JP4332830B2 - 熱転写インク受像シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写インク受像シートに関し、さらに詳しくは、高い耐光性を有し、しかも暗所での赤変や黄変が防止され、かつ熱転写プリンターで、バリアブル性能を含めた階調再現性、ドット再現性およびカラー鮮明性に優れた画像を形成できる熱転写インク受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写プリンターでの高精細画像の形成において、多孔質層を有する受像シートを用い、イエロー、マゼンタ、シアン(必要に応じてブラック等)の熱転写ドナーフィルムから溶融転写するにあたって、溶融状態の熱溶融性インクを前記多孔質層の細孔に浸透させることによって転写し、カラー画像を形成する手法については、テレビジョン学会技術報告 ITE Technical Report、Vol.17、No.27(1993年5月)、19〜24頁にて既に報告されている。さらに、多孔質層を形成する有効な方法の一つとして、湿式凝固法(樹脂成分のジメチルホルムアミド溶解液を塗工したシートを水中に浸漬し、ジメチルホルムアミドと水の置換により多孔質層を形成する方法)が知られている。湿式凝固法としては、多孔質層塗工液中に第3成分として微粒子を添加する方法(特公昭49−25430号公報、特公平5−18332号公報参照)や、樹脂成分として互いに混和性の低い2種類以上の樹脂を併用する方法(特公平5−87311号公報)等が提案されているが、これらの方法にて形成された多孔質層を有する受像シートにおいては、孔の孔径が大きく、粗雑な多孔質構造であるため、熱転写印画においてインクの浸透が充分に行なわれず、均一な形状のドット形成が困難である。とくにフルカラー印画を行なった際にはインクの重なり合う部分で2次色以降のインクの転写不良を生じ、高精細な画像形成が困難であった。
【0003】
また、多孔質層の形成に用いる熱可塑性樹脂として、ウレタン樹脂などのような樹脂自身が紫外線照射で酸化されやすく、黄変しやすいものを使用すると、受像シートの耐光性が低下する問題があった。耐光性を向上させる手段として、特開平10−337969号公報では、無黄変性のウレタン樹脂を使用することにより、受像シートの耐光性を向上させている。しかし、無黄変性のウレタン樹脂でも、熱や湿気、NOx等により酸化され、樹脂の物性劣化が生じ、この酸化を防ぐために、酸化防止剤を添加している。一般的にはフェノール系酸化防止剤が使用されるが、一般的に使われるフェノール系酸化防止剤では、樹脂の酸化による物性劣化を防ぐことはできたが、フェノール系酸化防止剤自身が酸化され、酸化防止剤自身が有色化合物(赤色、黄色)へと変化し、受像シートが変色するという問題があった。とくに暗所では受像シートが赤変や黄変してしまい、この変色は高温・多湿条件下で加速された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い耐光性を有し、かつ暗所での酸化による赤変や黄変が防止され、かつ、バリアブル性能を含めたドット形状、階調再現性およびカラー鮮明性、とくにカラー画像における2次色以降のドット再現性に優れた熱転写インク受像シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、無黄変性のウレタン樹脂とアラゴナイト型炭酸カルシウムからなり、かつ特定の片ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む多孔質構造のインク受容層を有するインク受像シートは、高耐光性を有するのみならず、暗所での赤変や黄変が防止され、かつ、この受像シートと、熱転写時にプリンターヘッドから与えられる熱で溶融し、前記インク受容層の多孔質構造中に浸透することによって転写する熱溶融性インクを用いることにより、バリアブル性能を含めた階調再現性、ドット再現性、とくにカラー画像形成時の2次色以降のドット再現性、およびカラー鮮明性に優れた画像を形成できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、請求項1にかかる発明は、シート状支持体と、この支持体の少なくとも一面上に設けられた多孔質構造を有するインク受容層とからなる熱転写インク受像シートにおいて、該インク受容層が無黄変性のウレタン樹脂とアラゴナイト型炭酸カルシウムからなり、かつ下記一般式(1)で表わされる片ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含んでいることを特徴とする熱転写インク受像シートに関する。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1は炭素数1〜4の直鎖アルキル基を示し、R2はt−ブチル基、sec−ブチル基またはネオペンチル基を示す)。
