JP4757229B2 - 計量ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
従来、計量ローラは金属製又はセラミック製であり、表面の凹状パターンは機械的切削加工やレーザー加工(例えば、特許文献1参照)にて形成されていた。あるいは、放電加工にて凹状パターンを形成する方法もあった(例えば、特許文献2参照)。また、計量ローラは取り換えることがほとんどなく半永久的に使用されていた。
しかし、上記機械的切削やレーザー加工によって凹状パターンを形成する製造方法は、コストがかかり、凹状パターンの再現性も低いため、大量生産には不向きであった。また、このような大量生産には、射出成形にて樹脂製の計量ローラを製造する方法が好ましいが、計量ローラの表面には金型のパーティングラインが生じるので、高精度の凹状パターンを作製することができなかった。
また、パーティングラインが生じないように金型を継ぎ目のない非分割形状とする場合、その内周面に(ローラ表面に凹状パターンを転写するための)微細な凹凸を機械的切削やレーザー加工にて形成することは非常に困難であった。そして、上記特許文献2の放電加工では、全長が 100mm未満の非分割形状の金型しか製作ができなかった。
本発明に係る製造方法によれば、表面に高精度の凹状パターンを有する円柱状樹脂成形品としての計量ローラを容易に大量生産することができる。
金型(金型本体)が継ぎ目のない非分割形状であるので、計量ローラの表面にパーティングラインが生じることがなく、高精度に凹状パターンを形成することができる。
また、溶融樹脂の冷却収縮に伴う外径寸法の減少により計量ローラをキャビティの内面から遊離させるので、計量ローラを金型のキャビティ内から簡単に引き抜くことができ、引き抜く際に凹状パターンが潰れる虞れもない。特に高精度な凹状パターンを要求される計量ローラの製造に好適な発明である。
本発明は、円柱状の樹脂成形品としての計量ローラの製造方法であって、例えば、(静電)印刷機に使用され液体又は粉体のインキを計量するための計量ローラの製造方法である。
図1は、本発明の製造方法に使用する製造装置の実施の一形態を示し、この装置は、射出成形用の金型1と、上下分離自在の上部本体22と下部本体23とを有する溶融樹脂供給路本体14とを、備えている。
なお、図1に於て、金型1の二点鎖線で示す境界線より外周側が金型本体6であり、内周側が凸状パターンXを有するメッキ層9である。
また、20はキャビティ2内に注入される溶融樹脂に抵抗を与え流入速度のバラツキを無くすと共に芯材12を調芯するための抵抗付加手段であり、ピストン等のアクチュエーターにて上下動自在となっている。21は芯材12の上端を支持する支持アームである。
図1に示すように、金型1を鉛直方向縦向きに溶融樹脂供給路本体14の上に設置する。そして、抵抗付加手段20をキャビティ2の下端部まで挿入する。また、芯材12をキャビティ2内に挿通して、芯材12の下端を溶融樹脂供給路本体14の上面の孔部に挿嵌し、上端を支持アーム21で支持する。
2の内径寸法φDより小さくなる。即ち、溶融樹脂3(樹脂層13)の冷却収縮に伴う計量ローラ27(樹脂成形品44)の外径寸法φdの減少により、計量ローラ27(樹脂成形品44)をキャビティ2の内面10から遊離させる。内面10から遊離した計量ローラ27(樹脂層13)の表面には、図6に示すように、凸状パターンXが転写された凹状パターンYが形成されている。なお、図5と図6は、完全冷却固化後の樹脂層13を示している。
そして、図10に示すように、樹脂ローラ4(樹脂成形品44)としての計量ローラ27を金型1から引き抜いて(又は押し出して)表面に凹状パターンYを有する計量ローラが作製される。
なお、凹状パターンYは、例えば、深さ10μmの微細凹溝であるので、樹脂層13の肉厚寸法Tを考えるにあたってその凹凸は無視するものとする。
しかしながら、現実には、図23(b)に示すように、金型1のキャビティ2の円筒度が0.02〜0.03mm程度であり、かつ、樹脂成形品44(計量ローラ27)の(外径の)円筒度も0.02〜0.03mm程度である。従って、無理なく樹脂成形品44(計量ローラ27)を矢印F方向へ引き抜くためには、φD−φd≧0.10mmとして、隙間(クリアランス)Sを0.05mm以上とする。
即ち、図23(b)に於て、※印の部位にて、樹脂成形品44(ローラ4)としての計量ローラ27と、キャビティ2内面とが接触する虞のあることを、(極端に描いて)図示しており、このように※印にて接触して(擦れて)傷が計量ローラ27の表面に発生する。
外径を研削するタイプのローラであれば、このような傷の発生は問題ないのであるが、成形後の外径研削を行わない計量ローラ27であれば、外観不良・品質不良となる。特に、計量ローラ27としては、凹状パターンYの溝深さが変動してしまい、品質上問題が発生する。
