JP2010049070A - 電子写真用トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生分解性樹脂とこの生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂を含む結着樹脂、及び着色剤を含有する電子写真用トナー。前記生分解性樹脂は、平均粒径が1μm以下の微粒子であり、結着樹脂に対し10〜78質量%含まれるか或いは前記生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂の軟化点は、120℃以下である。
【選択図】 図2
Description
以上のように、生分解性樹脂をトナーの結着樹脂の主要な樹脂成分とするには課題が多く、結着樹脂の一部を生分解性樹脂で置き換えた場合でも、その配合量が限られており、結着樹脂としての特性を維持しつつ、より多くの生分解性樹脂、バイオマスプラスチックを配合できることが望まれている。
また、前記生分解性樹脂として、前記着色剤を含有しているものを用いることが出来る。
本発明の第1の実施形態に係る電子写真用トナーは、生分解性樹脂とこの生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂を含む結着樹脂、及び着色剤を含有し、前記生分解性樹脂は、平均粒径が1μm以下の微粒子であり、結着樹脂に対し10〜78質量%含まれることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る電子写真用トナーに使用可能な生分解性樹脂としては、例えば、微生物産生系として、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、天然物系として、エステル化澱粉、酢酸セルロース、キトサン、化学合成系として、ポリ乳酸、ポリカプラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリビニールアルコール、ポリグリコール酸などがある。特に、原料が再生可能なバイオマスであることが好ましく、更には、工業的に製造が可能なものであることがより好ましい。
(OCH(CH3)CO)n
ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合により結合したポリマーであり、近年、環境に優しい生分解性プラスティックとして注目を集めている。即ち、自然界には、エステル結合を切断する酵素(エステラーゼ)が広く分布していることから、ポリ乳酸は環境中でこのような酵素により徐々に分解されて、単量体である乳酸に変換され、最終的には二酸化炭素と水になる。
本発明の実施形態に係る電子写真用トナーに使用される粒径が1μm以下の生分解性樹脂粒子の製造方法は、従来公知の方法を用いることが出来る。例えば、ペレット状の生分解性樹脂をジェットミルやターボミルなどの乾式粉砕、ビーズミルなどの湿式粉砕で粉砕することにより、目的の粒径のものを得ることができる。
他の方法として、樹脂が溶解する良溶媒と樹脂が溶解しない貧溶媒の混合液中で、樹脂の融点以下かつ溶媒の沸点以下の温度で樹脂を溶解した後、溶媒を気化させることで粒子を析出する方法がある(例えば、特開2002−356558号公報参照)。
生分解性樹脂の微粒子を容易に入手する方法としては、市販されているエマルジョンを使用しても良い。ここで、湿式で得られた生分解性樹脂微粒子は、乾燥を行い、粉体としても良いが、乾燥による凝集を防ぐため、含水したまま混練工程に供し、脱水しながら分散させても良い。
本発明の第3の実施形態に係る電子写真用トナーの製造方法は、原料混合物の混練を、生分解性樹脂微粒子の軟化点よりも低い温度で行うことを除いて、従来公知の方法を適用することができる。
例えば、結着樹脂、生分解性樹脂、着色剤、必要に応じてその他添加剤を混合した後、2軸混練機や加圧ニーダー、オープンロールなどの混練機で混練する。その際、混練温度を生分解性樹脂微粒子の軟化点よりも低い温度とする。
次いで、得られた混練物を冷却した後、ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、更に風力分級機等で分級することで、電子写真用トナーを得ることができる。
含水状態の生分解性樹脂微粒子を使用する場合は、脱水・脱気のための時間を十分に取る必要があるので、混練機として、加圧ニーダーやバンバリーミキサーのようなバッチ式のタイプを用いることが好ましい。
以下に本発明の実施例と比較例を示し、本発明についてより具体的に説明する。
1.実施例及び比較例で用いた成分の各物性値の測定方法。
(軟化点の測定)
装置:フローテスター(島津製作所(株)製、CFT−500D)
試料:1g
昇温速度:6℃/分
荷重:20kgノズル:直径1mm、長さ1mm
1/2法:試料の半分が流出した温度を軟化点とした。
