JP6233122B2 - ポリ乳酸を用いた電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸を用いた電子写真用トナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ乳酸を用いた電子写真用トナーの製造方法に関する。
電子写真方式による画像形成は、静電荷像をトナーにより現像して可視化し、現像により得られたトナー像を用紙に転写した後、熱と圧力により定着させることにより行われる。上記トナーは、結着樹脂に着色剤や帯電制御剤などを配合した混合物を溶融混練し、粉砕及び分級して所定の粒度分布に調整することにより製造される。このようなトナーの結着樹脂として、従来、スチレン・アクリル樹脂や、ポリエステル樹脂などの石油由来の樹脂が使用されている。
近年、環境への配慮から、廃棄時に環境への負荷の少ない生分解性樹脂、さらには、再生可能資源からつくられるバイオマスプラスチックを、トナー用樹脂として用いる方法が提案されている。なお、有限な資源への配慮と、環境負荷の低減に貢献する、バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックのことをバイオプラスチックと呼ぶ。
特許文献1や特許文献2では、バイオプラスチックの中の1つであるポリ乳酸を主として使用したトナーが提案されている。粉砕トナーの結着樹脂としてポリ乳酸を使用する場合、高分子ポリ乳酸を使用すると製造工程で粉砕が困難になったり、定着時に低温定着が悪化したりするので、低分子ポリ乳酸を使用している。低分子ポリ乳酸は、末端のカルボキシル基が増えることによる影響や、残存するモノマーの影響などで、トナーの長期保存性に問題を有している。また、市販されているポリ乳酸は、高分子ポリ乳酸が主流であり、粉砕性に問題を有するため、これを結着樹脂として使用する場合、ポリ乳酸の加水分解処理が必要である(特許文献3)。ポリ乳酸の加水分解は、処理時間が長く作業性およびコストの面で負担が大きい。
特開2008−262179号公報 特開2007−197602号公報 特開2012−032628号公報
本発明は、上記事情に鑑み、高分子ポリ乳酸を加水分解することなくトナーの結着樹脂として使用することが可能な電子写真用トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する工程であって、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程と、前記樹脂マスターバッチを粉砕する工程と、前記粉砕後の樹脂マスターバッチおよび離型剤を含む第2の混合物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕、分級する工程とを含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法を提供する。
本発明の別の態様は、20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する工程であって、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程と、前記樹脂マスターバッチを粉砕する工程とを含むことを特徴とする樹脂マスターバッチの製造方法を提供する。
本発明によれば、高分子ポリ乳酸を加水分解することなくトナーの結着樹脂として使用することが可能な電子写真用トナーの製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明者らは、高分子ポリ乳酸を含むトナー原料に、粉砕性の問題を解決するために粉砕助剤を添加し、これを溶融混練して圧延ロールで板状にし、その板状混合物を折り曲げたところ、折り曲げた部位に繊維状の異物(以下、ヒゲという)が発生するという問題に遭遇した。ここで発生したヒゲは、その後の粉砕工程で粉砕されず、トナー粒子に繊維状の異物として残り、トナーの性能(たとえば画像や流動性など)に悪影響を及ぼすものであった。また、ヒゲは、発生するとトナーの製造工程で除去することが困難であった。
本発明者らは、高分子ポリ乳酸を、粉砕助剤を含有するが離型剤を含有しない配合でマスターバッチ化し、この樹脂マスターバッチを、離型剤を含むトナー原料と溶融混練してトナーを製造したところ、溶融混練時に起こるヒゲの発生を防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一実施形態に係る電子写真用トナーの製造方法は、
20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する工程であって、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程と、
前記樹脂マスターバッチを粉砕する工程と、
前記粉砕後の樹脂マスターバッチおよび離型剤を含む第2の混合物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕、分級する工程と
を含む。
本実施形態では、ポリ乳酸を、粉砕助剤を含有するが離型剤を含有しない配合でマスターバッチ化し、得られた樹脂マスターバッチの粉砕性指数を20以上とし、その後、樹脂マスターバッチを、離型剤を含むトナー原料と溶融混練してトナーを製造する。これにより、溶融混練時に起こるヒゲの発生を防止することができる。
