JP4752201B2 - 面発光型半導体レーザ装置およびその製造方法 - Google Patents

面発光型半導体レーザ装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光インターコネクションや、光交換,光情報処理、レーザビームプリンターに使われる面発光半導体レーザに関する。
近年、論理回路素子の情報伝達手段として、伝送速度の飛躍的な向上を目指した光インターコネクションの研究が進められている。その並列光源として発光素子を2次元で高密度に配列可能な面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser diode:以下適宜VCSELと称する)が注目されている。VCSELに関しては、伊賀らにより先駆的な研究がなされており、その内容が非特許文献1に開示されている。
最近のVCSELの構造は、図14(a)、図14(b)に示すように、半導体基板801の水平面に対して垂直方向に共振器802を有し、共振器802は、キャリアを閉じこめ光を発生させる活性層803と、半導体多層膜による下部反射ミラー804と半導体多層膜による上部反射鏡ミラー805、活性層で発光した光の位相を上部および下部の両半導体多層膜反射ミラー804、805の端部で整合させるスペーサ層806からなる。また、上部コンタクト層807、レーザの出射口の機能を併せ持つ上部電極808、層間絶縁膜810、下部電極809が構成要素となる。
レーザ発振させるためには、基板の水平方向にもキャリアと光の閉じこめを行う必要がある。基板の水平方向の狭窄構造を作製する手段としては、ドライエッチングにより10数μm径の細い柱状(ポスト)構造を作製しポスト部自体を電流経路とする方法(単純ポスト型)、ドライエッチングにより数十μm径のポスト構造を作製した後にコントロール層と呼ぶAlAs層の一部を水蒸気酸化により絶縁化して電流経路を限定する方法(酸化型)や、プロトンインプラにより絶縁領域を形成し電流経路を限定する方法(インプラ型)などがある。現在は、酸化型VCSELが、しきい電流値も低く、電流−光特性も優れていることが非特許文献2において知られている。
酸化型VCSELは、レーザビームプリンターや、種々光学装置の光源としての用途がある。光学装置には、偏光子やビームスプリッターなど光学機器を使用することが多く、これらの機器は反射率が偏光方向によって異なる。したがって、VCSELから発せられるレーザ光の偏光方向は、一定であり、意図しないスイッチングが生じず安定しているものが好まれる。端面発光型レーザ(エッジエミッター)では、レーザ光は半導体の薄膜スラブ導波路を伝播するTEモード(電界が導波路面に対して垂直)であるため、偏光方向は安定しているが、VCSELの導波路には、エッジエミッターほど異方性の大きい構造を導入することが難しい。
そのため、非特許文献3では、活性層に面内で直交する2方向にそれぞれ異なる大きさの歪みを導入し、レーザ光の光学利得に異方性を生じさせ、レーザ光の偏光方向を固定させるという試みが報告されている。
この種の歪みによる偏光方向の制御に関しては、特許文献1のように、活性領域に歪みを導入するための歪み付加部を活性領域に対して対称な位置に設置する方法が開示されている。
また、特許文献2では、VCSELの柱状部(メサ)の周囲を異方的平面形状とした埋め込み層で埋め込み、偏光を制御する方法が開示されている。すなわち、キュア前後で体積変化が大きなポリイミド等を埋め込み層とする場合は、収縮量が埋め込み層の異方的平面形状に依存して生じるため、VCSELの柱状部(メサ)に異方的な歪みが誘起される。この異方的な歪みにより、偏光を制御するというものである。
特許文献3では、酸化型VCSELにおいて、酸化アパーチャの長軸と短軸が異なるような異方性の平面形状とすることで、偏光をその長軸方向に揃えるものである。
特許文献4は、メサのx軸方向の側壁のSiN膜を、y軸方向の側壁のSiN膜よりも高い温度で堆積する。SiNの熱膨張係数は、GaAs系半導体のそれよりも小さいので、室温では活性層に対するx軸方向への引張応力がy軸方向よりも大きくなり、その結果、y軸方向に偏波面を揃えるものである。
さらに特許文献5は、メサの側面の一部分にのみ金属膜を形成することで、金属膜に平行な偏光成分を有する共振器モードの損失は、直交する偏光成分のモードに比べて大きくなり、一定の偏光方向のモードのみを発振させるものである。
特開平11−54838号 特開2001−189525号 特開平9−172218号 特開平6−224515号 特許2701596号 伊賀 IEEEジャーナルオブカンタムエレクトロニクス(IEEE Journal of Quantum Electronics)、第27巻1332、1988年 応用電子物性分科会誌、第5巻、第1号、1999年、11ページ IEEE、PHOTONICS、TECHNOLOGY、LETTERS,VOL.5,No.2(1993)のP.133
しかしながら、従来のVCSELの偏光制御には次のような課題がある。特許文献1に示されるような歪み付加部は、メサから離れたところに付設されるため、活性層への歪みの掛かり方が弱いという課題があり、その結果、十分な偏光制御の効果を得ることができない。
また、特許文献2では、VCSELの柱状部(メサ)の周囲を埋め込み層で埋め込むが、1μm程度と薄いSiNx膜、SiO膜、SiON膜で埋め込むと、膜の収縮は十分に発生しないため、平面形状に依存した強い異方的歪みをVCSELの柱状部(メサ)に与えることが困難である。
