JP4761609B2 - 医療用具用ウレタン結合含有化合物の製法 - Google Patents
医療用具用ウレタン結合含有化合物の製法Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用具用ウレタン結合含有化合物の製法に関する。さらに詳しくは、たとえばコンタクトレンズ、眼内レンズなどの光学材料を代表とする医療用具の材料としてきわめて有用な、安全性の高いウレタン結合含有化合物(マクロモノマー)を容易に製造する方法、またとくに該ウレタン結合含有化合物を、その分子量を制御しながら製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的にウレタンフォーム、ウレタンゴム、接着剤、ポリウレタン合成繊維などの各種ウレタン化合物が使用されている。
【0003】
水酸基とイソシアネート基とによるウレタン化反応は、無触媒で行なわれるか、有機金属化合物や3級アミンなどの化合物が使用されている。なかでも有機金属化合物が、その触媒活性の高さより一般的に使用され、とくに有機錫化合物がよく知られている。
【0004】
しかしながら、ウレタン材料を生体内や生体と接触して使用される医療用具などの医用材料に適用する場合、一般に毒性が高いといわれる有機錫化合物の使用は避けるべきと考えられる。また、最近よくとりあげられる内分泌撹乱物質(環境ホルモン)として有機錫化合物が確認されていることより、有機錫化合物に代わる触媒が熱望されるところである。
【0005】
またウレタン結合を含むシロキサン化合物(マクロモノマー)は、その機械的強度および良好な酸素透過性により、医療用具、とくにコンタクトレンズ、眼内レンズなどの光学材料として検討されている(特開昭54−22487号公報、特開平6−121826号公報、USP5451617など)。しかしながら、かかるシロキサン化合物は、ほとんどの場合、製造時に有機錫化合物が使用されているため、前記理由により医用材料としては好ましくない。また精製を行なったとしても、かかる有機錫化合物はマクロモノマー内に残存してしまう。
【0006】
また、前記ウレタン結合を含むシロキサン化合物(マクロモノマー)は、通常、骨格となる多官能ポリシロキサンにウレタン結合を介して最後に重合基を導入する方法により製造されてきた(特開昭61−179217号公報、特開平3−35014号公報など)。しかしながら、かかる方法では、骨格となる多官能ポリシロキサンに、ウレタン結合を介して予定外に重合基が繰り返し導入されることは必至であり、このことはシロキサン化合物の設計値に比べて高分子量化を招く。またそれゆえに、得られる化合物の構造を明確に把握することが困難であるという問題があった。
【0007】
さらに前記シロキサン化合物は、その分子量や反応基材の種類により高粘性溶液となることから、効果的な精製方法が見出されていなかった。そのため、前記触媒や副生成物などの不純物を取り除くことが非常に困難で、シロキサン化合物は未精製のままで使用されており、その結果、前記問題を含めた安全性に関して懸念されてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、無触媒か、または従来の有機錫化合物に代わるより毒性の低い触媒を用い、容易に、またとくにその分子量を制御してウレタン結合含有化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)とを反応させて化合物(I)(ウレタン結合含有化合物)を調製する際に、該反応を無触媒でまたは有機錫化合物以外の反応触媒を用いて行なうことを特徴とする医療用具用ウレタン結合含有化合物の製法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の医療用具用ウレタン結合含有化合物の製法では、前記したように、ヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)とを反応させて化合物(I)を調製する際に、該反応を無触媒で行なうか、または該反応をより促進させる目的で有機錫化合物以外の反応触媒を用いて行なう。
【0011】
前記反応触媒としては、得られるウレタン結合含有化合物を医療用具の材料として用いることを考慮すると、安全性にすぐれる点から有機鉄化合物やアミン類が好ましく用いられる。
【0012】
前記有機鉄化合物としては、たとえば鉄(III)アセチルアセトナートなどがあげられる。
【0013】
前記アミン類としては、たとえばトリエチレンジアミンなどの環状3級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族3級アミン;ジメチルアニリン、トリフェニルアミンなどの芳香族3級アミンなどがあげられる。
【0014】
なお、得られるウレタン結合含有化合物の分子量がより充分に制御され得るという点から、有機鉄化合物がとくに好ましい。
【0015】
反応触媒の量は、反応の進行を促進させる効果を充分に発現させるためには、反応に供されるヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)との合計量(重量基準)の1ppm以上、好ましくは30ppm以上であることが望ましく、また最終的に、反応終了後に触媒を除去することが困難とならないようにするためには、反応に供されるヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)との合計量(重量基準)の10000ppm以下、好ましくは3000ppm以下であることが望ましい。なお、かかる反応触媒の量は、たとえば後述するウレタン化反応(i)、(ii)における各ヒドロキシ化合物(A)、イソシアネート化合物(B)の種類などに応じ、該範囲内で適宜調整すればよい。
