JP2011202471A - 構造部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合部の施工性向上が可能な構造部材を提供する。
【解決手段】コンクリート本体16の接合部24Aが、第1耐力部30と、第1耐力部よりも耐力が小さい第2耐力部32とによって構成されている。コンクリート本体16の接合部24Aに大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合、接合部24Aのトータルの剛性は低下し、生じる応力の上限値を規定することができる。よって、接合部24Aに対する過度な強度確保が不要となるので、施工性を向上させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、コンクリートによって形成された構造部材に関する。
近年の建築構造物は、中小の地震のみならず大地震に対しても十分な耐震性が求められている。耐震性を向上させる方策の1つとして、柱、梁、杭等の構造部材の接合部の曲げ耐力及びせん断耐力を向上させることが挙げられる。構造部材の接合部の曲げ耐力及びせん断耐力を向上させる一般的な方法としては、接合部に配置される主筋やせん断補強筋の数を多くしたり、主筋やせん断補強筋の径を大きくしたりすることが考えられるが、配筋作業が煩雑となり施工性が悪くなる。
特許文献1の柱と梁の接合構造では、図25(a)の平面図、及び図25(b)の側面図に示すように、頭部付き鉄筋からなる主筋500、502を、梁504、506の端部から突出させると共に柱508の内部で差し違えるように配置している。これにより、接合構造を簡略化することができる。
特許文献2の構造物における杭と上部構造躯体との接合構造では、図26(a)の平面図、及び図26(b)の正面図に示すように、鉄筋コンクリート柱510が基礎梁512を上下に貫通し、鉄筋コンクリート柱510に設けられた柱鉄骨520の下部が杭頭部516に埋め込まれている。また、基礎梁512の下面514と杭頭部516の上端面518との間に環状の隙間が確保されている。これにより、杭頭部516の曲げ耐力を低下させて杭頭部516付近の鉄筋量を低減することができる。
特開2003−184173号公報 特開2000−144904号公報
本発明は係る事実を考慮し、接合部の施工性向上が可能な構造部材を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、コンクリート本体と、前記コンクリート本体に設けられた鉄筋と、接合対象部材に接合される前記コンクリート本体の端部に形成された接合部と、前記コンクリート本体に埋設され内側にコア材が充填された筒状部材と該筒状部材の内側に配置された前記鉄筋とによって前記接合部の一部を構成する第1耐力部と、前記接合部の他部を構成し前記第1耐力部よりも耐力が小さい第2耐力部と、を有する。
請求項1に記載の発明では、構造部材がコンクリート本体を有し、このコンクリート本体の端部に形成された接合部が接合対象部材に接合される。接合部の一部は第1耐力部によって構成され、接合部の他部は第2耐力部によって構成される。第1耐力部は、コンクリート本体に埋設され内側にコア材が充填された筒状部材と、コンクリート本体に設けられ筒状部材の内側に配置された鉄筋とによって構成されている。第2耐力部は、第1耐力部よりも耐力が小さい。
よって、コンファインド効果により筒状部材の内側に充填されたコア材の圧縮及び曲げ耐力や靭性を向上させることができる。これにより、筒状部材と、筒状部材の内側に充填されたコア材と、筒状部材の内側に配置された鉄筋とによって構成された第1耐力部の圧縮及び曲げ耐力を大きくすることができる。
ここで、接合対象部材にコンクリート本体が接合されている状態において、コンクリート本体の接合部に所定値以下の荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合、第1耐力部及び第2耐力部は共に健全であり接合部の全断面が外力に対して有効に抵抗する。
これに対して、コンクリート本体の接合部に所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合、第2耐力部にはひび割れや損傷が生じて接合部のトータルの剛性が低下し、第1耐力部のみによって接合状態が維持されるピン接合に近い状態になる。
これにより、コンクリート本体の接合部に発生する応力がそれ以上は増えないので、接合部に生じる応力の上限値を規定することができる。よって、コンクリート本体の接合部に対する過度な強度確保が不要となり、接合部に配置する鉄筋を減らす又は無くすことが可能となるので、接合部の施工性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、前記筒状部材は、線状部材を螺旋状に配置することにより形成されている。
請求項2に記載の発明では、線状部材を螺旋状に配置して形成された筒状部材でコア材を囲み、コンファインド効果によりコア材の圧縮及び曲げ耐力や靭性を向上させた第1耐力部を形成することができる。
請求項3に記載の発明は、前記線状部材に緊張力が付与されている。
請求項3に記載の発明では、螺旋状の線状部材に緊張力を付与することによって、コア材の材軸方向及び周方向にプレストレスが導入される。
よって、コア材に導入された材軸方向のプレストレスにより、コア材に材軸方向のプレストレスを導入していない構成と比べて、コア材の引張り耐力が向上する。
また、コア材に導入された周方向のプレストレスにより、周方向にコア材がより拘束され、高いコンファインド効果が発揮される。これにより、コア材を筒状部材で囲んだだけの構成に比べて、コア材の圧縮及び曲げ耐力や靭性がより向上する。
請求項4に記載の発明は、前記コンクリート本体は、柱、梁又は杭である。
請求項4に記載の発明では、柱、梁又は杭を構造部材とした場合において、柱、梁又は杭に対して請求項1と同様の効果を発揮させることができる。
請求項5に記載の発明は、前記接合対象部材は水平部材であり、前記コンクリート本体は上下に配置された前記水平部材の間に設置された耐震壁である。
請求項5に記載の発明では、コンクリート本体は、耐震壁であり、上下に配置された接合対象部材としての水平部材の間に設置されている。
よって、中小地震時には、耐震壁としての構造部材に作用する鉛直力及びせん断力を、コンクリート本体が負担する。そして、大地震時には、第2耐力部にひび割れや損壊が生じてコンクリート本体の接合部におけるトータルの剛性が低下するので、構造部材に作用する鉛直力は第1耐力部によって負担され、構造部材に作用するせん断力は低減される。