【0009】
また、請求項2にかかる発明は、前記多孔質構造を有するインク受容層が湿式凝固法で形成されてなることを特徴とする請求項1記載の熱転写インク受像シートに関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明において、受像シートのシート状支持体としては、一般的なプラスチックフィルムまたはシート、プラスチックに白色顔料等を加えた白色フィルムまたはシートやプラスチックを発泡させた発泡フィルムやシート、その他、合成紙やラミネート紙等耐水性を付与した紙等が使用できる。さらに、これらに対して、インク受容層との接着を向上させるためのプライマー層を施したり、静電防止処理あるいはコロナ処理を施したりしてもよい。さらに、必要に応じて裏面に滑性付与層や帯電防止層を設けてもよい。
【0012】
前記シート状支持体の表面に、無黄変性のウレタン樹脂とアラゴナイト型炭酸カルシウムからなり、かつ前記一般式(1)で表わされる片ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む多孔質構造を有するインク受容層を設ける。本発明おいては、該インク受容層を湿式凝固法により形成するのが好ましい。以下、湿式凝固法によりインク受容層を形成する場合について説明する。
【0013】
湿式凝固法においては、樹脂成分を有機溶媒中に溶解した受容層塗工液を支持体に塗布した後、前記有機溶媒と相溶性があり、かつ前記樹脂成分は溶解しない処理液からなる浴槽に浸漬する。受容層塗工液中の有機溶媒と浴槽中の処理液とは相溶性が高いため、相互に置換が生じ、塗工層中の有機溶媒は浴槽に流出し、同時に浴槽の処理液は塗工層中に浸透する。ここで、塗工層中の樹脂成分は浴槽中の処理液に不溶のため凝固する。それにより、塗工層中の溶媒の抜けた跡が空隙となり、多孔質層が形成される。
【0014】
本発明のインク受容層塗工液に使用される有機溶媒としては、本発明にて使用される樹脂成分の溶解力が高く、かつ浴槽に使用される処理液との相溶性が高い各種有機溶媒が使用できる。たとえば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチル、ジオキサン、ブチルカルビノール、トルエン、フェノール、クロロホルム、γ−ブチロラクトンおよびケトン類や各種アルコール等が用いられる。中でもN,N−ジメチルホルムアミドは水を含めて一般的に好適な処理液と高度の混和性があると共に、多くの樹脂に対する溶解力が高い点から、湿式凝固法においては好適な有機溶媒である。さらに、浴槽に用いられる処理液としては、これら溶媒との相溶性を考慮して、水、アセトン、エタノール、トルエン、テトラクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ヘキサン等が適宜使用できる。
【0015】
本発明で使用する受容層塗工液は、有機溶媒に無黄変性のウレタン樹脂と前記一般式(1)で表わされる酸化防止剤が溶解され、さらにアラゴナイト型炭酸カルシウムが分散された分散液からなることを特徴としている。以下、それぞれの成分について説明する。
【0016】
本発明におけるウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールとを、必要に応じて多官能性活性水素化合物と一緒に反応させることによって得られる。無黄変性のウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとして、脂環族または脂肪族ポリイソシアネートを使用することにより合成できる。具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などが使用できる。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどがあげられる。
【0017】
とくに、湿式凝固法で微細な多孔質構造を形成するためには、ポリエステル系のウレタン樹脂が最も良好であるため、ポリオールもポリエステルポリオールが望ましく、しかも耐光性が必須であるため、脂肪族ポリエステルポリオールが好ましい。たとえば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレングリコールのごとき炭素数2〜10の脂肪族グリコールの少なくとも1種と、たとえばコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のごとき炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸の少なくとも1種を主たるグリコール成分およびジカルボン酸成分とするポリエステルジオールがあげられる。