【0016】
本発明において、前記のごとく化合物(I)が調製されるが、かかる化合物(I)の調製方法は、たとえば以下に示す2段階のウレタン化反応(i)、(ii)からなることが好ましい。
【0017】
まず、ウレタン化反応(i)では、ヒドロキシ化合物(A)として少なくとも1種のジヒドロキシ化合物(A−2)を用い、イソシアネート化合物(B)として少なくとも1種のジイソシアネート化合物(B−2)を用い、該ジヒドロキシ化合物(A−2)とジイソシアネート化合物(B−2)とを反応させる。この反応によりジヒドロキシ化合物(A−2)のヒドロキシル基とジイソシアネート化合物(B−2)のイソシアネート基とのあいだで2つ以上のウレタン結合が形成される。
【0018】
ここで、ジヒドロキシ化合物(A−2)1モルに対してジイソシアネート化合物(B−2)2モルを反応させた場合、2つのウレタン結合が形成され、かかる2つのウレタン結合を介して両端にイソシアネート基を有する化合物が合成される。一方、ジヒドロキシ化合物(A−2)2モルに対してジイソシアネート化合物(B−2)1モルを反応させた場合、2つのウレタン結合が形成され、かかる2つのウレタン結合を介して両端にヒドロキシル基を有する化合物が合成される。
【0019】
かかるウレタン化反応(i)で用いられるジヒドロキシ化合物(A−2)およびジイソシアネート化合物(B−2)はそれぞれ1種ずつに限定されるわけではなく、いずれの化合物も2種以上を適宜組み合わせて用いることができるので、かかるウレタン反応(i)で合成される化合物中には、2種以上のジヒドロキシ化合物(A−2)由来の単位および/または2種以上のジイソシアネート化合物(B−2)由来の単位を含むことができる。
【0020】
また、ウレタン化反応(i)は1回のみで終了させてもよく、繰り返し段階的に行なってもよい。かかるウレタン化反応(i)を繰り返し段階的に行なった場合、それに応じて形成されるウレタン結合の数が増加する。
【0021】
前記ジヒドロキシ化合物(A−2)の代表例としては、一般式(I):
【0022】
【化2】
【0023】
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基、R3、4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立してフッ素原子にて置換されていてもよい、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基または炭素数3〜20の環状アルキル基、xは1〜1500の整数、yは1〜1499の整数であり、かつx+yは1〜1500の整数を示す)で表わされるヒドロキシル基含有ポリシロキサン化合物などがあげられる。
【0024】
前記ヒドロキシル基含有ポリシロキサン化合物を表わす一般式(I)中、R1、R2は好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基であり、R3、R4、R5、R6、R7、R8は好ましくは、フッ素原子にて置換されていてもよい、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基、炭素数3〜5の分岐鎖状アルキル基または炭素数3〜5の環状アルキル基であり、xは好ましくは1〜500の整数、yは好ましくは1〜499の整数、x+yは好ましくは1〜500の整数である。
【0025】
さらに、前記ジヒドロキシ化合物(A−2)としては、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどの両末端にヒドロキシル基を有するジヒドロキシ化合物なども例示される。
【0026】
前記ジイソシアネート化合物(B−2)の代表例としては、一般式(II):
O=C=N−R10−N=C=O (II)
(式中、R10は炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜20の分岐鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す)で表わされるジイソシアネート化合物などがあげられる。
【0027】
前記ジイソシアネート化合物(B−2)を表わす一般式(II)中、R10は好ましくは炭素数1〜12の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜12の分岐鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の環状脂肪族炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0028】
ジイソシアネート化合物(B−2)の具体例としては、たとえばエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−トルエンジイソシアネート、1,4−トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2,4−(2,4,4)−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネートなどがあげられる。
