JP4748394B2 - 昇華転写シート - Google Patents

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本発明は昇華転写シートに関するものであり、詳しくは転写用の加熱手段であるサーマルヘッドにカスを付着させることがなく、走行性にも優れた昇華転写シートに関する。
従来、熱転写シートの分野では、基材として耐熱性の低いプラスチック薄膜を用いる場合、印画時にスティッキングによりサーマルヘッドにカスが付着して剥離性、スリップ性が低下したり、基材が破損したりしないよう、基材に耐熱性に富む熱硬化性樹脂等からなる耐熱層を形成することが行われている。しかし、これにより耐熱性は向上するが、サーマルヘッドのスリップ性は同時には向上せず、また硬化剤の使用が必要になって製造工程が複雑化してしまう。さらには、基材自体の耐熱性が低いために、充分な硬化皮膜を得るには塗工後に低温度での長期エージングが必要となり、その際に温度管理が不十分であると、シワが発生したり、反対面とブロッキングしたりしてしまうといった問題があった。
この場合、スリップ性を向上させるためには、シリコーンオイル、低融点ワックス、界面活性剤等の低融点滑剤を添加することも考えられるが、その低融点のゆえに熱転写シート巻き取りの際に反対面に移行したり、印画時にサーマルヘッドを汚染したりしてしまうという問題がある。また、フィラーを添加することも考えられるが、フィラーの材料によってはサーマルヘッドを摩耗させてしまうという問題があった。
かかる問題点を解決するために、シリコーン変性ポリウレタン樹脂からなる背面層、ポリシロキサン−ポリアミド系ブロック共重合体からなる耐熱保護層、シリコーン変性ポリイミド樹脂を含む耐熱保護層等を設けることが提案されているが、樹脂自体の耐熱性が低いため高エネルギー印画時にスティッキングしたり、特殊溶媒を使用するため製造性や対環境性が悪化したりするという問題があった。また、ポリアミドイミド樹脂組成物やポリアミドイミド樹脂に潤滑剤を含む耐熱保護層も提案されているが、いずれも耐熱性が未だ不充分で、高エネルギー印画時にヘッドにカスが付着して印画に悪影響を与えるという問題があった。
そこで、かかる問題に対処すべく、特許文献1は基材の一方の面に加熱により溶融または昇華する転写インキ層を設け、サーマルヘッドが接する基材の他方の面に背面層を設けてなる熱転写シートにおいて、該背面層が示差熱分析によるTgが200℃以上であるポリアミドイミド樹脂とポリアミドイミドシリコーン樹脂を特定量混合したものをバインダとし、更にアルキルリン酸エステルの多価金属塩、フィラーを特定量混合した熱転写シートを開示している。
特開2001−334760号公報
しかし、かかる背面層を有する昇華転写シートをリボン状に巻き取った場合、不都合があった。すなわち、ポリアミドイミドシリコーン樹脂の配合量が多い場合、具体的には配合量がポリアミドイミド樹脂100質量部に対して25質量部を超えた場合、あるいは極端には20質量部を越えた場合には、遊離シリコーンが、昇華転写インキ層と面順次に設けられた保護層に転移することによって保護層を転写する際の接着性が低下し、転写不良を起こすことさえあった。かかる事態を回避すべく配合割合を25質量部未満ないし20質量部に抑えるためには、滑剤であるアルキルリン酸エステル多価金属塩等を多量に配合しなければならない。しかし、その場合、耐熱滑性層自体の強度が低下したり、リン酸エステル多価金属塩がその配合量の多さゆえに印画時にサーマルヘッドにカスとして付着したりする傾向があった。かかる事態を回避するため、さらにフィラーであるタルクを配合すると、タルクの硬度が高いため、サーマルヘッドを傷付け劣化させてしまうという問題があった。この場合、特に走行性を低下させないためには、タルクとして平均粒径が2μm以上のものを使用することが必要となるが、バインダとしてポリアミドイミド樹脂とポリアミドイミドシリコーン樹脂との組合せを用いた場合には、耐熱滑性層の層厚が薄くなるため、成膜後の耐熱滑性層の表面から突出しているタルクの体積が増大し、ヘッドの損傷がより大きくなる。
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、ヘッドへのカスの付着やヘッドの劣化を起こすことがなく、走行性に優れ、保護層の転写不良を引き起こすことのない昇華転写シートを実現することを目的とするものである。
