JPH09305961A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体及びその製造方法Info
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- JPH09305961A JPH09305961A JP4901997A JP4901997A JPH09305961A JP H09305961 A JPH09305961 A JP H09305961A JP 4901997 A JP4901997 A JP 4901997A JP 4901997 A JP4901997 A JP 4901997A JP H09305961 A JPH09305961 A JP H09305961A
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- Magnetic Record Carriers (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】低浮上型ヘッドを用いても分解することなく潤
滑特性，ＣＳＳ耐久性を長期維持できる潤滑層を有する
磁気記録媒体を作製する。 【解決手段】潤滑層として従来の高分子量のパーフロロ
ポリエーテル系潤滑剤の他に、低分子量かつ安定性の高
い〔化１〕式で示される環状トリホスファゼン系潤滑剤
も塗布する。 【化１】
滑特性，ＣＳＳ耐久性を長期維持できる潤滑層を有する
磁気記録媒体を作製する。 【解決手段】潤滑層として従来の高分子量のパーフロロ
ポリエーテル系潤滑剤の他に、低分子量かつ安定性の高
い〔化１〕式で示される環状トリホスファゼン系潤滑剤
も塗布する。 【化１】
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピューターの
外部記憶装置等に搭載される磁気記録媒体及びその製造
方法に関し、特に、磁気記録媒体の表面に液体潤滑層を
塗布して滑特性（ＣＳＳ耐久性）を向上させる技術に関
するものである。
外部記憶装置等に搭載される磁気記録媒体及びその製造
方法に関し、特に、磁気記録媒体の表面に液体潤滑層を
塗布して滑特性（ＣＳＳ耐久性）を向上させる技術に関
するものである。
【０００２】
【従来の技術】固定磁磁気ディスク装置等に使用されて
いる一般的な磁気記録媒体の構成は図１に示すが如く、
例えば非磁性基板１１上に非磁性金属１２を形成して非
磁性の基体１とし、この基体１の上に非磁性の金属下地
層２を積層した後、この金属下地層２上に強磁性金属薄
膜合金であるＣｏ−Ｃｒ−Ｔａ又はＣｏ−Ｃｒ−Ｐｔ等
により磁性層３を薄膜状に積層形成し、更に、この磁性
層３上にカーボン保護層４を形成する。そして、このカ
ーボン保護層４の上に、液体潤滑剤からなる潤滑層５を
塗布して磁気ディスクを形成している。
いる一般的な磁気記録媒体の構成は図１に示すが如く、
例えば非磁性基板１１上に非磁性金属１２を形成して非
磁性の基体１とし、この基体１の上に非磁性の金属下地
層２を積層した後、この金属下地層２上に強磁性金属薄
膜合金であるＣｏ−Ｃｒ−Ｔａ又はＣｏ−Ｃｒ−Ｐｔ等
により磁性層３を薄膜状に積層形成し、更に、この磁性
層３上にカーボン保護層４を形成する。そして、このカ
ーボン保護層４の上に、液体潤滑剤からなる潤滑層５を
塗布して磁気ディスクを形成している。
【０００３】非磁性の基体１としては、Ａｌ−Ｍｇ合金
の非磁性基板１１に無電解メッキによりＮｉ−Ｐメッキ
層の非磁性金属層１２を形成したもの、アルマイト基
体、ガラス基体、セラミック基体等が用いられる。そし
て、この基体１を研磨し、テクスチャー等により凹凸を
形成する場合もある。この非磁性基体１を約２００℃に
加熱しながらＡｒ雰囲気下の連続搬送型のスパッタリン
グによりＣｒからなる非磁性金属下地層２、磁性層３、
ダイヤモンド状カーボンからなるカーボン保護層４を順
次積層形成する。そして、カーボン保護層４の上にパー