【0029】
ジヒドロキシ化合物(A−2)とジイソシアネート化合物(B−2)とをウレタン化反応させる際の混合比率は、副生成物の生成割合、未反応化合物の残存割合、ならびに最終目的生成物であるウレタン結合含有化合物の分子量および分子量分布にいちじるしく影響を及ぼすと考えられる。
【0030】
前記ウレタン化反応(i)におけるジヒドロキシ化合物(A−2)とジイソシアネート化合物(B−2)との割合は、未反応のイソシアネート基の残存を抑制するという点から、ジイソシアネート化合物(B−2)のイソシアネート基1モルに対してジヒドロキシ化合物(A−2)のヒドロキシル基が合計0.4モル以上、好ましくは0.6モル以上、さらに好ましくは0.8モル以上となるようにすることが望ましい。またウレタン結合を介して、ジイソシアネート化合物(B−2)と結合しない未反応のジヒドロキシ化合物(A−2)の残存を抑制するという点から、ジイソシアネート化合物(B−2)のイソシアネート基1モルに対してジヒドロキシ化合物(A−2)のヒドロキシル基が合計で2モル以下、好ましくは1.5モル以下、さらに好ましくは1.25モル以下となるようにすることが望ましい。
【0031】
ジヒドロキシ化合物(A−2)とジイソシアネート化合物(B−2)との反応は、たとえば両者を前記混合比率にて撹拌混合すればよい。
【0032】
前記反応の反応温度および反応時間にはとくに限定がなく、用いる各成分の種類や組合わせなどに応じて適宜調整すればよい。たとえば反応が不充分で反応物が得られにくくならないようにするためには、反応時間が1分間以上、好ましくは30分間以上であり、反応温度が−30℃以上、好ましくは0℃以上であることが望ましく、また重合性の化合物が用いられているため、反応中に重合がおこるおそれをなくすためには、反応時間が100時間以下、好ましくは50時間以下であり、反応温度が150℃以下、好ましくは100℃以下であることが望ましい。
【0033】
つぎに、ウレタン化反応(ii)では、
(イ)前記ウレタン化反応(i)で得られた両端にイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシ化合物(A)として少なくとも1種のモノヒドロキシ化合物(A−1)とをウレタン化反応させるか、または
(ロ)前記ウレタン化反応(i)で得られた両端にヒドロキシル基を有する化合物と、イソシアネート化合物(B)として少なくとも1種のモノイソシアネート化合物(B−1)とをウレタン化反応させる。これらの反応により4つ以上のウレタン結合を有する化合物(I)が調製される。
【0034】
このように、本発明においてウレタン化反応(i)およびウレタン化反応(ii)といった2段階の反応を行なうことは、分子量を制御し、得られるウレタン結合含有化合物の構造を正確に把握するという点から好ましい。
【0035】
前記(イ)において両端にイソシアネート基を有する化合物と反応させるモノヒドロキシ化合物(A−1)は1種に限定されるわけではなく、2種を適宜組み合わせて用いることができる。同様に、前記(ロ)において両端にヒドロキシル基を有する化合物と反応させるモノイソシアネート化合物(B−1)も1種に限定されるわけではなく、2種を適宜組み合わせて用いることができる。よって、かかる(イ)または(ロ)の反応で合成される化合物(I)には、2種のモノヒドロキシ化合物(A−1)由来の単位または2種のモノイソシアネート化合物(B−1)由来の単位を含むことができる。
【0036】
また、前記ウレタン化反応(i)を1回のみで終了させているか、繰り返し段階的に行なっているかにより、こののちのウレタン化反応(ii)によって合成される化合物(I)中のウレタン結合の数や含まれる各成分由来の単位(ブロック)数が異なり、たとえばジブロック型の化合物(I)が合成され、各セグメントの鎖長が制御されているので、異なる所望の効果を発現させることができる。
【0037】
前記モノヒドロキシ化合物(A−1)の代表例としては、たとえばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ビニルベンジルアルコール、モノヒドロキシフマル酸エステル、モノヒドロキシマレイン酸エステル、モノヒドロキシイタコン酸エステルなどの、ヒドロキシル基および活性不飽和基を有する化合物があげられる。
【0038】
前記化合物のなかでも、最終的に得られる化合物(I)と他の共重合可能な活性不飽和基を有する化合物との共重合性を考慮すると、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、かかるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0039】
前記モノイソシアネート化合物(B−1)の代表例としては、たとえばアリルイソシアネート、ビニルイソシアネート、ビニルベンジルイソシアネート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートなどの、イソシアネート基および活性不飽和基を有する化合物があげられる。
【0040】
