JP4757376B2 - 金属条材の曲げ加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属管等の金属条材を連続的に曲げ加工する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属条材の曲げ加工方法として、曲げ加工すべき金属条材の軸線方向の小区間を高周波誘導子等の加熱装置で局部的に加熱すると共にその金属条材を前記加熱装置に対して軸線方向に相対的に移動させ、同時に前記金属条材の、前記加熱装置による加熱部よりも進行方向の先端側を旋回可能な曲げアームにクランプさせ、その曲げアームの旋回によって前記金属条材に曲げモーメントを付与して前記加熱部を変形させ、直後に冷却手段で冷却することにより、金属条材を連続的に曲げ加工する方法が知られている。この方法において、通常は、曲げアームの旋回軸線と加熱装置による加熱位置とを一定の位置関係に保った状態として曲げ加工を行っており、金属条材に付与する曲げ加工の曲率半径(以下曲げ半径という)は曲げアームのアーム長(旋回軸線と金属条材との距離)に等しくなっていた。しかしながら、この方法では金属条材の曲げ半径を任意に設定できないという問題があった。
【0003】
そこで、この問題を解決する方法として、曲げ加工の進行と共に曲げアームの旋回軸線を移動させる曲げ加工方法が提案されている(例えば、特公平3−56804号公報参照)。この方法では曲げアームの旋回軸線の移動軌跡を適切に設定することで、金属条材の曲げ半径を曲げアームのアーム長に制約されない任意の値にすることが可能であり、しかも、金属条材の軸線方向の位置に応じて曲げ半径を変化させることも可能であり、単純な円弧状の曲げ加工ばかりでなく、楕円弧状等の曲げ加工も可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した曲げアームの旋回軸線を移動させる方法は、曲げ加工の進行と共に曲げアームの旋回軸線を所定の軌跡に沿って移動させなければならず、その制御が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、曲げ加工の進行と共に曲げアームの旋回軸線を移動させながら曲げ加工する方法において、曲げアームの旋回軸線の移動軌跡を容易に制御することを可能とする金属条材の曲げ加工方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、曲げ加工すべき金属条材の軸線方向の小区間を加熱装置で局部的に加熱すると共にその金属条材を前記加熱装置に対して軸線方向に相対的に移動させ、同時に前記金属条材の、前記加熱装置による加熱部よりも進行方向の先端側を、旋回軸線を中心として旋回可能な曲げアームにクランプさせ、その曲げアームを、前記旋回軸線に直角な面内で移動させながら旋回させ、前記金属条材に曲げモーメントを付与して前記加熱部を曲げ変形させ且つ直後に冷却する金属条材の曲げ加工方法において、金属条材を目標とする形状に曲げ加工し終わった状態をあらかじめ想定し、その想定状態に関して曲げ加工して湾曲している領域の金属条材の中心軸線上に曲げ開始点Ps から適当な間隔で複数の点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe を設定し、曲げ加工を行う際に曲げ変形を生じる位置である曲げ点(BP)を原点とし、金属条材の加熱装置に対する相対移動方向をX軸、前記曲げアームの旋回軸線に直角な面内で前記X軸に直角方向をY軸としたX−Y座標上における前記各点Ps 、P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe の座標値(as 、bs )、(a1 、b1 )・・・・(an 、bn )・・・(ae 、be )並びに各点における接線のX軸に対する傾斜角θs 、θ1 、θ2 ・・・θn ・・・θe を求め、前記各点に対応する曲げアームの旋回軸線Oの位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標上における座標値(xs 、ys )、(x1 、y1 )・・・(xn 、yn )・・・・(xe 、ye )を、次式
n =(as −Lsinθs −an )cosθn
+(bs +Lcosθs −bn )sinθn ・・・(5)
n =(bs +Lcosθs −bn )cosθn
−(as −Lsinθs −an )sinθn ・・・(6)
(但し、Lは曲げアームのアーム長)
によって求めておき、曲げ加工中において前記した各点Ps 、P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe がそれぞれ曲げ点(BP)に到達した時点における曲げアームの旋回軸線Oの位置を、上記式で求めた座標となるように制御することを特徴とし、この構成により、金属条材を目標とする形状に曲げ加工することができる。