フロロポリエーテル系潤滑剤を塗布する。
の非磁性基板１１に無電解メッキによりＮｉ−Ｐメッキ
層の非磁性金属層１２を形成したもの、アルマイト基
体、ガラス基体、セラミック基体等が用いられる。そし
て、この基体１を研磨し、テクスチャー等により凹凸を
形成する場合もある。この非磁性基体１を約２００℃に
加熱しながらＡｒ雰囲気下の連続搬送型のスパッタリン
グによりＣｒからなる非磁性金属下地層２、磁性層３、
ダイヤモンド状カーボンからなるカーボン保護層４を順
次積層形成する。そして、カーボン保護層４の上にパー
フロロポリエーテル系潤滑剤を塗布する。
【０００４】このような磁気ディスクが固定磁気ディス
ク装置等に搭載されると、装置の記録ヘッドとの接触動
作を繰り返すこととなる。これは、停止時にヘッドと磁
気ディスク表面が接触する状態にあり、この状態から稼
働時のみにヘッドが磁気ディスク表面から僅かに浮上し
て、情報の読み取り動作又は書き込み動作が行われるＣ
ＳＳ（コンタクト・スタート・ストップ）方式が採用さ
れているためである。このようなヘッドの摺動による摩
擦などから磁性層３を保護するためにカーボン保護層４
が形成されており、またヘッドとの潤滑特性を良くする
ためにパーフロロポリエーテル系潤層５が形成されてい
る。
ク装置等に搭載されると、装置の記録ヘッドとの接触動
作を繰り返すこととなる。これは、停止時にヘッドと磁
気ディスク表面が接触する状態にあり、この状態から稼
働時のみにヘッドが磁気ディスク表面から僅かに浮上し
て、情報の読み取り動作又は書き込み動作が行われるＣ
ＳＳ（コンタクト・スタート・ストップ）方式が採用さ
れているためである。このようなヘッドの摺動による摩
擦などから磁性層３を保護するためにカーボン保護層４
が形成されており、またヘッドとの潤滑特性を良くする
ためにパーフロロポリエーテル系潤層５が形成されてい
る。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】カーボン保護層表面
は、水酸基やカルボキシル基等の官能基が存在してお
り、ここに汚染物質が積極的に吸着、結合して存在し易
い。従来、この汚染物質の吸着を阻止するため、末端基
が有極性末端基であるパーフロロポリエーテル系潤滑剤
が用いられている。ここで、パーフロロポリエーテル
は、分子量が小さすぎるものは、鎖状分子の長さが短
く、摩擦係数が増大して潤滑特性が悪化し、また逆に分
子量の大きすぎるものは、鎖状分子の自由端側が長くな
り過ぎ、ヘッドが潤滑層に吸着する傾向が大きくなる。
そのため、パーフロロポリエーテル系潤滑剤は、重量平
均分子量が１５００〜５５００ＭＷ（モル重）で、経験
的に鎖状分子の長さは約３０Å程度が適当とされてい
る。また、液体潤滑層を厚くすると、表層部の過剰な潤
滑剤がヘッドの吸着を誘引するため、層厚は１分子程度
で数１０Åに抑えられている。しかし、このように分子
量が比較的大きな潤滑剤分子を１分子長程度の厚みでカ
ーボン保護層表面に塗布しようとした場合、高分子と高
分子の間に隙間を生じ、表面を均一厚さで完全に被覆す
ることは困難である。
は、水酸基やカルボキシル基等の官能基が存在してお
り、ここに汚染物質が積極的に吸着、結合して存在し易
い。従来、この汚染物質の吸着を阻止するため、末端基
が有極性末端基であるパーフロロポリエーテル系潤滑剤
が用いられている。ここで、パーフロロポリエーテル
は、分子量が小さすぎるものは、鎖状分子の長さが短
く、摩擦係数が増大して潤滑特性が悪化し、また逆に分
子量の大きすぎるものは、鎖状分子の自由端側が長くな
り過ぎ、ヘッドが潤滑層に吸着する傾向が大きくなる。
そのため、パーフロロポリエーテル系潤滑剤は、重量平
均分子量が１５００〜５５００ＭＷ（モル重）で、経験
的に鎖状分子の長さは約３０Å程度が適当とされてい
る。また、液体潤滑層を厚くすると、表層部の過剰な潤
滑剤がヘッドの吸着を誘引するため、層厚は１分子程度
で数１０Åに抑えられている。しかし、このように分子