装置:マルチサイザーII(コールター(株)製)
試料:ビーカーに試料少量と精製水、界面活性剤を入れ、超音波洗浄器にて分散した。
測定:アパーチャーは100μmで行い、カウントは50,000個で行い、体積平均粒径を得た。
装置:動的光散乱法粒度分布測定装置(日機装(株)製、MICROTRAC UPA−EX150)
2.実施例及び比較例で用いた生分解性樹脂微粒子(A)の作製
ポリ乳酸(海正生物化学(株)製:REVODE101、軟化点160℃)100質量部を400質量部のトルエンに加え、90℃にて約1時間溶解した後、80℃まで冷却した。次いで、乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを樹脂固形分換算で5質量部及び水300質量部を添加し、80℃にて1時間強撹拌して予備乳化を行った。
次に、得られた予備乳化物を高圧乳化機により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。その後、乳化物を減圧蒸留装置に仕込み、50℃、130hPaの条件下で6時間減圧蒸留を行い、平均粒径0.5μmのポリ乳酸の水性エマルジョンを得た。そして、得られたエマルジョンをろ過し、乾燥し、生分解性樹脂微粒子を得た。得られた生分解性樹脂微粒子の軟化点は160℃であった。
3.着色剤を含有する生分解性樹脂微粒子の作製。
上述した生分解性微粒子の作製工程において、予備乳化の際、着色剤として、カーボンブラック(CABOT社MOGUL L)を樹脂固形分に対し4質量部添加した以外は、上記と同様の方法で着色剤を含有する着色生分解性樹脂微粒子を得た。
上述した生分解性微粒子の作製工程において、乳化剤量と高圧乳化機の圧力を適宜変えて、粒径の異なる生分解性樹脂微粒子を得た。
実施例1
下記の配合量の各成分をヘンシェルミキサー(標準羽装着、三井鉱山(株)製)に投入し、混合した。
生分解性樹脂微粒子:ポリ乳酸樹脂微粒子(平均粒径0.5μm) 54質量部
着色剤:カーボンブラック(CABOT(株)製MOGUL L) 4質量部
離型剤:カルナウバワックス1号粉末(日本ワックス(株)製) 5質量部
帯電制御剤:E−84(オリエント化学(株)製) 1質量部
得られた混合粉体を加圧ニーダーで溶融混練した後、溶融物を取り出し、延伸し、冷却し、ロートプレックス(ホソカワミクロン(株)製、2mmスクリーン)で粗砕した。その後、衝突式粉砕機・風力分級機にて、トナー平均粒径が9.0μmになるように粉砕及び分級を行い、微粒子を得た。
実施例2
生分解性樹脂微粒子として粒径0.05μmのポリ乳酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。
実施例3
生分解性樹脂微粒子として粒径1.0μmのポリ乳酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。
トナー用樹脂として軟化点100℃のポリエステル樹脂を18質量部用い、生分解性樹脂微粒子として72質量部のポリ乳酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。なお、ポリ乳酸の結着樹脂全体に対する割合は、80質量%である。
生分解性樹脂微粒子として2質量部の着色剤を含む軟化点163℃のポリ乳酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。
比較例1
生分解性樹脂微粒子として粒径3μmのポリ乳酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。
生分解性樹脂微粒子として粒径0.05μmのポリ乳酸を72質量部用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。なお、ポリ乳酸の結着樹脂全体に対する割合は、80質量%である。
比較例3
混練温度をポリ乳酸の軟化点160℃より高い180℃で行ったことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。
比較例4
トナー用樹脂として軟化点100℃のポリエステル樹脂を9質量部用い、生分解性樹脂微粒子として81質量部のポリ乳酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして電子写真用トナーを作成した。なお、ポリ乳酸の結着樹脂全体に対する割合は、90質量%である。
試験1−かぶり
非磁性一成分現像装置「カシオページプレストN−5」(カシオ計算機(株)製:カラープリンタ毎分29枚機、プロセススピード129mm/sec)にトナーを実装し、通常環境(25℃、50%RH)において、普通紙(XEROX−P紙A4サイズ)を用いて5%印字画像を10,000枚連続印字した後、白紙印字を行い、印字している途中でフロント扉を開けることにより、印字を強制終了させ、その時のOPCドラム上のカブリトナーをメンディングテープに写しとり、白紙に貼り付けて、カブリトナーを採取していないテープと比較した。測定は日本電色(株)製の分光式色差計「SE−2000」を用いて得られるXYZ値よりかぶり前後の差の最大値をカブリ値として求め、下記の基準で評価した。
