JP3053617B1 - ホスホニトリル酸エステルの製造法 - Google Patents
ホスホニトリル酸エステルの製造法Info
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Abstract
度で低酸価のホスホニトリル酸エステルを効率良く製造
する方法を提供する。 【解決手段】 式(1)で表される環状又は直鎖状ホス
ホニトリルジハライドとアルコール類、チオール類、フ
ェノール類及びチオフェノール類から選ばれる化合物の
アルカリ金属塩とを反応させるホスホニトリル酸エステ
ルの製造法であって、前記アルカリ金属塩は、有機溶媒
中にて又は無溶媒下に水酸基又はチオール基含有化合物
とアルカリ金属化合物とを混合して共沸脱水することに
より調製され、その際、有機溶媒中での反応は、反応温
度を有機溶媒と水との共沸温度〜有機溶媒の沸点と水の
沸点のいずれか高いほうの沸点温度の範囲に保持し、無
溶媒下での反応は、反応温度を40〜200℃に保持
し、反応系の水分量を反応系全重量の10重量%以下に
保持することを特徴とする。 〔式中、nは3以上の整数を、2つのXは同一又は異な
って、ハロゲン原子を示す。〕
Description
エステルの製造法に関する。
オホスホニトリル、アリールオキシホスホニトリル、ア
リールチオホスホニトリル等のホスホニトリル酸エステ
ルは、例えば、難燃剤、潤滑剤、各種成形物の硬化性被
覆材等として有用であり、古くから種々の報告がなされ
ている(例えば、“Phosphorus−NitrogenCompound
s”、H.R.Allcock著、Academic Press,197
2,p.150〜155、“Inorganic polymers”、
Practice−Hall International,Inc.,199
2,p.61〜140、米国特許第3356769号公
報等)。
ルコール、チオール、フェノール、チオフェノール等の
水酸基又はチオール基含有化合物のアルカリ金属塩と式
(1)で表される環状又は直鎖状ホスホニトリルハライ
ドとを反応させて製造される。
素原子又は臭素原子を示す。〕
ニトリルジハライドで表される環状又は直鎖状ホスホニ
トリルジハライドドの活性ハロゲン原子を、水酸基又は
チオール基含有化合物中のアルコキシ基、アルキルチオ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基等で完全に置換
するには、金属ナトリウム等のアルカリ金属単体/テト
ラヒドロフラン溶媒系のような高価で、しかも危険物で
あることから特に取り扱いに注意を要する試薬を用いな
ければならず、安価なアルカリ金属源であるアルカリ金
属水酸化物を用いると、活性ハロゲン原子を完全に置換
するのに数日間という非常に長い時間を必要とする。加
えて、反応生成物は非常に高い酸価(本明細書におい
て、酸価とはP−OH結合由来の酸性成分を意味する)
を有するので、これを合成樹脂、特にポリカーボネート
やポリエステル等に配合すると、樹脂の分子量低下ひい
ては耐衝撃性等の機械的物性が低下する。
又はチオール基含有化合物とを反応させるに際し、脱ハ
ロゲン化水素剤として第三級アミンを作用させる方法
(特公平3−54112号公報)、触媒量のピリジン誘
導体の存在下に第三級アミンを作用させる方法(特開昭
64−6285号公報)等が提案されている。しかしな
がら、これらの方法でも、ホスホニトリルジハライドの
活性ハロゲン原子をアリールオキシ基、アリールチオ基
等で完全に置換することは困難である。また、第三級ア
ミンは高価であり、再使用することが望ましいが、反応
終了後にはハロゲン化水素塩となっているため、アルカ
リ処理、蒸留等の再生工程が必要になる。加えて、反応
生成物の精製工程で排出される廃水中にはアミン由来の
窒素が多量に含まれることから、工業的スケールでの製
造には不適当である。
オール基含有化合物とを反応させるに際し、脱ハロゲン
化水素剤としてアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸
化物や炭酸塩等を用いる方法も公知である。この方法で
は、反応時に副生する水が活性ハロゲン原子又は既にホ
スホニトリル酸エステル骨格中のリン原子に結合してい
るオキシ基、チオ基等と反応し、反応生成物の酸価が上
昇する原因となるP−OH結合や反応生成物がゲル化す
る原因となる架橋結合(P−O−P結合)を生じる副反
応が起こり易い。また、アルカリ金属水酸化物や炭酸塩
は強塩基性であるため、原料のホスホニトリルジハライ
ドを分解するという欠点もある。
許第4600791号公報、欧州特許第145002号
公報等は、脱ハロゲン化水素剤であるアルカリ金属やア
ルカリ土類金属の水酸化物とテトラブチルホスホニウム
ブロミド等の第4級塩等の相間移動触媒との存在下に、
ホスホニトリルジハライドと水酸基又はチオール基含有
化合物とを反応させる方法を開示する。この方法では、
反応系が水と有機溶媒との二相系であるため、鎖状ホス
ホニトリルジハライドが加水分解を受けてP−OH結合
が生成したり、架橋によって反応生成物がゲル化し易
い。また、反応に20〜40時間程度の比較的長い時間
を要し、高価な相間移動触媒を多量に使用しなければな
らない。
応を起こさず、ホスホニトリルジハライド中の活性ハロ
ゲン原子をアルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリー
ルオキシ基、アリールチオ基等で完全に置換し、高純度
で低酸価のホスホニトリル酸エステルを効率良く製造す
る方法を提供することにある。
される環状又は直鎖状ホスホニトリルジハライドとアル
コール類、チオール類、フェノール類及びチオフェノー
ル類から選ばれる少なくとも1種の水酸基又はチオール
基含有化合物のアルカリ金属塩とを反応させるホスホニ
トリル酸エステルの製造法であって、水酸基又はチオー
ル基含有化合物のアルカリ金属塩は、有機溶媒中にて又
は無溶媒下に水酸基又はチオール基含有化合物とアルカ
リ金属化合物とを、後者のアルカリ金属化合物の水溶液
を滴下、混合して共沸脱水することにより調製され、そ
れに際し、1)有機溶媒中での反応は、反応温度を有機
溶媒と水との共沸温度〜有機溶媒の沸点と水の沸点のい
ずれか高いほうの沸点温度の範囲に保持し、無溶媒下で
の反応は、反応温度を40〜200℃に保持し、且つ
2)反応系の水分量を反応系全重量の10重量%以下に
保持することを特徴とするホスホニトリル酸エステルの
製造法に係る。
異なって、塩素原子、フッ素原子又は臭素原子を示
す。〕
応を起こすことなく、ホスホニトリルジハライド中の活
性ハロゲン原子を、アルキルオキシ基、アルキルチオ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基等で容易且つ完
全に置換することができるので、高純度、低酸価で、し
かも耐熱性、耐加水分解性、経時安定性等に優れたホス
ホニトリル酸エステルを効率良く製造することができ
る。
又はチオール基含有化合物とアルカリ金属化合物とを共
沸脱水反応させ、水酸基又はチオール基含有化合物のア
ルカリ金属塩を調製する。この反応は、有機溶媒中又は
無溶媒下に実施される。本発明では、上記の共沸脱水反
応の際、反応温度及び反応系中の水分量を次の通り一定
の範囲に保持することを必須とする。
有機溶媒と水との共沸温度〜有機溶媒の沸点と水の沸点
のいずれか高い方の沸点温度(「高沸点温度」とい
う)、好ましくは高沸点温度とそれよりも10℃低い温
度範囲、より好ましくは高沸点温度とそれよりも5℃低
い温度範囲に保持する。また、無溶媒下での反応は、反
応温度を40〜200℃の範囲に保持する。
10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好まし
くは1重量%以下に保持する。反応系中の水分量は、ア
ルカリ金属水酸化物の水溶液の供給速度及び/又は共沸
脱水時の還流速度(反応系内に戻す有機溶媒の量)によ
り制御できる。
アルカリ金属化合物を水溶液の形態で使用する場合に該
水溶液に由来する水、及び水酸基又はチオール基含有化