そして、本発明は上記目的を達成するために基材の一方の面に昇華性染料層を設け、他方の面に耐熱滑性層を設けてなる昇華転写シートであって、該耐熱滑性層がバインダ樹脂として少なくともポリアミドイミド樹脂とシリコーン変成ポリアミドイミド樹脂とを、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対してシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂10〜25質量部の割合で含有しており、さらに平均粒径が1〜7μmである尿素ホルムアルデヒド樹脂の硬化物粉末を該バインダ樹脂100質量部に対して1〜20質量部の割合で含有するようにしたものである。
本発明においては、前記耐熱滑性層がさらに式(1):
Figure 0004748394
〔式中、nは3または4を表し、2n個のXはそれぞれ独立して式(2):
Figure 0004748394
(式中、X、X、X、X、およびXはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す)の基を表す〕で表されるホスホニトリル酸フェニルエステル系化合物を、前記バインダ樹脂100質量部に対して3〜30質量部の割合で含有していることが好ましい。
また、本発明に係る昇華転写シートは、前記昇華性染料層と面順次に設けられた保護層をさらに有していることが好ましい。
本発明の昇華転写シートによれば、以下のような作用効果を得ることができる。
1.ポリアミドイミド樹脂の配合量に対するシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂の配合量の比を減少させることにより、遊離シリコーンの量を減少させることができる。これにより、昇華転写シートをリボン状に巻いた場合に、昇華性染料層と面順次に設けられた保護層への遊離シリコーンの転移量が減少し、保護層の接着性の低下やそれに起因する転写不良を有効に防止することができる。
2.耐熱滑性層に平均粒径が1〜7μmである有機フィラーを含有させることにより、ヘッドの損傷やヘッドへのカス付着を防止しつつ走行性を有効に改善することができる。
3.耐熱滑性層に上記式(1)で表されるホスホニトリル酸フェニルエステル系化合物を含有させることにより、耐熱滑性層の走行性を良好に保つこと、特に高速印字特において良好に保つことができ、かつサーマルヘッドへのカスの付着を効果的に防止することができる。
4.昇華転写シートをリボン状に巻いて高温、高温の環境下に保存してもブロッキングを起こすことがない。
本発明においては、上述したように、耐熱滑性層にバインダ樹脂として少なくともポリアミドイミド樹脂とシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂とを含有させる。
これらポリアミドイミド樹脂およびシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂としては、適度の耐熱性を与えるものとして、それぞれ示差熱分析により測定されるTgが200℃〜300℃であるものが好ましく用いられる。
本発明において、耐熱滑性層のバインダ樹脂としてのポリアミドイミド樹脂としては、溶融重合法、溶液重合法等いずれの合成法により得られたものも使用することができる。溶液重合法の場合、酸クロリド法、直接重合法、イソシアネート法等の方法で重合できるが、工業的に有利なイソシアネート法の場合、イソホロンジイソシアネートを必須成分とするジイソシアネートの1種以上とジカルボン酸、および/または芳香族多価カルボン酸の1種以上とを有機溶媒中、200℃以下の温度において互いに反応させて得られる。かかるポリアミドイミド樹脂の好適な例としては、特開平8−113647公報および特開平8−244369公報に記載されているものを挙げることができる。
本発明において、耐熱滑性層のバインダ樹脂として使用されるシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂の好適な例としては、上記の特開平8−113647公報および特開平8−244369公報にポリアミドイミドシリコーン樹脂として記載されているものを挙げることができる。具体的には、同公報に記載された上記のポリアミドイミド樹脂と、分子量1000〜6000、好ましくは2000〜6000の多官能シリコーン化合物との共重合体または変性体である。ここで、上記ポリアミドイミド樹脂に対して共重合または変性させる多官能シリコーン化合物としては、末端または分子鎖中に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、酸無水物基、不飽和基のいずれかを有するシリコーン化合物、例えばアミノ基終端ジメチルポリシロキサン、エポキシ基終端ジメチルポリシロキサン、カルボキシル基終端ジメチルポリシロキサン等が好ましく用いられる。該シリコーン化合物の共重合または変性はポリアミドイミド樹脂の合成と同時に行ってもよく、ポリアミドイミド樹脂の合成終了後に行ってもよい。