これにより、構造部材の有するせん断耐力を想定以上の地震動に備えて過剰に高める必要がない。すなわち、一般的なRC壁よりも構造部材の壁厚を同等もしくはそれよりも薄くできる。壁厚を薄くできれば構造部材が軽くなるので、この構造部材を支持する柱、梁、床スラブ等の構造断面を小さくすることができる。
また、例えば、建物のある階層に請求項5の耐震壁(構造部材)を配置することで、中小地震時には耐震壁の剛性低下が生じないようにして地震時の変形を抑え、仕上げ材等の損傷を低減することができる。一方、大地震時には耐震壁の剛性を低下させることで、耐震壁が配置された階層の長周期化を図り、この階層に作用する地震力を低減することができる。また、この階層に地震エネルギーを吸収するダンパーや鋼板耐震壁等を設ければ、この階層に作用する地震力を効果的に低減することができる。
本発明は上記構成としたので、接合部の施工性向上が可能な構造部材を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る構造部材を示す正面図である。 図1(a)のA−A断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る耐力部材を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る構造部材の作用を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る構造部材の変形例を示す平断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る構造部材を示す正面図である。 図6(a)のB−B断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る構造部材の変形例を示す横断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る構造部材の変形例を示す横断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る構造部材を示す正面図である。 図10(a)のC−C断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る構造部材の変形例を示す平断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る構造部材を示す正面図である。 図13(a)のD−D断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る構造部材の変形例を示す正面図である。 本発明の第4の実施形態に係る構造部材の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る筒状部材の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る筒状部材の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る筒状部材の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るコア材へのプレストレス導入方法を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るコア材へのプレストレス導入方法を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るコア材へのプレストレス導入方法を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るコア材へのプレストレス導入方法を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る構造部材の変形例を示す正面図である。 従来の柱と梁の接合構造を示す説明図である。 従来の構造物における杭と上部構造躯体との接合構造を示す説明図である。
図面を参照しながら、本発明の構造部材を説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1(a)の正面図に示すように、第1の実施形態の構造部材としての柱10A、10Bは、上下に配置された接合対象部材としての鉄筋コンクリート製の梁12A、12Bの間に設置されている。そして、柱10A、10B、及び梁12A、12Bによって架構14を構成している。
柱10A、10Bは、コンクリート本体16、柱主筋18、耐力部材20、及びせん断補強筋22を有している。柱主筋18、耐力部材20、及びせん断補強筋22は、コンクリートによって形成され正方形の平断面を有する角柱状のコンクリート本体16の内部に設けられている。
図1(a)のA−A断面図である図2に示すように、柱主筋18は、平面視にて正方形の四隅に位置するように4つ配置されている。また、柱主筋18の上下端部は、コンクリート本体16の上下端面から突出しL字状に曲げられてアンカー部18A、18Bを形成している。そして、このアンカー部18A、18Bが梁12A、12Bに埋設されて、コンクリート本体16の上下端部に形成された接合部24A、24Bが梁12A、12Bに接合されている。
図3の斜視図に示すように、耐力部材20は、コンクリート本体16の上下端部に位置するように、柱主筋18のアンカー部18A、18B付近に設けられている。耐力部材20は、コンクリートによって形成された円柱部材26と、この円柱部材26の内部に設けられ柱主筋18を囲むように配置された筒状部材28とによって構成されている。筒状部材28は、線状部材としての鉄筋を螺旋状に配置して形成されている。
そして、コンクリート本体16の接合部24A、24Bにおいて、コンクリート本体16に埋設され内側にコア材としてのコンクリートが充填された筒状部材28と、筒状部材28に囲まれた(筒状部材28の内側に配置された)柱主筋18とによって第1耐力部30が形成され、第1耐力部30以外の部分が第2耐力部32となる。図4(a)の正面図には、柱10A、10Bの接合部24Aの一部を構成する第1耐力部30と、他部を構成する第2耐力部32とが示されている。
図1(a)、図2、及び図4(a)に示すように、せん断補強筋22は、柱主筋18及び耐力部材20を囲むようにして配置されている。
