JP5338790B2 - バイオプラスチックを用いた電子写真用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、バイオプラスチックを用いた電子写真用トナーに関する。
電子写真方式による画像形成は、静電荷像をトナーにより現像して可視化し、現像により得られたトナー像を用紙に転写した後、熱と圧力により定着させることにより行われる。
上記トナーは、結着樹脂に着色剤や帯電制御剤などを配合した混合物を溶融混練し、粉砕及び分級して所定の粒度分布に調整することにより製造される。このようなトナーの結着樹脂として、従来、スチレン・アクリル樹脂や、ポリエステル樹脂などの石油由来の樹脂が使用されている。
近年、環境への配慮から、廃棄時に環境への負荷の少ない生分解性樹脂、さらには、再生可能資源からつくられるバイオマスプラスチックを、トナー用樹脂として用いる方法が提案されている。なお、有限な資源への配慮と、環境負荷の低減に貢献する、バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックのことをバイオプラスチックと呼ぶ。
本発明者らは、バイオプラスチックの分子量を調整し、バイオプラスチックをトナー用のメイン樹脂として使用することを可能にした。具体的には、市販のポリ乳酸をそのまま使用するのではなく、加水分解等により、分子量を低減させることで、軟化温度を下げるとともに、粉砕性の良好な樹脂を得ることができた。
しかし、上記のように改善したバイオプラスチックを用いても、トナーの保存性などで問題点があり、性能としては不十分であった。この原因は、バイオプラスチックを加水分解することにより分子量を調整するため、吸湿性の高い樹脂になることにあり、バイオプラスチックの高湿化などによりトナー水分量があがり、保存性が悪化する要因となった。
特許文献1では、吸湿性の高い結晶性ポリエステル樹脂をトナー用バインダーに使用し、外添剤として疎水性シリカを130%〜300%まで添加し、疎水性シリカによるシェル化を行い、吸湿性を下げている。
特開2003−107781号公報
本発明者らは、特許文献1に従って、ポリ乳酸を母体としたトナーに外添剤を多量に添加したところ、吸湿性を下げることは可能であったが、外添剤が多量に付着しているため、耐久試験を行うと、徐々に外添剤が脱離し、脱離した外添剤などがドクターブレード等に付着し、白スジなどの不具合を発生するという新たな問題点に直面した。
本発明は、かかる問題を解決することを目的とし、結着樹脂としてバイオプラスチックを含む電子写真用トナーにおいて、外添剤を安定にトナー表面に外添することにより、保存性および耐久性を改善した電子写真用トナーを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、所定分子量のポリ乳酸樹脂を加水分解処理して5,000〜50,000の数平均分子量に調整したバイオプラスチックを含有する結着樹脂、および着色剤を含む混合物を混錬、粉砕して、着色微粒子を得る工程と、得られた着色微粒子に対し、コンポジットミキサーCP−15(商品名、日本コークス(株)製)を用い混合羽根の回転速度を2850回転/分で10分間攪拌、混合し、そのせん断力により、一次粒子径の異なる2種類以上の疎水性シリカを、被覆率150〜400%およびトナーのかさ比重0.30g/ml以下となるように外添する工程とを含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法を提供する。
前記コンポジットミキサーCP−15(商品名、日本コークス(株)製)が、外添処理前のトナー粒子と外添剤を含む原料混合物を収容する攪拌槽と、攪拌槽内の原料混合物を攪拌、混合する前記混合羽根と、混合羽根の上方に配置された邪魔板とを備え、前記混合羽根と前記邪魔板は、攪拌時に、前記混合羽根と前記邪魔板との間を通過する気流によりせん断力を発生するような間隔で配置されている、よう構成される。
本発明によれば、結着樹脂としてバイオプラスチックを含み、保存性および耐久性を改善した電子写真用トナーが提供される。
本発明の電子写真用トナーの製造に使用される外添機の一例を示す図。 蓋を外した状態の図1の外添機の斜視図。 混合羽根と邪魔板との位置関係を示す図。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を行なった結果、結着樹脂として、特定の分子量のポリ乳酸を使用するトナーにおいて、コンポジットミキサーのような強力なせん断力のある外添機を用いて多量の外添剤をトナーに埋め込むように外添し、これにより、耐久試験の際に外添剤が脱離することがなくなり、トナーの保存性および耐久性を改善するに至った。