合物のアルカリ金属塩が生成する際に副生する水が存在
する。これらの水は、有機溶媒との共沸脱水により、反
応系外に除去される。反応系中の水分量はカールフィッ
シャー法により測定される。
アルコール類及びチオール類としては、例えば、式
(2)で表される、炭素数1〜15のアルコール類、チ
オール類等が挙げられる。
アルキル基を示す。Aは−O−又は−S−を示す。〕
素数1〜15のアルキル基としては、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチ
ル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の直鎖状又は分
岐鎖状のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプ
チル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。また、炭
素数1〜15のアルキル基の置換基としては、水酸基、
メルカプト基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2
〜6のアルキニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭
素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ジ置換アミノ
基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数2〜6のニトロア
ルケニル基、炭素数2〜6のニトロアルキニル基、シア
ノ基、炭素数2〜7のシアノアルケニル基、炭素数2〜
7のシアノアルキニル基、炭素数2〜7のハロアルケニ
ル基、炭素数2〜7のハロアルキニル基、炭素数1〜6
のハロアルコキシ基、炭素数2〜7のハロアルコキシカ
ルボニル基、ピロリジル基、ピペリジノ基、モノホリノ
基等の飽和ヘテロ環基、フリル基、ピリジル基、チエニ
ル基等の不飽和ヘテロ環基等が挙げられる。これらの基
は1種又は2種以上が置換できる。
アルコール類の具体例としては、例えば、メタノール、
エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノ
ール、ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族飽和アル
コール類、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール
類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグ
リコール類、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2,
2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、
2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフルオロ−1−ペン
タノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフル
オロ−1−ヘキサノール、2,2,3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール等の
式Y(CF2)1 〜14CH2OH(Y=H又はF)で
表されるポリフルオロアルカノール類、CF3(C
F2)1〜12CH2CH2OHで表されるポリフルオ
ロアルカノール類、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオ
ロ−1,5−ペンタンジオール、1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロ−2−プロパノール等の分岐状ポリフルオ
ロアルカノール類、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオ
ロ−1−ブタノール等のフルオロアルカノール類等の炭
素数1〜15の一価アルコール及び二価アルコールが挙
げられる。
チオール類の具体例としては、上記炭素数1〜15の一
価及び二価アルコール類の硫黄類縁体である、一価及び
二価チオール類が挙げられる。水酸基又はチオール基含
有化合物のうち、フェノール類及びチオフェノール類と
しては、例えば、式(3)で表される、炭素数6〜20
のフェノール類、チオフェノール類等が挙げられる。
芳香族炭化水素基を示す。Aは上記に同じ。〕
素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル
基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げら
れる。該芳香族炭化水素基の置換基としては、R1で示
される炭素数1〜15のアルキル基の置換基と同じもの
の他に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシ
クロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリ
ールオキシカルボニル基、炭素数1〜6のニトロアルキ
ル基、ニトロアリール基、炭素数1〜7のシアノアルキ
ル基、シアノアリール基、炭素数1〜6のハロアルキル
基、ハロアリール基、酸アミド基、酸イミド基等が挙げ
られる。これらの基は、1種又は2種以上が置換でき
る。
フェノール類の具体例としては、例えば、フェノール、
o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、
2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−
キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノ
ール、3,5−キシレノール、2−イソプロピルフェノ
ール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピル
フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、2−ヒ
ドロキシジフェニル、3−ヒドロキシジフェニル、4−
ヒドロキシジフェニル、2−メトキシフェノール、3−
メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−t
−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−
ホルミルフェノール、3−ホルミルフェノール、4−ホ
ルミルフェノール、2−メトキシ−4−アリルフェノー
ル、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4
−ニトロフェノール、2−フロロフェノール、3−フロ
ロフェノール、4−フロロフェノール、2−トリフルオ
ロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノー
ル、4−トリフルオロメチルフェノール、2−メチルカ
ルボニルフェノール、3−メチルカルボニルフェノー
ル、4−メチルカルボニルフェノール、2−フェニルカ
ルボニルフェノール、3−フェニルカルボニルフェノー
ル、4−フェニルカルボニルフェノール、2−メトキシ
カルボニルフェノール、3−メトキシカルボニルフェノ
ール、4−メトキシカルボニルフェノール、2−シアノ
フェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノ
ール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4'−オキ
シジフェノール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、
2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシ
ナフタレン、2,2'−ジヒドロキシジフェニル等の炭素
数6〜20の一価及び二価フェノールが挙げられる。
20のチオフェノール類の具体例としては、上記炭素数
6〜20の一価及び二価フェノール類の硫黄類縁体であ
る、一価及び二価チオフェノールが挙げられる。水酸基
又はチオール基含有化合物は1種を単独で使用でき又は
2種以上を併用できる。また、水酸基又はチオール基含
有化合物は、1価のもの及び2価のものをそれぞれ単独
で用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。2価
のものを用いる場合は、1価のものと併用するのが好ま
しい。水酸基又はチオール基含有化合物と反応させるア
ルカリ金属化合物としては特に制限されず、公知のもの
を使用できるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を好ましく使
用できる。これらの中でも、本反応の工業的規模での実
施等を考慮すると、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウ
ムが特に好ましい。アルカリ金属化合物は1種を単独で
使用でき又は2種以上を併用できる。アルカリ金属化合
物は通常水溶液の形態で使用される。アルカリ金属化合
物の使用量は、水酸基又はチオール基含有化合物中の水
酸基量及び/又はメルカプト基量等に応じて適宜決定す
ればよい。
にて実施する場合、有機溶媒としては、水と共沸混合物
となり、アルカリ金属化合物に不活性で、且つ水酸基、
第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有しないという条
件を満たす有機溶媒が好ましい。該有機溶媒の具体例と
しては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪
族炭化水素、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピ
ルベンゼン等の芳香族炭化水素、ピリジン等の複素環式
芳香族炭化水素、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキ
シエタン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、1,2−ジエトキシエタン、ジフェニルエーテル
等のエーテル類、第三級アミン類、ハロゲン化アルデヒ
ド類、シアン化合物等が挙げられる。これらの中でも、
分子内にエーテル結合を有し且つ水酸基又はチオール基
含有化合物のアルカリ金属塩の溶解度が高いエーテル
類、水との分離が容易である芳香族炭化水素等を好まし
く使用できる。有機溶媒の使用量は、水酸基又はチオー
ル基含有化合物及びアルカリ金属化合物を溶解又は分散
することができ、且つ反応混合物を円滑に撹拌できる程
度の最少量が好ましい。
述の様に制御することで、分散状態の良い細かい水酸基
又はチオール基含有化合物のアルカリ金属塩が生成し、
それ自身が続いて起こる結晶析出の核となる。しかし、
本発明の共沸脱水反応においては、反応系に、平均粒径
10μm〜1mmの化学的に不活性な固体を添加してもよ
い。該固体は水酸基又はチオール基含有化合物のアルカ
リ金属塩の結晶の核となり、結晶核生成速度が結晶成長
速度に比べて大きくなることにより、水酸基又はチオー
ル基含有化合物のアルカリ金属塩が、より分散性の良好
な比表面積の大きな粒子状となる。該固体は、後の水酸
基又はチオール基含有化合物とホスホニトリルジハライ
ドとの反応を促進し、反応時間を短縮し、反応生成物の
純度を向上させる。該固体としては、共沸脱水時の沸騰
石の役割を担うものや、水酸基又はチオール基含有化合
物のアルカリ金属塩の生成や析出の核になるものであれ
ば特に制限されず、例えば、水酸化アルミニウムや水酸
化マグネシウム等の金属水酸化物、ガラス、石英等の無
機物固体等が挙げられる。
合物のアルカリ金属塩を含む反応混合物をそのまま次の
工程に供するのが好ましい。勿論、該アルカリ金属塩を
単離精製して次の工程に供しても構わない。本発明の製
造法においては、上記で得られる水酸基又はチオール基
含有化合物のアルカリ金属塩と環状又は直鎖状ホスホニ
トリルジハライド(1)を反応させることにより、求核
反応が起り、ホスホニトリル酸エステルが製造できる。
(1)は、例えば、特開昭57−87427号公報、特
公昭58−19604号公報、特公昭61−1363号
公報、特公昭62−20124号公報等に記載の公知の
方法に従って製造できる。その一例を示せば、まずクロ
ルベンゼン中で、塩化アンモニウムと五塩化リン(又は
塩化アンモニウムと三塩化リンと塩素)とを、120〜
130℃程度で反応させて、脱塩酸化することで製造で
きる。
リ金属塩の使用量は特に制限されないが、通常ホスホニ
トリルジハライド(1)中の置換しようとする活性ハロ
ゲン原子と同当量で十分である。本明細書においては、
水酸基又はチオール基含有化合物のアルカリ金属塩を元
の水酸基又はチオール基含有化合物に戻し、該化合物の
分子量を、該化合物が有する水酸基又はメルカプト基の
数で除した商を、その水酸基又はチオール基含有化合物
のアルカリ金属塩の1当量とする。1価と2価の水酸基
又はチオール基含有化合物を併用する場合は、本発明の
目的に叶う良好な反応生成物を得ることを考慮すれば、
1価の水酸基又はチオール基含有化合物はホスホニトリ
ルジハライド(1)中の活性ハロゲン原子と同当量程度
とし、2価の水酸基又はチオール基含有化合物は、1価
の水酸基又はチオール基含有化合物の使用量の1/20
00〜1/4(モル比)の範囲とするのが好ましい。
スホニトリルジハライド(1)と1価と2価の水酸基又
はチオール基含有化合物のアルカリ金属塩の混合物と反
応させ(第一工程)、次いで更に一価の水酸基又はチオ
ール基含有化合物のアルカリ金属塩を反応させる(第二
工程)。これにより、水酸基又はチオール基含有化合物
中の水酸基が未反応のまま残存するのを抑制でき、反応
生成物の酸価をより一層低くできる。
ール基含有化合物のアルカリ金属塩と2価の水酸基又は
チオール基含有化合物のアルカリ金属塩との併用割合
は、上記と同様でよい。但し、両アルカリ金属塩の合計
量は、ホスホニトリルジハライド(1)の活性ハロゲン
原子量を基準として0.05〜0.9当量程度にするのが
よい。第二工程では、ホスホニトリルジハライド(1)
の未反応活性ハロゲン原子の置換に必要な量の、一価の
水酸基又はチオール基含有化合物のアルカリ金属塩を添
加し、反応を行えばよい。本反応は、好ましくは撹拌下
に実施される。本反応により得られるホスホニトリル酸
エステルは、通常の単離精製方法、例えば、洗浄、濾
過、乾燥等の従来公知の方法に従い、反応混合物から単
離、精製される。
リル酸エステルの具体例としては、例えば、式(4)で
表される繰り返し単位及び式(5)で表される繰り返し
単位及び式(6)で表される繰り返し単位から選ばれる
少なくとも1種からなるホスホニトリル酸エステル等が
挙げられる。該ホスホニトリル酸エステルは、具体的に
は非架橋型又は架橋型の、アルキルオキシホスホニトリ
ル、アルキルチオホスホニトリル、アリールオキシホス
ホニトリル、アリールチオホスホニトリル、これらの2
種以上の混合物等である。
又は異なって、−O−又は−S−を示す。2つのR3は
同一又は相異なって、置換基を有してもよい、炭素数1
〜15のアルキル基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水
素基を示す。〕
ことのある、炭素数1〜15の二価アルコール残基又は
炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素残基を示す。〕
の整数を示す。〕
される炭素数1〜15のアルキル基及びその置換基とし
ては、式(2)においてR1で示される炭素数1〜15
のアルキル基及びその置換基と同様のものが挙げられ
る。また、R3で示される炭素数6〜20の芳香族炭化
水素基及びその置換基としては、式(3)においてR2