コンクリート本体16の中間部34には、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、中間部34の全断面が外力に対して有効に抵抗する耐力を中間部34が有するようにせん断補強筋22が配置されている。
コンクリート本体16の接合部24A、24Bには、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに所定値以下の荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、第1耐力部30及び第2耐力部32が共に健全であり接合部24A、24Bの全断面が外力に対して有効に抵抗し、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、第2耐力部32にひび割れや損傷が生じて壊れる耐力を接合部24A、24Bが有するようにせん断補強筋22が配置されている。
すなわち、柱主筋18の材軸方向に対するせん断補強筋22の配置間隔は、コンクリート本体16の中間部34よりも接合部24A、24Bの方が大きくなっており、コンクリート本体16の単位体積当たりのせん断補強筋22の鉄筋量は、コンクリート本体16の中間部34よりも接合部24A、24Bの方が少なくなっている。なお、せん断補強筋22は設計条件に応じて適宜配置すればよい。
なお、所定値とは、例えば、中小地震(再現期間50年程度の地震)が発生したときにコンクリート本体16の接合部24A、24Bに作用する荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)の値を意味し、所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)とは、大地震(再現期間500年程度の地震)が発生したときにコンクリート本体16の接合部24A、24Bに作用する荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)の値を意味する。以下の説明において、再現期間50年程度の地震を中小地震とし、再現期間500年程度の地震を大地震とする。
このように、コンクリート本体16の接合部24A、24Bは、第1耐力部30と第2耐力部32とによって構成され、第2耐力部32は、第1耐力部30よりも耐力が小さくなっている。
柱10A、10Bは、柱主筋18、耐力部材20、及びせん断補強筋22を型枠内に配置した後に、この型枠内にコンクリートを打設し硬化させて、柱主筋18、耐力部材20、及びせん断補強筋22を一体化することによって構築する。なお、柱主筋18のアンカー部付近に事前に耐力部材20を設けておかないで、柱主筋18、筒状部材28、及びせん断補強筋22を型枠内に配置した後に、この型枠内にコンクリートを打設し硬化させて、耐力部材20(円柱部材26)を形成するようにしてもよい。この場合、筒状部材28の中に流れ込んできたコンクリートがコア材となる。
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。
第1の実施形態の柱10A、10Bでは、図3に示すように、コンファインド効果により筒状部材28の内側に充填されたコア材としてのコンクリートの圧縮及び曲げ耐力や靭性を向上させることができる。これにより、筒状部材28と、筒状部材28の内側に充填されたコア材と、筒状部材28の内側に配置された柱主筋18とによって構成された第1耐力部30の耐力を大きくすることができる。
ここで、図4(a)に示すように、接合対象部材としての梁12A、12Bにコンクリート本体16が接合されている状態において、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに所定値以下の荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合、第1耐力部30及び第2耐力部32は共に健全であり接合部24A、24Bの全断面が外力に対して有効に抵抗する。
これに対して、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合、第2耐力部32にはひび割れや損傷が生じ、接合部24A、24Bのトータルの剛性が低下する(図4(b)を参照のこと)。図4(b)の正面図には、この現象を理解し易くするために極端な例(第2耐力部32が壊れて第1耐力部30のみが残っている状態)が示されている。このように、第1耐力部30のみによって接合状態が維持されるピン接合に近い状態になる。
これにより、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに発生する応力がそれ以上は増えないので、接合部24A、24Bに生じる応力の上限値を規定することができる。よって、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに対する過度な強度確保が不要となり、接合部24A、24Bに配置する鉄筋を減らす又は無くすことが可能となるので、接合部24A、24Bの施工性を向上させることができる。
例えば、中小地震が発生したときにコンクリート本体16の接合部24A、24Bに作用する荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)の値を所定値とした場合、図1(a)に示すように、中小地震が発生したときには、梁12Aから作用する鉛直力を柱10A、10Bが負担する。
そして、図1(b)の正面図に示すように、大地震が発生したときには、第2耐力部32にひび割れや損壊が生じ、コンクリート本体16の接合部24A、24Bのトータルの剛性が小さくなり、梁12A、12Bと柱10A、10Bの接合部24A、24Bとがピン接合に近い状態で接合されることになる。
これにより、梁12Aから作用する鉛直力を第1耐力部30及び中間部34が負担した状態で、柱10A、10Bの接合部24A、24Bのトータルの剛性が小さくなって架構14の長周期化が図られ、架構14に作用する地震力を低減することができる。また、この効果は、柱10A、10Bと床スラブとによって架構を構成した場合においても同様に得られる。
よって、架構の有する強度を、想定以上の地震動に備えて過剰に高める必要がない。すなわち、架構を構成する柱、梁、床スラブ等の構造断面形状を小さくできる。
また、筒状部材28の内側に充填されたコア材は、コンクリート本体16に設けられた柱主筋18を囲んでいるので、柱主筋18によってコンクリート本体16の中間部34と第1耐力部30とを一体化することができ、また、コア材の引張強度をより向上させることができる。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