なお、本発明において前記ウレタン化反応(ii)の(ロ)の方法を採用する場合、モノイソシアネート化合物(B−1)として、ジイソシアネート化合物(B−2)とモノヒドロキシ化合物(A−1)とをウレタン化反応させて得られたモノイソシアネート化合物(B−1−1)を含むものを用いることにより、とくに該モノイソシアネート化合物(B−1−1)のみをモノイソシアネート化合物(B−1)として用いることにより、化合物(I)中のウレタン結合の数を制御することができ、それにより機械的強度を付与することができるという点から好ましい。
【0041】
前記(イ)の方法の場合、両端にイソシアネート基を有する化合物とモノヒドロキシ化合物(A−1)との割合は、化合物中のイソシアネート基とモノヒドロキシ化合物(A−1)中のヒドロキシル基とがほぼ過不足なく反応するように調整されることが好ましい。たとえば、未反応のイソシアネート基の残存を抑制するという点から、化合物のイソシアネート基1モルに対してモノヒドロキシ化合物(A−1)のヒドロキシル基が1.0モル以上、好ましくは1.1モル以上、さらに好ましくは1.2モル以上となるようにすることが望ましい。またウレタン結合を介して、両端にイソシアネート基を有する化号物と結合しない未反応のモノヒドロキシ化合物(A−1)の残存を抑制するという点から、化合物のイソシアネート基1モルに対してモノヒドロキシ化合物(A−1)のヒドロキシル基が2.0モル以下、好ましくは1.75モル以下、さらに好ましくは1.5モル以下となるようにすることが望ましい。
【0042】
両端にイソシアネート基を有する化合物とモノヒドロキシ化合物(A−1)との反応は、たとえば両者を前記混合比率にて撹拌混合すればよい。
【0043】
前記反応の反応温度および反応時間にはとくに限定がなく、用いる各成分の種類や組合わせなどに応じて適宜調整すればよい。たとえば反応が不充分で反応物が得られにくくならないようにするためには、反応時間が1分間以上、好ましくは30分間以上であり、反応温度が−30℃以上、好ましくは0℃以上であることが望ましく、また重合性の化合物が用いられているため、反応中に重合がおこるおそれをなくすためには、反応時間が100時間以下、好ましくは50時間以下であり、反応温度が150℃以下、好ましくは100℃以下であることが望ましい。
【0044】
前記(ロ)の方法の場合、両端にヒドロキシル基を有する化合物とモノイソシアネート化合物(B−1)との割合は、化合物中のヒドロキシル基とモノイソシアネート化合物(B−1)中のイソシアネート基とがほぼ過不足なく反応するように調整されることが好ましい。たとえば、未反応のヒドロキシル基の残存を抑制するという点から、化合物のヒドロキシル基1モルに対してモノイソシアネート化合物(B−1)のイソシアネート基が1.0モル以上、好ましくは1.1モル以上、さらに好ましくは1.2モル以上となるようにすることが望ましい。またウレタン結合を介して、両端にヒドロキシル基を有する化号物と結合しない未反応のモノイソシアネート化合物(B−1)の残存を抑制するという点から、化合物のヒドロキシル基1モルに対してモノイソシアネート化合物(B−1)のイソシアネート基が2.0モル以下、好ましくは1.75モル以下、さらに好ましくは1.5モル以下となるようにすることが望ましい。
【0045】
両端にヒドロキシル基を有する化合物とモノイソシアネート化合物(B−1)との反応は、たとえば両者を前記混合比率にて撹拌混合すればよい。
【0046】
前記反応の反応温度および反応時間にはとくに限定がなく、用いる各成分の種類や組合わせなどに応じて適宜調整すればよい。たとえば反応が不充分で反応物が得られにくくならないようにするためには、反応時間が1分間以上、好ましくは30分間以上であり、反応温度が−30℃以上、好ましくは0℃以上であることが望ましく、また重合性の化合物が用いられているため、反応中に重合がおこるおそれをなくすためには、反応時間が100時間以下、好ましくは50時間以下であり、反応温度が150℃以下、好ましくは100℃以下であることが望ましい。
【0047】
なお、本発明において、たとえば前記のごときウレタン化反応方法(i)、(ii)によって化合物(I)を調製する際に、用いる各化合物中の活性不飽和基が重合してしまうおそれをなくすためには、重合禁止剤を適宜配合することが好ましい。
【0048】
前記重合禁止剤としては、たとえば安定ラジカルや酸素、ベンゾキノン誘導体、ニトロ化合物などの付加型禁止・抑制剤があげられ、好ましくはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエンなどがあげられる。またかかる重合禁止剤の量は、たとえば用いられる活性不飽和基を有する化合物の合計量100重量部(以下、部という)に対して0.01〜1部程度であることが好ましい。
【0049】
ヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)との反応は、無溶媒でまたは有機溶媒を用いて行なうことができる。
【0050】
前記有機溶媒としては、たとえばテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレンなどがあげられる。
【0051】
有機溶媒を用いる場合、ヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)との反応が起こりにくくなり、化合物(I)の収率が低下するおそれをなくすためには、反応に供されるヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)との合計濃度が0.01モル/リットル以上、好ましくは0.1モル/リットル以上となるようにすることが望ましい。このように、有機溶媒の量は、反応に供されるヒドロキシ化合物(A)およびイソシアネート化合物(B)の濃度により算出すればよい。また有機溶媒を用いる場合、反応溶液を充分に撹拌または振盪し、均一に反応を進行させるようにする。