【0007】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明の曲げ加工方法の原理を説明する概略平面図であり、(a)は曲げ加工を開始する直前の状態を、(b)は曲げ加工中の状態を示す。図1において、1は金属条材、3はその金属条材1の軸線方向の小区間を加熱すると共に曲げ変形した直後の部分に冷却媒体を吹き付ける冷却手段を備えた、誘導子等の加熱装置、4は金属条材1の先端をクランプして旋回可能且つ移動可能な曲げアームである。ここで、曲げアーム4の旋回軸線Oに直角な面内に、曲げ加工を行う際に金属条材1に曲げ変形を生じる位置である曲げ点BPを原点とし、金属条材1の加熱装置3に対する相対移動方向をX軸、直角方向をY軸としたX−Y座標を想定する。
【0008】
金属条材1の曲げ加工は次のように行われる。すなわち、図1(a)に示すように、曲げ加工すべき金属条材1を、曲げ開始点Ps が加熱装置の中心位置即ち曲げ点BPに位置するようにセットし、その先端を曲げアーム4でクランプした状態で加熱装置3による加熱を開始し、その加熱装置3で金属条材1の軸線方向の小区間を加熱した状態で金属条材1を加熱装置3に対して軸線方向に連続的に移動させてゆく。これにより、図1(b)に示すように、曲げアーム4が旋回軸線Oを中心として旋回して金属条材1に曲げモーメントを作用させ、金属条材1の加熱部を曲げ変形させると共にその直後を加熱装置3に設けている冷却手段で冷却し、金属条材1を連続的に曲げ加工してゆく。そして、この曲げ加工の際に、曲げアーム4の旋回軸線OをX−Y座標上であらかじめ定めている軌跡50に沿って移動させることで、金属条材1をその移動軌跡50に応じた所定形状に曲げ加工することができる。
【0009】
次に、金属条材1を目標とする形状に曲げ加工するための曲げアーム4の旋回軸線Oの移動軌跡50の求め方を説明する。まず、図2に示すように、金属条材1を目標とする形状に曲げ加工し終わった状態を想定する。ここで、符号1aで示す曲線部分が金属条材1を目標とする形状に曲げ加工して湾曲している領域(以下、曲げ加工領域という)であり、その両端の点Ps 及びPe が曲げ開始点並びに曲げ終了点である。また、図中、Lは曲げアーム4のアーム長(旋回軸線Oと金属条材との最短距離)である。なお、図面では曲げ加工領域1aの形状の例として、非円弧状の形状を示している。
【0010】
次に、曲げ加工領域1aの金属条材の中心軸線上に、曲げ開始点Ps から適当な間隔で複数の点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe を設定し、それぞれの点における座標(as 、bs )、(a1 、b1 )・・・(an 、bn )・・・(ae 、be )並びに各点における接線のX軸に対する傾斜角θs 、θ1 ・・・θn ・・・θe を求める。これらの数値は、目標とする曲げ形状に応じて定まるものであるので、予め求めることができる。ここで、複数の点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe の間隔(各点間の中心軸線に沿った長さ)は必ずしも一定とする必要はないが、一定とした方が、曲げアームの旋回軸線の位置制御を容易とすることができるので、好ましい。各点間の間隔は、小さいほど曲げ加工して得られる形状の精度を高めることができるので、所望精度に応じて間隔を設定すればよい。なお、図面では分かりやすくするため、間隔を大きくして示している。
【0011】
次に、図2に示す形状の曲げ加工領域1aを得るための曲げ加工途中で且つ点Pn を曲げ変形させている(点Pn が曲げ点BP上に位置している)状態を図示すると図3に示すようになる。図3において、金属条材1の曲げ点BPを通りすぎた領域1aa(点Pn 〜Ps 間)が曲げ加工を終了した部分であり、この部分の形状は図2に示す曲げ加工領域1aの点Pn 〜Ps 間の形状に等しくなっており、且つ、点Pn における接線はX軸に一致した状態となっている。また、図3で二点鎖線で示す領域1ab(点Pn 〜Pe 間)は、今後曲げ加工されることによって形成される形状を示すもので、図2に示す曲げ加工領域1aの点Pn 〜 Pe 間の形状に等しくなっている。換言すれば、図3に示す曲げ加工中の状態は、図2に示す曲げ加工領域1aと同一形状の曲線を、点Pn を曲げ点BPに重ね且つX軸に接するように配置した場合と同様となる。そこで、図2に示すX−Y座標を、曲げ加工領域1aと同一の関係を保って図3に書き込むと、図3に示すX′−Y′座標となる。