すなわち、本発明の一実施形態に係る電子写真用トナーは、5,000〜50,000の分子量を有するバイオプラスチックを含有する結着樹脂、着色剤を含む混合物を混錬、粉砕し、疎水性シリカを外添してなる電子写真用トナーにおいて、疎水性シリカが被覆率150〜400%で外添されていること、およびトナーのかさ比重が0.30g/ml以下であることを特徴とする。
本実施形態に係る電子写真用トナーにおいて、結着樹脂として使用するバイオプラスチックの分子量は、5,000〜50,000、好ましくは10,000〜50,000であり、分子量が50,000を超える場合、5,000未満の場合のいずれの場合にも、粉砕性が劣り、トナー化が困難となる。
このように、所定の分子量を有するバイオプラスチックおよび着色剤を含む着色粒子に、疎水性シリカを、被覆率150〜400%で、トナーのかさ比重が0.30g/ml以下となるような埋め込み具合で外添することにより、保存性および耐久性を改善した電子写真用トナーを得ることが可能となった。すなわち、多量の疎水性シリカを、トナー粒子表面にせん断力により強力に埋め込み、トナーのかさ比重を低くすることにより、トナーの保存性および耐久性を高めることが可能となった。
後述の実施例に示されるとおり、外添剤の被覆率が150%未満では保存性が低く、被覆率が400%を超えると、耐久性が低い。本実施形態において、外添剤の被覆率は、150〜400%であり、好ましくは200〜320%、より好ましくは250〜300%である。また、本実施形態において、トナーのかさ比重は、0.30g/ml以下であり、好ましくは2.5〜2.9g/ml、より好ましくは2.6〜2.8g/mlである。
本明細書において、外添剤(無機微粒子)によるトナーの被覆率(f)は、以下の式により定義される。
f(%)=√3/2π×[(D・ρτ)/(d・ρs)]×C×100
D:トナー個数平均粒径
d:無機微粒子の平均粒径
ρτ:トナーの真比重
ρs:無機微粒子の真比重
C:無機微粒子/未処理トナーの重量比。
また、本明細書において、トナーのかさ比重は、(株)安田精機製作所のかさ比重測定機を用いて得られた値(g/ml)、すなわち30ml受器に2分間、刷毛でトナーを落とし、すりきり後重量(g)を測定し算出した値である。
本実施形態で使用される外添剤の疎水性シリカは、公知の方法に従って疎水化処理されたシリカであり、たとえば、日本アエロジル(株)、CABOT社等で市販されているもの、たとえば、AEROSIL(登録商標)RY50、AEROSIL(登録商標)RY200、CAB−O−SIL(登録商標)TG−810G、CAB−O−SIL(登録商標)TG−C190、CAB−O−SIL(登録商標)TG−C6020Nなどを使用することができる。疎水性シリカは、1次粒子径として、7〜40nmのものが良く、機能向上のため2種類以上を混ぜ合わせても良い。一例として、後述の実施例のとおり、1次粒子径40nmと7nmのものの組み合わせ、1次粒子径40nmと12nmのものの組み合わせ、または1次粒子径40nmと12nmと115nmのものの組み合わせを使用することができる。
疎水性シリカは、所定の被覆率となるような添加量で添加され、一般に、外添処理前のトナー粒子100質量部に対して、2.5〜9.0質量部、好ましくは3.0〜8.5質量部、たとえば3.3〜8.0質量部で添加することができる。
本実施形態に係る電子写真用トナーは、外添剤の外添の仕方を除けば、従来公知の方法で製造することができる。
外添処理前のトナーは、例えば、特定の分子量に調整されたポリ乳酸と特定のシリカ、着色剤、必要に応じてその他添加剤を混合した後、2軸混練機や加圧ニーダー、オープンロールなどの混練機で混練し、混練物を冷却してから、ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、風力分級機等で分級することで得ることができる。
ここで、トナーの粒径は特に限定されないが、通常5〜10μmとなるように調整される。このようにして得られたトナーに対し、本実施形態では外添剤を添加する。
外添剤の添加は、好ましくは、強力なせん断力で外添剤をトナー表面に埋め込むことが可能な外添機を使用して行われる。これにより、外添剤を安定にトナー表面に外添し、外添剤の所定の被覆率とトナーの所定のかさ比重を達成することができる。
かかる外添機の一例は、外添処理前のトナー粒子と外添剤を含む原料混合物を収容する攪拌槽と、攪拌槽内の原料混合物を攪拌、混合する混合羽根と、混合羽根の上方に配置された邪魔板とを備え、ここで、混合羽根と邪魔板は、攪拌時に、混合羽根と邪魔板との間を通過する高速気流によりせん断力を発生し、これにより外添剤がトナー粒子表面に埋め込まれ得るような間隔で配置されている。