なお、第1の実施形態では、4つの柱主筋18のアンカー部付近に耐力部材20を設けて、コンクリート本体16の接合部24A、24Bのそれぞれに4つの第1耐力部30を形成した例を示したが、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに形成する第1耐力部30は部分的にいくつ形成してもよいし、接合部24A、24Bのどの位置に配置してもよい。
例えば、図5の平断面図に示すように、コンクリート本体16の中央に1つの柱主筋36を設け、この柱主筋36のアンカー部付近に耐力部材20を設けるようにしてもよい。図5では、柱主筋18の上下端部をL字状に曲げず且つコンクリート本体16の上下端面から突出させないで、柱主筋36の上下端部のみをL字状に曲げてアンカー部を形成し、コンクリート本体16の上下端面からこのアンカー部を突出させる。そして、柱主筋36のアンカー部を梁12A、12Bに埋設し、柱10A、10Bを梁12A、12Bに接合している。
また、第1の実施形態では、筒状部材28の内側に充填されるコア材をコンクリートとした例を示したが、必要とする耐力を第1耐力部30に与えることができる材料であればよい。例えば、筒状部材28の内側にコンクリートを充填し難い場合には、コア材をモルタル材としてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図6(a)の正面図、及び図6(a)のB−B断面図である図7に示すように、第2の実施形態の構造部材としての梁38は、第1の実施形態で示した柱10A、10Bと同様の構成の部材を略水平に配置して梁としたものである。柱10A、10Bの柱主筋18が、梁38では梁主筋40となり、コンクリート本体16は、長方形の横断面を有する角柱状の部材となっている。梁38は、左右に配置された接合対象部材としての鉄筋コンクリート製の柱42A、42Bの間に設置されている。
梁38は、コンクリート本体16、梁主筋40、耐力部材20、及びせん断補強筋22を有し、コンクリート本体16の左右端面から突出した梁主筋40のアンカー部40A、40Bが柱42A、42Bに埋設されて、コンクリート本体16の左右端部に形成された接合部24A、24Bが柱42A、42Bに接合されている。
コンクリート本体16の接合部24A、24Bは、第1耐力部30と第2耐力部32とによって構成され、第2耐力部32は、第1耐力部30よりも耐力が小さくなっている。
次に、本発明の第2の実施形態の作用及び効果について説明する。
第2の実施形態の梁38では、第1の実施形態の柱10A、10Bと同様の効果を得ることができ、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、接合部24A、24Bに生じる応力の上限値を規定することができる。
例えば、中小地震が発生したときにコンクリート本体16の接合部24A、24Bに作用する荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)の値を所定値とした場合、図6(a)に示すように、中小地震が発生したときには、梁38に作用する鉛直力は柱42A、42Bに伝達される。
そして、図6(b)の正面図に示すように、大地震が発生したときには、第2耐力部32にひび割れや損壊が生じ、梁38の接合部24A、24Bのトータルの剛性が小さくなり、柱42A、42Bと梁38の接合部24A、24Bとがピン接合に近い状態で接合されることになる。
これにより、梁38の接合部24A、24Bに大きな曲げ応力が生じて損傷することが防げ、梁38に作用する鉛直力を、第1耐力部30を介して柱42A、42Bに伝達することができる。また、梁38の接合部24A、24Bのトータルの剛性が小さくなって、柱42A、42Bと梁38とにより構成される架構の長周期化を図ることができる。
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
なお、第2の実施形態では、4つの梁主筋40のアンカー部付近に耐力部材20を設けて、コンクリート本体16の接合部24A、24Bのそれぞれに4つの第1耐力部30を形成した例を示したが、コンクリート本体16の接合部24A、24Bに形成する第1耐力部30は部分的にいくつ形成してもよいし、接合部24A、24Bのどの位置に配置してもよい。
例えば、図8の横断面図に示すように、コンクリート本体16の中央に1つの柱主筋44を設け、この梁主筋44のアンカー部付近に耐力部材20を設けるようにしてもよいし、図9の横断面図に示すように、コンクリート本体16の上下に柱主筋44を設け、この梁主筋44のアンカー部付近に耐力部材20を設けるようにしてもよい。
図8、9では、梁主筋40の左右端部をL字状に曲げず且つコンクリート本体16の左右端面から突出させないで、梁主筋44の左右端部のみをL字状に曲げてアンカー部を形成し、コンクリート本体16の左右端面からこのアンカー部を突出させる。そして、梁主筋44のアンカー部を柱42A、42Bに埋設し、梁38を柱42A、42Bに接合している。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図10(a)の正面図に示すように、第3の実施形態の構造部材としての杭46は、接合対象部材としての鉄筋コンクリート製の基礎梁48を支持している。
杭46は、コンクリート本体16、杭主筋50、52、耐力部材20、及びせん断補強筋22を有している。杭主筋50、52、耐力部材20、及びせん断補強筋22は、コンクリートによって形成され円形の平断面を有する円柱状のコンクリート本体16の内部に設けられている。
図10(a)のC−C断面図である図11に示すように、平面視にて、杭主筋50はコンクリート本体16の略中央に位置するように1つ配置され、杭主筋52は杭主筋50を囲むようにして複数配置されている。図10(a)に示すように、杭主筋52の周囲に配置されるせん断補強筋22の数は、コンクリート本体16の中間部34及び下端部140よりも接合部24Aの方が少なくなっている。また、杭主筋50の周囲に配置される杭主筋52の数は、コンクリート本体16の中間部34及び下端部140よりも接合部24Aの方が少なくなっている。なお、せん断補強筋22及び杭主筋52は設計条件に応じて適宜配置すればよい。