【0052】
かくして目的とするウレタン結合含有化合物である化合物(I)が得られるが、該化合物(I)を得る反応の終了後は、未反応化合物、低分子化合物(副生成物)、触媒などを除去し、化合物(I)を精製することが好ましい。
【0053】
化合物(I)を精製するには、たとえば有機溶媒が好ましく使用される。また、「高分子加工(第43巻、第11号、38頁(1994))」を参考にすると、超臨界流体を用いて精製することも可能である。
【0054】
前記精製用の有機溶媒としては、未反応化合物、副生成物、触媒を溶解し得るものか、または化合物(I)を溶解し得るものであればよい。かかる有機溶媒の代表例としては、たとえばメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、塩化メチレン、ヘキサンなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、より効果的に精製を行なうためには、ヘキサンとメタノールとの混合溶媒や、ヘキサンとアセトニトリルとの混合溶媒が好ましい。
【0055】
前記有機溶媒の量は、未反応化合物、副生成物、触媒が充分に除去されるようにするためには、体積基準で化合物(I)の1/20倍量以上、好ましくは1/10倍量以上であることが望ましく、また精製後の廃液量が多くなりすぎないようにするためには、体積基準で化合物(I)の20倍量以下、好ましくは10倍量以下であることが望ましい。
【0056】
前記精製用の超臨界流体としては、たとえば二酸化炭素、エタン、プロパンなどの超臨界状態の流体が考えられる。
【0057】
超臨界流体にて精製を行なう場合の条件は、精製される化合物(I)の分子量や化学構造により異なるので、一概には決定することができないが、処理圧力は5〜100MPaであることが望ましく、処理温度は0〜100℃であることが望ましい。
【0058】
なお低分子化合物をより効果的に抽出するために、超臨界流体にて化合物(I)を処理する際に抽出助剤を加えてもよい。該抽出助剤としては、たとえばアセトニトリル、メタノールなどがあげられる。
【0059】
このように、本発明の製法によれば、医療用具の材料としてきわめて有用な安全性の高いウレタン結合含有化合物を、容易に、またとくにその分子量を制御しながら製造することができる。
【0060】
【実施例】
つぎに、本発明の医療用具用ウレタン結合含有化合物の製法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0061】
実施例1
(1)HEA−IPDIの合成
あらかじめチッ素ガス置換された側管にジムロート冷却管、機械式撹拌器および温度計を取り付けた1リットル容三つ口フラスコ内に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIという)66.69g(0.3モル)を添加した。
【0062】
つぎに、あらかじめ鉄(III)アセチルアセトナート(以下、FeAAという)0.0110gを溶解させた2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEAという)41.80g(0.36モル)を三つ口フラスコ内に添加した。
【0063】
ついで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール(以下、MEHQという)0.220gを添加し、50℃のオイルバス中で反応溶液の撹拌を続けた。約3時間後、反応溶液をサンプリングして1H−NMRスペクトルを測定し、目的とする化合物(HEA−IPDI)が得られていることを確認した。1H−NMRスペクトルのデータを以下に示す。
【0064】
1H−NMR(CDCl3、δppm)
2.90(NH−CH 2,2H,m)
3.02(CH2−N=C=O,2H,s)
3.05(原料、CH2−N=C=O,2H,s)
4.27〜4.33(−(O)CO−CH2−,4H,m)
4.61(NH,1H,s)
4.87(NH,1H,s)
5.84(CH=,1H,dd)
6.13(CH=,1H,dd)
6.42(CH=,1H,dd)
【0065】
(2)HEA−IPDIと両末端ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンとの反応(化合物(I)の合成)
あらかじめFeAA 0.0330gを溶解させた両末端ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン(重合度:40、数平均分子量:3100、信越化学工業(株)製、KF−6002、以下、DHDMSi−40という)325.80g(ヒドロキシル基換算0.09モル)を、三つ口フラスコ内の前記化合物(HEA−IPDI)約60.8g(イソシアネート基0.18モル含有)を含む反応溶液に添加し、オイルバスを80℃に加熱して撹拌を続けた。
【0066】
約4時間後、反応溶液をサンプリングして1H−NMRスペクトルおよびFT/IRスペクトルを測定し、構造解析を行なって目的とする化合物(I)が得られていることを確認した。1H−NMRスペクトルのデータおよびFT/IRスペクトルのデータを以下に示す。