量が比較的大きな潤滑剤分子を１分子長程度の厚みでカ
ーボン保護層表面に塗布しようとした場合、高分子と高
分子の間に隙間を生じ、表面を均一厚さで完全に被覆す
ることは困難である。
【０００６】ところで、磁気記録媒体を搭載する磁気デ
ィスク装置は、最近では完全密閉方式であり、内部部品
からの発生ガスは内部空間に充満し易い。特に、高湿条
件下で使用された場合、発生ガスは、湿度または結露か
ら生じる水分に溶け込み、酸となり易い。このような雰
囲気下で磁気記録媒体が使用されると、まず媒体表面の
うち潤滑剤分子と分子との間隙部分に酸性ガスが吸着
し、高湿条件下で吸着水に溶け込んで酸となる。この酸
がある濃度以上になると、潤滑剤であるパーフロロポリ
エーテルのエーテル結合部に作用し、酸化と還元反応を
引起し、高分子量の鎖状分子をシュウ酸や蟻酸の低分子
に分解する。液体潤滑剤が分解されて低分子化される
と、潤滑剤の媒体表面との密着性が失われ、磁気ヘッド
側に転写され易くなる。このようなヘッド汚れは、磁気
ヘッドの浮上特性を乱し（浮上量の上昇）、再生出力の
低下を招く。また、低分子化された潤滑剤は、もはや潤
滑特性を保てず、保護膜の磨耗を生じ、最悪の場合ヘッ
ドクラッシュを引き起こす。
ィスク装置は、最近では完全密閉方式であり、内部部品
からの発生ガスは内部空間に充満し易い。特に、高湿条
件下で使用された場合、発生ガスは、湿度または結露か
ら生じる水分に溶け込み、酸となり易い。このような雰
囲気下で磁気記録媒体が使用されると、まず媒体表面の
うち潤滑剤分子と分子との間隙部分に酸性ガスが吸着
し、高湿条件下で吸着水に溶け込んで酸となる。この酸
がある濃度以上になると、潤滑剤であるパーフロロポリ
エーテルのエーテル結合部に作用し、酸化と還元反応を
引起し、高分子量の鎖状分子をシュウ酸や蟻酸の低分子
に分解する。液体潤滑剤が分解されて低分子化される
と、潤滑剤の媒体表面との密着性が失われ、磁気ヘッド
側に転写され易くなる。このようなヘッド汚れは、磁気
ヘッドの浮上特性を乱し（浮上量の上昇）、再生出力の
低下を招く。また、低分子化された潤滑剤は、もはや潤
滑特性を保てず、保護膜の磨耗を生じ、最悪の場合ヘッ
ドクラッシュを引き起こす。
【０００７】さらに最近、従来のＴＰＣヘッドから、Ｔ
ｒｉ−ｐａｄヘッド，Ｔｒｉ−ｏｍｅｇａヘッド等の低
浮上型のヘッドが採用されつつある。これらの磁気ヘッ
ドは、作動中の磁気記録媒体表面への接触が従来型のヘ
ッドに比べて多く、摩擦により熱を生じる。またヘッド
材料のＡｌ2 Ｏ3 −ＴｉＣは、潤滑剤の分解反応におけ
る触媒の働きをする。このように、低浮上型ヘッドの使
用においては、従来の液体潤滑剤ではその分解が促進さ
れるため、潤滑層としての機能を維持することが出来な
い。
ｒｉ−ｐａｄヘッド，Ｔｒｉ−ｏｍｅｇａヘッド等の低
浮上型のヘッドが採用されつつある。これらの磁気ヘッ
ドは、作動中の磁気記録媒体表面への接触が従来型のヘ
ッドに比べて多く、摩擦により熱を生じる。またヘッド
材料のＡｌ2 Ｏ3 −ＴｉＣは、潤滑剤の分解反応におけ
る触媒の働きをする。このように、低浮上型ヘッドの使
用においては、従来の液体潤滑剤ではその分解が促進さ
れるため、潤滑層としての機能を維持することが出来な
い。
【０００８】そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題
は、薄く塗布しても潤滑剤分子間の間隙が無く、カーボ
ン保護層上を完全に被覆する潤滑層を設けることによ
り、潤滑剤を分解する汚染物質のカーボン保護層への吸
着を防ぎ、さらに低浮上型ヘッドとの接触摺動において
も潤滑剤が分解することなく、安定した潤滑特性を永く
維持し、ＣＳＳ耐久性に優れる磁気記録媒体及びその製
造方法を提供することにある。
は、薄く塗布しても潤滑剤分子間の間隙が無く、カーボ
ン保護層上を完全に被覆する潤滑層を設けることによ
り、潤滑剤を分解する汚染物質のカーボン保護層への吸
着を防ぎ、さらに低浮上型ヘッドとの接触摺動において