【0012】
図3において、金属条材1の点Pn を曲げ加工している時に曲げアーム4の旋回軸線Oが占める位置をOn とし、その位置On のX′−Y′座標上における座標を(xn ′、yn ′)とすると、
n ′=as −Lsinθs ・・・(1)
n ′=bs +Lcosθs ・・・(2)
となる。
【0013】
ところで、点Pn の曲げ変形時の座標はX′−Y′座標上では曲げ加工し終わった状態に関してX−Y座標上で予め求めている(an 、bn )であり、X−Y座標上では(0、0)である。そしてX′軸のX軸に対する傾斜角は予め求めているθn であるので、旋回軸線Oが曲げ加工中に占める位置On のX−Y座標上における座標を(xn 、yn )とすると、その座標(xn 、yn )は、 X′−Y′座標上における座標(xn ′、yn ′)に対して次の関係にある。
n =(xn ′−an )cosθn +(yn ′−bn )sinθn ・・・(3)
n =(yn ′−bn )cosθn −(xn ′−an )sinθn ・・・(4)
【0014】
この式(3)、(4)に、式(1)、(2)を代入することで、次式を得ることができる。
n =(as −Lsinθs −an )cosθn
+(bs +Lcosθs −bn )sinθn ・・・(5)
n =(bs +Lcosθs −bn )cosθn
−(as −Lsinθs −an )sinθn ・・・(6)
【0015】
このように、金属条材1を図2に示す曲げ加工領域1aの形状に曲げ加工する場合、金属条材上の点Pn が曲げ点BPに到達した時点における曲げアーム旋回軸線Oを上記式(5)、(6)で定まる座標位置On とすればよい。従って、金属条材の所望の曲げ形状について、あらかじめ曲げ開始点Ps 並びにその点Ps から適当な間隔で設定した複数の点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe のX−Y座標における各座標(as 、bs )、(a1 、b1 )・・・(an 、bn )・・・・(ae 、be )並びに各点における接線のX軸に対する傾斜角θs 、θ1 ・・・・θn ・・・θe を求め、前記各点に対応する曲げアームの旋回軸線Oの位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標上における座標値(xs 、ys )、(x1 、y1 )・・・(xn 、yn )・・・(xe 、ye )を次式
n =(as −Lsinθs −an )cosθn
+(bs +Lcosθs −bn )sinθn ・・・(5)
n =(bs +Lcosθs −bn )cosθn
−(as −Lsinθs −an )sinθn ・・・(6)
によって求めておき、曲げ加工中において前記した各点Ps 、P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe がそれぞれ曲げ点(BP)に到達した時点における曲げアームの旋回軸線Oの位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe を、上記式で求めた座標となるように制御することで、図2に示す形状に曲げ加工することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の曲げ加工方法の実施の形態を説明する。図4は本発明の第一実施形態の曲げ加工方法に用いる装置を概略的に示す平面図であり、1は曲げ加工中の金属条材、2は金属条材1を軸線方向(X軸方向)に前進させる条材移動装置であり、金属条材1の後端を保持してX軸方向に移動可能なテールストック2aと、それをX軸方向に移動させるねじ軸2bと、それを回転駆動するモータ2c等を備えている。3は金属条材1の長手方向の小区間を加熱する誘導子からなる加熱装置であり、加熱され曲げ変形を生じた直後の部分に冷却水等の冷却媒体を吹き付けて冷却する冷却手段を備えている。4は金属条材1の先端をクランプした曲げアーム、5は曲げアーム4を旋回軸線Oを中心として旋回可能に保持したY軸台車、6はY軸台車5をY軸方向に移動可能に保持すると共に自身はX軸方向に移動可能なX軸台車、7はX軸台車6をX軸方向に移動させるX軸台車移動装置であり、X軸台車6をX軸方向に移動させるねじ軸7aとそれを回転駆動するモータ7b等を備えている。8はY軸台車5をY軸方向に移動させるY軸台車移動装置であり、Y軸台車5をY軸方向に移動させるねじ軸8aとそれを回転駆動するモータ8b等を備えている。これらのY軸台車5、X軸台車6、X軸台車移動装置7等は、曲げアーム4の旋回軸線OをX軸方向に移動させるX軸移動手段を構成しており、また、Y軸台車5、Y軸台車移動装置8等は、曲げアーム4の旋回軸線OをY軸方向に移動させるY軸移動手段を構成する。
