JP4743349B2 - 電子写真トナー用結着樹脂組成物及び電子写真トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真トナー用結着樹脂組成物及び電子写真トナーに係り、特に、生分解性樹脂を含む電子写真トナー用結着樹脂組成物及び電子写真トナーの製造方法に関する。
電子写真方式による画像形成は、静電荷像をトナーにより現像して可視化し、得られたトナー像を用紙に転写した後、熱と圧力により定着させることにより行う。このような画像形成に用いるトナーとしては、結着樹脂に着色剤や帯電制御剤などを配合した混合物を混練し、粉砕して所定の粒度分布に調整したものが使用される。
従来、トナーに用いる結着樹脂としては、スチレン・アクリル樹脂や、ポリエステル樹脂などの石油由来の樹脂が使用されている。しかし、近年、環境への配慮から、廃棄時に環境への負荷の少ない生分解性樹脂、特に、再生可能資源からつくられるバイオマス由来の生分解性樹脂をトナー用結着樹脂として用いる方法が提案されている。
その1つとして、結着樹脂に生分解性を有する微生物系の脂肪族ポリエステルを使用する提案(例えば、特許文献1参照)があるが、このような微生物系の脂肪族ポリエステルをトナー用樹脂として使用した場合、そのままでは、粉砕性が悪く、目的の粒度分布を得るのが困難である。また、トナーの軟化温度が高いため、定着温度を高く設定しなくてはならないという問題がある。
これらの問題を改善するため、生分解性樹脂に植物系のワックスを多量に添加して軟化温度を下げる提案(例えば、特許文献2参照)がなされている。しかし、ワックスを多量に添加することでトナーの軟化温度を下げることは可能となるが、ワックス成分によりトナーが凝集し易くなるため、分級効率の低下による生産性の悪化や、トナーの流動性が悪化することで現像機内でのトナー搬送性が劣るなどの問題が発生する。
また、低温定着性及び定着安定性を得るため、軟化点の異なる2種類の樹脂と生分解性樹脂を含有する結着樹脂を用いる提案(例えば、特許文献3及び4参照)がある。これらの提案によると、低軟化点樹脂が高軟化点樹脂と生分解性樹脂のつなぎの役割を果たし、結着樹脂中に生分解性樹脂が均一に分散される。しかしながら、この提案では、生分解性樹脂の結着樹脂中の配合率は20質量%程度と少なくしている。その理由は、生分解性樹脂の配合割合をこれ以上増やすと、生分解性樹脂の分散不良が起こり、帯電性能のバラツキにより現像性が低下するなどにより、耐久性が悪化するためと考えられる。
以上のように、生分解性樹脂をトナーの結着樹脂の主要な樹脂成分とするには課題が多く、結着樹脂の一部を生分解性樹脂で置き換えた場合でも、その配合量が限られており、結着樹脂としての特性を維持しつつ、より多くの生分解性樹脂、バイオマスプラスチックを配合できることが望まれている。
また、従来は、生分解性樹脂を着色剤やその他添加剤とともに混合し、溶融混練し、材料を分散させていた。生分解性樹脂のうち例えば、ポリ乳酸は融点が約170℃であり、トナー用として単独で使用するには軟化温度が高過ぎる。この問題を改善するため低軟化点物質を混合すると、溶融混練でのポリ乳酸と低軟化点物質との粘度差が大きく、均一な分散が困難な状況であった。特許文献3及び4の提案のように、つなぎ樹脂を添加しても、生分解性樹脂の配合量には限界があった。
なお、トナー原料の混合時に水を添加することで、原料成分の分散性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)が、この提案は、何ら生分解性樹脂を用いるものではない。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされ、結着樹脂として生分解性樹脂を含み、良好な粉砕性及び定着性が得られる電子写真トナー用結着樹脂組成物及び電子写真トナーの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、ポリ乳酸樹脂に、水と、ポリカルボジイミド化合物からなる加水分解抑制剤と、を加えて溶融混練し前記ポリ乳酸樹脂に加水分解反応を生じさせる工程と、該工程により前記ポリ乳酸樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定される数平均分子量が5,000〜50,000に低減した段階の前記溶融混練物を電子写真トナー用結着樹脂組成物とすべく冷却し粉砕する粉砕工程と、を具備することを特徴とする電子写真トナー用結着樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の第2の態様は、上記粉砕工程により得られた粉砕物からなる電子写真トナー用結着樹脂組成物と、少なくとも着色剤とを混合し該混合物を溶融混練する工程、及び得られた混練物を粉砕及び分級する工程を具備することを特徴とする電子写真トナーの製造方法を提供する。