また、杭主筋50の上端部は、コンクリート本体16の上端面から突出し、L字状に曲げられてアンカー部50Aを形成している。そして、このアンカー部50Aが基礎梁48に埋設されて、コンクリート本体16の上端部に形成された接合部24Aが基礎梁48に接合されている。杭主筋52の上端部は、コンクリート本体16の上端面から突出していない。
耐力部材20は、コンクリート本体16の上端部に位置するように、杭主筋50のアンカー部50A付近に設けられている。そして、コンクリート本体16の接合部24Aにおいて、内側にコア材としてのコンクリートが充填された筒状部材28と、筒状部材28に囲まれた(筒状部材28の内側に配置された)杭主筋50とによって第1耐力部30が形成され、第1耐力部30以外の部分が第1耐力部30よりも耐力が小さい第2耐力部32となっている。
図11に示すように、せん断補強筋22は、杭主筋52を円環状に囲むようにして配置されている。
コンクリート本体16の中間部34及び下端部140には、コンクリート本体16の接合部24Aに所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、中間部34及び下端部140の全断面が外力に対して有効に抵抗する耐力を中間部34及び下端部140が有するようにせん断補強筋22が配置されている。
コンクリート本体16の接合部24Aには、コンクリート本体16の接合部24Aに所定値以下の荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、第1耐力部30及び第2耐力部32が共に健全であり接合部24Aの全断面が外力に対して有効に抵抗し、コンクリート本体16の接合部24Aに所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、第2耐力部32にひび割れや損傷が生じて壊れる耐力を接合部24Aが有するようにせん断補強筋22が配置されている。
次に、本発明の第3の実施形態の作用及び効果について説明する。
第3の実施形態の杭46では、第1の実施形態の柱10A、10Bと同様の効果を得ることができ、コンクリート本体16の接合部24Aに所定値よりも大きい荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)が作用した場合に、接合部24Aに生じる応力の上限値を規定することができる。
例えば、中小地震が発生したときにコンクリート本体16の接合部24Aに作用する荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)の値を所定値とした場合、図10(a)に示すように、中小地震が発生したときには、基礎梁48から作用する鉛直力をコンクリート本体16が負担する。
そして、図10(b)の正面図に示すように、大地震が発生したときには、第2耐力部32にひび割れや損壊が生じ、コンクリート本体16の接合部24A(杭頭部)のトータルの剛性が小さくなり、基礎梁48とコンクリート本体16の接合部24Aとがピン接合に近い状態で接合されることになる。これにより、コンクリート本体16の接合部24Aに大きな曲げ破壊が発生することが防げ、第1耐力部30、コンクリート本体16の中間部34、及び下端部140により基礎梁48を鉛直支持することができる。
また、第1耐力部30の耐力、数量、配置の設定により大地震時におけるコンクリート本体16の接合部24Aのトータルの剛性を変更することが可能なので、コンクリート本体16の接合部24A及びコンクリート本体16自体に生じる応力を調整することができる。
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
なお、第3の実施形態では、1つの杭主筋50のアンカー部50A付近に耐力部材20を設けて、コンクリート本体16の接合部24Aに1つの第1耐力部30を形成した例を示したが、コンクリート本体16の接合部24Aに形成する第1耐力部30は部分的にいくつ形成してもよいし、接合部24Aのどの位置に配置してもよい。また、杭46の平断面を円形以外の形状としてもよい。
例えば、図12の平断面図に示すように、正方形の平断面を有する角柱状のコンクリート本体16に、平面視にて正方形の四隅に位置するように4つの杭主筋50を設け、この杭主筋50のアンカー部50A付近に耐力部材20を設けるようにしてもよい。
図12では、杭主筋52の上端部をコンクリート本体16の上端面から突出させずに、杭主筋50のアンカー部50Aのみをコンクリート本体16の上端面から突出させ、杭主筋50のアンカー部50Aを基礎梁48に埋設し、杭46を基礎梁48に接合している。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図13(a)の正面図に示すように、第4の実施形態の構造部材としての耐震壁54は、架構56内に配置されている。架構56は、水平部材としての鉄筋コンクリート製の梁58A、58Bと、上下に配置された梁58A、58Bの間に設置された鉄筋コンクリート製の柱60A、60Bとによって構成されている。耐震壁54は、上下に配置された接合対象部材としての梁58A、58Bの間に設置されている。
図13(a)、及び図13(a)のD−D断面図である図14に示すように、耐震壁54は、コンクリート本体62、壁主筋64、耐力部材66、及びせん断補強筋68を有している。壁主筋64、耐力部材66、及びせん断補強筋68は、コンクリートによって形成され長方形の平断面を有する板状のコンクリート本体62の内部に設けられている。説明の都合上、図13(a)、(b)には、壁主筋64及びせん断補強筋68が省略されている。
耐力部材66は、コンクリート本体62の上端面から下端面に渡って略鉛直に設けられ、平面視にて梁58A、58Bの梁長方向に対して所定の間隔をあけて3つ配置されている。
耐力部材66は、コンクリートによって形成された円柱部材70と、この円柱部材70の内部に配置された筒状部材72とによって構成されている。筒状部材72は、線状部材としての鉄筋を螺旋状に配置して形成されている。
筒状部材72の内側には、筒状部材72の内側の縁に沿って複数の壁主筋64が配置されており、壁主筋64を円環状に囲むようにせん断補強筋68が配置されている。壁主筋64の上下端部はコンクリート本体62の上下端面から突出しL字状に曲げられてアンカー部を形成している。そして、この壁主筋64のアンカー部が梁58A、58Bに埋設されて、コンクリート本体62の上下端部に形成された接合部74A、74Bが梁58A、58Bに接合されている。