【0017】
10は、条材移動装置2、X軸台車移動装置7、Y軸台車移動装置8等を制御するコントローラ、11はテールストック2aの位置(従って、金属条材1の位置)を計測するための位置センサ、12はX軸台車6のX軸方向の位置(従って、旋回軸線OのX軸方向の位置)を計測するための位置センサ、13はY軸台車5のY軸方向の位置(従って、旋回軸線OのY軸方向の位置)を計測するための位置センサである。
【0018】
上記構成の装置による金属条材1の曲げ加工は次のように行われる。あらかじめ、図2に示す金属条材1の所望の曲げ形状について、曲げ開始点Ps 並びにその点Ps から適当な間隔で設定した複数の点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe のX−Y座標における各座標(as 、bs )、(a1 、b1 )・・・(an 、bn )・・・・(ae 、be )並びに各点における接線のX軸に対する傾斜角θs 、θ1 ・・・・θn ・・・θe を求め、更に、前記各点に対応する曲げアームの旋回軸線Oの位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標上における座標値(xs 、ys )、(x1 、y1 )・・・(xn 、yn )・・・(xe 、ye )を上記した式(5)、(6)によって求めておく。
【0019】
まず、図1(a)に示す状態に金属条材1をセットし、その先端を曲げアーム4でクランプする。この時の曲げアーム4の旋回軸線Oは曲げ開始点Ps に対応した位置Os (図3参照)に位置させておく。この状態で加熱装置3による加熱を開始し、加熱装置3で金属条材1の軸線方向の小区間を加熱した状態で条材移動装置2が金属条材1を連続的に前進させ、それによって曲げアーム4を旋回軸線Oを中心として旋回させて金属条材1に曲げモーメントを作用させ、金属条材1の加熱部を曲げ変形させると共にその直後を冷却手段が冷却することで金属条材1を連続的に曲げ加工してゆく。そして、この曲げ加工の際に、X軸台車移動装置7、Y軸台車移動装置8がY軸台車5をX軸方向、Y軸方向に移動させ、曲げアーム4の旋回軸線Oを予め求めておいた位置O1 ・・・・On ・・・Oe を順次たどるように移動させる。すなわち、コントローラ10は、金属条材1の加熱装置3に対する移動を監視し、曲げ開始点Ps の次の点P1 が曲げ点BPに達した時点で、曲げアーム4の旋回軸線が点P1 に対応する位置O1 (x1 、y1 )に移動し、次の点P2 が曲げ点BPに達した時点で、曲げアーム4の旋回軸線が点P2 に対応する位置O2 (x2 、y2 )に移動し、以下、同様に、n番目の点Pn が曲げ点BPに達した時点で、曲げアーム4の旋回軸線が点Pn に対応する位置On (xn 、yn )に移動するというように、X軸台車移動装置7、Y軸台車移動装置8を制御して移動台5を移動させながら曲げ加工を行ってゆく。以上の動作を曲げ終了点Pe が曲げ点BPに達するまで実施することで、金属条材1を目標とする形状に曲げ加工することができる。
【0020】
なお、上記した曲げ加工を行うに当たって、図2に示す曲げ加工領域にあらかじめ設定した複数の点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe が順次曲げ点BPに到達したことを検出するには、該金属条材1が加熱装置に対して各点間の距離に対応した長さ(曲げによる圧縮を考慮した長さ)だけ移動したことを検出すればよく、具体的には、位置センサ11によって金属条材1の進行方向の位置を検出し、そのデータから上記各点が曲げ点BPに到達したことを検出できる。また、金属条材1の移動速度を一定として曲げ加工を行う場合には、金属条材の移動時間を検出し、そのデータから上記各点が曲げ点BPに到達したことを検出してもよい。
【0021】
上記実施形態は、曲げアーム4の旋回軸線OをX軸台車移動装置8、Y軸台車移動装置9によって、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ駆動し、X軸方向位置及びY軸方向位置をそれぞれ制御している。ところで、図4に示す装置で曲げ加工を行う際、条材移動装置2による金属条材1の移動長と、旋回軸線OのX軸方向位置と、Y軸方向位置との間には、一定の関係があり、移動長と旋回軸線Oの一方の座標値(x又はy)を定めれば、他の座標値は一義的に定まってくる。換言すれば、曲げ加工中、曲げアーム4の旋回軸線OをX軸方向又はY軸方向のいずれか一方を所定位置に移動させると、X軸方向又はY軸方向の他方の所定位置にはその旋回軸線Oを強制的に移動させなくても金属条材1によって移動させられる。従って、金属条材1の剛性が十分大きく、曲げアーム4を保持している機構(X軸台車6、Y軸移動台車5)の摩擦抵抗に抗して曲げアーム4の旋回軸線Oを移動させることができる場合には、X軸方向の位置又はY軸方向の位置のみを制御することで、旋回軸線Oを所定の位置に移動させることができる。
