JP2005047780A - 有機無機ハイブリッドガラス状物質及びその製造方法 - Google Patents

有機無機ハイブリッドガラス状物質及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来は、耐熱性や気密性能と低融点特性を同時に満たし、さらには着色又は蛍光発色するガラス状物質はなかった。
【解決手段】金属アルコキシド及び2価金属M(Mg、Ca、Sr、Ba、Snからなる化合物を40℃以上100℃以下の温度でかつ30分以上10時間以下で加熱処理し、MO−RSiO3/2、MO−RSiOで示される物質を少なくとも1種類以上含有する有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。RSiO(4−n)/2(:有機官能基、n:1〜3)、Nb、Zr、Tiの酸化物、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znの遷移金属イオン、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの希土類金属イオンの少なくとも1種類、又は有機色素を含有する有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機無機ハイブリッドガラス状物質の新しい製造方法及びそのガラス状物質に関する。
600℃以下で軟化する材料としては、高分子材料や低融点ガラスなどが有名であり、古くから封着・封止材料、パッシベーションガラス、釉薬など、多くのところで用いられてきた。高分子材料と低融点ガラスでは、その諸物性が異なるので、その使用できる環境に応じて使い分けられてきた。一般的には、耐熱性や気密性能が優先される場合にはガラスが、耐熱性や気密性能以外の特性が優先される分野では高分子材料に代表される有機材料が使われてきた。しかし、昨今の技術進歩に伴い、これまで要求されなかった特性も着目され、その特性をもった材料の開発が期待されている。
このため、耐熱性や気密性能を増能させた高分子材料や、軟化領域を低温化させたガラスいわゆる低融点ガラスの開発が積極的になされている。特に、耐熱性や気密性能が要求される電子材料市場において、PbO−SiO−B系あるいはPbO−P−SnF系ガラスなどに代表される低融点ガラスは、電子部品の封着、被覆などの分野で不可欠の材料となっている。また、低融点ガラスは高温溶融ガラスに比べ、その成形加工に要するエネルギーひいてはコストを抑えられるため、省エネルギーに対する昨今の社会的要請とも合致している。さらに、光機能性能の有機物を破壊しない温度で溶融することが可能ならば、光機能性有機物含有(非線形)光学材料のホストとして光スイッチなどの光情報通信デバイスなどへの応用が期待される。このように、一般的な溶融ガラスの特徴である耐熱性や気密性能を有し、かつ高分子材料のように種々の特性を得やすい材料は多くの分野で要望され、特に低融点ガラスにその期待が集まっている。さらに、有機無機ハイブリッドガラスも低融点ガラスの一つとして着目されている。
低融点ガラスでは、例えば、Sn−Pb−P−F−O系ガラス(例えば、非特許文献1参照)に代表されるTickガラスが有名であり、100℃前後にガラス転移点を持ち、しかも優れた耐水性を示すので、一部の市場では使われてきている。しかしながら、この低融点ガラスはその主要構成成分に鉛を含むので、昨今の環境保護の流れから代替材料に置き換える必要性がでてきている。さらには、Tickガラスに対する要求特性も大きく変化していると同時に、その要望も多様化している。
一般的なガラスの製造方法としては、溶融法と低温合成法が知られている。溶融法はガラス原料を直接加熱することにより溶融してガラス化させる方法で、多くのガラスがこの方法で製造されており、低融点ガラスもこの方法で製造されている。しかし、低融点ガラスの場合、融点を下げるために、鉛やアルカリ、ビスマスなどの含有を必要とするなど、構成できるガラス組成には多くの制限がある。
一方、非晶質バルクの低温合成法としては、ゾルゲル法、液相反応法及び無水酸塩基反応法が考えられている。ゾルゲル法は金属アルコキシドなどを加水分解−重縮合し、500℃を超える温度(例えば、非特許文献2参照)、通常は700〜1600℃で熱処理することにより、バルク体を得ることができる。しかし、ゾルゲル法で作製したバルク体を実用材料としてみた場合、原料溶液の調製時に導入するアルコールなど有機物の分解・燃焼、又は有機物の分解ガス若しくは水の加熱過程における蒸発放出などのために多孔質となることが多く、耐熱性や気密性能には問題があった。このように、ゾルゲル法によるバルク製造ではまだ多くの問題が残っており、特に低融点ガラスをゾルゲル法で生産することはなされていない。
さらに、液相反応法は収率が低いために生産性が低いという問題の他、反応系にフッ酸などを用いることや薄膜合成が限度とされていることなどから、現実的にバルク体を合成する手法としては不可能に近い状態にある。
無水酸塩基反応法は、近年開発された手法であり、低融点ガラスの一つである有機無機ハイブリッドガラスの製作も可能(例えば、非特許文献3参照)であるが、まだ開発途上であり、すべての低融点ガラスが製作できているわけではない。
したがって、多くの低融点ガラスの製造は、低温合成法ではなく、溶融法により行われてきた。このため、ガラス原料を溶融する都合上からそのガラス組成は制限され、生産できる低融点ガラスとなると、その種類は極めて限定されていた。
なお、現時点では耐熱性や気密性能から、低融点ガラスが材料として有力であり、低融点ガラスに代表される形で要求物性が出されることが多い。しかし、その材料は低融点ガラスにこだわるものではなく、要求物性が合致すれば、ガラス以外の低融点あるいは低軟化点物質で大きな問題はない。