で示される炭素数6〜20の芳香族炭化水素基及びその
置換基と同様のものが挙げられる。
素数1〜15の二価アルコール残基は、上記した炭素数
1〜15の二価アルコールの2個の水酸基又は炭素数1
〜15の二価チオールの2個のメルカプト基が除かれた
残基である。該残基の置換基としては、式(2)におい
てR1で示される炭素数1〜15のアルキル基の置換基
と同様のものである。
価の芳香族炭化水素残基は、上記した炭素数6〜20の
二価芳香族炭化水素の2個の水酸基又はメルカプト基が
除かれた残基である。該残基の置換基として、式(3)
においてR2で示される炭素数6〜20の芳香族炭化水
素基の置換基と同様のものである。
リル酸エステルは、合成樹脂、特にポリカーボネート、
ポリエステルやそのアロイ等と混合すると、該樹脂の分
子量、耐衝撃性等の機械的特性、耐熱性、成形加工性等
の樹脂の好ましい特性を低下させることがなく、これら
の樹脂添加剤として有効である。本発明で得られるホス
ホニトリル酸エステルの合成樹脂への配合は、従来と同
様に実施できる。
体的に説明する。なお特に断わりがない限り、「%」及
び「部」とあるのはそれぞれ「重量%」及び「重量部」
を意味する。また各種物性の測定は以下の方法で行っ
た。
31P−NMRの測定、CHN元素分析及びリンモリブ
デン酸バナジウム吸光光度法によるリン含有率測定の結
果から化合物を同定した。 (2)重量平均分子量 供試化合物をテトラヒドロフランに溶解し、示差屈折計
を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)装置を用いて測定した。
%重量減少温度 窒素気流下、10℃/分の昇温速度で熱重量分析(TG
/DTA)を実施し、測定した。 (4)加水分解性塩素 試料200〜300mgにN/2水酸化ナトリウムイソプ
ロパノール溶液50mlを加え、15分間煮沸し、この溶
液を50mlのイソプロピルアルコールで希釈した後、硝
酸酸性下で、N/20AgNO3溶液を用いて沈殿滴定
を行った。
準拠して酸価を測定した。 (8)加水分解性 MIL−H19457(アメリカ軍規格)に準拠した方
法で酸化を測定した。なお供試化合物が固体の場合はo
−ジクロロベンゼン溶液として測定した。
SUN−DC(スガ試験機株式会社製)を用い、カーボ
ンアーク光源、ブラックパネル温度63℃、降雨なしの
条件下で、1000時間の耐候促進試験を行った後、J
IS−K2501に準拠して酸価を測定した。 (10)アイゾット衝撃強度 JIS K−7210に準拠し、23℃で測定した(試
験片厚み1/8インチ、Vノッチ入り)。
荷重下に測定した。尚、水酸基又はチオール基含有化合
物の金属塩と反応させるホスホニトリルジハライドとし
ては、ホスホニトリルジクロライド(3量体:59%、
4量体:13%、5量体及び6量体:12%、7量体:
3%、8量体以上:13%の混合物)又は環状ホスホニ
トリルジクロライド3量体を用いた。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、フェノール94.1g(1.0mol)とクロロベン
ゼン800mlとを秤り取り、オイルバスに浸漬して12
7℃まで昇温した。そこへ48%水酸化ナトリウム水溶
液〔水酸化ナトリウム40.0g(1モル)を含有、以
下同じ〕を3時間にわたって逐次滴下し、反応系中の水
(水酸化ナトリウム水溶液由来の水及びフェノールのN
a塩生成により生じる水)はクロロベンゼンとの共沸に
より直ちに系外へ除去され、クロロベンゼンのみを系内
に戻した。この間反応液の温度は127〜133℃に維
持され、反応系内の含水率は常に1%以下であった(カ
ールフィッシャー法、以下同じ)。水酸化ナトリウム水
溶液の滴下終了後、133℃で1時間熟成して反応系内
の水分が500ppm以下になるまで脱水したが、反応
液は極めて流動性が高く分散状態の良いフェノールのN
a塩のスラリーになった。
こへホスホニトリルジクロライドの35%クロロベンゼ
ン溶液165.6g(0.50mol)を冷却しながら徐々に
加え、その後再び反応液を加熱して、133℃で6時間
撹拌した。この時点で反応は完結していた。反応終了
後、反応液を5%水酸化ナトリウム水溶液500mlで3
回洗浄し、中和した後、水500mlで2回洗浄した。そ
の後、本溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮
(<3Torr、80℃)したところ、白色粘稠固体11
4.4g(収率99.0%)が得られた。重量平均分子量
890(ポリスチレン換算)。融点105℃。5%重量
減少温度336℃。分解温度354℃。リン含有率、C
HN元素分析、1H−NMR及び31P−NMRを測定
し、本化合物が[N=P(−OC6H5)2]nで表さ
れるホスホニトリル酸ジフェニルであることを確認し
た。
リルジクロライド3量体を用いる以外は実施例1と同様
に反応を行い、反応完結に6時間を要し、下記構造式の
白色結晶状の[N=P(−OC6H5)2]3で表され
る環状ホスホニトリル酸ジフェニル3量体114.7g
(収率99.2%)を得た。重量平均分子量700(ポ
リスチレン換算)。融点110℃。5%重量減少温度3
30℃。分解温度351℃。
を用いる以外は実施例1と同様に反応を行い、実施例1
と同一構造式の黄色粘稠固体ホスホニトリル酸ジフェニ
ル114.8g(収率99.3%)を得た。反応温度は1
33℃。反応完結には2時間を要した。これは、フェノ
ールのカリウム塩の溶解度がフェノールのナトリウム塩
の溶解度よりも高いためである。重量平均分子量900
(ポリスチレン換算)。融点111℃。5%重量減少温
度330℃。分解温度351℃。
1と同様に反応を行い、実施例1と同一構造式の淡黄色
粘稠固体ホスホニトリル酸ジフェニル112.1g(収率
97.0%)を得た。反応温度は114℃、反応完結に
は10時間を要した。重量平均分子量900(ポリスチ
レン換算)。融点111℃。5%重量減少温度330
℃。分解温度351℃。
1と同様に反応を行い、実施例1と同一構造式の黄色粘
稠固体ホスホニトリル酸ジフェニル114.4g(収率9
9.0%)を得た。反応温度136℃。反応完結には5.
5時間を要した。重量平均分子量880(ポリスチレン
換算)。融点110℃。5%重量減少温度333℃。分
解温度349℃。
い、水との共沸により反応系外へ除かれるのと同体積の
1,2−ジメトキシエタンを新たに反応系内に逐次的に
加える以外は実施例1と同様に反応を行った。反応温度
は95℃であり、反応完結には5時間を要した。反応終
了後、反応液を濃縮し、クロロベンゼン1000mlを用
いて再溶解し、以後実施例1と同様に精製処理し、実施
例1と同一構造式の黄色粘稠固体ホスホニトリル酸ジフ
ェニル114.3g(収率99.0%)を得た。重量平均
分子量870(ポリスチレン換算)。融点109℃。5
%重量減少温度333℃。分解温度350℃。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、フェノール470.5g(5.0mol)を秤り取
り、オイルバスに浸積して100℃まで昇温した。そこ
へ水酸化ナトリウム40.0g(1.0mol)の48%水溶
液を3時間にわたって逐次滴下し、反応系中の水(水酸
化ナトリウム水溶液由来の水及びフェノールのNa塩生
成により生じる水)はフェノールとの共沸により直ちに
系外へ除いた。この時除いたフェノールの総量は330
g(3.5mol)であった。この間反応液の温度は、10
0℃に制御され、反応系内の含水率は常に3%以下であ
った。また、水酸化ナトリウム水溶液を約9割滴下した
時点で反応液中から細かい粒子状のフェノールのNa塩
が析出し、反応液は極めて流動性が高く分散状態の良い
スラリーになった。
30℃で1時間熟成して反応液中の水分が500ppm
以下になるまで脱水した後、反応液を50℃まで冷却し
た。そこへホスホニトリルジクロライド(3量体:59
%、4量体:13%、5量体及び6量体:12%、7量
体:3%、8量体以上:13%の混合物)の35%クロ
ロベンゼン溶液165.6g(0.50mol)を冷却しなが