かかる外添機の一例を図1に示す。図1は、外添機の内部構造を横方向からみた図である。
図1において、外添機1は、外添処理前のトナー粒子と外添剤を含む原料混合物が供給される攪拌槽2(内側槽と外側槽からなる)と、攪拌槽2の底部に配置された、原料混合物を攪拌、混合するための混合羽根3と、攪拌層2の開口部を覆うための蓋4とを備えている。蓋4の下には、筒体5を介して8枚の邪魔板6が備え付けられ、攪拌槽2に蓋4を嵌めた際に、混合羽根3との間に隙間が形成されるように配置されている。混合羽根3は、突起部3aを備え、攪拌槽2の底部に配置された軸部7を中心に回転する。ここで混合羽根3は、攪拌槽2の内側槽と一体となって回転する。かかる外添機では、回転する混合羽根3と固定された邪魔板6の間の隙間を通る高速気流によりせん断力が発生する。
図2は、図1の外添機の蓋4を外し、攪拌槽2を上方からみた斜視図を示す。かかる外添機の例において、攪拌槽2は、たとえば20Lの容量を有する。
図3に、攪拌槽2に蓋4を嵌めた際の混合羽根3と邪魔板6との位置関係を示す。図3において、邪魔板6は、水平面から傾斜しており、混合羽根3との間に例えば5mmの隙間(図3においてLで示す)を隔てて配置される。このように邪魔板6が、水平面から傾斜した角度で、混合羽根3と近接した距離で配置されることにより、回転する混合羽根3と固定された邪魔板6との間を通過する高速気流によりせん断力を発生させ、トナー粒子にせん断力を与えることができる。かかるせん断力により、外添剤はトナー粒子表面に埋め込まれる。
本実施形態に係る電子用トナーを製造するための外添機は、図1に示すものに限定されず、トナー粒子に強力なせん断力を与え、かかるせん断力で外添剤をトナー表面に埋め込むことができるミキサーであれば、任意の公知のミキサーを使用することができる。
本実施形態に係る電子写真用トナーにおいて、結着樹脂として使用されるバイオプラスチックは、ポリ乳酸を用いることが出来る。ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合により結合したポリマーであり、近年、環境に優しい生分解性プラスチックとして注目を集めている。即ち、自然界には、エステル結合を切断する酵素(エステラーゼ)が広く分布していることから、ポリ乳酸は環境中でこのような酵素により徐々に分解されて、単量体である乳酸に変換され、最終的には二酸化炭素と水になる。
本実施形態で使用されるポリ乳酸の製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。原料となるとうもろこし等の澱粉を発酵し、乳酸を得た後、乳酸モノマーから直接脱水縮合する方法や乳酸から環状二量体を経て、触媒の存在下で開環重合によって合成する方法がある。乳酸には、光学異性体が存在し、L−乳酸とD−乳酸があるが、これら単独または混合物のいずれの乳酸を使用しても良い。ポリ乳酸の分子量は、重合時の反応条件を可変することで任意に調整することが可能である。
商業的に販売されているポリ乳酸は耐熱性向上等のため、より高分子のポリ乳酸が得られる開環重合法で合成されたものであり、その数平均分子量は100,000以上のものが主流である。本実施形態で結着樹脂として使用されるバイオプラスチックは、5,000〜50,000の分子量を有する。したがって、所望の分子量のポリ乳酸は、市販のポリ乳酸を加水分解することにより得ることができる。
ポリ乳酸を加水分解させる方法としては、恒温恒湿槽にポリ乳酸を置く方法が挙げられる。例えば、恒温恒湿槽を温度80℃、湿度80%RHに設定し、ポリ乳酸を処理すると、加水分解により分子量が低下し、数十時間でトナー用樹脂として適当な軟化温度、良好な粉砕性を得ることができる。
また、ポリ乳酸を加水分解させる別の方法として、過熱水蒸気を使用する方法や、ポリ乳酸と水とを溶融混練する方法が挙げられる。
本実施形態でトナー原料として使用される着色剤は、従来公知のものが使用できる。例えば、黒の着色剤としては、カーボンブラック、青系の着色剤としては、C.I.Pigment15:3、赤系の着色剤としては、C.I.Pigment57:1、122、269、黄色系の着色剤としては、C.I.Pigment74、180、185等が挙げられる。環境への影響を考慮すると、着色剤単体で安全性が高いものが好ましい。
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜10質量%であることが好ましい。また、着色剤は、予め樹脂と着色剤を高濃度に分散したマスターバッチを使用しても良い。