【0067】
1H−NMR(CDCl3、δppm)
0.06(Si−CH3,3H,m)
0.52(Si−CH2,2H,m)
2.91(NH−CH 2,2H,d)
3.02(中間体、CH2−N=C=O,2H,s)
3.42(−O−CH2,2H,t)
3.62(−O−CH2,2H,m)
4.18〜4.34(−(O)CO−CH2−,6H,m)
4.54(NH,1H,s)
4.85(NH,1H,s)
5.84(CH=,1H,dd)
6.14(CH=,1H,dd)
6.43(CH=,1H,dd)
FT/IR(cm-1)
1262および802(Si−CH3)
1094および1023(Si−O−Si)
1632(C=C)
1728付近(C=O、エステルおよびウレタン)
2227(N=C=O)
【0068】
また、サイズ排除クロマトグラフィー(以下、SECという)にて化合物(I)の数平均分子量を測定し、副生した低分子化合物の割合をSECクロマトグラムの面積比より算出した。その結果を表1に示す。
【0069】
(3)有機溶媒(n−ヘキサン/アセトニトリル)による化合物(I)の精製(精製ウレタン結合含有化合物の調製)
側管付きの5リットル容分液漏斗に、n−ヘキサン2リットルに溶解させた化合物(I)約400gを移した。つぎに、アセトニトリル300mLを添加し、約500rpmで20分間撹拌したのち静置した。約1時間静置後、内容物が二層に分離していることを確認し、アセトニトリル層(下層)を除去した。
【0070】
さらに、アセトニトリル50mLでヘキサン層を2回洗浄した。このとき、ヘキサン層が無色透明であることを確認した。アセトニトリル層を除去したのち、ヘキサン層を、あらかじめ乾燥重量を秤量した1リットル容褐色ナスフラスコに集め、溶媒を真空下で蒸発させた。こののち、減圧乾燥器にて一晩乾燥させ、精製ウレタン結合含有化合物318.49gを得た。収率は83%であった。
【0071】
前記精製ウレタン結合含有化合物について1H−NMRスペクトルおよびFT/IRスペクトルを測定し、構造解析を行なって目的化合物が得られていることを確認した。1H−NMRスペクトルのデータおよびFT/IRスペクトルのデータを以下に示す。
【0072】
1H−NMR(CDCl3、δppm)
0.06(Si−CH3,3H,m)
0.52(Si−CH2,2H,m)
2.91(NH−CH 2,2H,d)
3.42(−O−CH2,2H,t)
3.61(−O−CH2,2H,m)
4.18〜4.34(−(O)CO−CH2−,6H,m)
4.54(NH,1H,s)
4.85(NH,1H,s)
5.84(CH=,1H,dd)
6.14(CH=,1H,dd)
6.43(CH=,1H,dd)
FT/IR(cm-1)
1262および802(Si−CH3)
1094および1023(Si−O−Si)
1632(C=C)
1728付近(C=O、エステルおよびウレタン)
【0073】
また、SECにて精製ウレタン結合含有化合物の数平均分子量を測定し、副生した低分子化合物の割合をSECクロマトグラムの面積比より算出した。その結果を表1に示す。
【0074】
さらに、前記化合物(I)については細胞毒性を、化合物(I)および精製ウレタン結合含有化合物については透明性を調べた。その結果を表1に示す。
【0075】
なお、1H−NMR分析、FT/IR分析、SEC分析、透明性評価および細胞毒性試験は、それぞれ以下の方法にて行なった。
【0076】
(イ)1H−NMR分析
以下の条件にて測定した。
【0077】
フーリエ変換核磁気共鳴装置(NMR)
:Varian社製、GEMINI2000/400BB型
測定核種
:1H(共鳴周波数400.42MHz)
溶媒
:CDCl3
試験試料
:約5〜10w/v%CDCl3溶液
測定温度
:約22℃
【0078】
(ロ)FT/IR分析
以下の条件にて測定した。
【0079】
赤外吸収スペクトル装置(IR)
:日本分光(株)製、FT/IR−8300
方法
:液膜法(KBr板を使用)
【0080】
(ハ)SEC分析
以下の条件にて行なった。
【0081】
SEC装置
:日本分光(株)製
カラムオーブン:日本分光(株)製、860−CO
デガッサー:日本分光(株)製、DG−980−50
ポンプ:日本分光(株)製、PU−980
検出器(RI型、UV型):日本分光(株)製、830−RI(RI型)
:(株)島津製作所製、SPD−10A(UV型)カラム
:Waters社製、Ultrastyragel Plus MX 103オングストローム
(2本を直列に接続)
移動相
:テトラヒドロフラン
検量線
:標準ポリスチレンを用いて作成
【0082】
(ニ)透明性評価
試験試料を目視にて観察した。
【0083】
(ホ)細胞毒性試験(コロニー形成阻害試験)
「医療用具および医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドライン(1995年薬機第99号、平成7年6月27日発行)」にしたがって試験を実施し、生物学的安全性を評価した。
【0084】
実施例2
実施例1において、DHDMSi−40のかわりに両末端ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン(重合度:20、数平均分子量:2000、信越化学工業(株)製、KF−6001、以下、DHDMSi−20という)180g(水酸基換算0.09モル)を用いたほかは、実施例1と同様にして化合物(I)を調製し、ついで精製ウレタン結合含有化合物233.7gを得た。収率は81%であった。