本発明の第3の態様は、ポリ乳酸樹脂に、水と、ポリカルボジイミド化合物からなる加水分解抑制剤と、少なくとも着色剤と、を混合し該混合物を溶融混練して前記ポリ乳酸樹脂に加水分解反応を生じさせる工程と、該工程により前記ポリ乳酸樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定される数平均分子量が5,000〜50,000に低減した段階の前記溶融混練物を粉砕及び分級する工程を具備することを特徴とする電子写真トナーの製造方法を提供する。
本発明によると、結着樹脂として生分解性樹脂のポリ乳酸樹脂を含むにもかかわらず、良好な粉砕性及び定着性が得られる電子写真トナー用結着樹脂組成物及び電子写真トナーが提供される。
以下、本発明の種々の実施形態について説明する。
本発明の第1の実施形態に係る電子写真トナー用結着樹脂組成物の製造方法は、生分解性樹脂を加水分解して、生分解性樹脂の分子量を低減してなることを特徴とする。
使用可能な生分解性樹脂としては、例えば、微生物産生系として、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、天然物系として、エステル化澱粉、酢酸セルロース、キトサン、化学合成系として、ポリ乳酸、ポリカプラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリビニールアルコール、ポリグリコール酸などがある。特に、原料が再生可能なバイオマスであることが好ましく、更には、工業的に製造が可能なものであることがより好ましい。
具体的には、ネイチャーワークス社がポリ乳酸樹脂を商業的に販売しており、最近では、メタボリック社とADM社の合弁会社であるテレス社がポリヒドロキシアルカン酸系の生分解性樹脂の年5万トンの生産計画を発表している。これらはいずれもバイオマスプラスチックであり、生分解性を活かした用途に利用され始めている。これらの生分解性樹脂を利用することがコスト的にも有利である。
代表的な生分解性樹脂であるポリ乳酸樹脂は、下記の構造式を有する樹脂である。
ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合により結合したポリマーであり、近年、環境に優しい生分解性プラスティックとして注目を集めている。即ち、自然界には、エステル結合を切断する酵素(エステラーゼ)が広く分布していることから、ポリ乳酸は環境中でこのような酵素により徐々に分解されて、単量体である乳酸に変換され、最終的には二酸化炭素と水になる。
生分解性樹脂の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。公知の製造方法のうち、例えば、ポリ乳酸においては、原料となるとうもろこし等の澱粉を発酵し、乳酸を得た後、乳酸モノマーから直接脱水縮合する方法や、乳酸から環状二量体ラクチドを経て、触媒の存在下で開環重合によって合成する方法がある。乳酸には光学異性体が存在し、L−乳酸とD−乳酸があるが、これら単独または混合物のいずれの乳酸を使用しても良い。
なお、市販されているポリ乳酸は、耐熱性向上等のため、より高分子量が得られる開環重合法により合成されたものであり、その数平均分子量は100,000以上のものが主流である。このような高分子量のポリ乳酸では、軟化点が高すぎて定着性が悪く、また粉砕性も悪い。そのため、樹脂を加水分解し、分子量を低減させる必要があるのである。
本発明の第1の実施形態に係る電子写真トナー用結着樹脂組成物の製造方法において、生分解性樹脂を加水分解する方法としては、生分解性樹脂をガラス転移点温度以上に加熱し、水分と反応させることで行われる。具体的な方法としては、水とともに溶融混練する方法や恒温恒湿槽で処理する方法などが挙げられる。水とともに溶融混練する際に使用する混練機としては、従来公知の混練機を使用することができる。例えば、2軸混練機や加圧ニーダー、オープンロールなどが挙げられる。
溶融混練における加水分解反応は、生分解性樹脂に対し、0.1〜100質量%の水を添加することにより行うことが出来る。水の添加は、溶融混練前に生分解性樹脂と水をあらかじめ混合しておいても良いし、生分解性樹脂を溶融している所へ、一定量の水を添加しても良い。また、溶融混練時に添加した水が蒸発し、系外に出てしまう場合は、適時水を供給する方法が好ましい。
溶融混練における温度条件は、生分解性樹脂が溶融する温度であれば良く、特に限定しないが、分子量を低減するパラメータのひとつである。混練温度や回転数、混練供給量、滞留時間、水の添加量、添加方法などを適時調整することで、所望の分子量になるように分子量を低減した生分解性樹脂を得ることができる。