【0022】
曲げアーム4の旋回軸線OのX軸方向の位置のみを制御して曲げ加工を行う実施形態では、図4に示す装置において、Y軸台車5をX軸台車6に対してY軸方向に移動自在に保持させ、Y軸台車移動装置8は設けない。その他の構成は図4の装置と同様である。そして、曲げ加工中、X軸台車移動装置7を制御して、旋回軸線OのX軸方向の位置を所定の位置〔式(5)で計算して求めた位置〕となるように制御する。これによって、旋回軸線OのY軸方向の位置は自動的に所定の位置となり、従って、旋回軸線Oはあらかじめ設定した位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe を順次たどることとなり、金属条材1を目的とする形状に曲げ加工することができる。
【0023】
曲げアーム4の旋回軸線OのY軸方向の位置のみを制御して曲げ加工を行う実施形態では、図4に示す装置において、X軸台車6をX軸方向に移動自在とすると共にX軸台車移動装置7は設けない。その他の構成は図4の装置と同様である。そして、曲げ加工中、Y軸台車移動装置8を制御して、旋回軸線OのY軸方向の位置を所定の位置〔式(6)で計算して求めた位置〕となるように制御する。これによって、旋回軸線OのX軸方向の位置は自動的に所定の位置となり、従って、旋回軸線Oはあらかじめ設定した位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe を順次たどることとなり、金属条材1を目的とする形状に曲げ加工することができる。
【0024】
以上の実施形態では、金属条材1を定位置に配置した加熱装置3に対して移動させて曲げ加工を行う場合を説明したが、本発明はこの構成に限らず、図5に示すように金属条材1を定位置に保持し、その金属条材1に沿って加熱装置3を加熱装置移動装置20によって移動させる構成としてもよい。この場合には、加熱装置2が金属条材1に対して移動速度Vで移動し、その移動に応じて、曲げアーム4の旋回軸線OをX軸方向及びY軸方向に移動させて曲げ加工を行うものであり、あらかじめ曲げアーム4の旋回軸線Oが順次移動していく位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標における座標値を求めておき、その位置を順次移動させればよい。ただし、この場合には、加熱装置3の移動に連れて曲げ点BPも速度Vで移動し、従って、曲げ点BPを原点とするX−Y座標も速度VでX軸方向に移動することとなるので、X軸台車移動装置7によるX軸台車6の位置制御に当たっては、X−Y座標の移動に応じて補正すればよい。
【0025】
以上の実施態様では、曲げアーム4を移動させるためにX軸台車6、Y軸台車5を用い、X軸方向及びY軸方向に別個に移動させる構成としているが、曲げアーム4を移動させる構成はこれに限らず、適度変更可能である。以下、その例を説明する。
【0026】
図6は、揺動ブーム式の曲げ加工装置を用いた実施形態を示すものである。この実施形態では、曲げアーム4を旋回軸線Oを中心に旋回可能に保持した移動台22を、一定位置に設定した揺動軸線Pを中心として揺動可能な揺動ブーム23に長手方向に移動可能に保持させると共に、その移動台22を揺動ブームの長手方向に移動させる移動台移動手段24と揺動ブーム23を揺動させるブーム揺動手段25を設けている。この構成により、移動台22の揺動ブーム23に対する移動と揺動ブーム23の揺動との組み合わせによって、移動台22に保持している曲げアーム4の旋回軸線OをX−Y座標上に所望位置に移動させることができる。また、旋回軸線Oの位置検出のため、揺動ブーム23の旋回角ψを測定する角度センサ28、移動台22の揺動ブーム23に対する位置を検出する位置センサ29等も設けている。その他の構成は、図4に示す装置と同様である。
【0027】
