔に通じる横溝を設けるステップと、棒状材を縦孔に挿通配置する一方で、先端に凹部を有する定着板を横溝に挿通配置するステップと、横溝内の定着板の凹部が、縦孔内の棒状材を挟み込むように配置するステップと、棒状材の下端を横溝内の定着板に定着するステップとを備えるので、棒状材を定着板の凹部に容易に配置することができる。したがって、棒状材を容易に施工することができて、複数の定着部を容易に形成することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下端を固定端、上端を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えるので、組積造構造物に圧縮力を作用させる場合において、掘削量が少なくて済み、組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されるので、棒状材の下端を定着部を介して定着板に確実に定着することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けるので、定着板間の組積材が定着板と一体に挙動可能となり、定着部分の剛性、耐力を向上することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る組積造構造物の補強構造によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、組積造構造物の内部に設けられ、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔と、棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に設けられ、目地の表面から縦孔に通じる横溝と、縦孔に挿通配置される棒状材と、横溝に挿通配置され、棒状材を挟み込む凹部を先端に有する定着板とを備え、棒状材の下端は、横溝内の定着板に定着しているので、棒状材を定着板の凹部に容易に配置することができる。したがって、棒状材を容易に施工することができて、複数の定着部を容易に形成することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強構造によれば、棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されるので、棒状材の下端を定着部を介して定着板に確実に定着することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強構造によれば、横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けたので、定着板間の組積材が定着板と一体に挙動可能となり、定着部分の剛性、耐力を向上することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態を示すステップ1のレンガ壁の図であり、(1)はA-A断面図、(2)は正面図、(3)は側断面図である。 図2は、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態を示すステップ2のレンガ壁の図であり、(1)はA-A断面図、(2)は正面図、(3)は側断面図である。 図3は、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態を示すステップ3のレンガ壁の図であり、(1)はA-A断面図、(2)は正断面図、(3)は側断面図である。 図4は、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態を示すステップ4のレンガ壁の図であり、(1)はA-A断面図、(2)は正断面図、(3)は側断面図である。(4)は定着板の平面図である。 図5は、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造の実施の形態を示すステップ5のレンガ壁の図であり、(1)はA-A断面図、(2)は正断面図、(3)は側断面図である。(4)は変形例の側断面図である。
以下に、本発明に係る組積造構造物の補強構造および補強方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本実施の形態では、補強対象の組積造構造物として、図1に示すようなレンガ壁10を例にとり説明する。このレンガ壁10は、組積材としてのレンガ12を積み上げて形成した壁体であり、図示しない地中に設けたコンクリート基礎上に構築されている。レンガ12は、粘土や頁岩と泥を焼き固めて、または圧縮して作られた直方体状の建築材である。上下および左右に隣り合うレンガ12間には、モルタルやグラウトなどからなる目地14が設けられている。なお、本発明の組積造構造物はレンガ壁に限るものではなく、例えば、コンクリートブロックを組積材として積み上げたコンクリート壁や、石材などを組積材として積み上げた壁であってもよい。
また、本実施の形態では、棒状材がPC鋼棒(緊張材)である場合を例にとり説明するが、本発明の棒状材はこれに限るものではない。例えばPC鋼線、FRP製のより線、ロッドなどの緊張材でもよいし、鉄筋などの補強材であってもよい。
本実施の形態の補強方法は、ステップ1~6の施工手順で行われる。以下、各ステップの施工内容について説明する。
(ステップ1)
まず、図1に示すように、レンガ壁10の上端16(頂部)から下部に向けて鉛直方向に孔を掘る。以下、この孔を鉛直孔と呼ぶことにする。この鉛直孔18は、円形断面の縦孔であり、レンガ壁10あるいは図外のコンクリート基礎の下まで貫通させず、レンガ壁10下部あるいはコンクリート基礎内のPC鋼棒20の下部を定着させる位置まで穿孔する。鉛直孔18の孔径は、後述するように、PC鋼棒20の下端部に取り付ける定着部22の直径あるいは最大寸法よりも若干大径に設定する。なお、特に図示しないが、鉛直孔18は、レンガ壁10の長さ方向に沿って間隔をあけて複数形成するものとする。
(ステップ2)
