JP4736388B2 - 有機無機ハイブリッドガラス状物質とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ゾルゲル法に用いられる原料を出発原料とする有機無機ハイブリッドガラス状物質とその製造方法に関する。
透明かつ低温で軟化する材料は種々の用途があり、有機高分子材料や低融点ガラスなどが有名である。高分子材料と低融点ガラスでは、その諸物性が異なるので、その使用できる環境に応じて使い分けられてきた。すなわち、耐熱性や気密性能が優先される場合にはガラスが、耐熱性や気密性能以外の例えば低温加工性や有機材料との混合特性が優先されるような分野では有機高分子材料が使われてきた。しかし、昨今の技術進歩に伴い、耐熱性を持ち、かつより低温で軟化する材料や有機物を含有できるような材料の開発が期待されている。
このため、有機高分子材料に耐熱性や気密性能を持たせることや、より軟化温度を低温化させたいわゆる低融点ガラスの開発が積極的になされている。特に、電子部品の封着、被覆など耐熱性や気密性能が要求される電子材料分野においては、PbO-SiO2-B2O3系あるいはPbO-P2O5-SnF2系ガラスなどに代表される低融点ガラスが利用されている。また、低融点ガラスは高温溶融ガラスに比べ、その成形加工に要するエネルギーひいてはコストを抑えられるため、エネルギー的にも有利である。さらに、光機能性能の有機物を破壊しない温度で溶融することが可能ならば、光機能性有機物含有(非線形)光学材料のホストとして光スイッチなどの光情報通信デバイスなどへの応用が期待される。このように、一般的な溶融ガラスの特徴である耐熱性や気密性能を有し、かつ高分子材料のように種々の特性を得やすい材料は多くの分野で要望され、特に低融点ガラスにその期待が集まっている。さらに、有機無機ハイブリッドガラスも低融点ガラスの一つとして着目されている。
低融点ガラスでは、例えば、Sn-Pb-P-F-O系ガラス(例えば、非特許文献1参照)に代表されるTickガラスが有名であり、100℃前後にガラス転移点を持ち、しかも優れた耐水性を示すので、一部の市場では使われてきている。しかしながら、この低融点ガラスはその主要構成成分に鉛を含むので、昨今の環境保護の流れから代替材料に置き換える必要性がでてきている。さらには、Tickガラスに代表される低融点ガラスに対する要求特性も大きく変化していると同時に、その要望も多様化している。
一般的なガラスの製造方法としては、溶融法と低温合成法が知られている。溶融法はガラス原料を直接加熱することにより溶融してガラス化させる方法で、多くのガラスがこの方法で製造されており、低融点ガラスもこの方法で製造されている。しかし、低融点ガラスの場合、融点を下げるために、鉛やアルカリ、ビスマスなどの含有を必要とする等、構成できるガラス組成には多くの制限がある。
一方、非晶質バルクの低温合成法としては、ゾルゲル法、液相反応法及び無水酸塩基反応法が考えられている。ゾルゲル法は金属アルコキシドなどを加水分解−重縮合し、500℃を超える温度(例えば、非特許文献2参照)、通常は700〜1600℃で熱処理することにより、バルク体を得ることができる。しかし、ゾルゲル法で作製したバルク体を実用材料としてみた場合、原料溶液の調製時に導入するアルコールなど有機物の分解・燃焼、又は有機物の分解ガス若しくは水の加熱過程における蒸発放出などのために多孔質となることが多く、耐熱性や気密性能には問題があった。このように、ゾルゲル法によるバルク製造ではまだ多くの問題が残っており、特に低融点ガラスをゾルゲル法で生産することはなされていない。
さらに、液相反応法は収率が低いために生産性が低いという問題の他、反応系にフッ酸などを用いることや薄膜合成が限度とされていることなどから、現実的にバルク体を合成する手法としては不可能に近い状態にある。
無水酸塩基反応法は、近年開発された手法であり、低融点ガラスの一つである有機無機ハイブリッドガラスの製作も可能(例えば、非特許文献3参照)であるが、まだ開発途上であり、すべての低融点ガラスが製作できているわけではない。
したがって、多くの低融点ガラスの製造は、低温合成法ではなく、溶融法により行われてきた。このため、ガラス原料を溶融する都合上からそのガラス組成は制限され、生産できる低融点ガラスとなると、その種類は極めて限定されていた。
公知技術をみれば、ゾルゲル法による石英ガラス繊維の製造方法(例えば、特許文献1参照)が、ゾルゲル法による酸化チタン繊維の製造方法(例えば、特許文献2参照)が、さらにはゾルゲル法による半導体ドープマトリックスの製造方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。また、溶融法によるP25−TeO2−ZnF2系低融点ガラスが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開昭62-297236号公報 特開昭62-223323号公報 特開平1-183438号公報 特開平7-126035号公報 P.A.Tick, Physics and Chemistry of Glasses, vol.25 No.6, pp.149-154(1984). 神谷寛一、作花済夫、田代憲子,窯業協会誌,pp.614−618,84(1976). 高橋雅英、新居田治樹、横尾俊信,New Glass, pp.8-13,17(2002).