図7では、樹脂層13は完全に固化した状態であり、計量ローラ27は金型1の内面10から遊離している(図6参照)。この状態で、計量ローラ27の上端から抵抗付加手段20と支持アーム21とを上方へ離間させる。また、溶融樹脂供給路本体14の上部本体22と下部本体23とを上下に分離すると、計量ローラ27の下方の不要樹脂部40はスプル17の先端位置で2つにちぎれる。ちぎれた一方の不要樹脂部40aは樹脂溜18内に残り、他方の不要樹脂部40bは下部本体23の上面に付着している。
そして、樹脂ローラ4(樹脂成形品44)としての計量ローラ27の下部に付着する不要樹脂部40aは、図9に示すように、下方から切断具25によって切断除去される。
その後、図10に示す如く、キャビティ2内に挿入される抜出手段26にて、樹脂ローラ4(樹脂成形品44)としての計量ローラ27は金型1内から引き抜かれる(押し出される)。
多条の凹状パターンYは、一点鎖線にて示す計量ローラ27の周面上の軸心と平行な長手直線Lに対し、45°傾斜して配設されることが好ましい。また、一条の凹状パターンYを螺旋状に形成し、又は、多条の凹状パターンYをひとまとまりとして螺旋状に形成してもよい。また、凹状パターンYをそれぞれ独立状に形成してもよい。
また、図21(b)に示したように、各凹溝の深さ寸法H1 ,H2 ,H3 を相違させるも好ましいが、その際、凹溝の幅寸法を相違させたり、又は、同一としてもよい。あるいは、図21(a)のように凸条部の幅寸法W4 ,W5 ,W6 を相違させる構成と、図21(b)の凹溝の深さ寸法H1 ,H2 ,H3 を相違させる構成とを、組合せるも好ましい(図示省略)。
また、参考例としては、凹状パターンYは、図13(a)に示すような六角形の蜂の巣状や、(b)に示すような鱗状としたり、あるいは、他の参考例としては、図22(a)〜(e)に示すように種々の模様や図形や記号を表現しても、自由である。つまり、図22(a)のように、大きな六角形を重ね合わせた模様や、図22(b)のように、大小の鱗状を組み合わせて、模様としたりすることもでき、また、図22(c)のように、円の図形(記号)を散点状に配置したり、図22(d)のように、三角の図形(記号)を配置したり、さらには、図22(e)のように、円と三角の図形(記号)を混在させたりする。
また、芯材12は金属製であっても樹脂製であってもよい。
なお、図1・図4・図7に於て、抵抗付加手段20を省略し、かつ、支持アーム21の代わりに、キャビティ2の上端を施蓋する蓋状の部材をもって、芯材12の上端を支持するとしても自由である(図示省略)。上記樹脂成形品44が計量ローラ4であることで、高精度な形状・寸法の凹状パターンYが得られる本願発明の特長が最大に活かされることとなる。
図14に示すように、低融点の金属丸棒11の外周面に凹状パターンモデルZを(機械的切削やレーザー加工にて)全面均等に形成してマスター5を作製する。金属丸棒11は加工のし易い軟質金属製であることが望ましく、例えば、アルミニウムや銅や真鍮が好ましい。
また、溶融樹脂3の冷却収縮に伴う外径寸法φdの減少により樹脂成形品44をキャビティ2の内面10から遊離させるので、樹脂成形品44を金型1のキャビティ2内から簡単に引き抜くことができ、引き抜く際に凹状パターンYが潰れる虞れもない。
また、従来は、継ぎ目のない非分割形状の筒状体の内周面に機械的切削やレーザー加工にて微細な凹凸(凸状パターンX)を形成することは困難であったが、本発明では、電気鋳造により金型本体6の内周面に凸状パターンXを簡単かつ高精度に形成することができる。
3 溶融樹脂
5 マスター
6 金型本体
7 貫通孔
8 メッキ液
9 メッキ層
10 内面
11 金属丸棒
12 芯材
13 樹脂層
27 計量ローラ
44 樹脂成形品
T 肉厚寸法
X 凸状パターン
Y 凹状パターン
φD 内径寸法
φd 外径寸法
Claims (2)
- 円孔状の貫通孔(7)を有する継ぎ目のない非分割形状の金型本体(6)の内周面に電気鋳造による螺旋状の凸状パターン(X)を形成してキャビティ(2)を形成し、次に、芯材(12)を上記キャビティ(2)内に挿通し、その後、上記キャビティ(2)内に溶融樹脂(3)を注入し、上記溶融樹脂(3)が上記キャビティ(2)内へ充填された充填直後溶融状態の樹脂層(13)の肉厚寸法(T)を、 1.5mm以上 2.5mm以下に形成し、さらに、表面に螺旋状の凹状パターン(Y)を有しかつ中心に上記芯材(12)を有する円柱状樹脂成形品(44)としての計量ローラ(27)を成形すると共に、上記溶融樹脂(3)が固化するまでの冷却収縮に伴う外径寸法の減少により完全冷却固化後の上記計量ローラ(27)を上記キャビティ(2)の内面(10)から遊離させ、該計量ローラ(27)を上記キャビティ(2)内から引き抜くようにすると共に、上記キャビティ(2)の内径寸法を(φD)とし、上記完全冷却固化後の計量ローラ(27)の外径寸法を(φd)とすると、(φD−φd)≧0.10mmなる関係式が成立するように上記溶融樹脂(3)が固化するまで上記冷却収縮を行わせることを特徴とする計量ローラの製造方法。
- 上記樹脂成形品(44)の長さ寸法が、 100mm〜 500mmである請求項1記載の計量ローラの製造方法。
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