次に、図2に示すように、定着板24を設置したい位置(PC鋼棒20の下端を定着する高さ位置)の横方向の目地14(水平目地)を水平に削って、溝状の孔を形成し、鉛直孔18まで到達させる。以下、この孔を水平溝状孔と呼ぶことにする。この水平溝状孔26は、レンガ壁10の正面視で横に細長く内部奥側に向けて水平に延びる横溝であり、溝の高さは目地14の高さ以下である。また、この水平溝状孔26は、平面視で略長方形状であり、その奥端は鉛直孔18よりも奥側に位置する。水平溝状孔26は、後述するように、PC鋼棒20の定着部22の少し上に来るような位置に設定する。
水平溝状孔26は、いかなる方法で形成してもよく、例えばドリルで並べて孔をあけて形成してもよいし、チェーンソーのような切削機械で形成してもよい。また、水平溝状孔26は、定着板24が水平目地14内に納まる高さとすると補強後の外観に与える影響を小さくできるが、定着耐力を大きくとりたい場合、厚い定着板24が必要な場合などには、目地14だけでなく上下のレンガ12も少し削って目地14を超えた高さに形成してもよい。
(ステップ3)
次に、図3に示すように、PC鋼棒20の下端部に定着部22を取り付けた後、このPC鋼棒20をレンガ壁10の上端16から鉛直孔18に挿入する。定着部22の大きさ・形状は、上述したように、鉛直孔18の径よりも小さく、鉛直孔18の上端16から挿入できる大きさ・形状に設定する。なお、本発明の定着部はこれに限るものではなく、PC鋼棒20等の棒状材に定着用の頭部を付加するものであればいかなるものでもよい。例えばPC鋼棒に螺合するタイプの定着ナットでもよいし、定着ナットの上に鋼板などを設けてもよい。緊張材や補強材に定着部を溶接や摩擦圧接やネジ接合により取り付けてもよいし、緊張材や補強材自体を加熱等により成形してこぶ状の頭部を作ってもよい。また、定着部22は、鉛直方向に間隔をあけてPC鋼棒20の下端部に複数設けてもよい。この場合は、最上部に配置した定着部22よりも上側に水平溝状孔26が少なくとも1か所あるように設定する必要がある。
(ステップ4)
次に、図4(1)~(3)に示すように、レンガ壁10の壁面から水平溝状孔26に定着板24を挿入する。図4(4)に示すように、定着板24の先端側には、PC鋼棒20を挟むように差し込むための凹部28が形成されている。凹部28は、定着板24の先端側の左右方向中央部分において手前側に窪んで形成されているので、図4(2)、(3)に示すように、定着板24を先端から水平溝状孔26に挿入することで、凹部28にPC鋼棒20を挟み込ませることができる。これにより、定着板24は、PC鋼棒20の定着部22の近傍の上側に配置される。定着部22と定着板24は密着させてもよいし、少し離してもよい。離す場合は、後述のステップ5の手順で定着部22と定着板24の間に固化材30を充填する。こうすることで、PC鋼棒20の下端を定着部22を介して定着板24に確実に定着することができる。
(ステップ5)
次に、図5(1)~(3)に示すように、鉛直孔18内および水平溝状孔26内に固化材30を注入して、鉛直孔18とPC鋼棒20の間の隙間、水平溝状孔26と定着板24の間の隙間に充填する。固化材30は、鉛直孔18の全長に充填する必要はないが、少なくとも鉛直孔18の最下部から最上部の定着板24の上までの範囲には必ず充填する。固化材30は既設のレンガ壁10よりも圧縮強度の大きい材料を使用することが望ましい。固化材30としては、例えばモルタル、グラウト、コンクリートなどの無機材料、エポキシ樹脂などの有機材料など、PC鋼棒20の定着部から作用する力を鉛直孔18の孔壁に伝達できるものなら何でもよい。
(ステップ6)
次に、固化材30が固化した後、PC鋼棒20の下端を固定端、上端を緊張端としてPC鋼棒20に緊張力を付与して、PC鋼棒20の上端をレンガ壁10の上端16に設けた図外の定着板等に定着する。定着部22と定着板24が密着している場合はそのままで、離れている場合は固化材30が充填されると、定着部22から定着板24を介して圧縮力がレンガ壁10に伝達され、PC鋼棒20が鉛直孔18内に定着されることになる。これにより、レンガ壁10の上端16と下部の定着部22、定着板24との間に上下方向の圧縮力を作用させてレンガ壁10を補強し、本実施の形態に係る組積造構造物の補強構造100を得ることができる。
本実施の形態によれば、PC鋼棒20を定着板24の凹部28に容易に配置することができる。このため、PC鋼棒20を容易に施工することができる。本実施の形態では、上記の従来の補強方法のように定着板のねじ孔にPC鋼棒をねじ込む作業がないため、施工が容易で作業性が向上する。また、上記の従来の補強方法のように2枚の定着板にPC鋼棒をねじ込むのは困難であるが、本実施の形態では、定着部を2段、3段と複数設けることが容易で、定着耐力を大きくすることが可能である。したがって、本実施の形態によれば、複数の定着部を容易に形成することができる。
また、PC鋼棒20を鉛直方向に挿入するレンガ壁10の補強において、レンガ壁10側面に大きな横孔をあけることなく、大きな定着耐力を有する下定着部を形成することが可能となる。これにより、既存のレンガ壁10の外観の損傷が小さくなり、文化財としての価値低下が少なくなる。
上記の実施の形態においては、PC鋼棒20の下端の定着部22の近傍の上側に1枚の定着板24を配置する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではなく、定着耐力をより大きくするために、同様の定着部の構造を複数組設けてもよい。例えば、図5(4)に示すように、PC鋼棒20の下端側に対して軸方向に間隔をあけて複数の定着部22を設けるとともに、各定着部22の上側近傍の目地14に水平溝状孔26を設け、PC鋼棒20を挿入した後に定着板24を挿入する構成としてもよい。こうすることで、より剛性、耐力の大きい定着が可能となる。