図6に示す曲げ加工装置での曲げ加工を行う場合も、前記した実施形態と同様に、あらかじめ、目標とする曲げ形状を得るために曲げアーム4の旋回軸線Oが順次移動していく位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標における座標値を求めておき、曲げ加工の進行と共に、曲げアーム4の旋回軸線Oがその位置を順次移動するように、前記移動台22を揺動ブーム23に沿って移動させ、且つ揺動ブーム23を揺動させる。これにより、所望形状に曲げ加工することができる。更に具体的に説明すると、曲げアーム4の旋回軸線Oの位置Os 、 O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標における座標値(x、y)と、移動台22の揺動ブーム23に対する位置(基準点からの距離d)並びに揺動ブーム23の揺動角ψには一定の関係があり、換算できるので、あらかじめ、各位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe に対する、移動台22の位置ds 、d1 ・・・・dn ・・・de 及び揺動ブーム23の揺動角ψs 、ψ1 ・・・・ψn ・・・ψe を求めておき、移動台22の位置及び揺動ブーム23の揺動角が順次これらの値となるように制御することで、曲げアーム4の旋回軸線Oを順次位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe に移動させ、所望形状の曲げ加工を行うことができる。
【0028】
なお、この場合にも、金属条材1の剛性が大きく、自身に好ましくない変形を生じることなく、揺動ブーム23或いは移動台22を移動させることができる場合には、移動台22の揺動ブーム23に対する移動と、揺動ブーム23の揺動の両方を制御する必要はなく、いずれか一方のみ(通常は、移動台22の移動)を制御すればよい。例えば、揺動ブーム23は単に揺動軸線Pを中心として揺動自在としておき、移動台22の揺動ブーム23に対する移動のみを制御し、移動台22を順次位置ds 、d1 ・・・・dn ・・・de に移動するようにしてもよい。そのようにすることで、揺動ブーム23は金属条材1によって揺動させられ、揺動角が順次ψs 、ψ1 ・・・・ψn ・・・ψe となるように揺動し、これによって、曲げアーム4の旋回軸線Oを順次位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe に移動させ、所望形状の曲げ加工を行うことができる。
【0029】
図7は、移動式の揺動アームを用いた曲げ加工装置による実施形態を示すものである。この実施形態では、X軸に平行に設けられたレール31に移動台32が移動可能に保持されると共にその移動台32を前記レール31の長手方向に移動させる移動台移動手段33が設けられている。移動台32には揺動アーム35が揺動軸線Qを中心として揺動可能に保持されると共にその揺動アーム35を揺動させる揺動アーム揺動手段36も設けられている。更に、揺動アーム35の先端に旋回軸線Oを中心として曲げアーム4が旋回自在に保持されている。なお、図中、38は移動台32のレール31に対する位置を検出する位置センサ、40は揺動アーム35の揺動角ψを測定する角度センサである。その他の構成は、図1に示す装置と同様である。
【0030】
図7に示す曲げ加工装置での曲げ加工を行う場合も、前記した実施形態と同様に、あらかじめ、目標とする曲げ形状を得るために曲げアーム4の旋回軸線Oが順次移動していく位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標における座標値を求めておき、曲げ加工の進行と共に、曲げアーム4の旋回軸線Oがその位置を順次移動するように、前記移動台32をレール31に沿って移動させ、且つ揺動アーム35を揺動させる。これにより、所望形状に曲げ加工することができる。更に具体的に説明すると、曲げアーム4の旋回軸線Oの位置Os 、 O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標における座標値(x、y)と、移動台32のレール31に対する位置(基準点からの距離d)並びに揺動アーム35の揺動角ψには一定の関係があり、換算できるので、あらかじめ、各位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe に対する、移動台32の位置ds 、d1 ・・・・dn ・・・de 及び揺動アーム35の揺動角ψs 、ψ1 ・・・・ψn ・・・ψe を求めておき、移動台32の位置及び揺動アーム35の揺動角が順次これらの値となるように制御することで、曲げアーム4の旋回軸線Oを順次位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe に移動させ、所望形状の曲げ加工を行うことができる。
【0031】