ら徐々に加え、その後再び反応液を加熱して、133℃
で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を実施例1と同
様に精製処理し、実施例1と同一構造式の褐色粘稠固体
ホスホニトリル酸ジフェニル114.1g(収率98.7
%)を得た。重量平均分子量880(ポリスチレン換
算)。融点107℃。5%重量減少温度337℃。分解
温度350℃。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、フェノール94.1g(1.0mol)、クロロベン
ゼン800mlと水酸化アルミニウム1g〔平均粒子径1
0μm、関東化学(株)製〕を秤り取り、オイルバスに
浸漬して127℃まで昇温した。そこへ水酸化ナトリウ
ム40.0g(1.0mol)の48%水溶液を2時間にわた
って逐次滴下し、反応系中の水(水酸化ナトリウム水溶
液由来の水及びフェノールのNa塩生成により副生する
水)はクロロベンゼンとの共沸により直ちに系外へ除去
され、クロロベンゼンのみを系内に戻した。この間反応
液の温度は、127〜133℃に制御され、反応系内の
含水率は常に1%以下であった。水酸化ナトリウム水溶
液の滴下終了後、133℃で1時間熟成して反応液中の
水分が500ppm以下になるまで脱水したが、反応液
は極めて流動性が高く分散状態の良いフェノールのナト
リウム塩のスラリーになった。
こへホスホニトリルジクロライドの35%クロロベンゼ
ン溶液165.6g(0.50mol)を冷却しながら徐々に
加え、その後再び反応液を加熱して、133℃で3時間
撹拌した。この時点で反応は完結していた。これは、反
応系中に均一に分散した水酸化アルミニウムが、フェノ
ールのナトリウム塩の結晶の核となり、結晶核生成速度
が結晶成長速度に比べてより大きくなることにより、フ
ェノールのナトリウム塩がより分散性の良い、比表面積
の大きな粒子状となった為、ホスホニトリルジクロライ
ドとの反応が促進されたと考えられる。反応終了後、1
mmの濾紙を用いて反応液から水酸化アルミニウムを濾去
し、以下実施例1と同様に精製処理し、実施例1と同一
構造式の白色粘稠固体114.8g(収率99.3%)が
得られた。重量平均分子量890(ポリスチレン換
算)。融点109℃。5%重量減少温度330℃。分解
温度351℃。
とチオフェノール27.5g(0.25mol)を用い、クロ
ロベンゼンを1000ml用いる以外は実施例1と同様に
反応を行い、反応完結に12時間を要し(反応温度13
3℃)、[N=P(−OC6H5)1.5(−SC6H
5)0.5]nで表される淡黄色粘稠固体117.2g
(収率98.0%)を得た。重量平均分子量780(ポ
リスチレン換算)。融点94℃。5%重量減少温度29
5℃。分解温度340℃。
(1.0mol)を用い且つクロロベンゼンを1200ml用
いる以外は実施例1と同様に反応を行い、反応完結に1
0時間を要し(反応温度133℃)、[N=P(−OC
6H3(−CH3)2−3,5)2]nで表される茶褐
色固体140.8g(収率98.0%)を得た。重量平均
分子量930(ポリスチレン換算)。融点:明確な融点
は観測されず。5%重量減少温度369℃。分解温度3
80℃。
ol)を用い且つクロロベンゼンを1300ml用いる以外
は実施例1と同様に反応を行い、反応完結に12時間を
要し(反応温度133℃)、[N=P(−OC
10H7)2]nで表される桃色固体161.0g(収率
97.2%)を得た。重量平均分子量890(ポリスチ
レン換算)。融点152℃。5%重量減少温度365
℃。分解温度397℃。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、レゾルシノール5.5g(0.05mol)とフェノ
ール65.9g(0.7mol)とクロロベンゼン600mlと
を秤り取り、オイルバスに浸漬して127℃まで昇温し
た。そこへ水酸化ナトリウム28.4g(0.71mol)の
48%水溶液を3時間にわたって逐次滴下し、反応系中
の水(水酸化ナトリウム水溶液由来の水及びフェノール
のNa塩生成により副生する水)はクロロベンゼンとの
共沸により直ちに系外へ除去され、クロロベンゼンのみ
を系内に戻した。この間反応液の温度は127〜133
℃に保持され、反応系内の含水率は常に1%以下であっ
た。水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、133℃で
1時間熟成して反応系内の水分が500ppm以下にな
るまで脱水したが、反応液は極めて流動性が高く分散状
態の良いフェノールのNa塩のスラリーになった。この
反応液を40℃まで冷却し、ホスホニトリルジクロライ
ドの35%クロロベンゼン溶液165.6g(0.50mo
l)を冷却しながら徐々に加え、再び反応液を加熱し
て、133℃で3時間撹拌した。
ィーンスタークトラップ、温度計、滴下ロート及び撹拌
機を備えた1Lの4口フラスコに、フェノール37.6g
(0.4mol)とクロロベンゼン300mlとを秤り取り、
水酸化ナトリウム16.0g(0.4mol)の48%水溶液
を用いて、同様にフェノールのNa塩のクロロベンゼン
溶液を調製した。このものを先の反応液に加え、133
℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を実施例1と
同様に精製処理し、淡黄色粘稠固体108.8g(収率9
7.4%)が得られた。重量平均分子量930(ポリス
チレン換算)。融点:明確な融点は観測されず。5%重
量減少温度348℃。分解温度348℃。リン含有率、
CHN元素分析、1H−NMR及び31P−NMRを測
定し、本化合物が[N=P(−OC6H4O−m)
0.1(−OC6H5)1.8]nで表されるホスホニト
リル酸ジフェニルであることを確認した。
とトリフルオロエタノール50.0g(0.50mol)とを
用いる以外は実施例1と同様に反応を行い、反応完結に
7時間を要し(反応温度133℃)、[N=P(−OC
6H5)1.0(−OCH2CF3)1.0]nで表され
る白色粘稠固体116.2g(収率98.0%)を得た。
重量平均分子量780(ポリスチレン換算)。融点98
℃。5%重量減少温度300℃。分解温度310℃。
とトリフルオロエタンチオール29.0g(0.25mol)
とを用いる以外は実施例1と同様に反応を行い、反応完
結に7時間を要し(反応温度133℃)、[N=P(−
OC6H5)1 .5(−SCH2CF3)0.5]nで表
される白色粘稠固体118.6g(収率97.9%)を得
た。重量平均分子量760(ポリスチレン換算)。融点
98℃。5%重量減少温度310℃。分解温度310
℃。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、フェノール94.1g(1.0mol)、クロロベン
ゼン800mlと水酸化ナトリウム40.0g(1.0mol)
の48%水溶液とを秤り取り、オイルバスに浸漬して加
熱し、反応系中の水(水酸化ナトリウム水溶液由来の水
及びフェノールのNa塩生成により副生する水)はクロ
ロベンゼンとの共沸により系外へ除去され、クロロベン
ゼンのみ系内に戻した。この反応液の温度は90〜13
3℃であった。反応液の温度が130℃になった時、反
応液中から分散状態の悪い塊状のフェノールのNa塩が
析出し、反応液は極めて流動性の悪いスラリーになっ
た。結局、反応系内の水分が500ppm以下になるま
で脱水するために10時間を要した。この反応液を40
℃まで冷却し、ホスホニトリルジクロライドの35%ク
ロロベンゼン溶液165.6g(0.50mol)を冷却しな
がら徐々に加えた後再び加熱し、133℃で24時間撹
拌したが、反応は完結しなかった。その後、実施例1と
同様に精製処理し、淡黄色粘稠固体95.0g(収率9
0.0%)を得た。重量平均分子量870(ポリスチレ
ン換算)。融点:明確な融点は示さず。5%重量減少温
度329℃。分解温度340℃。リン含有率、CHN元
素分析、加水分解性塩素分、1H−NMR及び31P−
NMRを測定し、本化合物が[N=P(−OC6H5)