この場合、シリコーン変性ポリアミドイミド樹脂の変性量は、ポリアミドイミド樹脂1に対して多官能シリコーン化合物0.01〜0.3であることが好ましい。変性量が少なすぎるとポリアミドイミド樹脂と混合して膜を形成した場合に十分な滑性を得ることができず、多すぎると耐熱性や膜強度が低下する傾向がある。
また、本発明においてバインダ樹脂として併せて使用するポリアミドイミド樹脂とシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂との配合量比は、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対してシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂10〜25質量部であることが好ましく、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対してシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂10〜20質量部であることがより好ましい。
ポリアミドイミド樹脂100質量部に対してシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂が25質量部、極端には20質量部より多くなると遊離のシリコーン量が多くなり、昇華転写シートをリボン状とした場合に遊離シリコーンの保護層への転移量が多くなって保護層の転写性の低下を招く傾向がある。また、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対してシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂が10質量部より少なくなると滑性が低下し、ブロッキングやスティッキングを起こす傾向がある。
本発明において、耐熱滑性層のバインダ樹脂中に配合する有機フィラーとしては尿素ホルムアルデヒド樹脂の硬化(架橋)物であって粒子形状を有するものを挙げることができる。
かかる粒子の製造ならびに粒径の調整は公知の装置を用いて常法により行うことができる。その代表例としては、上記の架橋樹脂を充分乾燥し、ピンミル等を用いて粉砕する方法、上記架橋樹脂の水性スラリーを調製し、コロイドミル等を用いて粉砕する方法、上記架橋樹脂を粗砕処理、濾過処理し、次いでハンマーミルやインペラーブレーカーのような衝撃式粉砕機を用いて粉砕する方法等を挙げることができるがこれらに限定されない。
本発明において用いる有機フィラーの平均粒子径は1〜7μmの範囲内である。
平均粒子径がμm未満であると走行性や保存性の改善に実質的に寄与せず、一方μmより大きいと印画物の画質の低下を招く傾向がある。
また、有機フィラーの配合割合は前記バインダ樹脂100質量部に対して1〜20質量部である。1質量部未満であると走行性や保存性の改善に実質的に寄与せず、20質量部より多いと印画物の画質の低下を招く傾向がある。
また、かかる有機フィラーの一次粒子径は、好ましくは0.05〜0.5μmであり;BET比表面積は好ましくは5〜30m/g、より好ましくは10〜20m/gであり;嵩密度は好ましくは0.05〜0.5g/mL、より好ましくは0.1〜0.3g/mLであり;吸水量は好ましくは600〜1600mL/100g、より好ましくは800〜1400mL/100gであり;吸油量(アマニ油)は500〜1000mL/100gであることが好ましい。
有機フィラーの諸物性がかかる各範囲内にあれば、その二次粒子の構造は大きな空隙を有するものとなり、バインダ樹脂に配合されてサーマルヘッドと接触しても小さな応力で容易に変形するためサーマルヘッドを傷付けることがない。
さらに、かかる空隙の大きな有機フィラーを用いると、たとえヘッドにカスが付着することがあっても、ヘッドに付着したカスがフィラーに再付着して、ヘッドからカスを除去することができるので、結果としてヘッドへのカスの付着を有効に防止することができる。
かかる有機フィラーとしては、日本化成(株)製の尿素ホルムアルデヒド架橋樹脂粉であるサブミクロンフィラーが好適に用いられる。
本発明において、耐熱滑性層中にバインダ樹脂と共に好ましく含有される上記式(1)により表されるホスホニトリル酸フェニルエステル系化合物としては、式(3):
Figure 0004748394
(式中、nは3または4である)で表される伏見製薬所製のFP−100(融点:112℃)を好適なものとして挙げることができる。