公知技術をみれば、ゾルゲル法による石英ガラス繊維の製造方法(例えば、特許文献1参照)が、ゾルゲル法による酸化チタン繊維の製造方法(例えば、特許文献2参照)が、さらにはゾルゲル法による半導体ドープマトリックスの製造方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。また、溶融法によるP−TeO−ZnF系低融点ガラスが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開昭62−297236号公報 特開昭62−223323号公報 特開平1−183438号公報 特開平7−126035号公報 P.A.Tick, Physics and Chemistry of Glasses, 14, 1140(1989). 神谷寛一、作花済夫、田代憲子,窯業協会誌,618−618,84(1976). 高橋雅英、新居田治樹、横尾俊信,New Glass, 8-14,17(2002).
多くの低軟化点材料、特に低融点ガラスの製造は、溶融法により行われてきた。このため、そのガラス組成には多くの制限があり、ガラス原料を溶融する都合上、生産できる低融点ガラスは極めて限られていた。
一方、低温合成法のゾルゲル法で製造した場合、緻密化のために500℃以上の処理温度が必要となるが、その温度で処理すると低融点ガラスとはならないので、結果として耐熱性や気密性能の良好な低融点ガラスを得ることはできなかった。特に、電子材料分野では、厳しい耐熱性や気密性能と低融点化に対応する低融点ガラスはなかった。さらに、耐熱性や気密性能を満足するガラス以外の低融点材料もこれまで見出されていない。
特開昭62−297236号公報、特開昭62−223323号公報及び特開平1−183438号公報で開示された方法は、高温溶融でのみ対応可能であった材料生産を低温でも可能としたという功績はあるが、低融点ガラスを製造することはできない。また、ゾルゲル処理後には、500℃以上での処理も必要である。一方、特開平7−126035号公報の方法では、転移点が3百数十℃のガラスを作製できることが開示されている。しかし、それ以下の転移点をもつガラスを鉛やビスマスなどを始めとする低融点化材料なしで製作した例はこれまでなかった。
すなわち、これまでの低融点ガラスの製造方法では、厳しい耐熱性や気密性能と低融点特性を同時に満たすガラスを作ることはできなかった。また、ガラス以外の材料でもこのような特性を満たすものはなかった。
さらに、本発明者らは、上記の問題を解決する有機無機ハイブリッドガラス状物質を開発し、特許出願した(特願2003−69327号)。しかし、ゾルゲル法で使われる材料を出発原料として有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造することは同様であるが、出発原料の混合工程後にゲル体を経る工程が必須であり、そのゲル化工程では1〜3日程度を必要とするという問題があった。また、耐熱性や気密性能と低融点特性を同時に満たし、さらには着色又は蛍光発色するガラス状物質はなかった。また、ガラス以外の材料でもこのような特性を満たすものはなかった。
本発明は、金属アルコキシド及び2価金属M(Mg、Ca、Sr、Ba、Snの中から選ばれた少なくとも1種)からなる化合物を40℃以上100℃以下の温度でかつ30分以上10時間以下で加熱処理し、MO−RSiO3/2又はMO−RSiOR:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を少なくとも1種類以上含有する物質を生成させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
また、RSiO(4−n)/2(:有機官能基、n:1〜3)で示される物質を生成物として含む上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
また、Nb、Zr、Tiのうち少なくともいずれか一つの酸化物を含有させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
また、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znのうち少なくともいずれか一つの遷移金属イオンを含有させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
また、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybのうち少なくともいずれか一つの希土類金属イオンを含有させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
また、有機色素を含有させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
さらに、上記の製造方法で製造された有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
本発明によれば、これまで製作することが極めて難しいとされてきた低軟化性を有し、かつ耐熱性と気密性能のあるガラス状物質を得ることができ、さらには着色する又は蛍光発色するガラス状物質を得ることができた。
本発明は、金属アルコキシド及び2価金属M(Mg、Ca、Sr、Ba、Snの中から選ばれた少なくとも1種)からなる化合物を40℃以上100℃以下の温度でかつ30分以上10時間以下で加熱処理し、MO−RSiO3/2又はMO−RSiOR:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を少なくとも1種類以上含有する物質を生成させるハイブリッドガラス状物質の製造方法である。