ここで、分子量を低減した生分解性樹脂の具体的な数平均分子量は、5,000を下回らない値であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が高過ぎると、十分な軟化点の低下、粉砕性の向上を図ることが困難となる。また、分子量が小さ過ぎると、製品となってからのトナーの保存性の悪化を招く可能性がある。
このように、分子量の低減された生分解性樹脂は、軟化点が低下し、粉砕性が向上し、トナー用樹脂として最適な特性を示すようになる。
なお、生分解性樹脂の数平均分子量が5,000を下回ると、粉砕の際に樹脂が機内に融着してしまい、それ以上の粉砕が困難となって、トナー化が出来ない。
本発明の第2の実施形態に係る電子写真トナーの製造方法においては、結着樹脂として、以上説明した、分子量が低減された電子写真トナー用結着樹脂組成物を用いて、従来公知の方法により製造することが出来る。例えば、生分解性樹脂と着色剤、必要に応じてその他添加剤を混合した後、この原料混合物を2軸混練機や加圧ニーダー、オープンロールなどの混練機で混練し、次いでこの混練物を冷却した後、ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、風力分級機等で分級することで、トナーを得ることができる。
得られた電子写真トナーは、上述したように、生分解性樹脂の分子量が低減されているため、軟化点が低下し、粉砕性及び定着性が良好となる。
本発明の第3の実施形態に係る電子写真トナーの製造方法は、生分解性樹脂に、水及びその他のトナー成分を加えて溶融混練することにより、生分解性樹脂の分子量を低減し、次いでこの混練物を冷却した後、ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、風力分級機等で分級することからなる。
このような方法により得た電子写真トナーにおいても、生分解性樹脂の分子量が低減されるため、粉砕性及び定着性が良好となる。
以上のいずれの方法により得たトナーの場合でも、その粒径は特に限定されないが、通常5〜10μmとなるように調整される。このようにして得られたトナーに対し、流動性向上、帯電性調整、耐久性向上のため、外添剤を添加することができる。外添剤としては、無機微粒子が一般的であり、シリカ、チタニア、アルミナ等が挙げられ、そのうち疎水化処理されたシリカが好ましく、日本アエロジル社、CABOT社等で市販されている。1次粒子径として、7〜40nmのものが良く、機能向上のため2種類以上を混ぜ合わせても良い。
本発明の第2及び第3の実施形態に係るトナーで使用される着色剤としては、従来公知のものを使用できる。例えば、黒の着色剤としては、カーボンブラック、青系の着色剤としては、C.I.Pigment15:3、赤系の着色剤としては、C.I.Pigment57:1、122、269、黄色系の着色剤としては、C.I.Pigment74、180、185等が挙げられる。本発明の目的の一つである環境への影響を考慮すると、着色剤単体で安全性が高いものが好ましい。これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜10質量%であることが好ましい。また、着色剤は、予め樹脂と着色剤を高濃度に分散したマスターバッチの形としても良い。
本発明の第2及び第3の実施形態に係るトナーには、必要に応じて、従来公知の離型剤を添加することができる。そのような離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のオレフィン系ワックスや、カルナウバワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス等の天然ワックス、合成エステルワックス等が挙げられる。低温定着性や高速印字性能を向上させるには、離型剤の融点は60〜100℃程度と比較的低い方が好ましく、具体的には、カルナウバワックスや、合成エステルワックスが好ましい。環境への影響を考慮すると、天然物系のカルナウバワックスがより好ましい。離型剤の添加量は、トナー全体に対して、1〜10質量%であることが好ましい。
本発明の第2及び第3の実施形態に係るトナーには、必要に応じて、従来公知の帯電制御剤を添加することができる。例えば、正帯電制御剤として、4級アンモニウム塩、アミノ基を含有する樹脂等が、負帯電制御剤として、サルチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、カルボキシル基を含有する樹脂などがある。帯電制御剤の配合量は、トナー全体に対して、0.1〜5質量%であることが好ましい。