多くの低軟化点材料、特に低融点ガラスの製造は、溶融法により行われてきた。このため、そのガラス組成には多くの制限があり、ガラス原料を溶融する都合上、生産できる低融点ガラスは極めて限られていた。
一方、低温合成法のゾルゲル法で製造した場合、緻密化のために500℃以上の処理温度が必要となるが、その温度で処理すると低融点ガラスとはならないので、結果として耐熱性や気密性能の良好な低融点ガラスを得ることはできなかった。特に、電子材料分野では、厳しい耐熱性や気密性能と低融点化に対応する低融点ガラスはなかった。さらに、耐熱性や気密性能を満足するガラス以外の低融点材料もこれまで見出されていない。
特開昭62-297236号公報、特開昭62-223323号公報及び特開平1-183438号公報で開示された方法は、高温溶融でのみ対応可能であった材料生産を低温でも可能としたという功績はあるが、低融点ガラスを製造することはできない。また、ゾルゲル処理後には、500℃以上での処理も必要である。一方、特開平7-126035号公報の方法では、転移点が3百数十℃のガラスを作製できることが開示されている。しかし、それ以下の転移点をもつガラスを鉛やビスマスなどを始めとする低融点化材料なしで製作した例はこれまでなかった。
すなわち、これまでの低融点ガラスの製造方法では、厳しい耐熱性や気密性能と低融点特性を同時に満たすガラスを作ることはできなかった。また、ガラス以外の材料でもこのような特性を満たすものはなかった。
最近では、これらの問題を解決するものとして、有機―無機ハイブリッド材料が注目されている。有機―無機ハイブリッド材料は有機部分をその構造中に含有しており無機材料に比べ遙かに大量かつ均一に有機分子を導入できるという特徴を持つ。しかし、有機部分を材料中に持つということは、有機部の染み出しなど長期安定性にかけるという問題点にもなる。さらに、材料に長期安定性を持たせるために、高温処理を行うことが多いが、これは機能性有機分子、そして有機置換基の分解温度以上であるため、有機部の消失がおこりハイブリッド材料の特性が失われてしまうという問題点を有していた。
本発明は、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物から選ばれる少なくとも1つ以上を出発原料として有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造する場合において、出発原料を混合し、作成したゲルを有機溶媒に溶解後アルカリ水溶液を加え、有機層と水層に分離し、この有機層を乾燥後溶融することによってシラノール基が残存しない物質を得ることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
また、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物から選ばれる少なくとも1つ以上を出発原料として有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造する場合において、出発原料を混合し、加熱反応工程及び熟成工程を経て、作成した前駆体ガラスを有機溶媒に溶解後アルカリ水溶液を加え、有機層と水層に分離し、この有機層を乾燥後溶融することによってシラノール基が残存しない物質を得ることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
また、原料にフェニル基を持つ物質が少なくとも1種類含まれることを特徴とする上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
さらに、上記に記載の方法で製造された有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
さらにまた、フェニル基を含んでいる上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
本発明によれば、これまで製作することが極めて難しいとされてきた耐熱性や気密性能と低融点特性を同時に満たし、かつ長期安定性を持つ有機無機ハイブリッドガラス状物質を、得ることが可能である。
本発明は、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物から選ばれる少なくとも1つ以上を出発原料として有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造する場合において、出発原料を混合し、作成したゲルを有機溶媒に溶解後アルカリ水溶液を加え、有機層と水層に分離し、この有機層を乾燥後溶融することによってシラノール基が残存しない物質を得ることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