【0085】
得られた化合物(I)および精製ウレタン結合含有化合物の構造については実施例1と同様にして確認した。またこの化合物(I)および精製ウレタン結合含有化合物の特性、ならびに副生した低分子化合物の割合を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0086】
実施例3
実施例1において、IPDIのかわりに4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、DCHMDIという)77.4g(0.3モル)を用いたほかは、実施例1と同様にして化合物(HEA−DCHMDI)、化合物(I)を調製し、ついで精製ウレタン結合含有化合物333.8gを得た。収率は75%であった。
【0087】
得られた化合物(HEA−DCHMDI)、化合物(I)および精製ウレタン結合含有化合物の構造については実施例1と同様にして確認した。またこの化合物(I)および精製ウレタン結合含有化合物の特性、ならびに副生した低分子化合物の割合を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0088】
比較例1(反応触媒として有機錫化合物を用いる方法)
実施例1において、FeAAのかわりにジブチルスズジラウレート(以下、BSnLという)0.011gを用いたほかは実施例1と同様にして化合物(HEA−IPDI)を調製し、またFeAAのかわりにBSnL0.033gを用いたほかは実施例1と同様にして化合物(I)を調製し、ついで精製ウレタン結合含有化合物373.5gを得た。収率は86%であった。
【0089】
得られた化合物(HEA−IPDI)、化合物(I)および精製ウレタン結合含有化合物の構造については実施例1と同様にして確認した。またこの化合物(I)および精製ウレタン結合含有化合物の特性、ならびに副生した低分子化合物の割合を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0090】
さらに、精製ウレタン結合含有化合物中に含まれる錫を、ポーラログラフ法により定量した結果、40ppm(重量基準)であった。ただし、化合物(I)を合成する際の仕込時は約100ppm(重量基準)であった。
【0091】
【表1】
【0092】
表1に示された結果から、実施例1〜3のように本発明の製法を採用した場合には、低毒性であるウレタン結合含有化合物をその分子量を制御して製造することができ、しかも副生する低分子化合物の量がいちじるしく少ないことがわかる。
【0093】
これに対して、比較例1のように反応触媒として有機錫化合物を用いた場合には、前記比較例1の結果にも示したように、精製後における最終生成物であるウレタン結合含有化合物中の錫の含有量が高く、該ウレタン結合含有化合物の毒性が高くなるうえ、副生する低分子化合物の量が多くなることがわかる。
【0094】
実施例4
(1)HEA−IPDIの合成
あらかじめチッ素ガス置換された側管にジムロート冷却管、機械式撹拌器および温度計を取り付けた1リットル容三つ口フラスコ内に、IPDI 33.33g(0.15モル)を添加した。
【0095】
つぎに、あらかじめトリエチレンジアミン(以下、TEDAという)0.06gを溶解させたHEA 17.40g(0.15モル)を三つ口フラスコ内に添加した。
【0096】
ついで、重合禁止剤としてMEHQ 0.09gを添加し、50℃のオイルバス中で反応溶液の撹拌を続けた。約3時間後、反応溶液をサンプリングして1H−NMRスペクトルを測定し、目的とする化合物(HEA−IPDI)が得られていることを確認した。1H−NMRスペクトルのデータを以下に示す。
【0097】
1H−NMR(CDCl3、δppm)
2.90(NH−CH 2,2H,m)
3.02(CH2−N=C=O,2H,s)
3.05(原料、CH2−N=C=O,2H,s)
4.27〜4.33(−(O)CO−CH2−,4H,m)
4.61(NH,1H,s)
4.87(NH,1H,s)
5.84(CH=,1H,dd)
6.13(CH=,1H,dd)
6.42(CH=,1H,dd)
【0098】
(2)HEA−IPDIと両末端ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンとの反応(化合物(I)の合成)
あらかじめTEDA 0.30gを溶解させたDHDMSi−40 271.50g(ヒドロキシル基換算0.075モル)を、三つ口フラスコ内の前記化合物(HEA−IPDI)約50g(イソシアネート基0.1モル含有)を含む反応溶液に添加し、50℃のオイルバス中にて撹拌を続けた。
【0099】
約6時間後、反応溶液をサンプリングして1H−NMRスペクトルおよびFT/IRスペクトルを測定し、構造解析を行なって目的とする化合物(I)が得られていることを確認した。1H−NMRスペクトルのデータおよびFT/IRスペクトルのデータを以下に示す。
【0100】
1H−NMR(CDCl3、δppm)
0.06(Si−CH3,3H,m)
0.52(Si−CH2,2H,m)
2.91(NH−CH 2,2H,d)
3.02(中間体、CH2−N=C=O,2H,s)
3.42(−O−CH2,2H,t)
3.61(−O−CH2,2H,m)