本発明の第2及び第3の実施形態に係るトナーには、必要に応じて、従来公知のトナー用樹脂を添加することができる。従来公知のトナー用樹脂としては、スチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等があるが、顔料分散性、低温定着性の観点から、トナー用に開発されたポリエステル樹脂が好ましい。トナー用樹脂は単独であっても、2種類以上を混合しても構わない。本発明の目的のひとつである環境への影響を考慮すると、トナー用樹脂は、トナー全体に対して、0〜50質量%であることが好ましい。
その他の材料として、粉砕性、定着性等改善のため、低分子量樹脂を添加することができる。ここで、低分子量樹脂としては、分子量数百〜数千のオリゴマー領域の樹脂であり、粘着付与剤として市販されている、ロジン及びロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等がある。
本発明の第1の実施形態に係る電子写真トナー用結着樹脂組成物と本発明の第2及び第3の実施形態に係るトナーには、加水分解抑制剤として、カルボジイミド系化合物、イソシアネート系化合物及びオキサゾリン系化合物が添加される。このような加水分解抑制剤により、残存モノマーや分解により生じた水酸基やカルボキシル機末端が封止され、加水分解の連鎖反応を抑制することができる。本発明の実施形態においては、加水分解抑制剤を添加することで、本来の耐加水分解性を向上させるほか、生分解性樹脂の分子量の調整用としても効果が得られる。
具体的な加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物である日清紡績(株)製の“カルボジライトLA−1”などが市販されている。加水分解抑制剤の添加量は、生分解性樹脂に対し、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。添加量が多過ぎると、透明性が悪化し、トナーの発色が悪化する傾向となる。
実施例
以下に本発明の実施例と比較例を示し、本発明についてより具体的に説明する。
以下に本発明の実施例と比較例を示し、本発明についてより具体的に説明する。
1.実施例及び比較例で用いた成分の各物性値の測定方法。
(軟化点の測定)
装置:フローテスター(島津製作所(株)製、CFT−500D)
試料:1g
昇温速度:6℃/分
荷重:20kgノズル:直径1mm、長さ1mm
1/2法:試料の半分が流出した温度を軟化点とした。
装置:フローテスター(島津製作所(株)製、CFT−500D)
試料:1g
昇温速度:6℃/分
荷重:20kgノズル:直径1mm、長さ1mm
1/2法:試料の半分が流出した温度を軟化点とした。
(トナー粒径の測定)
装置:マルチサイザーII(コールター(株)製)
試料:ビーカーに試料少量と精製水、界面活性剤を入れ、超音波洗浄器にて分散した。
装置:マルチサイザーII(コールター(株)製)
試料:ビーカーに試料少量と精製水、界面活性剤を入れ、超音波洗浄器にて分散した。
測定:アパーチャーは100μmで行い、カウントは50,000個で行い、体積平均粒径を得た。
(分子量の測定)
装置:GPC(島津製作所(株)製)、検出器RI
分子量Mnは、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定される数平均分子量である。
装置:GPC(島津製作所(株)製)、検出器RI
分子量Mnは、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定される数平均分子量である。
2.実施例及び比較例で用いた生分解性樹脂微1の作製
ポリ乳酸(海正生物化学(株)製:REVODE101、分子量Mn=115,000)を100質量部、蒸留水5質量部を加圧ニーダーに仕込み、混練温度200℃で30分間溶融混練した。混練時は水分の蒸発を見ながら、適時蒸留水を追加した。混練物を延伸・冷却した後、粗砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物の分子量は50,000であった。
ポリ乳酸(海正生物化学(株)製:REVODE101、分子量Mn=115,000)を100質量部、蒸留水5質量部を加圧ニーダーに仕込み、混練温度200℃で30分間溶融混練した。混練時は水分の蒸発を見ながら、適時蒸留水を追加した。混練物を延伸・冷却した後、粗砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物の分子量は50,000であった。
実施例1
下記の配合量の各成分をヘンシェルミキサー(標準羽装着、三井鉱山(株)製)に投入し、混合した。