本発明において、耐熱滑性層中のホスホニトリル酸フェニルエステル系化合物の含有量は、耐熱滑性層中のバインダ樹脂100質量部に対して好ましくは3〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。3質量部未満であると所望する滑性を得ることができず、印画時の走行性が低下して昇華転写シートにシワが入る等の問題が発生する傾向がある。一方、30質量部を超えると耐熱滑性層の被膜形成能が低下して耐熱滑性層自体の強度が低下し、印画時にサーマルヘッドにカスが付着する傾向がある。
本発明においては、耐熱滑性層がアルキルカルボン酸の多価金属塩をさらに含有していることが好ましい。かかるアルキルカルボン酸の多価金属塩としては、式(4):
[化4]


[R−C−O−]

(式中、Rは11個以上の炭素原子を有するアルキル基であり;Mはバリウム、カルシウム、マグネシウム等アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、またはリチウムであり;nはMの原子価を表す)で表される化合物が好ましく用いられる。
本発明において、耐熱滑性層中におけるアルキルカルボン酸多価金属塩の含有量は、ホスホニトリル酸フェニルエステル系化合物とアルキルカルボン酸多価金属塩との合計量に対し1〜90質量%、好ましくは10〜50質量%である。添加量が1質量%より少ないと印画時の走行性が低下する傾向がある。一方、添加量が90質量%より多いと耐熱滑性層の被膜形成能が低下して耐熱滑性層自体の強度が低下し、印画時にサーマルヘッドにカスが付着する傾向がある。
(昇華転写シートの作製)
本発明に係る昇華転写シートは以下のようにして作製することができる。
(昇華性染料層の形成)
まず、昇華性染料(色素)、バインダ等からなる組成物を適当な溶媒に分散、溶解させる。
昇華性色素としては、シアン色素としてソルベントブルー63等、マゼンタ色素としてディスパースレッド60等、イエロー色素としてソルベントイエロー162等を使用することができる。
昇華性染料層のバインダとしては、一般にポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂等が用いられる。
この分散液または溶液を昇華性染料層形成用の塗工液として用い、この塗工液を、基材としての厚さ2.5〜7.0μmのポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等の一方の面に0.3〜3.0g/mの塗布量となるようソルベントコーティングすることにより昇華性染料層を形成する。
この時、必要に応じ、昇華性染料層と被記録媒体との熱融着を防止するために、シリコーン樹脂等の融着防止剤をさらに配合してもよい。
また、基材と昇華性染料層との接着を強固にするため、基材の一方の面にあらかじめ接着層を形成した後、その接着層の上に上記の昇華性染料層を設けてもよい。かかる接着層は、ポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂のエマルジョンを、塗布量が0.05〜0.20g/mとなるようグラビアコーターやキスコーターを使用して基材に塗工することにより形成することができる。
(耐熱滑性層の形成)
次いで、基材の、昇華性染料層を設けた面と反対側の面に耐熱滑性層を形成する。
まず、示差熱分析で200℃〜300℃のTgを示すポリアミドイミド樹脂とシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂、有機フィラー、および必要に応じホスホニトリル酸フェニルエステル系化合物、アルキルカルボン酸多価金属塩等を含む組成物を芳香族炭化水素とアルコールとを含む溶剤、例えばトルエンとエタノールとの混合溶剤中に溶解させる。この場合の溶液粘度(B型粘度型で測定)は2〜60ポイズ程度であることが好ましいが、塗布方法や塗布量に応じて溶剤を増減するなどして粘度を調節してもよい。
得られた溶液を、基材の、昇華性染料層を設けたのと反対側の表面上に、塗布量が0.05〜0.5g/mとなるようグラビアコーターやキスコーターを用いて塗工することにより耐熱滑性層を形成することができる。
このようにして作製した本発明にかかる昇華転写シートは、カードプリンタ、ビデオプリンタ等多種多様なプリンタに使用することができる。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を示すが、本発明はそれら実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1〜、比較例1〜8)
(有機フィラーの製造)