本実施形態では、まず、20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する。
ポリ乳酸は、20,000〜110,000の重量平均分子量、好ましくは、30,000〜80,000の重量平均分子量を有する。本実施形態では、ポリ乳酸の準備にかかる手間およびコストを減らすために、上述の重量平均分子量を有する市販のポリ乳酸を使用することが望ましい。ポリ乳酸の重量平均分子量は、20,000より小さいとトナーとしての保存性が劣り、さらには定着性も悪化する傾向であり、110,000より大きいと粉砕性が低下する。ポリ乳酸は、結晶性ポリ乳酸であっても非晶質ポリ乳酸であってもよい。ポリ乳酸は、たとえば80〜195℃の軟化点を有する。ポリ乳酸は、環境への影響を考慮すると、トナー質量の25%以上の量で配合されることが好ましい。
樹脂マスターバッチの原料である第1の混合物は、ポリ乳酸の粉砕性を高めるために粉砕助剤を含む。粉砕助剤は、ポリ乳酸と比べて、力を加えたときに割れやすい性質を有する樹脂であり、たとえば、ヘンシェルミキサー(製品名:ヘンシェルミキサー、会社名:日本コークス工業(株))で、1000回転/秒で処理したときに割れる樹脂である。粉砕助剤として、当該技術分野で一般的に粉砕助剤として使用される樹脂を使用することができる。粉砕助剤は、1種類で使用されてもよいし、複数種類組み合わせて使用されてもよい。具体的には、タッキファイヤ系樹脂(粘着付与剤として使用される樹脂)、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂など使用することができる。
粉砕助剤として使用可能な樹脂の例を以下の表に示す。
樹脂マスターバッチの原料である第1の混合物は、着色剤、帯電制御剤などの添加剤を含んでいてもよいが、離型剤を含まない。第1の混合物が離型剤を含むと、溶融混練時にヒゲが発生する原因となるため、第1の混合物は離型剤を含まない。
本実施形態において、第1の混合物を、樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする。粉砕性指数は、20〜80とすることができ、好ましくは20〜50とすることができる。
本明細書において「粉砕性指数」とは、樹脂マスターバッチの粉砕しやすさを表す指標であり、具体的には、第1の混合物を溶融混練し、これを冷却して固化させて調製した樹脂マスターバッチを用いて、下記の手法に従って求めた値を指す。
すなわち、樹脂マスターバッチを、ミニブレンダー(型番:MB−2 大阪ケミカル)で10秒間粗粉砕する。粗粉砕後の樹脂マスターバッチから、16メッシュ(目開き:1mm)の篩いを通過するが22メッシュ(目開き:710μm)の篩いは通過しない樹脂粉体を得る。得られた樹脂粉体を10g計量する。計量した樹脂粉体を目開き710μmのメッシュで10分間 振動ふるいでふるう。振動ふるいを通過した樹脂粉体の重量を計測する。計測された樹脂粉体の重量(A)gを下記式に導入し、粉砕性指数を算出する。
式:粉砕性指数 = (A)g/振動ふるい前の採取重量(10g)×100。
本実施形態では、粉砕助剤の配合量を調整することにより、第1の混合物を、樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とすることができる。より具体的には、粉砕助剤を、第1の混合物の質量に対して、たとえば10〜80質量%の量で配合することにより、第1の混合物を、樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とすることができる。好ましくは、粉砕助剤を、第1の混合物の質量に対して、10〜40質量%の量で配合することができる。粉砕助剤の配合量を増やすと粉砕性指数は増大するが、粉砕助剤を、第1の混合物の質量に対して、80質量%を超える量で配合すると、トナー中のバイオプラスチックの比率が低下するため好ましくない。
第1の混合物の組成は、樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるように予め決めておくことが望ましい。
本実施形態において、第1の混合物の溶融混練は、好ましくは、二軸押出機により行うことができる。溶融混練後、これを冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製し、これを粉砕機で粉砕する。その後、粉砕された樹脂マスターバッチおよび離型剤を含む第2の混合物を溶融混練する。
第2の混合物は、離型剤を含み、必要に応じて、着色剤、帯電制御剤などのトナー原料の成分を含んでいてもよい。また、第2の混合物は、粉砕助剤を含んでいてもよい。第2の混合物の溶融混練も、好ましくは、二軸押出機により行うことができる。
本実施形態の方法では、第2の混合物に離型剤を含有させ、第1の混合物に離型剤を含有させないことにより、溶融混練時に起こるヒゲの発生を防止することができる。