下記の配合量の各成分をヘンシェルミキサー(標準羽装着、三井鉱山(株)製)に投入し、混合した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000) 90質量部
着色剤:カーボンブラック(CABOT(株)製MOGUL L) 4質量部
離型剤:カルナウバワックス1号粉末(日本ワックス(株)製) 5質量部
帯電制御剤:E−84(オリエント化学(株)製) 1質量部
得られた混合粉体を加圧ニーダーで溶融混練した後、溶融物を取り出し、延伸し、冷却し、ロートプレックス(ホソカワミクロン(株)製、2mmスクリーン)で粗砕した。その後、衝突式粉砕機・風力分級機にて、トナー平均粒径が9.0μmになるように粉砕及び分級を行い、微粒子を得た。
着色剤:カーボンブラック(CABOT(株)製MOGUL L) 4質量部
離型剤:カルナウバワックス1号粉末(日本ワックス(株)製) 5質量部
帯電制御剤:E−84(オリエント化学(株)製) 1質量部
得られた混合粉体を加圧ニーダーで溶融混練した後、溶融物を取り出し、延伸し、冷却し、ロートプレックス(ホソカワミクロン(株)製、2mmスクリーン)で粗砕した。その後、衝突式粉砕機・風力分級機にて、トナー平均粒径が9.0μmになるように粉砕及び分級を行い、微粒子を得た。
得られた微粒子100質量部に外添剤として、「RY200」(日本アエロジル(株)製:疎水性シリカ、1次粒子径12nm)を2質量部添加し、ヘンシェルミキサー(撹拌強化羽装着、三井鉱山(株)製)で3分間撹拌混合し、トナーを得た。
実施例2
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂2(分子量:20,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂2(分子量:20,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
実施例3
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂3(分子量:10,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂3(分子量:10,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
実施例4
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂4(加水分解抑制剤を含む、分子量:20,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂4(加水分解抑制剤を含む、分子量:20,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
実施例5
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに、市販ポリ乳酸(REVODE101、分子量:115,000)を用い、上記成分に更に10質量部の蒸留水を加えて混練したことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに、市販ポリ乳酸(REVODE101、分子量:115,000)を用い、上記成分に更に10質量部の蒸留水を加えて混練したことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
実施例6
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂5(分子量:5,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂5(分子量:5,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
実施例7
トナー材料として、加水分解抑制剤(カルボジライトLA-1)を1部添加した以外は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製した。
トナー材料として、加水分解抑制剤(カルボジライトLA-1)を1部添加した以外は、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作製した。
比較例1
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに、市販ポリ乳酸(REVODE101、分子量:115,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに、市販ポリ乳酸(REVODE101、分子量:115,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