本実施形態のトナーには必要に応じて、従来公知の離型剤を添加することができる。そのような離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のオレフィン系ワックスや、カルナウバワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス等の天然ワックス、合成エステルワックス等が挙げられる。
低温定着性や高速印字性能を向上させるには、60〜100℃程度と比較的低い融点を有する離型剤が好ましく、具体的には、カルナウバワックスや、合成エステルワックスが好ましい。環境への影響を考慮すると、天然物系のカルナウバワックスがより好ましい。離型剤は、トナー全体に対して、1〜15質量%であることが好ましい。
本実施形態のトナーには、その原料として、必要に応じて、従来公知の帯電制御剤を添加することができる。例えば、正帯電制御剤として、4級アンモニウム塩、アミノ基を含有する樹脂等が、負帯電制御剤として、サルチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、カルボキシル基を含有する樹脂などがある。帯電制御剤は、トナー全体に対して、0.1〜5質量%であることが好ましい。
本実施形態のトナーには、必要に応じて、従来公知のトナー用樹脂を添加することができる。そのような樹脂として、スチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂があるが、顔料分散性、低温定着性の観点から、トナー用に開発されたポリエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂は単独であっても、2種類以上を混合しても構わない。これらの樹脂の配合量は、環境への影響を考慮すると、トナー全体に対して、0〜50質量%であることが好ましい。
その他材料として、粉砕性、定着性等改善のため低分子量樹脂を添加することができる。ここで、低分子量樹脂としては、分子量数百〜数千のオリゴマー領域の樹脂であり、粘着付与剤として市販されている。ロジン及びロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等がある。
本実施形態のトナーには、必要に応じて従来公知の加水分解抑制剤を添加することができる。加水分解抑制剤として、例えば、カルボジイミド系化合物、イソシアネート系化合物及びオキサゾリン系化合物などが挙げられる。このような加水分解抑制剤は、残存モノマーや分解により生じた水酸基やカルボキシル基末端が封止され、加水分解の連鎖反応を抑制することができる。
加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物である日清紡績社製の“カルボジライトLA−1”などが市販されている。加水分解抑制剤の添加量としては、生分解性樹脂に対し、0.01〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
本実施形態のトナーには、必要に応じて従来公知の結晶核剤を添加することができる。結晶核剤として、タルクなどの無機核剤、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、ベンジリデンソルビトール、カルボン酸アミドなどの有機核剤、等が挙げられる。
以下に本発明の実施例と比較例を示し、本発明についてより具体的に説明する。
実施例1
結着樹脂として、分子量を低減したポリ乳酸(分子量35,000、軟化点145℃)90質量部、着色剤としてカーボンブラック(CABOT社MOGUL L)4質量部、離型剤として、カルナウバワックス1号粉末(日本ワックス(株)社製)6質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社(株)製、標準羽装着)に投入し混合した。
得られた混合粉体を2軸押出機(スクリュウ径43mm、L/D=34)で溶融混練したあと、延伸、冷却し、ロートプレックス(ホソカワミクロン(株)社製、2mmスクリーン)で粗砕した後、衝突式粉砕機(日本ニューマチック工業(株)製IDS−2)・風力分級機(日本ニューマチック工業(株)製DSX−2)にて、トナー平均粒径が6.0μmになるように粉砕分級を行い着色微粒子を得た。
得られた着色微粒子100重量部に、外添剤として、「RY50」(日本アエロジル(株)社製:疎水性シリカ、1次粒子径40nm)を2.5重量部、「TG−810G」(キャボット社製:疎水性シリカ、1次粒子径7nm)を0.8質量部添加し、コンポジットミキサーCP−15(日本コークス(株)製)で2850rpmで10分間撹拌混合しトナーを得た。
