JP4738023B2 - オフセット印刷用低密度紙 - Google Patents

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Description

本発明は、表面処理剤を塗布したオフセット印刷用の低密度紙に関するものであり、更に詳しくは、オフセット印刷時のインキ着肉性に優れる上質低密度紙および中質低密度紙に関するものである。
近年のオフセット印刷用紙は、軽量化、高画質化が求められており、また印刷においても印刷の高速化、カラー化が急速に進んでおり、印刷適性に対する要求がますます厳しくなっている。印刷適性の中でも、特にインキ着肉性が良いことが求められている。オフセット印刷用紙を軽量化する方法として、紙厚を維持しながら軽量化すること、すなわち嵩高化(低密度化)がパルプ資源の節減の面からも注目されている。
しかし、この低密度紙をオフセット印刷すると、紙表面に印刷されたオフセットインキの濃度が低くなり、インキ着肉性が劣るという大きな問題があった。オフセット印刷用紙の低密度化とオフセット印刷物の高画質化は相反する特性であるため、低密度原紙に対して高い印刷適性向上効果、特にインキ着肉性向上効果を付与できる表面処理剤が求められている。
紙の表面処理剤として、従来から、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉等の低分子化した澱粉や、低分子化エステル化澱粉、低分子化エーテル化澱粉等の澱粉誘導体等が主に使用されている。密度が0.8g/m2を超える通常のオフセット印刷用上質紙や、密度が0.7g/m2を超える通常のオフセット印刷用中質紙では、紙表面に塗布する上記の低分子化澱粉や低分子化澱粉誘導体の種類と塗布量を適性化することにより、オフセットインキの紙層内部への沈み込みが抑制され、インキ着肉性が良好となり、高品質のオフセット印刷物が得られる。近年、嵩高紙と呼ばれている極めて低密度の紙の生産量が飛躍的に伸びているが、この低密度紙の表面に前記の低分子化澱粉や低分子化澱粉誘導体を塗布しても、オフセットインキの着肉性が悪く、良好なオフセッット印刷物が得られなかった。この低密度紙については明確な定義は無いが、上質紙では密度が0.6g/m2以下の紙であり、中質紙では密度が0.5g/m2以下の紙を指す。
非塗工紙において、紙層内の細孔に着目し、これを制御することにより印刷適性を改善する技術が提案されている。例えば、十分なインキ転移量がありながらインキ定着に優れ、しかも印刷濃度が高い孔版印刷用受像シートの提供を課題として、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.48に準じた水銀圧入法で測定した細孔直径の中央値が1.7〜3.5μmである孔版印刷用受像シートが開示され、その中で細孔直径を制御する手法として、パルプ種類、濾水度、内添填料の種類及び量、抄速、インレット条件、ウェットプレス圧、ドライヤー温度、カレンダー圧またはマシンドロー等の抄紙条件を適宜調整し、更に好ましくは、抄紙した原紙の少なくとも片面に、澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルション又は酢酸ビニルエマルション等の公知の中から選ばれた1種類以上の水系高分子を塗工することが記載されている(特許文献1参照)。この技術では孔版印刷において、受像シートの細孔直径を制御することにより、印刷濃度を高くできることが示されているが、該シートは本発明のような低密度の紙ではない。また、印刷後の裏抜け防止に優れ、且つ強さが良好な紙の提供を課題として、パルプと無機質填料を抄紙することによって得られた紙において、該無機質填料が平均直径が0.1〜30μm、厚さが0.005〜0.1μmの薄片の集合形態を有する珪酸質粒子であり、得られた紙が、細孔半径7.5μm以下の細孔容積が、細孔半径7.5μm以上の細孔容積より大きく、且つ、細孔半径0.75μm以下の細孔容積が0.1cc/g以上である紙が開示されている。しかし、この技術では、オフセット印刷におけるインキ着肉性改善に関する記載が無く、更に表面処理剤の記載もない。また、主に特定の珪酸質填料の配合により紙層内の細孔分布を制御するものであるため、本発明のような低密度の紙は得られない。
また、塗被紙のオフセット印刷時のインキ着肉性を改善する技術も多数、提案されている。例えば、印刷インキの着肉ムラが解消でき、更に印刷仕上がりの良好な印刷用塗被紙の製造方法の提供を課題として、原紙上に、顔料および接着剤として澱粉または澱粉誘導体の少なくとも1種からなる水溶性接着剤が配合されてなる水性塗料を塗被、乾燥して乾燥塗被層を設けた後、仕上げする印刷用塗被紙の製造方法において、(1)該乾燥塗被層面に加湿量が0.5〜4.0g/m2となるように水蒸気を付加して塗被層中の水溶性接着剤を再分布化させた後、塗被層面が乾燥した状態でキャレンダー仕上げする印刷用塗被紙の製造方法が開示されている(特許文献3参照)。(2)該乾燥塗被層表面にキャンバスディスク法で測定した浸透力の値が50秒以下である浸透剤水溶液を塗被して塗被層中の水溶性接着剤を再分布化させた後、キャレンダー仕上げする印刷用塗被紙の製造方法が開示されている(特許文献4参照)。これらの中で、澱粉または澱粉誘導体の具体例として、カチオン化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉が例示され、他の水溶性接着剤として、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、アルカリ溶解性のエマルション型接着剤等の使用がそれぞれ示されている。しかし、これらの技術は塗被紙のインキ着肉ムラを改善に関し、塗被層中の水溶性接着剤を再分布化する技術である。
