JP5263235B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
上記トナーは、結着樹脂に着色剤や帯電制御剤などを配合した混合物を溶融混練し、粉砕及び分級して所定の粒度分布に調整することにより製造される。このようなトナーの結着樹脂として、従来、スチレン・アクリル樹脂や、ポリエステル樹脂などの石油由来の樹脂が使用されている。
一方、トナーに樹脂微粒子を使用する提案が、たとえば、特許文献4および特許文献5によりされている。特許文献4では、低分子量樹脂微粒子と高分子量樹脂微粒子と離型剤微粒子と着色剤微粒子とを水系媒体中で融着させて得られるトナーの提案をしている。このようにして得られたトナーは、結着樹脂と離型剤とを溶融混練することにより得られるトナーに比べて、耐オフセット性に優れている。
上記のように、特定の分子量のポリ乳酸を使用することで、トナー用の結着樹脂として使用できるようになったものの、トナーを実機にて耐久評価した際に、トナーがブレードで融着するなどして、画像不良を起こすことがわかった。更には、保存性、定着特性においては、満足のいくものではなかった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を行なった結果、背景技術に記載の特許文献5を参考に、樹脂微粒子成膜化を試みたところ、保存性に一定の効果は見られたが、耐久評価における不具合の改善には至らなかったのに対し、結着樹脂として、特定の分子量のポリ乳酸を使用するトナーにおいて、特定の樹脂微粒子を内添することで課題を解決するに至った。
例えば、従来のペレット状のバイオプラスチックをジェットミルやターボミルなどの乾式粉砕、ビーズミルなどの湿式粉砕で粉砕し、目的の粒径のものを得ることができる。
樹脂微粒子に着色剤を添加することで、画像濃度や色目を良くすることができる。また、樹脂微粒子に帯電制御剤を添加することで、帯電性を調整し、かぶりを低下させることができる。
本実施形態でトナー原料として使用される着色剤は、従来公知のものが使用できる。例えば、黒の着色剤としては、カーボンブラック、青系の着色剤としては、C.I.Pigment15:3、赤系の着色剤としては、C.I.Pigment57:1、122、269、黄色系の着色剤としては、C.I.Pigment74、180、185等が挙げられる。環境への影響を考慮すると、着色剤単体で安全性が高いものが好ましい。
本実施形態のトナーには必要に応じて、従来公知の離型剤を添加することができる。そのような離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のオレフィン系ケイワックスや、カルナウバワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス等の天然ワックス、合成エステルワックス等が挙げられる。
例えば、特定の分子量に調整されたポリ乳酸と特定のシリカ、着色剤、必要に応じてその他添加剤を混合した後、2軸混練機や加圧ニーダー、オープンロールなどの混練機で混練し、混練物を冷却してから、ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、風力分級機等で分級することで、トナーを得ることができる。
外添剤としては、無機微粒子が一般的であり、シリカ、チタニア、アルミナ等が挙げられ、そのうち疎水化処理されたシリカが好ましく、日本アエロジル、CABOT等で市販されている。1次粒子径として、7〜40nmのものが良く、機能向上のため2種類以上を混ぜ合わせても良い。
各物性値の測定方法を示す。
<トナー粒径の測定>
装置:マルチサイザーII(コールター社製)
試料:ビーカーに試料少量と精製水、界面活性剤を入れ、超音波洗浄器にて分散した。
測定:アパーチャーは100μmで行い、カウントは50,000個で行い、体積平均粒径を得た。
装置:GPC((株)島津製作所製)、検出器RI
分子量Mnは、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定される数平均分子量である。
装置:フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500D)