特許文献3の酸化型VCSELでは、酸化アパーチャの平面形状を異方性とするが、レーザ光のビーム形状も酸化アパーチャの平面形状の影響を受けてしまい、円形や正方計などの縦横比の等しい形状などを得ることができない。さらに、極端な形状異方性を取ることが出来ないだけに、この技術だけでは偏光を十分に制御しきれない問題もある。
特許文献4のように、メサ側壁に異なる温度でSiN膜を堆積させ、メサ側壁へのひずみ応力に異方性を持たせる場合には、メサ側壁面ごとに膜の着膜条件が異なるため、非常に作成方法が難しくなる。
さらに特許文献5は、メサの側面に金属膜を形成するものであるが、金属膜の形成による共振器の直交する偏光間の損失を十分に生成することが必ずしも容易ではなく、従って、この技術だけで十分な偏光制御を行うことは難しい。
そこで、本発明は上記従来の課題に鑑みて鋭意努力の結果見出されたものであり、本発明の目的は、レーザ光の偏光方向を安定的に一定方向に制御することが可能なVCSELを提供することにある。
本発明の第1の特徴は、基板上に少なくとも第一導電型の第1の半導体多層膜反射鏡、第二導電型の第2の半導体多層膜反射鏡、第1および第2の半導体多層膜反射鏡の間に挟まれる活性層とを含み、かつ基板上に形成されたメサ構造は、その内部に少なくとも活性層を含み、メサ構造の頂部から基板と垂直方向にレーザ光を出射する垂直共振型の面発光型半導体レーザ装置であって、基板水平面内に対して垂直であり、かつ、メサ構造のおおよそ中心を原点とする2つの直交する直交面(X面、Y面)が、メサ構造の側面と交わる交線をそれぞれLx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線とし、Lx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線が基板水平面とのなす角度をそれぞれ、Ax1、Ax2、Ay1、Ay2としたとき、少なくともAx1、Ax2、Ay1、Ay2のいずれか一つが異なる値とする。
メサ構造の側壁の角度の少なくとも一つが異なることで、メサ構造の内部には異方性の歪み生じ、これが活性層に与えられることで、レーザ光の偏光方向を一方向に安定的に制御することができる。
好ましくは、Ax1とAx2が略等しく、少なくともAx1とAy1が異なる値であるか、または、Ax1とAy2が異なる値とする。あるいは、Ax1とAx2が略等しく、Ay1とAy2が略等しく、Ax1とAy1が異なる値としてもよい。
本発明の第2の特徴は、基板上に少なくとも第一導電型の第1の半導体多層膜反射鏡、第二導電型の第2の半導体多層膜反射鏡、第1および第2の半導体多層膜反射鏡の間に挟まれる活性層とを含み、かつ基板上に形成されたメサ構造は、少なくとも活性層を含み、メサ構造の頂部から基板と垂直方向にレーザ光を出射する垂直共振器型の面発光型半導体レーザ装置であって、基板水平面内に対して垂直であり、かつ、メサ構造のおおよそ中心を原点とする2つの直交する直交面(X面、Y面)が、メサ構造の側面と交わる交線をそれぞれLx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線としたとき、Lx1、Lx2線、Ly1線、Ly2線のうち少なくとも一つの曲率が異なる。
好ましくはメサ構造が、Y面に対して面対称な形状であり、かつ、略楕円錐台か、略三角錐台か、略四角錐台か、略多角錘台かのいずれかの形状のメサ構造である。また、メサ構造の最上面の平面形状と、メサ構造の最下面での断面の平面形状とが非相似形であってもよい。
好ましくは、メサ構造は、少なくとも一層の高Al組成半導体層の一部を酸化して形成した酸化アパーチャを含む。酸化は、例えば、メサ構造の側面から行われ、この酸化距離を制御することで酸化アパーチャを制御する。
好ましくは、酸化アパーチャの平面形状は、長径と短径を有し、長径と短径は略直交しており、前記X面はその面内に短径を含み、前記Y面はその面内に長径を含むものでもよい。
また、メサ構造の側壁は、絶縁膜によって覆われ、絶縁膜は、SiNx、SiON、SiO、またはポリイミドのいずれかを含むものとすることができる。Ax1とAy1との角度差、または、Ax1とAy2との角度差が、5°以上あることが望ましい。角度差が5°を越えると、偏光方向が一定に揃う割合が格別に上昇する(図4を参照)。また、Lx1線の上の絶縁膜の厚みをtx1、Lx2線の上の絶縁膜の厚みをtx2、Ly1線の上の絶縁膜の厚みをty1、Ly2線の上の絶縁膜の厚みをty2としたとき、角度Ax1、Ax2、Ay1、Ay2の大きさに応じて、絶縁膜の厚みtx1、tx2、ty1、ty2の値が異なるようにすることが望ましい。
本発明の第3の特徴は、面発光型半導体レーザ装置の製造方法であり、当該製造方法は、半導体基板上に、少なくとも第一の導電型の半導体多層膜反射鏡と、活性層と、第二の導電型の半導体多層膜反射鏡とを順次積層して形成した半導体積層膜を形成する工程と、前記半導体積層膜の最表層に、方位によって異なるマスク端部傾斜を有するマスクを形成する工程と、前記マスクにより前記半導体多層膜をエッチングしてメサ構造を形成する工程と、前記メサ構造を覆う絶縁膜を形成する工程とを含む。
本発明に係る面発光型半導体レーザ装置によれば、メサ(ポスト)の側壁の傾斜角を方位によって異ならせることで、メサ側壁を覆う例えばSiOなどの層間絶縁膜によるメサ側壁の歪が側壁毎に異なるため、メサ構造内の活性層に異方的に歪が導入される。その結果として、メサ構造から出射されるレーザ光の偏光方向が、活性層の歪みにより一方向に安定的に固定される。このことにより、偏光方向が安定したVCSEL素子の製造の歩留まり改善することができ、VCSELがより多くの光学機器において安定的に、かつ高信頼性の光源として使用することができる。