も潤滑剤が分解することなく、安定した潤滑特性を永く
維持し、ＣＳＳ耐久性に優れる磁気記録媒体及びその製
造方法を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、液体潤滑剤として高分子量の潤滑剤の他
に低分子量で安定性の高い潤滑剤も用いたことを特徴と
する。即ち、本発明は、非磁性基体の上に積層された磁
性層を保護するカーボン保護層と、このカーボン保護層
の上に塗布され液体潤滑層とを備えた磁気記録媒体にお
いて、上記液体潤滑層は、パーフロロポリエーテル系潤
滑剤と環状トリホスファゼン系潤滑剤を組み合わせて塗
布してなることを特徴とする。ここで塗布する環状トリ
ホスファゼン系潤滑剤としては、下記構造式を有するも
のを用いることが好ましい。
に、本発明は、液体潤滑剤として高分子量の潤滑剤の他
に低分子量で安定性の高い潤滑剤も用いたことを特徴と
する。即ち、本発明は、非磁性基体の上に積層された磁
性層を保護するカーボン保護層と、このカーボン保護層
の上に塗布され液体潤滑層とを備えた磁気記録媒体にお
いて、上記液体潤滑層は、パーフロロポリエーテル系潤
滑剤と環状トリホスファゼン系潤滑剤を組み合わせて塗
布してなることを特徴とする。ここで塗布する環状トリ
ホスファゼン系潤滑剤としては、下記構造式を有するも
のを用いることが好ましい。
【００１０】
【化２】 これにより、分子量の小さい環状トリホスファゼン系潤
滑剤が分子量の大きいパーフロロポリエーテル系潤滑剤
の分子間の間隙を埋めることにより、潤滑層を厚くする
ことなくカーボン保護層を潤滑剤で完全に覆うことがで
き、潤滑剤の分解の原因となる汚染物質のカーボン保護
層への吸着が抑止される。さらに、環状トリホスファゼ
ンの優れた安定性により、磁気ヘッドとの接触煽動を繰
り返しても分解を生じず、優れた潤滑特性を維持出来、
ＣＳＳ耐久性を向上させることができる。
滑剤が分子量の大きいパーフロロポリエーテル系潤滑剤
の分子間の間隙を埋めることにより、潤滑層を厚くする
ことなくカーボン保護層を潤滑剤で完全に覆うことがで
き、潤滑剤の分解の原因となる汚染物質のカーボン保護
層への吸着が抑止される。さらに、環状トリホスファゼ
ンの優れた安定性により、磁気ヘッドとの接触煽動を繰
り返しても分解を生じず、優れた潤滑特性を維持出来、
ＣＳＳ耐久性を向上させることができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を添付図
面に基づいて説明する。まず、図１に示すように、Ａｌ
−Ｍｇ合金基板１１に無電解メッキ処理によりＮｉ−Ｐ
非磁性層１２を１３μｍ形成し、その表面をポリッシュ
により表面粗さＲａが１０Åになるように研磨した後、
ダイヤモンドスラリーを使用して、表面粗さＲａが４０
Åとなるように、同心円状の溝をテクスチャー加工によ
り施した。この基体１を洗浄した後、ＤＣスパッタ法に
より、膜厚５００ÅのＣｒからなる非磁性金属下地層
２，膜厚３００ÅのＣｏ82Ｃｒ14Ｔａ4 磁性層３，膜厚
１５０Åのダイヤモンド状カーボン（ＤＬＣ）の保護層
４を順次成膜したのち、表面の異常突起除去のため、保
護層表面のテープバニッシを行った。この様にしてカー
ボン保護層（ＤＬＣ）４まで形成した媒体上に、表１に
示すような条件で、環状トリホスファゼン系潤滑剤とパ
ーフロロポリエーテル系潤滑剤を順に塗布して潤滑層５
を形成し、実施例１から８と、比較例１から４までの磁
気記録媒体をそれぞれ作製した。
面に基づいて説明する。まず、図１に示すように、Ａｌ
−Ｍｇ合金基板１１に無電解メッキ処理によりＮｉ−Ｐ
非磁性層１２を１３μｍ形成し、その表面をポリッシュ
により表面粗さＲａが１０Åになるように研磨した後、
ダイヤモンドスラリーを使用して、表面粗さＲａが４０
Åとなるように、同心円状の溝をテクスチャー加工によ
り施した。この基体１を洗浄した後、ＤＣスパッタ法に
より、膜厚５００ÅのＣｒからなる非磁性金属下地層
２，膜厚３００ÅのＣｏ82Ｃｒ14Ｔａ4 磁性層３，膜厚