試料:1g
昇温速度:6℃/分
荷重:20kg
ノズル:直径1mm、長さ1mm
1/2法:試料の半分が流出した温度を軟化点とした。
装置:動的光散乱法粒度分布測定装置(日機装(株)製、MICROTRAC UPA−EX150)。
次に、樹脂微粒子の作製方法を示す。
<樹脂微粒子Aの作製>
樹脂として、ポリ乳酸(海正生物化学社製:REVODE101、軟化点160℃)100部をトルエン400部に入れ、90℃にて約1時間溶解したあと、80℃まで冷却した。
さらに得られた予備乳化物を高圧乳化機により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。
得られたエマルジョンをろ過、乾燥し、樹脂微粒子Aを得た。
樹脂微粒子Aの軟化点は160℃であった。
上記樹脂微粒子Aの作製において、乳化剤量と高圧乳化機の圧力を適宜可変し、粒径の異なる樹脂微粒子B、C、D、Eを得た。
上記樹脂微粒子Aの作製において、予備乳化の際、着色剤として、カーボンブラック(CABOT社MOGUL L)を樹脂固形分に対し2部添加した以外は同様の方法で着色剤を含有する樹脂微粒子Fを得た。
<帯電制御剤を含有する樹脂微粒子の作製>
上記樹脂微粒子Fの作製において、予備乳化の際、カーボンブラックの代わりに、帯電制御剤として、T−77(保土谷化学(株)製)を樹脂固形分に対し2部添加した以外は同様の方法で、帯電制御剤を含有する樹脂微粒子Gを得た。
上記樹脂微粒子Aの作製において、樹脂を軟化点140℃のポリ乳酸に代える以外は同様の方法で樹脂微粒子Hを得た。
<樹脂微粒子I>
樹脂微粒子Iとして、日本ペイント(株)製スチレン・アクリル樹脂微粒子(グレードFS−301 非架橋タイプ)を使用した。
海正生物ポリ乳酸「REVODE101B」を温度80℃、湿度80%RHに設定した恒温恒湿槽に入れ加水分解させた。処理時間を可変し、分子量、軟化点の異なるポリ乳酸を得た。
各処理時間により得られたポリ乳酸の分子量と軟化点を下記表2に示す。
結着樹脂として、分子量を低減したポリ乳酸(分子量35,000、軟化点145℃) 85質量部、着色剤として、カーボンブラック(CABOT社MOGUL L) 4質量部、離型剤として、カルナウバワックス1号粉末(日本ワックス(株)製) 6質量部、および樹脂微粒子A 5質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製、標準羽装着)に投入し混合した。
実施例2〜10および比較例1〜9
結着樹脂と樹脂微粒子の種類及び組合せを変えた以外は、実施例1と同様にトナーを作製した。
樹脂微粒子Aを配合しない以外は、実施例1と同様にして、平均粒径9.0μmの着色微粒子を得た。
得られた着色微粒子に対して、樹脂微粒子Aを5質量部を、ヘンシェルミキサーにて混合したあと、表面改質装置ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製:NHS−1)にて、着色微粒子表面に樹脂微粒子Aを成膜化させた。
それぞれのトナーについて、かぶり、濃度安定性、保存性、定着性、粉砕性、及び耐久性を測定し、評価した。その結果を下記表3に示す。それぞれの特定の試験法及び評価基準は、次の通りである。
非磁性一成分現像装置「カシオページプレスト N−5」(カシオ計算機(株)製:カラープリンタ毎分29枚(A4横)機、プロセススピード129mm/sec)にトナーを実装し、通常環境(25℃、50%RH)において、普通紙(XEROX−P紙A4サイズ)を用いて5%印字画像を10,000枚連続印字したあと、白紙印字を行い、印字している途中でフロント扉を開けることにより、印字を強制終了させ、その時のOPCドラム上のカブリトナーをメンディングテープに写しとり、白紙に貼り付けて、カブリトナーを採取していないテープと比較した。
◎:カブリ値が2未満で良好
○:カブリ値が2以上5未満で良好
△:カブリ値が5以上10未満である。実用上問題ないレベル
×:カブリ値が10以上で悪い
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を14,000枚連続印字した。途中、2,000枚おきにA4ベタ画像を印字し、四隅と中央の5点について画像濃度を測定し、平均濃度を求める。(その際、白スジ等による画像欠陥部分は測定しない)