【0018】
前記ポリオール成分およびジカルボン酸成分に加えて、たとえばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、トリメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの多官能性活性水素化合物の1種または2種以上を使用してもよい。
【0019】
つぎに、本発明における受容層塗工液にて使用されるアラゴナイト型炭酸カルシウムについて説明する。一般的に、アラゴナイト型炭酸カルシウムを含む化学的に合成して得られる軽質炭酸カルシウムは一次粒子が多数個結合して二次凝集体を形成しているが、本発明では凝集構造を残したままバインダー樹脂中に分散してもよいし、凝集構造を任意の大きさに粉砕した状態でバインダー樹脂中に分散してもよい。好ましくは、メディアを用いた分散機にて、アラゴナイト型炭酸カルシウムを凝集構造が破壊される状態まで粉砕した状態でバインダー樹脂中に均一に分散された状態(平均粒径2.5μm以下)とするのがよい。凝集構造の破砕が充分に行なわれていない状態では、湿式凝固法にて形成される受容層表面に二次凝集体が露出するため、表面平滑性が充分に得られず、結果として均一な形状のドット形成が困難となり、微細ドットのカケや欠落によるハイライト部小点のザラツキが発生するため、高精細な画像形成が困難となる。
【0020】
メディアを用いた分散機としては、たとえばアトライターやセントリーミル等の撹拌槽型ミル、サンドグラインダ、ダイノーミル、グレーンミル、パールミル、マターミル等の流通管型ミル、コニカルボールミル等のアニューラー型連続湿式撹拌ミル等の装置が好ましく使用できる。分散時に使用されるメディアとしては、たとえばフリント石、オッタワサンド、スチールボール、アルミナボール、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ等の天然または合成の微小粒子があげられる。そして、これらのメディアを容器内に充填し、任意形状の撹拌羽を介して機械的に撹拌させながら、被分散液を1回または複数回通過させて粉砕、分散を行なう。
【0021】
バインダー樹脂とアラゴナイト型炭酸カルシウムの比率(重量比率、以下同様)は70:30〜35:65であることが望ましい。バインダー樹脂の比率がこの条件よりも多くなると、アラゴナイト型炭酸カルシウムによる多孔質構造形成作用、とくに受容層表面での孔形成作用が不充分となり、熱溶融性インクを用いて印画する際に、インクが充分に浸透せず、ドット形状が劣化する傾向がある。アラゴナイト型炭酸カルシウムの比率がこの条件よりも多くなると、受容層の表面強度が低下し、弱い摩擦力でも粒子が脱落し、その結果として筆記特性が低下する傾向がある。
【0022】
また、受容層塗工液中には、多孔質構造のコントロールのため、各種界面活性剤や添加剤を適宜添加してもよい。
【0023】
前記受容層塗工液のシート状支持体上への塗布は、公知のリバースロールコート、エアナイフコート、グラビアコート、ブレードコート、コンマコート、ロッドコート等の種々の方法を使用して行なうことができる。
【0024】
受容層塗工液をシート状支持体上に塗布した後、湿式凝固法にて多孔質層を形成する。形成された多孔質層は、層内における細孔の占める割合、すなわち空隙率が30〜70%の範囲内であることが望ましい。空隙率は、下式によって求められる。
【0025】
空隙率(%)=(1−w/dh)×100
ここで、w:多孔質層の重量(g/m2)
d:多孔質層の真の比重(g/cm3)
h:多孔質層の厚さ(μm)
【0026】
空隙率がこの条件よりも高くなると層自体の強度が低下し、印画に際してサーマルプリンターヘッドの押圧に対して層自体が元の形状に復元することができなくなり、とくに2次色以降の印画時にはサーマルプリンターヘッドと受像層との密着性が低下することにより熱溶融性インクが充分に溶融されず、とくに低階調部分での均一なドット形成が困難となる傾向がある。一方、空隙率がこの条件よりも低くなると、層の柔軟性が低下、すなわちクッション性が低下することによって空隙率が多い場合と同様にサーマルプリンターヘッドと受像層との密着性が低下することによってドット再現性が低下する傾向にある。さらに層内の細孔の体積が減少するため、熱溶融性インクの充分な浸透が得られず、2次色以降のドット形状が劣化する。