また、低密度嵩高紙表面に効率良く浸透抑制効果を発現させる浸透抑制剤、及びそれを用いた塗料の浸透抑制方法、更にそれにより軽量嵩高な塗工原紙及びその塗工紙の提供を課題として、グルコース残基あたりのカルボキシメチル置換度が0.25〜0.50であり、且つ1%水溶液粘度が5〜300mPa・sである比較的低粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩からなる浸透抑制剤を、原紙の少なくとも片面に片面当たり0.5〜3.0g/m2塗工し、親水性塗料の浸透を抑制する方法が開示されている(特許文献5参照)。しかし、この技術は塗工紙用塗料の浸透を抑制するものであり、オフセット印刷におけるインキ着肉性の記載は無い。また、紙、特に中性紙に高度な印刷適性や耐水性付与を付与することを課題として、(1)キトサン水溶液と、(2)デンプン及びデンプン誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドの群から選ばれる1種又は2種以上、とを含有し、且つ顔料を含まない表面塗工用組成物が開示され、その中で、キトサン水溶液粘度が1重量%において3〜300センチポイズ(回転粘度計で25℃、60rpmにて測定)の比較的低粘度であり、デンプン誘導体が酸化デンプンであり、デンプン誘導体がカチオン化デンプンであり、セルロース誘導体がカルボキシメチルセルロースであることが記載されている(特許文献6参照)。しかし、この技術は極めて低密度の紙に関するものではなく、印刷適性もステキヒトサイズ度、コブサイズ度、ペン書きサイズ度、乾燥裂断長、湿潤裂断長、RIドライピック、RIウェットピックが示されているのみであり、オフセット印刷におけるインキ着肉性についての記載は無い。また、オフセット印刷用新聞用紙に関し、超高速の新聞オフセット印刷に対して特に適した表面サイズ方法の提供と、表面サイズ剤がインキと混合した場合でも粘着性凝集物が形成されにくいサイズ方法の提供を課題として、オフセット印刷用新聞印刷用紙の原紙に、カチオン含有基置換度が0.03以上であり、且つ酵素変性し、30℃、20%水溶液として測定した場合のB型粘度が20〜100cpのカチオン化澱粉を、原紙の両面合計で0.05〜1.5g/m2塗布することが記載されている。しかし、この技術は新聞印刷用紙に関するものであり、しかも低粘度化したカチオン化澱粉を使用するものであり、オフセット印刷におけるインキ着肉性の記載も無い。
特開2001-277692号公報 特許第1463960号公報 特開平8-269895号公報 特開平8-269896号公報 特開2004-300624号公報 特許第2572233号公報 特許第2936996号公報
以上のように、オフセット印刷において優れたインキ着肉性を有する低密度紙の開発が望まれていた。
本発明が解決しようとする課題は、オフセット印刷におけるインキ着肉性に優れたオフセット印刷用低密度紙、その中でも特に、オフセット印刷用低密度上質紙、オフセット印刷用低密度中質紙の提供にある。
本発明者らは、従来の非塗工の低密度紙について紙層内の細孔分布を調査した結果、水銀圧入法による細孔直径が4μm以上の細孔容積が大きいことを見出した。更に、オフセット印刷時、この4μm以上の細孔部に多くのインキが浸透するため、紙表面の残留するインキ量が減少し、これが原因となり、オフセット印刷物の品質、特にインキ着肉性を低下させていることを見出した。そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カルボキシメチルセルロース、高分子量澱粉類の群から選ばれる少なくとも1種類の高粘度の高分子物質を含有する表面処理剤を、低密度紙の原紙の表面に塗布することにより、用紙の密度の増大を最低限に抑えながら、細孔直径4μm以上の細孔容積を減少させることができ、インキ着肉性が顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
オフセット印刷用低密度紙の密度の増大を最低限に抑えながら、細孔直径4μm以上の細孔容積を減少させることができ、インキ着肉性が顕著に向上し、高品質のオフセット印刷物が得られる。
前述したように、近年のオフセット印刷用紙は、軽量化、高画質化が求められており、また印刷においてもオフセット化、印刷の高速化、カラー化が急速に進んでおり、印刷適性に対する要求がますます厳しくなっている。印刷適性の中でも、特にインキ着肉性が良いことが求められている。従来から、印刷適性向上のために、表面処理剤として低分子化した澱粉、低分子化した澱粉誘導体、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物が塗布されている。しかしながら極めて低密度の原紙の場合、これらの従来の表面処理剤を塗布しても、十分な印刷適性向上効果、特に良好なインキ着肉性が得られなかった。
本発明者らは、先ず、従来の表面処理剤を塗布した低密度紙をオフセット印刷した場合、印刷適性、特にインキ着肉性が低下する原因を調査した。その結果、従来の表面処理剤を塗布した低密度紙の場合、表面処理剤を塗布しても細孔直径4μm以上の細孔容積は変化しないことを見出した。1例として、紙用嵩高剤を0.6固形分重量%内添して低密度化した、密度0.57g/cm3の低密度紙について、表面処理剤を塗布する前の原紙と、塗布後の紙について、水銀圧入法で測定した細孔分布の結果を図1に示す。図1に示す細孔分布曲線から、表面処理剤を塗布することにより細孔直径4μm未満の細孔容積は若干減少しているが、細孔直径4μm以上の細孔容積は殆ど変化が無いことが解る。