次に、本発明に係る垂直共振器型の面発光型半導体レーザ装置の最良の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るVCSELのメサ構造の模式図であり、図1(a)はメサ構造の上面図、図1(b)はメサ構造のX面断面を示す図、図1(c)はY面断面を示す図である。図2は、メサ構造の層間絶縁膜の歪みにより生じる応力を説明する図である。こらら、図1および図2を用いて本発明の原理を詳述する。
図1に示すように、VCSELの半導体基板上に形成されたメサ構造10は、四角錐状であり、メサ構造の頂部から基板と垂直方向にレーザ光を出射する。メサ構造10の略中心で直交する二つの面をX面とY面と仮定し、X面とメサ側面または側壁と交わる交線をそれぞれLx1線、Lx2線とし、Y面とメサ側面または側壁と交わる交線をLy1線、Ly2線とする。そして、Lx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線が基板水平面20となす角度、すなわち、メサ側壁の傾斜角をそれぞれ、Ax1、Ax2、Ay1、Ay2とする。
図1に示す例では、傾斜角Ax1とAx2が略等しく、その角度をαとする。また、傾斜角Ay1とAy2が略等しく、その角度をβとする。αとβは、互いに異なる値をとり、等しくない。可能であれば、αとβの角度差は、大きければ大きいほど偏光制御には有効であり(後述する図4を参照)、その角度差が5°以上であれば、実質的に偏光制御の効果が顕著に現われ始める。
また、別の実施の形態として、メサ側壁は必ずしも平面でなくとも良く、曲面であっても良い。その場合、Lx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線は曲線となり、このうち、少なくとも一つの曲線の曲率が異なるようにする。例えば、メサ構造は、円錐台や楕円錐台の形状にし、その側壁の曲面の曲率を異ならせる。
図2に示すように、実際のVCSELでは、メサ構造10を0.2μm〜1μm程度の厚さtを有するSiNx、SiON、SiO等の層間絶縁膜30で覆う。このとき、層間絶縁膜30内には、膜応力が発生する。CVD(Chemical Vapor Deposition)装置の着膜条件によって、膜応力を圧縮応力にしたり、引っ張り応力にしたり、膜応力の大きさを変えることができる。
メサ構造10に引っ張り応力が生じているときのモデルを想定したものが図2である。層間絶縁膜30の歪みによる引っ張り応力Faは、メサ端部で水平方向成分Fxと垂直方向成分Fzに分解することができる。メサ側壁の傾斜角をAとしたとき、分解応力FxおよびFzは、式(1)、(2)で示される。
Figure 0004752201
Figure 0004752201
式(1)、(2)から明らかなように、応力、すなわち歪みは、メサ側壁が基板水平面10とのなす角A(メサ側壁の傾斜角)の関数となりうる。したがって、傾斜角Aを適宜選択することで、メサ構造内の活性層や活性層周囲の導波路層にかかる歪みの掛かり方を制御することができる。このような理由により、メサ側壁の傾斜角をメサの方位毎に制御することにより、メサ構造内の活性層に異方的歪みを与え、その結果として、レーザ光の光学利得の異方性が発現し、レーザ光の偏光方向を制御することが可能となる。図1の例では、Ax1とAx2が略等しく、Ay1とAy2が略等しい場合を挙げたが、角度Ax1、Ax2、Ay1、Ay2のそれぞれ全てが異なっているようにしても良いし、いずれか一つの角度だけが異なっていても良い。一つでも異なる角度があれば、メサに異方的な歪みが生じるため、偏光の制御が可能となる。
さらに、応力Faすなわち歪みは、層間絶縁膜の厚さtによっても制御可能であり、メサ側壁の傾斜角Ax1、Ax2、Ay1、Ay2と層間絶縁膜の厚さtの双方を適宜調整して、より効果的にメサ側壁に歪みを導入させることができる。例えば、歪みの水平方向成分Fxの異方性を強めたい場合は、図1において、Lx1とLx2を含む傾斜の緩いメサ側壁面上にある層間絶縁膜の厚みを厚くする。反対に、歪みの垂直方向成分Fzの異方性を強めたい場合は、図1において、傾斜のきついLy1やLy2を含むメサ側壁面上にある層間絶縁膜の厚みを厚くする。
また、少なくとも一層の高Al組成半導体層(例えば、AsAsやAlGaAsなど)の一部を酸化して形成した酸化アパーチャをメサ構造内に備える選択酸化型VCSELに本発明を適用することができる。酸化アパーチャの平面形状を、楕円や矩形のような長径と短径を有する平面形状にすることで、長径方向にある程度の偏光を揃えることができるが、本発明に係るメサ側壁の傾斜角制御の手法を適用することで、偏光方向をより安定的に固定化することが可能となる。本発明の適用で最も有効なのは、酸化アパーチャの平面形状の長径、あるいは短径方向に、最も大きな歪みがかかるようにメサ側壁の傾斜角を制御することである。
すなわち、選択酸化型のVCSELは、半導体基板上に第一導電型の半導体多層膜反射鏡と、活性層と、第二導電型の半導体多層膜反射鏡とを含み、これらの半導体層をエッチングすることでメサ構造が形成され、メサ構造内に少なくとも一層の高Al組成半導体層の一部を酸化した酸化アパーチャが形成されている。酸化アパーチャの平面形状は、互いに直交する長径と短径を有し、X面はその面内に短径を含み、Y面はその面内に長径を含むようにする。もちろん、これ以外にも、酸化アパーチャ形状が長径と短径を持たない任意の形状であってもよく、その場合、レーザのビーム形状を任意としながらも、偏光制御も可能ならしめることができるという利点が得られる。