出発原料としては金属アルコキシドである。しかし、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸塩、金属硝酸塩、金属水酸化物、及び金属ハロゲン化物等を始めとしてゾルゲル法で使われる原料であれば製造ができる場合があるが、品質や生産性などから上記の出発原料が望ましい。
原料の混合工程後、40℃以上100℃以下の温度でかつ30分以上10時間以下で加熱反応工程で処理する。上記した原料は、ゾルゲル法で使用されるものであるが、この加熱反応工程を入れることにより、従来1〜3日かけてゲル化していた工程を割愛することができる。但し、この40℃以上100℃以下の温度でかつ30分以上10時間以下での加熱処理条件は極めて重要である。この加熱条件以外では、その構造中に有機官能基Rを持つ金属ユニット、すなわち、MO−RSiO3/2又はMO−RSiOR:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を含有することはできない。なお、RSiO(4−n)/2(R:有機官能基、n:1〜3)をも含むことも有りうる。これらのガラス系は極めて重要であり、これのガラス系の物質が存在することにより、耐熱性及び気密性能と低融点化という両立させるのに極めて難しい特性を同時に満足させることができる。
なお、加熱反応工程の上限温度は沸点が100℃を越すアルコール、例えば118℃の1−ブタノールを用いる場合では100℃以下であるが、沸点が100℃以下のアルコールでは沸点も考慮する方が望ましい。例えば、エタノールを用いる場合は、その沸点の80℃以下とした方が良い結果となる傾向にある。これは、沸点を越えると、アルコールが急激に蒸発するので、アルコール量や状態変化から均一反応が達成されにくくなるためであると考えられる。
加熱反応工程後の溶融工程及び熟成工程を経ることにより、安定化した有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることができる。従来から行われてきたゾルゲル法では、前記の溶融工程がないため、当然ながらその後の熟成工程もない。また、ゲル体を経ない本発明において、溶融工程により、有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることはできる。しかし、その後の熟成工程を経ることにより、より安定した有機無機ハイブリッドガラス状物質を得ることができる。
なお、熟成工程では30℃以上400℃以下の温度で処理する。30℃よりも低い温度では、実質上熟成できない。400℃を超えると、熱分解することがあり、安定したガラス状物質を得ることは難しくなる。望ましくは、100℃以上300℃以下である。さらに、この熟成温度は、溶融下限温度よりも低い温度ではその効果が極めて小さくなる。一般的には、溶融下限温度〜(溶融下限温度+150℃)程度が望ましい。さらに、熟成に要する時間は5分以上必要である。熟成時間は、その処理量、処理温度及び反応活性な水酸基(−OH)の許容残留量により異なるが、一般的には5分未満では満足できるレベルに到達することは極めて難しい。また、長時間では生産性が下がってくるので、望ましくは10分以上1週間以内である。加熱による溶融工程若しくは熟成工程において、不活性雰囲気下で行ったり、減圧下で行なったりすることにより時間を短縮できる傾向にある。また、マイクロ波加熱も有効である。
なお、有機官能基Rは、アルキル基やアリール基が代表的である。アルキル基としては、直鎖型でも分岐型でもさらには環状型でも良い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n−、i−)、ブチル基(n−、i−、s−、t−)、ペンチル基、ヘキシル基(炭素数:1〜20)などが挙げられ、特に好ましいのはメチル基とエチル基である。さらに、アリール基としては、フェニル基、ピリジル基、トリル基、キシリル基などがあり、特に好ましいのはフェニル基である。当然ながら、有機官能基は上述のアルキル基やアリール基に限定されるものではない
さらに、上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の物性や着色を変えることも可能となる。例えば、Nb、Zr、Tiなどを酸化物として導入することにより耐水性などのガラス物性を向上させた有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造することもできるし、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどの遷移金属イオンを導入して、種々の物性を変化させた有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造することもできる。さらには、希土類イオン(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybなど)や有機色素も含有させ、着色又は蛍光発色する有機無機ハイブリッドガラス状物質を製造することもできる。
さらに、上記の方法で製造された有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
以下、実施例に基づき、述べる。
出発原料には金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt))とエタノールを用いた。混合工程として室温で10mlのフェニルトリエトキシシランに3mlの水、30mlのエタノール、触媒である塩酸を加え、加熱反応工程として80℃で3時間撹拌後、150℃に上げ1時間溶融した。さらに、200℃で5時間熟成した後、室温まで冷却し、透明状物質を得た。