1.65(Cl)0.35]nで表されるホスホニトリル
酸エステルであることを確認した。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、フェノール94.1g(1.0mol)とクロロベン
ゼン800mlとを秤り取り、オイルバスに浸積して12
7℃まで昇温した。そこへ水酸化ナトリウム40.0g
(1.0mol)の48%水溶液を30分間にわたって滴下
し、反応系中の水(水酸化ナトリウム水溶液由来の水及
びフェノールのNa塩生成により副生する水)をクロロ
ベンゼンとの共沸により系外へ除去し、クロロベンゼン
のみを系内に戻した。この間反応液の温度は90〜13
3℃であった。反応系内の含水率は最も高い時で7%で
あった。
反応液中からフェノールのNa塩は析出しなかった。水
酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、133℃で5時間
熟成した時、反応液中から分散状態の悪い塊状のフェノ
ールのNa塩が析出し、反応液は極めて流動性が悪いス
ラリーになった。更に、反応液中の水分が500ppm
以下になるまで脱水するために3時間を要した。この反
応液を40℃まで冷却し、ホスホニトリルジクロライド
の35%クロロベンゼン溶液165.6g(0.50mol)
を冷却しながら徐々に加えた後再び加熱し、133℃で
24時間撹拌したが、反応は完結しなかった。その後、
反応液を実施例1と同様に精製処理し、淡黄色粘稠固体
100.0g(収率91.3%)が得られた。重量平均分
子量:870(ポリスチレン換算)。融点:明確な融点
は示さず。5%重量減少温度:332℃。分解温度:3
50℃。リン含有率、CHN元素分析、加水分解性塩素
分、1H−NMR及び31P−NMRを測定し、本化合
物が[N=P(−OC6H5)1.79(C
l)0.21]nで表されるホスホニトリル酸エステルで
あることを確認した。
を用いる以外は比較例1と同様に反応を行った。即ち、
2Lの4口フラスコに、フェノール94.1g(1.0mo
l)とクロロベンゼン800mlと水酸化カリウム56.1
g(1.0mol)の48%水溶液とを秤り取り、オイルバ
スに浸漬して加熱し、反応系中の水(水酸化カリウム水
溶液由来の水及びフェノールのK塩生成により生じる
水)をクロロベンゼンとの共沸により系外へ除去し、ク
ロロベンゼンのみを系内に戻した。この間の反応液の温
度は90〜133℃であった。
液中から分散状態の悪い塊状のフェノールのK塩が析出
し、反応液は極めて流動性の悪いスラリーになった。反
応液中の水分が500ppm以下になるまで脱水するた
めに10時間を要した。この反応液を40℃まで冷却
し、ホスホニトリルジクロライドの35%クロロベンゼ
ン溶液165.6g(0.50mol)を冷却しながら徐々に
加えた後再び加熱し、133℃で15時間撹拌した。こ
の時点で、反応は進行しなくなった。以後、反応液を実
施例1と同様に精製処理し、黄色粘稠固体99.9g(収
率88.6%)を得た。重量平均分子量:880(ポリ
スチレン換算)。融点:明確な融点を示さず。5%重量
減少温度330℃。分解温度345℃。リン含有率、C
HN元素分析、加水分解性塩素分、1H−NMR及び
31P−NMRを測定し、本化合物が[N=P(−OC
6H5)1.9(Cl)0.1]nで表されるホスホニト
リル酸エステルであることを確認した。
2と同様に反応を行った。即ち、2Lの4口フラスコ
に、フェノール94.1g(1.0mol)とトルエン800
mlとを秤り取り、オイルバスに浸積して105℃まで昇
温した。そこへ水酸化ナトリウム40.0g(1.0mol)
の48%水溶液を30分間にわたって滴下し、反応系中
の水(水酸化ナトリウム水溶液由来の水及びフェノール
のNa塩生成により副生する水)をトルエンとの共沸に
より系外へ除去し、トルエンのみを系内に戻した。この
間反応液の温度は80〜110℃、反応系内の含水率は
最も高い時で7%であった。水酸化ナトリウム水溶液を
全量滴下しても反応液中からフェノールのNa塩は析出
しなかった。水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、1
10℃で5時間熟成した時、反応液中から分散状態の悪
い塊状のフェノールのNa塩が析出し、反応液は極めて
流動性が悪いスラリーになった。反応液中の水分が50
0ppm以下になるまで脱水するために4時間を要し
た。
トリルジクロライドの35%クロロベンゼン溶液16
5.6g(0.50mol)を冷却しながら徐々に加えた後再
び加熱して114℃で72時間撹拌したが、反応は完結
しなかった。以後反応液を実施例1と同様に精製処理
し、淡黄色粘稠固体100.0g(収率93.5%)が得
られた。重量平均分子量870(ポリスチレン換算)。
融点:明確な融点を示さず。5%重量減少温度330
℃。分解温度350℃。リン含有率、CHN元素分析、
加水分解性塩素分、1H−NMR及び31P−NMRを
測定し、本化合物が[N=P(−OC6H5)
1.7(Cl)0.3]nで表されるホスホニトリル酸エ
ステルであることを確認した。
いる以外は比較例1と同様に反応を行った。即ち、3L
の4口フラスコに、フェノール94.1g(1.0mol)と
1,2−ジメトキシエタン2000mlと水酸化ナトリウ
ム40.0g(1.0mol)の48%水溶液とを秤り取り、
オイルバスに浸漬して加熱し、反応系中の水(水酸化ナ
トリウム水溶液由来の水及びフェノールのNa塩生成に
より副生する水)を1,2−ジメトキシエタンとの共沸
により系外へ除去しが、反応液中の水分濃度を1000
ppm以下にするまで15時間を要した。
トリルジクロライドの35%クロロベンゼン溶液16
5.6g(0.50mol)を冷却しながら徐々に加えた後再
び加熱し、133℃で10時間撹拌した。この時点で、
反応は進行しなくなった。この反応液を濃縮し、生成物
をクロロベンゼン1000mlで溶解した後、実施例1と
同様に精製処理し、淡黄色粘稠固体99.9g(収率9
3.4%)が得られた。重量平均分子量:870(ポリ
スチレン換算)。融点:明確な融点を示さず。5%重量
減少温度333℃。分解温度350℃。リン含有率、C
HN元素分析、加水分解性塩素分、1H−NMR及び
31P−NMRを測定し、本化合物が比較例4と同一構
造式のホスホニトリル酸エステルであることを確認し
た。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、フェノール470.5g(5.0mol)を秤り取
り、オイルバスに浸積して100℃まで昇温した。そこ
へ水酸化ナトリウム40.0g(1.0mol)の48%水溶
液を30分間にわたって滴下し、反応系中の水(水酸化
ナトリウム溶液由来の水及びフェノールのNa塩生成に
より副生する水)をフェノールとの共沸により系外へ除
去した。この時除いたフェノールの総量は370g(3.
9mol)であった。この間反応液の温度は80〜100
℃であり、含水率は最も高い時で8%であった。水酸化
ナトリウム水溶液の滴下終了後100℃で8時間熟成す
ると、塊状のフェノールのNa塩が析出し、反応液は極
めて流動性の悪いスラリーになり、撹拌が不可能となっ
た。その際の反応液中の水分は2000ppmであっ
た。
ホニトリルジクロライドの35%クロロベンゼン溶液1
65.6g(0.50mol)を冷却しながら徐々に加えた後
再び加熱して133℃で8時間撹拌すると、反応が進行
しなくなった。以後反応液を実施例1に記載の方法で精
製処理し、褐色粘稠固体105.1g(収率94.5%)
を得た。重量平均分子量:880(ポリスチレン換
算)。融点102℃。5%重量減少温度335℃。分解
温度351℃。リン含有率、CHN元素分析、加水分解
性塩素分、1H−NMR及び31P−NMRを測定し、
本化合物は[N=P(−OC6H5)1.85(Cl)
0.15]nで表されるホスホニトリル酸エステルであ
ることを確認した。
とチオフェノール27.5g(0.25mol)を用い且つク
ロロベンゼンを1000ml用いる以外は比較例2と同様
に反応を行い、淡黄色粘稠固体108.9g(収率95.