更に、本発明者らは、従来の表面処理剤を塗布した前記と同じ低密度紙について、オフセット印刷前後の細孔分布を調査した。この1例を図2に示す。なお、このオフセット印刷物はインキ着肉が不良であった。図2に示す細孔分布曲線から、オフセット印刷することにより細孔直径4μm以上の細孔容積が大きく減少し、この影響か細孔直径1〜4μmの細孔容積が若干増加しており、細孔直径1μm未満の細孔容積は殆ど変化していないことが解る。この結果から、インキ顔料の多くが原紙の直径4μm以上の細孔に浸透し堆積した結果、細孔直径4μm以上の細孔容積が減少したものと考えられ、紙表面に残存するインキ量が減少したためインキ着肉不良となったことが予想される。
本発明者らは、上記の知見に基づき、低密度紙紙層内部の細孔直径4μm以上の細孔容積を減少できれば低密度紙のインキ着肉性不良の問題を解消できること、解消する具体的な手段として、特定成分の高粘度の高分子物質を表面処理剤として原紙表面に塗布することにより達成できること、を見出し、本発明を完成するに至った。
前記原紙に使用されるパルプは紙のグレードにより適宜選択される。上質紙ではクラフトパルプあるいはサルファイトパルプ等の晒化学パルプが使用され、中質紙では、クラフトパルプあるいはサルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ等の晒あるいは未晒高収率パルプ、脱墨古紙等の古紙パルプ等を挙げることができる。
原紙の抄造は、酸性抄紙法でも中性抄紙法でも良いが、酸性抄紙よりは中性抄紙で抄造した紙のほうが低密度になりやすいため、中性抄紙法で抄造した原紙に本発明を適用するほうが大きな効果を得られるので、中性抄紙が好ましい。
酸性抄紙法の場合、ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、合成サイズ剤等の公知の酸性抄紙用内添サイズ剤を使用できる。酸性抄紙用内添サイズ剤の添加量はパルプに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.05〜1重量%がより好ましい。また、抄紙pHが酸性領域でも安定な填料を使用でき、具体的にはクレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料を単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用できる。紙中の填料率には特に限定は無いが、一般的に5〜40重量%が好ましい。
中性抄紙の場合、公知の内添中性サイズ剤である、アルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤から選ばれる1種類のサイズ剤を使用する。中性ロジンサイズ剤よりは、AKD、ASAの方は紙の嵩が出やすく、好適である。サイズ剤の添加量はパルプに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜1重量%が特に好ましい。少なくとも炭酸カルシウムを填料として含有することが必要であり、他に炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等から選ばれる1種類以上を併用することができる。紙中の填料率は特に限定は無いが、5〜40重量%である。
本発明の低密度紙の抄造において、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性の歩留まり剤、濾水度向上剤、紙力向上剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が内添されてもよい。その他製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
本発明では、原紙の密度は上質紙で密度0.4〜0.6g/cm3、中質紙で密度0.3〜0.5g/m3の中質印刷用紙であることが好ましい。原料処方や抄紙機の操業条件を調整しても、密度0.4g/cm3未満の上質紙あるいは密度0.3g/cm3未満の中質紙を抄造することは困難である。密度0.6g/cm3を超える上質紙原紙あるいは密度0.5g/cm3を超える中質紙原紙でも本発明のインキ着肉性改善の効果は得られるが、密度0.6g/cm3以下の上質紙原紙あるいは密度0.5g/m3以下の中質紙原紙のほうが、インキ着肉性改善の効果が大きく、好ましく適用できる。
本発明においては、上質紙原紙の密度を0.4〜0.6g/cm3に、あるいは中質紙原紙の密度を0.3〜0.5g/m3にする方法として、以下に記載の紙用嵩高剤の内添使用を必須とする。紙用嵩高剤の添加率はパルプ絶乾重量に対して0.1〜2.0固形分重量%が好ましく、0.3〜0.6固形分重量%がより好ましく、0.3〜1.0固形分重量%が更に好ましい。
上質紙原紙あるいは中質紙原紙の密度を上記範囲にする他の方法としては、パルプ種類、パルプ濾水度、内添填料の種類及び量等の原料処方、ウェットプレス圧、カレンダー圧等の抄紙条件を適宜調整する。この原料処方は抄造する紙の種類や銘柄により決まる。ウェットプレス圧は各プレスで20〜100kg/cm、カレンダー線圧は0〜100kg/cmの通常操業の設定範囲内で調整されるが、原紙を低密度にする観点から、ウェットプレス圧は抄造時の断紙が起こらない範囲内で極力低線圧が好ましく、カレンダー線圧は紙の平滑性を維持できる範囲内で極力低線圧またはバイパスが好ましく、また、カレンダー処理をする場合には、通常の金属ロールから成るカレンダーよりもソフトキャレンダーを用いたほうが好ましい。