【0027】
インク受容層の厚さは、重ね合わせ転写に使用するインクの数にもよるが、通常3〜50μm程度である。
【0028】
前記インク受容層上には必要に応じて滑性付与層あるいは帯電防止層を設けてもよい。
【0029】
多孔質層形成材料として、無黄変性ウレタン樹脂、アラゴナイト型炭酸カルシウムを使用して、湿式凝固法にて微細孔が形成された多孔質構造を有するインク受容層を形成し、階調再現性、ドット再現性、カラー鮮明性に優れた画像を得ることが可能となっても、樹脂に含まれる添加剤によっては、暗所で添加剤自身が変色することにより、インク受像シートが変色してしまう。この添加剤の変色の機構は、一般に添加剤へのNOxの吸着で説明されている。これはNOxの吸着による変色と暗所変色が同様に考えられているためである。一般的に使用されるフェノール系酸化防止剤は両ヒンダードフェノールであり、立体障害のためフェノール性OH基のパラ位へNOxが吸着し、キノンメチド体の生成を経てスチルベンキノン体などの着色物質となり変色すると考えられている。この変色防止に大きく効果のある添加剤が前記一般式(1)で表わされるフェノール系酸化防止剤である。この一般式(1)のフェノール系酸化防止剤は、片ヒンダードフェノールであり、OH基の一方のオルソ位がメチル基などのため低立体障害であり、このためNOxの吸着はメタ位に優先して起こり、最終生成物はほぼ無色の安定な化合物となるため、非常に変色防止に効果がある。この一般式(1)において、R1はメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、好ましくはメチル基である。また、R2はt−ブチル基、sec−ブチル基またはネオペンチル基である。この一般式(1)の片ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては下記の化合物があげられる。
【0030】
3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
3,9−ビス{2−[3−(3−iso−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
3,9−ビス{2−[3−(3−ネオペンチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
【0031】
これら片ヒンダードフェノール系化合物は、ウレタン樹脂に対して通常0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%の範囲で添加される。なお、添加時期は、ウレタン樹脂の重合時、ペレット化時に添加してもよく、あるいは受容層形成時に受容層塗工液に添加してもよい。とくに重合時、ペレット化時に添加するのが好ましい。
【0032】
また、さらに耐光性を向上させる目的で、ヒンダードアミン系光安定剤(以下、HALSという)、紫外線吸収剤、セミカルバジド系光安定剤を必要に応じて添加してもよい。添加時期は、ウレタン樹脂の重合時、ペレット化時に添加してもよく、あるいは受容層成形時に受容層塗工液に添加してもよい。
【0033】
本発明の前記インク受容層を有する受像シートは、熱転写時にプリンターヘッドから与えられる熱で溶融し、前記受容層の多孔質構造中に浸透することによって転写するワックスを主成分とする熱溶融性インク層を有する熱転写ドナーシートによる画像形成に最も適している。樹脂成分およびワックスを主成分とするセミレジン型インクによる橋梁型熱転写にも使用できる。熱転写ドナーフィルムにおいては、複数色の着色インク層を同一基材上に繰り返し並べて設けてもよいし、別々の基材に各色の着色インク層を設けてもよい。
【0034】
【実施例】
下記実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらによって制限されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」はすべて重量部数を表わす。
【0035】
<ウレタン樹脂の製造>
製造例1
脱水したポリエチレンアジペートグリコール100部と1,4−ブタンジオール5.1部を90℃で混合して、激しくかき混ぜながら、トリエチレンジアミン14部を滴下して、かき混ぜながら加熱して90℃に保った。激しくかき混ぜながら、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート21.6部を一時に加え、60分間反応させ、フレーク状の無黄変性ウレタン樹脂を得た。このフレーク状の無黄変性ウレタン樹脂100部に下記添加剤Aを0.5部、下記添加剤Bを0.5部、下記添加剤Cを0.5部、下記添加剤Dを0.5部添加して、押出し機にて溶融混練し、射出成形機にてペレット状の無黄変性ウレタン樹脂を得た。