各サンプリングポイントで求めた平均濃度の内、最大値、最小値から次式により濃度安定性を求め評価した。
◎濃度安定性が95%以上で良好
○濃度安定性が85%以上で良好
△濃度安定性が75%以上で実用上問題ないレベル
×濃度安定性が75%未満で悪い
トナー10gをガラスビーカーに入れ、50℃、90%RHの恒温恒湿槽に8h放置したあと、トナーの凝集状態を目視で確認し、下記の基準で評価した。
◎:トナーの凝集がまったく認められない。
○:トナーの凝集がほとんど認められない。
△:トナーの凝集がわずかに認められる。
×:トナーの凝集がはっきりと認められる。
試験1と同様の装置の定着部分の温度を可変できるように改造し、定着試験器とする。
試験例1と同様の装置で未定着画像を得た後、前記定着試験器にて上ロールの定着温度を100〜200℃の範囲で10℃毎に可変し、未定着画像を定着器に通した。その際、下ロールは上ロールの設定温度に対し10℃低い温度に設定した。画像サンプルのコールドオフセット、ホットオフセット、剥離爪跡を目視で評価し、非オフセット領域を求め、下記の基準で評価した。
◎:非オフセット領域が30℃以上である。
○:非オフセット領域が20℃以上である。
△:非オフセット領域が20℃以下である。
×:非オフセット領域が10℃以下である。
粉砕・分級工程にて混練粗砕物を粉砕分級する際、トナーの母体となる粒子の収率(重量%)より判断し、下記の基準で評価した。実状として、収率が70%以上であれば問題ない。
また、この時トナーの体積平均粒径は9μm、微粉として3μm以下の個数割合が5%以下、粗粉として、16μm以上の体積割合が3%以下となるように粉砕条件を調整する。
◎:収率75%以上
○:収率65%以上
×:収率65%未満
試験1と同様の装置を用い、通常環境(25℃、50%RH)において、5%印字画像を14,000枚連続印字した。その際ブレードにトナーの固形物が詰まったり、融着するなどして発生する画像不良の有無を観察し、下記の基準で評価した。
◎:画像不良は全く見られない。
○:画像不良がほとんど見られない。
×:画像不良が発生。
実施例1〜10では、特定の軟化点、粒径、添加量の樹脂微粒子を内添したことで、かぶり、濃度安定性、保存性、定着性、粉砕性、耐久性の良好なトナーを得ることができた。
比較例1では、特定の樹脂微粒子を内添しなかったため、特に耐久性が悪かった。
比較例3では、樹脂微粒子の粒径が0.05μm未満であるため、かぶり、耐久性に課題が見られた。
比較例4では、樹脂微粒子の軟化点が、結着樹脂の軟化点よりも低かったため、かぶり、耐久性に課題が見られた。
比較例6では、樹脂微粒子の配合量が20質量%を超えているため、かぶり、濃度安定性、粉砕性、耐久性に課題が見られた。
比較例7では、結着樹脂であるポリ乳酸の分子量が50,000を超えているため、粉砕性が悪く、トナー化を断念した。
比較例9では、樹脂微粒子としてスチレン・アクリルを用いたが、ポリ乳酸微粒子を添加したものと比較し、かぶり、耐久性に課題が見られた。
Claims (2)
- 5,000〜50,000の数平均分子量を有し第1の軟化点を有する第1のポリ乳酸樹脂を含有する結着樹脂と、
予め、前記第1の軟化点よりも高い第2の軟化点を有する第2のポリ乳酸樹脂と、該第2のポリ乳酸樹脂の1〜5質量%の着色剤とを含み、0.05〜2.0μmの粒径に調整された樹脂微粒子と、
を含む原料混合物を、前記樹脂微粒子がトナー質量の略5質量%となるように混練し、粉砕して電子写真用トナーを製造する電子写真用トナーの製造方法。 - 5,000〜50,000の数平均分子量を有し第1の軟化点を有する第1のポリ乳酸樹脂を含有する結着樹脂と、
予め、前記第1の軟化点よりも高い第2の軟化点を有する第2のポリ乳酸樹脂と、該第2のポリ乳酸樹脂の1〜5質量%の帯電制御剤とを含み、0.05〜2.0μmの粒径に調整された樹脂微粒子と、
を含む原料混合物を、前記樹脂微粒子がトナー質量の略5質量%となるように混練し、粉砕して電子写真用トナーを製造する電子写真用トナーの製造方法。
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