4.18〜4.34(−(O)CO−CH2−,6H,m)
4.54(NH,1H,s)
4.85(NH,1H,s)
5.84(CH=,1H,dd)
6.14(CH=,1H,dd)
6.43(CH=,1H,dd)
FT/IR(cm-1)
1262および802(Si−CH3)
1094および1023(Si−O−Si)
1632(C=C)
1728付近(C=O、エステルおよびウレタン)
2227(N=C=O)
また、実施例1と同様にして化合物(I)の数平均分子量を測定したところ、4300であった。
【0101】
(3)有機溶媒(n−ヘキサン/メタノール)による化合物(I)の精製(精製ウレタン結合含有化合物の調製)
側管付きの5リットル容分液漏斗に、n−ヘキサン2リットルに溶解させた化合物(I)約300gを移した。つぎに、蒸留水300mLを添加し、約500rpmで20分間撹拌したのち静置した。約1時間静置後、内容物が二層に分離していることを確認し、水層(下層)を除去した。
【0102】
つぎに、メタノール300mLを添加し、約500rpmで20分間撹拌したのち静置した。約1時間静置後、内容物が二層に分離していることを確認し、メタノール層(下層)を除去した。
【0103】
さらに、メタノール50mLでヘキサン層を2回洗浄した。メタノール層を除去したのち、ヘキサン層を、あらかじめ乾燥重量を秤量した1リットル容褐色ナスフラスコに集め、ロータリーエバポレータにて溶媒留去した。こののち、減圧乾燥器にて一晩乾燥させ、精製ウレタン結合含有化合物220gを得た。収率は70%であった。
【0104】
前記精製ウレタン結合含有化合物について1H−NMRスペクトルおよびFT/IRスペクトルを測定し、構造解析を行なって目的化合物が得られていることを確認した。1H−NMRスペクトルのデータおよびFT/IRスペクトルのデータを以下に示す。
【0105】
1H−NMR(CDCl3、δppm)
0.06(Si−CH3,3H,m)
0.52(Si−CH2,2H,m)
2.91(NH−CH 2,2H,d)
3.42(−O−CH2,2H,t)
3.61(−O−CH2,2H,m)
4.18〜4.34(−(O)CO−CH2−,6H,m)
4.54(NH,1H,s)
4.85(NH,1H,s)
5.84(CH=,1H,dd)
6.14(CH=,1H,dd)
6.43(CH=,1H,dd)
FT/IR(cm-1)
1262および802(Si−CH3)
1094および1023(Si−O−Si)
1632(C=C)
1728付近(C=O、エステルおよびウレタン)
また、実施例1と同様にして精製ウレタン結合含有化合物の数平均分子量を測定したところ、6000であった。
【0106】
さらに、前記化合物(I)については実施例1と同様にして細胞毒性を調べた。その結果陰性であり、実施例4で得られたウレタン結合含有化合物が低毒性のものであることがわかる。
【0107】
【発明の効果】
本発明の製法によれば、たとえば光学材料を代表とする医療用具の材料としてきわめて有用な安全性の高いウレタン結合含有化合物を容易に得ることができ、とくに分子量を制御しながら製造することもできる。
Claims (6)
- ヒドロキシ化合物(A)とイソシアネート化合物(B)とを反応させて化合物(I)を調製する際に、該反応を鉄(III)アセチルアセトナートまたはトリエチレンジアミンを反応触媒として用いて行ない、
ヒドロキシ化合物(A)として少なくとも1種のモノヒドロキシ化合物(A−1)および両端にヒドロキシル基を有するジヒドロキシ化合物(A−2)を用い、イソシアネート化合物(B)として少なくとも1種のジイソシアネート化合物(B−2)を用い、
(i)前記モノヒドロキシ化合物(A−1)と前記ジイソシアネート化合物(B−2)とをウレタン化反応させてモノイソシアネート化合物(B−1−1)を含むモノイソシアネート化合物(B−1)を得る工程と、
(ii)該モノイソシアネート化合物(B−1−1)を含むモノイソシアネート化合物(B−1)と、前記ジヒドロキシ化合物(A−2)とをウレタン化反応させ、4つ以上のウレタン結合を有する化合物(I)を調製する工程と、
(iii)化合物(I)を少なくとも2種類の有機溶媒にて精製する工程と
を含むことを特徴とする医療用具用ウレタン結合含有化合物の製法。 - モノヒドロキシ化合物(A−1)がヒドロキシル基および活性不飽和基を有する化合物である請求項1記載の製法。
- モノヒドロキシ化合物(A−1)がヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである請求項1記載の製法。
- モノイソシアネート化合物(B−1)がイソシアネート基および活性不飽和基を有する化合物である請求項1記載の製法。
- ジイソシアネート化合物(B−2)が一般式(II):
O=C=N−R10−N=C=O (II)
(式中、R10は炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数2〜20の分岐鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す)で表わされるジイソシアネート化合物である請求項1記載の製法。 - 少なくとも2種類の有機溶媒がヘキサンとメタノールの混合溶媒またはヘキサンとアセトニトリルの混合溶媒である請求項1記載の製法。
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