１５０Åのダイヤモンド状カーボン（ＤＬＣ）の保護層
４を順次成膜したのち、表面の異常突起除去のため、保
護層表面のテープバニッシを行った。この様にしてカー
ボン保護層（ＤＬＣ）４まで形成した媒体上に、表１に
示すような条件で、環状トリホスファゼン系潤滑剤とパ
ーフロロポリエーテル系潤滑剤を順に塗布して潤滑層５
を形成し、実施例１から８と、比較例１から４までの磁
気記録媒体をそれぞれ作製した。
【００１２】例えば実施例１の媒体の潤滑層としては、
〔化１又は２〕式で示される環状トリホスファゼン系潤
滑剤（Ｘ−１Ｐ，Dow Chemical社製）をｎ−ヘキサンを
溶媒として、濃度が０．０５ｗｔ％となるように希釈
し、ディップコート法により引上げ速度１．０ｍｍ／ｓ
ｅｃで、膜厚５Åとなるように塗布を行った。次に、重
量平均分子量が４０００ＭＷであり、末端基が水酸基の
パーフロロポリエーテル（例えばFomblin Z-dol400 AU
SIMONT社製）をフルオロカーボン（例えばFC-77３Ｍ社
製) を溶媒として、その濃度が０．０５ｗｔ％になるよ
うに希釈してスピンコート法により回転数１８００ｒｐ
ｍでパーフロロポリエーテル系潤滑剤が２０Åになるよ
うに塗布を行い磁気記録媒体を製作した。
〔化１又は２〕式で示される環状トリホスファゼン系潤
滑剤（Ｘ−１Ｐ，Dow Chemical社製）をｎ−ヘキサンを
溶媒として、濃度が０．０５ｗｔ％となるように希釈
し、ディップコート法により引上げ速度１．０ｍｍ／ｓ
ｅｃで、膜厚５Åとなるように塗布を行った。次に、重
量平均分子量が４０００ＭＷであり、末端基が水酸基の
パーフロロポリエーテル（例えばFomblin Z-dol400 AU
SIMONT社製）をフルオロカーボン（例えばFC-77３Ｍ社
製) を溶媒として、その濃度が０．０５ｗｔ％になるよ
うに希釈してスピンコート法により回転数１８００ｒｐ
ｍでパーフロロポリエーテル系潤滑剤が２０Åになるよ
うに塗布を行い磁気記録媒体を製作した。
【００１３】同様にして、表１に示す各条件の潤滑剤を
各塗布方法にて塗布し、実施例２〜８及び比較例１〜４
の媒体を作製した。
各塗布方法にて塗布し、実施例２〜８及び比較例１〜４
の媒体を作製した。
【００１４】
【表１】 このようにして作製した磁気記録媒体に対して、以下の
評価１から評価５までの評価実験を行った。 〔評価１〕上記各磁気記録媒体表面上に、Ａｌ2 Ｏ3 −
ＴｉＣ粉と超純水の混合液１滴を滴下したものをデシケ
ータ内に置き、８０℃／８０％RHの条件下で２４時間放
置した後、媒体表面の潤滑剤の分解の有無をフーリエ変
換式赤外分光光度計（ＦＴ−ＩＲ）にて確認した。 〔評価２〕上記各磁気記録媒体の表面上に超純水１滴を
滴下したものと、１％Ｈ2 ＳＯ4を１０ｃｃ入れたシャ
ーレとを共にデシケータ内に置き、８０℃／８０％RHの
条件下で２４時間放置した後、媒体表面の潤滑剤の分解
の有無をフーリエ変換式赤外分光光度計（ＦＴ−ＩＲ）
にて確認した。 〔評価３〕上記各磁気記録媒体の表面上に、ヘッドサイ
ズ５０％、ヘッド荷重５ｇのＴｒｉ−ｐａｄヘッドを、
媒体半径２１．５ｍｍの位置に置き、回転数１ｒｐｍで
摺動させた時の動摩擦係数μI を測定した。その後、回
転数１００ｒｐｍで１時間摺動させたのち、再び回転数
１ｒｐｍで摺動させた時の動摩擦係数μL を測定した。 〔評価４〕上記各磁気記録媒体を実際の磁気ディスクド
ライブに組み込み、常温／常湿（２５℃／４０％RH）と
３２℃／８０％RHの条件下で、２００００回のＣＳＳを
行った。その時の初期の静止摩擦係数μI と２００００
回後の静止摩擦係数μL をそれぞれ測定した。 〔評価５〕評価４において３２℃／８０％RHの条件下
で、２００００回のＣＳＳを繰り返した各媒体ついて、
ヘッドの汚れの有無を光学顕微鏡により観察した。
評価１から評価５までの評価実験を行った。 〔評価１〕上記各磁気記録媒体表面上に、Ａｌ2 Ｏ3 −
ＴｉＣ粉と超純水の混合液１滴を滴下したものをデシケ
ータ内に置き、８０℃／８０％RHの条件下で２４時間放