すなわち、本発明においては紙用嵩高剤の内添使用を必須とし、その他に、パルプ種類、パルプ濾水度、内添填料の種類及び量等の原料処方、ウェットプレス圧、カレンダー圧等の抄紙条件を組み合わせて、上質紙原紙の密度を0.4〜0.6g/cm3に、中質紙原紙の密度を0.3〜0.5g/m3にする。
本発明で使用する紙用嵩高剤について説明する。嵩高剤は紙料へ内添される。この嵩高剤を具体的に化合物で例示すると、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミンなどが挙げられる。
この嵩高剤を特許文献で例示すると、次の通りである。特許第3128248号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3453505号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3482336号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3537692号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3482337号公報記載の紙用嵩高剤、特許第2971447号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3283248号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特許第3387033号公報記載の乾燥効率向上剤、特許第3387036号公報記載の平滑性及び透気性向上剤、特許第3517200号公報記載の抄紙用添加剤、特開2001-248100号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特開2003-336196号公報記載の紙質向上剤、特開2000-273792号公報記載の紙用不透明化剤、特開2002-129497号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-275786号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-294586号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-294594号公報記載の嵩高剤、特開2003-96692号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-96693号記載の嵩高剤、特開2003-96694号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2003-96695号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2003-171897号公報記載の紙厚向上剤、特開2003-247197号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253588号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253589号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253590号公報の紙用嵩高剤、特開2003-328297号公報記載の紙用低密度化剤、特開2003-313799号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-11058号公報記載の抄紙用添加剤、特開2004-27401号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-115935号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-76244号公報記載の紙用嵩高剤、特開2004-176213号公報記載の紙用改質剤、特許第3521422号公報記載の紙用柔軟化剤、特開2002-275792号公報記載の嵩高柔軟化剤、特開2002-275792号公報記載の製紙用嵩高サイズ剤、特開2003-286692号公報記載の紙用嵩高剤、特開2004-270074号公報記載の製紙用嵩高剤組成物、特開2004-285490号公報記載の製紙用嵩高剤。
本発明でいう紙用嵩高剤とは、紙料に内添して抄紙した場合、紙の密度を低下させることができる、分子内に疎水基と親水性基の両方を有する化合物の総称である。その呼称は前記特許文献のように嵩高剤以外に、抄紙用紙質向上剤、乾燥効率向上剤、平滑性及び透気性向上剤、抄紙用添加剤、紙質向上剤、紙用不透明化剤、古紙再生用添加剤、紙厚向上剤、紙用低密度化剤、紙用改質剤、紙用柔軟化剤、嵩高柔軟化剤、製紙用嵩高サイズ剤など様々である。
原紙を抄造する抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できる。