得られたトナーにおける外添剤の被覆率は152.6%であり、かさ比重(AD値)は0.267であった。
コンポジットミキサーは、図1の外添機と同じ構成を有し、混合羽根の上にふた部分から伸びた邪魔板が設置してあり、混合羽根と邪魔板との隙間(図3に示す距離L)は5mmに設定されている。このわずかな隙間で強力なせん断力が発生し、多量の外添剤の埋め込みが可能となった。
実施例2〜5
実施例2〜4は、外添剤「TG−810G」の添加量を増大させて外添を行った以外は、実施例1と同様にトナーを作製した。実施例5は、外添剤「RY50」および「TG−810G」の添加量を増大させて外添を行った以外は、実施例1と同様にトナーを作製した。実施例2〜5は、外添剤の添加量を増大させることにより、実施例1と比べて、外添剤の被覆率を最大400%近くまで増大させた。
実施例6〜10
実施例6〜10は、外添剤として、「RY50」および「RY200」(疎水性シリカ:12nm(日本アエロジル(株)製))の組み合わせを使用し、外添剤の添加量を増大させて外添を行った以外は、実施例1と同様にトナーを作製した。実施例6〜10は、外添剤の添加量を変えることにより、外添剤の被覆率を約150%〜約330%まで変動させた。
実施例11
実施例11は、外添剤として更に、「TG−C190」(疎水性シリカ:115nm(キャボット社製))を添加して、実施例6〜10と同様にトナーを作製した。実施例11の外添剤の被覆率は163.9%であった。
比較例1〜2
比較例1〜2は、外添剤「RY200」の添加量を減少させて外添を行った以外は、実施例6と同様にトナーを作製した。比較例1〜2では、外添剤の添加量を減少させて、外添剤の被覆率を150%未満に低下させた。
比較例3〜5
比較例3〜5は、外添機を20Lのヘンシェルミキサー(三井鉱産(株)製、攪拌強化羽装着)に変更して外添を行った以外は、それぞれ、実施例1〜3と同じ外添剤を同じ配合量で用いてトナーを作製した。ここで使用したヘンシェルミキサーは、トナー粒子及び外添剤に強いせん断力を与えることができない。
比較例6〜8
比較例6〜8は、外添剤「RY50」および「TG−810G」の添加量を増大させて外添を行った以外は、実施例1と同様にトナーを作製した。比較例6〜8では、外添剤の添加量を増大させて、外添剤の被覆率を410%以上に増加させた。
それぞれのトナーについて、外添剤の被覆率、トナーのかさ比重、トナーの保存性、耐久性を測定し、評価した。その結果を、下記表1に示す。
外添剤の被覆率の計算方法、トナーのかさ比重の測定方法、トナーの保存性試験方法、耐久試験方法を以下に記す。
外添剤(無機微粒子)によるトナー被覆率(f)は次式で計算される
f(%)=√3/2π×[(D・ρτ)/(d・ρs)]×C×100
D:トナー個数平均粒径
d:無機微粒子の平均粒径
ρτ:トナーの真比重
ρs:無機微粒子の真比重
C:無機微粒子/未処理トナーの重量比。
試験1−外添安定性
外添について、外添中に問題なく外添できた場合は○、外添機のフタ部などからトナーが噴出した場合は×とした。
試験2−かさ比重
かさ比重は、(株)安田精機製作所のかさ比重測定機を用いて、測定を行った。30ml受器に2分間、刷毛でトナーを落とし、すりきり後重量を測定し、かさ比重を算出した。
試験3−保存性
保存性試験は、50ccのビーカーにトナーを15g入れ、恒温恒湿槽で50℃90%で5時間放置した後、バネ秤で針金が15mm進入した時の値を読み取り、変化ない場合は◎、0.01〜0.03Nの場合は○、0.03N〜0.05Nの場合は△、それ以上の場合は×とした。
試験4−耐久性
耐久試験は、カシオ計算機(株)製N3500プリンタに得られたトナーを搭載し、20000枚まで5%印字を行い、トナー耐久性を確認した。20000枚までスジ等がでなく良好な場合は◎、1本から5本のスジが発生した場合は○、5本〜10本のスジが発生した場合は△、それ以上の多量のスジが発生した場合は×とした。
Figure 0005338790
上記表1から次のことがわかる。
実施例1は、上述のとおり、外添機としてコンポジットミキサーCP−15(日本コークス(株)製)を使用して、混合羽根と邪魔板との間のわずかな隙間に強力なせん断力を発生させることにより、トナー表面に外添剤を安定して埋め込むことができた。これにより、実施例1は、かかるせん断力を発生させない外添機を使用した比較例3(実施例1と同じ外添剤を同じ配合量で使用した例)と比較して、かさ比重が0.30g/ml以下と低くなり、保存性、耐久性ともに良好な結果が得られた。