置した後、媒体表面の潤滑剤の分解の有無をフーリエ変
換式赤外分光光度計（ＦＴ−ＩＲ）にて確認した。 〔評価２〕上記各磁気記録媒体の表面上に超純水１滴を
滴下したものと、１％Ｈ2 ＳＯ4を１０ｃｃ入れたシャ
ーレとを共にデシケータ内に置き、８０℃／８０％RHの
条件下で２４時間放置した後、媒体表面の潤滑剤の分解
の有無をフーリエ変換式赤外分光光度計（ＦＴ−ＩＲ）
にて確認した。 〔評価３〕上記各磁気記録媒体の表面上に、ヘッドサイ
ズ５０％、ヘッド荷重５ｇのＴｒｉ−ｐａｄヘッドを、
媒体半径２１．５ｍｍの位置に置き、回転数１ｒｐｍで
摺動させた時の動摩擦係数μI を測定した。その後、回
転数１００ｒｐｍで１時間摺動させたのち、再び回転数
１ｒｐｍで摺動させた時の動摩擦係数μL を測定した。 〔評価４〕上記各磁気記録媒体を実際の磁気ディスクド
ライブに組み込み、常温／常湿（２５℃／４０％RH）と
３２℃／８０％RHの条件下で、２００００回のＣＳＳを
行った。その時の初期の静止摩擦係数μI と２００００
回後の静止摩擦係数μL をそれぞれ測定した。 〔評価５〕評価４において３２℃／８０％RHの条件下
で、２００００回のＣＳＳを繰り返した各媒体ついて、
ヘッドの汚れの有無を光学顕微鏡により観察した。
【００１５】以上の評価１から５までの結果を表２に示
す。
す。
【００１６】
【表２】 評価１および２の結果から明らかなように、潤滑剤の分
解を促進するヘッド材料のＡｌ2 Ｏ3 −ＴｉＣの存在
下、及び酸性ガス存在下においても、環状トリホスファ
ゼン系潤滑剤とパーフロロポリエーテル系潤滑剤を組み
合わせて塗布した実施例１から８の媒体については、潤
滑剤の分解は見られなかった。また、評価３及び評価４
の潤滑特性、ＣＳＳ特性評価においても、環状トリホス
ファゼン系潤滑剤とパーフロロポリエーテル系潤滑剤を
組み合わせて塗布したものは、高温高湿環境下でも初期
摩擦係数が小さく、さらにＣＳＳ２００００回後の摩擦
係数の上昇も小さい。これに対し、環状トリホスファゼ
ン系潤滑剤のみを塗布したものでは、初期摩擦係数から
大きい値を示し、パーフロロポリエーテル系潤滑剤のみ
を塗布したものでは、ＣＳＳ２００００回後には保護膜
の磨耗（Ｗｅａｒ）を生じている。
解を促進するヘッド材料のＡｌ2 Ｏ3 −ＴｉＣの存在
下、及び酸性ガス存在下においても、環状トリホスファ
ゼン系潤滑剤とパーフロロポリエーテル系潤滑剤を組み
合わせて塗布した実施例１から８の媒体については、潤
滑剤の分解は見られなかった。また、評価３及び評価４
の潤滑特性、ＣＳＳ特性評価においても、環状トリホス
ファゼン系潤滑剤とパーフロロポリエーテル系潤滑剤を
組み合わせて塗布したものは、高温高湿環境下でも初期
摩擦係数が小さく、さらにＣＳＳ２００００回後の摩擦
係数の上昇も小さい。これに対し、環状トリホスファゼ
ン系潤滑剤のみを塗布したものでは、初期摩擦係数から
大きい値を示し、パーフロロポリエーテル系潤滑剤のみ
を塗布したものでは、ＣＳＳ２００００回後には保護膜
の磨耗（Ｗｅａｒ）を生じている。
【００１７】このように環状トリホスファゼン系潤滑剤
とパーフロロポリエーテル系潤滑剤を組み合わせて潤滑
層を形成することにより、潤滑特性、ＣＳＳ耐久性に優
れた良好な磁気記録媒体を得ることができた。
とパーフロロポリエーテル系潤滑剤を組み合わせて潤滑
層を形成することにより、潤滑特性、ＣＳＳ耐久性に優
れた良好な磁気記録媒体を得ることができた。
【００１８】
【発明の効果】以上のように、本発明は、液体潤滑剤と
して高分子量のパーフロロポリエーテルの他に、低分子
量で安定性の高い環状トリホスファゼン系潤滑剤も塗布
した点を特徴としている。潤滑層をこのような構成とす
ることにより、分子量の小さい環状トリホスファゼン系
潤滑剤が、分子量の大きいパーフロロポリエーテルの分
子と分子の間隙にも入り込み、潤滑層の層厚を厚くする
ことなくカーボン保護層上を完全に被覆することができ
る。このため、ドライブ内の発生ガスから媒体表面を保