本発明で表面処理剤として使用する高分子物質は、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カルボキシメチルセルロース、高分子量澱粉類の公知の高分子物質であるが、その中でも特に下記範囲にある高粘度のものである。アルギン酸ナトリウム、キトサン、カルボキシメチルセルロースの場合、濃度1%、温度30℃の条件で測定したB型粘度が500〜5000cpsの高粘度のものであり、500〜4,000cpsが好ましく、500〜3,000cpsがより好ましい。高分子量澱粉類の場合、濃度5%、温度30℃の条件で測定したB型粘度が500〜5000cpsの高粘度のものであり、500〜4,000cpsが好ましく、500〜3,000cpsがより好ましい。これらは、公知のアルギン酸ナトリウム、キトサン、カルボキシメチルセルロース、高分子量澱粉類の中から選ばれる。アルギン酸ナトリウム、キトサン、カルボキシメチルセルロースの場合、濃度1%、温度30℃の条件で測定したB型粘度が500cps未満であると、表面処理剤が紙層内部へ深く浸透し、原紙表面を被覆できないため、細孔直径4μm以上の細孔容積の減少には至らなく、インキ着肉性が改善されない。一方、5000cps以上では、粘度が高すぎるため、表面処理剤の塗工ムラが著しく、均一な印刷適性を有する低密度紙を得ることが困難である。同様に、高分子量澱粉類の場合、濃度5%、温度30℃の条件で測定したB型粘度が500cps未満であると、表面処理剤が紙層内部へ深く浸透し、原紙表面を被覆できないため、細孔直径4μm以上の細孔容積の減少には至らなく、インキ着肉性が改善されない。一方、5000cps以上では、粘度が高すぎるため、表面処理剤の塗工ムラが著しく、均一な印刷適性を有する低密度紙を得ることが困難である。
本発明で使用する高分子量澱粉類とは、高分子量の澱粉、高分子量の澱粉誘導体であり、濃度5%、温度30℃の条件で測定したB型粘度が500〜5,000cpsであれば良い。澱粉の原料には限定はないが、高分子量、言い換えれば高粘度ほど本発明のインキ着肉性の改善効果が大きいので、コーン、小麦、米よりはタピオカ、ワキシーメイズ、ポテトが好ましく使用され、生澱粉や、生澱粉を酵素変性、酸化変性、熱化学変性し、粘度を500〜5,000cpsの範囲にした変性澱粉を使用することもできる。澱粉誘導体は、前記各種の原料澱粉をエーテル化変性またはエステル化変性した化工澱粉であり、酢酸エステル化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、リン酸澱粉、カチオン化澱粉等の公知の化工澱粉を使用でき、その置換度は特に限定は無い。
また、本発明における高粘度の高分子物質の塗布量としては、両面当たり固形分重量で0.05〜3g/m2が好ましく、0.1〜1.0g/m2がより好ましい。本発明で使用する高粘度の高分子物質を塗布する場合、このように低塗布量でインキ着肉性を向上させることができる。塗布量が0.05g/m2以下の場合、本発明の効果であるインキ着肉性の改善が十分ではなく、3g/m2以上の場合、低密度紙の表面粘着性が高くなり、オフセット印刷時、紙の走行性に問題が発生する。更に塗布して得られる低密度紙の密度が増加するという問題もある。表面処理剤を原紙へ塗布する際の固形分濃度としては、0.5〜10重量%が好ましい。
本発明で用いる表面処理剤中には、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カルボキシメチルセルロース、高分子量澱粉類の高粘度の高分子物質以外に、本発明のインキ着肉性改善効果が損なわれない範囲内で、酸化澱粉、酵素変性澱粉等の低分子化した澱粉類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、ポリアミドエピクロロヒドリン等の水溶性高分子物質を含有しても良く、また、表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、染料、アルカリ物質等の添加物を含有させてもよい。更にサイズ剤として、スチレン系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ロジン系サイズ剤等の表面サイズ剤が含有されていても良い。
表面処理剤を原紙に塗布するための装置としては、本発明の高粘度の高分子物質を塗布できる装置であれば良く、例えば、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、及びカーテンコーター、スプレー塗工機を用いることができる。表面処理剤を均一に塗布すること、および塗布時のボイリングやミスティング等が無く操業性が良いこと、等の観点から、この中でもコータータイプが好ましい。
以上のようにして製造されるオフセット印刷用低密度紙における細孔直径4μm以上の細孔容積は、上質紙の場合は0.05〜0.11ml/gが好ましい。0.11ml/gを超えるとオフセット印刷時、インキが浸透しやすく、インキ着肉性が悪化する。0.05ml/g未満とすることは困難である。中質紙の場合は0.05〜0.14ml/gとすることが好ましい。0.14ml/gを超えるとオフセット印刷時、インキが浸透しやすく、インキ着肉性が悪化する。0.05ml/g未満とすることは困難である。
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において%とあるのは、特に断りのない限り、固形分重量%を意味し、また部とあるのは重量部を意味する。また填料、薬品の添加量は、乾燥パルプ重量に対する固形分重量%を示す。
紙の細孔容積の測定は下記の(1)で行い、実施例1〜6、比較例1のインキ着肉性の評価は下記の(2)の方法で、また実施例7〜12、比較例2のインキ着肉性の評価は下記の(3)の方法で行った。
(1)紙の細孔容積
水銀圧入方式であるPoroSizer9320(Micrometrics社製)を用いて、Low Pressure 0.9〜25.0psia、High Pressure 0〜30000psiaの条件で測定した。
(2)KRK印刷機(熊谷理機株式会社製)を用い、印刷速度1.0m/s、印圧140kgf/3.8cmの条件で、枚用オフセット印刷用インキ(レオエコーL:東洋インキ株式会社製)を使用し、印刷を行い、マクベス濃度計にてインキ濃度を測定した。数値が大きい程、着肉性が良好であることを示す。