5%)を得た。重量平均分子量780(ポリスチレン換
算)。融点92℃。5%重量減少温度290℃。分解温
度331℃。リン含有率、CHN元素分析、加水分解性
塩素分、 1H−NMR及び31P−NMRを測定し、本
化合物が[N=P(−OC6H5)1.5(−SC6H
5)0.35(Cl)0.15]nで表されるホスホニト
リル酸エステルであることを確認した。本条件において
も塊状のフェノールNa塩とチオフェノールNa塩とが析
出し、反応液は極めて流動性が悪いスラリーになった。
これらのNa塩の調製に10時間を要し、ホスホニトリ
ルジクロライドとの反応は72時間を過ぎても完結しな
かった。
(1.0mol)を用い且つクロロベンゼンを1200ml用
いる以外は比較例2と同様に反応を行い、茶褐色粘稠固
体120.2g(収率91.9%)を得た。重量平均分子
量900(ポリスチレン換算)。融点:明確な融点を示
さず。5%重量減少温度365℃。分解温度379℃。
リン含有率、CHN元素分析、加水分解性塩素分、1H
−NMR及び31P−NMRを測定し、本化合物が[N
=P〔−OC6H3(−CH3)2〕1.7(Cl)
0.3]nで表されるホスホニトリル酸エステルである
ことを確認した。本条件においても塊状のキシレノール
Na塩が析出し、反応液は極めて流動性が悪いスラリー
になった。該Na塩の調製には12時間を要し、ホスホ
ニトリルジクロライドとの反応は72時間が過ぎても完
結しなかった。
ol)を用い、クロロベンゼンを1300ml用いる以外は
比較例2と同様に反応を行い、桃色粘稠固体140.2g
(収率、89.0%)を得た。重量平均分子量890
(ポリスチレン換算)。融点148℃。5%重量減少温
度360℃。分解温度380℃。リン含有率、CHN元
素分析、加水分解性塩素分、1H−NMR及び31P−
NMRを測定し、本化合物が[N=P(−OC
10H7)1.85(Cl)0.15]nで表されるホス
ホニトリル酸エステルであることを確認した。本条件に
おいても塊状のナフトールNa塩が析出し、反応液は極
めて流動性が悪いスラリーになった。該Na塩の調製に
は10時間を要し、ホスホニトリルジクロライドとの反
応は72時間を経過しても完結しなかった。
温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えた2Lの4口フラ
スコに、レゾルシノール5.5g(0.05mol)とフェノ
ール65.9g(0.7mol)とクロロベンゼン600mlと
を秤り取り、オイルバスに浸漬して127℃まで昇温し
た。そこへ水酸化ナトリウム28.4g(0.71mol)の
48%水溶液を30分間にわたって滴下し、反応系中の
水(水酸化ナトリウム水溶液由来の水及びフェノールの
Na塩生成により副生する水)をクロロベンゼンとの共
沸により系外へ除去し、クロロベンゼンのみを系内に戻
した。この間反応液の温度は90〜133℃であり、反
応系内の含水率は最も高い時で7%であった。水酸化ナ
トリウム水溶液を全量滴下してても反応液中からフェノ
ールのNa塩は析出しなかった。水酸化ナトリウム水溶
液の滴下終了後、133℃で5時間熟成した時、反応液
中から分散状態の悪い塊状のフェノールNa塩とレゾル
シノールのNa塩とが析出し、反応液は極めて流動性が
悪いスラリーになった。反応液中の水分が500ppm
以下になるまで脱水するために8時間を要した。この反
応液を40℃まで冷却し、ホスホニトリルジクロライド
の35%クロロベンゼン溶液165.6g(0.50mol)
を冷却しながら徐々に加えた後再び加熱して、133℃
で3時間撹拌した。
ィーンスタークトラップ、温度計、滴下ロート及び撹拌
機を備えた1Lの4口フラスコに、フェノール37.6g
(0.4mol)とクロロベンゼン300mlとを秤り取り、
水酸化ナトリウム16.0g(0.4mol)の48%水溶液
を用いて、同様にフェノールのNa塩のクロロベンゼン
溶液を調製した。このものを先の反応液に加え、133
℃で72時間撹拌したが、反応は終了しなかった。この
反応液を実施例1と同様に精製処理し、淡黄色液体10
2.7g(収率92.7%)が得られた。重量平均分子量
820(ポリスチレン換算)。融点:明確な融点を示さ
ず。5%重量減少温度340℃。分解温度360℃。リ
ン含有率、CHN元素分析、加水分解性塩素分、1H−
NMR及び31P−NMRを測定し、本化合物が[N=
P(−m−OC6H4O−)0. 05(−OC6H5)
1.8(Cl)0.1]nで表されるホスホニトリル酸エ
ステルであることを確認した。
とトリフルオロエタノール50.0g(0.50mol)とを
用いる以外は比較例2と同様に反応を行い、白色粘稠固
体106.8g(収率93.9%)を得た。重量平均分子
量730(ポリスチレン換算)。融点:明確な融点を示
さず。5%重量減少温度290℃。分解温度305℃。
リン含有率、CHN元素分析、加水分解性塩素分、1H
−NMR及び31P−NMRを測定し、本化合物が[N
=P(−OC6H5)1.0(−OCH2CF3)
0.85(Cl)0.15]nで表されるホスホニトリル
酸エステルであることを確認した。本条件においても塊
状のフェノールとトリフルオロエタノールのNa塩が析
出し、反応液は極めて流動性が悪いスラリーになった。
これらのNa塩の調製には9時間を要し、ホスホニトリ
ルジクロライドとの反応は72時間を過ぎても完結しな
かった。
とトリフルオロエタンチオール29.0g(0.25mol)
とを用いる以外は比較例2と同様に反応を行い、白色粘
稠固体97.6g(収率90.1%)を得た。重量平均分
子量740(ポリスチレン換算)。融点:明確な融点を
示さず。5%重量減少温度305℃。分解温度305
℃。リン含有率、CHN元素分析、加水分解性塩素分、
1H−NMR及び31P−NMRを測定し、本化合物が
[N=P(−OC6H5)1.5(−SCH2CF3)
0.3(Cl)0.2]nで表されるホスホニトリル酸エ
ステルであることを確認した。本条件においても塊状の
フェノールとトリフルオロエタンチオールのNa塩が析
出し、反応液は極めて流動性が悪いスラリーになった。
これらのNa塩の調製には10時間を要し、ホスホニト
リルジクロライドとの反応は72時間を過ぎても完結し
なかった。
えた2Lの4口フラスコに、フェノール94.1g(1.
0mol)と無水粉末炭酸ナトリウム106.0g(1.0mo
l)とテトラヒドロフラン600mlとを秤り取り、撹拌
下ホスホニトリルジクロライドの35%クロロベンゼン
溶液165.6g(0.50mol)を1時間かけて滴下し
た。その後オイルバスに浸漬して70℃で6時間還流撹
拌し、更に25℃で16時間撹拌したところで反応は進
行しなくなった。この反応液からテトラヒドロフランを
留去し、クロロベンゼン600mlを加えて反応物を再溶
解した後、実施例1と同様に精製処理し、黄色粘稠固体
112.1g(収率97.0%)が得られた。重量平均分
子量890(ポリスチレン換算)。融点103℃。5%
重量減少温度330℃。分解温度350℃。リン含有
率、CHN元素分析、加水分解性塩素分、1H−NMR
及び31P−NMRを測定し、本生成物の殆どが実施例
1と同一構造式のホスホニトリル酸ジフェニルであるこ
とを確認したが、1H−NMR及び31P−NMRのチ
ャート上には若干のP−OH結合に由来するピークが認
められた。
えた2Lの4口フラスコに、フェノール112.9g
(1.2mol)とトリエチルアミン121.4g(1.2mo
l)とテトラヒドロフラン600mlとを秤り取り、撹拌
下ホスホニトリルジクロライドの35%クロロベンゼン
溶液165.6g(0.50mol)を2時間かけて滴下し
た。その後、25℃で5時間撹拌し、更にオイルバスに
浸漬して74℃の温度で還流撹拌した。20時間後に反
応は進行しなくなった。反応液からトリエチルアミン塩
酸塩を吸引濾過により濾去した後、テトラヒドロフラン
を留去し、クロロベンゼン600mlを加えて反応物を再
溶解し、実施例1と同様に精製処理し、黄色粘稠固体1
13.3g(収率98.0%)が得られた。重量平均分子
量890(ポリスチレン換算)。融点105.5%重量
減少温度330℃。分解温度349℃。リン含有率、C
HN元素分析、加水分解性塩素分、1H−NMR及び
31P−NMRを測定し、本化合物は実施例1と同一構
造式のホスホニトリル酸ジフェニルであることを確認し
た。
えた2Lの4口フラスコに、フェノール94.1g(1.