護し、有害な酸性ガスの媒体表面への吸着を防ぐ。さら
に環状トリホスファゼンの優れた安定性により、低浮上
型の磁気ヘッドが接触摺動しても潤滑剤の分解が起こら
ない。従って、ヘッド汚れも生じず、安定した潤滑特性
を永く維持し、長期に渡ってＣＳＳ耐久性に優れる磁気
記録媒体を提供することが出来た。
して高分子量のパーフロロポリエーテルの他に、低分子
量で安定性の高い環状トリホスファゼン系潤滑剤も塗布
した点を特徴としている。潤滑層をこのような構成とす
ることにより、分子量の小さい環状トリホスファゼン系
潤滑剤が、分子量の大きいパーフロロポリエーテルの分
子と分子の間隙にも入り込み、潤滑層の層厚を厚くする
ことなくカーボン保護層上を完全に被覆することができ
る。このため、ドライブ内の発生ガスから媒体表面を保
護し、有害な酸性ガスの媒体表面への吸着を防ぐ。さら
に環状トリホスファゼンの優れた安定性により、低浮上
型の磁気ヘッドが接触摺動しても潤滑剤の分解が起こら
ない。従って、ヘッド汚れも生じず、安定した潤滑特性
を永く維持し、長期に渡ってＣＳＳ耐久性に優れる磁気
記録媒体を提供することが出来た。
【図１】磁気記録媒体の構造断面図
１ 基体 ２ 非磁性下地層 ３ 磁性層 ４ 保護層 ５ 液体潤滑層 １１ 非磁性基板 １２ 非磁性金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二村 和男 神奈川県川崎市川崎区田辺新田１番１号 富士電機株式会社内 (72)発明者 ▲鄭▼ 用一 神奈川県川崎市川崎区田辺新田１番１号 富士電機株式会社内
Claims (5)
- 【請求項１】非磁性基体上に少なくとも磁性層，カーボ
ン保護層及び液体潤滑層を積層してなる磁気記録媒体に
おいて、前記液体潤滑層が、環状トリホスファゼン系潤
滑剤とパーフロロポリエーテル系潤滑剤からなることを
特徴とする磁気記録媒体。 - 【請求項２】前記環状トリホスファゼン系潤滑剤が、下
記構造式を有するものであることを特徴とする請求項１
に記載の磁気記録媒体。 【化１】 - 【請求項３】前記パーフロロポリエーテル系潤滑剤が、
少なくとも一方の末端基として有極末端基を有し、重量
平均分子量が１５００ないし５５００ＭＷ（モレキュラ
ー・ウェイト）であることを特徴とする請求項１または
２に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項４】請求項１ないし３のいずれかに記載の磁気
記録媒体の製造方法において、前記液体潤滑層の形成工
程は、溶媒で希釈した環状トリホスファゼン系潤滑剤を
ディップコート法で塗布する工程と、その後、溶媒で希
釈したパーフロロポリエーテル系潤滑剤をスピンコート
法で塗布する工程とからなることを特徴とする磁気記録
媒体の製造方法。 - 【請求項５】請求項１ないし３のいずれかに記載の磁気
記録媒体の製造方法において、前記液体潤滑層の形成工
程は、溶媒で希釈した環状トリホスファゼン系潤滑剤を
スピンコート法で塗布する工程と、その後、溶媒で希釈
したパーフロロポリエーテル系潤滑剤をスピンコート法
で塗布する工程とからなることを特徴とする磁気記録媒
体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4901997A JPH09305961A (ja) | 1996-03-12 | 1997-03-04 | 磁気記録媒体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5428896 | 1996-03-12 | ||
| JP8-54288 | 1996-03-12 | ||
| JP4901997A JPH09305961A (ja) | 1996-03-12 | 1997-03-04 | 磁気記録媒体及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09305961A true JPH09305961A (ja) | 1997-11-28 |