離型剤として、従来公知の離型剤を使用することができる。そのような離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のオレフィン系ワックスや、カルナウバワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス等の天然ワックス、合成エステルワックス等が挙げられる。低温定着性や高速印字性能を向上させるには、60〜100℃程度と比較的低い融点を有する離型剤が好ましく、具体的には、カルナウバワックスや、合成エステルワックスが好ましい。環境への影響を考慮すると、天然物系のカルナウバワックスがより好ましい。離型剤の配合量は、トナー質量に対して、1〜15質量%であることが好ましい。本明細書において、「トナー質量」は、ポリ乳酸、粉砕助剤および離型剤を含むトナー原料の合計質量と定義され、シリカなどの外添剤は含まない。
離型剤として使用可能なワックスの例を以下の表に示す。
第2の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させた後、粉砕機で粉砕し、その後、風力分級機等で分級することで、トナーを得ることができる。ここで、トナーの粒径は特に限定されないが、通常5〜10μmとなるように調整される。このようにして得られたトナーに対し、流動性向上、帯電性調整、耐久性向上のため、外添剤を添加することができる。
外添剤としては、無機微粒子が一般的であり、シリカ、チタニア、アルミナ等が挙げられ、そのうち疎水化処理されたシリカ(日本アエロジル(株)、CABOT(株)より市販)が好ましい。無機微粒子の粒径は、1次粒子径として、7〜40nmのものが良く、機能向上のため、2種類以上を混ぜ合わせても良い。
本実施形態において、着色剤は、第1の混合物および第2の混合物の何れに含有されていてもよく、従来公知のものを使用できる。例えば、黒の着色剤としては、カーボンブラック、青系の着色剤としては、C.I.Pigment15:3、赤系の着色剤としては、C.I.Pigment57:1、122、269、黄色系の着色剤としては、C.I.Pigment74、180、185等が挙げられる。環境への影響を考慮すると、着色剤単体で安全性が高いものが好ましい。
これら着色剤の含有量は、トナー質量に対して、1〜10質量%であることが好ましい。また、着色剤は、予め樹脂と着色剤を高濃度に分散したマスターバッチを使用しても良い。
また、本実施形態では、トナー原料として、必要に応じて帯電制御剤を含有することができ、帯電制御剤は、第1の混合物および第2の混合物の何れに含有されていてもよい。帯電制御剤は、従来公知のものを使用することができ、例えば、正帯電制御剤として、4級アンモニウム塩、アミノ基を含有する樹脂等が、負帯電制御剤として、サルチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、カルボキシル基を含有する樹脂などが挙げられる。帯電制御剤の添加量は、トナー質量に対して、0.1〜5質量%であることが好ましい。
また、本実施形態では、トナー原料として、ポリ乳酸以外に、必要に応じて、従来公知のトナー用樹脂を添加することができ、トナー用樹脂は、第1の混合物および第2の混合物の何れに含有されていてもよい。そのような樹脂としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂があるが、顔料分散性、低温定着性の観点から、トナー用に開発されたポリエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂は単独であっても、2種類以上を混合しても構わない。これらの樹脂の配合量は、環境への影響を考慮すると、トナー質量に対して、0〜50質量%であることが好ましい。
また、本実施形態では、トナー原料として、必要に応じて従来公知の加水分解抑制剤を添加することができ、加水分解抑制剤は、第1の混合物および第2の混合物の何れに含有されていてもよい。加水分解抑制剤として、例えば、カルボジイミド系化合物、イソシアネート系化合物及びオキサゾリン系化合物などが挙げられる。このような加水分解抑制剤は、残存モノマーや分解により生じた水酸堪やカルボキシル機末端を封止し、加水分解の連鎖反応を抑制することができる。加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物であるカルボジライトLA−1(日清紡績(株)製)などが市販されている。加水分解抑制剤の添加量は、ポリ乳酸に対し、0.01〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
また、本実施形態では、トナー原料として、必要に応じて従来公知の結晶核剤を添加することができ、結晶核剤は、第1の混合物および第2の混合物の何れに含有されていてもよい。結晶核剤として、タルクなどの無機核剤、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、ベンジリデンソルビトール、カルボン酸アミドなどの有機核剤、等が挙げられる。
以下に本発明の実施例と比較例を示し、本発明についてより具体的に説明する。
[実施例1]
<樹脂マスターバッチの作製>
下記成分を下記配合量でヘンシェルミキサー(標準羽装着、三井鉱山(株)製)に投入し、混合した(第1の混合物)。
ポリ乳酸樹脂:ポリ乳酸樹脂(海正生物製、重量平均分子量80,000 軟化点112℃) 90質量部
粉砕助剤:ペンセルD135(荒川化学製 軟化点135℃) 10質量部。