カルボキシメチルセルロースのNa塩1.0質量部を水69.6質量部に溶解し、この溶液に37%ホルマリン54.9質量部および尿素26.9質量部を加えた。次いで、この溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.0となるように調整し、70℃において1.5時間反応させて中間縮合物を得た。この中間縮合物の水溶液100質量部を40℃に加熱し、これに40℃の10%硫酸水溶液100質量部を混合し、40×30分間放置して尿素ホルムアルデヒド樹脂を得た。得られた尿素ホルムアルデヒド樹脂に水160質量部を加え、攪拌してスラリーとし、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に中和して固形分含有率6.9%の尿素ホルムアルデヒド架橋樹脂のスラリーを得た。このスラリーを超音波分散型粉砕機(エバラマイルダー(商品名);荏原製作所製)を用いて種々の粉砕時間、粉砕速度で粉砕して平均粒子径の異なる(0.4μm、0.5μm、3.0μm、10.0μm、および12μm)尿素ホルムアルデヒド樹脂硬化物粉末(微粒子)を得た。なお、平均粒子径の測定は、ミクロン・フォート・サイザーSKC−2000S(商品名;セイシン企業製)を用い、ストークスの法則を利用した光透過式遠心沈降法により測定した。すなわち、上記の各架橋樹脂粉末を蒸留水に分散させ、粒子の沈降による濁度の変化を光の透過率の変化として測定し、この測定値より質量累積分布曲線(片対数)を求め、その50%径をもって平均粒子径とした。曲線は粒子の真比重を1.45、蒸留水(20℃)の比重を0.998、粘度を1.005として算出した。
(昇華転写染料層の形成)
まず、基材としての厚さ6μmのポリエステルフィルムの一方の面にウレタン樹脂(商品名:ネオレッツR−960;楠本化成製)を乾燥時0.1g/mの塗布量となるようにキスコーターを用いて塗工して接着層を形成した。
次いで、接着層の上に、VP規格の面順次仕様のプリントができるように、下記表1に示す組成を有する各昇華性インクはそれぞれ乾燥時1.0g/cmの塗布量となるように、保護層用インクは乾燥時2.5g/cmの塗布量となるようにグラビアコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して昇華転写染料層及び保護層を形成した。なお、表1中の各成分量は質量部を意味する。
Figure 0004748394
(表1中の各名称/記号の意味)
#1:日本化薬社製染料;#2:三井化学社製染料;
#3:バイエル薬品社製染料;#4:クラリアント社製染料;
#5:積水化学工業社製ポリビニルブチラール樹脂;#6:エクソンモービル社
製スチレン樹脂;#7:三菱レイヨン社製アクリル樹脂
(耐熱滑性層の形成)
上記手順で一方の面に昇華転写染料層等を形成したポリエステルフィルム基材の反対側の面に、下記表2に示す各組成を有する各塗工液を、グラビアコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して耐熱滑性層を形成し、実施例1〜に係る昇華転写シートを得た。なお、表2中、特に単位を示さない数値は成分量(質量部)を意味する。

Figure 0004748394
(表2中の各名称/記号/用語の意味)
#1:東洋紡績社製ポリアミドイミドシリコーン樹脂
#2:東洋紡績社製ポリアミドイミド樹脂
#3:東洋紡績社製ポリアミドイミドシリコーン樹脂
#4:伏見製薬所社製ホスホニトリル酸フェニルエステル
#5:実施例において上記手順で製造した尿素ホルムアルデヒド樹脂硬化物粉末
#6:窒素ガス吸着法により測定
表2に示す各組成を有する各塗工液に代えて下記表3に示す各組成を有する各塗工液を使用した以外は実施例1〜と同様の手順に従って比較例1〜8に係る昇華転写シートを製作した。なお、表3中、特に単位を示さない数値は成分量(質量部)を意味する。

Figure 0004748394
(表3中の各名称/記号/用語の意味)
#1:東洋紡績社製ポリアミドイミドシリコーン樹脂
#2:東洋紡績社製ポリアミドイミド樹脂
#3:東洋紡績社製ポリアミドイミドシリコーン樹脂
#4:伏見製薬所社製ホスホニトリル酸フェニルエステル
#5:実施例において上記手順で製造した尿素ホルムアルデヒド樹脂硬化物粉末
#6:窒素ガス吸着法により測定
#7:日本タルク社製微粉タルク(MICRO ACE P−6(商品名);粒径はレーザ回折法により測定)
#8:日本タルク社製微粉タルク(MICRO ACE P−2(商品名);粒径はレーザ回折法により測定)
<特性評価>
<転写性評価>