次に、本発明の面発光型半導体レーザ装置の詳細な実施例について説明する。図3に本発明による第1の実施例に係るVCSELを示す。図3(a)は、VCSELの上面図、図3(b)が上面図のX1−X1’線断面図、図1(c)が上面図のY1−Y1’線断面図である。
第1の実施例は、少なくとも一層の高Al組成半導体層の一部を酸化して形成した酸化アパーチャをメサ構造中に備える垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置に本発明を適用したものである。
同図において、101がn型GaAs基板、102がn型GaAsバッファー層、103がb型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As多層膜ブラッグ反射鏡、104がアンドープAl0.4Ga0.6Asからなるλ(一波長)のスペーサ層、105がGaAs量子井戸活性層、107はp型AlAs層であり、106がp型AlAs層107をメサ構造の側面から一部高温の水蒸気にて酸化したAlAs酸化層である。p型AlAs層107とAlAs酸化層106で作られる層を酸化アパーチャ層または電流狭窄層と言う。酸化アパーチャ層において、周囲にあるAlAs酸化層106が絶縁層であり、その中心部にあるp型AlAs層107は導電性を有しているため、メサの中心部に電流が狭窄される。さらに、中心部にあるAlAs層107の屈折率が周囲のAlAs酸化層106よりも高いため、光をメサ中心部に集める光導波路にもなっている。
108は、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As多層膜ブラッグ反射鏡であり、109はp型GaAsコンタクト層(キャップ層)、110がp側電極、111がSiNxの層間絶縁膜、112が裏面n側電極となっている。115がp側電極のワイヤーボンディング用パッド、116はワイヤーボンディングパッド115とp側電極110を電気的につなぐp側配線である。p側電極110の中央には、円形状の開口からなるレーザ出射口117が形成され、レーザ出射口117から基板と垂直方向にレーザ光が出射される。
第1の実施例では、VCSELのメサ構造10が矩形状をしている。メサ構造10の略中心を通り、紙面に対して垂直なX1−X1’面と、メサ構造の略中心においてX1−X1’面と略直交するY1−Y1’面とを想定したとき、X1−X1’面と矩形状のメサ側壁113との交線が水平面となす角と、Y1−Y1’面と矩形状のメサのもう一方の側壁114との交線が水平面となす角が異なっている。すなわち、メサ構造10のメサ側壁113の傾斜角と、メサ側壁113と略直交するメサ側壁114の傾斜角が異なっていることを特徴としている。
メサ側壁113と略直交するメサ側壁114の傾斜角が異なるという条件を充たしてさえいれば、メサ側壁113と対向するメサ側壁118や、メサ側壁114と対向するメサ側壁119に関して、それぞれ対向する側壁同士の傾斜角が等しくとも良いし、異なっていても良い。さらに、メサ側壁113、114、118、119の少なくともいずれか一つの側壁の傾斜が他の傾斜角と異なっても良い。
このような条件を充たすべくメサ構造が取りうる形状として、メサ上面とメサ下面(底面)の平面形状が相似形でない場合があげられる。さらに、メサ上面とメサ下面(底面)の平面形状が相似形である場合であっても、メサのある高さにおける水平断面の平面形状が略直交する長径と短径を有する錘台であれば、メサ側壁の傾斜角のいずれか一つを他の傾斜角と異ならせることができる。例えば、メサ構造は、三角錘台、多角錘台、楕円錘台、これらの一部の変形が含まれる。
一方、メサ側壁上にある層間絶縁膜111の厚みは、メサの方位によらず一定である例を図3に示しているが、上記したように、メサ側壁の傾斜角に合わせてメサ側壁上の層間絶縁膜111の厚みを異ならせ、メサにかかる歪み量の差を増幅させ、偏光制御の効果を高めることも可能である。例えば、図3のメサ側壁113と118に厚さ1.5μmのSiNx膜を積層させ、一方、メサ側壁114と119上には厚さ0.7μmのSiNx膜を積層させる。これにより、膜の歪み量は膜厚が大きいほど大きくなるため、活性層に導入される水平方向の歪み量は、X1−X1方向で増幅される。
図4は、メサ側壁の角度差と偏光固定素子の割合との関係を示すグラフである。横軸に、メサ側壁の角度差、縦軸に偏光方向固定素子の割合(%)と示している。図からも理解できるように、メサの角度差が約5度より大きくなると、偏光方向が一定方向に固定されるVCSELの割合が上昇する。例えば、メサの角度差が4度であれば、偏光方向が固定される割合は約21%程度であるが、5度を超えると、約40%にまで上昇する。5度以上では、その割合は漸増し、約10度以上ではほぼ横ばいとなっている。従って、メサ側壁の傾斜角の角度差は5°以上であることが好ましい。
図5(a)、図5(b)は、酸化アパーチャを有するVCSELの酸化アパーチャ形状とメサ構造の側壁の傾斜角との関係を分かり易く説明するための図であり、図3に示すp側電極、p側電極のワイヤーボンディング用パッド、およびp側配線等の本来あるべき構造物を省略している。図5(a)のメサ構造は、酸化アパーチャが略正方形状の平面形状であるのに対し、図5(b)のメサ構造は、酸化アパーチャが長方形状の平面形状である。