実施例2〜5は、実施例1と比べて外添剤「TG−810G」の添加量を増大させて外添を行い、被覆率を最大で約400%まで増大させた。実施例1と同様、外添機としてコンポジットミキサーCP−15を使用したため、強力なせん断力が与えられ、外添剤であるシリカをトナー表面に安定して埋め込むことができた。これにより、かさ比重が0.30g/ml以下と低くなり、保存性、耐久性ともに良好な結果が得られた。
実施例6〜10は、外添剤を「TG−810G」から「RY200」(疎水性シリカ:12nm(日本アエロジル(株)製))に変更し添加量を上げて外添を行い、被覆率を約150%〜約330%まで変動させた。これら実施例の全てにおいて、トナー表面に外添剤を安定して埋め込むことができ、かさ比重が0.30g/ml以下と低くなり、その結果、保存性、耐久性ともに良好な結果が得られた。
実施例11は、外添剤として更に「TG−C190」(疎水性シリカ:115nm(キャボット社製))を添加し、被覆率を164%としたが、かさ比重を0.30g/ml以下と低くすることができ、保存性、耐久性ともに良好な結果が得られた。
これに対し、比較例1〜2は、実施例6と比較して外添剤「RY200」の添加量を減少させ、外添剤の被覆率をそれぞれ103.3%、66.3%と低下させた結果、保存性について良好な結果が得られなかった。
比較例3〜5は、実施例1〜3と同じ外添剤を同じ配合量で用いて外添を行ったが、外添機として20Lのヘンシェルミキサーを使用した。その結果、比較例3では十分に外添できたものの、かさ比重が0.30g/mlを超えて高く、耐久性においてスジが発生し、良好な結果は得られなかった。これはヘンシェルミキサーではシリカの埋め込みが甘く、外添剤が遊離しており、耐久試験を行った結果、脱離したシリカが現像時に不具合を起こしたためと考えられる。比較例4〜5については、ヘンシェルミキサー内の内圧が上がりトナーがフタの隙間から吹き出し十分な外添が行えなかった。比較例4〜5では、十分な外添が行えなかったため、かさ比重、保存性、耐久性の試験を実施しなかった。
比較例6〜8は、実施例1と比較して外添剤「RY50」、「TG−810G」の添加量を増加させ、外添剤の被覆率を410%以上にした。その結果、外添剤が多いためにかさ比重が0.30g/mlを超える値となった。これら比較例の全てにおいて、保存性試験は問題なく良好な結果であったが、遊離したシリカが多く耐久試験においていずれもスジが発生し問題であった。
また、実施例1と比較例3ではシリカの添加量を同量として被覆率を同じにしているが、実施例1ではコンポジットミキサーで強く外添し、シリカが強く埋め込まれたためシリカによる流動性向上効果が低くかさ比重が低い結果となった。
一方で比較例3ではヘンシェルミキサーで外添しているため、シリカの埋め込みが少なくシリカによる流動性向上効果があり、かさ比重が高い結果となった。
1・・・外添機
2・・・攪拌槽
3・・・混合羽根
3a・・・突起部
4・・・蓋
5・・・筒体
6・・・邪魔板
7・・・軸部

Claims (3)

  1. 所定分子量のポリ乳酸樹脂を加水分解処理して5,000〜50,000の数平均分子量に調整したバイオプラスチックを含有する結着樹脂、および着色剤を含む混合物を混錬、粉砕して、着色微粒子を得る工程と、
    得られた着色微粒子に対し、コンポジットミキサーCP−15(商品名、日本コークス(株)製)を用い混合羽根の回転速度を2850回転/分で10分間攪拌、混合し、そのせん断力により、一次粒子径の異なる2種類以上の疎水性シリカを、被覆率150〜400%およびトナーのかさ比重0.30g/ml以下となるように外添する工程と
    を含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  2. 前記2種類以上の疎水性シリカが、前記せん断力によりトナー粒子表面に埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 前記コンポジットミキサーCP−15(商品名、日本コークス(株)製)が、外添処理前のトナー粒子と外添剤を含む原料混合物を収容する攪拌槽と、攪拌槽内の原料混合物を攪拌、混合する前記混合羽根と、混合羽根の上方に配置された邪魔板とを備え、前記混合羽根と前記邪魔板は、攪拌時に、前記混合羽根と前記邪魔板との間を通過する気流によりせん断力を発生するような間隔で配置されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
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