0mol)と水酸化カリウム56.1g(1.0mol)と水4
00mlとテトラブチルホスホニウムブロミド20.0g
(0.06mol)とを秤り取り、撹拌下ホスホニトリルジ
クロライドの35%クロロベンゼン溶液165.6g
(0.50mol)を1時間かけて滴下した。その後、25
℃で3時間撹拌し、更にオイルバスに浸漬して95℃で
還流撹拌した。21時間後に反応は進行しなくなった。
反応液にクロロベンゼン500mlを加えて希釈し、実施
例1と同様に精製処理し、黄色粘稠固体106.4g(収
率92.0%)が得られた。重量平均分子量890(ポ
リスチレン換算)。融点105℃。5%重量減少温度3
33℃。分解温度348℃。リン含有率、CHN元素分
析、加水分解性塩素分、1H−NMR及び31P−NM
Rを測定し、本生成物の殆どが実施例1と同一構造式の
ホスホニトリル酸ジフェニルであることを確認したが、
1H−NMR及び31P−NMRのチャート上には若干
のP−OH結合に由来するピークが認められた。
えた2Lの4口フラスコに、フェノール94.1g(1.
0mol)とトリエチルアミン151.8g(1.5mol)と
4−ジメチルアミノピリジン6.5g(0.05mol)とを
秤り取り、撹拌下ホスホニトリルジクロライドの35%
クロロベンゼン溶液165.6g(0.50mol)を1時間
かけて滴下した。その後、25℃で20時間撹拌したと
ころ、反応は進行しなくなった。反応液からトリエチル
アミン塩酸塩を吸引濾過により濾去した後、クロロベン
ゼン500mlを加えて希釈し、実施例1と同様に精製処
理し、黄色粘稠固体109.8g(収率95.0%)が得
られた。重量平均分子量890(ポリスチレン換算)。
融点106℃。5%重量減少温度332℃。分解温度3
49℃。リン含有率、CHN元素分析、加水分解性塩素
分、1H−NMR及び 31P−NMRを測定し、本化合
物が実施例1と同一構造式のホスホニトリル酸ジフェニ
ルであることを確認した。
〜16における生成物の収量、収率、重量平均分子量、
融点、5%重量減少温度及び分解温度をまとめて示す。
表3〜4に、実施例1〜14及び比較例1〜16におけ
る生成物の揮発分、全酸価、耐熱性(酸価)、加水分解
性(酸価)、経時安定性(酸価)及び加水分解性塩素分
をまとめて示す。
されたホスホニトリル酸エステルは、比較例の方法で製
造されたホスホニトリル酸エステルに比べて、酸価、揮
発分及び加水分解性塩素分が低く、また、耐熱試験及び
経時安定性試験後の酸価の上昇率が低いことから耐熱性
及び経時安定性に優れていることが明らかである。
−2000N、三菱エンジニアリングプラスチックス
(株)製〕100部に対して、実施例1、7又は8で製
造したホスホニトリル酸ジフェニルオリゴマー12.5
部を添加して、ミキサーで混合後、25mm2軸混練機を
用いて混練し、ペレットを得た。このペレットの一部は
テトラヒドロフランに溶解し、重量平均分子量を測定し
た。また、このペレットを射出成形機に入れ成形し、試
験片を得た。この試験片を用いて、アイゾット衝撃強度
とメルトフローレートを測定した。結果を表5に示す。
マーに代えて、比較例1、2、6、13、14、15又
は16で製造したものを用いる以外は実施例15と同様
に、試験片作成と評価を行った。結果を表5に示す。 比較例24 ホスホニトリル酸ジフェニルオリゴマーを用いない以外
は、実施例1と同様に、試験片作成と評価を行った。結
果を表5に示す。
たホスホニトリル酸エステルは、比較例の方法で製造さ
れたホスホニトリル酸エステルに比べて、樹脂と混合し
たときに、該樹脂の分子量の低下の度合いが少なく、ア
イゾット衝撃強度の値が高く、又、メルトフローレート
の値の上昇の度合いが低いことから、これら樹脂と混合
した時に、該樹脂が本来持つ好ましい特性を低下させる
ことがなく、有効な添加剤であるといえる。
等の副反応を起こさず、ホスホニトリルジハライド中の
活性ハロゲン原子をアルキルオキシ基、アルキルチオ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基等で完全に置換
し、高純度で低酸価のホスホニトリル酸エステルを効率
良く製造することが可能である。従って本発明の方法に
より合成されたホスホニトリル酸エステルは、耐熱性及
び経時安定性に優れており、また樹脂と混合したとき
に、該樹脂の分子量の低下の度合いが少なく、アイゾッ
ト衝撃強度の値が高く、又、メルトフローレートの値の
上昇の度合いが低いことから、これら樹脂と混合した時
に、該樹脂が本来持つ好ましい特性を低下させることが
ない。
Claims (6)
- 【請求項1】 式(1)で表される環状又は直鎖状ホス
ホニトリルジハライドとアルコール類、チオール類、フ
ェノール類及びチオフェノール類から選ばれる少なくと
も1種の水酸基又はチオール基含有化合物のアルカリ金
属塩とを反応させるホスホニトリル酸エステルの製造法
であって、水酸基又はチオール基含有化合物のアルカリ
金属塩は、有機溶媒中にて又は無溶媒下に水酸基又はチ
オール基含有化合物とアルカリ金属化合物とを、後者の
アルカリ金属化合物の水溶液を滴下、混合して共沸脱水
することにより調製され、それに際し、1)有機溶媒中
での反応は、反応温度を有機溶媒と水との共沸温度〜有
機溶媒の沸点と水の沸点のいずれか高いほうの沸点温度
の範囲に保持し、無溶媒下での反応は、反応温度を40
〜200℃に保持し、且つ2)反応系の水分量を反応系
全重量の10重量%以下に保持することを特徴とするホ
スホニトリル酸エステルの製造法。 【化1】 〔式中、nは3以上の整数を示す。2つのXは同一又は
異なって、塩素原子、フッ素原子又は臭素原子を示
す。〕 - 【請求項2】 有機溶媒が水と共沸混合物となり、アル
カリ金属に対して不活性であり且つ水酸基、第一級アミ
ノ基又は第二級アミノ基を有しない有機溶媒である請求
項1に記載の製造法。 - 【請求項3】 アルカリ金属化合物がアルカリ金属水酸
化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載
の製造法。 - 【請求項4】 水酸基又はチオール基含有化合物のアル
カリ金属塩を調製するに際し、反応系に、平均粒径約1
0μm〜1mmの化学的に不活性な固体を存在させること
を特徴とする請求項1に記載の製造法。 - 【請求項5】 化学的に不活性な固体が、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、ガラス及び石英から選ば
れる少なくとも1種である請求項4に記載の製造法。 - 【請求項6】 有機溶媒中での反応を、有機溶媒の沸点
と水の沸点のいずれか高いほうの沸点温度とそれよりも
10℃低い温度範囲で行う請求項1に記載の製造法。
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