図5(a)および図5(b)において、501aと501bがメサ構造の上面部であり、502aと502bがメサ底部である。503aと503bは、高Al組成半導体層のメサ側壁上の端部であり、504aと504bは、酸化アパーチャである。505aと505bならびに506aと506bは、X2−X2’方向のメサの側壁であり、507aと507b及び508aと508bは、Y2−Y2’方向のメサ側壁である。509aと509bならびに510aと510bは、それぞれメサ側壁505aと505bならび506aと506bの水平方向に生じる歪量を示しており、511aと511bならびに512aと512bがそれぞれメサ側壁507aと507b及び508aと508bの水平方向に生じる歪量を示している。歪量の相対的な大小関係は、図中の矢印の長さで表している。
図5(a)に示すメサ構造では、酸化アパーチャ504aの形状は、長軸と短軸の差が無い略正方形に近い形となっている。メサ側壁の傾斜をX2−X2’方向とY2−Y2’方向で違えてあるため、それぞれの方向の歪量も異なり、結果として活性層に異方的な歪みが導入される。ただし、図5(a)のメサ構造では、酸化アパーチャ504aの形状の異方性がほとんどないので、酸化アパーチャ504aの形状による偏光制御は期待できないが、その反面、酸化アパーチャの形状、すなわちレーザビームのニアフィールドパターンは、略正方形となり、等方的なパターンを必要とするアプリケーションに向く。
一方、図5(b)に示すメサ構造では、酸化アパーチ504bの形状が長軸と短軸を有する異方的な形状をしている。歪みまたは応力は、Y2−Y2’方向、すなわち、長軸方向に大きくなっており、長軸方向に偏光が揃うように制御される。これにより、酸化アパーチャの形状による偏光制御に加えて、本発明によるメサ側壁の角度差による異方的な歪みによる偏光制御の効果を重畳させることができ、より安定的な偏光制御が可能となる。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例では、メサ側壁の形状が平面のメサ構造を例示したが、メサ側壁の形状は曲面であっても良い。図6は第3の実施例に係るVCSELを示す。このVCSELは、図3に示すVCSELとは材料構成および構造は同じであるが、メサ側壁601〜604の形状が平面でなく曲面になっている点だけが相違点である。メサ側壁601とそれに相対するメサ側壁602は、凹面でほぼ同一の曲率を有しているが、メサ側壁601ならびに602と略垂直に配置するメサ側壁603と604は凸面となっていて、曲面形状がメサ側壁601ならびに602の曲面形状と異なる。曲面形状が異なると、メサ側壁に積層される層間絶縁膜111によってメサ側壁に加えられる歪み量が異なる。このため、活性層に異方的な歪みが導入され、VCSELの偏光制御が可能となる。メサ側壁の曲面形状は、少なくともいずれかひとつの方位で異なっていれば良く、図6でいえば、メサ側壁601と602と603は略同一形状の曲面であって、メサ側壁604のみが異なる形状の曲面であっても良い。
次に、第1の実施例の特徴を有するAlAs酸化型VCSELの具体的な作製手順を図7ないし図13を参照して説明する。
(1)VCSEL基板の作製
まず、GaAs等3−5族化合物半導体のバルク結晶を基板として、有機金属気層成長(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法により、3−5族化合物(GaAs、AlGaAs)半導体薄膜を順次エピタキシャル成長させ積層してゆく。
積層する薄膜の構造は、前述したように、少なくとも、活性層、スペーサ層、半導体多層膜反射鏡、コンタクト層を有する。具体的には、図7(a)に示すように、Siドープ(Nd=1×1018cm-3)n型GaAs半導体基板101上にSiドープ(Nd=1×1018cm-3)n型GaAsバッファ層102、40.5周期のSiドープ(Nd=1×1018cm-3)n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As多層膜ブラッグ反射鏡103、アンドープλAl0.4Ga0.6Asスペーサ層104、3重量子井戸Al0.11Ga0.89As/Al0.3Ga0.7As活性層105、Znドープ(Na=7×1017cm-3)p型AlAs層107、30.5周期のZnドープ(Na=7×1017cm-3)p型 Al0.3Ga0.7As/Al0.9Ga0.1As多層膜ブラッグ反射鏡108、Znドープ(Na=1×1019cm-3)p型GaAs層109の各層を順次成膜する。p型のAl0.3Ga0.7As/Al0.9Ga0.1As多層膜ブラッグ反射鏡の各層界面には、デバイスの直列抵抗を下げるために、Al0.3Ga0.7AsとAl0.9Ga0.1Asの間の組成のバンド障壁緩衝層を挿入しても良い。
(2)開口部を有するpコンタクト電極の作製
次に、図7(b)および図7(c)に示すように、MOVPE装置で作製したVCSEL基板の最表面(p型GaAs層109)上に、レーザ出射用の開口部117を有するコンタクト電極110を作製する。コンタクト電極110の作製方法は、基板表面に通常のフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、TiとAuを順次着膜してから、レジストを剥離して電極形成するリフトオフ法が好ましい。あるいは、あらかじめTiとAuを着膜しておいて、Auの上で通常のフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成しTiとAuをエッチングしてパターンニングする方法でも良い。p電極材料は、TiとAuの他に、AuZn/Au、Ti/Pt/Auなどを用いても良い。