得られた混合粉体を二軸押出機((株)池貝製、スクリュウ径43mm、L/D=34)で溶融混練した後、この溶融混練物を圧延ロールの循環水を10℃に設定して延伸し冷却した。この冷却後の混練物をロートプレックス(ホソカワミクロン(株)製、2mmスクリーン)で粗砕した。これにより、「粉砕された樹脂マスターバッチ」を得た。
<トナーの作製>
粉砕された樹脂マスターバッチに、離型剤、着色剤、帯電制御剤を混合した(第2の混合物)。すなわち、下記成分を下記配合量でヘンシェルミキサー(標準羽装着、三井鉱山(株)製)に投入し、混合した。着色剤として、フタロシアニン顔料(大日精化工業(株)製)50質量部およびポリエステル樹脂(花王(株)製、Mw13,000 軟化点100℃)50質量部からなる顔料マスターバッチを使用した。
粉砕された樹脂マスターバッチ 100質量部
離型剤:カルナウバワックス1号粉末(日本ワックス(株)製) 3質量部
着色剤:フタロシアニン顔料マスターバッチ 8質量部
帯電制御剤:「LR−147」(日本カーリット(株)製) 1質量部。
得られた混合粉体を二軸押出機((株)池貝製、スクリュウ径43mm、L/D=34)で溶融混練した後、この溶融混練物を圧延ロールの循環水を10℃に設定して延伸し冷却し、この冷却後の混練物をロートプレックス(ホソカワミクロン(株)製、2mmスクリーン)で粗砕した。その後、衝突式粉砕機(日本ニューマチック工業IDS−2)・風力分級機(日本ニューマチック工業DSX−2)にて、トナー平均粒径が8.0μmになるように粉砕及び分級を行い、微粒子を得た。
得られた微粒子100質量部に外添剤として、「RY200」(日本アエロジル(株)製:疎水性シリカ、1次粒子径12nm)を0.4質量部、「RX50」(日本アエロジル(株)製:疎水性シリカ、1次粒子径50nm)3質量部添加し、ヘンシェルミキサー(撹拌強化羽装着、三井鉱山(株)製)で3分間撹拌混合し、トナーを得た。
[実施例2〜18]
実施例1と同様の手法に従って実施例2〜18のトナーを作製した。実施例2〜18のトナーは、表3に記載されるとおり、第1の混合物の組成を変更した。実施例15〜18については、第1の混合物が、着色剤および/または帯電制御剤を既に含むため、第2の混合物を調製する際にこれらを添加しなかった。
[比較例1]
下記成分を下記配合量でヘンシェルミキサー(標準羽装着、三井鉱山(株)製)に投入し、混合した。
ポリ乳酸樹脂:ポリ乳酸樹脂(花王(株)製、Mw80,000 軟化点112℃) 100質量部
粉砕助剤:ペンセルD135(荒川化学製 軟化点135℃) 20質量部
離型剤:カルナウバワックス1号粉末(日本ワックス(株)製) 3質量部
着色剤:フタロシアニン顔料マスターバッチ 8質量部
帯電制御剤:「LR−147」(日本カーリット(株)製) 1質量部。
得られた混合粉体を二軸押出機((株)池貝製、スクリュウ径43mm、L/D=34)で溶融混練した後、この溶融混練物を圧延ロールの循環水を10℃に設定して延伸し冷却した。この冷却後の混練物をロートプレックス(ホソカワミクロン(株)製、2mmスクリーン)で粗砕した。
[比較例2〜9]
比較例1と同様の手法に従って比較例2〜9のトナーを作製した。比較例2〜9のトナーは、表4に記載されるとおり、トナー原料の組成を変更した。
[評価方法]
<ヒゲの有無>
二軸押出機から吐出された混合物(実施例の場合、第2の混合物を使用する)を圧延ロールにて板状にする。板状になった混合物を折り曲げた時にヒゲが発生するか、その有無を目視にて判断する。
○ ヒゲ無し
× ヒゲあり。
<粉砕性指数>
樹脂サンプルを、ミニブレンダー(型番:MB−2 大阪ケミカル)で10秒間粗粉砕する。樹脂サンプルとして、実施例の場合、樹脂マスターバッチを使用し、比較例の場合、トナー原料の溶融混練物を延伸し冷却したものを使用する。粗粉砕後の樹脂サンプルから、16メッシュ(目開き:1mm)の篩いを通過するが22メッシュ(目開き:710μm)の篩いは通過しない樹脂粉体を得た。得られた樹脂粉体を10g計量する。計量した樹脂粉体を目開き710μmのメッシュで10分間 振動ふるいでふるう。振動ふるいを通過した樹脂粉体の重量を計測する。計測された樹脂粉体の重量(A)gを下記式に導入し、粉砕性指数を算出する。
式:粉砕性指数 = (A)g/振動ふるい前の採取重量(10g)×100。
[評価結果]
「ヒゲの有無」および「粉砕性指数」の結果を表3および4に示す。
実施例1〜18では、ポリ乳酸を、粉砕助剤を含有するが離型剤を含有しない配合でマスターバッチ化し、得られた樹脂マスターバッチの粉砕性指数を20以上とし、その後、樹脂マスターバッチを、離型剤を含むトナー原料と溶融混練してトナーを製造した。その結果、実施例1〜18では、ポリ乳酸の粉砕性の問題が解決されるとともに、溶融混練後に起こるヒゲの発生を防止することができた。その結果、実施例1〜18のトナーは、ヒゲの発生によるトナー性能の低下を防止することができた。
一方、比較例1〜9では、ポリ乳酸を、マスターバッチ化することなく、粉砕助剤および離型剤を含有するトナー原料と溶融混練してトナーを製造した。比較例1、2、4、5、8および9では、ポリ乳酸を、粉砕助剤、離型剤、着色剤および帯電制御剤とともに溶融混練してトナーを製造したところ、溶融混練後にヒゲの発生がみられた。また、比較例3では、ポリ乳酸を、粉砕助剤および離型剤とともに溶融混練してトナーを製造したところ、溶融混練後にヒゲの発生がみられた。また、比較例6および7では、粉砕助剤を添加しなかったため、粉砕性指数が低く、粉砕が困難であった。