そして、耐震壁54の接合部74A、74Bにおいて、コア材としてのコンクリートが内側に充填された筒状部材72と、筒状部材72に囲まれた(筒状部材72の内側に配置された)壁主筋64とによって第1耐力部76が形成され、第1耐力部76以外の部分が第2耐力部78となる。
また、コンクリート本体62の中間部80において、コア材としてのコンクリートが内側に充填された筒状部材72と、筒状部材72に囲まれた(筒状部材72の内側に配置された)壁主筋64とによって第3耐力部82が形成され、第3耐力部材82以外の部分が第4耐力部84となる。
このように、耐震壁54では、コンクリート本体62の接合部74A、74Bが、第1耐力部76と第2耐力部78とによって構成され、コンクリート本体62の中間部80が、第3耐力部82と第4耐力部84とによって構成されている。また、第1耐力部76と第3耐力部82、第2耐力部78と第4耐力部84とは、ほぼ等しい耐力を有し、第2耐力部78及び第4耐力部84は、第1耐力部76及び第3耐力部82よりも耐力が小さくなっている。
次に、本発明の第4の実施形態の作用及び効果について説明する。
第4の実施形態の耐震壁54では、コンファインド効果により筒状部材72の内側に充填されたコア材としてのコンクリートの圧縮及び曲げ耐力や靭性を向上させることができる。これにより、筒状部材72、筒状部材72の内側に充填されたコア材、及び筒状部材72の内側に配置された壁主筋64によって構成された、第1耐力部76及び第3耐力部82の耐力を大きくすることができる。
例えば、中小地震が発生したときに耐震壁54の接合部74A、74Bに作用する荷重(曲げ荷重、せん断荷重及び軸力)の値を所定値とした場合、図13(a)に示すように、中小地震が発生したときには、耐震壁54に作用する鉛直力及びせん断力を、コンクリート本体62が負担する。
そして、図13(b)の正面図に示すように、大地震が発生したときには、第2耐力部78にひび割れや損壊が生じてコンクリート本体62の接合部74A、74Bのトータルの剛性が低下するので、耐震壁54に作用する鉛直力は第1耐力部76と第3耐力部82とによって負担され、耐震壁54に作用するせん断力は低減される。
さらに、第4耐力部84にひび割れや損壊が生じてコンクリート本体62全体のせん断剛性が小さくなるので、コンクリート本体62のせん断変形が許容される。
これにより、耐震壁54の有するせん断耐力を想定以上の地震動に備えて過剰に高める必要がない。すなわち、一般的なRC壁よりも耐震壁54の壁厚を同等もしくはそれよりも薄くできる。壁厚を薄くできれば耐震壁54が軽くなるので、この耐震壁54を支持する柱、梁、床スラブ等の構造断面を小さくすることができる。
また、例えば、建物のある階層に耐震壁54を配置することで、中小地震時には耐震壁54の剛性低下が生じないようにして地震時の変形を抑え、仕上げ材等の損傷を低減することができる。一方、大地震時には耐震壁54の剛性を低下させることで、耐震壁54が配置された階層の長周期化を図り、この階層に作用する地震力を低減することができる。また、この階層に地震エネルギーを吸収するダンパーや鋼板耐震壁等を設ければ、この階層に作用する地震力を効果的に低減することができる。
以上、本発明の第4の実施形態について説明した。
なお、第4の実施形態で示した耐震壁54のコンクリート本体62に開口部を形成してもよい。また、例えば、図15の正面図に示す耐震壁86のように、開口部88A、88Bの間のコンクリート本体94の内部に耐力部材90を配置するようにしてもよい。図15では、図16の斜視図に示すように、平面視にて正方形の四隅に位置するように壁主筋64を4つ配置し、壁主筋64に巻き付けるようにして螺旋状に配置したPC鋼線92を筒状部材としている。説明の都合上、図16には、せん断補強筋96が省略されている。
図15に示したような配置の開口部88A、88Bを従来のRC耐震壁に形成する場合、RC耐震壁にせん断破壊やひび割れが発生しないように、壁面全体に対して対角状に斜め補強筋を配置したり、壁面中央部に多くのせん断補強筋を配置したりする必要がある。
これに対して、図15に示す耐震壁86では、螺旋状にPC鋼線92を配置しているので、せん断破壊やひび割れ防止のためにRC耐震壁に設けられている斜め補強筋やせん断補強筋を減らす又は無くすことができる。すなわち、煩雑な鉄筋作業を軽減し、施工性を向上させることができる。なお、壁面全体に対して対角状に配置する斜め補強筋の役割りを、螺旋状に配置したPC鋼線92に発揮させる場合には、PC鋼線92の鉛直方向に対する傾斜角度を45度にするのが効果的である。
以上、本発明の第1〜第4の実施形態について説明した。
なお、第1〜第4の実施形態では、筒状部材28、72を、線状部材としての鉄筋を螺旋状に配置して形成した例を示したが、筒状部材は、コア材を囲んでコンファインド効果が得られるものであればよい。例えば、図17(a)〜(d)、図18(a)〜(d)、及び図19(a)〜(d)に示すような筒状部材98としてもよい。
図17(a)〜(d)には、平面視にて円環形状の筒状部材98が示され、図18(a)〜(d)には、平面視にて正方形状の筒状部材98が示され、図19(a)〜(d)には、平面視にて正六角形状の筒状部材98が示されている。このように、筒状部材はどのような形状であってもよい。
図17(a)、図18(a)、図19(a)には、螺旋状に配置された鉄筋100によって形成された筒状部材98が示されている。図17(b)、図18(b)、図19(b)には、主筋102の材軸方向に対して環状の鉄筋104を複数配置して形成した筒状部材98が示されている。図17(c)、図18(c)、図19(c)には、主筋102の材軸方向に対して環状の枠体106を複数配置して形成した筒状部材98が示されている。枠体106は、鋼板によって形成されている。図17(d)、図18(d)、図19(d)には、鋼製の筒体108によって形成された筒状部材98が示されている。筒体108の側面には、硬化する前のコア材が流通する複数の穴が形成されている。
図17(a)、図18(a)、図19(a)の筒状部材98は、図17(b)、(c)、図18(b)、(c)、図19(b)、(c)の筒状部材98よりも配置が容易であり、図17(d)、図18(d)、図19(d)の筒状部材98よりも軽量化が図れる。
また、第1の実施形態では、コンクリート本体16の平断面形状を正方形とし、第2の実施形態では、コンクリート本体16の横断面形状を長方形とし、第3の実施形態では、コンクリート本体16の平断面形状を円形とし、第4の実施形態では、コンクリート本体62の平断面形状を長方形とした例を示したが、コンクリート本体の構造断面はどのような形状であってもよい。例えば、三角形、正方形、長方形、多角形、円形、楕円形であってもよい。このような場合には、コンクリート本体の構造断面の形状を考慮して、筒状部材の数、大きさ、配置、構成を適宜決めればよい。