本発明の有機無機ハイブリッドガラス状物質を製作する手法は、従来のゾルゲル法と称されている方法とは基本的に異なるものである。すなわち、従来のゾルゲル法では、出発原料を混合し、ゲル化するところまでは同様であるが、そのゲルを500℃以上の高温で焼成することによってガラス状物質を得る。焼成しない場合、あるいは焼成温度が低い場合、このゲルは長期安定性に欠け、乾燥して多くの場合粉々になってしまう。
本発明者らが提案している新しい方法では、ゲルを有機溶媒に再溶解し、さらにアルカリ水溶液を加え、有機層と水層に分離し、この有機層を乾燥後溶融する。従来のゾルゲル法でゲルを焼成する必要があったのは、残留有機物、水分及び-OH基を除き、最終的なガラス状物質を安定化することにあった。しかし、このように有機物や水分などを完全に除くと、通常のガラスしか得られない。かといって、有機物や水分及び-OH基が残っていると、当然のことながら耐熱性や長期安定性に欠ける。
これに対し、本発明ではゲルを有機溶媒に溶解してアルカリ水溶液を加える。アルカリ成分により、すでに一部形成されていたネットワークを一旦切り離し、再び結合させることで反応性の高いシラノール基を残存させず、ネットワーク化させることが出来る。さらに、有機層と水性層に分離することで、従来のゾルゲル法で問題となっていた原料の残留物である遊離した有機物や水を取り除くことが出来る。この後分離された有機層には、有機無機ハイブリッドガラス状物質の前駆体と、さらに少量の遊離した有機物や水を含むが、同前駆体には反応性の高いシラノール基は残存しておらず、ネットワーク化も進んでいるので、それほど高くない温度でこれらを分離することが可能である。
また、出発原料を混合し、加熱反応工程及び熟成工程を経て、作成した前駆体ガラスを有機溶媒に溶解させてアルカリ水溶液を加え、有機層と水性層に分離し、この有機層を乾燥後溶融することによってシラノール基が残存しない物質を得ることも出来る。
ここでいう加熱反応工程とは、40℃以上100℃以下の温度で行われるもので、原料間の反応、主に脱水・重縮合により、ネットワーク化させることである。
また、熟成工程とは、30℃以上400℃以下の温度で行われるものであり、ネットワークに含まれない、遊離した有機物や水分などを取り除く工程である。
これにより得られた前駆体物質を有機溶媒に溶解してアルカリ水溶液を加える。これにより、すでに一部形成されていたネットワークを一旦切り離し、再び結合させると反応性の高いシラノール基を残存させず、ネットワーク化させることが出来る。さらに、有機層と水性層に分離することで、従来のゾルゲル法で問題となっていた原料の残留物である遊離した有機物や水を取り除くことが出来る。この後分離された有機層には、有機無機ハイブリッドガラス状物質の前駆体と、さらに少量の遊離した有機物や水を含むが、同前駆体には反応性の高いシラノール基は残存しておらず、ネットワーク化も進んでいるので、それほど高くない温度でこれらを分離することが可能である。
出発原料は一般的なゾルゲル法で使用される金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物であり、先ずゾルゲル法によりゾルを製作することが好ましい。この出発原料は、上記以外でも、ゾルゲル法で使われているものであれば問題はなく、上記の出発原料に限定されない。但し、このゾルの作製は重要な最初の工程である。
なお、出発原料にはフェニル基を持つ上記の原料であることが望ましい。フェニル基を含むと、ゲル及び前駆体ガラスを有機溶媒に再溶解させやすいからである。また、上記加熱反応工程及び熟成工程が先に記載の温度範囲に入りやすくなる。
上記で、ゲル及び前駆体ガラスを溶解させる有機溶媒としては、特に限定するものではなく、アルコール、エーテルなどの一般的な有機溶媒が使用できるが、アルカリ水溶液を加える必要性から、水溶性のものが特に望ましい。
また、上記アルカリ水溶液としては、特に限定するものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液や、アンモニア水等が使用可能である。
さらに、最終的に得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質はフェニル基を含んでいることが好ましい。フェニル基を含んだ有機無機ハイブリッドガラス状物質は、非常に安定化しているからである。
以下、実施例に基づき、述べる。
(実施例1)
出発原料には金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)とエタノールの混合溶液を用いた。容器中でフェニルトリエトキシシランとエタノールの混合溶液に水、エタノール、酸性触媒として塩酸を加え、室温で3時間撹拌した後、ジエトキシジフェニルシラン(Ph2Si(OEt)2)とエタノールの混合溶液を滴下し、さらに室温で3時間撹拌した後塩基性触媒としてアンモニアを滴下し、ゲル化するまで室温で撹拌した。湿潤ゲルを70℃で1日、110℃で1日乾燥し、乾燥ゲルを得た。この乾燥ゲルをジエチルエーテルに溶かし、0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で2時間撹拌した。分液ロートを用いて撹拌後の溶液をジエチルエーテル層と水層に分離した。このジエチルエーテル層を純水で洗浄、分液、室温で1晩乾燥後、200℃で溶融し透明状物質を得た。