【0036】
添加剤A(前記一般式(1)の片ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
添加剤B(紫外線吸収剤)
2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
添加剤C(HALS)
アジピン酸ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル
添加剤D(セミカルバジド系光安定剤)
1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)
【0037】
製造例2
製造例1でフレーク状のウレタン樹脂に添加剤を加える際に、添加剤Aのみを0.5部添加したほかは、製造例1と同様にしてペレット状の無黄変性ウレタン樹脂を得た。
【0038】
製造例3
製造例1でフレーク状のウレタン樹脂に添加剤を加える際に、添加剤Aの代わりに、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5)−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシメチル]メタン(両ヒンダードフェノール系酸化防止剤:IRGANOX 1010 チバガイギー(株)製)の0.5部を添加(添加剤Bの0.5部、添加剤Cの0.5部、添加剤Dの0.5部も添加した)したほかは、製造例1と同様にしてペレット状の無黄変性ウレタン樹脂を得た。
【0039】
<受像シートの製造>
実施例1
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、下記組成−1の分散液を平均粒子径1.0μmになるように粉砕・分散した受容層塗工液を塗布し、20℃の水に60秒間浸漬した後、80℃の湯の中に10秒間浸漬して水切りした後乾燥し、層厚15.0μm多孔質インク受容層を形成して、インク受像シートを得た。
【0040】
【0041】
実施例2
下記組成−2の分散液を用いたほかは実施例1と同様にしてインク受像シートを製造した。
【0042】
【0043】
比較例1
下記組成−3の分散液を用いたほかは実施例1と同様にしてインク受像シートを製造した。
【0044】
【0045】
比較例2
下記組成−4の分散液を用いたほかは実施例1と同様にしてインク受像シートを製造した。
【0046】
【0047】
比較例3
下記組成−5の分散液を用いたほかは実施例1と同様にしてインク受像シートを製造した。
【0048】
【0049】
<熱転写ドナーフィルムの作製>
一方の面に厚さ0.1μの変性シリコーン樹脂からなるスティック防止層を形成した厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのもう一方の表面に、下記に示す着色インクをホットメルトコーティング法で塗布して層厚2.0μmの着色インク層を形成し、熱転写ドナーフィルムを得た。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
<評価方法>
(1)最小ドット径、最小ドット形状および濃度階調数
前記で得られた各熱転写インク受像シートと熱転写ドナーフィルムを用い、バリアブルドット式熱転写カラープリンター(ドット密度300dpi、印加エネルギー0.12mJ/dot、印画速度10msec/line)で256階調パターンをブラックで印画し、つぎに示す最小ドット径および最小ドット形状、濃度階調数を求めた。
【0055】
・最小ドット径
前記プリンターにて印画エネルギーを256段階に変調させて印画を行ない、その印画の内の最小エネルギーで転写可能な着色インクのドット径(長辺の長さ)を電子顕微鏡にて測定した。
【0056】
・最小ドット形状
前記プリンターにて印画した内の最小エネルギーで転写可能な着色インクのドット形状を電子顕微鏡にて観察し、つぎの基準で評価した。評点4以上が実用レベルである。
【0057】
5:同一濃度部分のドット形状が一様に欠けやボイドなく再現された状態
4:同一濃度部分のドット形状の一部に欠けやボイドが生じてはいるが、ほぼ一様に再現された状態
3:同一濃度部分のドット形状の一部に欠けやボイド、ドットの欠落が生じた状態
2:同一濃度部分のドット形状の欠けやボイド、ドットの欠落が多数生じた状態