(3)メサエッチング用マスクの形成
次に、メサ側壁の傾斜角が異なる柱状のメサ(ポスト)構造の作製方法を述べる。図8(a)に示すように、SiO、SiON、SiNxなどの絶縁膜701をマスク材として、p側コンタクト電極110を含むp型GaAs層109の上から基板全面に着膜する。スピンコーターでレジストを絶縁膜701上に塗布し、図8(b)および図(c)の上面図に示すように、レジストパターン702をフォトリソグラフィー法で形成する。そして、レジストパターン702をマスクにて、先ずは、バッファードフッ酸にて絶縁膜701をウエットエッチングする。
レジストを除去すると、図9(a)および図9(b)の上面図に示されるように、パターニングされた絶縁膜マスク703が形成され、その絶縁膜マスク703のエッチングされた絶縁膜端部は、ある傾斜704を有する。次に、再度レジストを、パターニングされた絶縁膜マスク703上にスピンコーター等で塗布し、フォトリソグラフィー法でパターンニングする。今回のレジストパターン705は、図10(a)の上面図に示すように、前回のレジストパターン702と直交する配置とし、絶縁膜マスク703のエッチングされてない方位をエッチングするマスクとする。
そして、SFやCHFやCFや酸素等の単一または混合ガスにより、レジストパターン705をマスクとして絶縁膜マスク703をドライエッチングする。しかるにドライエッチングにより形成された絶縁膜マスク703の新たな端部の傾斜706は、前回のウエットエッチングのときに形成された絶縁膜マスク端部の傾斜704とは異なる。これは、レジストとその下層との密着性や、エッチング条件等の制御により、あるいは、エッチング方法そのものを変えることにより、エッチングされた絶縁膜の端部の傾斜を変えることが可能となる。ここでは絶縁膜マスクの平面形状が矩形の場合を例にとってその形成方法を詳述しているが、その平面形状は必ずしも矩形でなくとも良く、楕円や多角形等、本明細に記するところの形状であれば、複数回にわたるレジストパターン形成と、それぞれのマスクエッチングでの絶縁膜マスクのエッチング条件を適当に選ぶことにより、所望の平面形状のマスクであって、前期マスクの端部の傾斜が方位によって異なる絶縁膜マスクを具現化できる。
(4)メサ(ポスト)構造の作製
上記工程でマスク端部の傾斜が、メサ構造の側壁の方位によって異なる絶縁膜マスク703を準備した。これは、VCSELウエハ上に、方位によって異なる傾斜の側壁を有するメサ(ポスト)構造を作製するためのマスクである。所望のメサ構造を作るには、絶縁膜マスクを用い、BClガスやClガスやArガス等のプラズマを用いた反応性イオンエッチング(RIE)にてVCSELウエハをドライエッチングすることが肝要である。この系のドライエッチングは、前記ガスの混合比や高周波のパワーなどを制御することにより絶縁膜マスクとVCSELウエハのエッチング速度比(選択比)を自由にコントロールすることができる。しかるに、ある選択比でVCSELウエハをドライエッチングすると、各マスク端部では、その端部の絶縁マスク703の傾斜に依存してVCSELウエハのメサの傾斜が形成される。絶縁膜マスク703の端部傾斜が方位によって異なる形状であるため、VCSELウエハのメサ構造の側壁の傾斜も方位によって異ならせることができる。
図11(a)は上面図、図11(b)はX4−X4’線断面図、図11(c)はY4−Y4’線断面図であり、これらに上記作製方法によって作製されたVCSELウエハのメサ構造が示されている。エッチング深さは、少なくともAlAs層107端部がメサ側壁に露出する以上の深さとする。図11のメサ構造の場合、メサ側壁113と118はほぼ同一の傾斜を有し、メサ側壁114と118はほぼ同一の傾斜を有するが、メサ側壁113とメサ側壁114、あるいは、メサ側壁114とメサ側壁119は異なる傾斜を有している。
このような作製方法により、1回のドライエッチングで、異なる傾斜の側壁を有するメサ構造をVCSELウエハに作製することができる。1回のエッチングでメサ構造を作製できることは、後工程であるAlAs層の酸化工程の制御性を高めるためには重要である。例えば、絶縁膜マスク703を形成するときのエッチングと同様に、仮にVCSELウエハのエッチングを2回に分けた場合、1回目に作製した方位のメサの側壁は、2回目のエッチング時にレジストあるいは、絶縁膜マスクで覆われてしまい、メサ側壁に露出しているAlAs層の露出端部を汚染してしまう。これにより汚染されたAlAs層の露出端部からの酸化は、汚染されていないAlAs層の露出端部からの酸化とは異なり、メサ中心部に正常なAlA層の酸化が進行しない不具合が生じてしまう。しかるに、1回のエッチングでメサ構造を作製することが可能な製造方法は、後工程であるAlAs層の酸化工程の制御性を高めるために重要である。
(5)AlAs酸化工程
メサ構造を作製したら、直ちにアニール炉内に挿入し、水蒸気を導入してメサ側面からAlAs層の選択酸化を行う。その時のアニール温度は、300〜350℃程度である。また、水蒸気は、熱水タンク内の70〜100℃の熱水を窒素キャリアガスでバブリングして炉内に輸送する。水蒸気酸化を行うと、Al組成の高いAlGaAsとAlAs層がアルミ酸化物(AlxOy)に変化するが、AlAsの方がAlGaAsに比べて酸化速度が圧倒的に速いため、AlAsのみが選択的にポスト側壁端部からポスト中心部へ向っての酸化が進行し、図12(a)、(b)に示すように、AlAs層の酸化層106が形成される。