10℃/minで昇温したTMA測定での収縮量変化から軟化挙動開始点を求め、その開始温度を軟化温度としたところ、図1に実線で示すように、この物質の軟化温度は106℃であった。さらに、この透明状物質を200℃で長時間加熱したところ軟化温度は変化しなかった。すなわちこの透明状物質は熱的に極めて安定であった。
Nicolet社の赤外吸収スペクトロメーターAVATOR360型、及び図2に示すようにJEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型で測定したスペクトルからこの透明状物質にシラノール基が存在しないことを確認した。すなわちこの透明状物質には反応活性なシラノール基が存在せず化学的安定性に優れていた。また、不規則網目構造を有していたことから、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中に有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られたガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
(実施例2)
出発原料には金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)とエタノールの混合溶液を用いた。容器中でフェニルトリエトキシシランとエタノールの混合溶液に水、エタノール、触媒である塩酸を加え、60℃で1時間撹拌した後、ジエトキシジフェニルシラン(Ph2Si(OEt)2)とエタノールの混合溶液を滴下し、さらに60℃で2時間撹拌した。その後150℃で5時間撹拌し、ゾル濃縮法による淡黄色透明な前駆体ガラスを得た。この前駆体ガラスをジエチルエーテルに溶かし、0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で2時間撹拌した。分液ロートを用いて撹拌後の溶液をジエチルエーテル層と水層に分離した。このジエチルエーテル層を純水で洗浄、分液、室温で1晩乾燥後、150℃で溶融し無色透明状物質を得た。
10℃/minで昇温したTMA測定での収縮量変化から軟化挙動開始点を求め、その開始温度を軟化温度としたところ、この物質の軟化温度は73℃であった。さらに、この透明状物質を200℃で長時間加熱したところ軟化温度は変化しなかった。すなわちこの透明状物質は熱的に極めて安定であった。
Nicolet社の赤外吸収スペクトロメーターAVATOR360型、及びJEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でこの透明状物質にシラノール基が存在しないことを確認した。すなわちこの透明状物質には反応活性なシラノール基が存在せず化学的安定性に優れていた。また、不規則網目構造を有していたことから、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
図3に示すように、日立U−3500形自記分光光度計により有機無機ハイブリッドガラス状物質の300〜800nmの波長域における透過率曲線を測定した。実施例2と書かれた実線のデータがこれにあたる。この結果からも明らかなように、可視領域でみられた着色、特に従来みられた青色領域での吸収はないことが分かる。なお、波長300〜800nmにおける平均透過率は87.8%であった。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中に有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られたガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
(比較例1)
実施例1とほぼ同様の原料を用い、同様の合成条件で乾燥ゲルを得た。この乾燥ゲルをジエチルエーテルに溶かし、純水を加え、室温で2時間撹拌した。分液ロートを用いて撹拌後の溶液をジエチルエーテル層と水層に分離した。このジエチルエーテル層を純水で洗浄、分液、室温で1晩乾燥後、200℃で溶融し無色透明状物質を得た。
10℃/minで昇温したTMA測定での収縮量変化から軟化挙動開始点を求め、その開始温度を軟化温度としたところ、図1に破線で示すように、この物質の軟化温度は120℃であった。さらに、この透明状物質を200℃で長時間加熱したところ軟化温度は加熱時間に伴い上昇した。すなわちこの透明状物質は熱的に不安定であった。