これら結果は、樹脂マスターバッチの粉砕性指数を20以上とすることにより、ポリ乳酸の粉砕性の問題を解決できること、および樹脂マスターバッチの原料混合物に離型剤を添加しないで、その後のトナー製造工程で離型剤を添加することにより、溶融混練後に起こるヒゲの問題を解決できることを示す。
なお、本実施例では、顔料をマスターバッチ化するためにポリエステル樹脂を使用したが、ポリ乳酸樹脂(Mw60,000 軟化点112℃)で顔料をマスターバッチ化した着色剤でも、効果に影響がないことを確認した。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する工程であって、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程と、
前記樹脂マスターバッチを粉砕する工程と、
前記粉砕後の樹脂マスターバッチおよび離型剤を含む第2の混合物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕、分級する工程と
を含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
[2] 前記樹脂マスターバッチの調製工程が、前記粉砕助剤の配合量を調整することにより、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程であることを特徴とする[1]に記載の電子写真用トナーの製造方法。
[3] 前記第1の混合物が、着色剤を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の電子写真用トナーの製造方法。
[4] 前記第2の混合物が、着色剤を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の電子写真用トナーの製造方法。
[5] 前記第1の混合物が、帯電制御剤を含むことを特徴とする[3]または[4]に記載の電子写真用トナーの製造方法。
[6] 前記第2の混合物が、帯電制御剤を含むことを特徴とする[3]または[4]に記載の電子写真用トナーの製造方法。
[7] 20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する工程であって、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程と、
前記樹脂マスターバッチを粉砕する工程と
を含むことを特徴とする樹脂マスターバッチの製造方法。

Claims (7)

  1. 20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する工程であって、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程と、
    前記樹脂マスターバッチを粉砕する工程と、
    前記粉砕後の樹脂マスターバッチおよび離型剤を含む第2の混合物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕、分級する工程と
    を含むことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  2. 前記樹脂マスターバッチの調製工程が、前記粉砕助剤の配合量を調整することにより、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 前記第1の混合物が、着色剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 前記第2の混合物が、着色剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. 前記第1の混合物が、帯電制御剤を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  6. 前記第2の混合物が、帯電制御剤を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  7. 20,000〜110,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸および粉砕助剤を含み離型剤を含まない第1の混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させて樹脂マスターバッチを調製する工程であって、前記第1の混合物を、前記樹脂マスターバッチの粉砕性指数が20以上となるような組成とする工程と、
    前記樹脂マスターバッチを粉砕する工程と
    を含むことを特徴とする樹脂マスターバッチの製造方法。
JP2014055516A 2014-03-18 2014-03-18 ポリ乳酸を用いた電子写真用トナーの製造方法 Expired - Fee Related JP6233122B2 (ja)

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