(3)RI印刷機(石川島産業機械株式会社製)を用い、枚用オフセット印刷用インキ(レオエコーL:東洋インキ株式会社製)を使用し印刷した。マクベス濃度計にてインキ濃度を測定した。数値が大きい程、着肉性が良好であることを示す。
[実施例1]
広葉樹クラフトパルプ100部をレファイナーで離解してカナダ標準フリーネス(以下、CSFと記述する)を350mlに調整したパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを絶乾パルプ当たり30固形分重量%、紙用嵩高剤(商品名:KB-110、花王株式会社製)を0.6固形分重量%添加した後、ツインワイヤー型抄紙機により抄紙を行い、プレス圧は1番プレスが60kg/cm、2番プレスが60kg/cm、3番プレスが70kg/cmで処理し、カレンダー圧は0kg/cmで処理を行い、密度が0.57g/cm3で、4μm以上の細孔容積が0.12ml/gである坪量80g/m2の上質紙用原紙を得た。表面処理剤として、固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が1,950cpsであるアルギンナトリウム(商品名:ケルギンHV、三晶株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.0%の水溶液を得た。この表面処理剤を上質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.8g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[実施例2]
表面処理剤を固形分濃度0.56%のアルギンナトリウム(商品名:ケルギンHV、三晶株式会社製)水溶液とし、両面塗布量を固形分重量で0.45g/m2にした以外は、実施例1と同様の条件で行い、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[実施例3]
表面処理剤を固形分濃度0.38%のアルギンナトリウム(商品名:ケルギンHV、三晶株式会社製)水溶液とし、両面塗布量を固形分重量で0.30g/m2にした以外は、実施例1と同様の条件で行い、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[実施例4]
固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が1,560cpsであるキトサン(商品名:キトサンM:ケミカ株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.0%の水溶液を得た。この表面処理剤を実施例1と同じ上質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.8g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[実施例5]
表面処理剤を固形分濃度0.56%のキトサン(商品名:キトサンM:ケミカ株式会社製)水溶液とし、両面塗布量を固形分重量で0.45g/m2にした以外は、実施例1と同様の条件で行い、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[実施例6]
表面処理剤を固形分濃度0.38%のキトサン(商品名:キトサンM:ケミカ株式会社製)水溶液とし、両面塗布量を固形分重量で0.30g/m2にした以外は、実施例1と同様の条件で行い、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[比較例1]
固形分濃度5.0%で30℃で測定したB型粘度が10cpsである酸化澱粉(商品名:SK‐20、日本コーンスターチ株式会社製)を糊化して固形分濃度3.8%の糊液を得た。この表面処理剤を実施例1と同じ上質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で3.00g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[比較例2]
固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が480cpsであるアルギン酸ナトリウム(商品名:ケルギンMV、三晶株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.0%の水溶液を得た。この表面処理剤を実施例1と同じ上質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で1.0g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
[比較例3]
固形分濃度1.0で30℃で測定したB型粘度が360cpsであるキトサン(ケミカ株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.0%の水溶液を得た。この表面処理剤を実施例1と同じ上質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で1.1g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表1に示した。
Figure 0004738023
表1の結果から、実施例1〜6のオフセット印刷用上質紙の場合、細孔直径4μm以上の細孔容積は0.06〜0.11ml/gであり、原紙の0.12ml/gに比べ細孔容積が減少している。一方、低粘度の酸化澱粉を塗布した比較例1、低粘度のアルギン酸ナトリウムを塗布した比較例2、低粘度のキトサンを塗布した比較例3の場合、細孔直径4μm以上の細孔容積は0.12ml/gであり、原紙と同じである。実施例1〜6では、細孔直径4μm以上の細孔容積が減少し、インキ着肉性が大きく改善され、しかも紙密度の増加が小さい。比較例1〜3では、細孔直径4μm以上の細孔容積の減少が認められず、インキ着肉性が不良で、しかも紙密度の増加が大きいことが解る。