アニール時間を制御することで、メサの中央部にAlAs層107を所望サイズだけ残すことができる。AlAs層の酸化層106は、電気伝導度が極度に小さく、AlAs層107は電気伝導度が大きいため、ポスト構造の中心部に残されたAlAs層106のみに電流が流れる電流狭窄構造とすることができる。
(6)層間絶縁膜着膜
図13(a)に示すように、メサ全体をSiO、SiON、SiNx等の層間絶縁膜111で被覆する。これは、AlAs層のほとんどがポーラス状のAlxOy膜に置換されて形成された酸化層であることによって生じるメサ自体の強度低下を絶縁膜111で覆うことで構造強度を補強するため、および、メサ側壁に露出した酸化層端部からの変質を防止するためである。
(7)コンタクトホールの作製
次に、図13(b)に示すように、メサ上部の層間絶縁膜111の下層にあるコンタクト電極109にp配線電極110を接地させるためのコンタクトホール707を開ける。コンタクトホール707は、フォトリソグラフィーでパターニングを行い、バッファードフッ酸(BHF)等の薬液によるエッチングやドライエッチングにて行う。
(8)p配線電極形成とn電極形成
図3に示すように、最後にボンディング用パッド115とp配線電極116を通常のフォトリソグラフィーとTiとAuを順次着膜する蒸着法とレジストを剥離して電極パターンを形成するリフトオフ法により形成する。また、n電極112をVCSEL基板の裏面から蒸着により着膜する。電極材料としては、AuGe/Au、AuGe/Ni/Au等が挙げられる。最後に着膜した電極がオーミック電極として機能するよう400℃程度でアニールし、合金化する。
こうして、第1の実施例に係る、図3に示す選択酸化型のVCSELを得ることができる。上記例では、メサ構造のX1−X1’方向とY1−Y1’方向のメサ側壁の傾斜角を異ならせる工程を示したが、仮に、メサ側壁の4つの傾斜角をすべて異ならせる場合には、それに応じて絶縁膜マスクの4つの方位の端部の傾斜角をすべて異ならせるようにしてもよい。必要であれば、4回のエッチングを行い、絶縁膜マスクの各方位の端部の傾斜角を可変するようにしてもよい。さらに、第2の実施例のように、メサ側壁が曲面である場合にも、絶縁膜マスクの端部の傾斜を調整し、エッチングの条件を調整することで、所望の曲率を得ることが可能である。
なお、上記実施例は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定的に解釈されるべきものではなく、本発明の構成要件を満足する範囲内で他の方法によっても実現可能であることは言うまでもない。
本発明に係る表面発光型半導体レーザ素子は、半導体基板上に単一もしくは二次元アレイ上に配列され、光通信や光記録等の光源等に利用することができる。
本発明の面発光型半導体レーザ装置のメサ構造を説明する図であり、図1(a)はメサ構造の上面図、図1(b)はメサ構造のX面断面を示す図、図1(c)はメサ構造のY面断面を示す図である。 メサ構造の層間絶縁膜による歪みによる応力を説明する図である。 本発明の第1の実施例に係るVCSELを示す図であり、図3(a)はVCSELの上面図、図3(b)はX1−X1’線断面図、図3(c)はY1−Y1’線断面図である。 メサ側壁角度差と偏光固定素子の割合の関係を示すグラフである。 酸化アパーチャを有するVCSELの酸化アパーチャ形状とメサ構造の側壁の傾斜角との関係を分かり易く説明する図である。 本発明の第2の実施例に係るVCSELを示す図であり、図6(a)はVCSELの上面図、図6(b)はX3−X3’線断面図、図6(c)はY3−Y3’線断面図である。 第1の実施例に係るVCSELの製造工程を示す図であり、図7(a)、(b)は工程断面図、図7(c)は図7(b)に対応する上面図である。 絶縁膜マスクの製造工程を示す図であり、図8(a)、(b)は工程断面図、図8(c)は図8(b)に対応する上面図である。 絶縁膜マスクの製造工程を示す図であり、図9(a)は工程断面図、図9(b)は上面図である。 図10(a)は絶縁膜マスクの2回目のエッチングを行うときの上面図であり、図10(b)は2回目のエッチング終了後に形成された絶縁膜マスクの上面図である。 メサ構造の製造工程を示し、図11(a)は上面図、図11(b)はX1−X1’線断面図、図11(c)はY1−Y1’線断面図である。 酸化アパーチャの製造工程を示し、図12(a)はX1−X1’線断面図、図11(b)はY1−Y1’線断面図である。 図13(a)は層間絶縁膜を形成したときのX1−X1’線断面図、図13(b)は層間絶縁膜にパターニングしたときのX1−X1’線断面図である。 図14(a)、(b)は、従来のVCSELの構成例を示す断面図である。
符号の説明
10:メサ構造 20:基板水平面
30:層間絶縁膜 101:GaAs基板
102:バッファー層 103:n型多層膜ブラッグ反射鏡、
104:スペーサ層 105:活性層
106:AlAs酸化層 107:p型AlAs層
108:p型多層膜ブラッグ反射鏡 109:コンタクト層
110:p側電極 111:層間絶縁膜
112:n側電極 113:側壁
114:側壁 115:ボンディングパッド
116:p側配線 117:出射口
118:側壁 119:側壁
Lx1、Lx2、Ly1、Ly2:メサ側壁との交線
Ax1、Ax2、Ay1、Ay2:交線と基板水平面とのなす角度

Claims (12)

  1. 基板上に少なくとも第一導電型の第1の半導体多層膜反射鏡、第二導電型の第2の半導体多層膜反射鏡、第1および第2の半導体多層膜反射鏡の間に挟まれる活性層とを含み、かつ、基板上に形成されたメサ構造は、その内部に少なくとも活性層を含み、メサ構造の頂部から基板と垂直方向にレーザ光を出射する垂直共振器型の面発光型半導体レーザ装置であって、