1:同一濃度部分のドット形状に欠けやボイド、ドットの欠落が生じて、画像としてザラツキが目立つ状態
【0058】
・濃度階調数
前記プリンターにおいて印画エネルギーを256段階等分に変えて印画した場合に得られた画像の反射光学濃度(OD値)に有意の差が生じる段階数を求めた。評点4以上が実用レベルである。
【0059】
5:96階調数以上
4:64〜95階調数
3:32〜63階調数
2:16〜31階調数
1:15階調数以下
【0060】
(2)インク浸透性
前記で得られた各熱転写インク受像シートと熱転写ドナーフィルムを用い、前記印画条件下に、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクにてベタ転写を行なった後にブラックにて256階調パターンを印画し、印画物のブラックのドット形状の変形度合いを顕微鏡にて観察し、下記の基準で評価した。評点4以上が実用レベルである。ここで、1番目に転写するインクを1次色インク、2番目に転写するインクを2次色インク、3番目に転写するインクを3次色インク、4番目に転写するインクを4次色インクという。
【0061】
5:1〜4次色インクのドット形状が一様に均一な形状をした状態
4:1〜3次色インクのドット形状が一様に均一な形状であり、4次色インクのみ一部浸透が起こらず、孔から流れた状態
3:1〜3次色インクのドット形状が一様に均一な形状であり、4次色インクのみ浸透が起こらず、孔から流れた状態
2:1〜2次色インクのドット形状が一様に均一な形状であり、3次色インクの一部と4次色インクが浸透が起こらず、孔から流れた状態
1:1〜2次色インクのドット形状が一様に均一な形状であり、3次色インクと4次色インクが浸透が起こらず、孔から流れた状態
【0062】
(3)筆記性
各熱転写インク受像シートの表面に、鉛筆、ボールペン、油性ペンを用いて文字を書いた際の筆記特性を下記の基準で評価した。評点4以上が実用レベルである。
【0063】
5:鉛筆、ボールペン、油性ペンにて引っかかりなく筆記可能
4:ボールペン、油性ペンにて引っかかりなく筆記可能であるが、鉛筆での筆記時に若干の引っかかり有り
3:ボールペン、油性ペンにて引っかかりなく筆記可能であるが、鉛筆での筆記不可
2:ボールペン、油性ペンでの筆記時に若干の引っかかり有り
1:鉛筆、ボールペン、油性ペンでの筆記不可
【0064】
(4)耐光性
各熱転写インク受像シートに紫外線照射機(ロングライフメーター カーボンアークタイプ FAL−5B型、スガ試験機(株)製)にて紫外線を25時間、50時間、75時間照射し、下記の基準で黄変度合いを評価した。評点4以上が実用レベルである。
【0065】
5:変化なし(75時間照射)
4:若干の黄変(75時間照射)
3:黄変(75時間照射)
2:黄変(50時間照射)
1:黄変(25時間照射)
【0066】
(5)暗所変色
各熱転写インク受像シートを25〜30℃、50〜70%RHの室内の暗所にそれぞれ重ねない状態(常に空気と接触する状態)で1〜3ヵ月間放置し、変色(赤、黄色)の度合いを下記の基準で評価した。評点5のみが実用レベルである。
【0067】
5:変色なし(3ヵ月)
4:若干の変色(3ヵ月)
3:変色(3ヵ月)
2:変色(2ヵ月)
1:変色(1ヵ月)
【0068】
(6)耐NOx性
各熱転写インク受像シートを窒素酸化物染色堅牢度試験器(GF−5型、スガ試験機(株)製)にて、(a)NOx濃度2600ppm、50℃、15時間と(b)NOx濃度2600ppm、25℃、60時間の両条件で試験し、変色度合いを下記の基準で評価した。評点3以上が実用レベルである。
【0069】
5:変色なし(2600ppm、50℃、15時間)
4:若干の変色(2600ppm、50℃、15時間)
3:変色(2600ppm、50℃、15時間)、変色なし(2600ppm、25℃、60時間)
2:変色(2600ppm、50℃、15時間)、若干の変色(2600ppm、25℃、60時間)
1:変色(両条件)
【0070】
前記各試験の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
本発明の熱転写インク受像シートは、高い耐光性を有し、かつ暗所での赤変や黄変が防止され、さらに、バリアブル性能を含めたドット形状、階調再現性およびカラー鮮明性、とくにカラー画像における2次色以降のドット再現性に優れた画像を形成できる。さらに、本発明の熱転写インク受像シートは、多孔質構造のインク受容層の表面の平滑性が優れているので、鉛筆、ボ−ルペン、油性ペン等による筆記性が良好である。
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