[実施例7]
広葉樹クラフトパルプ12部、針葉樹クラフトパルプ8部、針葉樹機械パルプ40部、広葉樹機械パルプ36部、古紙パルプ4部をレファイナーで離解してCSF250mlに調整したパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを絶乾パルプ当たり10固形分重量%、紙用嵩高剤(商品名:KB-115、花王株式会社製)を0.8固形分重量%添加した後、ツインワイヤー型抄紙機により抄紙を行い、密度が0.47g/cm3で、4μm以上の細孔容積が0.16ml/gである坪量82g/m2の中質紙用原紙を得た。表面処理剤として、固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が1,950cpsであるアルギンナトリウム(商品名:ケルギンHV、三晶株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.0%の水溶液を得た。この表面処理剤を中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.10g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[実施例8]
表面処理剤を固形分濃度0.56%のアルギンナトリウム(商品名:ケルギンHV、三晶株式会社製)水溶液とし、両面塗布量を固形分重量で0.05g/m2にした以外は、実施例7と同様の条件で行い、オフセット印刷用上質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[実施例9]
固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が830cpsであるカルボキシメチルセルロース(商品名:F10LC、日本製紙ケミカル株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.3%の水溶液を得た。この表面処理剤を実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.10g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[実施例10]
表面処理剤を固形分濃度0.60%のカルボキシメチルセルロース(商品名:F10LC、日本製紙ケミカル株式会社製)水溶液とし、両面塗布量を固形分重量で0.05g/m2にした以外は、実施例9と同様の条件で行い、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[実施例11]
固形分濃度5.0%で30℃で測定したB型粘度が980cpsである酢酸エステル化澱粉(長春大成株式会社製)を糊化して固形分濃度4.20%の糊液を得た。この表面処理剤を実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.25g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[実施例12]
表面処理剤を固形分濃度2.00%の酢酸エステル化澱粉(長春大成株式会社製)水溶液とし、両面塗布量を固形分重量で0.19g/m2にした以外は、実施例11と同様の条件で行い、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[実施例13]
実施例11で用いた酢酸エステル化澱粉(長春大成株式会社製)の5.5%糊液を調製し、これにα−アミラーゼを添加し酵素処理を行った。酵素処理後の粘度は、固形分濃度5.0%で30℃で測定したB型粘度が680cpsであった。これを水で希釈し、固形分濃度4.2の表面処理剤とし、実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.20g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[実施例14]
実施例11で用いた酢酸エステル化澱粉(長春大成株式会社製)の5.5%糊液を調製し、これにα−アミラーゼを添加し酵素処理を行った。酵素処理後の粘度は、固形分濃度5.0%で30℃で測定したB型粘度が550cpsであった。これを水で希釈し、固形分濃度4.2の表面処理剤とし、実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.15g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[比較例4]
固形分濃度5.0%で30℃で測定したB型粘度が10cpsである酸化澱粉(商品名:SK‐20、日本コーンスターチ株式会社製)を水に溶解して固形分濃度11.4%の水溶液を得た。この表面処理剤を実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.66g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[比較例5]