    基板水平面内に対して垂直であり、かつ、メサ構造のおおよそ中心を原点とする2つの直交する直交面(X面、Y面)が、メサ構造の側面と交わる交線をそれぞれLx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線とし、Lx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線が基板水平面とのなす角度をそれぞれ、Ax1、Ax2、Ay1、Ay2としたとき、Ax1とAx2が略等しく、Ay1とAy2が略等しく、Ax1とAy1が異なる値であり、前記メサ構造の側壁は絶縁膜によって覆われることを特徴とする垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  2. 基板上に少なくとも第一導電型の第1の半導体多層膜反射鏡、第二導電型の第2の半導体多層膜反射鏡、第1および第2の半導体多層膜反射鏡の間に挟まれる活性層とを含み、かつ、基板上に形成されたメサ構造は、その内部に少なくとも活性層を含み、メサ構造の頂部から基板と垂直方向にレーザ光を出射する垂直共振器型の面発光型半導体レーザ装置であって、
    基板水平面内に対して垂直であり、かつ、メサ構造のおおよそ中心を原点とする2つの直交する直交面(X面、Y面)が、メサ構造の側面と交わる交線をそれぞれLx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線としたとき、Lx1線とLx2線の曲率が略等しく、Ly1線とLy2線の曲率が略等しく、Lx1とLy1の曲率が異なり、前記メサ構造の側壁は絶縁膜によって覆われることを特徴とする垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  3. メサ構造が、Y面に対して面対称な形状であり、かつ、略楕円錐台か、略三角錐台か、略四角錐台か、略多角錘台かのいずれかの形状のメサ構造である、請求項1または2に記載の垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  4. メサ構造の最上面の平面形状と、メサ構造の最下面での断面の平面形状とが非相似形である、請求項に記載の垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  5. メサ構造は、少なくとも一層の高Al組成半導体層の一部を酸化して形成した酸化アパーチャを含む、請求項1、2、3、または4に記載の垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  6. 酸化アパーチャの平面形状は、長径と短径を有し、長径と短径は略直交しており、前記X面はその面内に短径を含み、前記Y面はその面内に長径を含む、請求項に記載の垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  7. 前記絶縁膜は、SiNx、SiON、SiO、またはポリイミドのいずれかを含む、請求項1ないし6いずれか1つに記載の垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  8. Ax1とAy1との角度差、または、Ax1とAy2との角度差が、5°以上ある、請求項1ないしいずれか1つに記載の垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  9. Lx1線の上の絶縁膜の厚みをtx1、Lx2線の上の絶縁膜の厚みをtx2、Ly1線の上の絶縁膜の厚みをty1、Ly2線の上の絶縁膜の厚みをty2としたとき、角度Ax1、Ax2、Ay1、Ay2の大きさに応じて、絶縁膜の厚みtx1、tx2、ty1、ty2の値が異なる、請求項1ないし8いずれか1つに記載の垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置。
  10. 半導体基板上に、少なくとも第一の導電型の半導体多層膜反射鏡と、活性層と、第二の導電型の半導体多層膜反射鏡とを順次積層して形成した半導体積層膜を形成する工程と、
    前記半導体積層膜上に、方位によって端部の傾斜を異にするマスクを形成する工程と、
    前記マスクにより前記半導体多層膜をエッチングしてメサ構造を形成する工程と、
    前記メサ構造を覆う絶縁膜を形成する工程とを含み、
    前記半導体基板水平面内に対して垂直であり、かつ、メサ構造のおおよそ中心を原点とする2つの直交する直交面(X面、Y面)が、メサ構造の側面と交わる交線をそれぞれLx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線とし、Lx1線、Lx2線、Ly1線、Ly2線が基板水平面とのなす角度をそれぞれ、Ax1、Ax2、Ay1、Ay2としたとき、Ax1とAx2が略等しく、Ay1とAy2が略等しく、Ax1とAy1が異なる値であることを特徴とする垂直共振器型の面発光半導体レーザ装置の製造方法。
  11. 前記メサ構造の側壁が前記半導体基板水平面と成す角は、マスクの端部の傾斜に応じて異なる、請求項10に記載の面発光型半導体レーザ装置の製造方法。
  12. 前記製造方法はさらに、メサ構造に含まれる少なくとも一層の高Al組成半導体層の一部を酸化させる工程を含む、請求項10に記載の面発光型半導体レーザ装置の製造方法。
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