10℃/minで昇温したTMA測定での収縮量変化から軟化挙動開始点を求め、その開始温度を軟化温度としたところ、この物質の軟化温度は120℃であった。また、Nicolet社の赤外吸収スペクトロメーターAVATOR360型及びJOEL社の磁気共鳴測定装置CMX−400型でケイ素ユニットが存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質の中に有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例1とほぼ同様の原料を使い、ほぼ同様の処理方法で、色のついた物質を得た。ここでは有機色素ローダミン0.5mgを原料の中に入れ、着色を試みた。
この物質の軟化温度は120℃であり、ほぼ均一な状態で着色ができた。また、Nicolet社の赤外吸収スペクトロメーターAVATOR360型及びJEOL社の磁気共鳴測定装置CMX−400型でケイ素ユニットが存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、得られたガラス状物質の中にローダミンとは別の有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
実施例1とほぼ同様の原料を使い、同様の処理方法で、透明状物質を得た。但し、ここではErを塩化物の形、すなわちErCl・6HO1mgを原料の中に入れ、蛍光発光を試みた。
この透明状物質の軟化温度は100℃であり、暗闇で観察したところ、380nmの光で励起するとガラス状全体できれいに緑色蛍光発色していることが確認できた。また、Nicolet社の赤外吸収スペクトロメーターAVATOR360型及びJEOL社の磁気共鳴測定装置CMX−400型でケイ素ユニットが存在していることを確認した。不規則網目構造を有していたことも考慮すると、今回得た透明状物質は有機無機ハイブリッドガラス構造をとる物質、すなわち有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
この有機無機ハイブリッドガラス状物質の気密性能をみるため、有機色素メチレンブルーを入れ、1ヶ月後の染み出し状態を観察した。この結果、染み出しは全く認められず、気密性能を満足していることが分かった。また、100℃の雰囲気下に300時間置いたこの有機無機ハイブリッドガラス状物質の転移点を測定したが、その変化は認められず、耐熱性にも問題がないことが確認された。さらに、得られた有機無機ハイブリッドガラス状物質を1ヶ月間、大気中に放置したが、特に変化は認められず、化学的耐久性に優れていることも確認できた。
(比較例1)
実施例1とほぼ同様の原料により、ゾルゲル法でゲル体を得た。そのゲル体を約100℃で乾燥させた後、すぐに約600℃で焼結した。この結果、得られた物質は黒化し、800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。
(比較例2)
実施例2とほぼ同様の原料を用い、ゾルゲル法で室温で2日間撹拌し、ゲル化させた。その後、そのゲル体を約100℃で乾燥し、それに引き続いて500℃で焼成した。なお、原料の量についても、実施例2に準じた。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。また、黒化しており、実施例2のような着色というよりも汚く変化していた。
(比較例3)
実施例3とほぼ同様の原料を用い、ゾルゲル法で室温で2日間撹拌し、ゲル化させた。その後、約100℃で乾燥後、450℃で焼成した。
この結果、得られた物質は800℃でも軟化せず、低融点物質とは言えなかった。また、蛍光発色がないことを確認した。

Claims (7)

  1. 金属アルコキシド及び2価金属M(Mg、Ca、Sr、Ba、Snの中から選ばれた少なくとも1種)からなる化合物を40℃以上100℃以下の温度でかつ30分以上10時間以下で加熱処理し、MO−RSiO3/2又はMO−RSiOR:有機官能基、M:2価金属)で示される物質を少なくとも1種類以上含有する物質を生成させることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  2. SiO(4−n)/2(:有機官能基、n:1〜3)で示される物質を生成物として含むことを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  3. Nb、Zr、Tiのうち少なくともいずれか一つの酸化物を含有させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  4. V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znのうち少なくともいずれか一つの遷移金属イオンを含有させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  5. Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybのうち少なくともいずれか一つの希土類金属イオンを含有させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  6. 有機色素を含有させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかの方法で製造されたことを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質。
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