また、第1〜第4の実施形態では、コンクリート本体16、62、94をコンクリートによって形成した例を示したが、他の材料によって形成してもよい。
例えば、コンクリート本体16、62、94を、スチールファイバ、炭素繊維等を有する繊維補強コンクリートや高強度コンクリートによって形成してもよい。この場合、コンクリート本体16、62、94の内部に設ける主筋やせん断補強筋を減らす又は無くしてもよい。
また、第2耐力部32、78、及び第4耐力部84を無筋コンクリートによって形成してもよい。
コンクリート本体16、62、94の内部に設ける鉄筋が減れば、鉄筋によって発生する錆によって生じるコンクリートの耐久性低下を防ぐことができる。
また、第1〜第4の実施形態では、筒状部材28、72を、線状部材としての鉄筋を螺旋状に配置して形成した例を示したが、螺旋状に配置された線状部材に緊張力を付与してもよい。
図20(a)、(b)、及び図21(a)、(b)には、プレテンション方式により筒状部材に緊張力を付与することによって、筒状部材に囲まれたコア材にプレストレスを導入する例が示されている。
図20(a)、(b)の正面図では、緊張部材としてのPC鋼線110を螺旋状に配置することによって筒状部材112が形成されている。
コア材にプレストレスを導入する方法は、まず、図20(a)に示すように、型枠114の内部に筒状部材112を配置し、型枠114の外部に突出したPC鋼線110の上下端部110A、110Bを引っ張ってPC鋼線110に緊張力を付与した状態で、型枠114内にコンクリート等のコア材116を充填する。
次に、図20(b)に示すように、コア材116が硬化した後に、型枠114を脱枠し、PC鋼線110の上下端部110A、110Bを引っ張るのを止める。
このとき、PC鋼線110は、上下端部110A、110Bが引っ張られる前の形状に戻ろうとして、硬化したコア材116を圧縮する。これにより、コア材116にプレストレスが導入される。また、PC鋼線110は、螺旋状に配置されている(鉛直方向に対して材軸が傾斜している)ので、PC鋼線110の軸力の分力となったプレストレスがコア材116の周方向と材軸方向とに導入される。
よって、コア材116の周方向に導入されたプレストレスにより、周方向にコア材116がより拘束されるので、高いコンファインド効果が発揮される。これにより、コア材116を筒状部材で囲んだだけの構成に比べて、コア材116の圧縮及び曲げ耐力や靭性がより向上する。
また、コア材116の材軸方向に導入されたプレストレスにより、コア材116に材軸方向のプレストレスを導入していない構成と比べて、コア材116の引張り耐力が向上する。
図21(a)、(b)の平面図では、図17(b)で示した筒状部材98を構成する円環状の鉄筋104を円環状のPC鋼線118としたものである。主筋102の材軸方向にPC鋼線118を複数配置することにより、筒状部材120が形成されている。
コア材にプレストレスを導入する方法は、まず、図21(a)に示すように、型枠114の内部に配置されたPC鋼線118を半径方向外側へ放射状に引っ張ってPC鋼線118に緊張力を付与した状態で、型枠114内にコンクリート等のコア材116を充填する。
次に、コア材116が硬化した後に、型枠114を脱枠し、PC鋼線118を引っ張るのを止める。
このとき、PC鋼線118は、引っ張られる前の形状に戻ろうとして、硬化したコア材116を圧縮する。これにより、コア材116の周方向にプレストレスが導入される。
よって、コア材116の周方向に導入されたプレストレスにより、周方向にコア材116がより拘束されるので、高いコンファインド効果が発揮される。これにより、コア材116を筒状部材で囲んだだけの構成に比べて、コア材116の圧縮及び曲げ耐力や靭性がより向上する。
図22(a)〜(c)の正面図には、ポストテンション方式により筒状部材に緊張力を付与することによって、筒状部材に囲まれたコア材にプレストレスを導入する例が示されている。
図22(a)〜(c)では、コンクリート等のコア材116によって形成された円柱部材26の内部に配置されたシース管122内に挿入され、螺旋状に配置されたPC鋼線124によって、筒状部材126が形成されている。PC鋼線124に緊張力を付与した状態で、アンカープレート128を介してPC鋼線124の端部にナット130を捩じ込んで固定し、PC鋼線124の端部を円柱部材26に定着している。
そして、PC鋼線124の端部を円柱部材26に定着した後に、シース管122内にグラウトを充填する。なお、シース管122内へのグラウトの充填は行わなくてもよい。また、PC鋼線124の端部の円柱部材26への定着は、くさびを用いた定着方法等の他の方法によって行ってもよい。
そして、緊張力が付与されたPC鋼線124により、コア材116にプレストレスが導入される。また、PC鋼線124は、螺旋状に配置されている(鉛直方向に対して材軸が傾斜している)ので、PC鋼線124の軸力の分力となったプレストレスがコア材116の周方向と材軸方向とに導入される。
よって、コア材116の周方向に導入されたプレストレスにより、周方向にコア材116がより拘束されるので、高いコンファインド効果が発揮される。これにより、コア材116を筒状部材で囲んだだけの構成に比べて、コア材116の圧縮及び曲げ耐力や靭性がより向上する。
また、コア材116の材軸方向に導入されたプレストレスにより、コア材116に材軸方向のプレストレスを導入していない構成と比べて、コア材116の引張り耐力が向上する。
また、PC鋼線124の傾斜角度(鉛直方向に対するPC鋼線124の材軸の角度)を変更することにより、コア材116の周方向と材軸方向とに導入されるプレストレスの大きさの割合いを調整することができる。なお、PC鋼線124の傾斜角度は、10度以上45度以下が好ましい。
PC鋼線124へ付与する緊張力は、PC鋼線124の一方の端部を引っ張ることによって付与してもよいし、PC鋼線124の両方を引っ張ることによって付与してもよい。
図22(b),(c)では、円柱部材26の内部の内側と外側とに、主筋102の材軸が旋回軸となるようにしてこの材軸の上方へ向かって右巻き(時計回り)と左巻き(時計回り)とにPC鋼線124が配置された構成となっている。
このようにすれば、右巻きのPC鋼線124と、左巻きのPC鋼線124とが、主筋102の材軸に対してそれぞれ逆方向に円柱部材26を捻ろうとするので、右巻き及び左巻きのPC鋼線124の一方に緊張力を付与した際に生じる円柱部材26の捩れを低減又は無くすことができる。