比較例2
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂6(分子量:3,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
分子量を低減した生分解性樹脂1(分子量:50,000)の代わりに分子量を低減した生分解性樹脂6(分子量:3,000)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真トナーを作製した。
以上のようにして得られた実施例1〜7及び比較例1、2のトナーのかぶり、濃度安定性、耐久性、定着性、及び発色性について、下記の試験方法により試験し、評価した。
試験1−かぶり
非磁性一成分現像装置「カシオページプレストN−5」(カシオ計算機(株)製:カラープリンタ毎分29枚機、プロセススピード129mm/sec)にトナーを実装し、通常環境(25℃、50%RH)において、普通紙(XEROX−P紙A4サイズ)を用いて5%印字画像を10,000枚連続印字した後、白紙印字を行い、印字している途中でフロント扉を開けることにより、印字を強制終了させ、その時のOPCドラム上のカブリトナーをメンディングテープに写しとり、白紙に貼り付けて、カブリトナーを採取していないテープと比較した。測定は日本電色(株)製の分光式色差計「SE−2000」を用いて得られるXYZ値よりかぶり前後の差の最大値をカブリ値として求め、下記の基準で評価した。
非磁性一成分現像装置「カシオページプレストN−5」(カシオ計算機(株)製:カラープリンタ毎分29枚機、プロセススピード129mm/sec)にトナーを実装し、通常環境(25℃、50%RH)において、普通紙(XEROX−P紙A4サイズ)を用いて5%印字画像を10,000枚連続印字した後、白紙印字を行い、印字している途中でフロント扉を開けることにより、印字を強制終了させ、その時のOPCドラム上のカブリトナーをメンディングテープに写しとり、白紙に貼り付けて、カブリトナーを採取していないテープと比較した。測定は日本電色(株)製の分光式色差計「SE−2000」を用いて得られるXYZ値よりかぶり前後の差の最大値をカブリ値として求め、下記の基準で評価した。
◎:カブリ値が2未満で良好
○:カブリ値が2以上5未満で良好
△:カブリ値が5以上10未満である。実用上問題ないレベル
×:カブリ値が10以上で悪い
試験2−濃度安定性
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を14,000枚連続印字した。途中、2,000枚おきにA4ベタ画像を印字し、四隅と中央の5点について画像濃度を測定し、平均濃度を求める。(その際、白スジ等による画像欠陥部分は測定しない)各サンプリングポイントで求めた平均濃度の内、最大値、最小値から次式により濃度安定性を求め、下記の基準で評価した。
○:カブリ値が2以上5未満で良好
△:カブリ値が5以上10未満である。実用上問題ないレベル
×:カブリ値が10以上で悪い
試験2−濃度安定性
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を14,000枚連続印字した。途中、2,000枚おきにA4ベタ画像を印字し、四隅と中央の5点について画像濃度を測定し、平均濃度を求める。(その際、白スジ等による画像欠陥部分は測定しない)各サンプリングポイントで求めた平均濃度の内、最大値、最小値から次式により濃度安定性を求め、下記の基準で評価した。
濃度安定性(%)=平均濃度の最小値/平均濃度の最大値×100
◎:濃度安定性が95%以上で良好
○:濃度安定性が85%以上で良好
△:濃度安定性が75%以上で実用上問題ないレベル
×:濃度安定性が75%未満で悪い
試験3−耐久性
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を16,000枚連続印字した。途中、2,000枚おきにベタ画像、ハーフトーン画像を印字し、ブレード融着による白スジの発生枚数を評価した。
◎:濃度安定性が95%以上で良好
○:濃度安定性が85%以上で良好
△:濃度安定性が75%以上で実用上問題ないレベル
×:濃度安定性が75%未満で悪い
試験3−耐久性
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を16,000枚連続印字した。途中、2,000枚おきにベタ画像、ハーフトーン画像を印字し、ブレード融着による白スジの発生枚数を評価した。
◎:16,000枚まで発生しない
○:14,000枚以降に発生(実用上許容できるレベル)
△:12,000枚以降に発生
×:12,000枚未満で発生