Family
ID=26389371
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4901997A Pending JPH09305961A (ja) | 1996-03-12 | 1997-03-04 | 磁気記録媒体及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09305961A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6605335B2 (en) | 2000-05-22 | 2003-08-12 | Hitachi, Ltd. | Magnetic recording medium |
| US6730403B1 (en) | 1999-01-07 | 2004-05-04 | Fuji Electric Co., Ltd. | Magnetic recording medium and method for manufacturing the same |
| JP2007307764A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | General Technology Kk | 昇華転写シート |
| JP2007307765A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | General Technology Kk | 昇華転写シート |
| JP2008008681A (ja) * | 2006-06-27 | 2008-01-17 | Fuji Electric Device Technology Co Ltd | 磁気記録媒体の潤滑層の膜厚測定方法及び磁気記録媒体 |
| JP2010037563A (ja) * | 2008-08-05 | 2010-02-18 | Seagate Technology Llc | 低断面潤滑剤のシクロホスファゼン環を有する混合物 |
-
1997
- 1997-03-04 JP JP4901997A patent/JPH09305961A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6730403B1 (en) | 1999-01-07 | 2004-05-04 | Fuji Electric Co., Ltd. | Magnetic recording medium and method for manufacturing the same |
| US6605335B2 (en) | 2000-05-22 | 2003-08-12 | Hitachi, Ltd. | Magnetic recording medium |
| JP2007307764A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | General Technology Kk | 昇華転写シート |
| JP2007307765A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | General Technology Kk | 昇華転写シート |
| JP2008008681A (ja) * | 2006-06-27 | 2008-01-17 | Fuji Electric Device Technology Co Ltd | 磁気記録媒体の潤滑層の膜厚測定方法及び磁気記録媒体 |
| JP2010037563A (ja) * | 2008-08-05 | 2010-02-18 | Seagate Technology Llc | 低断面潤滑剤のシクロホスファゼン環を有する混合物 |
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