なお、図20(a)、(b)、図21(a)、(b)、及び図22(a)〜(c)では、緊張部材(PC鋼線110、118、124)によって筒状部材112、120、126を形成し、この緊張部材に緊張力を付与した例を示したが、緊張部材は、緊張力を確実に付与できる線状の部材であればよい。PC鋼線、PC鋼より線等のPC鋼材を緊張部材として用いるのが好ましい。
また、図22(a)〜(c)では、シース管122にPC鋼線124を挿入した例を示したが、PC鋼線124は、コンクリート本体を形成するコンクリートの打設前にシース管122に挿入してもよいし、コンクリート本体を形成するコンクリートが硬化する前に挿入してもよい。また、緊張部材としてアンボンドのPC鋼線やPC鋼より線を用いて、コンクリート本体の内部にシース管122を設けないようにしてもよい。
また、図20(a)、(b)、図21(a)、(b)、及び図22(a)〜(c)で説明した方法を用いて、硬化したコア材116にプレストレスを導入する作業はどのタイミングで行ってもよい。例えば、コンクリート本体をプレキャスト部材として工場等で製作する際に行ってもよいし、現場にコンクリート本体を設置する際に行ってもよい。
例えば、図23に示すように、接合対象部材132及びコンクリート本体134に切り欠き136、138を形成しておいて、接合対象部材132にコンクリート本体134を接合した後に、コンクリート本体134に設けられたPC鋼線124の両端を引っ張って、PC鋼線124に緊張力を付与するようにしてもよい。
また、第1〜第4の実施形態では、主筋(柱主筋18、36、梁主筋40、44、杭主筋50、壁主筋64)の端部のみを、コンクリート本体16、62、94の端面から突出させL字状に曲げてアンカー部を形成し、このアンカー部を接合対象部材(梁12A、12B、58A、58B、柱42A、42B、基礎梁48)に埋設した例を示したが、耐力部材をコンクリート本体の端面から突出するようにして、コンクリート本体の端面から突出した耐力部材の端部を接合対象部材に埋設してもよい。
例えば、図24の正面図に示すように、耐力部材20をコンクリート本体16の上端面から突出するようにして、コンクリート本体16の上端面から突出した耐力部材20の上端部を梁12Aに埋設してもよい。このようにすれば、接合対象部材とコンクリート本体との接合強度を向上させることができる。
また、第1〜第4の実施形態で示した構造部材としての柱10A、10B、梁38、杭46、耐震壁54、86は、プレキャストコンクリート部材として工場等で製作してもよいし、現場打設により現場で製作してもよい。
また、第1〜第4の実施形態で示した構造部材(柱10A、10B、梁38、杭46、耐震壁54、86)を建物全体に設ければ、中小地震においては、第1耐力部30、76と第2耐力部32、78とが協同して構造部材の接合部としての性能を発揮するため建物の剛性が高くなり、建物の変形を少なくすることができる。また、これにより、例えば、仕上げ材やエキスパンションなどの損傷を低減することができる。そして、大地震においては、第2耐力部32、78にひび割れや損傷が生じて構造部材の接合部のトータルの剛性が低下するので、建物の剛性が低下して長周期化できる。よって、地震力の入力を低減し建物の崩壊を防ぐことができる。すなわち、極端にいえば、大地震時のみ免震構造的に挙動させることが可能となる。
また、第1〜第4の実施形態の説明で用いられている用語の「螺旋」は、円柱面上を回転しながら軸方向に一定の速度で進んでいく時にできる渦巻状の空間曲線を意味するが、角柱面上を回転しながら軸方向に一定の速度で進んでいく時にできる渦巻状の空間折れ線も螺旋に含まれる。
以上、本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第4の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10A、10B 柱(構造部材)
12A、12B、58A、58B 梁(接合対象部材)
16、62、94、134 コンクリート本体
18、36 柱主筋(鉄筋)
24A、24B、74A、74B 接合部
28、72、98、112、120、126 筒状部材
30、76 第1耐力部
32、78 第2耐力部
38 梁(構造部材)
40、44 梁主筋(鉄筋)
42A、42B 柱(接合対象部材)
46 杭(構造部材)
48 基礎梁(接合対象部材)
50 杭主筋(鉄筋)
54、86 耐震壁(構造部材)
64 壁主筋(鉄筋)
92、110、124 PC鋼線(線状部材)
100 鉄筋(線状部材)
102 主筋(鉄筋)
116 コア材
132 接合対象部材

Claims (5)

  1. コンクリート本体と、
    前記コンクリート本体に設けられた鉄筋と、
    接合対象部材に接合される前記コンクリート本体の端部に形成された接合部と、
    前記コンクリート本体に埋設され内側にコア材が充填された筒状部材と該筒状部材の内側に配置された前記鉄筋とによって前記接合部の一部を構成する第1耐力部と、
    前記接合部の他部を構成し前記第1耐力部よりも耐力が小さい第2耐力部と、
    を有する構造部材。
  2. 前記筒状部材は、線状部材を螺旋状に配置することにより形成されている請求項1に記載の構造部材。
  3. 前記線状部材に緊張力が付与されている請求項2に記載の構造部材。
  4. 前記コンクリート本体は、柱、梁又は杭である請求項1〜3の何れか1項に記載の構造部材。
  5. 前記接合対象部材は水平部材であり、前記コンクリート本体は上下に配置された前記水平部材の間に設置された耐震壁である請求項1〜3の何れか1項に記載の構造部材。






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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013234430A (ja) * 2012-05-07 2013-11-21 Ohbayashi Corp ボックスカルバート
JP2020183643A (ja) * 2019-05-07 2020-11-12 学校法人 福山大学 配筋構造
JP7445216B2 (ja) 2020-11-05 2024-03-07 株式会社大林組 鉄筋コンクリートの補強構造

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