以上説明したように、本発明に係る組積造構造物の補強方法によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、組積造構造物の内部に、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔を設けるステップと、棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に、目地の表面から縦孔に通じる横溝を設けるステップと、棒状材を縦孔に挿通配置する一方で、先端に凹部を有する定着板を横溝に挿通配置するステップと、横溝内の定着板の凹部が、縦孔内の棒状材を挟み込むように配置するステップと、棒状材の下端を横溝内の定着板に定着するステップとを備えるので、棒状材を定着板の凹部に容易に配置することができる。したがって、棒状材を容易に施工することができて、複数の定着部を容易に形成することができる。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下端を固定端、上端を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えるので、組積造構造物に圧縮力を作用させる場合において、掘削量が少なくて済み、組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えることができる。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されるので、棒状材の下端を定着部を介して定着板に確実に定着することができる。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強方法によれば、横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けるので、定着板間の組積材が定着板と一体に挙動可能となり、定着部分の剛性、耐力を向上することができる。
また、本発明に係る組積造構造物の補強構造によれば、組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、組積造構造物の内部に設けられ、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔と、棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に設けられ、目地の表面から縦孔に通じる横溝と、縦孔に挿通配置される棒状材と、横溝に挿通配置され、棒状材を挟み込む凹部を先端に有する定着板とを備え、棒状材の下端は、横溝内の定着板に定着しているので、棒状材を定着板の凹部に容易に配置することができる。したがって、棒状材を容易に施工することができて、複数の定着部を容易に形成することができる。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強構造によれば、棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されるので、棒状材の下端を定着部を介して定着板に確実に定着することができる。
また、本発明に係る他の組積造構造物の補強構造によれば、横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けたので、定着板間の組積材が定着板と一体に挙動可能となり、定着部分の剛性、耐力を向上することができる。
以上のように、本発明に係る組積造構造物の補強方法および補強構造は、例えばレンガ壁などの既設の組積造構造物に対してPC鋼棒などでプレストレスを導入することにより耐震補強したり、また、既設の組積造構造物に鉄筋を挿入して補強する際に、定着耐力を増加させ定着長を短くするのに有用であり、特に、既設の組積造構造物の外観に与える影響を小さく抑えて耐震補強するのに適している。
10 レンガ壁(組積造構造物)
12 レンガ(組積材)
14 目地
16 上端(頂部)
18 鉛直孔(縦孔)
20 PC鋼棒(緊張材、棒状材)
22 定着部
24 定着板
26 水平溝状孔(横溝)
28 凹部
30 固化材
100 組積造構造物の補強構造

Claims (5)

  1. 組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する方法であって、
    組積造構造物の内部に、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔を設けるステップと、
    棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に、目地の表面から縦孔に通じる横溝を設けるステップと、
    棒状材を縦孔に挿通配置する一方で、先端に凹部を有する定着板を横溝に挿通配置するステップと、
    横溝内の定着板の凹部が、縦孔内の棒状材を挟み込むように配置するステップと、
    棒状材の下端を横溝内の定着板に定着するステップとを備え
    棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されることを特徴とする組積造構造物の補強方法。
  2. 棒状材は緊張材として機能するものであり、この棒状材の下端を固定端、上端を緊張端として棒状材に緊張力を付与して組積造構造物に上下方向の圧縮力を作用させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の組積造構造物の補強方法。
  3. 横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けることを特徴とする請求項1または2に記載の組積造構造物の補強方法。
  4. 組積材を積み上げてなる既設の組積造構造物を補強する構造であって、
    組積造構造物の内部に設けられ、緊張材または補強材として機能する棒状材を鉛直方向に挿通配置するための縦孔と、
    棒状材の下端に対応する高さ位置近傍であって棒状材の下端よりも上における組積造構造物の横方向の目地に設けられ、目地の表面から縦孔に通じる横溝と、
    縦孔に挿通配置される棒状材と、横溝に挿通配置され、棒状材を挟み込む凹部を先端に有する定着板とを備え、
    棒状材の下端は、横溝内の定着板に定着しており、
    棒状材の下端には、定着部が設けられており、定着板は、縦孔内の棒状材の定着部の近傍の上側に配置されることを特徴とする組積造構造物の補強構造。
  5. 横溝を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材の上下の目地に設けるとともに、定着板を、1個または上下に隣接する2個以上の組積材を上下の目地から挟む態様で2枚以上設けたことを特徴とする請求項に記載の組積造構造物の補強構造。
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