固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が480cpsであるアルギン酸ナトリウム(商品名:ケルギンMV、三晶株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.5%の水溶液を得た。この表面処理剤を実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.2g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[比較例6]
固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が360cpsであるカルボキシメチルセルロース(商品名:F15MC、日本製紙ケミカル株式会社製)を水に溶解して固形分濃度1.5%の水溶液を得た。この表面処理剤を実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.13g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
[比較例7]
実施例11で用いた酢酸エステル化澱粉(長春大成株式会社製)の5.5%糊液を調製し、これにα−アミラーゼを添加し酵素処理を行った。酵素処理後の粘度は、固形分濃度5.0%で30℃で測定したB型粘度が300cpsであった。これを水で希釈し、固形分濃度4.2%の表面処理剤とし、実施例7と同じ中質紙用原紙の両面にバーコーターを使用し、塗布量を固形分重量で0.21g/m2となるように塗布した後、乾燥し、オフセット印刷用中質紙を得た。紙の細孔容積、インキ着肉性の結果を表2に示した。
Figure 0004738023
表2の結果から、実施例7〜14のオフセット印刷用中質紙の場合、細孔直径4μm以上の細孔容積は0.11〜0.14ml/gであり、原紙の0.16ml/gに比べ細孔容積が減少している。一方、低粘度の酸化澱粉を塗布した比較例4、低粘度のアルギン酸ナトリウムを塗布した比較例5、低粘度のカルボキシメチルセルロースを塗布した比較例6、低粘度の酢酸エステル化澱粉を塗布した比較例7の場合、細孔直径4μm以上の細孔容積は0.16ml/gであり、原紙と同じである。実施例7〜14では、細孔直径4μm以上の細孔容積が減少し、インキ着肉性が改善され、しかも紙密度の増加が小さい。比較例4〜7では、細孔直径4μm以上の細孔容積の減少が認められず、インキ着肉性が不良で、しかも紙密度の増加が大きいことが解る。
実施例に供した密度0.57g/cm3のオフセット印刷用上質紙原紙と、該原紙表面に酸化澱粉SK−20を両面で3.0g/m2塗布したオフセット印刷用上質紙(比較例1)について、細孔分布の測定結果を示すグラフである。 比較例1のオフセット印刷用上質紙と、これにオフセット印刷を施したオフセット印刷物について、細孔分布の測定結果を示すグラフである。 実施例に供した密度0.57g/cm3のオフセット印刷用上質紙原紙と、該原紙表面に固形分濃度1.0%で30℃で測定したB型粘度が1,950cpsであるアルギンナトリウム(商品名:ケルギンHV、三晶株式会社製)を両面で0.8g/m2塗布したオフセット印刷用上質紙(実施例1)について、細孔分布の測定結果を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 固形分濃度1%、30℃で測定したB型粘度が500〜5,000cpsである、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カルボキシメチルセルロースの群から選ばれる少なくとも1種類の水溶性高分子物質を含有する表面処理剤を、紙用嵩高剤を含有する原紙に塗布、乾燥して得られることを特徴とするオフセット印刷用低密度紙。
  2. 水溶性高分子物質の塗布量が両面あたり、0.05〜3.00g/m2であることを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用低密度紙。
  3. 水溶性高分子物質として、固形分濃度5%、30℃で測定したB型粘度が500〜5,000cpsである高分子量澱粉の群から選ばれる少なくとも1種類を含有する表面処理剤を、塗布量が両面あたり0.1〜1.0g/m2となるように、紙用嵩高剤を含有する密度0.4〜0.6g/cm 3 の上質原紙に塗布、乾燥して得られた、水銀圧入法で測定した細孔直径4μm以上の細孔容積が0.05〜0.11ml/gであることを特徴とするオフセット印刷用低密度紙。
  4. 水溶性高分子物質として、固形分濃度5%、30℃で測定したB型粘度が500〜5,000cpsである高分子量澱粉の群から選ばれる少なくとも1種類を含有する表面処理剤を、塗布量が両面あたり0.1〜1.0g/m 2 となるように、紙用嵩高剤を含有する密度0.3〜0.5g/cm 3 の中質原紙に塗布、乾燥して得られた、水銀圧入法で測定した細孔直径4μm以上の細孔容積が0.05〜0.14ml/gであることを特徴とするオフセット印刷用低密度紙。
  5. 前記表面処理剤を塗布する原紙が密度0.4〜0.6g/cm 3 の上質原紙である請求項1または2に記載のオフセット印刷用低密度紙。
  6. 前記オフセット印刷用低密度紙の、水銀圧入法で測定した細孔直径4μm以上の細孔容積が0.05〜0.11ml/gであることを特徴とする請求項に記載のオフセット印刷用低密度紙。
  7. 前記表面処理剤を塗布する原紙が密度0.3〜0.5g/cm3の中質原紙であることを特徴とする請求項1または2に記載のオフセット印刷用低密度紙。
  8. 前記オフセット印刷用低密度紙の、水銀圧入法で測定した細孔直径4μm以上の細孔容積が0.05〜0.14ml/gであることを特徴とする請求項に記載のオフセット印刷用低密度紙。
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