試験4−定着性
試験1と同様の装置の定着部分の温度を可変できるように改造し、定着試験器とする。この装置で未定着画像を得た後、上ロールの定着温度を100〜200℃の範囲で10℃毎に可変し、未定着画像を定着器に通した。その際、下ロールは上ロールの設定温度に対し10℃低い温度に設定した。画像サンプルのコールドオフセット、ホットオフセット、剥離爪跡を目視で評価し、非オフセット領域を求め、評価した。プロセス速度は129.3mm/sec、用紙はXEROX P紙A4サイズ(重量64g/m2)で行った。また、定着器のオイル供給ロールは外して行った。
○:14,000枚以降に発生(実用上許容できるレベル)
△:12,000枚以降に発生
×:12,000枚未満で発生
試験4−定着性
試験1と同様の装置の定着部分の温度を可変できるように改造し、定着試験器とする。この装置で未定着画像を得た後、上ロールの定着温度を100〜200℃の範囲で10℃毎に可変し、未定着画像を定着器に通した。その際、下ロールは上ロールの設定温度に対し10℃低い温度に設定した。画像サンプルのコールドオフセット、ホットオフセット、剥離爪跡を目視で評価し、非オフセット領域を求め、評価した。プロセス速度は129.3mm/sec、用紙はXEROX P紙A4サイズ(重量64g/m2)で行った。また、定着器のオイル供給ロールは外して行った。
◎:非オフセット領域が30℃以上ある。
○:非オフセット領域が20℃以上である。
△:非オフセット領域が20℃以下である。
×:非オフセット領域が10℃以下である。
試験5−粉砕性
粉砕・分級工程にて混練粗砕物を粉砕分級する際、トナーの母体となる粒子の収率(質量%)より判断する。実状として、収率が70%以上であれば問題ない。また、この時トナーの体積平均粒径は9μm、微粉として3μm以下の個数割合が5%以下、粗粉として、16μm以上の体積割合が3%以下となるように粉砕条件を調整する。
粉砕・分級工程にて混練粗砕物を粉砕分級する際、トナーの母体となる粒子の収率(質量%)より判断する。実状として、収率が70%以上であれば問題ない。また、この時トナーの体積平均粒径は9μm、微粉として3μm以下の個数割合が5%以下、粗粉として、16μm以上の体積割合が3%以下となるように粉砕条件を調整する。
上記表2より、以下のことが明らかである。加水分解することにより分子量を5,000を下回らない範囲で低減した生分解性樹脂1〜5を用いた場合(実施例1〜4、6)には、試験1〜5のいずれにおいても良好な結果を示している。また、分子量低減処理が施されていない高分子量(115,000)の市販の生分解性樹脂を用いた場合でも、水を加え、他の原料成分とともに混練した場合(実施例5)には、同様に分子量が低減され、良好な結果が得られている。
これに対し、分子量低減処理が施されていない高分子量(115,000)の市販の生分解性樹脂を用い、水を加えずに他の原料成分とともに混練した場合(比較例1)には、定着性を除く試験結果が良好でなく、また分子量低減処理により分子量を5,000未満に低減した生分解性樹脂6を用いた場合(比較例2)には、トナー化が出来ず、粉砕試験を行った場合には、混練物が機内に付着してしまった。
Claims (3)
- ポリ乳酸樹脂に、水と、ポリカルボジイミド化合物からなる加水分解抑制剤と、を加えて溶融混練し前記ポリ乳酸樹脂に加水分解反応を生じさせる工程と、
該工程により前記ポリ乳酸樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定される数平均分子量が5,000〜50,000に低減した段階の前記溶融混練物を電子写真トナー用結着樹脂組成物とすべく冷却し粉砕する粉砕工程と、を具備することを特徴とする電子写真トナー用結着樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1記載の粉砕工程により得られた粉砕物からなる電子写真トナー用結着樹脂組成物と、少なくとも着色剤とを混合し該混合物を溶融混練する工程、及び得られた混練物を粉砕及び分級する工程を具備することを特徴とする電子写真トナーの製造方法。
- ポリ乳酸樹脂に、水と、ポリカルボジイミド化合物からなる加水分解抑制剤と、少なくとも着色剤と、を混合し該混合物を溶融混練して前記ポリ乳酸樹脂に加水分解反応を生じさせる工程と、
該工程により前記ポリ乳酸樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定される数平均分子量が5,000〜50,000に低減した段階の前記溶融混練物を粉砕及び分級する工程を具備することを特徴とする電子写真トナーの製造方法。
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