○:カブリ値が2以上5未満で良好
△:カブリ値が5以上10未満である。実用上問題ないレベル
×:カブリ値が10以上で悪い
試験2−濃度安定性
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を14,000枚連続印字した。途中、2,000枚おきにA4ベタ画像を印字し、四隅と中央の5点について画像濃度を測定し、平均濃度を求める。(その際、白スジ等による画像欠陥部分は測定しない)各サンプリングポイントで求めた平均濃度の内、最大値、最小値から次式により濃度安定性を求め、下記の基準で評価した。
◎:濃度安定性が95%以上で良好
○:濃度安定性が85%以上で良好
△:濃度安定性が75%以上で実用上問題ないレベル
×:濃度安定性が75%未満で悪い
試験3−耐久性
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を16,000枚連続印字した。途中、2,000枚おきにベタ画像、ハーフトーン画像を印字し、ブレード融着による白スジの発生枚数を評価した。
○:14,000枚以降に発生(実用上許容できるレベル)
△:12,000枚以降に発生
×:12,000枚未満で発生
試験4−定着性
試験1と同様の装置の定着部分の温度を可変できるように改造し、定着試験器とする。この装置で未定着画像を得た後、上ロールの定着温度を100〜200℃の範囲で10℃毎に可変し、未定着画像を定着器に通した。その際、下ロールは上ロールの設定温度に対し10℃低い温度に設定した。画像サンプルのコールドオフセット、ホットオフセット、剥離爪跡を目視で評価し、非オフセット領域を求め、評価した。プロセス速度は129.3mm/sec、用紙はXEROX P紙A4サイズ(重量64g/m2)で行った。また、定着器のオイル供給ロールは外して行った。
○:非オフセット領域が20℃以上である。
△:非オフセット領域が20℃以下である。
×:非オフセット領域が10℃以下である。
試験5−発色性
ベタ印字画像の発色性を目視にて下記の基準で評価した。
○:発色が良好である。
△:ややくすんでいる。
×:くすんでいる。
以上の試験1〜5の結果を下記表1に示す。
Claims (7)
- 生分解性樹脂とこの生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂を含む結着樹脂、及び着色剤を含有する電子写真用トナーであって、前記生分解性樹脂は、平均粒径が1μm以下の微粒子であり、結着樹脂に対し10〜78質量%含まれることを特徴とする電子写真用トナー。
- 生分解性樹脂とこの生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂を含む結着樹脂、及び着色剤を含有する電子写真用トナーであって、前記生分解性樹脂は、平均粒径が1μm以下の微粒子であり、前記生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂の軟化点は、120℃以下であることを特徴とする電子写真用トナー。
- 前記生分解性樹脂はポリ乳酸系樹脂であり、前記生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂はポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
- 前記生分解性樹脂が前記着色剤を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 生分解性樹脂とこの生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂を含む結着樹脂、及び着色剤を含有する原料混合物を混練する工程、及び混練物を粉砕する工程を具備する電子写真用トナーの製造方法であって、前記生分解性樹脂が1μm以下の平均粒径を有する微粒子であり、前記混練工程における混練温度は、前記生分解性樹脂の軟化点よりも低い温度であることを特徴とするトナーの製造方法。
- 前記生分解性樹脂はポリ乳酸系樹脂であり、前記生分解性樹脂よりも軟化点の低い樹脂はポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記生分解性樹脂が前記着色剤を含有していることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子写真用トナーの製造方法。
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