Nicolet社の赤外吸収スペクトロメーターAVATOR360型、及び図2に示すようにJEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でこの透明状物質にシラノール基が存在することを確認した。すなわちこの透明状物質には反応活性なシラノール基が存在し化学的に不安定であった。また、不規則網目構造を有していたことから、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中に有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しが確認され、気密性能を満足していないことが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、刻々と変化し続け、耐熱性に問題があることが確認された。
(比較例2)
実施例2とほぼ同様の原料を用い、同様の合成条件で淡黄色透明な前駆体ガラスを得た。この前駆体ガラスをジエチルエーテルに溶かし、純水を加え、室温で2時間撹拌した。分液ロートを用いて撹拌後の溶液をジエチルエーテル層と水層に分離した。このジエチルエーテル層を純水で洗浄、分液、室温で1晩乾燥後、150℃で溶融し淡黄色透明状物質を得た。
10℃/minで昇温したTMA測定での収縮量変化から軟化挙動開始点を求め、その開始温度を軟化温度としたところ、この物質の軟化温度は83℃であった。さらに、この透明状物質を200℃で長時間加熱したところ軟化温度は加熱時間に伴い上昇した。すなわちこの透明状物質は熱的に不安定であった。
Nicolet社の赤外吸収スペクトロメーターAVATOR360型、及びJEOL社の磁気共鳴測定装置CMX-400型でこの透明状物質にシラノール基が存在することを確認した。すなわちこの透明状物質には反応活性なシラノール基が存在し化学的に不安定であった。また、不規則網目構造を有していたことから、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
図3に示すように、日立U−3500形自記分光光度計により有機無機ハイブリッドガラス状物質の300〜800nmの波長域における透過率曲線を測定した。比較例2と書かれた破線のデータがこれにあたる。この結果からも明らかなように、実施例2の場合よりも光透過率が下がっていた。なお、波長300〜800nmにおける平均透過率は86.7%であった。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中に有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しが確認され、気密性能を満足していないことが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、刻々と変化し続け、耐熱性に問題があることが確認された。
PDPを始めとするディスプレイ部品の封着・被覆用材料、光スイッチや光結合器を始めとする光情報通信デバイス材料、LEDチップを始めとする光学機器材料、光機能性(非線形)光学材料、接着材料等、低融点ガラスが使われている分野、エポキシ等の有機材料が使われている分野に利用可能である。
本発明の実施例1及び比較例1で示した軟化温度測定データ(TMA測定結果) 本発明の実施例1及び比較例1で示したNMR測定データ 本発明の実施例2及び比較例2で示した300〜800nmの波長域における透過率曲線

Claims (5)

  1. ケイ素原子を有する金属アルコキシドを出発原料として有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造する場合において、出発原料を混合し、作成したゲルを有機溶媒に溶解させてアルカリ水溶液を加え、有機層と水性層に分離し、この有機層を乾燥後溶融することによってシラノール基が残存しない物質を得ることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  2. ケイ素原子を有する金属アルコキシドを出発原料として有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造する場合において、出発原料を混合し、加熱反応工程及び熟成工程を経て、作成した前駆体ガラスを有機溶媒に溶解させてアルカリ水溶液を加え、有機層と水性層に分離し、この有機層を乾燥後溶融することによってシラノール基が残存しない物質を得ることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  3. 原料にフェニル基を持つ物質が少なくとも1種類含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  5. フェニル基を含んでいることを特徴とする請求項4に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質。
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