上記実施例1〜および比較例1〜8で得られた各昇華転写シートの昇華転写染料層と、被記録媒体としてのVP規格プリンタ搭載用シート(VPM−P50STB(商品名);ソニー製)とを対向させて重ね合わせ、昇華型熱転写プリンタ(CVP−G7(商品名);ソニー製)を用いて32階調のグラデーション印画(1階調から32階調へ移るに従い濃度の薄い領域から濃度の濃い領域になるものとする)を行い、画質ムラを目視で観察し、以下の評価基準(印画品質)に従って転写性を評価した。なお、各階調の光学反射濃度を反射濃度計(マクベスRD−918(商品名);グレタグマクベス社製)を用いて測定した。
○:全ての階調においてムラが無かった。
△:1〜2階調においてムラが若干有ったものの、その他の階調においては無かった。
×:3階調以降においてもムラが有った。
<保存性評価>
上記実施例1〜および比較例1〜8で得られた各昇華転写シートをプラスチック製の中空円筒状のコアに巻き取って昇華転写リボンを作製し、60℃、温度80%の環境下で100時間放置した後、再び解いて昇華転写シートの状態を観察し、以下の評価基準に従って保存性を評価した。
○(良好):ブロッキングは全く発生しなかった。
△(実用可):ブロッキングは発生しなかったが、解く途中で引っかかりを感じた。
×(実用不可):ブロッキングが発生した。
<走行性評価>
上記実施例1〜および比較例1〜8で得られた各昇華転写シートの昇華転写染料層と、被記録媒体としてのVP規格プリンタ搭載用シート(VPM−P50STB(商品名);ソニー製)とを対向させて重ね合わせ、VP規格プリンタ(デジタルカラープリンタDPP−M55(商品名);ソニー製)を用い、昇華転写シートの耐熱滑性層側からサーマルヘッドによって通常モードで加熱して記録を行い、走行状態および印画状態を観察し、以下の評価基準に従って各昇華転写シートの走行性を評価した。
○(良好):良好に走行し、印画も良好であった。
△(実用可):印画にシワによるスジは見られなかったが、印画後の昇華転写シートを観察したところシワが発生していた。
×(不良):走行不良により、シワが発生し、印画にシワによるスジが発生していた。
<対ヘッド付着性/損傷性評価>
上記実施例1〜および比較例1〜8で得られた各昇華転写シートを用いて、上記走行性評価において行ったのと同様の記録動作を各100回行い、サーマルヘッドの表面の付着物の量ならびに損傷の有無、程度を顕微鏡で観察し、以下の評価基準に従って各昇華転写シートの対ヘッド付着性/損傷性を評価した。
○(良好):付着物の最大厚さが0.2μm未満であり、かつヘッドに目立った損傷が無い。
△(実用可):付着物の最大厚さは0.2μm以上0.4μm未満であるが、ヘッドの損傷は実用上問題のないレベルである。
×(実用不可):付着物の最大厚さが0.4μm以上であるか、またはヘッドに実用上問題のあるレベルの損傷が有る。
<高温時の動摩擦係数評価>
上記実施例1〜および比較例1〜8で得られた各昇華転写シートにつき、摩擦測定機(HEIDON−14D(商品名);新東科学製)を用い、垂直荷重1kgwをかけた状態で、被対象物として60℃および110℃に加熱したガラス板を用いてガラス板と耐熱滑性層との動摩擦係数を測定し、測定結果を以下の評価基準に従って評価した。
○(良好):0.45未満
△(実用可):0.45以上0.50未満
×(実用不可):0.5以上
<保護層転写性評価>
走行性評価で印画した印画物に同プリンタの通常モードで保護層を転写して転写性を確認し、以下の評価基準に従って保護層転写性を評価した。
○(良好):問題なく転写でき、接着力も良好であった。
×(実用不可):異常転写が見られた(転写されていない箇所があった)。
以上の各特性評価の結果を下記表4に併せて示す。

Figure 0004748394

Claims (2)

  1. 基材の一方の面に昇華性染料層を設け、他方の面に耐熱滑性層を設けてなる昇華転写シートであって、該耐熱滑性層がバインダ樹脂として少なくともポリアミドイミド樹脂とシリコーン変成ポリアミドイミド樹脂とを、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対してシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂10〜25質量部の割合で含有しており、さらに平均粒径が1〜7μmである尿素ホルムアルデヒド樹脂の硬化物粉末を該バインダ樹脂100質量部に対して1〜20質量部の割合で含有していることを特徴とする昇華転写シート。
  2. 前記昇華性染料層と面順次に設けられた保護層をさらに有している請求項に記載の昇華転写シート。
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