なお、この場合にも、金属条材1の剛性が大きく、自身に好ましくない変形を生じることなく、揺動アーム35或いは移動台32を移動させることができる場合には、移動台32の揺動アーム35に対する移動と、揺動アーム35の揺動の両方を制御する必要はなく、いずれか一方のみ(通常は、移動台32の移動)を制御すればよい。例えば、揺動アーム35は単に揺動軸線Qを中心として揺動自在としておき、移動台32の揺動アーム35に対する移動のみを制御し、移動台32を順次位置ds 、d1 ・・・・dn ・・・de に移動するようにしてもよい。そのようにすることで、揺動アーム35は金属条材1によって揺動させられ、揺動角が順次ψs 、ψ1 ・・・・ψn ・・・ψe となるように揺動し、これによって、曲げアーム4の旋回軸線Oを順次位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe に移動させ、所望形状の曲げ加工を行うことができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明は曲げアームを旋回させながら移動させて金属条材の曲げ加工を行う方法において、目標とする曲げ形状を得るために曲げアームの旋回軸線Oが順次移動してゆく位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe を、上記した式(5)、(6)によって求め、これを満たすように曲げアームを移動させる構成としたことにより、旋回軸線の移動軌跡を容易に制御することができ、金属条材を所望の曲げ形状に曲げ加工することができるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の曲げ加工方法の原理を説明するもので、(a)は曲げ加工を開始する直前の状態を示す概略平面図、(b)は曲げ加工中の状態を示す概略平面図
【図2】金属条材1を目標とする形状に曲げ加工し終わった状態を想定して示す概略平面図
【図3】金属条材1を図2に示す形状に曲げ加工する途中の状態を示す概略平面図
【図4】本発明の一つの実施形態を示す概略平面図
【図5】本発明の他の実施形態を示す概略平面図
【図6】本発明の更に他の実施形態を示す概略平面図
【図7】本発明の更に他の実施形態を示す概略平面図
【符号の説明】
1 金属条材
2 条材移動装置
3 加熱装置
4 曲げアーム
5 Y軸台車
6 X軸台車
7 X軸台車移動装置
8 Y軸台車移動装置
10 コントローラ
11、12、13 位置センサ

Claims (2)

  1. 曲げ加工すべき金属条材の軸線方向の小区間を加熱装置で局部的に加熱すると共にその金属条材を前記加熱装置に対して軸線方向に相対的に移動させ、同時に前記金属条材の、前記加熱装置による加熱部よりも進行方向の先端側を、旋回軸線を中心として旋回可能な曲げアームにクランプさせ、その曲げアームを、前記旋回軸線に直角な面内で移動させながら旋回させ、前記金属条材に曲げモーメントを付与して前記加熱部を曲げ変形させ且つ直後に冷却する金属条材の曲げ加工方法において、金属条材を目標とする形状に曲げ加工し終わった状態をあらかじめ想定し、その想定状態に関して曲げ加工して湾曲している領域の金属条材の中心軸線上に曲げ開始点Ps から適当な間隔で複数の点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe を設定し、曲げ加工を行う際に曲げ変形を生じる位置である曲げ点(BP)を原点とし、金属条材の加熱装置に対する相対移動方向をX軸、前記曲げアームの旋回軸線に直角な面内で前記X軸に直角方向をY軸としたX−Y座標上における前記各点Ps 、P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe の座標値(as 、bs )、(a1 、b1 )・・・・(an 、bn )・・・(ae 、be )並びに各点における接線のX軸に対する傾斜角θs 、θ1 、θ2 ・・・θn ・・・θe を求め、前記各点に対応する曲げアームの旋回軸線Oの位置Os 、O1 ・・・・On ・・・Oe のX−Y座標上における座標値(xs 、ys )、(x1 、y1 )・・・(xn 、yn )・・・・(xe 、ye )を、次式
    n =(as −Lsinθs −an )cosθn
    +(bs +Lcosθs −bn )sinθn ・・・(5)
    n =(bs +Lcosθs −bn )cosθn
    −(as −Lsinθs −an )sinθn ・・・(6)
    (但し、Lは曲げアームのアーム長)
    によって求めておき、曲げ加工中において前記した各点Ps 、P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe がそれぞれ曲げ点(BP)に到達した時点における曲げアームの旋回軸線Oの位置を、上記式で求めた座標となるように制御することを特徴とする金属条材の曲げ加工方法。
  2. 前記各点P1 、P2 ・・・Pn ・・・Pe の間隔を一定としていることを特徴とする請求項1記載の金属条材の曲げ加工方法。
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